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願い事には注意して (13) 

ウェンディが動いた時、彼女の香水の香りが漂った。彼女が歩く時、ふくらはぎの筋肉が張る様子や、胸が揺れ動くところが目に入った。

変な感じだった。今と同じ服を着て、同じように動くウェンディの姿は何度も見てきたのに、これまでとは違った印象があったから。ウェンディは綺麗だし、セクシーだとすら思ってきたけど、色欲的な気持ちで見たことは一度もなかった。なのに、今はそんな気持ちで見ている。

あたしは自分の股間に目を落とした。相変わらずおちんちんがヒクヒクしている。コレは、思っているより大きな効果をあたしに与えているかもしれない。もしかして、心までオトコになってしまうの?

あたしは頭を振って、変な思いを振り払い、ウェンディに目を戻した。

ウェンディは、あたしのまん前、ゆっくりと腰を降ろし、ひざまずいた(その時、どうしても、あたしは彼女の胸の谷間が気になってしかたなかった)。そうして、彼女はあたしの膝に両手をあてて、おちんちんに目を向け、それから顔をあげてあたしの目に視線を戻した。

何なの、この状況! この姿勢のウェンディが、信じられないほどセクシーに見える。あたしの気持ちと裏腹に、おちんちんが勝手にピクン、ピクンと跳ねた。ありがたいことに、ウェンディはそれに気づかなかったみたい。いや、気づいても、気づかないフリをしてたのかも。

「ちょっと脚を広げてくれる? よく見えるように」 ウェンディは無邪気な顔をして、そう言った。

すごく興奮してしまい、心臓が喉の奥から飛び出してきそう! 胸が普段より早く上下に波打っているのを感じる。

「……イヤじゃなかったら、の話しよ。ただ、ちょっとよく見てみたいだけなの」

「い、いいわ……」 

返事したけど、ほとんど囁き声だったと思う。言われた通りに、両脚を広げた。ゆっくりと。それから、両腕を後ろにもっていった。ベッドに座ったまま、後ろに両ひじを突いて、身体を支え、半分、仰向けのようになった。大きなおっぱいの向こう、ひざまずいてるウェンディを見る。

ウェンディは、脚を広げると、注意深そうにあたしに近寄ってきた。あたしの脚の間に入ってくる。そして、おちんちんから60センチくらいのところで、止まった。その位置から、頭を右へ、左へと傾けながら、しばらく、あたしのあそこをじっと観察しているような感じだった。

「何だか、すごく……すごく女の子っぽいわ!」 とウェンディが言った。

彼女がアレを見て最初に言った言葉がそれだった。どういうことか分からない。

「どういうこと? それ、おちんちんなのは明らかじゃない?」

ウェンディはくすくす笑って、顔を上げ、あたしを見た。

「ええ、コレ、完璧におちんちんよ。勘違いしないで。でも、これまで人並み以上におちんちんを見てきた人の意見よ。あなたのは、普通のオトコのそれとは違うわ」

そう言われて、あたしもおちんちんに視線を向けた。あたしが見たことがあるペニスは、全部、パソコンの不鮮明で粒子の荒い画像で見たものだけ。ウェンディが本当のことを言ってるのかどうか、あたしには分からなかった。

「どういうふうに違うの?」

「そうねえ、ここらあたりを見てみて」 と彼女は指差した。「まずは、色ね。いろんな要因に寄るけど、男の人のおちんちんは、皆、違った色合いなの。とは言え、だいたい一定の範囲に収まるわ。でも、あなたのはそれから外れている。柔らかいピンク色っぽいでしょ? あなたの唇の色と同じ感じ」

指差されたところに目をやり、ウェンディの言うとおりだと思った。

「多分……」 と言いかけたけど、ウェンディは話しを続けた。

「……それに、陰毛は剃っているのかしら。そこも大きな違い。あなたの肌、つるつるしてる。男は(変態趣味の男を除けば)、そういうことしないから。それに、あなたのおちんちんは対称的なの。それにゴツゴツしてなくて、滑らか。たいていの男のは右か左か、どっちかに傾いてるものだけど、あなたのは、まっすぐになってる。とても素敵よ。あなたが、いつ、これをちゃんと見たのか分からないけど、見たら、絶対、これはおちんちんだけど、女の子についているシロモノだと思うはず」

あたしは顔が火照るのを感じた。多分、あたしを安心させようとしてるだけだろうとは知ってても、彼女にアレの容姿を褒められて、おだてられている感じになった。

「……それに、コレの下にはちゃんと女の子の可愛い花びらも残ってるし」

「あ、ありがとう……」とあたしは、はにかんだ。彼女もにっこり笑っていた。

そして、ウェンディはさらに顔を近づけてきた。おちんちんから何センチも離れていないところまで。

息が苦しくなってきた。どうして気絶しないで済んだかと言うと、ずっとウェンディの顔を見つめていたからだと思う。真剣に観察してる彼女の顔を見つめ続けていた。

裸のあたしの身体の向こうにいる、可愛い彼女の顔。美しい鼻の線。柔らかそうなピンク色の唇……。

一瞬、その唇の間に、新しくできたあたしのおちんちんを入れることが頭によぎった。でも、その時、彼女が手を動かし、あたしは、その想像がどういうことを意味するか考える間もなく、頭を振って、変な妄想を振り払った。

ウェンディはあたしのタマタマの袋を指差していた。

「ねえ、いい?」

触りたいと言っている。あたしはゴクリと生唾を飲み込んだ。どうしたらよいか、全然わからない。でも、身体の奥底では、彼女の手に触れられたら、どんな感じになるか知りたくて、居ても立っても居られない感じになっていた。触って欲しくてたまらない。それが本心。

「ええ、いいわ」 かすれ声になっていた。

「これも……」 とウェンディは手を伸ばした。

彼女の指があたしの睾丸に触れるのを感じた。思わず声が漏れそうになり、目を閉じ、下唇を噛んで耐えた。すごい感覚! おちんちん全体が信じられないほど敏感になってて、ウェンディの手がすごく柔らかく感じる。

目を開けて彼女を見ると、彼女は熱心にあたしの睾丸を観察していた。

「あなたのタマタマ、この小さな、キツキツの袋に入っているのね。つるつる肌の袋。男の場合はしわくちゃ袋が普通だけど、あなたのは違うわ。ものすごく女性的な印象」

「ああ……」 思わず唸っていた。

ウェンディは興味津津のあまり、その時まで、自分が何をしているのか気づいていなかった様子だった。彼女は、あたしのウズラ卵ほどのタマタマを手のひらに乗せて、軽く擦っていたのだった。それにようやく気づいたみたい。

「あ、ごめんなさい。ちょっと興奮しすぎてたかも」

「い、いいのよ……き、気持ちいいから」 あたしは自分を抑えきれなくなっていて、思わず口走った。

「気持ちいいの?」 とウェンディは驚いた様子だった。

「うん、いいっ……」
 
ウェンディはあたしのタマタマに手を添えたままだった。もっと言えば、優しく絞る感じにしている。それを受けて、あたしはベッドの上、身体をくねらせた。

「オーケー……」とウェンディはかすれた声で言った。「あなたが感じてると白状したから、あたしもちょっと白状しちゃうわね。いいでしょ?」 と彼女は意味ありげな表情を見せた。

「ええ……」 

あたしは、また、下唇を噛んだ。興奮のあまり、おちんちんが、文字通り、ビクンビクンと跳ねている。先端から透明な液が溢れてきて、肉棒の尿道の隆起を伝って流れるのを感じた。その液がウェンディの指に触れるのが見える。ああ、もうダメになりそう。

「セクシーな匂いがするわ」

ウェンディがそう言って、顔を赤らめた。そんな彼女の顔を見るのは初めてだった。

彼女、あたしとエッチするつもりなの? そんなことありえないとは分かっている。でも、彼女はとても真剣な顔をしていた。あたしのおちんちんに鼻を近づけ匂いを嗅いでいる。そして、その匂いを気に入っている様子なのだ。あたしは、圧倒されて、黙り込んだ。

「まったく、オトコっぽい感じじゃないわ。男のアレのような、汗っぽくてしょっぱそうな匂いが全然しない。ちょっと、どちらかと言えば、女の人のあそこの匂いに近いわ。でも、それとも違う。何だろう。分からないわ。何か違うもののような……。でも、好きよ、この香り」

ウェンディの肌が火照ってるのが見えた。彼女の手のひらが、あたしが出した液体で濡れてるのを感じた。

あたし、今、こんなに興奮しているけど、彼女も同じくらい興奮しているということ? そんなことがありえるの? 乳首が、おちんちんと同じくらい、カチコチに固くなって勃起している。ウェンディの方はどうなのかしら? サンドレスとブラの下に隠れている彼女の乳首は、どうなっているのかしら?

