バーバラが、前より落ち着いた口調で話しを始めた。 「あなたは、キムとセックスしなくてもよかったはずだわ。父のところにビデオを持ってくるだけでもよかったはず。それで充分だったはずだわ」 スティーブは、頷いて、同意を示した。苦々しげに言葉を発した。 「それは、その通りだ。君の言う通りだよ。そうするだけで良かったのかも知れない。ただ、君は、この件で、何かもっと失うものがあるべきだったのだよ。僕は妻を失った。キンバリーは清純さを失った。そして今は・・・少なくとも、この2週間は・・・君は自分の夫を妹に奪われ、失った・・・これで、みんな平等になったのさ。誰もが傷ついた。そして、誰もが勝者でない」 バーバラは、スティーブを見つめた。どうしてこんな残酷なことが言えるのか、皆目分からなかった。ふと、頭の中に、ある思いがよぎった。スティーブは、自分がレイフと一緒にいるところを捕まえる前は、このような無情なことが言える人だったろうか、と。その考えは、バーバラには不愉快だった。 「それに・・・」 と、不意にスティーブは話しを続けだした。「キムとのことでは、セックスは最も小さな部分にすぎない・・・彼女の体にペニスを突っ込んだ男たちがずらっと行列をなしていて、そこに僕が加わったにすぎないんだ。それに、僕にとっては、彼女とセックスをしたのは、この今の状態から抜け出るための方法だったから・・・」 バーバラは、意味が分からないと言わんばかりの顔をしてスティーブを見つめた。だが、彼に問いかけることはしなかった。 「分からないかな、バーバラ?」 スティーブは穏やかな口調で続けた。「あのビデオは全部見たのかな?」 バーバラの顔がとたんにピンク色に染まった。 「一本だけ」 「大丈夫、それで充分だよ。ともかく、君の妹が、ありとあらゆるやり方で、あそこに映っていた男たち全員とやりまくるのを見たんだよね。そうだろ?」 バーバラは頷いた。彼女は、ビデオのことを思い出し、恥ずかしさを感じたし、またスティーブの言い表し方によっても、恥ずかしさを感じた。だが、バーバラは、スティーブが使った言葉に文句は言わなかった。そうすることで、いっそう恥ずかしさを拡大させてしまうことを避けたかったから。 「君はキムが男たち全員と交わるのを見た。時には、一人ずつ、時には集団で・・・そして、最初から最後まで、男たちは誰もが『ナマ』のままでやっていたよね。そうだろ?」 バーバラは、いっそう顔を赤らめた。素早く、こくりと頷く。 「僕は同じようにしなかったと思ってるかな? 僕はコンドームの感触が嫌いなのは知ってるよね?」 バーバラはまたもこくりと頷いた。スティーブは返事を待っていたが、バーバラは何も言わなかった。 「分からないかな、バーバラ? キンバリーは、安全なセックスについて何も考えていなかった。多分、彼女は、人類が知っているありとあらゆる性感染症を移されてしまってるだろう・・・そして、彼女は、そのすべてを僕にも移した」 スティーブは、またもバーバラの返事を待った。 「バーバラ・・・バーバラ・・・」スティーブは咎めるような口調になった。「君は、僕の体質については知ってるはずだよ・・・僕はペニシリンにも、ペニシリンから生成されたすべての薬品に対しても強度のアレルギーがあるんだ。どんな医者も、いま現在、僕の体の中で激しく増殖しているものを退治できないだろうと、僕は思っているよ。かなり真剣にね・・・それに、もしキムがHIV陽性だったら、もし彼女が僕にエイズを移したとしたら・・・その場合は、希望は完全に望めない。そうだよね?」 バーバラは、恐怖にひきつった顔で夫を見た。彼女は忘れていた。スティーブは、子供の頃、かなり軽い病気だったが、医者にペニシリンを注射され、死に掛かったことがあったのだった。それを今バーバラは思い出していた。 「どうして・・・あんなことをする必要なんてなかったのに・・・」 バーバラは小声で囁いた。 スティーブはうんざりした様子で、肩をすくめた。 「どうしてって、しょっちゅう心を痛めていることにうんざりしてしまったからだよ、バーバラ。君が僕を自由にさせようとしないからだよ。僕は逃れることもできなければ、癒しを始めることすらできない。君は、常時、僕の心の前面、かつ中心部に苦痛を置き続けてきたんだよ・・・」 「・・・こういうことを言って何かの慰めになるか分からないけれど、今も、そんなふうに感じているかどうかはっきりしなくなっているよ。キムとセックスをしなければ良かったと思っている・・・やってしまったことを恥に感じているよ。でも、あの時は、本当に気持ちが重くなっていて、他に抜け出る道が見えていなかったんだ」 そこまで言い終え、スティーブは座りなおして、姿勢を正し、カウンセラーに視線を向けた。ヒューストン氏は、バーバラが見せたのと同じショックに満ちた表情で、スティーブと視線を合わせた。 スティーブは腰を上げ、ゆっくりとドアへと進んだ。ドアを開け、外に出る。だが、ドアを閉める前に、もう一度、ヒューストン氏の方を振り返った。 「ヒューストンさん、ずいぶん前になると思いますが、僕が言ったことがありましたよね。僕は自殺についてちょっと考えがあると言ったと思います。聞いたはずですよ。そう言った時、あなたは何かメモを書いたから・・・まあ、自分でも、妻の妹とセックスをすることで、自殺をしたことになるかどうか分かっていないんですが、それでも、キムと一緒にいた、あの時は、どうでもいいやという気持ちになっていたのですよ・・・」 そう言った後、彼は、バーバラに視線を向けた。 「・・・バーバラ? もう、遅いんだよ。一応、残念に思ってるとだけは言わせてもらうよ」 スティーブは、優しく、しかし、しっかりとドアを閉めた。そして歩き始めた。 ********
