カレンはゲラゲラ笑いだした。「冗談でしょ。本当にそんなことで悩んでいるの?」 僕は居心地が悪い感じで肩をすくめた。「まあ、そうだね。何て言うか理屈としてはの話しとしてね。でも、女性には食べ物を提供してくれる人を求める衝動があるのは本当だと思う。君のDNAに書き込まれているんだよ。僕が家の中で単なる『小さな男』でいたら、君の尊敬とか愛情をいつまで失わずにいられるだろう?」 彼女は頭を左右に振った。それに合わせて茶色の巻き毛が揺れた。 「その考えの丸々全部がどれだけ間違っているかってところから話すつもりはないわ。あたしがあなたを夫に持ってることで、あたしの友だちがどれだけ羨ましがられているか知ってるでしょう? あたしを学校に通わせるために粉骨砕身働いてくれた男性。そして、今はあたしが面倒な家事をすべて忘れて仕事ができるようにと、気遣ってくれる男性。 っていうか、あなたは確かにストリッパーをしていた。でもね、たとえあなたが一日中家の中でごろごろしていても、あたしの友だちなら、すぐにでも誰かがあなたをもらいたいって取引を持ち掛けてくるんじゃないかしら」 僕は少し気が休まった気がしたけど、それでも、くだらないことなのだろうけど、追い出されるんじゃないかという不安が残っていた。 「……それに、ちょっと考えていたの。もうそろそろ、あのことを考えてもいい頃じゃないかって」 彼女は注意深く切り出した。 僕はすでに脚を揉む段階から、優しくほぐす段階になっていたけど、その言葉を聞いて無意識的に手に力が入ってしまった。「あっ、え、何のこと?」 「そろそろ子供を考えてもいい頃じゃないかしら?」 息をのんだ。僕はずっと前から子供を持つことを望んでいたけど、カレンは子を産めない体だったから。 「君は養子は嫌だと思っていたけど……」 「まあね……その通りだわ。でも、もうひとつ方法があるの。Wイェックスって聞いたことない?」 僕は顔をしかめた。「それって、一時的に性別を変えるモノだよね? 週末だけ女性になるとかそういう目的でセックス・ショップで売ってるモノだよね?」 「確かに最初はそうだった……だけど、その後に、それが医療関係に大きく応用できると分かったの」 「どうやら、君はそれについてずいぶん考え抜いたようだね。僕よりいろんなことをずっと知ってると思う。僕に教えてくれないか、カレン」 「いいわ。Wイェックスの持続期間はいろいろあるようになったの。効果が短期間のものがある。1日とか2日とか1週間とか。男性は女性に、または女性は男性に変わることができて。脳の構造をバイセクシュアルに変えて楽しむこともできれば、性的欲求を増進させて本気でセックスを楽しむこともできるというわけ。いい?」 「ここまでの話しだと、それでもって君が何をしようとしてるのか分からないんだが」 「もう少し話しを聞いてて。医学的に強化したものだと1年は持続するけど、性的欲求の増進はない。で、Wイェックスは、体の細胞の構成を入れ替えて新しい体形に変えるのよ。病院では重度の病気の治療に使っている。治療不可能な癌? だったら1年に1回、Wイェックスを服用すれば、生き延びられる。もちろん、男性は女性に、女性は男性になるわけだけど、他の道で生きるよりはましじゃない? 例えば、手足の切断とか、麻痺とか、重度の火傷、さらには最悪のトラウマを抱えているとか。そのすべてがWイェックスの注入によって回避できるの」 「オーケー、奇跡の薬ってわけだね。分かった。でも、僕は別にそういう症状にはなっていない」 「うん、その通り。もうひとつ、Wイェックスを使う分野があって、それは産科。女性が子供を産めない場合……あたしのようにね、あるいは、男性が繁殖力がないとか機能不全であるとか、その他なんであれ、そのために子供に恵まれないとき、カップルの片方か両方が1年間、性を入れ替え、そして赤ちゃんを作るわけ」 自然に僕の両手が彼女の足から離れた。大変なショックを受けて僕は呆然と彼女を見つめるだけだった。「ぼ、僕に赤ちゃんを産んでほしいと……」
朝になり、着替えをしてると廊下がきしむ音がした。ドアを少し開けると、あのふたりがリビングの方にこっそりと歩いているところだった。彼女たち出ていくつもりなのかと思い、私はドアを開けた。ふたりは動きを止めた。 「君たち朝食を食べたくなった?」 ふたりは顔を見合わせた。「あたしたち出て行った方がいいかなと思って。あたしたちを泊めておくとか、そういうつもりじゃないんでしょ?」とマギーが言った。 「つまり、君たちは、私が君たちを強制的にここに留めるつもりかと?」 ふたりはまた顔を見合わせ、その後、私に顔を向け、頷いた。 「いや、私は何も強制しないよ。人に何かを強制するのは私のルールに反する。でも、私と一緒に朝食を食べてくれたら良いなと思っているけど?」 ふたりはまたもや顔を見合わせた。「一緒に食べたら、あたしたちを帰らせてくれる?」とストークリイが訊いた。 「そうしたいなら。本当のところは、君たちが今日一日、私と一緒にいたいと思ってくれたらいいなあと思っているんだ。そうじゃないなら、全然かまわないよ。でも、今日は誰かと会う約束でもあるのかな?」 「ええ、うちの株主との面会があるから」とマギーは笑った。まるでクリスマスツリーのように明るい笑顔だった。「で、朝食は何?(What you going to feed us?)」 「まず、君は今の文でbe動詞を抜かしたね。正しくは、What are you going to feed us?だね」 「あんた英語の先生かなんか?」 「実を言えば、その通り。私は大学で英文学を教えている」 「はいはい、かっこいいこと! あたしたちは学校なんか行かないもん。忙しすぎて」 「ともあれ、朝食は食べるんだよね? ワッフルとベーコンを考えているけど、君たちは好きかな?」 ふたりとも好きなようだった。そんなわけで3人でキッチンに行き、私がバターを混ぜている間、ふたりはワッフルアイロンを用意した。私が800グラム分のベーコンを炒めてる間、ふたりはワッフルを焼いた。私はちょっとシロップにうるさい。コーヒーにもうるさい。ベーコン炒めの続きはマギーに任せ、私はコーヒー豆を挽き、パーコレータを設置した。3人の共同作業ですべて完了し、メイプルシロップつきのワッフルが完成した。ふたりとも、コーヒーに入れるクリームはないのかと訊いて私をがっかりさせた。コーヒーにクリームを入れるような野蛮人とブリアナのためにいくらかクリームは用意していたので、それを与えた。ふたりはバニラ・ヘーゼルナッツも好きだった。多量のベーコンだったが、みんなですべて平らげたし、3人それぞれワッフルを3枚ずつ食べた。 「私と一緒にいるといい。そうしたら、1週間以内に君たちをカエルみたいに太らせることができるよ」 それを聞いてふたりは声を出して笑った。その笑い声、これまで聞いた音の中で一番素晴らしい音だった。ふたりは飢えた子牛のように牛乳を飲んだ。家の食料貯蔵庫はちょっと拡張しなければならないだろう。
