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妻の情事(4) 


ある晩、僕は、もはや後戻りできない一線を越えてしまったと思う。その夜、妻はこう訊いたのだった。

「あなた? 私がリチャードに抱かれていることを想像すると、興奮する?」

「ああ、興奮する」

「じゃあ、それを想像しながら、私の前でオナニーして。見てみたいわ」

最初、僕は乗り気ではなかった。

「もし、して見せてくれたら、私がリチャードとやったことすべて話すわ。それに彼のが本当のところ、どのくらい大きかったかも教えてあげるわよ」

自分でも恥ずかしいが、僕は、その場の熱情に負けて、クリスティナの要求に従ったのである。彼女は、正直に、僕の「払ったお金」に見合うだけの情報を与えてくれた。2人が何をどういう風に行ったかを鮮明に語ってくれたし、どこでしたか、そのセックスについてどう感じたかを語ってくれたのである。

「私、本当に、リチャードのアレがあなたのよりちょっと大きいって言った? それだけど、本当のことを言うと、ちょっとどころじゃないわ。すごく大きかったの」

「どのくらい大きかったんだ?」

「そうね、こういう言い方でいいのか、分からないけど、握りきるのに両手を使ったということ。実際、ほぼ2倍に近いんじゃなかったかしら」

「だけど、大きさは関係ないって言ってただろう?」

「私、そんなこと言った? もう、いろんなこと話してきたから、分からなくなってるわ。でも、知りたがったのはあなたなのよね。もう、やめる? これ以上、話さないことにしたほうがいい?」

僕は頭を振った。

「そう・・・それじゃあ、しかたないけど・・・私が言った通りにしてよね。それに、あなたのコレも、話しの続き聞きたがっているようだし」

クリスティナは僕のペニスを指差し。僕はペニスを握って、彼女に覆い被さろうとした。

「何するの?! ダメよ! やめて! セックスはダメ。ともかくまだダメ。まずは、そこに裸で立って、私の前でオナニーしてみせてよ。私に、あなたがどれだけ変態なのか、気持ち悪い短小男か見せてくれなきゃダメじゃない? それが終わったら、あなたがこの件についてグチグチ文句を言うのを聞いてあげてもいいわよ。でもそれは最後にしてね。さもなければ、私は元の私に戻るわ。前のように、リチャードに、しっかり、ちゃんとしたセックスをしてもらうことにする。リチャードでも誰でも構わない。誰でもいいから、ちゃんとしたセックスを、一時的な関係でなく、ずっと続く関係として、してもらうことにするから。私が言った意味、ちゃんと分かった? 女々しい弱虫?」

いま、クリスティナが、僕のことを「女々しい弱虫」と呼んだのは本当なのか? 一瞬、自分の耳を疑った。普通だったら、僕のことをそんな風に呼んだりしたら、すぐさま、クリスティナを、彼女の衣類の山と一緒に玄関の外に放り出しただろう。哀れ彼女はタクシーを待つ身になったことだろう。

だが、僕の中には、妻の高圧的な態度に対して、それを受け入れようとする奇妙な感情が浸透し始めていて、彼女の発する不愉快な言葉も、あの憎たらしい声の調子や緑色の瞳の鋭い視線に込められた心を突き刺ささるような侮蔑の表情も、僕を怒らせるものではなく、むしろ興奮を高めるものになっていた。

[2007/01/24] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)