俺は、レストランの中を通り、表に出た。この秘密クラブを見つけたことが信じられない思いだった。自転車に乗り家に向かう間、ズボンの中、ちんぽが勃起し続けだった。自転車をこぎながら、たった今、見てきたことを頭の中で再現していた。他の人が見ている前で、あんなふうにヤリまくる人たちがいるとは。・・・この場所にグラフ先生を連れてきたら、最高に興奮できそうだぜ・・・ 家に着き、ガレージに自転車を置いて、家にこっそり入った。自分の部屋に向かう途中、両親の様子を見たが、二人ともテレビをつけっぱなしでソファで居眠りをしていた。階段を上がり、部屋に戻る。 パソコンは立ち上げたままにしていたので、すぐにネットに接続できた。早速、メール・サイトにアクセスする。思ったとおり、先生からのメールが来ていた。 「『ご主人様』ですって? ええ、その通りよ!! あんたは、懲らしめを受けようとしてるクズ以外の何者でもないでしょうからね! あんたには、あんたにお似合いのご主人様がいるわ。本気よ。明日の夜に来ようなんて考えないことね。さぞかしがっかりすることになるから。あんたがやってる、この馬鹿げたゲームは、ゲームオーバーなのよ。この先、一度でも、変なまねをしに来たら、あんたを追い出すだけじゃないわ。警察に逮捕させるから。試してみたいと思うなら、やって御覧なさいよ。冗談は言ってないわ。さあ、どうするの? 主導権はこっちにあるんだからね。ぶん殴られて、逮捕されたいと思うなら、明日の夜に家に来ればいいわ。一応、忠告しておくから。私は、自分で言ったことは、ちゃんとやるわよ!」 心臓がどきどきさせ、息も乱しながら、返信のアイコンをクリックした。 ・・・グラフ先生は、自分の立場を知ってるのか? 慎重に打ちこむ内容を考えた。 ・・・先生は虚勢を張っているだけだよな・・・でも、もし、そうじゃないとしたら? 考えれば考えるほど、俺は腹が立ってきた。画面をクリックし、打ち込み始めた。 「ちょっと待ってよ。 誰が仕切ってるのか、考えさせてくれよ。えーっと、それは俺だよ。お前のご主人様だ。どうやら、お前にはみっちり調教をしてやる必要がありそうだな。調教こそが、『ご主人様」とその『奴隷』とを結びつける究極の絆になるものだ。お前も、一旦、調教の技を味わったら、俺とお前の関係を納得し、無条件に俺に従うようになるだろう。お前が、調教の基礎を会得したと感じたら、お前に指輪を返してやる。俺をご主人様として受け入れたことを象徴するように、お前の指に結婚指輪を嵌めてやる。あの指輪はお前の旦那がお前にやったものなのは確かだが、その後は、二重の意味を持つことになるだろう。お前が、お前のご主人様に結び付けられたことを象徴する意味も持つことになるわけだ。調教こそが、俺との関係を理解する手段だということを覚えておくことだな。明日の夜、お前の旦那が眠った後、お前はベッドから起き、ローブを羽織ることだ。その下には、ストッキングとガーターだけを着ていること。セクシーなハイヒールを履き、一階のリビングに降りて来るのだ。ランプを点け、玄関の鍵は外しておくこと。自分で目隠しをし、後ろを向いて、俺が来るのを待っていろ。いま書いたことを全部、覚えておくことだな。騒ぎ立てるなよ。みっちり、お仕置きしてやるからな!」 俺は、メールを読み返した後、グラフ先生に送信した。パソコンをシャットダウンし、寝る前に軽くシャワーを浴びることにした。シャワーの間、エッチな気分になって仕方がなかった。ぎんぎんに勃起して、先走りを流している。 シャワーから出た後、部屋に戻り、テレビをつけた。先生を犯した時のビデオを再生する。自慰を始めて30秒も経たない内に、睾丸がきゅうきゅう言い始めた。 下唇を噛みしめ、両足のつま先を内側に捩らせながら、オルガスムに耐える先生の姿。それを見た途端、俺もどっと弾けた。射精が始まった後も、低い唸り声を出しながらストロークを続けた。どくどくと出てくる。 全部出し終えた後、ようやく落ち着き、汚れをティッシュで始末し、テレビを消して、眠りについた。
私はようやく口を開いた。 「もし先生がそんなことをできるなら、どうして最初から私にその催眠をかけなかったんですか?」 「これまで何人か女の子たちにかけてきたわ。でも、だんだん、つまらなくなってきたの。私を自発的に愛してくれる女の子が欲しいのよ」 「絶対にイヤ!」 「お願い! 私のこと魅力的に感じない? ただ、私を愛してくれると言ってくれればいいのよ。そうすれば、あなたに、あなた専用の可愛い奴隷をあげるのに。永遠に奉仕してくれる奴隷を」 「先生は狂っています!」 「また、そう言うのね。私のことを信じていないのね? じゃあ、他の女の子を使って、デモンストレーションしてあげるわ。あなたに分かってもらうためだけに」 どうしたらよいの? 先生は止めようとしていない! 先生は女の子を一人立たせて、足の縛りを解いた。それから書類を手にし、女の子を引き連れて部屋から出て行った。あの女の子は、まだ、猿轡をされていたし、両手も手錠されたままだった。 