アンジェラは、いかにも満足げに背伸びをし、お上品な手つきでコントローラを置き、無邪気な顔でゲンゾウに向かってまばたきして見せた。
「まあ、楽しゅうございましたわ。あなたは相手としては私の半分くらいのレベルですわね。再挑戦をお望みなら、お教えくだされ」
彼女は、嫌気がさすほど甘ったるい声でそう言い、立ち上がった。
ゲンゾウは殺気に満ちた顔でテレビ画面を睨みつけていた。コントローラを握るこぶしは血の気が失せて白くなるほど強く握っている。
「ちょっと、座れ」 と歯ぎしりしながら彼は唸った。
「ゲンゾウ? あのIDはあまり良くないと思うわよ」
「いいから座れって言ったんだ!」
アンジェラはおずおずとコントローラを握り直した。そもそもゲンゾウとゲームをするんじゃなかったと後悔した。負けてもお酒を飲まなくてもいいなら、別に、わざと負けてあげても構わなかった。
そして、その後も彼女は一杯も飲まなかったのである。1時間後、ボトルは空になり、ゲンゾウはこぶしで床を叩き続け、悔しさに咆哮を上げていた。普通の状況で、彼がそんなに酔っていない状況だったら、アンジェラは、彼の様子を楽しく見ていたことだろう。
「ああ、たぶん、このプレーステーション、どこか壊れてるのかも」
アンジェラは、ゲンゾウの男性としての痛んだプライドを救おうと小さな嘘をついた。
「ソンナア……[Sonnah...]」 と彼は呟き、敗北に打ちひしがれた。まだ、床に突っ伏したまま、両手で頭を抱えている。
アンジェラは大きなグラスに水を注ぎ、差し出した。「これを飲んで」
「ああ?」 ゲンゾウはどんよりとした目でアンジェラを見た。
「あれだけのアルコールで脳内を洗ったわけだし、明日の朝、ひどい二日酔いになるわよ。水よ。さあ、飲んで」
ゲンゾウは、迷惑そうに手で彼女を払いのけ、傷ついた自尊心を慰めるためにカウチに這って戻った。
「いったい、どうして俺が女に負けるなんてありえるんだ?」 彼は大きな悲嘆の声をあげた。
「気を悪くしないで、ゲンゾウ。私、子供のころは男の子の友だちしかいなかったの。遊びと言ったら、テレビゲームをすることだけだったのよ」
ゲンゾウが驚いてアンジェラを見ると、彼女は両手の親指を立ててみせた。その親指は、何時間もゲームをしていたために皮膚がかなり固くなっていた。
「そもそも、これ、誰のプレーステーションだか知ってる?」
ゲンゾウは夢中になりすぎていて、アンジェラのゲーム機でプレーしていたことを忘れていた。それに気づき、彼は純真に大笑いした。アンジェラにとっては、ゲンゾウに会ってから、彼がそんなふうに笑うところを見たのは初めてだった。
いまや互いにくつろぎ、しかも、堅苦しい真剣さもなくなり、アンジェラはゲンゾウといることを楽しく感じ始めていた。そもそも、ゲンゾウとテレビゲームをするなんて想像していなかったし、ましてや、こんなに楽しく遊べるとは思ってもみなかった。彼とのひと時は、彼女の大学時代のことを思い出させた。
「しかし、あなたは変な女性だ、アンジェラ」 とゲンゾウは笑顔で言った。
「ええ、よくそう言われるわ」 とアンジェラは彼に近づき、再び水を差し出した。「お願い、ゲンゾウ、飲んで?」
「はい、はい、はい」 と彼は従順に水を飲み干した。
空になったグラスを受け取り、アンジェラは言った。「ゲンゾウ? 私たち、ほぼ一週間、一緒にいるけど、私はあなたのこと何も知らないわ」
ゲンゾウはお酒によりガードが緩くなっていた。人懐っこくアンジェラに微笑みかけ、「どんなことが知りたいのかな?」 と訊いた。
「そうねえ、例えば、どうやってノボルと知り合ったの?」
ゲンゾウは遠い目をした。