「嬉しい……気に入ってくれて……嬉しいわ」

自分で出した声だけど、その声が、とても誘惑的で、イヤラシイ感じになっているのを聞いて、我ながらビックリした。ウェンディもそう感じたみたい。この部屋の中、性的な緊張状態がイヤと言うほど高まっていたけど、彼女は、それまで、そのことに気づいていなかったみたいだった。でも、あたしの返事の声を聞いて、突然、彼女も気づいたみたい。今は、ふたりともはっきり気づいている。妖しい雰囲気になっていることを。そして、あたしを見つめる彼女の様子から察するに、ウェンディも、そうなってもいいと思っている様子。

「これまで……これまで、自分でいじったことあった?」

ウェンディは、そう言いながらも、すでに手をタマタマから上へと動かし、あたしのおちんちんの根元の周りを軽く指で握るのを感じた。でも、そのまま、動かそうとしていない。ただ、手をそこに添えたまま、何もしていないように振舞っている。

「いえ……いじったことがあるとは言えないと思う」

これは本当だった。ウェンディは、頷いて、下唇を噛んだ。彼女の手がおちんちんを握りながら、滑るように上がってきた。おちんちんの下部を圧迫してる。やがて、彼女の親指と人差し指の間に挟まれて、あたしのおちんちんの先端部分だけが顔を出した状態になった。ピンク色の頭のところだけが見えている。

ウェンディは、あたしのおちんちんを握ったまま、そこで動きを止めた。

「きっと、気持ちいいと思うわ。女のあそこで感じるオーガズムとおちんちんから感じるオーガズムは同じだと思う?」

「多分……多分、似てるんじゃないかしら?」

あたしは、すでに経験しているので、少なくともその経験から、そういうふうに感じることをちゃんと知っていた。違う快感だけど、同時に、似ているとも言える。

ウェンディは、握りながら、また下へと手を動かし、根元まで行くと、指先でタマタマを撫でた。

「あ、ああぁっ……」

声を出すまいと頑張ったけれど、今回は、思わず、小さなヨガリ声を出してしまった。

「フェラをされるとどんな感じになるんだろうなって思ったことない? コレができてから、そう思ったことない?」

ウェンディは眉を上げながら、そう言った。はっきりとは分からないけれど、まるで……してあげようかと、持ちかけているような感じだった。

この時点では、ふたりとも、まともな思考状態ではなくなっていたと思う。ふたりとも、すべてをカラダに支配されている感じ。カラダが求めるモノにコントロールされている感じ。自然の(というか不自然なことだけど)、自然の摂理に促されているような感じだった。こういうことを口にしたり、こういう行為をすることが、とても当たり前のことのように感じられた。

「そうね、ウェンディに言われるまでは、考えたことがなかったわ」

あたしは嘘をついた。ウェンディはうふふと笑った。その笑い声は、何か、歌を歌っているような声に聞こえた。

笑う彼女の口の中、彼女の舌先が見えた。あの舌におちんちんの先端部分を包まれたら、どんな感じになるんだろう……

「あたしね、フェラはたくさんしてきたの。自分でも分かっているのよ。高校3年の時のあたしは、淫乱女みたいなものだったって。でも、あたしは成績が良かったから、誰も何も言わなかったわ。高校を出た後も、全然、ペースを緩めなかった。ええ、ホントに、山ほどフェラをしてきたし、相手から上手だとも言われてきた。でもね、フェラをする方は充分経験があっても、フェラをされるとどんな感じなのかは全然、分からない。その点、あなたはすごくラッキーだと思うの。大半の女の子が決して感じることができないことを感じることができるかもしれないんだから。いつの日かね」

ウェンディはあいまいな言い方をしていたけど、あたしも彼女も、その時はすっかり過熱状態になっていた。彼女は、指の爪で優しく、ゆっくり、おちんちんを根元から先端まで何度も擦っていた。あたかも、無意識的にそうしているように振舞っていたけど、彼女が何を求めているかは、一目瞭然だった。それをしてと、あたしが頼むのを待っている感じ。普通だったらという言葉がふさわしいか分からないけど、普通のあたしだったらためらうかもしれない。でも、この時は、ナマの欲望ですっかり頭の中がいっぱいになっていた。

「ウェンディは、それ、上手なの?」

ウェンディの指が、おちんちんの先端から滴り出てる濃い粘液を亀頭に塗りつけるようにした。思わず、「ああっ!」と声が漏れた。

「こんな最高のフェラは初めてだって言われたことが、1度ならずあるわ」

そう言って、指先をあたしのおちんちんの先端から離した。そしてあたしの目をじっと見つめながら、その濡れた指をゆっくりと自分の口の中に入れた。そうして、指を口から出して、ゆっくりと舌舐めずりして見せた。

興奮のあまり、目が三白眼になりそう。こんなに興奮したことはない。カラダ全部に電流が走ってる感じ。

「そうねえ、こんな驚くような機会はないのだから、この機会をムダにしてはダメよね?」 と微笑んだ。「それに、初めてしてもらうなら、やっぱり、最高のをしてもらいたいわ」

「ラリッサ、何のことを言っているか分からないわ?」

ウェンディはそう言いながら、前のめりになった。彼女の顔があたしのおちんちんから何センチも離れていない。そこに彼女の熱い息が吹きかかるのを感じた。

「ウェンディ、あたしのおちんちんをしゃぶってくれる?」

思い切ってストレートに言った。彼女は何も言わなかった。両膝を床についたまま、身体を起こし、口を開いた。そして素早く、そして巧みに、頭をあたしの股間に沈めて行く。あたしの大きなおちんちんが、彼女の口の中に少しずつ姿を消していくのが見えた。熱い彼女の口の中に吸い込まれていく。

ウェンディの喉があたしのおちんちんを捉え、締めつけるのを感じた。

「ああ、すごい! ウェンディ!」

自分が白目を剥いているのが分かる。本能的に彼女の頭に両手を添えて、自分に引き寄せていた。呼吸が荒くなっていく。頭の中が空っぽになっていく。

これは、今まで感じたことがある快感とは、まったく違った種類の快感だった。

熱い口に包まれている。おちんちんだけを口に含んでもらっているのに、身体全体が彼女に飲み込まれているような感じがした。

口の中は柔らかくて、ベルベットのような感触。舌先がおちんちんの先端をくるくるとねぶっている。ペニスの下部にも圧力が加えられ、抑えきれない快感に、思わず身体がクネクネしてしまう。


[2015/12/22] 願い事には注意して | トラックバック(-) | CM(0)

願い事には注意して (12) 


「ええ、そうなの……つい2週間ほど前に始まったの。元通りに直す手段はあるんだけど、時間がかかることがあって」

あたしは真面目な顔をして説明した。ウェンディは頷いたが、目はまだあたしの勃起を見つめたままだった。

「もし、あなたを変人みたいな気持ちにさせてしまったなら、本当にごめんなさい。でも、とてもショッキングだったから。ショッキングと言うのも、ダメね。悪い意味だわ。何と言うか……驚きだったの……」

ウェンディは本当にすまなそうな顔をしていた。あたしは寛大に振る舞うことにした。そうすることで、彼女に一種の貸しを与えることに。

「いいえ、いいのよ。信じてほしいけど、あたしも始まった時は最初、ショックを受けたんだから。ほんとビックリして……」

そう言って、ふたりとも笑いだした。必要以上に笑ったと思うけど、それによって、部屋の中の緊張感が和らいだ。

ウェンディは、ゆっくりとためらいがちにあたしのそばに来て、ベッドの上、隣に腰を降ろした。

口の中が渇く感じがした。裸でいるときに、他の人とこんなに近くになったことが一度もなかったから。

ウェンディを見てると、知らぬ間におちんちんがヒクヒク言った。すごく均整が取れていて、綺麗なウェンディ。ブロンドの髪の毛も綺麗。これまであたしはずっとウェンディのことを一種の美の見本のように見てきていた。彼女のようになりたいと、称賛してきた。でも、今は、それとはちょっと違う。説明するのが難しいけど……。

「それで、いくつか分かったことがあると思う」 とウェンディが言った。あたしは彼女の方を向き、綺麗な緑色の瞳を覗きこんだ。

「どういうこと?」

「あの、何と言うか、あなた、いつもちょっと人から離れている感じだったでしょ? 他の人たちと付き合うのを嫌っているような。あなたのことを高慢ちきだと思っている人もいるわ。あたしは、あなたは恥ずかしがり屋だとしか思っていなかったけど。でも、考えてみると、あなたは、その病気がいつ発症するかと、ずっと、おどおどしていたのね。そして、とうとう発症してしまったと」

いきなりあたしについての情報を洪水のように聞かされて、頭の中が混乱した。いったいどうして、あたしのことを高慢ちきだなんて思えるの?」

「高慢ちき?」

「分かると思うけど、あなたとても可愛いでしょ? なのに誰にも話しかけないし、男子は無視することに決めているようだったもの」

頭の中がグルグルしていた。これって、おちんちんをつけて歩くことよりも、わけ分からないことかも! 本当に、そんなイメージをあたしは世界にばらまいていたの?