二人は何分か戻ってこなかった。でも、そんなに長いわけではなく、せいぜい5分くらいだったと思う。そして、先生は、あの娘を引き連れて戻ってきた。女の子の猿轡と手錠を外す。その子は、私の顔を見るなり、すぐに私のところに飛んできた。私の足元にひざまずき、話し始めた。ものすごいスピードで。 「お願い! 私にあなたを舐めさせてください。お願いよ! あなたがとても欲しいの。お願いします!」 私は、足元にひれ伏す彼女を見下ろしていた。信じられない。彼女は私の足を持ち上げて、靴にキスを始めた。靴を脱がし始めている。 私はちょっとパニックになっていた。「やめて!」 「お願い・・・」 彼女は私を見上げて言った。悲しそうな目をしている。「私・・・あなたのために、裸になるから」と、いそいそと服を脱ぎ始めている。「あなたに触れてもいい? お願い、触らせて」 私は彼女を見つめていることしかできなかった。マイケルズ先生は、彼女がこんなことをすることを前もって知っているようだった。その娘は、あっという間に裸になって、私の足元にひざまずいた。 「先生は、彼女に何をしたんです!」 「まあ、ちょっと負荷を強めにした行動トレーニングよ。あなたの写真を見せながら、彼女の耳元にいろいろ囁きかけ、その間ずっと、電気プローブで慎重にショックを与え続け、指を使って、適切な時を見計らってオルガスムに何度か導くの。彼女の思考を制御して、正しい思考に近づいていくように、痛みと快楽の中枢部に刺激を与える作業ね。驚くほど、早く反応が出るの。今の彼女は、あなたが望むこと以外、何もしたがらなくなってるわ」 「私から離れるようにしてください!」 「あなた自身で彼女に言わなきゃだめ。彼女が話しを聞くのはあなただけだから」 私は半信半疑で、彼女に自分の服を持って、着るように命じた。
アンドリューに家族のことについて訊いた。彼はオハイオの小さな町の出身で、父親は亡くなったが、母親はまだ生きているらしい。兄弟姉妹は一人ずついて、二人とも専門職について、中西部の都市で暮らしている。彼は、親戚とは、誰とも親しくしていないらしい。 彼の恋愛関係についても知りたかった。何だかんだ言っても、私の方は、まったく恋愛関係には縁がないことを、はっきり伝えてたわけだから、彼の方についても教えて欲しいと思っていた。ただ、私がそれを知りたがっていることを、あまりあからさまにしたくはなかった。アンドリューの現在の恋愛関係が、何らかの形で私に影響を与えるように感じ取られることは避けたかった。実際、彼がどういう恋愛生活を送っていようが私には関係のないことなのだから。 でも、本当は、それは間違い。本当のところ、これは私にとって重要な問題なのだ。どうしても知りたい。多分、私は、自分の競争相手がどんな女性なのか知りたがっていたのだと思う。男女交際は避ける主義なのは変わっていなかったけれど。 アンドリューは、この点に関して、とてもオープンだった。 「2、3回は、わりと真剣な交際になったこともあるんだ。今は、真剣に付き合おうと思っている人は誰もいない。あ、もちろん、あなたとのことは別にしてだよ・・・」 (彼がこう言った時、体中が甘美に疼くのを感じた) 「・・・どの女性ともうまく行かなかったのは、結局、僕が、たいていの女性ならば僕に与える気にならないようなものを、捜し求めているからだと思う」 この言葉には興味を引かれた。 「捜し求めているけど、与えられなかったものって・・・それは何?」 「僕は、相手の女性には、平等でオープンな関係を求める人でいて欲しいんだ。僕が求めている男女関係とは、両者とも、関係が良好に続くようにする責任を持っている関係。オープンに語り合うことが必要だと思っている。それに、僕のことを死ぬほど退屈に感じてしまうような女性は困るし、僕の方も死ぬほど退屈に感じてしまうような女性は困る。残念だけど、そういう女性を見つけるのは簡単じゃない。僕が興味をもつことは、多くの人が死ぬほど退屈だと感じるようなことばかりだから。相手の女性には、少なくとも知的な面で僕と平等であって欲しいと思っている。僕が理想としている女性は、多分、僕より賢い人だと思う。ちゃんと考え、自分の言葉で僕に意見を言ってくれるような人。そういう人が欲しいんだ・・・」 「・・・嫌なことは、相手の人が、僕が言ったことにせよ言わなかったことにせよ、あるいは、僕がしたことにせよ、しなかったことにせよ、それについて鬱々と考え込んでいたことを、後になって知ること。その人を傷つけるようなことを僕がしたり、しなかったり、言ったり、言わなかったりしたとして、そういう場合は、すぐにそのことを教えて欲しいと思っている。そうしたら、早速、その問題に取り組んで、解決できると思うから・・・」 「前回、ある女性との交際が破綻したのはどうしてかと言うと、その人が、一ヶ月以上に渡って、僕のことに腹を立てていて、どうしてそうだったのか、僕に全然、知らせてくれていなかったからなんだ。今は、もう、気にしなくなっているけれど、今になっても、彼女が怒っていた理由は分からない。言ってくれればよいのに。もちろん、訊いてみたさ。でも彼女は、『言葉に出さなくても、どこが間違っていたか分かるはず』という態度だった。問題の核心は、『コミュニケーション不全』だと思っている。どんな男女も、この問題があったら交際は続けることができない。僕は、できるだけ痛みが少ないように言葉を選んで、彼女に交際を続けられないと話した。でも別れなければならなかったのは事実。コミュニケーションなしでは、先がないと思っていたから・・・」 「・・・多分、僕は強い女性が好きなんだろうと思う。僕が期待通りにならない時に、ちゃんと言ってくれる女性。日々の生活で、二人の関係を良好にすべく努力すべきだと主張する女性。互いの人生で、二人が交際することが最も重要なことだと分かり合っている、そういうカップルであるべきだと思っているような女性・・・」 そこまで言って彼は、少し弱気の表情を顔に浮かべた。 「・・・多分、僕が女性と付き合えない理由のもう一つは、僕の話しがしょっちゅう脇道に逸れてしまうことがあるかもしれない」
