俺は過呼吸状態になりそうだった。そこで、静かに立ち上がり、屈伸運動をした。先生には、自分で目隠しをする時間を与えなくてはいけない。
あたりに誰もいないことを確かめて、ゆっくりと玄関へと向かった。こんなに興奮したことはなかったかもしれない。旦那が寝ているすぐそばで、美人の先生にぶちこむ。そいつを考えただけでぞくぞくしてくる。
玄関前に立ち、ドアノブに手をかけた。確かに開いている。少しだけ開けて、中を覗きこんだ。そこには、指示したとおりの姿で俺を待っていた先生がいた。
ゆっくりとドアを押して開けた。グラフ先生は、両手を脇につけながら、ぷるぷる震えて立っていた。目隠しはしっかりとつけられているし、服装も俺が指定したとおりだ。
玄関ドアを閉め、俺は落ち着いて服を脱ぎ始めた。暖炉のマントルのところにろうそくが2本、ともっていた。ゆっくりと先生の後ろへと回り、その熟れた美しい女体を鑑賞する。黒いハイヒールが、ストッキングを履いた脚を見事に引き立てている。
先生の真後ろに立ち、両手を震える先生の肩に乗せ、首筋へと顔を降ろした。肩にかかる綺麗なブロンドの髪を脇にのけ、露わになった首筋の素肌に唇を寄せた。顔を肉肌に近づけただけで、先生の体から熱が放射してくるのが分かる。俺が生暖かい息を吹きかけると、先生はぶるっと体を震わせた。
先生のサテンのローブを着た腕に沿って両手を滑り降ろし、同時に唇を首の肌につけた。何度も首にキスをしながら、時々、舌を出して肌を舐め、手では先生の手を握り、指を絡ませた。
「あッ!・・・」
熱を帯びた首筋に口を這わせると、小さく悩ましい声を上げ始めた。徐々に上へと唇を這わせる。耳へ近づくと、俺の手を握る先生の指に力が入ってきた。耳に熱い息を吹きかけると、尚いっそう強く握ってくるし、呼吸も乱れてきた。
俺は体を密着させ、激しく勃起した股間を、サテンのローブの上から、先生のお尻の割れ目に押し付けた。
「ああん・・・」
体をくねらせながら、俺の方に倒れ掛かってくる。俺は耳たぶを歯で軽く噛み、引っ張った。
「うッ! ああぁ・・・」
握った手を離し、ゆっくりと両手を柔らかい腕に這わせながら、上へと登らせ、再び肩の上に置いた。耳には、わざと音を立ててちゅっちゅっとキスを繰り返した。と同時に、肩から両手を前へ降ろして行き、胸へと進んだ。ますます声が艶を帯びてくる。
「ああ、いやッ・・・ああん・・・」
舌を尖らせ、耳穴を突きながら、胸元、ローブの下に手を指し入れ、生肌の乳肉を触り、楽しむ。
一旦、乳房から手を離し、ゆったりと結んだローブの帯に手をかけ、解いた。そして、ローブの前身ごろを左右に開いた。あの豊満な生の乳房が姿を現す。
俺の目は、ソファーの向こうにある大きな鏡に釘付けになっていた。こんなふうにおっぱいを露わにされている先生を見るだけで、背筋がぞくぞくするような興奮を覚える。
さらにローブを開き、両肩まで剥き、そのまま落ちるに任せた。一歩引き下がり、赤サテンのローブがはらはらと床に落ちていくのに任せた。だが、次の瞬間、俺は失望して顔を曇らせた。先生は命令に従っていなかったことに気づいたからだ。下着を履いているではないか。
俺は、もう一度、先生の背後に近寄り、耳元に顔を近づけた。今度は、キスはせず、その代わり、俺が誰だか分からないように気を使って、先生の耳に囁きかけた。
「ご主人様の指示に従わなかったんだな。お仕置きをしなければいけないようだ!」
【私は、トランスジェンダーのお話を集めたアーカイブからニューズグループに投稿された、あるストーリーを読んで、この話を書くインスピレーションを得ました。そのストーリーは、確か「ビッキー」というタイトルだったと思いますが、実際にはトランスジェンダーの話ではありません。正直、美人とはいえない、とある女性と一緒に働いている男性の話でした。その女性が美しい女性に変身した後、二人は関係を持つのでした。このストーリーには、トランスジェンダーのアーカイブにのるに値する、ちょっとしたフェチがありましたが、それでも私はこのストーリーが気に入りました。そして、実際に(身体的に)女性を美人に変えて、話しを作為的にしてしまうのを避けつつ、話しを進めることができないか、と考え始めたのです。 deirdreより】
「Fashion ファッション」 by deirdre
「あれ、誰だったの?」
「誰のこと?」
マーサは、ちょっとだけ無邪気すぎる口調で問い返した。彼女は僕が誰のことを言ったのか知っていた。
「ランチの時、リードの店で一緒にいた女の人だよ」
「ああ、フェイスのことね」 マーサが笑い顔を隠すのを見た。「彼女のこと、魅力的だと思った?」
このフェイスって娘は、それはもうびっくりの女の人だった。モデルか、映画スターなんかになれるに違いない。彼女自身がなりたいと思えばの話だが。
「彼女とデートしたいと思っているなら、私に優しくしなきゃダメよ」 マーサは、にやりと笑った。
「例えば、彼女が僕とデートするように仕向けられるということ? 君が?」
「あら、どうして私にできないと思うのよ?」
僕はマーサの顔に浮かぶ表情を見ながら、しばし沈黙してしまった。マーサが、こういう難題に取り組むのが好きなのは確かだ。僕は、また、ちょっと黙って考え、そして言った。
「彼女、この僕と一緒にデートに出ると、君はそう思っているんだね?」
「もちろん、だってあなたは私の友達だもの・・・デートの手はずが整ったら、教えるわ」
マーサのために僕は、その夜を台無しにしてしまった。彼女がうまく行くか考えて、何もできなかったからである。
ともかく、そういうわけで僕はフェイスと会うようになった。
「じゃ、あなたはマーサと同じ職場なのね?」
僕はいまだ、何か興奮状態になったままだった。目の前にフェイスがいる。レストランの中、テーブルを挟んで真正面に座っているのだ。マーサは約束したことをすべて行ってくれて、この「ブラインド・デート」を設定してくれたのだった。
「ああ、そうだよ。マーサは3年前に、うちの会社に就職したんだ」
「彼女、あなたのこと、良い人だと言ってたわ」
フェイスのことをまじまじと見つめた。・・・僕は良い人でいるべきなのか?・・・「多分、マーサは、僕について、すべてを知ってるわけじゃないんだとおもうけど」
フェイスは、くすくす笑った。「いいわ。でも、どんな秘密をマーサに隠し続けてるのかしら?」
「僕の邪悪な側面だけ」
「私にも、それを隠し続けるつもり?」
「僕の邪悪な側面には注意したほうがいいよ。僕も、そいつをうまく押さえ込んでおくことができなくなるかもしれないし」
僕は、僕のきわどい言葉を上手にかわすフェイスを見つめていた。本当に美人だ。こういう雰囲気がとても気に入った。
みなさんは、こんなのはうまく行くはずがないと思うかもしれない。あるいは、2回目のデートが終わる頃には、僕には彼女は持ちこたえられないと気づくだろうと思うかもしれない。また、あるいは、フェイスは、次のデートのチャンスすら与えないんじゃないかと思うかもしれない。
だけど、実際は、3週間のうちに僕たちは同棲を始めていて、その2ヵ月後には結婚したのである。