
65_Performance issues 「立つか否か」
「あらまあ、あなた、幸せそうじゃない? ずっと塞ぎ込んでいた状態からすると、とても嬉しい変化よ」とヘザーが言った。
「女王様、喜んでいただけて嬉しいです」とハンターが答えた。
「何言ってるの? お世辞言ったのは、歓迎してないと思われたくないためよ。でも、何かのお祝い? そんなに上機嫌なのは、何かしら? 職場で昇進でもするの?」
仕事のことについて言及することは、一発で、ハンターの上機嫌を打ち砕きそうになった。ヘザーに人生を牛耳られて以来、彼の職場での地位は自由落下状態が続いていた。ヘザーとの関係が始まるまで、彼はトップの地位まであと数歩の段階まで来ていた。本物の出世頭だった。だが、それ以来、彼は自分でしぶしぶ認めた回数を上回る回数で降格を味わっていた。現在のところ、彼は受付係とほぼ変わらない地位に落ちている。
「今日はビッグ・デイなんです」 毒の含んだ思いが頭に浮かぶものの、彼は押し殺して答えた。
「あら? 何の日? あなたの誕生日? あたしたちの結婚記念日じゃないのは確かよね?」
「鍵を外す日です」 ヘザーはこの日の意味を知っている。それを十分知りつつハンターはあえて言った。彼は半年以上、禁欲状態に近い状態を強いられていた。ペニス拘束具を外されるのは、月に一度だけだった。恥じることなく言えることは、正気でいられているのは、毎月、許される性的解放の日のおかげだった。
「あら、もう? ほんと? 前回は昨日だったような気がするわ。でも、あの時、すごく恥ずかしいことが起きたけど。本当に、拘束を外してほしいの? あの繰り返しを見るの、すごく嫌なんだけど」
ハンターは恥ずかしくなって、視線を床に落とした。前回、彼は拘束具を解かれたものの、勃起というか、勃起に似た状態にすらなることができなかったのだった。彼のペニスは以前よりはるかに縮小していたのであるが、いくら激しくしごいても、頑固としてふにゃふにゃの状態を続けたのだった。あの時の記憶がいつもよみがえる。
「今度は違うよ。約束する」と彼はつぶやいた。
「そんなに言うなら……」とヘザーは言った。「でも、もし、そのバカなモノを使えないなら、そもそも、なんでわざわざ拘束を外すのか理解できないわ。バカじゃない?」
「ちゃんと立つよ。本当に」 とハンターは声を荒げた。
「ほんとに大丈夫なの?」とヘザーに聞かれ、ハンターは頷いた。彼自身が感じているより、ずっと自信を持った感じで頷いていた。「それは良かった。それじゃあ、これはどう? 新しい取引をしない?」
「と、取引? どんな?」
「もしあなたがちゃんとできたら、これから1週間、あなたを完全に自由にさせてあげるわ。でも、できなかったら、これからもう3ヶ月、拘束を続けるという取引。どう?」
ハンターはしばらく沈黙していた。ようやく口を開き、「じゃあ、約束しよう」と言った。
ヘザーは興奮して、大げさに拍手をして見せた。「ああ、これからすっごく楽しくなりそう」と彼女は言った。