それまで、レオンは、一突きごとにズシリズシリと力を込めて打ち込んでいたが、やがて、その動きに速さも加わり、激しい打ちこみの連続に変わっていた。そして、イサベラも、自らその速さに合わせようとしているように、ああっ、あっ、あっとリズミカルに声を上げ、応えてた。 イサベラにとっては、すでに、レオンの抽迭が生み出す叫び声を上げたくなるような緊張感以外、一切、何も意味がないように感じられていた。しきりと白肌の女体をくねらせ、腰を自ら突き上げ、打ち込みに応える。レオンが、ケダモノの持つ狂気に駆られたように、繰り返し、繰り返し、腰を打ち据えるたびに、その極太に体を引き裂かれんばかりになりつつも、体内には、極上の甘美な苦痛の炎が燃え上がる。 やがて、イサベラは、レオンの分身がヒクヒクと動くのを感じた。と同時に、下腹部の奥で、快感が渦巻き始めるのを感じた。その間も、レオンは突き入れを繰り返し、彼女を新たな頂点へと容赦なく引き上げ続け、登りつめらせたのだった。 * イサベラは、再びオルガスムの大波に洗われていた。強烈な快感に、彼女はもはや我を忘れ、体を小刻みに震わせ、痙攣を繰り返してた。それと同時に、彼女の狭い肉筒は強烈な収縮を始め、レオンの分身をきつく絞り始めていた。 「くっ! くうぅぅぅッ!!」 思わずレオンは苦しそうな叫び声を上げ、イサベラにのしかかったまま、その巨体を強張らせた。 次の瞬間、イサベラは、レオンの分身が体内で噴射を始めたのを感じた。ビクンビクンと痙攣がおき、粘着性のある熱いものが噴き出し、子宮の奥壁に当たるのを感じた。それと同時に、レオンの重たげな巨体が、がっくりと彼女の体の上に崩れ落ちた。 イサベラは、過度の興奮に、レオンが彼女の肩の白肌に熱っぽくキスをしていることに、ほとんど気づかなかった。彼の体の下、じっと動かぬまま横たわり、二人の呼吸が平静に戻るのを待っていた。もはや、純潔を強引に奪われた囚われ人の反応ではなかった。 体を重ねたままぐったりと横たわる彼女の脳裏に、なぜか、どこか不安感を感じさせる思いが浮かんでは消えていた。父親の思い出だった。 父のことについてはほとんど思い出がないが、ただ、毎晩、就寝時に部屋に来ては、自分が銀色のブラシで長髪をブラシするところを見ていたのを思い出す。時々、ナイトガウンを脱いで、ブラシを100回するまで数えてくれないかと頼まれたこともあった。そういう時、鏡に向かってブラシをかけながら、鏡に映る父が奇妙な手つきで自分自身の体を触っているのを不意に見かけ、不思議に胸が締め付けられるような感覚になったことを思い出した。 イサベラは、レオンが、汗まみれの二人の体の間に手を割り入れ、二人が結合している部分を触れたのを受け、あッと声を上げた。反射的に、レオンの顔を見、二人の視線が会う。その瞬間、二人とも、レオンが彼女の奥へと放った子種液が目的地に到達したかもしれないことを悟った。イサベラのモス・グリーン色の瞳に恐怖の陰が現れる。 「恐れて当然だな」 レオンは、そう言って、イサベラの口に口を寄せた。強引にキスを受けさせる。赤毛の髪に指を絡ませながら、彼女の頭を自分の顔へ引き寄せ、彼女の潤いのある口腔へ舌を差し入れた。イサベラは、小さな手をためらいがちに宙で振って見せ、抵抗を示したが、やがて、力をなくし、レオンの胸板にあてがうだけになった。 キスの後、レオンはイサベラから抜け出た。イサベラは、熱を帯びた鞘から柔らかくなった彼のペニスがヌルリと抜け出る感覚に、小さく体を震わせた。 レオンは、立ち上がり、裸身で横たわったままのイサベラを見下ろしながら、皮のズボンのベルトを締めなおした。恥ずかしさのあまり、イサベラは顔を背けた。レオンはイサベラを犯すとき、服を脱ぐことすらしていなかったのである。 服を整えながら、レオンは、ブーツのつま先で、イサベラの濡れた陰部をなぞり上げた。二人が出し合った体液で彼女の陰部はキラキラと輝いていた。恥辱的な行為をされ、イサベラは、髪に顔を埋もれさせ、弱々しい声を上げた。 彼女の惨めな様子をあざ笑いながらレオンが言った。 「くっ、くっ、くっ・・・たとえお前の心がわしを拒絶しようとも、お前の体はわしに触れられることを願って疼いているのだ。間もなく、お前の心もわしに支配されると思うことだな・・・」 ブーツのつま先にクリトリスを掻き上げられ、イサベラは体を反らせた。 「・・・その体が支配されたのと同じように」 そう言ってレオンは部屋を出た。 曲がり階段を駆け降りながら、レオンは、どうしても、ある思いが頭をよぎるのを防げなかった。つまり、あの喜ばしい捕虜がすぐに妊娠してしまうことがないと良いのだがという思いである。 ともかく、28年間生きてきて、これほど仕事から気を逸らされてしまう気持ちになったのは彼にとって初めてのことだった。あの美しい囚われ人の、咥えこんで離さない、きつい肉筒。そこに何度でも繰り返し分身を突き入れたいという強烈な欲望。これは初めてのことだった。そして、レオンには、その欲望は復讐心とはまったく別であるということが理解できていた。 つづく
