「いやっ!」
イサベラは悲鳴を上げた。レオンが彼女の両膝をつかみ、持ち上げ、左右に広げたからだ。そのまま、ベッドの上、彼女の体を引きずり、ベッドの端まで引き寄せる。レオンは、彼女の両脚を大きく割り広げ、その間に移動して立った。
「動くでないぞ!」
レオンは黙ったまま、チュニック(
参考)を素早く頭から脱ぎ去り、床に無造作に放り投げた。その間、彼の目は怒りの炎を燃やしながら、イサベラの下腹部を凝視し続けていた。
レオンが怒りを今にも爆発させようとしている。だが、それを恐れている今ですら、イサベラの肉体は、彼の姿を見て妖しい反応を始めていた。彼女の視線は、幅広の逞しい両肩から、蜂蜜色の体毛に薄く覆われた金色の胸板へと下った。胸板を覆う体毛は、その下に広がる平らに鍛え上げられた腹部へと続き、魅力的な線を描いて下腹部を覆うレース生地の下へと姿を消す。レオンが興奮しているのは、腰を覆う生地を中からもりもりと押し上げているずんぐりとした隆起から明らかだった。
「お願い、レオン、やめて。怒りに任せてなんて・・・」
イサベラは、脚を押さえつけられ、仰向けのまま、レオンの姿を見上げていた。彼女の美しい金髪は、ベッドの上、光輪のように広がり、イサベラの顔を縁取っていた。
レオンが下腹部を覆う生地を指で手繰り上げる間も、イサベラは動けずにいた。ひとりでに呼吸が苦しくなってくるのを感じる。彼の分身が中から飛び出し、自由になったのを見た瞬間、それまで乾ききっていた女体の唇が、じゅんと湿り気を帯びるのを感じた。
本当にものすごく太く膨らんで、暗い黄金色の縮れ毛の茂みからそそり立っている。あれに、私の中を貫かれ、奥深い場所を擦られることになる。それを想像しただけで、イサベラの内部はひとりでにキューっと収縮を始めた。
「いや!」
イサベラは叫ぶと同時に、素早く動き、ベッドから体を起こした。それをレオンが止めないのに気づき、一瞬、がっかりした気持ちも混ざる。
だが、イサベラがレオンから2歩ほど離れた後、彼の腕が伸びてきて、彼女の上腕を掴んだ。レオンは、ぐいっと乱暴に腕力を使いイサベラの腕を引っ張り、背中を向けていた彼女の体を反転させ、力任せにきつく抱き寄せた。
抱き寄せられたイサベラは、腹部をレオンの剛棒が突くのを感じ、それが完全に硬くなっているのを感じた。
「お前を独りにしておいたら、早速、お前は、訪れてきた最初の者を使って快楽をむさぼろうとするとはな!」 レオンの怒りに満ちた荒い息が彼女の耳に吹きかけられた。「他の者に触れられ、気持ち良かったのか? わしに触れられるのではないので嬉しかったということか?」
「違います!」
イサベラは身をよじって逃れようとしたが、きつく抱きしめられ、動けなかった。レオンの呼気が彼女の髪をそよがせる。薄い布地を通して、彼の熱い体温が彼女の肌に染み入る。そして、オスの動物が放つ刺激的な匂いが彼女の鼻腔をくすぐった。
「お前はわしのものなのだ。他の誰のものでもない」
イサベラは、その言葉の背後にある心の痛み、独占欲による嫉妬心を察知し、レオンが自分に対して心を揺さぶられているのを感じた。
突然、イサベラは、強引に後ろ向きにさせられ、顔をベッドに押し付けられた。同時に、足首を蹴られ、足を開かせられる。つま先だけを床につけたまま、ベッドに覆いかぶさる格好にさせられた。割れ目に彼の分身が滑り込んでくるのを感じた。湿った肉門を探している。その先端に入り口を突付かれ、イサベラは思わず喘ぎ声を上げた。
「やめて、レオン」
喘ぎながら訴え、体をよじらせ逃れようとしたが、この体勢では、それも無駄だった。両手の指で尻頬が左右に広げられるのを感じ、肉棒の先端で再び入り口を探り当てられるのを感じた。
「お前はわしのものだ。わしだけのものだ」 レオンの声は、荒い息遣いで、ざらざらとしていた。嫉妬により欲情に火がついている。
レオンは一気に押し込んだ。イサベラの狭い肉筒の奥深くへと、強く貫く。イサベラは、これまでにないほど大きな悲鳴を上げた。強く激しく貫かれた勢いで、二つの肺から呼気が勢いよく搾り出されたのだろう。
「これって最高だわ!」 電話の向こう、ドナは興奮して叫んだ。「今のを見て、素敵なことを思いついたの。ねえ、今日はビクトリアとして仕事をしたらどうかしら? 別のオフィスからあなたの代理として来た人になるのよ。誰も気づかないだろうし、あなたも女性として過ごす練習もできるわ」
「ドナ! そんなことできないよ。まる一日、ビクトリアとして通すなんてできないし、第一、仕事にならなくなる」
「でも、ビクトリア? 鏡の前に戻って、自分の姿を見てみたら?」
僕は立ち上がり、鏡の前に戻った。鏡の中、女性らしい足取りと振る舞いで鏡に近づいてくる自分の姿が見える。確かに、僕の男性としての姿を仄めかすところはひとつも見当たらない。鏡の中、僕の前に立っているのは、黒髪の美しい女性だ。見たことがないほどセクシーなドレスに身を包んでいる。だが、確かに見た目では女性で通せるだろうけど、女性で、こんな服装で仕事をする人はいないだろう。少なくとも、僕の知る限り、そういう女性は多くない。
