私はすぐに指示されたベンチに座りました。そしてジョンは私の前に立ちました。彼のズボンの前を開けて、中からコチコチに固くなったおちんちんを引っ張り出しました。それをすぐに私の中に入れたかったのは山々ですが、ほんのちょっとだけ焦らしてあげたいとも思い、こう言ったのです。
「コンドームをつけてと頼まなくちゃいけないの。私のような商売女は、前もって注意しないといけないのよ」
ジョンはびっくりして目を丸くしました。そしてコンドームを取りだして、装着したのです。
私は飢えた獣のように夫の肉棒にむしゃぶりつきました。ちゅうちゅう吸ったり、ペロペロ舐めたり。そうしながら、自分たちがどんな場所にいるかを考え、誰かに見られているかもしれないと思いました。
何回か吸っていたら、夫が私の肩を軽く叩きました。顔をあげて夫の顔を見ると、左側の壁の方を見てごらんと、あごで合図するのです。見てみると、壁の穴を通しておちんちんが突き出ていました。夫のと同じくらいの大きさのおちんちん。
正直、びっくりしたし、ちょっとショックを受けたのも事実です。読物では読んでいたけど、これは本物だったから。ジョンは私の表情を見て、笑っていました。さらにもう少しした後、彼が言いました。
「あれもいじってみたいんじゃないか?」
私は夫の顔とあのおちんちんに何度も視線を行き来させました。まだ夫のおちんちんを握っていて、うわの空の状態で、ゆっくりしごいていました。
「君が僕にしていること、多分あいつも喜ぶと思うよ」
私は顔を下げて、手に握っている夫のおちんちんを見ました。それから壁から出ているおちんちんへと視線を向けました。そして、どうしたらよいか分からないまま夫の顔を見上げました。
「私にしてほしいの?」
ジョンはにっこり微笑み、頷きました。
ベンチに座ったまま、ゆっくりと壁の方に移動し、近づいて見てみました。普通のおちんちんのように見えます。ちょっと頭のところだけ触って、どんな感触か優しく試してみました。とてもお馴染みの感じがしました。自分でもどうしてこんなに恐る恐るしているのかと驚いていたのも事実です。
多分、夫がこの場にいるからだと思いました。1年前、10人以上の男たちのおもちゃになった時は、私は全然ためらったりしなかった。でも、今は、夫がそばにいる…
だけと、夫は私にしてごらんと勧めてくれているの。だったら、ためらうことなどないんじゃない?
私は、その固いおちんちんを握って、ゆっくりしごき始めました。薄い壁を隔てて、隣のブースから男性のうめき声が聞こえました。
たった10回ほど擦っただけで、そのおちんちんは、どろっとした白濁を吐き出してイッてしまいました。白いものが床に飛び、私の靴にかかるのを見ました。射精が終わるとすぐに、そのおちんちんの持ち主は私の手から引き下がりました。壁を通して向こうから、「ありがとう」とくぐもった声が聞こえました。
私は汚れた靴を見て、それから夫を見上げました。夫はそんな私を見て笑い出しました。もう、どうして笑ってるのと私は困ったような笑顔をジョンに見せながら、脚を組みました。組んだ脚先の靴をゆっくり揺らしながら、その靴についた白濁の塊を指にとって、お口に入れました。わざと、夫に、とっても美味しいと見えるような表情をして見せ、さらに何度も指ですくってお口に入れました。
ジョンは、おお、すごいと驚いた顔をしていました。
「君のような根っからイヤラシイ女を妻に持てたなんて、僕はいったいどんなことをしたんだろう」
「ただ運が良かっただけじゃない?」
その時、別のおちんちんが壁から出てきました。今度のはさっきのよりも太い感じです。ジョンはそれを指差して言いました。
「今度は口でじかに受けたらいいんじゃないのかな?」
私は夫を見上げて言いました。「本気なの? じゃあ見てて」
夫は頷きました。