・・・この女、本当に俺のものになってるじゃねえか! これを裏付けるように、ブリイは両脚でジョーンズの背中を抱き込み、しっかりと組み合わせていた。自ら進んで、彼をより近くへ、より深くへと引き寄せている。ブリイ自身は何も言わなかった。だが、彼女が盛んに発する喘ぎ声から、明らかに、いま起きていることに対する彼女の気持ちが読み取れた。 ジョーンズが打ち込むたびに、ブリイの身体は揺さぶられ、その巨乳もぶるぶると激しく揺れた。彼女が脚を交差させ身体をしっかりつなぎとめているおかげで、ジョーンズは手で彼女の身体を押さえる必要がなくなり、自由に、その巨乳を握り、揉むことができた。柔らかいにもかかわらず、充分張りのある美乳。時に、勃起した乳首を指で挟み、引っ張り、楽しむ。 ブリイは、このような状況にいることに怒りを感じているはずだし、いやいやセックスに応じているはずだった。だが、その肉体は、彼女の心を裏切り続けた。強烈すぎる快感、甘美すぎる刺激に、身体が虜になっていく。 ジョーンズは、新妻に打ち込みを続けた。だが、何か物足りない。そこで、一時、動きを止め、自分もブリイが横たわるビリヤード台の上に這い上がった。まるで、それを迎えるように、ブリイも自分から後ろに引き下がり、ジョーンズのためにスペースを作る。 一旦ジョーンズが位置につくと、ブリイの脚は早速、彼の腰を包み込み、再び尻のところで羽交い絞めになった。それと同時に、再びジョーンズのペニスが、すでに充分こなれた女陰の肉穴に吸い込まれていく。 煌々とライトに照らされている中、グリーンのマットの上、ブリイとジョーンズの身体が重なり合う。それを男たちが取り囲み、目を凝らして見ている。 ビリーは、自分の愛する新妻が、自分からジョーンズの顔を抱き寄せ、その口に熱っぽくキスを始めるのを、恐怖を感じながら見ていた。ジョーンズは、ブリイの柔らかな身体に覆いかぶさり、口を吸わせながら、愛しげに抱きしめ、再び出し入れを始めた。 ジョーンズは、若い女体の快感に酔いしれながらも、彼女の反応に内心、驚いていた。 ・・・まるで恋人とキスをしているように、舌を吸ってくるし、打ち込みをするたび、ああん、ああんと甘く全身でもって反応してきやがる。俺に身を委ねきってるぜ。この女、生まれつきの淫乱女に違いねえ。この部屋に旦那がいて、見てるというのに、俺にこんなふうに振舞ってるんだ。根っからの淫乱だとしか、説明つかねえぜ・・・ そんな考えがジョーンズの頭を支配し始めていた。 ビリヤード台の上、それから10分近く、ハードなセックスが続いた。そして、とうとう、ジョーンズは、えびぞるように体をよじり、種液を、色狂いした若妻の体内に注ぎ込んだ。射精をしながら、彼はブリイの顔を見て、そこに満足げな表情が浮かんでいるのに気づいた。目は閉じたままだが、口元が微笑んでいるのが分かる。 しばらく経ち、ブリイもようやく目を開き、ジョーンズが自分を見つめているのを見た。その途端、彼女の顔から笑みが消え、以前の嫌悪する表情に置き換わった。 ブリイは、この初めての性交を、自分が夫に抱かれていると思い込むことによって、耐え抜いていたのである。ともかく今回は、そう思い込むことで何とか耐え切ることができた。でも、この苦行が一回だけで済むわけがないのは彼女も分かっていた。 ブリイは、感じたことをビリーに話せたらと思いつつ、彼の方に目をやった。ビリーは、悔しさに身を縮めながら、顔に心配そうな表情を浮かべていた。ブリイは、彼に、今のは、ジョーンズがビリーだと思い込みながら耐えたのだと伝えたかった。でも、そのようなことは説明しても分かってもらえないように思われた。 ブリイには、知らぬ男とセックスをし、一見、それを楽しんでいるように見せたことが、どれだけビリーを傷つけたか、本当のところは理解できていなかった。いや、落ち着いて振り返ればブリイも分かったことだろう。だが、彼女には、この問題を落ち着いて考える余裕は与えられなかった。 ジョーンズがビリヤード台から降りるのに入れ替わって、別の男が這い上がり、ブリイの上にのしかかったのである。そして、ジョーンズのスペルマでどろどろになっている蜜壷に薄汚い男根を突っ込んだのだった。さらにもう一人、別の男が台に上がり、ブリイの顔の前で分身をブラブラ揺すって見せた。ブリイは、何を期待されているか分かっていた。汗臭い男の分身を手にし、それを口に入れていく。 この時も、ブリイは、ビリーのペニスに口唇奉仕していると思い込んで行為に応じたのだった。だが、ビリーには、ブリイが淫らに自分からペニスをしゃぶりにいき、いつも自分にしてくれるときと同じように熱を込めて舐めしゃぶっているとしか見えなかった。