「仕事はどうだった?」 カレンの一日がどうだったか、純粋に話しを聞きたかったから訊いたのだが、実質、彼女が僕に訊きたがっている不可避の質問を先延ばしするためにしたような質問だった。 「今日ね、あたし赤ちゃんを取り上げたのよ!」と妻は興奮した様子で言ったが、少し気まずかったのか、すぐに落ち着気を取り戻した。「それが今日のハイライトだったわ。その他は? 大半はいつもの仕事。排泄の処理とか、分かるでしょ? 1件、仕事場での怪我の治療があった。普通の怪我だったわ」 僕は微笑んだ。彼女が医療関係の仕事についたのは、出産を手伝うことをしたいという最終目標があったからだと僕は知っていた。そして、なぜ彼女がそれをしたいのかも知っていた。 「そう。じゃあ、良い一日だったんだね?」 カレンも微笑んだ。「ええ、良い一日……今日は仕事探しはどうだった?」 僕が避けていた質問がこれだった。僕は急に食欲がなくなり、溜息をついた。「何もなかった。第2種運転免許を取るつもりになれば別なんだけど。またダンスの仕事に戻ろうかとさえ思ったよ」 妻は顔を曇らせ、ほとんど食べ物がなくなった皿に残ってるご飯つぶを指先で拾い始めた。僕は自分の皿から残っていた寿司を彼女の皿に移してあげた。 「トラックの運転手はしてほしくないわ。そうなったら、あなたはいつも留守になってしまう。それよりもっと嫌なのは、ストリップの仕事に戻ること。あの当時、あなたがお相手しなくちゃいけなかった女たち……あのアザの数々、今でも忘れないわ」 僕も忘れていない。しょっちゅう、強くつねられ、後にアザが残った。その痛みを隠しつつ、つねってきた女性に愛想よく笑顔を見せなければならないのだった。「ああ、あちこちアザだらけになったなあ。でも、少なくとも、帰宅するときは給料を持ってこれたんだけどね」 カレンは寿司の残りをきれいに平らげた後、立ち上がって僕の手を握り引き寄せた。僕も立たせようとする。「カウチに一緒に座ろう。足を上げたいの。でも、この件についてあなたと話しもしたいから」 妻はカウチの端に座り、僕は真ん中に座って膝を叩いて見せた。 「足をここに乗せて」 カレンはこの家におカネを運んでくるただ一人の人だ。一日中働いてきた彼女の足を擦ってあげることくらいしか僕にはできない。 靴を脱がし、両足の土踏まずを揉み始めた。「じゃあ、お話したいんだね?」 僕の両手で足が癒され、彼女は唸り声をあげた。「ちょっとね。もしかすると……あなたは働かなくてもいいかもと思ってるの。今はあたしがかなり稼いでいるし、あなたはダブルワークをして、あたしを医療学校に通わせてくれた。あなたは、しばらく、仕事をしないでいてもよい資格があるわ」 僕は顔をしかめながら、彼女のふくらはぎへと手を移動した。「一日中、家にいられないよ。何をしたらいいんだろう?」 「もう、今していることは? 家に帰るときれいに掃除されてて、夕食もできてる。これがあたしにとってどんなに嬉しいことか、いくら言っても言い切れないわ。今夜のステーキ寿司もすごく、すごく美味しかった」 「でも、君が主夫なんかいらないと思ったらどうなるのかな? 職場にいる野心的な医師とかの方が君の好みになるんじゃ?」 僕にとって一番大きな不安は、彼女が僕を負け犬と思い、誰かもっと……少なくとも誰か仕事をしている人と一緒になるため、離婚を決意するということだった。
「椅子を引いて座りなさい。君たちはコーラがいいかな? ジュースや牛乳もあるが」 ふたりとも牛乳を望んだ。「私はマッケイ・ノースだ」 牛乳を注ぎながら名乗り、牛乳をカウンターの上、ふたりの前に置いた。「飲みなさい」 「あたしはマギー」と大きい方が言った。「マーガレットを短くした名前。この子はストークリイ。本当にこれ全部食べていいの?」 「もっと欲しけりゃ用意するが? 朝になったら作ってやろう。午前2時には料理したくないからな」 「いや、これでいいよ。ありがとう」とストークリイが言った。 マギーは私のことを疑い深そうな目で見ていた。「何かしてもらおうってことか? あたしたち、イヤらしいことはしないよ」 私は笑った。「いや、私もそれは御免だ。君たちのどっちかが何か私に下心を抱いているようだったら、がっかりするだろうね」 明らかに、ふたりとも私のユーモアを理解していなかった。「私は幼い女の子には興味がないよ」 ふたりは私が「幼い女の子」と言ったことが気に食わないようだったが、ともかく、ふたりは食べ始めた。飢えた動物のような食い方だった。「おい、ほら、もっと落ち着けよ。食べ物は逃げたりしないんだから。チキンはすでに死んでるし、ジャガイモは足が速いわけがない。そんな調子で食べると腹をこわすぞ」 今度はふたりともくすくす笑ってくれて、多少はがつがつしなくなった。「君たちはどこに住んでるんだ?」 「ひとブロック先に空き家があるんだよ」とマギーが言った。「マットレスと上に掛けるものを見つけた。だけど、薬物中毒が入ってくるんじゃないかって心配なんだ。あいつら、空き家だと分かると、すぐに入ってくるから」 「今夜は温かいきれいなベッドで眠りたいか?」 ふたりは、またも怪しむ顔をして私を見た。 「アハハ。私のベッドではないよ。予備の寝室が3つある。まあ、確かに予備のベッドも私のものだが。言っている意味は分かるよね?」 ふたりは引きつった笑い方をした。「あたしたちおカネ持ってないよ」とストークリイが言った。「カネは払えない。空き缶集めはしてるけど、稼いだカネは全部食い物に使うから」 「いや、別におカネを払ってもらうつもりはないさ。カネを払えなんて言ってないだろ?」 「じゃあ、なんで? なんでおじさんはあたしたちにそんなに親切なんだ? マック……」 「呼び方はマックでいいよ。みんなそう呼ぶし」 「どうして親切にふるまってるんだ、マック?」 「別に『ふるまってる』つもりはないが。私の母親に訊いてみるといいよ。私は優しい男なんだ」 それを聞いてふたりは笑顔になった。いい笑顔だった。私はふたりをもっと笑わせたいと思った。「もし、私が君たちの境遇だったら、やっぱり、誰かに優しくしてもらいたいもんな」 ふたりは私の言葉の意味を考えたようだった。「そのチップス、少しもらってもいい?」とストークリイが訊いた。私はポテトチップスの袋をふたりの方へ押した。ふたりともサンドイッチを頬張ってるにもかかわらず、同時に手を伸ばした。私はポテトチップスはもう充分だ。ふたりは牛乳を飲み干したが、まだ飲み足りない様子。ふたりにお替りの牛乳を注いで上げると、それも一気に飲み干した。驚いたが、ふたりとも皿に盛ったものをきれいに平らげたし、野菜も残らず食べた。