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A bet 「賭け」 

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A bet 「賭け」

「これが終わったらどんなに嬉しいか、あなたには分からないだろうね。こういうのを取り外せるときが待ち遠しいわ」

「文句を言うのは止めな。あの賭けの掛け金になると言ったのはお前自身なんだぜ。勝利者が誰になるか、その選択でお前がへまをしたのは、俺のせいじゃない」

「別に文句は言ってないよ! それに、文句を言ってたにしても、自分でしでかしたことだし。というか、このインプラントをされる心づもりはできていたと思ってたんだけど、これ、死ぬほど重いんだよ。それに他のいろんなことも……」

「お前が、倍額かゼロかの賭けに出たからだろ? 俺のせいじゃない」

「ああ、でも……何て言うか……これってゲイっぽいだろ? ボクがオンナじゃないことは分かってるのに、これって……」

「ほんとに、お前、オンナじゃねえの? 俺をだまそうとしてるのか?」

「ああ、ロイ、お前……」

「そんな口の利き方をする許しを与えた記憶がないんだが? お前は、あと1日残ってるんだ。明日の深夜まで、お前は俺の奴隷なんだよ。それに、俺は別に大きな秘密を語ってるわけじゃねえぜ? 自分の体を見てみろよ。お前、男だった時よりずっといいオンナになってるじゃねえか。マジに言って、そのチンポというには小さすぎるモノを見てみろって。そりゃ、何なんだよ? 5センチあるか?」

「自分ではどうしようもないのは知ってるくせに!」

「そこだよ、俺が言いたいのは。そんな小さなちんぽを持った人間は、そもそもまともな男じゃねえってことだよ。それはお前も分かってるだろ。それは、ちんぽというより、クリトリスだ」

「あんた、そう言うよね……もう、何百回も聞かされた」

「オーケー。おしゃべりはもういいだろ。俺は、お前が戻る前に、あと何回か、そのお前の尻をヤルつもりだからな」

「マジで? まだ、ボクは……」

「ルールは知ってるよな」

「はい、ご主人様。何なりとお好きなことを……」

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[2019/05/16] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

Skip to the good part 「他は飛ばして、イイことを」 

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Skip to the good part 「他は飛ばして、イイことを」

「おい、おい、おい……これはこれは……」

「まったくよね、ゲイリー。ねえ、これ、すぐに片付けてしまえない? あたし、今日はあと4つはこういうことをしなくちゃいけないの。ジーナが、あたしに大変な一日を設定してくれちゃったのよ」

「え、何だって?」

「あんたが何を目論んでここに来たか全部知ってるわ。あたしにガミガミ文句言うんでしょ? 悪口言いまくるのよね? どうしてあたしを憎んでるか、何度も繰り返すんでしょ? あたしはあんたの奥さんと寝たと。そうでしょ? それとも、あんたを職場とかから追い出したとか? 自分でもあんたに何をしたか忘れちゃったわよ」

「お前は俺のフィアンセと寝たんだよ。しかも結婚式の前日に!」

「ああ。それね。ごめんなさいね。ともかく、いったん、それを胸の内から吐き出した後、あんたは、あたしがどんだけ変わったか言うつもりなんでしょ? あたしの妻がホルモンをあたしに飲ませたこととか、テレビでサブリミナルのメッセージを仕込んだこととか。なんでか知らないけど、知らぬ間に、あたしが今は頭の軽いエロ女みたいにしか見えなくなってることとか。安心して、全部知ってるから。だから、そこらあたりの話しはすっ飛ばしてくれていいの」

「お前は前は……」

「それもすっ飛ばして。すぐに、あんたがあたしに無理強いして、下品なセックスをさせる段階に進んでくれない? ただ、別にあたしは無理強いされるわけじゃないけど。ジーナがあたしの脳に何をしたか知らないけど、そのおかげで、あたしはこういう状況でセックスして喜ぶようになってるの。もちろん、あんたは理解しないだろうけど。あんたは、あたしがずっと前からシシーだかオカマだったとかって思うだけでしょ。そうじゃないんだけどね。心理学と科学の結果。そんだけの話しなんだけどね」

「お、お前、喜んでやってるのか? 俺はそんなふうには全然……」

「もちろん喜んでやってるわよ。あたしを前屈みにさせて、喘がせた瞬間、あんたにも分かるわよ。あたしの顔にぶっかけてもいいし、お尻の穴に中出ししてもいいし、どこでもいいわ。あたし、少なくとも2回はオーガズムを感じて、すっごく淫らな叫び声をあげると思う。そして、やり終えたら、あんたはあたしに、『俺は、お前がこういうエロ女だってことを、ずっと前から知ってたぜ』とか気の利いたこと言うんでしょ?」

「なんでそんなことを言うんだ?」

「こういう面倒くさいところをすっ飛ばして、早くやって欲しいことをやって欲しいから。だから、そういうことは飛ばしてよ。前置きなんかいらないから、あたしに突っ込んで、ガンガン揺さぶって。そうして、ふたりとも満足して終われるでしょ? で、あんたの返事は?」

「エロ女、ベッドに上がれ!」

「完璧ね! あんたにも、あたしにも、ベストの返事だわ」

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[2019/05/16] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

In between 「ふたつのはざまで」 

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In between 「ふたつのはざまで」

ちょっといい? ボクが実際にうそをついたわけじゃないよ。それはいいよね? みんなが写真を見て、ボクが女の子だと思っただけのこと。別に、実際に、そうだと言ったわけじゃないし。だから、みんなが勘違いしても、ボクのせいじゃないんだよ。いいね? 今の時代だと、女の子っぽく見える男の子はたくさんいる。ボクのことに関して言えば、男か女か分からなかったのは、勘違いしたみんなの責任だよ。