「私はある忍びの村で生まれ育った。その私たちの忍びは、もうひとつの忍者の一族と宿敵の関係にあった。ある日、宿敵の一族が私の村に攻め入り、ほとんど全員が殺されたんだ。その時、ノボルが私を見つけ、私の命を救うために、私に感染させたんですよ。それ以来ずっと、私は彼に仕えている」
「まあ!」
そういうわけで、ゲンゾウはノボルの命令にあんなに忠実に従ってるのね。
「ガールフレンドは? あ、ボーイフレンドかも?」
ゲンゾウは、自分がゲイかもしれないとアンジェラが思ったことに気づき、ちょっと彼女を睨みつけた。
「今は女はいない」
「どうして?」
「日常の生活ではあまり女性に会う機会がないものでね」 とあたりまえのことのような口調で言う。
アンジェラは、ゲンゾウの胸に座りに戻ってきたヤンの身体をトントンと叩いた。
「それは本当に残念だわ。あなたはとても良い人なのに」
その発言にゲンゾウが驚いた顔を見せたことに、アンジェラは気づかなかった。
「ねえ、ゲンゾウ?」
「はい?」
「あなた、一日中、コンピュータで何をしているの?」
「見てみたいかな?」
アンジェラが頷くと、ゲンゾウはパソコンを膝の上に乗せ、いくつかファイルを開いた。そして、画面をアンジェラの方に向けた。そこには美しいイラストが出ていた。彼のお気に入りであるヤンのイラストもあった。
「あなた、アーティストなの?」 とアンジェラはビックリした口調で言った。
「まあ」
「これってスゴイ作品よ、ゲンゾウ!」
ゲンゾウは、アンジェラの言葉に嬉しそうに顔を輝かせた。アンジェラはアパートから持ってきた箱のひとつのところに歩いていき、大学時代のスケッチブックをひとつ取り出した。
「私も前にちょっとだけ美術関係をやっていたの」
ゲンゾウはスケッチを何枚か捲り見た。
「アンジェラさんは、かなり才能がありますよ」 彼は、心から感心して、そう言った。「私は、今は、グラフィック用のタブレットで描く方が便利に感じてるんです」
「私もそういう機械を使えたらいいのになあ。私、コンピュータについては、まるでバカなの」 とアンジェラは羨ましそうに言った。
「お望みなら、教えてあげましょうか?」
「ホント?」
ゲンゾウは頷いた。
「そうなったら、すげえ、楽しいはず!」
ゲンゾウは笑った。「あなたは、ちょっと言葉が派手ですね。女性には珍しく」
アンジェラは顔を赤らめた。
「まあ、さっきも言った通り、私は男の子たちに混じって育ったから。信じるか、信じないか、分からないけど、私はげっぷもするわよ」
「マジデ? [Majideh?]」 ゲンゾウは改めてアンジェラを見た。「一回、して見せてくれる?」
「ダメダメ、ニンジャ・ボーイさん」
ゲンゾウをそう呼んだ時に、彼の顔に浮かんだ驚いた表情をアンジェラは喜んだ。彼女は、今後はゲンゾウをずっとそのあだ名で呼ぶことに決めた。そう呼ばれて彼が困れば困るほど、楽しい。この1週間、ずっと彼に苛立たせられてきたのだが、ようやく、彼から反応を得ることができ、楽しかった。
「少なくとも、今はダメ」
あたしのあそこもすごく濡れていた! クリスティのまねをして、指を2本あそこの穴に滑り込ませた。とたんに快感が溢れてくる。娘が見ている前でこんなことをするのことに、まだ罪悪感はあったけど、どうしてもやめられない。
あたしは前のめりになってテーブルに肩肘をついて、手で顔を覆った。こうすれば、遠くの方からあたしを見る人がいても、あそこのところは隠せる。クリスティも同じ姿勢になった。
ふたり、テーブルに並んで座り、肩肘をついて顔を隠して、互いに顔を向けあってる。ふたりとも片方の脚は折り曲げてシートの上。片足だけ正座しているような形。