本当にお腹がすいていたに違いない。 「もう寝る時間だな。ふたり、それぞれ、自分のバスルームがある。そこの戸棚には歯ブラシやヘアブラシなんかがそろっている。薬棚にはアスピリンや腹痛薬や歯磨き粉やデンタルフロスがある。他に何か必要なものがあったら、言ってくれ」 「ドアに鍵をかけてもいいよね?」とマギーが訊いた。 「もちろん。でも、私が求めたら、ある程度の時間はドアを開けておくように」 ふたりとも変な顔して私を見たが、ふと、マギーのありえないほど緑の瞳がきらりと光った。「あたしたちが何か盗むと思ってるんだよ」と彼女は妹に言った。「あたしたち、何も盗まないよ、マック。あたしたちを信じなくてもいいけど、あたしたちもあんたをあまり信頼しないから」 私は思わず笑いだしてしまった。「オーケー。相互に不信状態でいるわけだ。いいよ。そのうち、私を信頼できると分かるだろうから。私はね、美しい女の子を傷つけることなど滅多にないんだよ」 それを聞いて、ふたりともパッと明るい笑顔になった。「美しい」と言った部分に気分を良くしたのだろう。ふたりは私の後に続いて廊下を進み、部屋に入った。ふたりが入ると鍵を締める音がし、それを聞いて、私は笑顔になった。 自分の寝室に入り、ベッドに横になった。しばらく眠らずに横になっていた。あの女の子たち、どうしよう? どうして、うちのゴミ缶を漁っていたのだろうか? どうして、ふたりだけでいるのか? 親はどこにいるのか? 明日の朝になったら、その答えを聞くことにしよう。
「Wイェックス:妊娠」 Wyex: The Pregnancy by icedragonmo3 https://www.literotica.com/s/wyex-the-pregnancy 僕はカウチに座り、嫌々ながらも、もう一度だけ求人情報を調べた。解雇されてから何か月も経っているが、いまだに新しい職を得る幸運に恵まれていない。あの工場勤務が気に入っていたのだが。 ウェブ上でまだ応募していなかった職は、僕が資格に満たない仕事か、長すぎる期間をお妻と離れて暮らさなければならない仕事か、僕がもう二度と御免だと決めた仕事だけになっていた。 妻のカレンがそろそろ帰ってくる時間になったので、僕はようやくノートパソコンを閉じ、夕食の準備に取り掛かることにした。今夜は新しいモノを試すつもりで、彼女が気に入ってくれればいいと思った。魚の代わりにステーキを巻いた寿司だ。僕はおいしそうと思うが、彼女がどう思うかは分からない。 冷蔵庫を開けると、ご飯がちょうど寿司に良さそうな状態になっていた。適度に冷やされ、粘り気が強くなっている。 僕はいまだ無職でいることのむなしさを何分間かは忘れることができるだろうと、料理に没頭した。ステーキとご飯を、刻んだ少量の野菜と味付けのためのスパイスと一緒に円筒状に巻く。それを一口サイズに切っていくのだが、それは予想したより難しかった。とは言え、2個ほどぐちゃぐちゃにしてしまったものの、その後はコツを会得したので上手くできた。 ほぼ完成に近づいた時、玄関ドアが開き、僕の最愛の妻が部屋に入ってきた。 彼女の姿を堪能するためだけに、一瞬ちらりと彼女に目を向けた。12時間勤務のシフトの後にもかかわらず、カレンは本当に美しく、思わず息をのんでしまう。 髪は褐色で、肩までの長さ。ゆったりとカールしている。褐色の大きな瞳が僕を捕らえ、その瞬間きらりと輝いた。帰宅して喜んでいるのがその目を見ただけでわかる。 大きな胸はメディカルスクラブ( 参考)の中、はち切れそうだし、同じ布地に包まれた細いウエストも最高だ。ヒップにかけての豪華な曲線は、彼女の体つきの中でも僕の最も好きな部分で、仕事服を着てても、そこの特徴はほとんど隠しきれていない。 僕と彼女が一緒の写真を見たら、多分、ストリッパーをしていたのは僕ではなく、彼女の方だと思うことだろう。 カレンはカウンターにハンドバッグを置き、両腕を広げて僕を抱きしめた。僕の方もほとんど待ち焦がれていたといった感じで彼女を抱き返した。ほぼ一日中、職探しをしていたので、こういうふうな人との接触が嬉しかった。 「いい匂いね、タイ。今夜は何?」 僕は彼女のおでこにキスをした。彼女が仕事から帰ってくると病院の匂いも連れてくるが、それにはずいぶん前から慣れていた。「ステーキの寿司だよ。気に入ってくれるといいけど。テーブルについててくれ。僕が用意するから」 カレンは僕の頬にキスをし、キッチンテーブルの椅子に座った。脚を伸ばしている。一日中、立ちっぱなしで痛くなっているのだろうと思った。 僕は素早くやりかけだった切り分けの作業を終え、2枚の皿に盛りつけた。カレンの分の皿を彼女の前に置き、冷蔵庫からダイエットコーラを取り出した。 「グラスと氷は、いる?」 「いいえ」と、口に頬張った寿司を急いで飲み込んで返事した。「缶のままで。これ、すごく美味しいわよ! 自分がこんなにお腹がすいていたことも忘れていたけど」 僕は、彼女のコーラと、僕のダイエット・マウンテン・デューと寿司の皿をテーブルに運び、彼女の向かい側に座った。 僕も一口食べてみた。寿司は、本当にとても美味しくて、自分でも驚いた。彼女が貪る様子をちらりと見て、僕は数個、自分の皿から彼女の皿へ移してあげた。実際、僕は、今日はあまりカロリーを消費していなかったのは事実だから。
「浮浪者」Vagabonds by blackrandl1958 出所:https://www.literotica.com/s/vagabonds-1 よろけながらも、警棒を手にパティオに出た。バカ犬どもめ、またウチのゴミ箱をひっくり返しやがって。ゴミ置き場のドラムが転がる音で私は目を覚ました。今週になって3回目で、いい加減、私はうんざりしていた。ここの住民は、どうしてバカ犬どもを家に閉じ込めておくことができないのだ? 犬たちは腹をすかしているのは分かる。だが、こんなの馬鹿げてるじゃないか。 音を立てずに裏門を開け、飛び出て、みすぼらしい野良犬どもを懲らしめようと身構え、一気に門を開け、ゴミ置き場にダッシュした。ゴミ入れドラムの横、黒い姿がふたつ見えた。棍棒を振り上げると、私に気づいたようだ。 「お願い。腹がすいていたんだ」とひとりが言った。「片付けるから、叩かないでくれ!」 犬ではなかった。子供だった。だが、野良犬化した子供なのは確かだった。そこは暗かったので、私はふたりの首根っこを掴んで、家の庭の防犯灯の元へ引きずった。ふたりを立たせ、まじまじと見た。汚い、ぼろぼろの風体。浮浪者のようだ。よく分からないバギーの服を着て、野球帽を被ってる。冷え込んだ夜だった。ふたりが震えてるのが見えた。 「今週、うちのゴミ缶をひっくり返していたのはお前たちなのか?」 ふたりは顔を見合わせた。「はい。このゴミ缶にはいつもピザとか残ってるから。