そして、マーサは、またも僕を驚かせるようなことをしたのである。僕にセックス雑誌を買って欲しいと言ったのだ。 どうしてと訊くと、大学時代にちょっと読んだことがあって、それ以来、ずっともっと読んでみたいと思っていたと言った。話しを聞くと、どうやらマーサは、体験記とか投稿告白のような雑誌を意味しているのが分かった。そういう雑誌は、大半が男性向けに売られているのだから、基本的に、どんなことが男性を興奮させるかを表わしているはずで、それが知りたいのだと言う。僕は、どんな男でも、どんな雑誌でも、何の刺激にもならないような記事や、逆に、興ざめさせてしまうような記事があるものだよと言ったが、彼女は頑固で、結局、僕はマーサに2冊ほど買ってあげたのだった。 次に彼女に会った時、訊いてみた。「で、どう思った?」 「何のこと?」 「あの雑誌さ」 「男の人って、本当にああいうのが好きなの? 投書とかにあるああいうのが?」 「全部が好きってわけじゃないよ。それは保証できる」 「まあ、でも、あなたが好きなのを、少なくとも一つ当ててみせることができるわ」 「何だい?」 「3P」 僕はマーサの顔をじっと見つめた。なるほど、確かに彼女はあの手の雑誌から男性についての何かを学び取ったらしい。 「・・・しかも、別の女の人を交えての」 そうマーサは話しを続けたが、僕は返事をしなかった。 「どう?」 黙っている僕に痺れを切らしてマーサが問いかけた。 「確かに、そのアイデアにはアピールがあるよ」 マーサはケラケラと笑い。その後、黙った。僕の返事を待っているようだった。僕は黙ったままでいた。 「どう? してみたいんでしょう?」 ようやくマーサが言葉を発した。 「3Pを持ちかけているということ?」 「やってみたくないの?」 マーサは、どうしても僕に自分で言わせようとしている。「さあ、イエスかノーかはっきりしなさいよ」 「まあ、訊かれたから言うけど、イエスだ」 「オーケー! 私にできることを考えてみるわね」 マーサは、自分から3Pの設定をすると言っているのか? 「誰と?」 マーサはフェイスのことを考えていたのだろうか? 「さっきも言ったでしょ? 私にできることを考えてみるって」 そそられる話しではあったが、僕は、あまり安心できる気分にはなれなかった。マーサは、他の女たちに、僕がそれを望んでいると話すつもりなのだろうか? ふと、別の考えが浮かんだ。「マーサこそ、3Pを望んでいるんじゃないのか?」 「ええ、楽しいかもと思っているわ」 「女性にも惹かれるのかい?」 「いや、特にそういうわけではないわ」 「じゃ、ちょっとは、ということ?」 「多分ね。私は、あなたが興奮しているところを見るのが好きなの」 だが、それなら、こんなことをするのは、明らかに職務範囲を超えている。 「そんなことをする必要はないじゃないか」 「いいえ、するわ」 マーサは意思を固めているような口調だった。こうなると、彼女の意思を変えようとしても無駄なのは分かっていた。 「誰か、意中の人はいるのか?」 「はっきりとではないけど。ジョイスに聞いてみようと思ってるわ。誰か興味がありそうな人がいないかって」 ジョイスは、マーサの友人で、僕も2回ほど会ったことがある。マーサは、ジョイスはレスビアンだと言っていた。 「ジョイスは、男に興味がある人を知ってるのか?」 「私のことを知ってるわ」 「僕が言ってる意味を知ってるくせに」 「他にもっと良いアイデアがあるの?」 いや、僕にはなかった。
口であそこを愛し続けながら、指を1本挿入し、抜き差しの動きを始めた。ディアドラは、僕の顔に向かって腰を突き上げ始めた。喘ぎ声も連続して出し続け、またも、新しく理性が麻痺するようなオーガズムに向かってロケットのように高く舞い上がり始めているのだろう。 でも、僕は別のことを考えていた。分かってくれているとは思うが、僕は別に残酷な性格の人間ではない。だが、僕には、どうしても知りたいことがあった。ディアドラが僕について、どう感じているのか、それがどうしても知りたい。彼女は、僕にたいする感情をなかなか話そうとしてくれない。だから、ちょっとだけ、誘引となる刺激を与えたら、彼女から返事を引き出せるかも知れないと思ったのだ。 