つか、少なくとも、そう自分に言い聞かせて、こういう写真をアップしている。こういうのをアップするとちょっと気持ちいいんだよ。

知ってるよ。こんなことやめるべきだって。ていうか、ばらすべきだって。てか、そんなこと。よく知らないけど。でも、ふたつのジェンダーの間にいて生きていくって健康的じゃないよね。ボクがどんな格好に見えようとも、ボクが本当のボクとは違うフリをするっていうのは正しくないよ。でも、もうこんなことやめようとか、これ全部捨て去るんだって自分に言い聞かせるといつも、このソワソワした不安な気持ちがお腹の底から湧き上がってくるんだ。こういうことを続けていないと生きていけないと自分でも分かってるみたいな、そんな感じ。

多分、この画像も、実際、そんなエロいやつじゃないんだろうと思うよ。分かってるだろう? ボクは、毎日、学校が終わった午後、姉さんよりも前に家に着くようにと、家にダッシュするんだ。そうして姉さんの服を掻き集めて、ボクの部屋に入り、ドアにカギをかけて着替える。そして、こういう写真を撮って、オンラインにアップする。ボクの画像を見て涎れを垂らしてる男たちの誰も、もちろん、ボクが女の子じゃないのを知らないし、ボクもそんなみんなに本当のことを言うつもりはない。

ボクが狂ったようにこれに夢中になっている理由は、まさに、ボクが女の子として通ると分かるこの感覚だと思う。みんながボクを男か女か判断できないと知るときのこの感覚だと思う。

好きな妄想があって、それは、ある日、男の人がボクの真相を知ってしまうんだけど、彼はそれを全然気にしないこと。その人はボクにものすごく惹かれていて、ボクの脚の間にぶら下がっている小さなアレを全然気にしない。そして、彼はその機会を得ると、ボクを、まさにボクが偽ってきた女の子のようにボクを奪う。ボクのオンラインのファンたちがボクの体を好き勝手に使いたいと夢見ているように、まさにそのように彼はボクの体を好き勝手に使う。そして、コトが済んで、ふたりともすっかり疲れ切って汗まみれになってて、ボクは彼が出したスペルマで全身ドロドロになってるんだけど、その男の人はベッドわきのスタンドに何枚かおカネを放り投げて、「ありがとよ、シシー」と言って出ていく。そんな夢だ。

でも、そんなことは絶対に起きないと思っている。現実がボクの夢の通りにならなかったらと思うと怖すぎて、絶対に実行に移せない。というか、ボク自身が自分が女の子みたいなのだと自覚するのを怖がっているだけなのかも。わからないけど。ともかく、ボクは今やってることをやめることはない。やめられないと思う。やらないと気が済まない。ボクはそんな人間なのだから。

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Compliance 「コンプライアンス」 

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Compliance 「コンプライアンス」

「あなた、順調に進んできたようね、カーリー」 とニコルは部下の机にもたれながら言った。「少なくとも体の点では。精神的な面はどうやってるの? 新しい法律が可決したとき、あなた、すごく落ち込んでいたようだったけど」

「だ、大丈夫です、ジョーンズさん」と秘書であるカーリーは答えた。ほかのことは怖くて何も言えなかった。ジェンダー平等局に報告されることだけは絶対に避けたい。だからこそ、こんな最も淫乱っぽく見えるドレスを着て、ストッキングを履き、ヒョウ柄プリントのハイヒールを履いているのだ。自分は今は法令遵守している。だけど、新しい上司との関係で一歩でも間違った道を進んだら、ジェンダー平等局の悪名高い再教育施設に送り込まれてしまうだろう。

ニコルは微笑んだ。彼の返事を額面通りに受け取ったようだ。カーリーはそれを見てほっと安心した。ニコルが彼に近づき、彼の腰を捉えた。「知ってるでしょ?……」と彼女は手を膨らんだお尻のほうへと這わせた。「可愛いドレスを着ること以外にも、コンプライアンスのためにはもっとたくさんやることがあるのよねえ?」

カーリーは固唾をのんだ。「はい、ジョーンズさん」 呼吸が乱れていた。彼はその事実を何よりはっきり知っている。新政権が権力をつかむ前は、彼はまさに筋肉の上に筋肉をつけたような強靭な体格をした男だった。しかし、政府が要求した治療を開始して以来、その筋肉はみるみる消えていき、その代わりに、とりわけ肉感的な女性の体の曲線としか言いようのない体に置き換わっていたのだった。腰もお尻も大きく拡大し、乳房は風船のように膨らみ、顔つきも、その肉体にふさわしいものに変わっていた。処置のすべてが終了したとき、今の彼が着ている服装が最も適切な服装といえるカラダになっていた。

ニコルは顔を近づけ囁いた。「あたしをヤリたい?」

「い、いえ……私はコンプライアンスを順守したいだけです。私にしてほしいことがあれば何でもします」

アハハとニコルは笑い、体を離した。「完璧な返事ね。昔の性差別主義的なバカから、ずいぶん成長したじゃない? あたしがあなたの秘書だった時、あなた、何回あたしをこの同じデスクに覆いかぶさるようにさせたかしら? 50回? もっと? それが今はこの格好。夢みたいだわ」

「あ、あの……その……す、ストラップオンを使いたいと思ったのでは? それで……」
「いいえ。それはまだよ。あたしはあなたと取引をしたいの」

「ど、どんな……」

「あなたのおっぱいを見せなさいよ」とニコルが命じた。カーリーは命令に従って、ドレスを腰まで引き下ろし、ブラの中から巨大な肉の塊を両方とも引っ張り出した。「それに、あの役立たずのちんぽも見せてくれる?」