そのままにしてきて、すみません。もうしないよ。だから、逃がして。もう、迷惑かけない。ちゃんと後片付けするから」 これで許すのは良くないだろう。私はふたりのシャツを掴んで、ぐいぐい引っ張るようにして、家の中に戻った。バスルームに直行し、ふたりを中に入れ、ドアを閉めた。 「私が戻ってくるまで、出てくるんじゃないぞ」 私は寝室に行き、クローゼットから元妻のスウェットパンツ、フード付きウェア、ソックス、それにふかふかの大きなタオルを2枚を取り出し、それを持ってバスルームへ戻り、ドアを開けた。ふたりは窓を開け、そこから逃げ出そうとしていた。 「お前たちは、汚い格好でいるのが好きなのかもしれないが、熱いシャワーを浴びても体に害はないと思うぞ。シャワーにはソープとシャンプーがある。それに、これは清潔な服とタオルだ。服を脱いで、シャワーを浴びることだな」 「別に汚い格好が好きなわけねえし」と大きい方の子供が悪態をついた。「ここみたいなシャワーがねえんだよ。あんた、ずっとそこに立ってるつもりなのか?」 「お前たちが何か盗むかもしれないからな」 「ああ、その通りさ」と小さい方が言った。「あんたのトイレットペーパー、持って帰るかもな。オレたち、泥棒じゃねえし。おじさん、あんた、変態なんだよな? 少女が好きなんだろ?」 私は唖然とした。よくよく見ると、確かに、汚れの下には女の子の姿が見えた。「わ、私は……。君たちが女だとは知らなかった。ともかく、シャワーを浴びて汚れを落とすんだ。何か食べ物を用意してやろう。きれいになったら、キッチンに来なさい。食べ物をあげるから」 私はバスルームを出てキッチンに向かった。冷蔵庫を開け、食材を探した。冷たくなったフライドチキン。ポテトサラダがボールの半分ほど。半分食いかけのサラダ。サンドウィッチ用のパストラミとピクルス。フライドチキンをふたり分の皿に分けた。ひと皿あたり3ピース。それぞれの皿にポテトサラダを山盛り。サラダの野菜も盛って、ディップできるようにドレッシングも用意した。それぞれの皿にピクルスとパストラミ・サンドウィッチ。あと、私自身が食べるためにポテトチップスを盛った。いや、あの子たちも、食べたかったら、食べてもいいだろう。完璧のディナーじゃないか、と思った。あの子たちも、サンドに、ムエンスター・チーズとマヨネーズとマスタードが最高と思ってるといいなと思った。 バスルームのドアが開く音がした。その後、キッチンのドアの向こうで何か囁きあう声が聞こえた。1分ほどした後、ドアが開いた。そして、見たことがないほどの美少女がふたりキッチンに入ってくるのを見た。漆黒の長い髪とオリーブのような肌。緑の可愛いアーモンド形の瞳。高く隆起した頬骨とキュートで可愛い鼻。11歳か12歳くらいの、まだティーンになって間もないような感じに見えるが、元妻のブリアンナの服を着てるので、妙な感じだ。ブリアンナは背が高いが、この子供たちは小柄だ。袖もズボンの裾も捲くっているので、本当に浮浪者みたいに見える。
It had to happen 「あの時はどうしても」 「ケネス、あたしに……ここであたしに会うとは思ってなかったでしょうけど」とライラは腕組みして言った。「でも、これはやっておかなくちゃいけないの。このことについて、ふたりで真剣に、正直に話し合わないといけないと思うから」 ケネスは顔をしかめた。自分のことを男性の名前で考えるのは、もう何か月も前にやめていた。だけど、彼女は自分の裸体を隠すことはしなかった。隠れることに飽きあきしていたから。何年も、いや、何十年も、彼女はクローゼットに隠れていた。もう、嘘をつき、隠れる人生を生きることにうんざりしていたのである。とは言え、ライラが望んでいる話し合いを彼女も望んでいるかというと、そうではない。 「ケンナよ。あたしの名前はケンナ」 「そう聞いてる」とライラが答えた。ライラはケンナの横を通り過ぎ、かつてふたりが共有していた寝室へと入った。ベッドに腰を下ろし、うつむいたまま、彼女は続けた。「ここに来たのは、世の中の理屈をお話しして、あなたに正気に戻ってほしいと思ったから。そういう理屈、知っていた? あなたに分からせることができると思ってた。ちゃんと理解させることができると思ってたの」 ケンナは、裸のまま、そして、裸でいることを恥ずかしがっていないように自分に無理強いしつつ、元妻の隣に腰を下ろした。「それで?」 ライラは床を見つめたままだった。「ホルモンはいつから?」 「キミが出ていく1ヶ月前から」 ライラは頷いた。「なら、合点がいく」 彼女は顔をあげた。目には涙が溜まっていた。「あたしに話してくれたらよかったのに。あなたのそばで力になってあげられたかもしれないのに。あなたの気持ちは分かってるわ……あたしたち、一緒ではないのもわかってる。でも、あたしはあなたの友人にはなれたかもしれないのよ。あなたの変身を手助けできたかもしれないの。もちろん、あなたにはあたしの力が必要と言いたいわけじゃない。あなた、驚くほど素敵だわ」 「ありがとう」とケンナは言ったが、その感謝の言葉にはほとんど感情がこもっていなかった。実際、彼女は元妻に関する心的戦いの真っ最中だった。確かにライラの表情には後悔や自責の念が浮かんでいた。だけど、だからと言って、彼女がケンナの「異常性」に気づいた時にどんな反応を示したか、決して忘れることはできなかった。皮肉でも上品な反応とは言えない反応だった。叫び、怒鳴り、物を投げる。その間、ケンナは、似合わないドレス姿と不器用な化粧の顔で、ライラがいま座ってる場所から遠くない場所に突っ立ったまま、ただそれを受け止め耐えるだけだった。 当時、ケンナは異性装者としてバレることを恐れていた。侮辱されることに恐怖を感じていた。そしてライラが離婚届を出し、ケンナは破滅的に落ち込んだ。とは言え、そのことは、ケンナが自分自身に目覚め、変身し、最終的には幸福になるための刺激になった。彼女を押し留めてきた結婚というしがらみが消えた以上、女性に変わらない理由はほとんどなくなったのである。であるから、ある意味、人生で最も屈辱的な一日が、最良の日にもなったのだった。 「自分でも何故ここに来たか分からないの」とライラはすすり泣きながら続けた。「思うに……多分……謝りたかっただけかも。ひどい反応をしてしまったと」 「いいのよ」とケンナは元妻の太ももを軽く叩きながら言った。「本当に、もういいの」 If you like this kind of stories, please visit Nikki Jenkins' Feminization Station https://thefeminizationstation.com/home/