ディアドラがオーガズムに近づいているのを見極め、僕はちょっとだけ攻撃の手を緩めた。オーガズムのふちには保ちつつも、そこを超えることはできない程度に、彼女の興奮を静める。それを何度か繰り返した。毎回、ディアドラをクライマックスのギリギリまで追い詰めつつも、毎回、最後まで達することは許さなかった。彼女は次第に狂乱状態になっていった。 あそこに情熱的にキスをし、クリトリスを舌でねぶった後、頭を上げた。指は相変わらず出し入れを続けていた。 「ディ・ディ? ディ・ディ? どうしても、訊きたいことがあるんだ」 ディアドラはかっと目を見開いた。困惑してるようだった。「何? 何? 何を知りたいの?」 「ディ・ディ? 君が僕をどう思っているか、どうしても知りたい。僕は、何だか、いつも一人っきりでいるような感じがしているんだ。どうして、僕についてどう感じているか教えてくれないの?」 ディアドラは頭を振った。「ダメ。それは訊かないで、お願い。ごめんなさい。でも、訊いて欲しくないの」 もう2、3回、クリトリスを舐めて、彼女の興奮を高めた。それから2本目の指も中に滑り込ませた。もう一方の手をお尻の方に回し、1本の指で、彼女の別の穴を優しく撫でた。 「いいだろう? ディ・ディ。僕に話してくれるだけで良いんだよ。そうしたら、いかせてあげるから」 「ああ、アンドリュー、どうして、そんなひどいことができるの? ああ、ひどい。ああ、お願い。本当に! アンドリュー、お願い!」 僕は、少し後ろめたい気持ちになっていた。しかし、僕にとって、こんなことができる女性は初めてでもあったのだ。つまり、オーガズムを求めておねだりさせること。そんなことができた相手はディアドラが初めてだ。女性にいかせて下さいとねだられること。これは、嬉しいことだと知った。 「ディ・ディ。ディ・ディ。僕のことをどう感じているの?」 もう一度、舌を使い、クリトリスをこねるようにして舐めた。気が狂いそうな状態にまでは舞い上がらせるが、決して、絶頂にまでは行かないような程度の刺激。 ディアドラは、もう耐え切れなくなったらしい。 「いいわ、分かったわ、ひどい人! 認めるわ。あなたのこと愛してるの。私自身を愛するより、あなたのことを愛してる。今も、これからも愛してる。愛してるのよ!」 口を使っていかせる気には、どうしてもなれなかった。代わりに、彼女の体を両腕で抱きしめ、彼女の中に入った。どうしても入らなければいられない気持ちだった。僕たちは互いに愛し合っているのだ。どうしてもセックスをしなければいられない。 ペニスを挿入すると、ディアドラはオーガズムに達したことを告げる叫び声を上げた。僕は激しく抜き差しの動きを続けた。僕自身のクライマックスも驚くほど急速に近づいているのを感じた。そして、再び、僕は彼女の中に溢れんばかりに精を放ち、再び、彼女は僕のものだと明確に主張を伝えた。誰のものでもない、僕のものなのだ。それまでの僕の人生で最も幸せな瞬間だった。
レオンの両肩に、どこかしら険悪な力がこもっているのを見て、イサベラは、何か悪い予感がし、背筋にぞくぞくと冷たいものが走るのを感じた。横たわった姿勢から、ゆっくりと体を起こし、両足をそろえてベッドの横へ降ろし、ベッドに座る姿勢に変わった。 イサベラは改めてレオンの姿を見た。マリイを見下ろす彼は、堂々とそびえ立ち、どこか人を寄せ付けないところがあった。輝く金色の髪は黒皮のコートの襟に掛かり、その姿は金色の神のよう。雪白のチュニック( 参考)を着た姿のため、金色の肌や引き締まった逞しい太腿が見え、その両足は膝までの高さの黒皮のブーツに覆われている。彼女は、彼の姿を見るだけで体が勝手に震えだすのを感じた。身体が心を裏切って、レオンが近くに存在するだけで反応を始めてしまう。身体が反応することなしにレオンを見ることができないのではないかと思ってしまうイサベラだった。 「この塔は境界外であると命令を出したはずだが?」 レオンはマリイに静かに語った。恐ろしいほど静かな声で。 「でも、あなた、私のことは別でしょう? それに、あなたが美味しそうな娘をここに連れてきたと聞いたた、私、どうしても自分で確かめなくてはいられない気持ちになったのよ。それにしても、この娘、驚きだわね。こんなに可愛くて、しかも、初々しい」 レオンは、片眉を上げた。