カーリーはそれにも従った。「じゃあ、取引を言うわね。もしあなたが勃起できたら、あなたに昔のように振る舞わせてやってもいいわ。でも、もし勃起できなかったら、この会社の中では一糸まとわぬ姿で歩き回ること。今月末までずっと。身に着けるのはハイヒールだけ。そして、会社の女性すべて、ひとりずつに、少なくとも1日1回はあなたのそのでっぷりしたお尻を犯してくださいってお願いすること。いいわね?」

「わ、わたしは……どうしたらいいか……」

「何ですって? あなた、勃起できないかもって怖がってるの?」とニコルはドスの効いた声で言った。もちろん、彼の体内に流れているエストロゲンの量を考えれば、彼が勃起するのは事実上、不可能であることを彼女は充分、知っていた。カーリーもそれを知っていた。だからこそ躊躇ったのだった。「可愛い子ちゃん、しごきなさいよ。それとも、コンプライアンスに反したって報告しなきゃいけないかしら?」

カーリーは心臓が喉から飛び出しそうになった。選択の余地はなかった。ふにゃふにゃのペニスを握り、しごき始めた。必死にしごいた。ほぼ5分間、彼はソレを立たせようと頑張ったが、予想通り、ソレはふにゃふにゃのままだった。結局、彼はあきらめ「できません」と言った。

「知ってたわ。だって、あなたはもう男じゃないもの。あなたたちみんな、そう。認めることね。私は男ではありませんって言いなさい。私はふにゃちんのシシーですって言いなさい。そうしたら、少しは優しくしてあげるから」

「わ、私はふにゃちんのシシーです」とカーリーはささやき声に近い声で言った。

「まったくその通りだわね。さあ、その服を脱いでしまいましょう。あなた、今月は楽しい月になりそうよ」

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[2019/05/15] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

とうとう本物の泥棒が (10) 

「じゃあ、警察には電話しないということだね? 君はそれでいいということだよね? 僕も、誰にも知られたくないし……」

それこそ妻が聞きたい言葉だった。「それでいいわ。あの人、別に……別にあたしを傷つけたわけでもないし、あなたも無事だったし。その点は良かったといってもいいと思うの」

「あいつが君を傷つけなかった? あいつが始めたときの君の声を聞いたよ。まるで、君に暴力をふるっていそうな声だった。その後、君があいつを大きな人とか呼ぶのを聞いたけど……」

夫はそこまで言いかけて、途中でやめた。彼は男の一物が大きかったのを知っている。ズボンの外に垂れ下がる巨大な黒ペニスを見て、それは十分に知っていた。あの男のペニスは、なえている時ですら、完全に勃起している時の彼自身のペニスよりも長かった。それでも、夫は妻が本当のことを言うかどうか知りたいと思った。

「あいつは本当に大きかったのか? ……というか、あいつのアレは?」

妻は自分の体を犯したペニスを、夫が実際に見たことを知らなかった。そこで彼女はうそをつくことに決めた。彼女はあの男とのセックスを楽しんだし、それは男のペニス・サイズによることもあったが、理由はそれだけではなかった。興奮を掻き立てる行為だったのだ。確かに彼は黒人だったが、顔立ちは端正だったし、体もたくましかった。それに加えて、とても優しかったし、彼女の欲求もよく理解していた。まさに理想的なセックス相手だったといえる。

それでも、妻は夫が何を聞きたがってるのかわかっていた。夫もやはり普通の男で、身体的な点、つまりペニス・サイズだけを気にしている。彼女はゆっくりと頭を左右に振った。夫に、あの男のペニスがどんなに大きかったか、その男に抱かれてどれだけ自分が喜んだかを伝えて、夫をわざわざ傷つける必要がどこにあるだろうか、と。

そんなことはできない。夫は前から嫉妬深いほうだったし、これで本当のことを教えたら、どんなことになるか……

「いいえ、あなた。よくわからないの。さっきも言ったけど、確かにあなたよりちょっと大きかったかもしれないわ。でも、あたし、感じなかったのよ。男には喜んでいるようなことを言ったけど、それはあの人に穏やかに家から出てもらうためだったの」

夫は、妻がうそをついたのを知り、じっと彼女を見つめた。「何を言ってるんだ? 君には本当のことを言ってほしかったよ。あの男はキッチンに入ってきた後、傷ついた僕をさらに傷つけたいと思って、僕にペニスを見せつけたんだ。それは勃起はしていなかったけれど、すごく大きいのは明らかだったよ……

……それに、あいつが僕にどんなことを言ったか知りたいと思わないか? あいつは言っていたよ。君があの男の大きな黒ペニスを見るなり、自分が上になるようにさせてくれと言ったって。上になった君はすごく激しく動いて、汗まみれになって、その汗をあいつの上に振りかけたって。やった後は、君は恍惚として、ベッドの上、ぐったりとなって動けなくなっていたって!」

夫は責めるような目で妻を見つめ、返事を待った。

妻は自分が発した声を夫が耳にしてたのは知っていたが、今は、あの男が信頼を裏切ったことも知ったのだった。

彼女はため息をつき、説明し始めた。「その通りよ。彼は……とても大きかった。大きすぎると言っていいほど。あんな大きなのでされたら、体が壊れてしまうと怖くなった。だから……だから、自分が上になる形にしてと頼んだのよ。その形なら……何とか自分でコントロールできると思って……

……最初は濡れていなかったの。もちろん、あの男を見て興奮していたわけじゃないから。だから……いきなり突っ込まれて傷つけられたくなかったの。あたしが上になったら、ゆっくりと優しくできるから。そうすれば、傷つかないと思って」