New suit 「新しい水着」 「いい水着だな」 「何? あ、ありがとう。カミラがボクに買ってくれたんだ」 「俺は皮肉で言ってたんだぜ? マジで言うけど、お前、何てもんを着てるんだ?」 「水着だよ? 彼女は、超ファッショナブルだって言ってるよ。2年くらいのうちに、皆がこういうのを着るようになるって」 「多分、女たちはな」 「また、その話? ほんとに? 誰でも知ってるよ? 男のファッションと女のファッションには別々の基準があるべきだって考え方は……」 「時代遅れだって言うんだろ。ああ、お前が髪を伸ばした時に訊いた時も、お前、そう言ってたな。化粧をし始めた時も。脚の毛を剃ったときも。その議論は理解してるさ」 「だけど、同意してないんだよね?」 「ランス、ぶっちゃけて言うと、お前、まるで女にしか見えないぞ! 女だ! 誓ってもいい。お前と一緒に出歩いたら、大半の人は、俺たちをカップルと思うはずだぜ?」 「で、それって、そんなに悪いこと? ボクがあんまりブサイクすぎて、ボクがキミのパートナーになってる世界を想像することすらできないって、そう言いたいわけ?」 「え? いや、そういうわけじゃ……違うよ……つか、そんなことを言ってるんじゃないんだよ!」 「じゃあ、それって、ただのホモ嫌いってことじゃない? 言いたくないけど、キミがそんな偏見に凝り固まった人だったなんて知らなかったよ、アダム」 「俺は……なんていうか、俺はホモ嫌いなんかじゃないよ。ゲイの人たちも大好きだ。本当に。俺は、ただ……」 「過剰に反応してるんじゃないかって言いたいの? ちょっと、聞いて。ボクはこういう服装をするのが好きなの。ボクは可愛い服を着ることができるってことが好きなの。そして、それでボクが男らしくなくなるというなら、それで何が悪いって思ってるの。でも、アダム、キミはもっとちゃんとした人だと思ってたんだよ。本当に。キミが、キミとは違う人もいるというのを頑固に認めたがらないのを見て、ちょっと、ボクはキミとの関係を考え直したくなってしまったよ。ボクは、キミはそんなんじゃないと思いたいけど、そうじゃなかったみたい」 「お、俺……何て言っていいか分からない」 「助けてあげる? ただ、こう言えばいいんだよ。『わーお、ランス! 今日のキミはすごく可愛いよ! いいねえ、好きだよ……その水着!』って。そんなに難しいことじゃないと思うけど」 「わ、分かったよ。わーお、ランス。今日の君はすごく可愛いよ。君の新しい水着、俺、大好きだよ」 「素晴らしい。だって、キミが喜ぶと思って、こういうのを買ったんだから! ボクたち双子みたいになれるかも! キミが体毛を剃ったら……ね、分かるよね? じゃあ、一緒に来て。みんながここに来る時間までに、キミの姿をすっかり変えておきたいと思ってるんだ、ボク」 If you like this kind of stories, please visit Nikki Jenkins' Feminization Station https://thefeminizationstation.com/home/
「隔離への順応」(13:終) 「あら、ほんと、あなた可愛いわよ。すっかりきれいになって」 「あ、ありがとう……」 「笑顔は、ヘザー? あなたがあたしにいつも言っていたことよ、笑顔は。笑顔でいれば幸福になれるって。違う?」 「あたし……こういうの居心地が良くないわ、フランキー」 「フランキー様でしょ。ヘザー、どうやら垣根を作らなくちゃいけないみたいね。誰よりも、あなた自身がそれをきちんと理解すべき」 「で、でも、分からないんです。あたしは、ただ料理や掃除をするだけでよいと思ってて……」 「あなたはメイドなのよ。かつてのあたしと同じメイドなの。実際、あなたはこの状態を感謝すべきなのよ。あたしはあなたにメイド服を着せるつもりはなかった。それにあなたを本当の召使のように扱うつもりもなかったの。でも、そういうことをあなたはあたしにしたのよ。だから、正直言うと、あなたには、かつてのあたしと同じ境遇にあってほしいと思ってるのよ」 「で、でも……あたしはこんな状態は……」 「あなたならできるわよ。事実を言えば、あなたには他に選択の余地がほとんどないわ。あなたの上司のちょっとした演説、あなたの業界じゅうに広まったでしょ? あれで、あなたが職を得る可能性はなくなったの。もうちょっと貯金しておけばよかったのに、残念ね」 「あたしには家族がいるの。友人がいるの。こんな状況を認めなくちゃいけないなんてありえないの」 「可笑しいわ。みんな、あなたのことを嫌ってるわ、ヘザー。あなたはすべての人間関係を台無しにしてしまった。あなたのお母さまがあなたを助けることはもちろん、声を掛けることですら、するようなことがあったら、それだけでも、あたしはびっくりしちゃうわよ。ちゃんと現実と直面して。この状態は、すべてあなたが自分で招いたことなの」 「あんたなんか大嫌い……」 「どこに新しいことが? あなたはずっと前からあたしを嫌っていたでしょ? でもね、明るい側面もあるの。少なくとも、セックスなしで生活しなくてもいいの。あたしたち……というか、ポールもやりたくなる時があるし、それはあたしも同じだから。それに、可愛い奴隷女を使って遊んでも、あたしと彼の関係が脅かされないわけで、お互い安心できるでしょう? そんなわけであなたのメイド服が、服というよりエプロンにけが生えた程度になってるわけ。それだとあたしたちふたりとも、気軽に触れるから」 「あたしは……こんなこと許さないわ……」 「まあ、そうかしら。だって、あなたには選択の余地がないのよ、ヘザー。さあ、もう、仕事についてちょうだい。ポールとあたしは外に出てディナーを食べてくるわ。戻ったときには、家の中、チリひとつない状態だといいわね。それに、どうなるか分からないけど、あなたの仕事ぶりが良かったら、ちょっとしたご褒美がもらえるかもよ?」 「そんな仕事、あたしは……」 「ちゃんとするでしょ。これ以上、不平はなし。拒否もなし。言われたとおりに仕事をするか、この家から出ていくかのどっちか。それがあなたに与えられた選択肢。それに、ヘザー? あたしを試すようなことはしないこと。あたしは、あなたが服従しないのが分かったら、我慢する気はないから。即刻、首にするつもりだから」 「は、はい……フランキー様……」 「よろしい。大変よろしい。これは素晴らしい取り決めになると思うわ。今からでも、それが分かる」 おわり If you like this kind of stories, please visit Nikki Jenkins' Feminization Station https://thefeminizationstation.com/home/