「わしの命令ははっきりしているはずだ」 「でも、この修道院に隠れていた淫乱娘がここに来てから、私、あなたに何日も会っていなかったのよ。寂しくなっていたの」 「この娘が淫乱かどうかは、まだ分かっていないが・・・」 レオンは、ちらりとイサベラに目をやりながら、冷たく答えた。 「それに、寂しさを紛らわしたいと思ったら、お前に喜んで手を貸そうとする男女がいくらでもいるだろう。・・・さあ、ここから出て行くのだ」 「でも、レオン・・・あの娘を私にも使わせて・・・そうして欲しいの」 あれほど傲慢だったマリイが、今は、卑屈に懇願しているようにイサベラには見えた。イサベラは、固唾を呑んで、レオンは何と答えるか待っていた。まさか、レオンは・・・ 「マリイ。お前はわしを操ったり、わしに指図をしたりできる立場ではない。今すぐ、ここから出て行くのだ。お前のことは、後で、扱うことにする」 冷たく言い放たれた言葉は、まるで、鞭のようにマリイを叩いた。イサベラは、マリイが怯えた目つきで彼女を振り返った後、慌てて小部屋から出て行くのを、目を大きくして見ていた。そのイサベラの目が、用心深くレオンの目へと向けられる。ゆっくりとではあったが、イサベラは、あのような親密な形でマリイに体に触れるのを許したことは、レオンの望みではなかったことを悟ったのだった。それを悟り、イサベラは恥辱に顔を赤らめた。
僕は、ハイヒールを履いたまま、なよなよとした足取りでゲイルのデスクへ行き、パソコンの画面を見た。画面には僕のオフィスが映っていて、ディスプレーの隣の小さな箱には、ドナが電話を耳に当てたまま大笑いしている画像が出ていた。ドナとゲイルの企みの全体像がはっきり分かるにつれ、僕もつられて笑い出していた。 自分のオフィスに戻り、電話を取った。 「さぞかし面白がってるんだろうね。はっ! 実に面白いよ! でもね、君はすべてを見たわけじゃないんだよ。最後に笑うのは僕の方かもしれないんだよ、ドナ女王様」 ドナとゲイルは、二人ともまた笑った。 「あなたのコンピュータを見てくれる?」 画面には、トイレのドアのところでゲイルがひざまずき、僕の男性自身に奉仕をしている動画が映っていた。黒いパンティの中から飛び出ている分身を見ると、男性自身というより、女性自身と言った方がふさわしいかもしれない。僕は電話を置いて、ゲイルのオフィスに戻った。彼女のデスクには、僕のデスクにあったのに似たウェブ・カムがあってトイレの方向にレンズを向けていた。 「説明させてくれ」 と言いかけた。ドナはまた笑っていた。 「説明は必要ないわ。あなたは、私とゲイルが書いたシナリオ通りに反応したのよ。最高の女装役者を演じてくれたわ。あなたが家に戻ったら、ビデオを全部見せてあげる。・・・それはそうと、男性のお客様にデートに誘われる前に、かつらとヒールを外して、口紅も落としたほうが良さそうよ。でも、お願い。家に戻って来たら、もう一度、かつらを被って、ヒールを履いて欲しいの。それにトイレの戸棚にしまってあるお化粧道具も使って欲しいの。あなたのクローゼットには、ちょっとしたものがあるのよ。あれ、私、とっても気に入ってるのよ。じゃあ、バイバイ。それにゲイルも、バイバイ。ありがとう」 「どういたしまして」 と向こうの部屋にいるゲイルが言い、電話を切った。
「ポルノ・クイーンの誕生」 第7章 Making of a Porn Queen Ch. 07 by Scribler この何ヶ月かの間に、私とヘレンとの間柄は、以前にも増して親密なものになっていた。毎週金曜日には一緒にデートに出て、楽しむ。夜には、ヘレンはマークたちの家に来て、私と一緒に夜を過ごす。そしての週末も泊まり続け、トレーシーとマークとも一緒に過ごし、日曜日の夜遅くに帰っていくのが普通だった。 時々、私たち4人、時にはマリアも含めて5人で一緒に乱交することもあった。そういう時、カメラが1台かそれ以上用意されてて、撮影されるのも珍しくなかった。もちろん、そういう時に撮ったビデオは、ディスクにも焼きなおされる。 1月上旬になる頃には、私たちのホームメイド・ビデオのコレクションができていた。実際、12本以上。その編集は、マークが抱えている唯一の編集者であるビル・グラフトが、すべて行っていた。 