手術を受けてから、セラピーのグループ・ミーティングを2回欠席した。術後、初めて出席した日は、まったく痛みを感じなかった初めての日でもあった。ミーティングに行くのに着ていく服装を慎重に選んだ。
下着には、ブラジャー機能も備えたコルセットを選んだ。そのコルセットのおかげで、私のCカップの胸がきゅっと引き寄せられ、押し上げられる形になる。実際、少しカップから盛り上がって見えた。脚には、濃い目の色のストッキングを履いた。ストッキングの生地には花が刺繍縫いされている。ハイヒールには、持っているうちで一番ヒールが高いものを選んだ。13センチのスティレット・ヒールのサンダルで、ドレスに完璧にマッチするもの。
ドレスは、前に買っておいたものだったけど、胸ができるまでは着ないつもりでいたものだった。ラベンダー色のドレスで、首のラインが深々と切れ込んでいる。コルセットが私の新しい胸を盛り上げているので、このドレスを着ると、胸元に胸の盛り上がりが強調されて見えることになる。
ジュエリーには、ダイヤのネックレスを選んだ。首からかけると、ちょうどダイアモンドが胸の谷間に落ち着く。それに、ネックレスに完璧にマッチしたダイアのイヤリングもつけた。
ミーティングの部屋に入ると、他の女の子たち全員が、即座に、新しく変身した私に気づいた。むしろ、自分から見せびらかす服装をしてきたのだから、私の新しい胸に気づかぬはずはないと言った方が良いかもしれない。今はどんな気持ちかとか、手術はどうだったかと、みんなが、山ほど質問をしてきた。どういうわけか、その時点では、手術後に味わった苦痛は、そんなにひどいものだったとは感じなくなっていた。もっと言えば、痛みのことはほとんど忘れていた。ミーティングを終え、ホルモンを注射してもらった後、家に戻った。
家に帰ると、トレーシーもマリアも、そしてマークも、ミーティングではどうだったかと知りたがった。私は、みんなから注目を浴びたことを、嬉しさに夢中になって喋った。そして、それから、あまり時間も経たずに、私たち4人は一緒にベッドに入っていた。
最初は、トレーシーとマリアと私がベッドに上がった。私のドレスは床に脱ぎ捨てられたまま。コルセットは着ていたけれど、中から乳房を引き出されていた。マリアとトレーシーが左右から私の胸にしゃぶりついている。クリトリスもパンティの中から出されていて、二人に代わる代わる擦られていた。
マークはムービー・カメラを持っていた。それを見て、一瞬、身体が強張った。もしかすると、私の知らない誰かが、私のセックスを見ることになるかも知れないと思ったから。でも、その緊張感はすぐに消えた。むしろ、知らない誰かが私の姿を見て興奮してくれるかも知れないと思い、そのことで私自身が興奮してくるのを感じた。
カメラに撮られていたから興奮したのか、誰か知らない人が私たちのしていることを見るかもしれないと思ったから興奮したのか、どちらなのか分からなかったけれど、どういうわけか、私はものすごく興奮していた。マリアが私のクリトリスを吸おうと体の向きを変えたとき、私も、すぐに向きを変え、彼女のクリトリスにむしゃぶりついていた。
マークがカメラを寄せてきたのに気づくと、私は、いっそう激しくマリアのクリトリスを舐めしゃぶった。マリアは、低い唸り声を上げ始め、腰をうねらせていた。そして、それから1分も経たずに、私の口に射精し始めたのだった。
そのまま、飲み下してしまうこともできたけれど、それは何かもったいない気がして、マリアのクリトリスを口から出して、手でしごき、私の乳房に降りかかるようにさせた。トレーシーも、カメラが回っているときには仲間はずれになるわけにはいかない。素早く、私の乳房にかけられたマリアの精液を舐め取り始め、その後、口を私の口の上に持ってきて、口の中に溜め込んだ体液を、たらりたらりと流し、私に飲ませた。
「彼は、愛情について何て言ったんだい?」
翌日の午後、リディアは孫娘に訊いた。
「誰? 誰が愛情について何て言ったか?」 バーバラは混乱して、聞き返した。