「隔離への順応」(12) 「あんた、本当に最低オンナ。知っててやってんのよね? そんな完璧におめかしして歩き回ってさ。で、あたしを見てよ。食事もできないし。睡眠もダメ。しかも、あたし自身の彼氏だと言うのに、あたしに話しかけようとすらしない。彼は、お気に入りのオカマの邪魔者を甘やかしてばっかりいる」 「ヘザー、本当に大人になってよ。鞭と石つぶてって、いったい何の話し?」 「そのどっちかであんたをぶっ殺したいって話しよ。そうしたらあたしの人生を取り戻せるかもしれないってね」 「ヘザー、あなたがクビになったのはあたしのせいじゃないわ。あたしは何も関係ないわよ?」 「いい加減なこと言うのやめてよ。バカじゃないの? あんたが何もかもの原因なの、フランキー。どうでもいいけど、バカっぽい名前よね、それ。フランチェスカの方が良かったのに」 「あなたはそうでしょうね。あの頃のことを懐かしんでるようだけど、別にあたしがそう仕向けたわけじゃないのよ? あなたは仕事で自分のプロジェクトを台無しにしてしまったけど、それも別にあたしが仕向けたわけじゃない。それに、あなたが上司に暴力をふるったのも、あたしが全然関係なかったのは明らかだわ」 「あいつが目の前からどけようとしなかったから……」 「自分でしたことでしょう? 全部、自分で。あたしを責めたいなら、そうしてもいいわよ。でも、あなたはすべて自分で選んだことなの」 「死ね、くそアマ」 「ほらまた。大人になって。本当に。あなたに助けを申し出ようとここに来たのに、あなたったら……何て言ったらいいの……あなたったら、自分で問題の解決をすごく難しくしてしまってるんだもの……」 「助け? あんたの助けなんかいらないわよ」 「ええ、そう言うかもと思ってたわ。でもね、本当のことを言うと、あたしたち、あなたがここにいるのにうんざりしているの。もしあたしがわがままを押し通してたら、とっくにあなたを路上に追い出していたわ。というか、自分の姿をよく見てみて。最後にシャワーを浴びたのはいつ? 髪の毛を手入れしたのはいつ? ちゃんと食事したのは? 追い出される前から、すでに、あなたはホームレスの人みたいになってるじゃないの。でも、ポールはあの通り、優しい気持ちの持ち主だから、あなたを助けてあげたがっているの。そんなわけで、あたしはここに来たの。チャンスをあげようと思って」 「どんなチャンスよ?」 「実を言うと、あなたがあたしに与えてくれたのと同じチャンス。そのための制服も持ってきてるわ」 つづく If you like this kind of stories, please visit Nikki Jenkins' Feminization Station https://thefeminizationstation.com/home/
「隔離への順応」(11) 「こ、こんなの……支持するわけないわ!」 ヘザーは事態の変化にあわてた。「絶対に! さあ、仕事に戻りなさいよ!」 「あたしは、もう、あなたのメイドじゃないわ」とあたしは両手を腰に当てて言った。「ここはポールの家なの。そしてポールは、あたしはもうそんなことしなくていいと言ってるの」 ヘザーはポールを見た。「本当?」 ポールは肩をすくめ、「ああ」とだけ言った。簡潔なひと言だったが、その簡潔性ゆえにいっそう効果的だった。 ヘザーは、腰砕けになって椅子に座った。「理解できない」 床のタイルを見つめる彼女の顔にブロンドの髪が垂れた。「わけ分かんない」 あたしは彼女の隣に立った。自分がコントロール権を握ってると感じたのは何年ぶりだろう。たった2時間ほど前のことだった。彼女は帰宅し、あたしとポールが一緒になっている現場を見たのだ。ポールは、今後どうなるかをヘザーに時間をかけて説明した。この家に留まりたいなら、ポールをあたしとふたりで共有することに同意しなければならないと。だけど、言うまでもなく、ヘザーは聞く耳を持たなかった。 でも、あたしには分かる。ヘザーはその提案を受け入れるだろうと。ヘザーはあたしにはもはや関心がないかもしれないけれど、あたしの代わりになったこの男性には身も心もささげている。彼女の心の中、すでにギア・チェンジしてるのは疑いようがなかった。多分、頭の中で、ポールがあたしに興味を示したのは、ほんの一時的なことだと思ってるはず。いずれ、ポールのあたしへの気持ちが色あせれば、自分が元の立場に戻れると。そう思い込めば、彼女のよじれた性格には心地よいのは間違いない。 でも、ポールとあたしの間にあるものは移ろいやすいものではないことも知っている。彼はあたしを愛している。この1ヶ月という短い期間の情交だったけれども、彼は何度もあたしにそう言ってくれた。だけど、あたしが彼を信じる理由はそれではない。彼の言葉ではなく行動だった。行動は言葉よりはるかにずっと声高にものを言うのを知ったし、彼の行動は真の愛について語ってくれている。 ヘザーが顔をあげた。「それ、どんなふうに進むの? 一緒に寝る夜を交互にするみたいな?」 「それについては3人で考えよう」とポールは彼女の横にひざまずいた。彼は、彼女の顔にかかった髪の毛を優しく払いのけた。それを見て、あたしは胸に嫉妬の痛みがわくのを感じた。その痛みを隠し、耐えながら、彼の話しを聞いた。「だが、さしあたり、この関係では、僕たち3人の関係は平等としておこう。僕は君たちのどっちも愛しているんだ」 でも、平等に愛するってわけじゃないなと、あたしは思った。それは間違いないと思った。 つづく If you like this kind of stories, please visit Nikki Jenkins' Feminization Station https://thefeminizationstation.com/home/
「隔離への順応」(10) 「大丈夫?」とポールが訊いた。彼の固いペニスが半分まであたしの中に入っている。彼は何時間とも感じられるほどの長時間、この行為に向けてあたしの準備を整えるために使ってくれていた。舐めてくれたし、指で愛撫してくれたし、何リットルにもなるかというほどたくさん潤滑剤を使ってくれていた。でも依然として、彼のソレはあたしを真っ二つに引き裂いているように感じられた。「いつでもやめていいんだよ?」 「イヤ、やめないで」とあたしは息を絶え絶えにしながら答えた。 なぜ自分が彼に続けて欲しがったのか、今でも分からない。気持ち良くはなかった。少なくとも肉体的な快感はなかった。ではあったけれど、これは、あたしにとって登り切ってしまおうと心に決めた山だった。それに、アナルセックスで快感を得てるという人が何百万人もいるのを知っている。その全員が嘘をついてるはずはないと思った。だから、あたしはポールに続けるよう繰り返し求めた。 あの時、自分は、これをすることと、女になることとを結びつけたのだろうか? それも今は分からない。多分、あたしはこれを通過儀礼と思っていたかもしれない。