「そんなんじゃ……」 と言いかけた。

「分かってるわ。さっきあたしが言ったように、あなたは、恥ずかしがり屋なだけ。そして、そうなる理由があったんだと分かったの」

ウェンディはそう言って、また、あたしのおちんちんに視線を戻した。あたしは顔を真っ赤にさせた。

「ええ、たぶんそうかも」

ウェンディは、あたしの気持ちを察したのか、ベッドの上、あたしの方を向く形であぐらをかいて座った。あたしは顔を横にし、彼女を見た。

「聞いて。でも、そんなの関係ないわ。このことで頭を悩ます必要なんてないの。他の人がどう思おうが、思わせておけばいいのよ。それを気にする必要はないの」

「だけど……」 本当におどおどした気持ちになっていた。この睾丸がくっついてるので、なおさら。

「ラリッサ、お願いよ、あたしを避けようとするのはやめて。あたしは、あなたのことを助けようとしているの」 ウェンディは優しい声で、そう言ってくれた。にっこり微笑んでくれてもいる。

でも彼女の言葉に、頭が混乱し出す。

「あのね? 時々、他の人が、どうしてあたしがあなたと一緒に住んでるのか訊いてくるのよ。実際、昨日も友だちとそれについて話したし。いつも、『君はアンドレアと仲がいいのに、どうしてラリッサと暮らしているの。ラリッサのことをよく知らないのに』とか言うのよ。そして、あたしはいつも、何かつじつまが合うことを言って答えにするの。でもね、それは、その場しのぎの答えだわ。……あの大学一年の時の歴史101の授業、覚えている?」

何だかウェンディの話しは混乱しているような気がしたけど、一応、返事をした。

「ええ」

「あれの、確か3週目の時だったと思うけど、教授がローマ帝国か何かについて質問したの。そして教授はあなたに当てた。その時のあなた、答えを知らなかったので、トーガとかオルギー(参考)について、何かジョークを言ったのよ。それを聞いて声に出して笑ったのは教授だけだった。でもね、本当のことを言うと、あの時あたしも、あなたのジョークの意味を理解してたのよ。教室の後ろの方で、あたし、笑いをこらえるのに大変だったんだから。でも教室はしーんとしてた。そして、あなたはものすごく恥ずかしそうな感じになってしまった」

ああ、あの最悪の出来事のこと。あたしの黒歴史。完全にはっきりと覚えている。

「それでね、あなたがあのジョークを言った時、あたし思ったの。この娘、頭がいいわ。好きになったかも、って。で、その週の終わりごろ、あたし、あなたに話しかけたわ。あなたはとても優しくて、可愛いって思った。あなたのことをもっと知りたくなった。だけど、あなたはいつもあたしを遠ざけようとしている感じもしたの。でも、最後には一緒に住むことになったわけ。あの時、一緒に住むようになれば、あなたも心を開いてくれると思っていた。でも、あなたは相変わらず……何と言うか、非社会的というか、変わってくれなかった。でも今は理解できる。病気のことで恥ずかしかったからわざとあたしを遠ざけていたのよね?」

「ええ……」

そうは返事したけど、まだ心の中が虚ろな感じだった。あたしは、周りの状況を完全に誤解してたということ? ずっとあたしを「非社会的」にしてたのは誰? あたし自身だったということ?

「でも、ラリッサ? あなたは恥ずかしがる必要はないの。少なくとも、あたしの前では、そうする必要はないの。あたしは、前からずっとあなたと親友になりたかったのよ。親友は、辛い時期に互いに助け合うものでしょ? あたしの親友になって。あたしにあなたを助けさせて!」

ウェンディの言葉のひとつひとつが頭の中でぐるぐる回っていた。親友? ウェンディと親友になる?

「あたしと親友になってくれるの?」

しばらく沈黙した後、ぼそりと言った。彼女がちょっとうつむくのを見た。悲しそうな顔をしている。ウェンディは、あたしが少しも高慢ちきに振る舞っていたわけではないことを、初めて知ったようだった。あたしには、こんな優しいウェンディと親友になる資格なんてないと思う。

「もちろんよ、どうしてあたしたち一緒に暮らしていると思う? あたしたち、すでに親友じゃないの?」

ウェンディは、あたしに、自己嫌悪から抜け出すチャンスをくれている。あいまいなところも、不確かなところもない。明白にチャンスをくれているところなのだ。

「ええ、もちろん」 そう答え、にっこり笑った。目に涙が溢れてくるのを感じた。

「あたし、あなたのこの姿を見れて嬉しいの」

ウェンディのその言葉にショックを受けた。そして、ウェンディは、あたしがショックを受けたのに気づいたようだった。

「ラリッサに恥ずかしい思いをしてほしくて言ってるんじゃないのよ。でも、あたしは、あなたが困ってる姿をあたしに見せてくれて嬉しいの。あなたが困っていても、あたしは絶対、あなたを傷つけたりしないって分かってくれると思うから」

そういうとウェンディは、あたしが裸でいるにもかかわらず、あたしに寄り添ってきて、両腕であたしを包んだ。

ウェンディがあたしの親友になってくれて、こんなふうに抱いてくれている。それを感じて、涙があたしの頬を伝い流れるのを感じた。

ウェンディは、あたしが引っ込み思案で恥ずかしがり屋でい続けた本当の理由は分かっていない。でも、彼女は、そういうあたしの不安感に直接語りかけてくれている。そして……大きなおっぱいをしているのに、大きなおちんちんを勃起させているという、そんな変な姿で素っ裸でいるあたしなのに、優しく抱いて包んでくれている。それを思った瞬間、あたしは、人づきあいの場面で長年いつも感じていた不安感から、すっかり解放されていくのを感じた。これは完璧だと思った。

長い時間、そのままでいた後、ようやくあたしも泣くのをやめ、ウェンディは抱擁を解いた。そして、ふたり、顔を向きあって、ちょっとためらいがちに目を合わせた。思わず、ふたりとも笑いだした。

「ラリッサはどう感じたか分からないけど、でも、あたし、前より気持ちが軽くなった感じよ」

そうウェンディは言った。あたしも、同じように身体から重荷が降りた感じがした。

「ええ、あたしも。本当にありがとう、ウェンディ」

彼女が、孤立状態のあたしに手を差し伸べて、あたしを救ってくれたのを、ふたりとも知っている。だけど、彼女は、「あたしは何もしてないわ」と答えて、いなした。

「でも……本当にあたしにありがとうと言いたい気持ちなら、ちょっとだけ、いい?……ちょっとだけ見せてほしいの……」

ウェンディは、かすれ声の囁き声になって、言葉の最後のあたりを言った。あたしはビックリして目を丸くした。

無意識に自分の股間に目を降ろすと、こんな感きわまった状況で、ぼろぼろ泣いていたあたしだったのに、あそこの部分は、まあだ、力強く勃起したままでいるのが見えた。それに、先端のところには透明のねばねばした液体が出てる。

「えぇっ?」

すっかりビックリして言った。ウェンディが、あたしのコレに近寄りたいと思ったこと自体にビックリ。

「ねえ、いいでしょう! うふふ。事態が逆で、あたしにコレができたら、あなたも見てみたくなるはずよ!」

逆の立場になったら、どうしたいと思うか、正直、あたしには分からなかった。

「痛い思いをさせたりしないから」

ウェンディはじっとあたしの目を見つめている。本当に興味があるらしいのは明らか。

あたしはちょっと考え込んだ。見られたくないのは本当。でも、「イヤ」とも言いたくなかった。たった今、ふたりは心をうち解けあったばかりだもの。ウェンディとの関係を台無しにしたくなかった。

「いいわ……でも、注意してね。それ……敏感なの」

「ヤッター! 超注意するから安心して、約束する!」

ウェンディは、そう言うと、素早くベッドから飛び降りて、身体を反転させ、あたしと対面する形になった。


[2015/12/15] 願い事には注意して | トラックバック(-) | CM(0)

願い事には注意して (11) 

指には、それまでよりもずっとたくさん精液がついていた。指を口に入れた後、舌でこね回すようにして味わった。思ったより濃厚な味がして驚いた。舌を口の中の天井部分に当てて、こねるようにして、香りを鼻に抜けるようにさせた。

この味、好きだった。嘘を言っても始まらない。悪い味じゃないわ。

口の中のモノを飲み込んで、また指を身体に戻して、さらに新しいのをすくった。何を口に入れてよくて、何がいけないかなんてすっかり忘れ、今は、これを味わうことを純粋に楽しもうと決めた。どうせ、誰にも見られていないし、構わないと思った。

じゃにむに指で精液をすくっては、口に運ぶ。口の中、まだ味わってる最中でも、指を身体に戻し、新しいドロドロを探し、すくい取っていた。おへその水たまりからも、おっぱいからも、さらにはおちんちんの先端にも指を伸ばして、すくい取り、口に運んだ。

香りも味もすごく魅惑的だった。うまく言葉で説明できない。それに、興奮させるものでもあった。その存在を無視しようと頑張っていたけど、生温かい精液を飲み下せば、飲み下すほど、あたしのおちんちんは固くなっていった。そして、気がつくと、またも勃起して直立していた。

唇のところはヌルヌルまみれだったし、ほっぺたにも少しついていたけど、身体に目をやったら、テカテカに光ってはいたものの、いつの間にか、白濁はすっかり姿を消していた。知らぬ間に、全部すくって食べてしまったのだ。どんだけ食べたか、自分でも分からない。よっぽど、気が狂ったように貪り続けていたのだろう。

ペニスが疼いていたし、触りたいと思う自分もいたけど、最後の数滴を飲み下すと、突然、何だかおどおどした気持ちに変わってしまった。それに、身体のベトベト感が急に気になってくる。

「シャワーを浴びなきゃ」

自分におちんちんができていたこと、生れて初めてのペニスからのオーガズムを感じたこと、そして……自分が出した精液を食べたこと。そんな興奮が治まっていくのに合わせて、不思議と無感覚になっているのに気がついた。ついさっきまでおちんちんのことが気になっていたのに、射精をし、後始末を終えると急に無関心になる。男の人ってこうなのか? でも、味や匂いはまだ残っていて、その点でのドキドキ感はまだ残っていた。