[2019/05/09] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

Work problem 「仕事の問題」 

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Work problem 「仕事の問題」

「なんか問題でも?」

「いや、何も。ボクは大丈夫だよ」

「何よ? 言ってよ。結局は話すことになるんだから、今ここで吐き出してしまったほうがいいんじゃない? 時間の節約にもなるし」

「分かった。職場の男たちの中に、ボクの髪の毛をバカにする人たちがいたよね? なんでもすぐにカッとなるのはバカだけど、これってちょっと……」

「その人たちはただ、あなたの髪の毛が豊かなのでやきもちを焼いてるだけよ。職場の男たちの半分は、すでにずいぶん薄くなってるし」

「ああ、分かってる。でも、それだけじゃないんだ。どうやら、モニカが……あの、秘書のひとりだけど、知ってるよね?……そのモニカがボクの……ボクのピアスがシャツの上に浮き出てるのを見つけたんだよ。彼女に仕事の指示をしてる間ずっと、彼女はボクの胸を見つめていたんだ」

「じゃあ、女性が男たちに胸を見つめられるとどんな気持ちになるか分かったわけね」

「すごく不快だった」

「大丈夫よ。そういう時は、こっちから胸を突き出して、にっこり笑うの。見つめたかったら、見つめさせてやるのよ。それがおもてなしってこと」

「そ、そうかも。でも、その後、キャリングトンさんにオフィスに呼び出されたんだけど……」

「で?」

「何て言うか、キャリングトンさんはあからさまには何も言わなかったけど、多分、訴訟とかそういうことを怖がっているんじゃないかと思う。ボクの服装が適切じゃないというのは何度もほのめかしていたよ」

「あなたはスーツを着てたわよね。それのどこが不適切なの?」

「そのスーツが問題だって。紳士服のスーツじゃないって」

「あれはユニセックスよ。これは前にも話し合ったわよね?」

「ああ、でも……」

「それに自分に自信を持つことについても話し合ったわ。そうでしょ? あなたは、会社の他のマヌケたちより、ちょっと流行の先を行ってるの。それが、そんなに大変? みんなはあなたを褒めるべきであって、あなたを何か悪いことでもしてるみたいな気持ちにさせるべきじゃないわ。半分本気で言うけど、こんどあなたの会社に乗り込んで、そのキャリングストンってバカに、ちょっとガツンって言ってやろうかな」

「い、やめてくれ。お願いだよ……やめて。ぼ、ボクは大丈夫だから」

「本当に? 無理しなくてもいいのよ……」

「本当に大丈夫だよ。ボク自身でなんとかするよ」

「分かったわ。でも、もし、また、あの人たちがあなたに何か言いだしたら、あたしが乗り込んでいくつもり。あたしの彼氏にいちゃもんつけといて、なに食わぬ顔でいるなんて、あたし、絶対に許さないんだから」

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[2019/05/07] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

Enough 「充分」 

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Enough 「充分」

かつて,、彼はまっとうな男性だった。強靭でハンサムで男らしい彼は、どこを取っても、期待通りの男性そのものだった。だが、彼はひどく不幸だったのである。彼は自分を憎んだ。そして、それゆえに他の誰をもを憎んだ。それがすっかり変わったのは、彼が演技をやめ、ずっと前からそうなるべきだった人間へと真に変わろうと決めた時からだった。だが、それは簡単な道のりではなかった。そもそも簡単だった時があっただろうか? 試練、艱難辛苦、葛藤、友人の喪失。それらが最初からずっと彼を悩ませ続けてきた。しかし、彼は到達した。ようやく、達成しようと踏み出した境地へとたどり着いたのだ。それは、私が夫を失ったということを意味しているけれども、それでも、私は彼のことをうれしく思っている。

彼が経験してきたありとあらゆることを思い、驚嘆してしまうことが多い。成長期、彼は決して自分自身が何者であるかを見つけ出す機会を与えられなかった。いつも、「これがお前なのだ。そして、お前はこういう人間になるのだ」と、そう言われるだけだったのである。それについて疑問を抱く機会すらなかった。いや、むしろ、彼は、あえてその疑念を自分自身の心の中という安全な領域の外に持ち出すことはしなかったと言うべきか。

彼には言っていないが、私は密かに、彼が昔から何か他の存在になりたいと憧れていたのだと思っている。夜遅くベッドに横たわったまま目を開けていることがよくあったのだろう。暗闇を見つめながら、もし自分が姉のようにチアリーダーになることができたら、どんな人生を送っていただろうと想像していたのだろう。あるいは、愛らしいドレスを着たり、化粧品を買ったりとか、彼のような男性には禁じられている様々な女性的な物事をすることを夢見ていたのだろう。

さらに成長するにつれて、彼はそういう思いや夢を、心の暗闇の奥深くへと押しやっていった。自分自身の本当の性質を見て見ぬふりをしようと必死に頑張った。それでも、時々、その緊張の糸が途切れてしまうことがある。10代のころは、家にひとりだけになるのを待って、姉のパンティを履いてみることが何度もあった。そして、私と結婚した後は、今度は私の下着をよく盗んだ。オンラインではトランス・ガールが出てくる動画を見ていた。男性が「強制」されて女性に変えられる物語を読んでは、嫉妬心と興奮の入り混じった気持ちを感じていた。彼は、自分もそうなることを想像し、夢見ていたのだった。