「カウンセラーが、男女間の信頼と愛情は、二人がしばらく一緒に暮らした後に出てくると言ったんだろ? そして、スティーブが、お前としばらく一緒にいたら、お前を信頼できるようになるかもしれないと答えたんだよね。違うかい? それで・・・スティーブは、お前への愛情について、何て言ったんだい?」
バーバラは鼻を鳴らし、祖母を見た。
「まあ、それに近いことだったと思うけど。でも、スティーブは、それについては何も言わなかったわ。・・・彼、ヒューストンさんの話しを聞いていなかったのかもしれない」 とバーバラはためらいがちに答えた。
「おバカだねえ、ほんとに! いいかい? お前の旦那さんは、人に過小評価される方が好きなんだよ。賢いなあと思われるのは好まないタイプなのさ。だから聞いてなかったような態度をしてたんじゃないかい? でもね、スティーブは、こういうことを聞き逃すようなことは決してない。お前も分かってるんじゃないのかい?」
リディアはそう言って、爪で自分の上歯をこつこつ叩いた。
「だけど・・・」 リディアは、何か考えている様子で話しを続けた。「だけど、否定もしなかったわけだ。そうだね?・・・」
そう言って、しばらくの間、考え込む。
「・・・そう・・・バーバラ、これは良い兆候だと思うがね。お前の旦那なら、ヒューストンさんが言ったことに賛成しない場合は、お前とヒューストンさんの二人に、そう言ったはずなんだから。それも、かなり強い調子できっぱりと。私の知ってるスティーブなら、きっとそうしたはずさ」
リディアは笑顔になっていた。
「それで・・・スティーブは反論しなかったと・・・ということは・・・グラスが半分空になってしまったと言う代わりに、半分残ってると言うことにしようかね・・・」
「・・・オーケー! それじゃ、残りの半分を一杯に満たすには、どうしようかね?」
バーバラは、わけが分からないといった面持ちで聞いていた。
リディアはバーバラの頬を優しく叩いた。
「お前さんたちは、一つ、巨大なハードルは越えたんだよ。お前はスティーブとの家に戻ったんだ。それは、ヒューストンさんが言うように、とても、とても重要なことだったんだよ。そこで、これからしなきゃいけないことは、もうちょっとだけ頑張ることなのさ。そうすれば、あの男は、あっという間に、元のようにお前に惚れこむだろうさ。そこで・・・そんなふうにするためには、どんなことを準備したらいいんだろうね?」
********
「もしもし?」 バーバラは携帯電話を握っていた。
「ああ、バーバラ。何だい?」 スティーブは答えた。事務所の中、椅子の背もたれに背中を預けて、虚空を見る。意に反して笑顔になっている。スティーブは、最近、毎日、1回か2回、妻からかかってくる電話を楽しみに待つようになっていた。
「ちょっと、他に予定がなかったらだけど、今夜、一緒にラモンのお店にディナーをしに行けないかなと思っていたの」 陽気そうな声だった。
スティーブはちょっと沈黙した。
「それは誘ってるのかな・・・デートに?」
「ええ、その通りよ」 バーバラは、嬉しそうな声で、素早く返事し、スティーブの反応を待った。
「ラモンは良さそうだなあ・・・僕の車で行こうか? それとも、君が車で僕を拾ってくれる?」
バーバラは、スティーブが楽しそうな声で返事したのを察知した。
「うふふ、あなたが運転して・・・私、あの店の巨大マルガリータを飲んでみる夢を持っていたから」
スティーブもバーバラにつられて笑っていた。
「楽しそうだ。じゃあ、6時に家に戻るよ。いいかな?」
「ええ。最高! 私は7時半からの予約を入れておくわね」
バーバラは、返事をしながら胸が躍るのを感じた。
「じゃあ、また後で」
「じゃあね。愛してるわ」
バーバラは、電話を切る前、ちょっとやりすぎたかしらと思った。電話の向こう、スティーブが受話器を降ろす、カチャというよそよそしい音だけが聞こえ、バーバラは、少しがっかりした。だが、勇気付けられた面もあった。スティーブは、自分が言ったような愛の呼びかけでは返事してくれなかったが、そのような呼びかけを使ったことを拒むこともしなかった。二人は近づいてきていると感じることができた。もう一度、最初から、夫を私に恋させるのだ。今夜のデートは、その道を進む第一歩になる。
今夜は、とても素敵な夜になるはず。ノニーも、そう保証してくれたのだから。
つづく