ベッドを汚す心配がなくなったので、立ち上がった。大きなおっぱいがぶるんぶるんと揺れる。それと同じように、勃起状態のおちんちんもぶるんぶるんと揺れた。それを見て、ちょっとたじろいだ。

でも、今日はこのおちんちんのことは無視しようと決めた。もう、おちんちんについては充分遊んで楽しんだし、そもそも、こんなモノがあたしの身体にくっついてること自体、決して、正しいことじゃないのだ。今日は、この後は、いつも通りの生活をして、その後、リリスに取り除いてもらうよう頼もう。それで、この件は一件落着。

そう心に決めただけでも、ずいぶん気休めになった。いつか後になって、このことを思い出し、あたしは、そんなこともあったわねと大笑いするはず。それから、誰か彼氏を見つけよう。だって、アノ味、もっと味わいたいから。

そのように、おちんちんのことはさしあたり無視しようと決め込んだものの、たったひとつ問題があった。前にも言ったように、この大きなおちんちんが勃起していること。

もう、コレのことは考えまいと決めたのに、まだ勃起したままだ。勃起するなと思えば思うほど、逆にいっそう勃起してくるみたい。

椅子に掛けてあるタオルを掴んで、胸の周りを包んだ。大きなおっぱいのおかげで、胸のところ、タオルが大きく盛り上がって見えるのに、その胸の谷間の向こうに、もうひとつ大きな盛り上がりが見えて、がっかりする。ビーンっと突っ立ってるんだもん。

廊下に出てウェンディやウェンディの友だちに出くわしたらどうなるか、想像すらできない。あたしは部屋の中を見回し、テレビのリモコンとiPodを入れておいたバスケットを見つけた。それを取って、股間の前に被せた。どうして変なところにテントができてるのかを説明するよりも、どうしてバスケットを持っているのかのほうが説明しやすいから。

部屋のドアを開けて、首を出した。家の中は静かだし、誰もいない感じ。素早く部屋からバスルームまでの数メートルをダッシュ!! 

バスルームに入った後、すぐに鍵をかけ、バスケットを降ろした。そして、ふうーっと安堵の溜息をつく。

タオルを剥いで、シャワールームに入ろうとした時、鏡に映った自分の姿が目に入った。長い髪、愛らしい目、張りのあるおっぱい、曲線美豊かな腰、長い脚、そしてビンビン跳ねてる大きなおちんちん。

どうしてだか分からないけど、ふと、思った。これらの部分部分が一緒に組み合わさった自分の姿が、何と言うか……いい感じだなと。こんな格好でも大丈夫なのと自分に問いかけたわけではない。ただ、自分の姿を見て、「これって、何だか、セクシー」と自然に感じたのだった。

でも、そんなふうに感じたと自覚してすぐに、頬が真っ赤になるのを感じた。恥ずかしくなって、あたしは鏡を見ないようにしてシャワーに飛び込んだ。

シャワーを浴び、髪を洗った。身体を洗う時、下を見ないようにしたし、ペニスも洗わなかった。シャワーのお湯をかけてれば充分清潔になるだろうと思った。依然として、アレは存在していないと思いこみ続けたのだった。

シャワーを浴びていたのは、ほんの数分。すぐに出て、身体を拭いた。意識的に鏡は見ないようにした。こんな姿をセクシーだと思った自分が恥ずかしかったし、そういう気持ちになりたくなかったから。

タオルを身体に巻いて、ドライアーで髪を乾かした。それを終えた時、ちょっとだけ下を見た。そしてビックリする。だって、まだあそこが勃起したままだったから。

まあいいわ、コレのことについて悩むのは自分の部屋に戻ってからにしよう。今日は日曜日だから、気になったら、部屋に閉じこもって、外に一歩も出なければいい。退学になってるんだから授業の心配もない。

バスルームのドアの鍵を開け、ちょっとだけ開けた。聞き耳を立てたが、やっぱり静かなまま。

あたしは素早くシンクに置いておいたバスケットを取って、ドアを開け、もう一度、外をチェックした。誰もいない。びくびくしながら、つま先立ちで部屋へと戻った。歩くと、乳房とおちんちんが同じリズムで上下に揺れるのを感じる。誰もいないのに、顔が赤くなるのを感じた。

そうして自分の部屋に戻り、ドアを閉めた。

「ふうーっ!」

ドアが閉まる音を聞きながら、安心して溜息をついた。安心すると、すぐにタオルが気になった。これを巻いてると、おちんちんにも乳首にも擦れて、妙に気になってしまう。あたしはタオルを剥いで、床に放り投げ、素っ裸になった。そうしてベッドに腰を降ろした。

両手を後ろについて、身体を支え、ベッドの端に座る。両膝は閉じていた。その太腿の間から、おちんちんがニョキっと突っ立っていて、その根元には睾丸がふたつ並んでいる。おちんちんは勃起したまま、あたしの顔を見つめていた。

ダメだ、この変な状況、シャワーを浴びても全然変わらない。

その時、何かカチャリと音がした。そして、あたしは全身に鳥肌が立つのを感じた。

部屋のドアに鍵をしてなかった! ドアが勢いよく開いた!

「ねえ、ラリッサ、ジーナが帰ったの。それで……え? な、何?」

ドアのところ、ウェンディが立っていた。目をまん丸にさせてこっちを見ている。

あたしは必死に枕を探し、身体の前に置いて隠した。でも、遅すぎた。ウェンディはあたしの姿を見た後だった! もう何も考えられない!

「あう……あわ……あう……」

それしか言えなかった。陸に上がった魚のように口をパクパクさせるだけ。

ウェンディは長い間、ただあたしを見つめてるだけだった。瞳がガラス玉みたいになっている。顔には、困惑した表情を浮かべている。

しばらくした後、ウェンディはようやく、自分が見た光景を飲み込んだようだった。気が変になりそうなのを心配してるかのように、部屋の中を見回し、何かに気づいたのか、急に後ろを向いて部屋のドアを閉めた。

彼女が後ろを向いた時、黄色いサンドレスの裾が舞い上がった。その時、スカートの下の、彼女の綺麗な長い脚が見え、あたしは奇妙な興奮を感じた。

ウェンディは、またすぐにこっちに振り返って、あたしのところに駆け寄ってきた。目がギラギラしている。顔には、こんなこと信じられないって表情が浮かんでる。

「ラリッサ、いったいどういうこと? 本当に、どういうことなの?」

彼女は完全にショックを受けてる感じだった。あたしの真正面に立って、あたしのおちんちんを見おろしていた。

「あたしは……あたしは……」

何か言おうとしたけど、何を言ったらいいんだろう? こんな状況に備えることなんて考えていなかった。

「こんなことおかしいわよね。何と言うか、これってあなたの身体なわけないんでしょ? これまでも、バスルームとかで、あなたがドアの鍵をかけ忘れてて、あたしがあなたが着替えてるところに入ってしまったことが何度もあったわ。そんな時、あなたの身体を見てるもの。あなたにコレがついてたりなんかしてなかったのは、ちゃんと知ってるもの。あなたは……何て言うの? シーメール? そんな人じゃないこと、ちゃんと知ってるもの。いったい何が起きてるの?」

ウェンディは、このここまで全部、一息で言った。頭に浮かんだことを全部、そのまま口に出しているのは明らか。

あたしは、おどおど、ドキドキしてて、身動きできなかった。それにウェンディにこんなに近くから見られていて、恥ずかしすぎる!

彼女は、その後もいくつかわけのわからないことをしゃべった後、しゃべるのをやめて、あたしの顔を見た。

「あたし……、あたし……」

また話しだそうとしたけど、話しが出てこない。こんな最悪の悪夢、ありえない! もともと、ひと付き合いが苦手で、それに不安を抱えていたというのに、その不安感がいっそう強化されてしまう。だって、ルームメイトがいきなり部屋に入ってきて、女の身体のはずのあたしに巨大なペニスが生えているのを見られたんだもの! ああ、もうお終い!

「どこか悪いの? お医者さんに行く? それとも……これ、意図してしたことなの? ラリッサは、男か何かになろうとしているところなの?」

「違うの、あたし……」

返事しようとしたけど、ウェンディは話しを続けたままだった。

「でも、だったらどうして豊胸手術をうけたの?」 と彼女はあたしの胸を見ながら言った。

「ラリッサの胸は小さかったはず。これ、本物じゃないわ。でも昨日は、あなたはワンダーブラをつけていなかったわ。ほんと、すごい胸! でも……もしあなたが男になろうとしているところだとして、どうして、こんな大きなおっぱいをつけてもらったの? 本当に、本物っぽく見えるわ!」

ウェンディの話しのスピードはますます速くなっていた。もう、話しながら、狂乱状態になっている。そして、あたしはと言うと、それに合わせて、ますますおどおどした状態になっていた。

こんな状況のもとでは、黙ったままでいることの方が、話すことより悪い結果につながると思った。今の状態だと、何にもならない!