あるいは、単に、他の普通の女性が愛する男性を喜ばすのと同じやり方で、彼を喜ばせてあげたいと思っていただけかもしれない。あたしには分からない。ともかく、苦痛が耐えきれなくなりそうになるのにつれて、あたしは、こういうことを考えようとするのを止めた。 主観的には永遠と思われる時間の末、ようやく彼は完全にあたしの中に入った。体の一部が埋められただけとは理解しつつも、体全体がいっぱいにされ、今にも全身が破裂しそうな感じ。もし後ろに手を回して触ったら血がついているはずだと思った。知らないうちに両頬を涙が伝っていた。でも、それでもなお、あたしはポールに続けてほしかった。 そして、実際、あたしが苦痛に顔をゆがめ頬を濡らしているにもかかわらず、ポールはやめなかった。彼ほど愛情深く、思いやりがある人間であっても、やはり男なのである。それに、彼自身は痛みを感じていないのであるから。 最後まで貫通した後、今度は引き抜きの動きになった。彼のペニスがあたしの内側を滑るように動くのを感じる。苦痛が和らいでいるのか? それとも、それはあたしの想像にすぎないのだろうか? はっきりしなかった。彼は、抜け落ちそうになるまで引き抜いた後、再び中へ戻ってきた。二回目の挿入は、最初の時より少し速かったけど、不思議と最初の時ほど痛みはなかった。また出ていっては入ってくる。6回か7回出し入れがなされた頃には、痛みは薄らいで意識の背後に消え、代わりに満足感と肉体的快感が混じった奇妙な感覚が前面に出てきていた。 彼のアレを受け入れることができたのだという満足感。彼を喜ばせているという満足感。自分は女になっている! 「もっと強く」と囁いた。ほとんど聞こえないような声で。ポールはそれに応じて、出し入れのペースを上げてきた。それを受けて、あたしはもっと速く、もっと強くと懇願した。苦痛は消えていない。完全には消えていない。というより、より大きな快感によって苦痛が打ち消されているだけと言えた。押し入れられるたびに、その快感が大きくなっていくのを感じた。どんどん膨らんでいく。つい何分か前は苦痛で体が破裂しそうだったのに、今は快感で体が破裂しそう。 そして、突然、溜まりにたまった快感の塊が破裂し、あたしのカラダ全体を包んだ。 これまでの人生で落胆しかもたらしてくれなかった一物であるあたしの萎えたペニスがが、ピュッピュッと水っぽい精液を放った。体全体がガクガク痙攣した。両脚がぶるぶる震えた。つま先がキューっと内側に反った。枕に顔を埋めながら言葉にならない叫び声をあげていた。もっと求めてお尻を後ろに突き上げながら、震える両手でシーツを握りしめた。オーガズムに達している。しかも経験したことがない形で。エクスタシーの波が次々に襲ってくる。そして、その間も、ポールはずっと突き続けてくれている。 自分は死にかかっているのだと思った。あるいは、長い人生で初めて生きているのだと。どっちなのか分からないけれど、この激しい経験の本質を説明することはできないものなのだと思う。ともかく、あたしにとって初めての女性としてのオーガズムは、人生を変える経験だったと言えば充分だと思う。 永遠と思われる時間が過ぎ、ようやくあたしの発作が収まり始めた頃、ポールがあたしの中に射精した。彼の全身の筋肉がギューッと収縮するのに合わせて、彼は切羽詰まった感じであたしの腰をつかんだ。そして次の瞬間、あたしの奥底に来ていた彼のペニスがそれまでになく膨張し、脈動を始め、それと同時に子種液であたしの中を溢れさせた。これは先とは違った種類のエクスタシーをあたしにもたらした。純粋に心理的な満足感。でも、それは肉体的なオーガズムとほぼ同じくらいインパクトがある感覚だった。 ハアハアと苦しい喘ぎで呼吸しつつ、あたしは、ベッドにがっくりと突っ伏した。彼があたしの中から抜けてるのをぼんやりと感じた。あそこがぱっくりと口を開け、空っぽになっているような気がした。それは本来の姿ではなく、中を埋められ満たされている状態が本当の姿のような感覚がした。だから、すぐにまた埋めてほしいと思った。そうしてくれないと困ると。何分間か、それしか考えていなかったと思う。でも、ゆっくりとではあったけれども、その気持ちは薄らいでいき、やがて、満足感だけが後に残った。 ポールがあたしの隣に横たわった。うつぶせに横になってるあたしの腰のくびれに腕をぐったりと回して垂らしていた。ふたりとも何も話さなかった。どちらも、そうする必要を感じなかったから。ふたりとも、カラダが話さなければならないことのすべてを語っていたので、後は、黙って横になっているだけで満足だったのだと思う。 つづく If you like this kind of stories, please visit Nikki Jenkins' Feminization Station https://thefeminizationstation.com/home/
「隔離への順応」(9) 彼といちゃつきながらも、これは良くないと思っていた。あたしが女ではないのは事実だし、ゲイでないのも事実。でも、彼と一緒にいるのはとても気持ちよかった。その理由のひとつは、人との接触が欠けていたという単純なことだったと確信している。この半年間で、あたしが人に触れられたのは1度だけで、あたしが決まりに違反したことで、ヘザーにお仕置きをされた時だけだった。キスはしていない。もちろん、セックスもしていない。もはやあたしたちが男と女として機能できなくなっていたから。端的に言って、あたしは人に関心を持って体に触れられることに飢えていたのだと思う。そんな時、突然、ポールはあたしが求めていたすべてを与えてきたのだ。いや、それ以上のものを。 本能が支配した。彼の硬直した部分があたしの開いた脚に押し付けられるのを感じた瞬間、何をしたらよいか分かった。というか、あたしのカラダが分かったと言うべきか。あの時点では、あたしは彼という乗り物に乗った乗客のようなものだった。その乗り物の上、いくつも小さなキスをしながら、ゆっくりと彼の胴体を下っていった。とてもいい匂いがした。男らしい匂い。あたし自身は、もうずいぶんそういう匂いを発していなかったと思う。 キスの小道は、やがて彼のスラックスの腰バンドの下へと到着した。震える手で、そのボタンを外した。彼のズボンを引き降ろし、逞しい太ももの下へと手繰っていく。でも、そうする前から、あの盛り上がりは見えていた。昔だったら、それを見て嫌悪感を感じたかもしれないけれど、今は、それを見て興奮しか感じない。 そして、ほとんどためらうことなく、両手の指を彼の下着の腰バンドに引っ掛け、引き降ろした。すでに床に落ちているズボンの上に、新しく彼の下着が落ち、重なる。その間も、あたしは欲望の対象を見つめていた。一切の抑制を忘れ、純粋な欲情だけの目でそれを見つめる。 