だけど彼は決して行動には移さなかった。本当に全然。彼は恐れすぎていた。そして、うっ憤と恐怖でいっぱいいっぱいになった結果、彼は最悪のタイプの男性になってしまったのだった。みみっちくて、細かいことにうるさく、いつも腹を立てて、鬱屈してて、他者への憎悪の塊。彼は周りにいる人間にとって悪夢としか言えない人間だった。彼がカムアウトする前ですら、私たちは離婚寸前の状態にあった。

何が彼が変わるきっかけになったのか、それを知ることができたらと願う。自分が幸せならば、他の人の意見など、本質的には、どうでもよいのだと、誰が彼に説得したのだろうか? 誰が彼に壁を飛び越えるように後押ししたのだろうか? それとも、単に、長年にわたって蓄積し続けてきたものが限界を超えてしまい、とうとう彼自身が無視できないまでになったということなのだろうか? 私には分からない。それに、率直に言って、それはどうでもいいことかもしれない。私が知っていることは、彼がいま幸せでいるということだけ。それだけで充分なのだ。そして、これからもずっと、幸せでいるということだけで充分なのだ。



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[2019/05/06] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

Self-discovery 「自己発見」 

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Self-discovery 「自己発見」

「オーケー」とチェイスはビキニのボトムズを脱ぎながら言った。「君が正しかったよ。それでいいね?」

「え、何て?」と彼のガールフレンドのマンディは、片手を耳に添えて聞き耳を立てるような仕草をした。「もう一度言って。でも、ゆっくりとね。じっくり味わって聞きたいから」

「ハッハァー」とチェイスは了解したことを示す声を上げ、ビキニのトップの紐をほどいた。トップを外し、すでにある汚れた衣類の山に放り投げた。「面白い。実に面白いよ。でも、ああ、いいさ……認めるよ。ボクは楽しい時間を過ごした。こうなるとは思っていなかったけれど、でも……」

「あなた、2週間近くは、ふてくされたり、ぶつぶつ唸ったりしてたのよ」と彼女も同じように衣類を脱ぎながら言った。「それに加えて、おへそにピアスするときも、ずいぶん怒ったわよね」

チェイスはおへそのピアスをいじりながら言った。「分かってるよね、これは終わらせなくちゃ。そうだよね?」

「あなたがそうしたいなら」 と言い、マンディは彼に近づき両腕を彼の腰にまわした。そして彼のぷっくり膨らんだ左右の尻頬をぎゅっと握った。「でも、別に終わらせなくちゃいけないわけじゃないわよ」

チェイスは不満そうな声を出して、体を離した。「もちろん、終わりにしなくちゃいけないよ。って言うか、楽しかったよ。それは認める。でも、もうボクたちは現実の世界に戻らなくちゃいけないんだよ。ボクには友達がいるし、両親もいるし、仕事もある。家に戻ったら、普通の状態に戻らなくちゃいけないんだ」

「でも、この状態を、あたしたちにとっての新しい『普通の状態』にすることも考えられるわ。あたしもあなたも可愛いでしょ? 男たちにちやほやされたり、あの素敵なオモチャで一緒にプレーしたり……これからも、こんなふうに楽しく暮らしていけるのよ? 別に妄想を語ってるんじゃないの。あなたは、ここに来て初めて本当のあなた自身を見つけたみたいだし、それに……」

「ダメだよ」とチェイスは後ろを向いた。しかし、彼女の言っていることが正しいという意識が、彼の心の玄関をバンバンと叩いているような気がした。この1週間、彼は一度も自分が劣ってるとは感じなかった。確かに、落ち着かない気持ちだったけれど、誰も自分が女のフリをしてると気づいていないと知るや、すぐに、その落ち着かない気持ちも消えていき、代わりに、純粋に楽しい気持ちにあふれていたのだった。

しかし、彼は、女装にまつわる現実的なあれこれよりも、まさにこの点に最も不安を感じた。そして、不安と同時に興奮も感じたのだった。

「こういうのは、どうかしら? 家に帰ってからもこれをするっていうのは? あなたは外に出たりしなくてもいいわ。ふたりだけの小さな秘密にしてもいいんじゃない?」

秘密。その提案は良さそうに聞こえた。それにリスクもない。誰にも知られないんだよね? そう思い、彼はにっこりと微笑み、そして言った。「そ、それって、良さそうだね」

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Bowing to the inevitable 「避けられないことへの屈伏」 

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Bowing to the inevitable 「避けられないことへの屈伏」

「その調子よ!」 ガールフレンドのレイシーが猫なで声で言った。彼女は男の背後に立って、私を見ている。「良い女の子は、こういう大きなおちんちんを美味しくいただくものなの!」

私は、苦痛と快楽が混じったうめき声を漏らした。声が震えてる。この男のソレは、それまで私が経験したどんなものよりもはるかに大きかった。この男のソレに比べれば、私が試してきた玩具のペニスはすべて本当にただのおもちゃにすぎない。それに、私は、これが良いことなのかそうでないのか、全然、確信が持てないでいた。

私の中の男性の部分。それがこれまでの人生の大半を仕切ってきたのだけど、その男性の部分が、「こんなの良いことのはずがないじゃないか!」と叫んでいた。でも、新しく見いだされた私の中の女性の部分が声を挟む。この女性の部分はレイシーと出会った瞬間から徐々に占領地域を広げてきたのだけど、それが今、自信たっぷりに、「あなたのようなシシーが大きくて太いおちんちんをアナルに入れてもらうことは、完全に自然なことなのよ」と語っている。男がさらに奥に突き入れてきて、私のソコがさらに広げられた。その甘美な感覚に、私は否応なく後者の意見に賛成せざるを得なくなる。この快感……精神的快感と肉体的快感の両方……これは他の何にも譲れないという気持ちになっていく。