でも、父に会いに行くときの一着目のドレスを買った時には、このようなお金のことは、すっかり頭から抜け落ちていた。父に会う夜は、本当に特別な夜にしたいと思っていた。父に、こういうドレスを着た私がどれだけ愛らしいかを見て欲しかったというのもあるけど、それに増して、今の私がどれだけ幸せでいるかを知って欲しかった。 でも、父に会いに行く日のことを考えれば考えるほど、私は、面会をキャンセルしたい気持ちになるのだった。父には、もう、これ以上、私に腹をたてて欲しくない、と。 水曜日の夜、私は、いつもの通り、グループ・セラピーに出席した。そして、あまり深く考えずに、私は、みんなに、今度父に会いに行くことにしていると言ったのだった。 マシューソン先生は、父に会って何を言うつもりなのか尋ねた。先生に問われたその時になって、私は何を言うか、何も考えていなかったことに気がついた。私は、その場で適当なことを言ってごまかした。マシューソン先生も、エーカーズ先生も、そんな私のことを見抜いていたのは確かだった。 ホルモン注射のためエーカーズ先生のところに行ったら、先生は私に言った。 「分かっていると思うけど、お父様に何を言うつもりでいるにしても、その言葉で、面会の雰囲気ががらりと変わることになるはずよ。父親というものは、予想したようには振舞わないものなの。私の父も、私が自分のセクシュアリティについて話したとき、予想外の反応をしたわ。多分、あなたのお父様も同じ。私は、父には分かってもらえると、私を完全に応援してくれるものと思っていたの。でも、実際は、父は完全に反対に回ったわ」 先生が言ってることは理解しているつもりだった。私がどれだけ心配しても、どれだけ入念に計画を立てても、私には、父との面会の場を仕切ることはできない。父が、一旦、女のドレスを着た私を見たら、それ以降は、父が完全に場を仕切ることになるだろう。 それでも、父と会うときに備えて、私とトレーシーは計画をたてることにした。トレーシー、マーク、そして私の3人が、先にレストランへ行き、テーブルを確保する。トレーシーは、小さなデジタル・ビデオカメラを持って行き、私たちの面会の様子を撮ることにした。たとえ、父がすぐにその場を出て行ってしまうことになったとしても、少なくとも私は分かってもらおうとしたことが分かると思うし、それを見て、先生たちも納得してもらえると思ったから。 木曜日の夜になり、トレーシーは、翌金曜日は私の誕生日でもあるので、家の仕事はしなくても良いと言ってくれた。ということは、金曜日は、寝ていようと思ったら遅くまで寝ていられることになるのだけど、実際は、マリアが私のベッドから出ると共に、私は目が覚めてしまったのだった。 マリアと一緒にシャワーを浴びた後、私は、キュートなミニのサンドレス( 参考)に着替えた。フレデリックのところにいく予定になっていたから。仕事は免除になっていたけれども、それでも、トレーシーとマークのところに朝食を持って行った。ただ、朝食を出した後、寝室を出ることはなく、そのまま腰を降ろして、二人とおしゃべりをした。 トレーシーが朝食を終え、入浴をして着替えた後、私たちはフレデリックの店に向かった。トレーシーからの誕生日プレゼントとして、私は、完全トリートメントをしてもらった。つまり、カットとスタイルばかりでなく、マニキュアとペディキュアもしてもらったのだった。 この頃までには、私は自分の爪でいられるようになっていた。この3ヶ月で爪が伸び、つけ爪は一切必要なくなっていた。髪も長くなっていて、パーマネントのおかげで、今は、素敵にカールして、肩先にかかるようになっていた。トレーシーと家に戻った時には、そろそろディナーに出かける準備を始める時間になっていた。 下着には、茶色のシルク・ストッキングと、黒サテンのレースアップ・コルセット( 参考)を選んだ。コルセットは、マリアに手伝ってもらって、特にきつく締めてもらった。パンティは、黒サテンのソング・パンティで、これなら私のクリトリスも足の間にしっかりと納めておけるものだった。 ランジェリー類を身につけた後、今度はお化粧に取りかかった。お化粧も、この頃にはすっかり上達していた。ゴスっぽいものから、可憐なおしゃれなティーンエイジャーまで、どんな雰囲気でも出せるようになっていた。今夜は、エレガントだけど、地味な雰囲気にすることにした。 服装の中で唯一、地味とはいえない部分が、ハイヒールだった。ヒール高8センチほどのパンプスで、ヒールのところは、ゴールドで、とても細いものだった。スティレット( 参考)とまではいかないけれど、それにとても近いと言える。ゴールドのヒールは、ハンドバッグについているゴールドの鎖とマッチしていた。 支度が出来上がった後、全身鏡の前に立った。生まれつき女だったどの女の子よりも、ちょっと女の子っぽさが増していると思えた。思わず笑みが漏れてしまう。これなら、レストランに入った途端、かなりの人に振り向かれることになると思ったから。 私が寝室から出ると、すでに、トレーシーとマークは準備を終えて、私を待っていた。マークはスーツを着ていたが、ボタン・ダウンのシャツとネクタイの替わりに、スーツの中は黒のTシャツを着ていた。どこから見ても、やはり彼はとてもハンサムに見える。 トレーシーの方は。タイト・スカートの青いドレスだった。とてもタイトなので、急いで腰をかけたりしたら、縫い目から破れてしまいそうに思えた。実際、ドレス全体が体の曲線に密着したようなタイトなもので、服を着た上から見ても、どのような体つきかを想像するのに、たいして想像力は要らないだろう。とてもセクシーで美しかった。レストランに行ったら、私よりも多くの人に振り向かれるだろうなと思った。 レストランに着いたのは、7時15分前だった。