それは欲求からピクピク震えていた。あたしがそれを求める気持ちとほぼ同じくらい、それはあたしを求めていた。いや、それ以上かもしれない。そして、それを見て、あたしは緊張に体がいっそうこわばっていくのを感じた。 手を出し、軽く触れた。とても熱い。芯は固いのに皮膚は柔らかくベルベットのよう。自分でも何をしてるのか気づかぬままに、自然に顔を寄せていた。舌を伸ばし、アイスクリームのように舐めた。ぺろぺろと。その味が舌の上で踊ってる。塩辛さ。男っぽさ。汗と何か他の、何かピリピリする味。一度、鼻から大きく息を吸った。ムッとした彼のエッセンスの匂いを楽しむ。 それまでペニスをしゃぶりたいと思ったことは一度もなかった。確かに、想像したことはあった。誰でも想像したことがあるはず。でも、あたしは、それを想像しても興奮することはなかった。でも今、ポールのペニスの頭部を舌でゆっくりとねぶりながら思うことは、早く唇でそれを包み込みたい、そうやって彼を喜ばせたいと、ほとんどそれだけになっていた。 興奮でお腹の筋肉がワナワナと震えてたけれど、思い切って口に含んだ。そうしながら目をポールに向け、彼の瞳を見つめた。彼もあたしを見つめ返してくれた。まぎれのない至福の表情をしている。そして、生まれて初めてのフェラをするあたし自身の表情も、彼を鏡に映したように、同じ至福の表情になっていた。 つづく If you like this kind of stories, please visit Nikki Jenkins' Feminization Station https://thefeminizationstation.com/home/
「隔離への順応」(8) 「君はどうすべきだと思う?」と彼が訊いた。 急に、彼がシャツを着てないことがとても重要なことに思えた。それに、あたしがオレンジのタンクトップとボーイショーツ( 参考)だけの格好でいることも。あたしは唇をかんだ。緊張でお腹がキリキリしている。自分が何をしたいか知っている。彼が何をしたいかも知っている。だけど、それをすることはできない。そういう形でヘザーを裏切ることはできない。 頭を振った。そういう思いはどこから出てきのだろう? ヘザーはあたしの忠誠心に値しない妻だった。彼女はあたしを強引に女性化した。そして、あたしが大変な苦労をして女としての新しい生活に適応したのに、彼女はそんな苦労があるとは思ってもいなかったのは明らかだ。ヘザーはあたしの人格を破壊したし、それも、ためらうことなく行ったのだ。さらに、彼女は不倫を働いた。多分、あたしたちふたりが一緒になったときから行っていたことだと思う。あたしが彼女のメイドになった後は、一度ならず、あたしが男性として彼女を満足させたことがまったくないとほのめかした。 だったら、どうしてあたしはためらっているのだろう? 彼と肉体的に結ばれたら心が落ち着くはずなのに。それをしても正当だって感じられるはずなのに。勧善懲悪、因果応報であるのに。 がっくりと両肩を下げた。根本的に、あたしはヘザーのような人間ではないということだ。彼女にさんざんひどいことをされてきたにも関わらず、あたしはいまだに彼女を気にしている。いまだに、彼女を傷つけたくないと思っている。だから、これをこれ以上進めることなどありえない。 だったら、どうして、あたしは急に彼の上に乗ったのだろう? どうして、彼と唇を重ねているのだろう? どうして、両手の指を彼の胴体に這わせ、波打つ腹筋の感触を楽しむように上下にさすっているのだろう? どうして、この行為を止めることができないんだろう? もちろん、答えは知っていた。欲望と興奮に心を支配されていても、あたしはその答えを知っていた。 それは、あたしは女だということ。彼は男だということ。そしてあたしたちは求めあっているということ。 そして、その瞬間、意味があることは、それだけになっていた。 つづく If you like this kind of stories, please visit Nikki Jenkins' Feminization Station https://thefeminizationstation.com/home/
「隔離への順応」(7) 「ダメ。本当に。もしヘザーに見つかったら……」 「ヘザーはいないよ」とポールはあたしにウイスキーが入ったタンブラーを差し出した。「知らないことなら、傷つくこともない」 あたしはウイスキーを受け取った。もし妻が、いや、正式に離婚して3週間近くになるから、元妻だけど、もし彼女があたしが彼女の高価なお酒を飲んでいたと知ったら、しこたま叩かれるだろう。実際、あたしは、すでに一度、彼女の膝にうつぶせにさせられ、お尻を叩かれるという屈辱を味わっていた。しかも、彼女のお友達が見ている前で。あの経験は二度と繰り返したくない」 茶色の液体をひとくち啜った。喉が焼ける感じに、思わずハアーっと息を吐いた。あたしは、笑顔であたしを見るポールにちらりと視線を向け、「ごめんなさい。あまりお酒は飲まないので」と言った。 「いいんだよ。君は今みたいに顔をくしゃくしゃにすると、本当にキュートに見える」 「ポール……あたしたち……こういうことは……」 「不適切だなんて言わないように」とポールは片手をあたしの膝に乗せた。このひと月かふた月ほど、彼はあらゆる機会をとらえてはあたしの体に触れてきてるように思える。そして、気づいて恐ろしく思ったことに、あたしはそれを嬉しく感じているのだった。もっと言えば、彼とふたりだけになるときが来るのを待ち望んでいる自分がいた。表面的には何も起きていない。でも、そうだからと言って、あたしが彼とのことを思い続けていないことにはならない。実際、いつも彼をのことを意識し続けていた。 「不適切だわ」 やっとの思いで口に出した。急に喉がカラカラになった。あたしの細い指が彼の指に触れた。ただ一瞬、触れただけだったけれど、その瞬間、体に電流が走った。「分かってるの……あなたがあたしのことを見てたこと……いつもずっと。あなたが何を考えているのか分かってるわ」 「本当に?」 「あ、あなたは、あたしとしたがってるんでしょう?」 小さくつぶやいた。「彼女としてることみたいなことを」 「それは否定しないよ」 心臓が喉から飛び出そうになったけれど、何とか堪えた。「じゃあ、どうしたらいいの?」 つづく If you like this kind of stories, please visit Nikki Jenkins' Feminization Station https://thefeminizationstation.com/home/
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