でも、そんな感情が高まった瞬間にですら、これまで辿ってきた道についての疑念が頭を離れない。確かに、私はレイシーが望んだとおりの女性的な淫乱になる道を突き進んできた。乳房を得たし、長い髪とお化粧をした可愛い顔。そして私がオンナであることにほとんど疑念を残さない、この肉体。誰でも私を見たら、私は女性だと思うだろう。でも、私の心は、外見の変化に完全に追いついているわけではなかった。そして、私はいまだに、失われた男らしさにしがみついているところがある。しがみつく意味が不確かになっているにも関わらず。

でも、そんなことを思っている間も、男はゆっくりと、しかし力強く、その圧倒的なペニスで突きを送りこみ続けている。そして、毎回、突き挿し込まれるのに合わせて、頭の中の疑念が少しずつ溶け流れていくのを感じる。長くは持たないと分かる。やがて、そう遠くない時期に、私はレイシーが望んだとおりの女になるだろうと。すぐに、男性としての思考や感情を捨てる時が来るだろうと。そして最後には、「あなたはずっと昔からそうだったのよ」とレイシーが言っていた存在、つまり、シシーであることを完全に受け入れることになるだろうと。

彼女が言っていた通り、そうなるのは避けられないことなのだ。そして私はそうなっていくのを、ただ、受け入れる他ないのだ。

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The wrong reaction 「思わぬ反応」 

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The wrong reaction 「思わぬ反応」

「えーっと……うーん……少し説明しなくちゃいけないみたい。でしょ?」 あたしは満面に笑みを浮かべて、実家に戻ってきた兄のレインの方を向き、見下ろした。兄は予定より早く到着したのだった。そのため、レインはあたしが化粧をし、裸でいたところを見てしまったのである。1年前に密かにホルモンを摂取し始めてから、あたしの体がどれだけ変化したか、それを認識するのに充分な時間、彼は見ていた。

「お、お前、おっぱいが……」レインは口をあんぐり開けたまま言った。「まるで……女の胸みたいな」

あたしはうなずいた。「うん、その通り」胸を隠したい衝動を抑えながら返事した。いずれ兄が知ることになるのであれば、彼にはすべてを見てほしかった。あたしが彼が思ってきたあたしではないことを本当に理解してもらうためにも、そうしたかった。

かなり長い間そのままでいた後、ようやく、あたしは近くのテーブルに脱ぎ捨てておいたパンティを取り、恥じらいも見せず、それを履いた。次に同じところからTシャツ、そしてショートパンツを取り、着た。その間ずっと、レインは黙ったままあたしを見つめていた。「ちょっと説明しなくちゃいけないよね?」

「そんなの知りたくもない」と彼は頭を振った。「本当に……」

「でも、兄さんは知る資格があるよ。最初は、一度にみんなの前でカムアウトするつもりだったけれど、でも……」

「どうしてだ?」 とレインはあたしの言葉を遮った。「なぜ何もかも投げ捨ててしまおうとするのか、俺に話してくれ。お前は俺の弟のはずなんだから……わけの分からない変態なんかじゃないんだから」

「あたしは変態じゃないよ」 兄にたった今そう呼ばれた心の痛みを感じないようにと堪えていた。「あたしは女なの。ずっと前からそうだったの。そして……」

兄は再びあたしの言葉を遮った。「お前は女のフリをしている男だ。そうだろ? そう言ってるところなんだろ? お前はトランスジェンダーか何かなんだな? そして薬とか注射とか、そういうのを摂取することにした、と。その結果、今はおっぱいができて、化粧をしドレスを着たりする。それから、今度はみんなに明かして、これはそんな変なことじゃないって感じに受け入れてもらおうと思ってるんだな? だけど、俺は認めないよ、ブルース。……俺はそんなの認めない」

「そんなこと言わないで」 あたしの顔から、一瞬にして笑顔が消えた。あたしを受け入れてほしいと思っているすべての人の中で、兄こそが、そのリストの1番目にいる人だった。そして、兄の嫌悪に満ちた表情を見て、受容されるまでには、ずっとずっと長い時間がかかるのだろうと悟った。そもそも、受け入れてもらえるかどうかも難しい」

「どうしてもダメなんだ。男は男、女は女なんだよ。お前が自分の体をどう変えようが、俺は気にしないよ、ブルース。どんな体になっても、お前は俺にとっては男なんだ」

涙が目にあふれてくるのを感じた。「れ、レインのバカ。ほんとに……最低!」 思わず吐き捨てるように言っていた。

「ああ、お前こそな! このことが俺にどんな影響を与えるか、考えてみろよ。俺の友達はどう思う? この近所のみんなはどう思う? 近所の人たちに、スカートを履いてしゃなりしゃなりと歩きたがっている変態弟について、どう説明すべきなんだ? ああ、お前も、最低だ! お前なんか、どこかに行って戻ってこなければいいと思うぜ。パパもママも同じことを言うと思うぜ」

「ほ、本気で言っていないよね?」 あたしはすすり泣きしながら、兄の腕に縋りついた。兄は体をゆすって、あたしの手を振りほどいた。

「いや? ある意味、本気だぜ」

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Waking up 「目覚め」 

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Waking up 「目覚め」

あたしは、なんて速く、なんて遠くまで落ちてしまったのだろう。それを改めて認識して、その思いが1トンものレンガのようにあたしにぶち当たってきた。彼に両脚を握られ、カラダを支えられながら、杭打機のようにアナルに打ち込まれている時ですら、その認識が全身に襲い掛かる。そして、カラダを震わせ、甲高い声で喘ぎつつも、この状況に対する恐怖の叫び声を何とか堪えることしか、あたしにはできない。

