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Between friends 「ここだけのこと」 

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65_Between friends 「ここだけのこと」

「わーお、ライリー。すごいよ。かつらとお化粧ちょっとだけで、こんなに変わるなんて信じられないよ」

「ありがとう。そうかもね。でも、忘れないでよ。これはキミとボクだけの話にしてね。オーケー? 他の人に、こんなことがあったなんて知られたくないから」

「ああ、もちろん。分かってるよ。でも、マジで言うけど、お前、すごいセクシー美人になると思うよ。本当に、こういうこと今までしたことなかったのか?」

「ハハハ、面白い。ジェイク、ボクは女装好きじゃないよ」

「そういうことを言ってるんじゃないんだ。つまり、あの賭けをした時、俺はちょっとお前に恥ずかしい思いをさせようとしただけだったんだ。笑えることをやろうって感じで。でも、これって……」

「キミはゲイだってこと? 分かったよ」

「おい、頼むよ。ライリー、自分の姿を見てみろよ。天性のモノって言えるほど」

「やめてよ。そんなこと言いながらボクにはクールでいろなんて、ありえないよ。ただウイッグをかぶって、姉さんのパンティを履いただけなのに、突然、ボクにヤリたいって言うわけ? そんなバカなこと、やめてって」

「別にヤリたいだなんて言ってないけど……」

「言わなくても分かるわ。まさか、君のアソコ、どうなっているか、ボクが気づいていないとでも思ってるの?」

「コイツ、好きか?」

「な、何のこと?」

「コイツが好きかって訊いたんだ」

「そんなわけないでしょ。もちろん、興味ないわよ。ボクは別に……」

「誰にもバレないよ。そうだろ? お前自身が言ったよな」

「バレるも何も、何も起きないから。ジェイク、ちょ、ちょっと待って。何してるの? マジで、服を脱ぐの……ああ……すごく大きい」

「触りたかったら、触っていいんだぜ。俺とお前の間だけの話にするから。そう、いいよ」

「ほ、本当に誰にも言わない?」

「ああ、絶対に」

「な、何というか……ボクが言いたいのは……これはゲイとは違うよね? ボクがこういう格好してる以上、ゲイじゃないよね」

「呼び方なんてどうでもいいよ」


[2018/02/05] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

Belonging 「帰属」 

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65_Belonging 「帰属」

帰属の感覚は不思議なもの。特に、外の世界とどこか合わないといつも感じてきた人間にとっては、本当に不思議。多分、私は変わっていて、その変わったところが、他のみんなには、はっきりしているのでしょう。私は背が小さく、痩せていて、可愛らしい。まさにその点で、私はひどく間違った存在と見られている。子供の頃は、いつも私は女の子と間違えられた。でも、大きくなると、まさに私のことを間違えた同じ人々たちが、私のことを嫌悪と憐みが混じった、あってはいけないモノを見るような目で見るようになった。

自分でもその気持ちは分かる。どんなに頑張っても、私は、人々が男の子のために作った小さな箱に収まることができなかった。それに、正直に言えば、そうしたいと本気で思ったこともない。少なくとも、心の中ではそうだった。確かに、そういう箱に収まれたら楽だろうとは思った。そう思わない人っている? そして、私は、他の男の子たちと同じになるように努力した。本当に努力した。ロボットのおもちゃで遊んだし、スポーツが大好きなフリをしたし、女の子がいれば追い掛け回すものと思い込んでるように振る舞った。だけど、そうしている間も、私は家で遊びたいと願っていたし、応援席から大きくて強い男たちを応援したいと思っていた。女の子たちと同じになりたいと思っていた。男の子たちに追いかけられたいと。綺麗なドレスを着たりパンティを履いたりしたいと。みんなは私に女の子じゃないと言うけど、そういう女の子になりたいと心から願っていた。

周りと違う人には、オーラがある。望むと望まざるとにかかわらず、誰でもそのオーラを感じることができる。個人的には、その感覚は、他者の感覚に深く根差しているのだろうと思う。周りに同調しない私たちにとっては、自分が、他者の抱く完璧な世界の姿とどれだけ離れているかを強く意識せずにはいられない。男と女。この二分法は、あまりにも、白か黒かを求めすぎるように思われる。でも実際は、そんなにはっきりと二分されるものではない。そうじゃない? みんな本当は、白か黒かなんて現実的じゃないと事実として認識している。人はみな、中間の灰色の部分に当てはまるケースが無数にあると知っている。知っていながら、いや知っているからこそ、みんな、その中間帯を嫌悪している。みんな、単純に二分される世界を望んでいて、現実の世界が、自分たちが望む世界よりはるかに複雑であることを憎んでいる。それゆえ、人は、「違う」と認識したものを拒絶する。「違う」ものは、均衡のとれたキレイな世界という幻想を覆すがゆえに、人は私たちを恐れる。そのような幻想の世界では、私たちのような人間にとっては、帰属意識など得られるのがまれ。どこかに帰属できると思うこと自体が幻想になる。

これまでの人生、たくさん良い人たちがいたと言えたらいいと思う。でも、私にはそんなことは言えない。これまでの道のり、これまでの経験からすると、私の存在を何らかの点で矮小化しなかった人は、本当にわずかしかいなかった。人によっては、私の存在自体があからさまな敵意となった。何度、罵倒されたか分からない。リンチされたこともあるし、道を歩いてるとき、突然、言葉で暴力を振るわれたこともあった。でも、時に、それは他と比べると扱いやすい。難しいのは、私のことを勇気ある人と呼び、美しい言葉を並べながら、その陰に隠れる人たち。あるいは、私にある種のフェチを感じる人たちや、私のことを何らかの障害に感染した人のように見る人たちの方だ。私は、そんな人たちの憐みはいらない。フェチの対象になりたいとも思わない。それに、単に自分の人生を生きていくのに、どうして勇気を持たなくてはいけないのか、と思う。

でも、好き嫌いにかかわらず、私はこの世界に生きている。それに、私は、人間の本性の短所を知りつつも、生きていくためには、それを利用せずにはいられない。だから私はダンサーをしている。人にシーメールとか、シスター・ボーイとか、トラップとか、シシーと呼ばれても、平気を装って、やり過ごしている。そんな演技を続けているのは、結局のところ、居場所が欲しいから。たとえ、そうすることによって、自分をフェチの対象のモノにしてることになろうとも。人から愛されたいと思っているだけ。フェチ対象のモノとされる方が、それ以外の道より、マシと言えるから。


[2018/02/05] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)