午前3時になった頃、私はヘレンに言った。
「あなたはどうか分からないけど、私、もう帰ろうと思うの。眠たくなっちゃって」
「そうね。私も横になりたいわ。さあ、もう帰りましょう」
ヘレンはそう言って立ち上がり、ビルの手を取った。私も立ち上がって、ビルのもう一方の手を握った。
車は運転席と助手席が別々のシートになっているので、誰か一人は後ろに座らなければならなかった。ビルは、ヘレンがタイト・ドレスの姿なので、自分が後ろに乗り込む方が楽だと察して、自分から後部座席に乗り込んだ。
ヘレンの家に向かって車を走らせると、ビルが言った。
「僕をオフィスのところで降ろしてくれると嬉しいんだけど、いいかなあ? 車をそこに置いてあるんだ」
「ええ、いいわ。でも、最初にヘレンのところに行くわよ。行く途中にあるから」 正確には、これは事実ではなかったけれど、私は、そう思えるように道を選んで走った。
ヘレンの家に着くと、彼女は、「二人ともちょっと家に寄っていって? コーヒーを入れるから」と言った。
「オーケー。じゃあ、ヘレンとビルとで先に行ってて。私、トランクからちょっと荷物を取ってから、行くから」
車から降りながらそう言った。ヘレンは、私が家に戻らないときに備えて、いつも寝泊りの用意を車に置いているのを知っていた。
家に入ると、すでにヘレンとビルは、立ったまま熱っぽくディープ・キスをしていた。へレンがコーヒーを入れるふりをしようとしたり、ベッドに入って寝ようと思っていなかったのは、あきらか。
私は寝泊り用のバッグを玄関脇に置いて、ビルとヘレンのそばに寄った。ヘレンは、私が来たのに気づくと、ビルから唇を離して、私の方を向いた。今度は私とへレンがキスをする。私は口を大きく開いて、彼女と舌を絡めた。どちらかと言うと、見ているビルを楽しませるためのキス。
ひとしきりレスビアン風のキスをして見せた後、私は顔を離し、ヘレンに後ろを見せた。ヘレンは私のドレスのチャックを降ろしていく。チャックが最後まで降ろされたのを受けて、肩をすぼめた。ドレスがするすると体を滑り降りて、足元に落ちた。床に落ちたドレスから踏み出し、今度はヘレンの方を向いて彼女のドレスのチャックを降ろした。何秒か後に、彼女のドレスも床に落ちていた。その後、ヘレンと二人でビルに注意を向ける。
ヘレンは彼のシャツのボタンを外し、私は袖口のボタンを外した。あっという間に、シャツはビルから剥ぎ取られ、椅子に掛けられた。
ビルの上半身を裸にすると、ヘレンは早速、彼の前に立ってキスを始めた。最初は唇に、その後は徐々に体を下げながら胸板にキスをしていた。私は彼の後ろの周り、後ろから両手を伸ばしてズボンのベルトを外した。
ズボンを下げた後、床に跪いて靴を脱がせてあげた。ビルは、靴がなくなったおかげで、簡単にズボンから離れられた。私は、それを見届けた後、今度は白いコットンのブリーフを脱がせた。
ビルのお尻はうっすらと体毛で覆われていた。こういうお尻にはあまり慣れていなかったけれど、私は気にせず、左右の尻頬にキスを始めた。それから唇を這わせながら徐々に上へあがり、やがて私の唇は彼の肩にキスをしていた。ビルは私よりかなり背が高いので、私にはそこまでしか届かない。
彼の背中にチュッチュッとキスを繰り返した後、今度は前に回り、ヘレンの背中と首筋にキスを始めた。それと同時に彼女のブラジャーのホックを外し、床に落とした。するとヘレンも私の方を向いて、私の唇にキスをし、同時に私のブラも外して、床に放り投げた。私とヘレンはキスをしたまま、ゆっくりと体を沈めて、ビルの前、床に膝をついた。
ヘレンと私は、膝をついて半立ちの姿のまま、ビルの方を向いた。彼のペニスが真ん前に来ていて、ピンと立って私たちを向いていた。
前に想像したとおり、本当に素敵なペニスだった。長さは20センチ以上あるし、太さは6センチ以上。その亀頭は、とても美しい形をしていて、見たところ、今にも爆発しそうに膨張している。それにとても濃い体毛で、ごわごわの茶色の陰毛が股間から陰嚢にかけてを覆っていた。鈴口からはプレカムが溢れそうになっていて、ビルが興奮していることを仄めかしていた。
でも、彼が本当のところどれだけ興奮していたのかは、私には、ペニスに手を触れるまで分からなかった。勃起した美しいペニスに私が手を添えた瞬間、ビルは低いうなり声をあげ、射精を始めたのだった。湯気がのぼるほど熱い、白いロープが5本、連続して噴出してくる。大半はヘレンの顔に降り注いだけれど、私の乳房にも何滴か落ちた。
可哀想なビル。でも、その顔に浮かんだ表情はとても得がたいものだった。がっかりした表情と同時に、恥ずかしそうな表情も浮かんでいる。その顔はすぐに赤く染まった。
「二人とも、ごめん。自分でも何が起きたか分からないんだ」
「私には分かるわよ、ビル」
私はそう言いながら、彼のペニスをゆっくり擦り続けた。
「あなたは、私たち二人に、とても興奮していたので、出しちゃっただけ。でも、気にしないで。ヘレンも私も、これを使える状態に保つことにかけてはとても上手なの」