ビリーは、たいてい、いつも仕事をする部屋にこもっているので、私はあまり彼に会うことはなかった。2回ほど、何か仕事のことでマークに連絡しに家に来たことはあったけれど、彼は長居することは決してなかった。スタジオでも私は2回くらいしかメインのオフィスに行ったことがない。だから、ビリーと顔を合わせたのは、それくらいしかなかった。 ビリーは、ルックスが悪い人ではない。プラスチックの縁の眼鏡をかけていて、ちょっとオタクっぽい感じ。体つきは痩せている方だと思うけれど、彼の服装だと、はっきりは分からなかった。たいてい、バギーのスウェット・シャツとジーンズの格好で、上もズボンも彼にはかなり大きすぎのサイズだった。顔はとてもキュートで、瞳は明るい青。ポルノ映画に出てくるような、筋肉隆々の逞しい男でないのは確かだけど、その代わり、とても知的で、私と会うと、目は合わせてくれないけれど、いつも、こんにちはと声をかけてくれる。 2月上旬、ちょうどバレンタイン・デイの前の頃、ヘレンとクラブに行こうとしていたときだった。家から出ようとしたとき、マークから、メイン・オフィスに行って、ビリーが用意しているディスクを何枚かもらって来てくれと頼まれた。私は、マークの車を使わせてもらっていたので、断ることはできなかった。もっとも、断ることなど考えすらしないことだったけれど。 ヘレンの家はオフィスへの途中にあるので、まずはヘレンを拾いに彼女の家に行った。車にヘレンを乗せた後、オフィスに寄らなければいけないと伝えた。ヘレンは驚いたようだった。 「ええ、どうして? ビリーはまだオフィスにいるの? 金曜日の夜の8時なのよ。もっと良い場所に行っててもいいはずなのに?」 「オフィスに着いたら、そのことを訊いてみるべきかもね」 そう言いながら私は車を走らせた。 オフィスに着いたけれど、誰もいないような感じだった。2、3箇所、電気がついていたけれど、そこの電気は、誰もいないときでも常時灯っている明かりなのは知っている。 私のキーを使ってヘレンと一緒にオフィスに入り、奥へと進んだ。ビリーのオフィスは一番奥にある。そこはオフィスというよりも、作業場と言った方がふさわしいところで、ビリーは編集に使うコンピュータを何台かそこに置いていた。 オフィスのドアは開けっ放しで、ビリーはデスクに覆いかぶさるようにして、コンピュータのディスプレーで何かを没頭して見ていた。最初は、別のTガールのビデオを編集しているのだろうと思ったのだけれど、すぐに、そのビデオは、マークが家で撮影したものだと分かった。私が映っている。
明け方、寒々とした灰色の光の中、スティーブには、夜に妻と愛しあったことが、夜に思ったほどは、良いことだったように思われなくなっていた。確かに素晴らしいセックスだったし、前のように夜の間ずっとバーバラを抱き続けるのも良かったけれど、依然として、バーバラの不倫については、まだ彼が理解していない問題や、解決しているとは思えない問題がたくさんあった。 例えば、いまだ彼はバーバラのことを信頼していないし、今後も再び信頼できるようになるのか分からなかった。夫婦関係を裏切ったことをバーバラが悔やんでいることは受け入れたものの、それで何が変わるかというのもはっきりしていない。最も大切なこととして、スティーブは、そもそも何故バーバラが不倫をしたのか、その理由が理解できていなかった。 だが、スティーブは、そのような問題は残っているし、二人が合意した時に限りセックスをするという約束をバーバラが破ったことに、表面的には腹を立てている振りを見せはするものの、以前のように彼女の間に境界を設けたり、一緒に暮らす際の条件を立てたりすることを重要視しなくなってきていた。もっとも、依然として、家庭内別居の状態は続いているとは考えていた。 バーバラとの境界とか条件とかを考えると、いつの間にか、そのようなことは、彼にとって影が薄いことになっているように思えた。再び一緒に暮らし始めて、いつの間にか、知らず知らずの内に、和解を求めなかったり、和解が可能であるのを信じないという状態から、和解が可能かもしれないと期待する状態へと、踏切を超えてしまったようだった。スティーブは、そのことに気づき、気落ちした。