これなら、遠くから見たら、あたしたちは密着するように座って、何かひそひそ話をしているように見えるかも。ブースは半円形になっているので、横側はうまく隠れている。
クリスティはあたしの顔を見て、それから視線を落とした。あたしのあそこに目を向けている。あたしのあそこが娘に見えているのと同じく、娘のあそこも見えている。
クリスティはにっこり笑いながら、濡れた指をお口に持っていった。あたしの反応を確かめるみたいに。多分、娘には、目をまん丸にしたあたしの顔が見えていたはず。
娘はまた手をあそこに戻して、ぱっくり口を開けたあそこの唇に近づけた。湿り気の滴が何滴も出てて、娘の指を濡らしていく。ゆっくりとあそこの唇に触れて、右に左にとなぞる。そして濡れた指をお口に持って来て舐めている。それを、あたしは、目を見開きながら見ていた。自分でもあそこをいじりながら。
こんなことを母親にして見せている我が娘。それを見てると身体がゾクゾクしてきてた。あたしも、自分のお汁を味わいたい。でも、できっこない……娘の前では。
でも、クリスティはあたしに見せただけで満足してるみたい。また指をあそこに戻して、あそこの唇をなぞって、湿り気を集めた。そして、またお口に持っていく。今度はお口の中に指を挿しこんで、唇で包み、ちゅうーっと吸うようにして見せた。
ああ、この子、何て可愛い淫乱なの! 娘がそれをすればするほど、あたしも自分でやってみたくなってしまう。脚の間にどれだけ湿り気が溜まっているか、自分でも感じてみたい! 指を吸う娘の顔を見ながら、あたしも手をお口に近づけた。でも、寸前のところで、押し留まった。ダメよ、できない!
クリスティは、あたしも同じことをしてみたいと思ってるのを知ってか、ただ、にっこりと微笑むだけ。またも、指をあそこに持っていって、自分の湿り気を吸ってる。クリスティは、あたしが彼女を見ながらシートの上、もぞもぞするのを見ていた。あたしが、彼女の前では、しないだろうと思った様子。
だけど、突然、あたしの手首を掴んで、手を引っぱり、あそこからあたしのお口へとゆっくり持ち上げた。あたしの濡れた指が、じわじわとお口に近づいてくる。「やめなさい!」と言うのよ、って自分に言ったけど、無駄だった。クリスティに掴まれた手に、どうしても力が入らない。舐めさせられるのが必至。
あたしも娘も無言のまま。とうとう、あたしの濡れた指がお口に触れてしまった。その瞬間、あたしの唇から溜息が漏れ、クリスティは、すかさず指を1本あたしのお口の中に押し込み、じっとあたしの顔を見つめた。
指をお口に入れられた後、あたしは唇をすぼめた。そして、両目も閉じた。
実の娘の前で、自分のあそこのお汁を味わってる。でも、やめることができなかった。クリスティがあたしの手首を離したのを感じ、あたしは目を開けた。クリスティは、自分の指を舐めながらあたしを見ていた。どうしてなのか、娘は、いたずらっぽい顔から、真剣で興奮した顔に変わっていた。
あたしは、また股間に手を戻し、二本指であそこの中をかき回した。指をそこから出して、その後、自分がその指に何をするのか、自分でも怖かったけれど、すでにしてしまったことがあたしの心に浸食し続け、ゆっくりと勝ちを収めつつあった。やっぱり、指をあそこから引っ張り出して、お口の奥に持っていった。ほとんど咽てしまいそうになるほど、喉の奥に指を入れた。
お口に入れた指を舐め、ちゅうちゅう吸った。性的興奮がぐんぐん高まってきて、またもコントロールできないところまで燃えあがってしまう。もう、娘が見てることなんか、気にしなくなっていた。