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隔離への順応 (8) 

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「隔離への順応」(8)

「君はどうすべきだと思う?」と彼が訊いた。

急に、彼がシャツを着てないことがとても重要なことに思えた。それに、あたしがオレンジのタンクトップとボーイショーツ(参考)だけの格好でいることも。あたしは唇をかんだ。緊張でお腹がキリキリしている。自分が何をしたいか知っている。彼が何をしたいかも知っている。だけど、それをすることはできない。そういう形でヘザーを裏切ることはできない。

頭を振った。そういう思いはどこから出てきのだろう? ヘザーはあたしの忠誠心に値しない妻だった。彼女はあたしを強引に女性化した。そして、あたしが大変な苦労をして女としての新しい生活に適応したのに、彼女はそんな苦労があるとは思ってもいなかったのは明らかだ。ヘザーはあたしの人格を破壊したし、それも、ためらうことなく行ったのだ。さらに、彼女は不倫を働いた。多分、あたしたちふたりが一緒になったときから行っていたことだと思う。あたしが彼女のメイドになった後は、一度ならず、あたしが男性として彼女を満足させたことがまったくないとほのめかした。

だったら、どうしてあたしはためらっているのだろう? 彼と肉体的に結ばれたら心が落ち着くはずなのに。それをしても正当だって感じられるはずなのに。勧善懲悪、因果応報であるのに。

がっくりと両肩を下げた。根本的に、あたしはヘザーのような人間ではないということだ。彼女にさんざんひどいことをされてきたにも関わらず、あたしはいまだに彼女を気にしている。いまだに、彼女を傷つけたくないと思っている。だから、これをこれ以上進めることなどありえない。

だったら、どうして、あたしは急に彼の上に乗ったのだろう? どうして、彼と唇を重ねているのだろう? どうして、両手の指を彼の胴体に這わせ、波打つ腹筋の感触を楽しむように上下にさすっているのだろう? どうして、この行為を止めることができないんだろう?

もちろん、答えは知っていた。欲望と興奮に心を支配されていても、あたしはその答えを知っていた。

それは、あたしは女だということ。彼は男だということ。そしてあたしたちは求めあっているということ。

そして、その瞬間、意味があることは、それだけになっていた。

つづく


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[2020/07/10] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

隔離への順応 (7) 

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「隔離への順応」(7)

「ダメ。本当に。もしヘザーに見つかったら……」

「ヘザーはいないよ」とポールはあたしにウイスキーが入ったタンブラーを差し出した。「知らないことなら、傷つくこともない」

あたしはウイスキーを受け取った。もし妻が、いや、正式に離婚して3週間近くになるから、元妻だけど、もし彼女があたしが彼女の高価なお酒を飲んでいたと知ったら、しこたま叩かれるだろう。実際、あたしは、すでに一度、彼女の膝にうつぶせにさせられ、お尻を叩かれるという屈辱を味わっていた。しかも、彼女のお友達が見ている前で。あの経験は二度と繰り返したくない」

茶色の液体をひとくち啜った。喉が焼ける感じに、思わずハアーっと息を吐いた。あたしは、笑顔であたしを見るポールにちらりと視線を向け、「ごめんなさい。あまりお酒は飲まないので」と言った。

「いいんだよ。君は今みたいに顔をくしゃくしゃにすると、本当にキュートに見える」

「ポール……あたしたち……こういうことは……」

「不適切だなんて言わないように」とポールは片手をあたしの膝に乗せた。このひと月かふた月ほど、彼はあらゆる機会をとらえてはあたしの体に触れてきてるように思える。そして、気づいて恐ろしく思ったことに、あたしはそれを嬉しく感じているのだった。もっと言えば、彼とふたりだけになるときが来るのを待ち望んでいる自分がいた。表面的には何も起きていない。でも、そうだからと言って、あたしが彼とのことを思い続けていないことにはならない。実際、いつも彼をのことを意識し続けていた。

「不適切だわ」 やっとの思いで口に出した。急に喉がカラカラになった。あたしの細い指が彼の指に触れた。ただ一瞬、触れただけだったけれど、その瞬間、体に電流が走った。「分かってるの……あなたがあたしのことを見てたこと……いつもずっと。あなたが何を考えているのか分かってるわ」

「本当に?」

「あ、あなたは、あたしとしたがってるんでしょう?」 小さくつぶやいた。「彼女としてることみたいなことを」

「それは否定しないよ」

心臓が喉から飛び出そうになったけれど、何とか堪えた。「じゃあ、どうしたらいいの?」

つづく

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隔離への順応 (6) 

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「隔離への順応」(6)

「俺といる時はそんなことしなくていいんだよ。ヘザーは何時間も帰らない。服を着たかったら、着ていいんだから」

「何を言いたいの? あなたは、何もかも見てきたでしょ。それに、何を気にしてるの?」

「こんなこと言っても始まらないだろうけど、俺は、この状態の何もかも、よく分からないんだ。そもそも……」

「あなたがあたしの妻とエッチしまくり始めてから?」

「彼女は、君たちは別れてると言ってたんだよ、フランチェスカ」

「別れてないわ。というか、少なくとも誰からも離婚届もらってないし」

「すまない。ただそれだけだよ。俺は別に……」

「もうやめて、ポール。ほんとに。あたしたちがあなたと一緒に暮らし始めてから、もう1ヶ月以上になるの。もういいでしょ。どうせ、あたしはあなたのメイド。変態メイド。あたしは、これまでベッドに横になって、毎晩欠かさずあなたたちがやってるのを聞いてこなくちゃいけなかった。それに、あなたたちふたりのベッドメイクや掃除をするときに、あたしが気づかないとでも思ってるの? そういうことがあなたが来た最初からずっと続いてきたの。だから、あたしを侮辱することに関して、まるで自分が傍観者だったみたいな振る舞いをするのはやめてちょうだい。あなたは最初からずっと、あたしを辱しめる場にいたんだから」

「そういう感じじゃなかったんだ」

「本当? だったら、どんな感じだったと言うの? あたしが隣の部屋で寝てるのを知りながら、あたしの妻にセックスしまくっていたわけだけど、その間、あなたの頭の中ではどんなことを考えていたか、本当に、本当に知りたいものだわ」

「最初、君もこういうことが好きなんだろうと思ってた。何て言うか、変わった趣味のゲームのようなもんなんだろうなって。特に、あのビデオ会議の時に君の姿を見て、そう思ったんだよ。そして、その後、彼女は君を連れてここにやってきた。……よく分からないけど、俺はタガが外れてしまっていたんだと思う。すまないと思ってるんだよ。もし、すべてをやり直せるなら……」

「まあ、やり直しなんかできないでしょ。誰にもできないわよ。というか、あたしを見て、ポール。あたしを見て、あたしがどんな人間か言ってみてよ」

「美しい女性だよ」

「その通り。あたしは……ちょっと待って……今なんて言ったの? あたしのことを美しいって?」

「ああ、その通りだ。そういうことを言ってはいけなかったのか?」

「ええ? いや。ええ。分からないわ。ただ……そういうことを言うのはやめてくれる? それに謝るのもヤメテ。謝ってもらっても、どうしようもないから」

つづく

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