バーバラは続けた。 「それにスティーブが言ったことは本当です。妹は、知ってて、スティーブを誘ったんです。妹が言うには、14歳の頃からスティーブとセックスしたいと思っていたらしくて、今がその時と思ったようなんです」 スティーブはバーバラを見つめたままだった。彼は、キンバリーが、そんなに前から、そういう欲望を持っていたことをまったく知らなかった。ただのありがちな幼な恋のようなものとばかり思っていたのだった。 「・・・そのことを昨日、聞きました」とバーバラは締めくくった。 スティーブは、ためらいがちに口を開いた。 「彼女は・・・つまり、彼女は・・・?」 バーバラは、言葉にされなかった疑問文を察し、頷いた。 「キムは、ダラスにある治療センターにいます。薬物から足を洗おうとしています。また、精神科カウンセリングを受け、薬物依存の治療と同時に、どうしてこんなに・・・何と言うか、ふしだらになってしまうのか探ろうとしています」 それを聞いてスティーブはうんと頷いた。少しだけ心が軽くなる感じがし、少し明るい表情を顔に浮かべた。バーバラが現れたことでうろたえていた気持ちから、少しずつ、立ち直り始める。 バーバラがカウンセリングに出てきたことは、そんなに困ったことでもないのだ。そのことがあっても、いまのゴタゴタから抜け出る道を用意してあることには変わりないのだから。 一方、ヴェルン・ヒューストンは、スティーブとバーバラのやり取りを聞きながら、怒りを感じつつ、考え続けていた。このカップルを元通りにさせようと努力してきたのに、突然、何も告げられず、何も予告なしに、危機が降りかかってきた。このようなことへの気構えはまったくできていなかった。だが、細かなことすべてを調べあげる時間的余裕はない。事態はどんどん進行している。ヒューストン氏は咳払いをして、話し始めた。 「一緒にミーティングを始めた時のことを覚えておられますか? お二人とも、明かすべきと思ったことはどんなことでも話すよう、同意なさったはずですぞ。この場は、お二人が必要と思ったことは何であれ、それを話し合うための場なのですよ」 ヒューストン氏は、そこまで語った後、しばらく沈黙を保った。そして、スティーブとバーバラの両方が頷くのを見届けた後、バーバラに向かって言った。形式ばった声だった。 「カーティス夫人、この1週間に明らかになった出来事について、ご主人にどんなことを仰りたいとお思いですか?」 バーバラは、思いをめぐらすような顔つきでヒューストン氏を見、それからスティーブを見た。かなり長い間、沈黙のままだった。ようやく口を開いたとき、彼女は感情を堰き止めていたダムを大決壊させるかのように、感情を爆発させ、叫んだ。 「どうしてこんなことを! よくも、私に、こんなひどいことをできたものね!」 スティーブは、自分の行為の一部はバーバラにあてつけたものだったことを否定することはしなかった。自分の動機をごまかす気など一切なかった。 「なぜなら、君は僕の言うことを本当には聞こうとしなかったからだよ。僕が心底、傷つき、虚しい感情に占められているのが、君には分かっていないと言ったのに、全然、聞こうとしなかったからだ。・・・君は、理解していると言い続けていたが、本当には何も理解してなんかいなかったのだよ・・・」 スティーブは、咎めるような口調になっていた。 「君が感じていたことなど、すべて、僕が対処しなければならなかったことに比べれば、まったく、取るに足らない、つまらんことばかりだったのだよ。・・・なのに、いつも、そう言い続けてばかり。毎日、毎日、同じことばかりだ。君も、君の母親も、そして父親も・・・いつも、誰かが、僕に対して、過剰反応していると言い続けていた。全然、そんな深刻なことじゃないんだとか、僕が過剰に思いすぎているとかね・・・」 「・・・まあ、これで、今は君も分かっただろう・・・今なら、君も、誰か愛しく、非常に大切な人を自分から奪われるということが、自分をどういう気持ちにさせるのか、分かっただろう。そんな、甘美で素晴らしいイメージから、突然、遮断されてしまうというのが、どんなものか、ようやく分かっただろうさ。そうだろ、バーバラ?」 スティーブは、息を荒げながら、ソファに背を預け、ふんぞり返った。苛立ちを現すように、両手の指がソファの肘掛の上、せわしなく動いていた。 ヒューストン氏もバーバラも、沈黙していた。二人とも、それぞれの思いを巡らしながら、スティーブのことを見つめていた。
俺はこの場所のことを細かく観察しようとしたが、多分、全部は覚えていられないだろうと思った。そこで、ステージのカップルに注意を向けることにした。 いまや男は立ち上がって、勃起を女の肉門に位置づけていた。男のペニスが女陰を左右に裂いて、侵入していくのが見える。 挿入の後、男はゆっくりと出し入れのテンポを上げて行った。女は、両手・両脚を拘束され、身動きができないまま、ズブリズブリと出し入れされている。その女の口から出される、喘ぎ声やよがり泣きから、女が感じまくっているのが分かった。さっき、音楽に仕込まれている周波数のことを聞いたが、まさに、その効果を実証しているようなヨガリぶりだった。 ステージの周りには多くの観客が集まっていて、その目の前で、男女はセックスを続けていた。