僕は電話に戻った。
「お願いだ、ドナ。こんなことをさせないでくれ」
「あなた、とても綺麗なのよ。それに、仕事が終わった後、帰ってくるあなたを迎えて、とても素敵なご褒美を考えているの。それを思っていて。いまはもう切るわ。じゃあ、後でね」
ガチャリとドナが受話器を下ろす音が聞こえた。
ちょうどそのとき、別の客がオフィスに来たのに気づいた。ゲイルが出迎える。
「ジョンさん、申し訳ございません。アルアは出張で今日は大半、不在なのです。ですが、別の支社から代わりに派遣されたビクトリア・スミスがおりますが、もし彼女でよかったら」
ジョン・パーカーが、それでもかまわないと言うのが聞こえた。電話が鳴り、ゲイルが彼のことを告げた。
オフィスに入ってくるパーカー氏を出迎えるため、立ち上がった。少し震えていた。デスクの横を回って進み、握手をしようと手を差し出す。ふと、そのとき、こちらから握手の手を出すべきではないと思い出し、前に出した手を降ろしがちにし、指先だけを向けた。うまく間に合って、彼には奇異に思われずにすんだようだ。パーカー氏は僕の手を取って、握手した。彼の視線が上下に動き、僕の体を一通り評価した後、再び僕の視線に合わせるのを見た。
「スミスさん、あなたに会えて嬉しいですよ。今日はビックが外出していたのは、私には幸運だったようだ」
そのお世辞に顔が赤らむのを感じたが、すぐに回復させる。握手していた手を引っ込め、椅子に座るように促し、僕自身はデスクに戻って腰を下ろした。生足の膝が隠れるように、椅子をデスクに十分に近づけて座る。
「こちらも嬉しいですわ、パーカー様。今日はどのようなご用件で?」
ジョンは、かなり長い間、僕の顔や体を見ていたが、それを頭から振り払うようにして、仕事の話を始めた。一通り話しを聞いた後、その用件をすばやく処理し、対処した。ジョンは、用件が済み、立ち上がって帰ろうとしたが、ふと、振り向いて僕に言った。
「あなたの顔は、なんだか、とても見覚えがあるような気がするのですが。一度も会ったことがないのは確かなんだが。これからは、よく覚えておくことにしますよ」
「まあ、私は、あちこちに出向くことが多いですから、多分どこかで私のことを見たことがあるのでしょう。では、また。パーカー様」
オフィスを出て行く彼を見て、僕はほっとした。
デスクに戻ると、すぐに電話がなった。
「はい、もしもし?」 できる限りの裏声で電話に出た。
「えーっと、アルアさん?」 女性の声だった。
「申し訳ございません。今日は、アルアは外出しているのです。私はスミスですが、代わりにご用件を伺いますが?」
彼女の声をもう一度聴いて、彼女が、先ほど、僕とゲイルが一緒にいたときにやってきた女性であることに気がついた。エレンという名前だ。
「あの・・・ビクターさん、ちょっと伝えたいと思って。あなた、ビクトリアとなった姿、驚くほど綺麗だったわということ。もしかすると、もう二度と、ビクトリアとしてのあなたを見ることがないかもしれないと思って、ビクトリアに会えた機会があって私がとても喜んでいたことを伝いたいと思ったの。たとえ、偶然の機会だったとしてもね。それに、言うまでもないことかもしれないけど、私に関しては、あなたの秘密は安全だから大丈夫です。心の中にしまってますから。でも、これだけは言わせて。ミス・ビクトリア? あなたは、この都市に住む美しい女性たちに、新たに加わったことだけは確かだわ。では」
「ありがとう、エレン。私ビクトリアとあなたが出会った状況を考えると、そのお言葉、とても嬉しいわ」
「あら、あの出会いは完璧だったと思うわよ。それじゃあ、素敵な一日を送ってね」
そこで電話は切れた。受話器を置くと、すぐにまたベルがなった。相手はドナだった。
「君は僕を一日中監視するつもりなのかい?」
「だって、ひとつも見逃したくないんですもの・・・それで、彼女、何て言ったの?」
「僕と会えて嬉しかったということと、僕が美しかったということ、それに、この秘密は守るから大丈夫だと、そういうことを言っていたよ。もう僕は人をだますことはできないよ。このままだと、厄介なことになりそうだよ」
「もう、ジョンをだましちゃったじゃない? ジョンは、エレンよりも、あなたのことはよく知っているのに、気づかなかったわね。女性には、男性より、観察力がある人がいるのよ。大丈夫、うまくやれるわ。じゃあ、またね、ビッキー」
受話器を置いて、今日の残りの勤務時間に備えて、身構えた。依然として、誰かが、僕が女装していることに気づき、すべてが明るみになってしまうのではないかと心配でならなかった。ドナやゲイルに説得されて、こんなことをさせられている、そんな自分が信じられなかった。だが、ともかく、始めてしまったことなのだから、最善を尽くすことにしよう。家に帰り、ドナを抱く時までの我慢だと。