この数か月、あたしは彼のガールフレンドとして同棲してきた。だけど、その瞬間までは、生活は普通だった。自然だった。自分がいるべきところにいる、そんな感じがしていた。でも、あの瞬間があった後は、悪夢があたしの毎日になっていたことを無視することができなくなった。

視線を下に向けた。波打つ乳房の先に、かつてはあたしの自慢だった男根の残滓が見えた。彼のペニスがあたしを満たしている。こんなにも完璧にあそこの穴を塞がれている。その太さに、こんなにもあたしの体は順応している。あたしの体は、彼のセックス玩具になるためにできているようなもの。そしてこの数か月、あたしは、一切ためらうことなどなく、その玩具としての役割を果たしてきた。いや、それ以上。あたしは喜んで玩具になってきた。幸せで、満足して、そして、何も知らずに。

でも、自分が何者であったかの記憶がわっと頭の中に流れ込んでくるのに合わせて、あたしは、自分がどんな人間になってしまったかを知り、心の中で、その事実にひるんだ。あたしは、ごく普通の血気盛んな男性から、今のセックス狂いのニンフォマニアックなオンナへとゆっくりと変えられていったことを思い出す。それは拷問のようだった。

もちろん、彼がどうやってそんなことをしたのかは分からなかった。催眠術? そんなのウソじゃないの? 魔法? それも同じくらい馬鹿げてる。いくつも説明が浮かんでくるけど、どれもあり得なさそうに思えた。でも最後に、彼があたしの中に射精したのと同時に、あたしは、そんなことはすべて問題ではないと悟ったのだった。自分の正体に気付くことと、自分の本当の人格を主張する力を持つこととは、完全に別のこと。確かに、あたしの本体は頭の中にいる。だけど、それはただ見ていることしかできない。感じていることしかできない。行動することは一切できない。

彼はあたしの体を押して、中から抜け出た。そして、あたしはぐったりとベッドに横たわった。さんざんなぶられたアナルから彼のザーメンが垂れ流れている。そんなあたしを彼は見下ろした。彼はかつてあたしのルームメイトだったのだ。

「お前、戻ってきたんだな? いや、答えなくていい。お前の目を見れば分かる。だが、それはそれで構わない。お前は自分の状況について何もできないのを知ったところじゃないかな? もっと言えば、俺は、ある意味、お前が戻ってきたことを喜んでいる。頭が空っぽの淫乱女は、しばらくの間は楽しいが、自意識が少しはこもっているのを見るほうがいいからな。結局のところ、お前が罰を与えられていると知らないなら、お前に罰を与えて、何の意味があるんだってことになる。そうだろ? さあ、それじゃあ、また素直なオンナになって、俺のちんぽを舐め清めるんだ」

あたしは、自分で何をしてるのか気づかぬうちに、床にひざまずいて彼のペニスを口に含んでいた。あたしがそれを舐め、愛しそうに吸い続ける間、彼は語った。「お前は俺の彼女のデイミンと寝るべきじゃなかったのだ。そんなことをしてはだめだったのだよ」

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Devious 「奸智」 

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Devious「奸智」

「実に素晴らしい。彼は気がついたかな?」

「いいえ、ご主人様。お言いつけの通り、彼は以前の人生について何ひとつ覚えていません。現在は、朦朧状態ですが、もし、私にお許しいただけるのなら……」

「いや、まだだ。この状態を味わっていたいのでね」

「お望みの通り、ご主人様」

「彼がかつて私の上司だったことは知っているかな?」

「はい、ご主人様。存じ上げております」

「ならば、彼がどんなクズ人間だったかも知ってるだろう。彼は自分が私より、いや誰よりもずっと有能だと思っていた。彼は、みんなを針のムシロに包まれた状態にするのが大好きな男だった。私たちを虐待するのが好きな男だった」

「確かに」

「だが今の彼を見なさい。女体化されて、カラダしか取り柄がなさそうな頭の軽い人間になってる。しかも、そうするのに要したのは、ちょっとした催眠術だけ」

「それと整形手術が多数回必要でした、ご主人様」

「それもあったな。だが、少し分からなくなっていることがあるのだ。そもそも、彼が元の自分が誰だったかを思い出せないなら、こういうことをする意味があるのだろうか?」
「しようと思えば、彼の人格を少しだけ片隅に残しておくこともできます。自分が何を失ったかに気付く程度の量ですが。彼は変化に影響を与えることはできないでしょうが、自分がかつてどんな人間であったかは分かるだろうと思います」

「おお、それは奸計だな。実に賢くも邪悪な計らいだ」

「私はご奉仕するために生きています、ご主人様。そのようにいたしましょうか?」

「ああ、もちろんだ。ぜひそうしてくれ。そして、それが終わったら、彼は私の秘書として新しい仕事に就く。彼が社の淫乱として会社に奉仕するようになるのもすぐだろう」

「お望みの通りに」

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Side effects 「副作用」 

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Side effects 「副作用」

「オーケー、先生。正直に言ってくれ。実際、どのくらい悪いんだ?」

「悪い? いや、全然悪くないよ、ジム。もっと言えば、投薬は意図された通りの効果を発揮したのだよ」

「な、なんだって? お、俺を見てくれよ。こんな格好になるなんて、先生は言わなかったぜ?」

「確かに。若干、副作用が出たようですな。でも、お前さんは望んだとおり体重を大きく減らしたのですぞ。お前さんは、今までの生涯で、今ほど健康になったことはないのです。なんだかんだ言っても、それが目標だったわけで」