「ウェンディ! ストップ!」

「あっ……」

ウェンディは夢から覚めたみたいに、頭を振った。そして、またあたしのおちんちんへと目を降ろした。でも、もうしゃべるのは止めている。

「ああ、えーっと、うーん……全部、説明するわ。だから、ちょっと落ち着いて」

ウェンディは素直に頷いた。

あたしはおちんちんに目を降ろした。あたしの身体の中で、唯一、女性的に柔らかくなっていない部分がココなのね。まだ、カチコチに勃起している。いったい、これからどう話したらいいだろう? 考えなくちゃいけない。

ウェンディには疑問に応えると約束してしまった。どう言ったらいいだろう? このおちんちんをつけてもらうよう、悪魔に魂を売ったなんて言えっこない。たとえウェンディが悪魔の話しを信じてくれたとしても、どうして、こんなおちんちんを願ったのか、その理由を知りたがるだろう。

手術を受けたみたいな角度から話しても、やっぱり同じ問題にぶちあたる。加えて、ウェンディの言うとおり、ふたつの大きなおっぱいと、大きなおちんちん1本は全然、理屈が通じない。

胸が苦しくなってきたし、手に汗を握ってる。苦しい…まるで完全にアレになったみたいに。そう……

「病気!」

そう叫んでいた。

そして我に帰って、一度、咳払いをした。

「……とても珍しい、先天的な病気。白人女性の35万人にひとりにしか生じない病気。さらに最悪なのは、その病気になっているかどうかは20代にならないと分からないらしいの。その病気にかかってるかを知りたければ、子供の時に遺伝子検査を受けなくちゃいけないんだけど、それって、とても高額なの。この病気のことを知ったのは、あたしの遠い叔母さんが、この病気にかかっていたから。でも、子供のころに遺伝子検査を受けた時、結果は、この病気にかかってるかどうかは50%だと言われたわ。だから、誰にもこのことは言わなかった。症状が出ないようにと、ずっと祈り続けながら、黙っていたの。だけど、最近……ウェンディも分かったように、症状が出てしまったのよ」

これまでの人生で、こんなホラ話をスラスラ言えたことは一度もなかった。今の話し、筋が通っているかどうかも分からなかった。ただ、話し始めたら、スラスラと出てきた。あたしは、ウェンディに見えないところで、指をクロスさせた。

何秒か、ウェンディはただ茫然とあたしを見つめたままだった。でも、その後、急に瞳の表情が柔らかくなった。

「それじゃ、それって……医学的なことなのね?」

あたしは安堵してホッと息をついた。どうやら、信じてくれたみたい。それに、何か恥ずかしい病気の状態になったとして、ルームメイトになら、それを秘密にしてくれるよう頼むことができるはず。そうよね?


[2015/12/10] 願い事には注意して | トラックバック(-) | CM(0)

願い事には注意して (10) 


第3章 キンタマ

翌日、日曜日。あたしは昨日の朝よりはちょっとだけ早く目が覚めた。でも、この日も、ぐったりした目覚めだった。昨日は二日酔いのような感じだったけど、今朝は寝すぎた感じの目覚め。

目を擦って頭を振った。昨日の朝とは違って、朦朧とした感じはなかった。昨日の夜に起きたことはすべて明瞭に覚えている。リリスが来たことも、ふたつ目の願い事をしたことも。

堂々と肝が据わった性格になっているのか、ウェンディに会ってみようかとか、街に出て誰かに話しかけてみようかとか思った。テストしてみたかった。

でも、自分が本当にそういうふうに性格が変わったのか……「キンタマ」がついた感じの堂々とした性格になったのか、自分でもよく分からなかった。

いつもと変わらない感じ。試すためには、他の人がいるところに行かなければならないのかもとも思った。

毛布を腰のところまでめくって、ちゃんと胸があるのを見て嬉しかった。まだ、たったの二日目だけど、やっぱりこの胸が大好き。とても綺麗。しかも、またジンジン痛み始めている!

昨日、自分のおっぱいを吸ったときの快感が大好きだったし、もう一度、して見たいと思った。今度はフィニッシュのところをリリスに邪魔されないだろうから。

自然と笑顔になって、身体をベッドの背もたれにズリ上げて、首を前に倒す姿勢になった。多分、これから毎日、これをすることが毎朝の行事になるだろうなと思った。

片方の乳房を持ち上げて、小さなピンク色の乳首を唇のところに引っぱり上げた。前よりも今回は楽にできた。どうすればよいか会得したから。繰り返すうちに、どんどん楽になっていくだろうと思った。

固くなった小さな突起を口に押しつけた途端、ゾゾっと電流が身体を走り、ぶるっと身体が震えた。目を閉じて、その快感を味わう。乳首を吸い始めると、すぐに濃いミルクがあたしの口の中を満たし始めた。

「ああ、いいわぁ!」

乳首を咥えたまま、思わず声が出てくる。自分の身体がこんなに美味しいモノを産出するなんて! その甘さを堪能した。

そして飲み始めると同時に、身体の奥から、あのじんじんする疼きが湧きあがってくる。オーガズムに徐々に登りつめて行く、あの疼き!

ゆっくりと安定したリズムでおっぱいを吸い始めた。ミルクが乳房から出て、喉の奥へと流れ、そこを通って行く感覚を味わう。

昨日と全然変わらない強烈さ! 最初はゆっくりとしたペースで行こうと思っていたけど、やっぱりそれでは我慢できなくなっていった。吸えば吸うほど、もっともっと欲しくなり、だんだんスピードが上がっていく。気持ちの上ではゆっくり味わいたいと思っているのに……。

そして、何分もしないうちに、片方の乳房が空っぽになってしまった。でも、あたしは目を閉じたまま、高まった興奮が鎮まる前に、素早く空っぽになった乳房を離して、もう一方の乳房を唇に押しつけた。慣れた調子で吸い始めると、すぐに温かくて美味しい液体が口の中に溢れてくる。

こちらも、最初はゆっくりと、優しく、そして一定のリズムで吸い始めた。味が前より甘さを増してる感じがした。糖分が最後の一滴まで行きわたっている感じ。

自分の乳房を口に咥え、ミルクを吸いながら、あたしは、ああん、ああんと声を上げ、ベッドの上、身体を自由気ままにクネクネさせ悶え続けた。心臓の鼓動が速くなってるのを感じた。あそこの方でも快感を得たいと思った。

ベッドの上、ちょっと姿勢を整えようと動いた時だった。何かいつもよりパンティがキツイ感じがしたのだった。どうしてそんな感じがするのか分からなかった。それが気になって、思いっきり絶頂に登ることができない感じ。ひょっとすると、知らないうちに身体を動かしすぎて、パンティが丸まって股間に食い込んでいるのかなと思った。

あたしは乳首を咥えたまま、掛け毛布を剥がし、目を開いた。

脚の間に目をやり、すぐに眉をしかめた。夜の間に、あたしはいつの間にかパジャマを履いていたのだろう。それはよくあることなので、不思議ではなかった。不思議だったのは、脚の間に大きな盛り上がりがあったこと。まるで、パジャマの前のところに何か詰め物でもしてるみたいになっている。

それが何なのか、ぜんぜん分からなかった。あたしはちょっと不安になりながらも、口に咥えたままの乳首を吸って、少しミルクを吸いだした。

その瞬間、ちょっと驚いて、思わず身体がビクッとなった。だって、おっぱいを吸うのに合わせて、パジャマの中のモノがビクッと動いたから。

でも、その時は、オーガズムに向かって一直線に駆け上っている途中だったので、途中で止めることができなかった。あんなに絶頂に近づいていなかったら、途中で止めていたと思う。心配になって止めていたと思う。

でも、その時は頂点が間近になっていた! 身体の奥に快感がズンっと蓄積されていて、すぐに解放してと叫んでいたし、ミルクもすごく美味しくて、途中で吸うのをやめるなんて、とてもじゃないけど、できっこない!

でもパジャマの中のモノも気になっていた。空いてる方の手を脚の間にもっていき、ショーツの端を掴んだ。そうして、最後のひと吸いとばかり、乳房を強く吸って、最後の一滴を吸いだすと同時に、ショーツを引っぱり降ろした。

熱を帯びて、全身を包みこむようなオーガズムが襲ってくるのを感じた。同時に、露わにした脚の間に目をやった。

それまで、あたしはオーガズムに達した時の、泣き声に近い喘ぎ声を上げていたと思う。でも、その声は、すぐに、頭の中が混乱した時のうめき声に変わった。

あたしの脚の間から顔を出し、あたしの顔を見ていたのだ……おちんちんが!

固くなった15センチくらいの、皮が向けたペニスが、ショーツの中から突き出ていて、あたしの顔を見つめている! ビクンビクンと跳ねながら!

あたしはビックリして、ハッと息をのむ声を出した。でも、それと同時に、あたしはオーガズムの頂点に達し、全身の筋肉がぎゅーっと収縮する感じになり、強烈な解放感が全身を襲った。昨夜のそれに比べても強烈で、これまでの人生で最大級の破壊力!

ぐはあぁぁぁっ! とても女の子のあたしが出した声とは思えないような声を出していた。そして、一瞬、脚の間にできていた不思議なモノのことが頭から消えた。

でも、頭から消えたのは、文字通り、一瞬だけだった。目を閉じたままだったし、口も開けたまま、ああー、ああーっと声を出して、強烈なオーガズムに浸っていたけど、そうしながらも、何か熱いものが飛んできて、まぶたや鼻、それに開けたままの口に振りかかるのを感じる!

ビックリして目を開けた。そして、あたしの身体についたペニスから、白いものがたくさん、ビュッ、ビュッと噴射してくるのを見たのだった!