今や紙がなくなる心配もなくなり、二人は話し言葉によらない長い会話を始めた。ノボルは、海を渡ってきたのだが、嵐のために船が難破してしまったと説明した。ジウンは、以前、両親と朝鮮の都に住んでいたのだが、疫病で両親とも亡くしてしまい、ここで伯父と一緒に暮らしてしたこと、その伯父も2年ほど前に亡くなってしまい、以来、一人で暮らしてきていると説明した。
ノボルが、どうやって漢字を覚えたのかと訊くと、ジウンは、父親が宮廷の高官であったので、その父に教育を見てもらったと答えた。ノボルは、それでこの高価そうな硯があるのか、と口には出さず納得した。それにしても、この娘は、たったひとりで貧しい暮らしをしてきたのか…。ノボルの胸はジウンへの同情でいっぱいになった。
命を救ってくれたことに対して、いまだ正式に礼を言っていなかったことを思い出し、ノボルは石に感謝の言葉を書き、深々と頭を下げた。ジウンはにっこりとほほ笑み、お返しに頭を下げた。だが、ノボルは、ジウンがここで何をしているのかと訊くと、突然、罪悪感が襲ってくるのを感じたのだった。
本当のことを言えるわけがなかった。ノボルが使える将軍は、明朝を征服する準備段階として、彼女の国である朝鮮に侵略する計画をしていたのだった。ノボル自身は朝鮮国の人々について何も知らなかったし、とりわけ戦争は嫌いだった。だが、弟の三郎がこの小さな国の沿岸地域を偵察する使命を授かったのを聞き、ノボルは、その慎重な性格ゆえに、三郎ひとりにその使命をさせることができなくなり、偵察隊に加わったのである。それが今は、侵略しようとしている土地の住民に命を救われた。ノボルは良心の呵責を感じ、ジウンの顔をまっすぐに見られないと感じたのである。
ジウンはノボルが辛そうにしているのを察し、質問のことは忘れてと手振りで示し、食事ができるようにと石を横にずらした。
質素な食事をふたり一緒に食べながら、ジウンはノボルの食べ方を見ていた。男は茶碗を手に持ち、口に近づけ、箸でめしを口に入れているのだ。一方のノボルも、ジウンが茶碗を手に持たず、机に置いたまま食べるのに気づいた。それにもう一つ彼が気づいたことがある。それは、よく見るとジウンは、明らかに貧しい身なりをしつつも、かなり美しい顔をしていること、そして高貴な娘の印象があるということだった。
ジウンは、ノボルの茶碗にお代わりを盛ってあげた後、引き続き彼の食べる様子を見、彼の顔をより詳しく見た。髭はきれいに剃り、髪はきっちりと結って、頭の上にまとめている。顔かたちは朝鮮の男たちと似ているけれども、それでも、小さな違いもいくつかあった。
ノボルは彼女の視線を感じで顔を上げた。ジウンは見ていることに気づかれて、視線を逸らした。顔が火照っている。横眼でこっそり彼の顔を覗き見した。ノボルが笑顔になっているのが見えた。それを見て、ジウンは恥ずかしそうに笑いだし、ノボルは、彼女の笑い声を聞いて、いっそう明るい笑顔になった。
食事を終えた後、ジウンは、ノボルに身ぶりで横になるように示した。ノボルは、これまでも充分に彼女の世話になっていることを感じ、断ろうとした。ジウンは、困った顔をして、例の石を持ってきて、病気なのだから、横になるべきだと書いた。すると、ノボルは、ジウンに床に寝せるわけにはいかないと、返事の言葉を書いた。
ふたりは石盤を挟んでどうしたらよいかと、しばらく見つめあった。どうにも埒が明かないと、いたたまれなくなったノボルは、おもむろに「一緒」の文字を書いた。とたんにジウンは眉を吊り上げ驚いた顔になった。それを見てノボルは思わず笑いそうになったが、それを堪えながら、「貞節」と「安全」を表す文字を並べて書いた。だが、ジウンは疑った顔しかしない。どうしたらよいか返事をもらえそうにないのを感じ、ノボルは胸の前で腕を組み、彼女の返事を待った。