そして、それから間もなくして、ステージの女は背中をグッと反らせ、大きな叫び声を上げた。オルガスムに達したらしい。 ふと、俺をここに案内してくれた女が俺の太腿を擦っているのに気がついた。 「あの人、すごいイキ方するから、見てるといいわ」 女に脚を撫でられ、俺の興奮も高まってくる。俺は、この女の名前もまだ聞いていないのだが。 突然、ステージの女が、狂ったように身体をくねらせ始めた。体の奥から出すような、よがり声や叫び声に変わっている。動物的と言ったらよいか、喉の奥を絞るような声だ。 次の瞬間、ステージの男がいきなりペニスを引き抜いた。と同時に、女は、くさびを引き抜かれたように、ぐったりとなってしまった。女が失神したのだと知って、驚く。 男は、力をなくした女の体の前に近づき、ギュッギュッと自分でペニスをしごき始めた。また、俺の太腿が擦られるのを感じる。やがて、ステージの男が白濁を撃ち出した。白濁はロープ状に伸び、空中を弧を描いて、女の乳房や腹に降りかかった。 俺の脚を触っていた手が、そこを離れ、俺の手を握るのを感じた。彼女の方を向くと、女は、またタバコを取り出していた。俺の目を見て、口の形だけで「もう、行くわよ」と伝えていた。 俺たちは立ち上がり、半裸状態の群集をかき分けるようにして、オフィスに通じる螺旋階段へと向かった。途中、別のドアがあるのが見えた。 「あのドアはどこに?」 突然、彼女は立ち止まり、俺の方を振り返った。これまで見たことがないような、冷たい視線を向けてくる。 「気にしないことね。あのドアは立ち入り禁止だから」 螺旋階段を登り始めたが、ちんぽが勃起したままなので、歩きづらくて仕方がなかった。ようやく登りきり、オフィスへ戻った頃には、何とか、勃起もおさまっていた。 彼女は下へ通じるドアを閉め、デスクの前に腰を降ろした。 「まだ、名前を聞いていないけれど?」 と訊いてみた。 彼女は、からかい気味に脚を組んで見せながら答えた。「私の名前を訊くのにどのくらい時間をかけるつもりなのか考えていたところよ」 そう言って苦笑いし、飲み物を一口啜った。「ケイトよ」 ケイトは、手を伸ばし、またタバコに火をつけた。一服吸い込み、口の横から出すようにして煙を吐いた。 「何か質問はある?」 俺は頭を振って、「いや」と呟いた。ケイトはまた一服吸って、その後、タバコを灰皿に置いた。 「決まりは分かっているわね・・・」 諭すような優しい口調だった。「5千ドル払って、テストにパスすれば、入会できるわ」 「どんなテストなんですか?」 ケイトは立ち上がり、デスクの前の方へ歩いた。そして俺に手を伸ばし、立ち上がるように導いた。彼女に手を引かれて、ドアへと連れて行かれた。ドアノブに手をかけ、回し始める。だが、ドアを開ける前に、ケイトは、俺の目を覗き込んで、優しく耳に囁きかけた。 「お金を持ってもう一度ここに来たとき、分かるわ」 そう言って、俺の耳に唇を寄せ、舌先で軽く耳の穴を突いた。 「さあ、帰りなさい」 そう言ってケイトはドアを開けた。
「ごめんなさい。こんなことしたくなかったんだけど。・・・でも、お願いだから、取り乱さないで! いいこと? 彼女は、君が望むことを何でもするようになるのよ!・・・」 私は黙って話しを聞いた。 「・・・彼女、君のことが、すごく欲しくなるの!」 先生はそこで話しを止めた。でも、私も何も言わなかった。 「信じていないようね。どう? 私には、彼女が君のことを欲しくなるようにさせることができるの。どうすればそうなるか知っているから。彼女、君のことを愛させてとおねだりするようになるわ。そして、君は君で、気持ちがいいことに浸っても良いし、その気がなかったら、しなくても良いことになるのよ」 「先生は狂ってます」 ようやく私は口をきいた。 先生はちょっと言葉に詰まったようだった。 「君が言うとおりかもしれないわね。でも、私が言ってることは100%本当のこと」 先生はまた沈黙した。でも、私も口答えしなかった。ただ、先生を睨みつけていた。 「彼女を、君のことが欲しくて欲しくて堪らない気持ちにさせることができるの。彼女の自制心を奪うことができるの・・・」 「彼女の催眠術をかけるのですか?」 私はどうしてこんな狂った人に話しかけているのだろう? 「いいえ、催眠よりもずっと強力で、ずっと恒常性があるものよ。彼女の精神を永久に変えてしまうの」 そこまで言って、先生は、また沈黙した。しばらく沈黙が続き、ようやく私が言葉を発した。 「先生は、私に何をして欲しいのですか?」 「私は、彼女を、永久に君のセックス奴隷に変えてあげるわ・・・ただし、君が私を愛してくれたらだけど・・・」 私は信じられない気持ちで先生を見つめた。これまでの人生で、この時ほど怖い気持ちに襲われたことはなかった。 「そんなことが私にできるとは思っていないんじゃない? どう? 彼女があまりに君のことが欲しくなって、どんなことを言われてもノーと言えなくなる。そんなことできないと思っているんじゃ?」 私は返事をしなかった。 「分かったわ、して見せてあげる。どの娘が彼女?」 私は返事をしなかった。 「この娘? それともこの娘?・・・」 一人一人指差しながら、私の顔を窺っている。多分、私は顔に出してしまったに違いない。私が気にしている彼女のことを先生は気づいたようだった。
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