驚きのあまり、身動きすらできなかった。でも、感じることはできた……これって、精液? 自分の身体から出てるのは分かる。さらに噴射は続いていて、乳房やお腹に振りかかってくる。あたしは本能的に口を閉じた。

そして味わったのである。多分、あたしは、それが何であれ、口の中に飛び込んでいたのに気づいていなかったのだろうと思う。ほんの数滴だったとは思う。あたしは、バージンだし、精液を味わったことなどないし、それを味わうことすら考えたこともなかった。

味はと言うと、少ししょっぱい感じだった。濃厚な味。口の中に残っていたミルクの甘さと混じり合って、不思議な風味がした(けれど、不快な味では決してない)。むしろ、美味しいと思った。何が起きてるか、完璧に頭が混乱していたものの、味についてそう思ったのは本当だった。

ゆっくりとだけど、オーガズムで頭が朦朧としてる状態から回復するのにつれて、あたしは自分の状況に対する意識がはっきりしてきた。オーガズム状態の時は頭の中が混乱して朦朧としてるけれど、でも、意識がはっきりしてくるにつれて、いっそう頭の中が混乱状態になっていく。これってどういうことなの?

自分の身体に目をやった。身体じゅうに、どろっとした白い液体がついていた。大きな乳房には、両方とも、そういう紐状の白いものが幾筋もあって、覆われている。お腹の方にあるのはもっと濃くて、おへその窪みには水たまりまでできていた。ちょっと身体がベトベトしている感じ。

指先でそれをなぞってみた。濃くてベトベトしている。でも、温かくて、触った感じもそんなに悪くない。むしろ、肌に擦りこんでみたら、ちょっとヌルヌルしてて気持ちいいとも言えた。

あたしはポルノをよく見ているから知ってるけど、これって、かなり量が多い。ビデオで男の人が出すのを何度も見たことがあるけど、こんなにたくさん出したのは見たことがない。

でも、白濁をいじってるのは、ただの気休めで、本当は、もっと本質的にわけが分からない存在を見たくないからだというのも自覚していた。でも、それは避けては通れない。あたしは勇気を振り絞って、胸やお腹の先にあるモノに目を向けた。

そう……ペニス。おちんちん。

それがおちんちんであるのは充分知っている。ポルノビデオはいっぱい見てきてるから、ペニスがどんなものかちゃんと知っている。それがあたしの身体にくっついて何をしているのか? それが分からないだけ。

単にあたしの身体に乗っかってるだけなのかとも思っあたしの身体に付いてるのじゃなくって、あそこに沿う形で立っているだけじゃないかって。

そんなこと変すぎるのは分かっているし、実際そうだったら、もっと気持ち悪いだろうけれど、その時のあたしは正常な精神状態じゃなかったから。

あたしは、おへその溜まりをいじっていたけれど、その指をゆっくり下腹部へと這わせていって、おちんちんの先端へと持って行った。そして指先でそこを触れた。その瞬間、身体がビクッとなった。

感じる! 昨日のおっぱいの時と同じ! 指先が急速に柔らかくなっていくおちんちんに触れた感触を感じたと同時に、その指先に触れられたおちんちんの方も感じたのだ。この不思議な感覚!

そのおちんちんは今はすっかり柔らかくなっていて、固かった時に比べると驚くほど小さくなっていた。あたしは指先でそのおちんちんの先端をつまんで、持ち上げてみた。先端をつままれて、痛みを感じ、あたしは指を離した。ソレは、下腹の肌にびちゃって湿った音を立てて倒れた。

急に恐怖感が身体の中に湧いてくるのを感じた。ほとんどパニックと言ってもいい。

「何てこと……」

そう呟きながら、頭の中、ある考えが生れ出てくるのを感じ、ペニスの根元へと手を伸ばした。何か熱いものが手に触れた。柔らかくて、しわくちゃの肌……。

「た……タマタマッ! ああ、何と! こんなはずじゃ……」

そう叫んだ時、突然、電話が鳴った。

弾丸のように視線を携帯電話に飛ばした。ベッド脇のテーブルに置いておいた電話。

手を睾丸から離した。睾丸? ああ、考えたくもない!

電話を取ろうとしつつも、自分を罵っていた。どうしてあたしはこんなにバカなんだろう! 特に、最初の願い事の時に母乳を出すおっぱいのせいで大変なことになったのを経験したばかりだというのに(まあ、それは嬉しい喜びに変わったけれど)。

電話を掴もうとした時、指が精液で覆われているのに気がついた。指を見ると、白い液体がべっとり付いていてキラキラ光っている。これで電話を握りたくない。でも、ベッドで指を拭うのもイヤだった。

電話は鳴り続けていて、どうにかしなければならなかった。結局、あたしは、切羽詰まって、指を口に入れ、ついた液体を舐めだした。すでに口の中にはミルクの残りが消えていたので、前よりずっと塩辛い味だったし、指についている量は、さっき味わったよりもずっと多かった。

ピリピリした、ちょっと野性的な味がしたけど、正直、不味くはなかった。別にこれを舐めるのが好きなわけじゃなかったの、と自分に言い聞かせ、自分に嘘をついてることを無視して、電話を握った。

666の番号。リリスからだ。リリスに文句を言ってやる! こんなのあたしが求めたものじゃないのは明らかじゃないの!

「もしもし? イエローストーンはどんな感じ?」

あの妙に妖艶な声。リリスは、いつもあたしをバカにする言い方をする。

「イエローストーン? 何よ?」

「オールド・フェイスフルは?(参考)……ちょっと、これって、別にポップカルチャーでしか通じないことじゃないと思うけど?……まあ、別にいいわ。あんたのふたつ目の願い事がかなって、どんな調子か知りたくて電話しただけだから」

「ええ、ええ、すごく面白いことですこと! リリス」

あたしはリリスのことを恐れているのも忘れ、そう言った。でも、リリスはあたしの返事に別に怒っているふうでもなかった。電話の向こう、邪悪そうにケラケラ笑うだけだった。

「で? 何が問題?」

あたしはベッドの上、動けずにいた。動いたら、そこらじゅうに精液がくっついてしまう。なので、ただじっと横たわったまま、リリスがあたしをからかうのを聞いていた。少なくともあのペニスだけは見たくないと、目を閉じて聞いていた。

「分かると思うけど、あたしがキンタマと言った時、こんなモノを意味したわけじゃなかったのよ!」

そう叫んだ。電話の向こう、ちょっと沈黙状態が続いた。そしてリリスがしゃべりだした。

「あら、ごめんなさい」 本当にすまなそうな声で言う。「あんたがキンタマって言ったのは知っているけど、でも、あんたがそれが欲しいと言った時、棒の方も合わせて欲しいと言ってると思ったのよ。だって、タマが2個、ただぶら下がってるって、どう見ても変じゃない?」

「何言ってるの!」

リリスが何を言ってるのか理解するのにちょっと時間がかかった。そして、言ってる意味が分かると、あたしはさらに腹立たしくなった。

「そんなことじゃないの! つまりね、あたしは比喩的な意味でキンタマと言ったのよ! 勇気とか堂々と意見を言える肝っ玉とか、そういう意味で! 睾丸が欲しいなんて言わなかったわ!」

「あんたが何を言ってるか分からないフリをしなくちゃいけないとでも?」 突然、リリスは真剣な口調に変わった。「願い事をする時には注意しろって、あれだけ言ったのに。あんたがキンタマが欲しいというから、それをあげたのよ。比喩とやらは、どっか別のところから出てくるものでしょ? 人がそういう意味でタマという時、暗黙のうちに睾丸のことを言ってるものじゃないの? 別にサッカーのボールのことを言ってるわけじゃないでしょ?」

もちろん、リリスの言うとおりだった。すでに経験から、リリスの場合、少しでも抜け道を残しておくと、必ず、そこに付け込んでくるのをあたしは知っていた。

「ええ、それはそうなんだけど……」

敗北した気持ちでそう答えた。電話の向こう、リリスは笑っていた。過度に残酷っぽい笑いじゃなかったが。

「まあ、少なくとも、前より賢くなってきてるんだからいいじゃない。繰り返すけど、もし気に入らなければ、今夜、それを捨てる願い事をすることはできるのよ」

「もちろん、いらないわ。なくして! これっておっぱいとは話しが違うんだから」 とあたしは白い精液で覆われた乳首を見ながら言った。

「ちょっと、まだ言っちゃダメよ! あんたには、素敵なのをあげたのよ! 巨大ではないけど、あんたの身長にしては大きめのをね。性別ぬきで、その身体にしては大き目よ。加えて、もし、あんたがあの種の行為にのめり込んだら、あんた、精子製造工場並みにいっぱい出せるようになってるんだから」

「どういう意味?」 とあたしはうんざりした気持ちで訊いた。

「何言ってるの、隠さなくても知ってるんだから。あんたがもう試したことを。あの量、並みの量じゃなかったでしょう? 240ccはあったんじゃない? あんた、自分のミルクを飲んだでしょ? あんたのミルク、あんたが出す精液と不思議な反応をするの。今後もたくさん出るはずよ」