そう言って私は彼の亀頭を口に含んだ。
「どうやら、お前は、彼を取り戻したようだね」 リディアは嬉しそうに語った。「簡単じゃなかったし、あの男もずいぶん抵抗したようだが、今は、お前は、あの男の女に戻れたし、あの男の方もお前のものに戻ったようだ」
バーバラは、憂いに沈んだ表情で祖母の顔を見た。彼女は、それほど確信は持っていなかった。確かに、事態は良い方向に進んでいた。だが、沈静化させなければならない問題がまだたくさん残っていた。沈静化というより、解決すべきと言うべきか。
「何が気がかりなんだい?」 リディアは、孫娘の顔を見ながら尋ねた。
バーバラは、しばらく下唇を噛んでいた。それから、ようやく答え始めた。
「かなり前のカウンセリングでスティーブが言ったことなの・・・私とのセックスで良かったと感じたのは、結婚して2ヶ月ほどまでだったとか、そんなことを・・・」 バーバラは悲しそうな目で祖母を見た。「ノニー? 彼、どうしてあんなことを言ったのかしら?」
「まあ、ただの当てずっぽうだけど、多分、感じてた通りのことを言ったんじゃないのかい?」
「ノニー! ひどいわ! 優しいこと言ってくれないの?」 バーバラは腹を立てた。
リディアはくすくす笑った。
「いいかい? セックスというのは優しいばかりじゃないんだよ・・・激しく、汗まみれで下品になることもあるものさ・・・淫らになりきると言うか・・・」
「わ、私は・・・」
バーバラは、どうしてよいか分からないような面持ちで祖母を見た。確かに、以前、ノニーは、誰についてのどんな話題でも話しあってもかまわないことにしようと言っていた。だが、この話題は暴走しそうな気がした。・・・しかも急速に手に負えなくなりそうと。バーバラはどう返事してよいか分からなかった。
「久しぶりにスティーブと愛し合ったわけだけど、どんな感じだったんだい?」
バーバラに同情しながらリディアは尋ねた。リディアは、バーバラが、しばらく前から悩んでいるこの話題にどう接近してよいか分からないでいると察知した。
「素敵だったわ」 バーバラは即座に答えた。「彼はとても優しくて、愛がこもっていて、気遣ってくれたわ・・・二人で達したとき、私、これまでの人生でこんなに素敵に感じたことなかったと思ったわ」
「ということは、スティーブは、お前を愛しながら、たくさんキスしたわけだね?」
バーバラは頷いた。
「お前の胸を穏やかに手のひらで包んで、乳首に優しくキスしたと?」
バーバラの首筋は、ほんのりとピンク色に染まり始めた。こういう話題は、母親とも話し合ったことはなかったし、ましてや祖母と話し合うなど夢にも思っていなかった。
「えっ・・・ええ・・・」
「腕を擦ってくれて・・・それから太ももも・・・いたるところ、優しく触れてくれた・・・それからお腹をキスしながら下って行って、そして・・・」
「ええ、そう・・・彼、全部してくれたわ」
バーバラはリディアの言葉をさえぎるように早口で答えた。リディアが話せば話すほど、首筋の紅潮はますます色を増し、ますます簡単には消えなそうな兆候を示すようになった。
リディアは、そんなバーバラを咎めることなく、微笑みかけた。
「それで彼が・・・彼がお前の中にペニスを入れた後は、ゆっくりと優しくしたんだろう?・・・お前が彼を受容するのを確かめながら?」
バーバラは、もう、頷くことしかできなかった。
「それに電気も消していた。お前たちすでにベッドに入っていたのだから。そうだろう?」
バーバラは再びこくりと頷いた。
「お前とスティーブが愛し合うときは、ほとんどいつもそうしていた。そうだね?」
バーバラは、今度は、かなり長い間、祖母の顔を見つめ、それからゆっくりと頷いた。ノニーは、何か、大成功を収めたかのような満足顔をしていた。バーバラは、ノニーが何かたくらんでいるのではないかと思い始めた。
リディアは立ち上がり、窓際に行き、ちょっと外を眺めた。バーバラは、リディアは、今まで言ったことすべてを・・・あまりにプライベートすぎて誰とも話し合うことなどできないと彼女には思える、そんなすべてを考えているところなのだろうと思った。
急にリディアは振り向いて、バーバラを見た。
「それで・・・スティーブがお前をキッチンテーブルにうつぶせにさせて、後ろから滅茶苦茶に犯した最後の時は、いつ頃だったんだい?」
唐突な質問に、一瞬、バーバラはきょとんとした。それから、ハッと息を呑んだ。
「ノニー!!」
リディアは嬉しそうにクククと笑った。若い世代の者を唐突に驚かせることも、歳を取ることの楽しさの一つと言える。
「さあ、いつだったんだい?」 リディアは引き下がろうとしなかった。
「ずっと前だわ」 バーバラは弱い声で答えた。
「新婚時代から?」
「・・・だいたい、そう」
バーバラの声は、囁き声ほどに小さくなっていた。彼女は必死に堪えようとしていたものの、首筋に広がっていた赤みは上方の顔面へと広がっていた。
リディアは声を上げて笑い出した。