「ジャッキー」 第16章
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これまでのあらすじ
ジャックは法律事務所のバイト、アンジーはそこの上司。仕事を通じ親密になった二人は交際を始め、その過程でジャックは女装の手ほどきを受け、ジャッキーと名付けられる。ジャッキーはアナル開発され、オーガズムに狂う。やがて二人は同棲を始め、そして結婚した。最初は幸せな結婚生活だったが次第にアンジーの変調が目立ってきた。尾行したジャッキーはアンジーが他の男に性奴隷のように扱われているのを目撃する。その事実をアンジーに暴露すると、彼女は泣き崩れた。アンジーはそのダンという男を憎しみつつも、手荒に扱われる衝動から逃れられないのだという。ジャックはその性癖を容認し、ダンを家に呼んだ。ダンはアンジーを乱暴に扱うと同時にジャックを寝取られウインプとして侮辱する。そして、再びダンが訪れてくる日がやってきた。
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ダンが来た。すぐにドアを開けたい気持だったけど、僕はノックの音がするまで待った。ドアを開け、僕は決められていたセリフを言った。
「どうぞ、お入りくださいませ。そして私の淫乱な妻に、本物の男性とはどのようなお方なのかを教えてあげてくださいませ」
「何で俺がそんなことをしなくちゃいけねえんだ、チビ?」
僕は何と返事してよいか分からなかった。ダンは、先のセリフの後まで会話が続くとは言ってなかったからだ。僕はとっさに考え、返事した。
「私のペニスが小さすぎて、淫乱な妻を満足させられないからでございます」
「そう言われたら、しょうがねえな。どのみち、俺のズボンの中にあるデカマラが顔を出さなければ、せっかくの完璧エロ女が無駄になってしまうからな。しょうがねえから、その女を使ってやるよ。案内しろ、チビ・ウインプ」
僕は先に廊下を進み、ダンをリビングルームへと案内した。多分、僕はあまり速く歩いていなかったのだろう。ダンは何度も僕の靴のかかとを踏んだ。リビングルームに入ると、アンジーは床を見つめて正座していた。非常に従順そうにたたずむその姿は、とても美しかった。
ふたりでアンジーの前に進むと、ダンが言った。「これは何だ、ウインプ坊や?」
この時も自分で言葉を考えなければならなかった。ダンは、僕が自分から完全に服従する姿勢を見せることを求めているようだった。
「ダン様、これが私の淫乱妻です。妻は、大きなペニスをした本物の男性を必要としているのです。そのお方に満足させてもらいたがっているのです」
ダンはジャケットを脱ぎ、僕に手渡した。
「この女、そういう男が欲しくてたまらない様子だな。そのジャケットを掛けて、ビールをもって来い。その間に始めてやるから」
僕はできるだけ素早く動き回った。これだけ速く動きまわれば、おそらくリビングルームに戻る頃でも、まだ、アンジーが彼の服を脱がせているところだろうと思った。だが、その見積もりは完全に間違っていた。アンジーはダンを裸にしていたばかりでなく、すでに、彼の脚の間に正座し、毛むくじゃらの睾丸を舐めていたからである。
ダンは僕の手からビールを取ると、ごくりと一口飲んだ。
「おい、ウインプ。おかしいと思わねえか? 俺とこのエロ女が素っ裸でいるのに、どうして、お前だけ服を着てるんだよ? フェアじゃねえだろ。お前も服を脱げ」
このダンの言葉にショックを受けたと言うだけでは、明らかに言い足りない。ダンにランジェリー姿の自分を見られたら、確実に、ダンは嵐のような罵詈雑言を僕に浴びせるだろう。それは、僕にとって最大の恐怖のひとつだった。
ダンは僕が躊躇うのを見ると、やにわにアンジーの髪の毛を握り、ぐいっと引っぱった。それを止めさせるため、僕は素早く返事した。
「お願いです、ご主人様。どうか彼女を叩かないで。服を脱ぎますから」
アンジーの目に恐怖の色が浮かんでいるのが見えた。
「じゃあ、とっとと脱げ、ウインプ! 俺がこいつを殴り始める前にな!」 とダンが声を荒げた。
とても怖くて、シャツのボタンに指を掛けるのもやっとだった。ダンはじっと僕のところを見ていたので、本当は背を向けて脱ぎたかった。ダンがまだ髪の毛を握ったままでいたからか、アンジーも僕の動作を見つめていた。だから、背を向けるのは許容されないだろうと思った。それに、たとえ背を向けたとしても、ダンがコルセットをつけた僕の後姿を見るのは間違いない。
シャツのボタンを外すのに、何時間もかかったように思えたが、実際にはそんなにかかったわけではないのは確かだった。ボタンを全部外した後、両肩からシャツを降ろした。そして僕がコルセットを着けているのが露わになった。
「おい、たまげたなあ。お前は何を着てるんだ?」 僕のコルセット姿を見てダンが言った。「まったく、お前はウインプだと思っていたが、本当は女装好きなのか! さあ、ズボンも脱いで見せろ。その下に何を履いてるか俺に見せてみろ」
ダンとアンジーが見つめる中、僕は靴を脱ぎ、ズボンとソックスを脱いだ。それ以上を脱ごうとしたら、ダンが止めた。
「ほお、お前、真性なんじゃねえのか? そうだろ。俺もいろんな女を見てきたが、お前ほどセクシーな格好のは、そう多くないぞ。お前、化粧もするだろ。違うか?」
僕は恥ずかしさのあまり、頷くことしかできなかった。
「やっぱりな。なら、二階に上がって化粧して来い。それにセクシーなハイヒールも履いてくるんだ。お前がどんな淫乱女装になるか、見ることにしよう。お前が戻ってくるまで、お前のエロ妻に俺の相手をしてもらおう」
階段へと向かった僕の背中に、ダンが「腰を振って歩け」と声を掛けた。
階段を上がりながら思ったけど、ダンは僕を特段に辱めようとしてなかったことに気がついた。女装好きとは呼んでたけど、全体的にはある意味、優しく接してくれてたように思えた。この彼の行動はちょっと変だなあとは思ったけれど、疑念を持つことはしなかった。ともかく、この流れに歩調を合わせていこう、それがどういうことにつながるかは、様子を見ることにしようと思った。
急いでお化粧をしようとしたけど、女なら誰でも分かると思うけど、急ごうとすればするほど、時間がかかってしまうもの。結局、顔のお化粧を済ませ、ヘアをベストの状態に整えるのに20分近くかかってしまった。その後、ヒール高10センチのスティレットの黒いサンダルを履いた。足首にストラップを巻きつけて留めるタイプのハイヒール。アンジーは、この靴が僕が持ってる中で一番セクシーだと言っていた。
支度を終え、階段を降りた。お腹のあたりがぞわぞわしていた。絶対にダンは僕をからかうだろうと思っていたので、とてもナーバスになっていた。ただ、女装好きとか女々しいとか言われるのは我慢できると思った。実際、自分がどんな存在かを考えてみれば、まさにそういう存在なのだから。非常に女性的な男であり、確かに言われたとおりウインプとも言える男なのだから。