「ああ、素晴らしいことですこと」 と別に興奮もせずに答えた。

「そういうことにハマる人もいるのよ」

「あたしは違うわ!」 とあたしは断固として言った。確かにあたしのヘマのせいでこうなったかもしれないけど、だからと言って、怒りが収まったわけではなかった。

「あら、ミルクがでるおっぱい、気に入っていないような言い方ね?」 とリリスが言った。

まあ、確かにリリスが言ったことは正しい。でも……。

彼女に何か言いかえそうと思っているうちに、リリスが先を続けた。

「まあ、あんた、家の中をちゃんとしなければいけなそうね。今は、ちょっとどんな様子かチェックするために電話しただけだから。いい? あたしは何だかんだ言っても、あんたの友だちなんだから」

リリスはそう言って、またケラケラ笑い、そして電話を切ってしまった。


あたしは携帯をテーブルの上に戻し、仰向けになって、しばらく天井を見つめた。

こんなの完全に狂っている。昨日、あたしは大きな乳房を獲得した。その変化は大きな変化だったけれど、別にあたしのアイデンティティを変えたわけではない。あたしは女のままだったから。胸が大きくなっただけで、女だというところに変化はなかった。

それに対して、今のあたしは何なの? 男ではない。でも、女と言える? シーメールになった? そのいずれも筋が通らない。

ひとつだけ、はっきり分かっていることは、今すぐ身体をきれいに洗いたいということ。自分の身体を見てみた。全身、ドロドロに覆われている。

何か手元に身体を拭くものがないかと、部屋の中を見回した。でも、何もない。いま立ち上がったら、身体についた精液が全部流れおちて、ベッドをベトベトにしてしまうのは明らかだった。それはイヤ。フラストレーションがたまってくるのを感じた。そうでなくてもひどい一日になっているのに、イヤなことが加わっている。

本当にどうしよう? できることはなかった。あるとすれば……

「仕方ないか……」とあたしは溜息まじりに独り言を言った。「もうすでに2回味わってるわけだし、そんなに気持ち悪くもなかったし……」

このドロドロを処理できるところは自分の口の中しかない。別に興味があるわけでもないし、変態的に興奮してるわけでもないんだからね、と自分に言い聞かせた。本当は、すでに2回も味わってるし、その2回とも、妙に美味しいと思ったのだけど、その2回で好奇心は満たされていて、これから、このドロドロを舐めるのは必要に迫られてなのだと、必死になって自分自身を納得させようとしていた。でも、なぜか胸がドキドキしていたのだけど。

左の乳房から始めた。乳首の下のところに、大きな塊があった。指をカギ形にして、固くなっている乳首のところから塊をすくった。

その精液は前よりは冷めていたけど、あたしの体温のおかげで、まだ温かさが残っていた。その時、指が乳首に触れ、気持ちいい。また電流が身体を走る。ペニスまで少し反応したのを感じた(無視したけど)。ああ、また思い知らされた。あれはあたしのペニスなのだと!

指を顔に近づけた。濃度が濃いようで、指にしっかり乗っかっていた。ブラインドから射しこむ陽の光に照らされて、キラキラ輝いていた。真珠のような色形をしていて、パソコンで見る過剰な照明のポルノ動画で見たのほど、不自然なものにも見えなかった。

指を鼻に近づけ、クンクンと嗅いでみた。自分から進んで触れたいと思わせるような匂いではないが、どこかお馴染みと思わせるような匂いがかすかにあった。あたしは、それ以上ためらうのをやめ、思い切って指を口に入れた。


[2015/12/07] 願い事には注意して | トラックバック(-) | CM(0)

願い事には注意して (9) 


上下の唇で強く挟んで、口を掃除機のようにして吸いこんだ。そうすると、前にした時と同じ強烈な解放感が襲ってくる。でも、今回は前よりもスゴイ。ミルクが強い噴流となって出てくる。前にした時に一番強く絞った時よりも、強い噴流。ビュビュッと口の中に飛んできて、中で砕ける感じ。

最初に感じたのは鼻孔に広がる香りだった。フルーティと言ってもよいような香り。次に、口の中が液体でいっぱいになってきて、ほっぺたが膨らんでくる感じがした。口の中で舌を回して、味わってみる。前にうっすら感じた、超甘いメロンの味がする。でも今回は量的に圧倒的。舌全体がそれに包まれ、その後、すんなりと喉を下っていく。ベタベタした感じはまったくなく、最高の喉ごし。自分の乳首を咥えたまま、あたしは、んんーんとうめき声をあげ、ベッドの上、身体をくねくねさせた。

もう一度、強く吸うと、またミルクが口の中にビュッと飛んでくる。快感が全身に波状攻撃。小さなクレシェンドで盛り上がってきて、また軽やかに弾む。この快感、あたしの身体の中から溢れてくる快感なのに、あたしを舞い狂わせて、楽しんでいるみたい。

あたしは思わず絶叫の悲鳴を上げた。外にいる人に聞こえてなければいいけど、と願った。

もっと欲しい! 滑らかに、ちゅうちゅうと続けて吸うことに決めた。一定のリズムで吸って、ミルクを口の中に吸いこみ始める。吸うたびにミルクが口の中に流れ込んできて、喉を下っていく。

もっと重要なことは、自分の母乳を吸いながら、身体の奥で、お馴染みのじんじんした疼きが高まってきてることだった。あそこをいじって感じる感覚と同じ感覚が高まってくる。あたしは自分の乳首を咥え、自分の母乳を吸いながら、ベッドの上、プルプル震えていた。目を閉じ、いま経験している不思議な感覚とその快感の大きさをじっくり味わおうと思った。もっともっと吸って、もっともっと味わって、そして……何もなくなった。

もう一度、吸ってみたけど、何もない。強烈な絶頂に向かって高まっていたところだったのに、徐々に、鎮まりはじめていく。

最初、ちょっと困惑した。バカなこと言っているように聞こえるのは知ってるけど、あたしは、自分のしてることにすごく夢中になっていて、本当に何が起きたか理解できずにいたのだ。

ちょっとがっかりして、乳房を口から出した。あたしの唾でテカテカに光ってる。けど、ミルクはなかった。そして、すぐに、何が起きたか理解したのだった。もう出しきっちゃったということ。

飲んだミルクでお腹が少しいっぱいに感じたけど、それは無視して、素早くもう一方のおっぱいを手に取り、口の中に押しこんだ。まるで、おしゃぶりを掴んだ赤ちゃんのように。

勃起した乳首を口に入れ、すぐに、一定のリズムでちゅうちゅう吸い始めた。さっきの乳房で試していて、とても気持ちいいと分かってるやり方だ。

そして、それを始めると瞬時的に、あたしの身体の中の緊張感が募り始めた。じんじんと疼いて、やがて絶頂に導かれていく、あの緊張感! きつめのショーツを履いていたので、ベッドの上、身体をくねくねさせると、それに合わせてショーツの生地がクリトリスを擦る感じになる。

その時、アッと思った。あたし、自分の持ち物の半分しか使っていないじゃないの! あたしには手がふたつあったんだ!

左手で乳房を口に持ち上げる一方で、右手を素早く股間に持っていった。指をもぞもぞさせて、ショーツの腰バンドの中に潜らせた。あたしの指たちは、あたしのすべすべした無毛の丘を下って行って、あそこの唇へと到着した。

びちゃびちゃ! それに、いつもよりねっとりしてる。

いったん、指を優しくバギナの中に入れて指を濡らした。それから戻って、固くなってる小さなクリトリスを見つけた。それに触れた途端、思わず悲鳴を上げた。その衝撃に、思わず乳首を強く吸う。

でも、それもつかの間。すぐに一定の、あたしにとっては完璧と言えるリズムに戻っていた。これがいいの! 最高なの!

舌で乳首を弾き、口でミルクを吸い取りながら、指はクリトリスを相手に踊り続ける。

前にキッチンで感じたオーガズムの時は、クリトリスへの仕事はしていなかった。それに比べると、コレは! 多重の攻撃!

身体が勝手に動き、どんどん速度を上げてくる。ほとんど何も考えられなかった。頭の中が真っ白になっていく。クリをいじる指はすごい速さでプルプル動いているし、自分の乳首にむしゃぶりついて、すごい勢いで吸っている。あんまり速く吸うもんだから、ミルクが口から溢れて、頬や首を滴り流れていた。

まるで、最初からずっとオーガズムを感じ続けていたような感じだった。何と言うか、ずーっと絶頂状態に達し続けていたんだけど。でも、本当は、それは序章にすぎなくて、とうとう、トドメのオーガズムが発生したのだった。

始まりは、喉の奥からだった。吸いだしたミルクをゴクゴク音を立てながらお腹の中へと流しこんだのだけど、その瞬間、全身が痙攣しだして、目も三白眼になった感じがした。そして強力な熱が乳首のあたりから湧き上がってきて、全身をぎゅーんと貫いて、一直線にクリトリスを直撃したのだ。

とたんに、何もかもが美しくてたまらなくなった。オーガズムを越えた経験だった。圧倒的な多幸感と純粋な快感に全身が包まれる感覚。「美」を感じた。あたしは口を開き、大きな溜息をついた。それに合わせて、空っぽになった乳房が口から離れ、元の位置に戻った。

本当の意味での絶頂に到達し、そして、ゆっくりと興奮が引いていく。思わず、叫んでいた。

「ああ、神様!」

「ぶぶーっ! はずれ!」

うっとりと目を閉じて休んでいるところに、ベッドのふもとの方から聞き覚えのあるセクシーな声が聞こえた。一瞬、ウェンディかジーナの声かと思ったけど、もちろん、あたしもそんなバカではない。それまで感じていた多幸感が一気にしぼんで、肌がぞわっと強張った。手を脚の間からぱっと離して、目を開いた。