「副作用? 冗談はやめてくれって。俺の胸は家内のおっぱいより大きくなってるんだ! それに、この体、どう見ても……」

「さっきも言った通り、副作用じゃよ。長年にわたる貧しい食生活や運動不足、総じて不健康な生活習慣の影響を消したのだよ。こんな小さな代償が何だって言うのかな」

「小さな代償? 信じられねえ……どう見ても俺は女にしか見えねえじゃねえか!」

「それはそんなに悪いことかな?」

「あったりまえだろ。先生、俺はオンナじゃねえんだ! この副作用、いつになったら消えるか教えてくれ」

「まあ、これは消えんだろうな。注射した薬はお前さんのDNAを変えたのだよ。ご自身の体がよく知ってるのじゃないかな。この体形がお前さんにとって最適になってるのだよ」

「も、元に戻せるのか?」

「戻せないこともないが、たくさん手術せねばならんだろうな。それに、手術したとしても、お前さんが本当の男のような姿に戻るかは怪しいな。特に、その安産型の腰つきから察すると」

「ま、マジかよ? ああ、なんか悪夢を見てるみてえだ」

「わしのアドバイスが欲しいかね? その体で生きてくことだよ。壊れてないものを直そうとするなってことだよ」

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A new style 「ニュー・スタイル」 

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New Style 「ニュー・スタイル」

「ティファニー、これ本気なの?」

「最新スタイルの格好になりたくて、あたしを雇ったんでしょ? それが、あたしの答えよ」

「うん、分かってる。だけど全国放送のテレビにドレスを着て出るって、まるで……」

「全然、普通」

「男にとっては普通じゃないよ」

「ねえ、あなたもちょっとは視野を広げるべきじゃない? 今のファッションはこうなっているの。ジェンダー間の境界はあいまいになっているのよ。男性だろうが女性だろうが、違いはない。重要なのは、見栄えが良いかどうかだけ。で、これを着たあなたは最高だわ。誓ってもいいわよ」

「でもボクは……」

「またテレビ通販の仕事に戻りたいの? それとも、キャリア・アップをし続けたいの?あなたが、よくいる元子役スターのひとりになってしまうのを防ぐ方法はこれなのよ。あなたあたしのところに来た時は、あなたはどんな状態だった? 誰もあなたを採用しようとしなかったじゃない。どんな役でもダメ。だけど、いったんあたしが手掛けたら、あなたの人生で最大の役に選ばれた。そして……」

「シシーの役だけど……」

「アカデミー賞のノミネート作品の主役だけど? それに、その言葉は使わないこと。それ差別用語だから」

「分かった。何でもするよ。でも、本当にドレスを着たり、ハイヒールを履いたりする必要があるのか、まあだ分からないんだけど……」

「あたしがあなたのスタイリストなのよ。そのあたしが、あなたはそういう服装になるべきだと思ってるわけ。さあ、もう、聞き分けをよくして、めそめそするのはやめて? 本番まであと5分くらいよ。インタビューの時に緊張してきたら、意識的に自分をこのキャラに切り替えればいいの。身のこなし方とか、いっぱい練習したでしょ? それを思い出して、そうすれば……」

「どうするか分かってるよ」

「よろしい。素晴らしいわ。というわけで、最後に言い忘れたことがひとつだけあったわ。脚を折ればいいのに(参考)!」


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The only way 「唯一の解釈」 

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The only way 「唯一の解釈」

彼は、いまだに、みんなをだましていると思っている。仕事の時も、友人と一緒の時も、知らない人たちと一緒の時ですら、彼は、望む姿に一生懸命に頑張って変身し、その努力の結果、あれほど心から求めている結果をもたらしているのだと思っている。でも、誰もがちゃんと見透かしているのである。彼が歩く時の腰つき、スラックスの上に浮かぶかすかなパンティ・ライン、お化粧のわずかな落とし残し、手の動き、友達の股間へのまなざし。あまりに明白にわかる。端的に言って、彼はシシーなのだ。彼がどれだけ頑張っても、それは隠せないということだ。

もちろん、それを彼に言うことはできない。みんな、言えないよね? 彼は私たちのレーダー網に引っかからないように飛行しているつもりになっているのだから。毎日、彼はスーツを着て職場に向かう。そして普通の男のようなふりをしようとする。演じなければと思い込んでる役を演じる。だが、その間ずっと、彼は、家に帰って、この醜い紳士服を脱ぎ捨て、可愛いランジェリーに身を包むことばかり考えているのである。あのかかとの高いハイヒールを履き、お化粧をして、お気に入りのウィッグを被ることを夢見ているのである。彼は、自分のアイデンティティのそういった必須部分がないと日々の生活を全うした気持ちになれないのである。

だが、彼をシシーたらしめているのは、服やお化粧や、その他のこまごましたことだけではない。彼をシシーたらしめているのは、例えば、あなたと彼がセックスをするとして、彼の方が四つん這いになり、背中を反らせて、お尻を高々と掲げ、切なそうにアナルをヒクヒクさせることであなたにウインクして見せるという、その事実にあるのである。あなたは、充分に潤滑クリームを塗ったストラップオンを股間にそびえ立たせ、彼の後ろに立つ。そして彼はというと、「可愛いエロ女をヤルようにあたしを犯して、お願い」とおねだりをするのである。

そして、あなたは、彼の求めに応じて、ストラップオンを挿入する。ようやく求めてるモノを与えられた彼は、口から声をだす。決して男性の声とは言えない声を。ひいひい泣く喘ぎ声。震えるため息。あなたのことをダディと呼ぶ叫び声。そのすべてが、ひとつの否定できない事実を示してる。すなわち、彼がシシーであるという事実。何をしても、それを変えられないという事実である。

それ以外に解釈がないんじゃない? そうでしょ?


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