最初はあたりの状況がつかめなかったけど、すぐに、リリスの姿を認めた。ベッドの先に立っている。片手をベッドについて、もたれかかり、尻尾を誘惑的に振っている。リリスはあたしのことをじっと見つめていた。目が燃えるような赤色をしていた。

「もうイヤ!」 あたしはそう叫んで、ベッドの中、跳ねるようにして身体を丸め、両膝を抱えた。

リリスは勝ち誇ったようにあごを突き上げ、ケラケラ笑って、ゆっくりとベッドの横へと回ってきた。

「あなたは、登場するときは、大きな音を立てて、床をぶち破って出てくるものだと思ってたけど?」

リリスは人間ではないとは分かっていたけど、彼女にオナニーしているところを見られて、ひどく恥ずかしい気持ちだった。それにリリスに会うのがちょっと居心地悪い感じもしていた。昨日の夜にリリスが来たわけだけど、あたしは本気でリリスが実在するとは思っていなかったと思う。夢かなんかに違いないと。でも今は彼女が本物だと知っている。危険な存在なのだと知ってるし、セクシーだなとも感じる。

リリスはベッドの横に来て、あたしの隣に腰を降ろした。そしてあたしの手首を握った。彼女の熱を感じる。

「あたしには、したいことを何でもできるの。今夜は、わざとらしい劇的な登場をする必要がなかっただけ」 

と、リリスはつまらなさそうに言った。そして、握ったあたしの右手を顔に近づけ、ニヤリと邪悪な笑身を浮かべながら、あたしの指先の匂いを嗅いだ。彼女の口から長い舌がにゅるりと出てきて、あたしの指に巻きつき、そこに付着している愛液を舐めはじめた。

確かに不思議に気持ち良かったけれど、まだ怖かったし、思わず手をひっこめた。そして、また、両膝を抱え、体育座りの姿勢に戻った。リリスは片眉を持ち上げてあたしを見た。

「おや? あたしたちお友だちだと思っていたけど?」 と唇を尖らせて言う。

「どうかしら」

「傷つくわねえ」 とリリスは、さして傷ついてもいない声の調子で言った。そうして、ベッドにごろりと転がり、あたしの隣に横になった。

「でも、あたしに言わせると、あんたは、今日は嫌っても、明日には好きになるような傾向があるみたいだし」

そう言って、あたしの腕の中に手を伸ばし、乳房を軽くつねった。痛くはなかったけど、気持ちよくもなかった。あたしは身体をよけ、リリスを睨みつけ、囁き声に近い声で言った。

「やめて」

「で? おっぱいを取り除いてほしくないの? 今朝は、ずいぶん、はっきりと言ってたけど」 と、またあたしの胸をつねった。

「いえ、あたし……気が変わったわ」

「大事なものになってきたということ?」 と言ってリリスはまた笑った。「ごめんなさいね。ちょっと悪かったわね」 でも、やっぱりケラケラ笑い、あたしの胸から手を離した。

「このままにしておきたいわ。ありがとう」

ちょっと気分を取りなおして、そう答えた。リリスはかなり上機嫌のように思えた。

「あんた、ずいぶん、おっぱいを楽しんでるみたいじゃない」 リリスにそう言われ、あたしは顔を真っ赤にした。

「いいってことよ。気にしないで。あたし、そういうことに引っかかるタイプじゃないから」 と、リリスは、何でもないことのように宙空に目をやった。

また、何だか恥ずかしい感じがした。こういう状況なので、恥ずかしさもへったくれもないとは思うけど、やっぱり恥ずかしい。「ああ、神様、どうしたらいいの?」とか言うのが普通だろうけど、これから自分の魂の3分の2を売ろうという時に、神様のことを口に出すのも、あまり気乗りがしない。

時計を見たら、まだ9時になったばかりだった。

「今夜はちょっと早いんじゃない?」

話題を変えようと思ってそう言った。リリスも時計を見た。

「ふたつ目の願い事、いまからでもいいわよ。別に願い事に都合の悪い時間なんてないし。どうして? あんたの友だちに聞かれるのを恐れているの? 心配無用よ。あたしは人に見られたいと思った時にしか見えないから」

「あの人たちはあたしの友達なんかじゃないわ」

打ちひしがれた気持ちを隠しきれなくて、吐き捨てるような声の調子になっていた。とは言え、ウェンディたちが家の中に入ってくる様子でもないのは嬉しかった。こんな状況を見られたらどうなることか。

「あら、友だちじゃないの?」 リリスは本心から驚いた顔をして言った。「つまり、こういうこと? あの人たちが、あんたの大きなおっぱいを見て、お友だちにしてくださいとひれ伏して懇願すると思ったのに、そうならなかったということ?」

まさにあたしが想像していたことをリリスが知っていたこと、そして、そうならなかったことをぜんぜん驚いていないのは、明らかだった。

「どうなったか、知ってるんでしょ? 分かるわ」

そういうとリリスはにんまりした顔であたしを見て、ベッドから降りて立った。あたしは抱えていた両膝を離した。リリスはゆっくりと部屋の中を歩き始めた。ゆっくり行ったり来たりを繰り返しながら、視線はずっとあたしに向けている。

「まあ、正確に何がまずかったのか言ってごらんよ」

そう言われても、あたしは、その質問に答えたくない気持ちだった。でも、仕方ない。がっくりと肩を落として話し始めた。

「ずっと前からあこがれていた外見に変わったら、不安感も消えるだろうって思っていたのよ。でも、間違っていたの……」

リリスは行ったり来たりを繰り返していたが、あたしの正面に来た時、口を開いた。

「ということは、正確に、あんた、自分に何が欠けていると思ってるの? 何を出せばあんたの助けになると?」

ちょっと時間をかけて考えてみた。外面的なことじゃない。内面的な何かが欠けているのは明らかだった。あたしを引っ込み思案にしているのは外見じゃない。何か別のモノ。

「分からないわ。社交の場では隅っこに引きこもりたいと思うし、何か発言を求められるような場面になると、いつも、バカなことを言ってしまう」 と頭を振った。

リリスは歩き続けていて、また、あたしの正面に来た時、立ち止って言った。

「いつもバカなことを言ってるのに、おしゃべりし続けて、友だちを作っている人間は山ほどいるわよ」

あたしは不思議そうな顔をしてリリスを見上げた。リリスがそういうことを言うとは思っていなかったから。リリスはそんなあたしの反応に気づいたみたい。

「あたしはね、あんたに正確にお願い事をしてほしいだけよ。今回は、紛らわしいところがないように」

あたしは頷いた。実際、とても親切な助言だわ。

そして考えた。社交面で引っ込み思案なところ。リリスにそう言われたけど、その通りだ。問題は、あたしがおバカなことを言うとかするとか、そういうところにあるのではない。問題は、あたしが、バカなことを言うまいとか、おどおどするまいと思うあまり、あまりに神経質になって、そもそも、何もできなくなってしまうところだ。

「でも、確かにあなたの言うとおり。バカなことを言うとかそういうところが問題じゃない。何と言うか、あたしに必要なのは……自信かも」

リリスはそれを聞いて、訳知り顔で頷いた。

「自信、勇気、目的意識……」

リリスは、ひとつひとつの言葉をゆっくりと言い、あたしも、ひとつひとつの言葉に頷いた。リリスは、まさにあたしが必要としていることを述べてくれている。胸が大きくなったら、それが間接的な要因となって、得ることができるとばかり思っていたこと、それを全部、直接的に言ってくれている。

「ええ、そういうものが欲しい」

そう答えたら、リリスは動きを止めて、あたしをじっと見つめた。

「じゃあ、本当に欲しいモノを正確に言いなさいよ」

リリスの瞳は真っ黒に変わっていた。あたしはちょっとドキドキしてきて、彼女から視線を外し、目を伏せた。願い事を言うのが怖い。怖いけど、欲しいモノがあるのは確か。単なる「勇気」じゃ足りない。それ以上の何かが必要なのだ。単なる「大胆さ」でもない。それ以上の何か……。どーんと肝が据わった気持ちになれる何か。よく、男の人たちが、怖気づいた仲間に「お前、キンタマついてるのか?」ってからかうけど、まさにアレがあたしに欠けている! そうなのだ! あの、どーんと落ちついた感じで他人に対処できるような肝が! キンタマがあたしには欠けているのだ!

「キンタマが欲しい! 分かるでしょう?」

ようやく、求めていた言葉が頭に浮かんできて、あたしは叫んだ。

突然、リリスの瞳が真っ赤に燃えあがり、顔に不思議な笑みが浮かんだ。あたしの返事を聞いて、嬉しい驚きを感じたみたいに。それを見て気持ち良かった。さっきの言葉を言えたこと自体、あたしはすでに大胆さを獲得したような感じになった。

「もう叶えたわよ!」 そうリリスは言った。

でも、本当に肝が据わった感じになれたか見てないうちに(というか、何を見たらそんな気持ちになるのか自分でも分からなかったけど)、またもや、リリスの尻尾がびゅーんと飛んできて、あたしの頭を直撃! あたしはすぐに気を失ってしまった。


[2015/12/03] 願い事には注意して | トラックバック(-) | CM(0)