再び、以前のように、自分の将来を自分でコンロトールできない感覚をもたらされた感じがしたからだ。 ******** 「では、今夜も、『許し』について話し合うことにしましょう・・・お二人が昨夜、愛しあったということを踏まえて・・・」 ヴェルン・ヒューストン氏が話題を提案した。 スティーブは、カウンセリングが、何か別の方向へ向かってくれれば良いと期待していた。彼は、この日一日中、自分とバーバラが行ったことの影響について考えていた。そして、あのセックスと、その出来事を取り巻くあらゆることを考えれば考えるほど、自分は、バーバラの不倫とそれに対する自分の反応について理解しているという自信が薄れていくのを感じていた。 「いかがですか、奥さん?」 ヒューストン氏は促した。 バーバラは、意思を決めかねているように長い間、ヒューストン氏を見つめた。 「そうですね。それについて前に話したように・・・」バーバラはゆっくりと語り始めた。「許しとは、善良な人も何か悪いことをしてしまうことがあるということを認めることだと・・・心から悔やんでいるならとか・・・そういうことではないかと・・・」 「ええ、そうですね。その定義についてはずいぶん話し合って了解しあいました・・・そうですよね? ご主人?」 スティーブは頷いた。「ただ、僕は、誰かを許すことに関係するいくつかについて、まだ疑問を持っていることは言いましたよ」 「分かっています」ヒューストン氏は素早く答えた。「それについては、追って考えることにします。ですが、今は、一つの問題に限定して、お二人の話し合いを聞きたいと思っているのです」 スティーブは、ちょっと躊躇いを見せた後、頷いた。
実際、マーサが上になって始めると、僕は彼女の振る舞いに、完全に畏敬の念を持つようになっていた。その激しく狂う様子、上下に体を弾ませる動き、そして僕の分身を上下に滑り絞る彼女のその部分。これまでの人生で、この時のような体験はしたことがなかった。マーサはセックスが大好きであることがはっきりと伝わったけれど、彼女がこれほどセックス好きであることが僕にもたらす効果の大きさにむしろ驚いた。 その日の夕方、家に戻ったが、ずっとマーサとの行為のことが頭から離れなかった。 月曜日になり、職場に来たが、マーサと話しをする時、どうしても笑顔になってしまい、それを隠すのに苦労した。 昼食時、マーサが僕のところに来て、一緒にランチを食べに出ようと僕を誘った。一緒にランチを取るのは普通のことだったが、友達のままでいようと誓いあったにもかかわらず、僕はランチを食べる時、どういうふうに話しをしたら良いか、途端に不安になった。いまや二人は、あのような関係になったわけなのだから。 「また、おどおどしているようね」 マーサがきっぱりと言った。彼女は僕のことを分かりすぎている。 僕はいきなり彼女の両肩に手を伸ばし、引き寄せ、キスをした。彼女もキスに応え、1分くらいキスをしていた。それから体を離し、小さな声で言った。 「こんなことしないで。こんなことをしちゃダメなんだから!」 マーサは僕に抱かれながら体を僕に押し付けていた。勃起が体に当たるのを感じていたはずだ。 いや、実際には、この日、昼食時に僕たちは行為に及んだわけではない。ただ、僕のオフィスで、彼女に指で愛撫し、乳首にキスをするところまでは行った。そして、この時もマーサは絶頂に達した。二人で僕のデスクの端に腰を降ろしながら、僕は、マーサが絶頂から落ち着くまで、ずっと抱きしめていた。 「クイッキー( 参考)をすることなるとしたら、フェラでいかせるのも覚えなくちゃいけないわね」 突然、そんなことを言い出すので、僕は彼女をまじまじと見つめた。そして、彼女は、そんな僕を見て笑った。 実際、マーサは、これも覚えたのだった。そして、それから間もなく、僕たちは、誰か他の人にランチに誘われたりしない時は、いつも、僕のオフィスで昼食時を過ごすようになり、さらに、僕は、時々、家に帰る途中、彼女のアパートに寄り道して帰るようになったのだった。 マーサは、まさに、目を見張るべき女性だった。セックスが好きであるという点で。様々なことを試したがる点でも、驚きの連続だった。クンニリングスをしてあげると、本当に、狂ったように燃え上がっていた。自分が、こんなにまで女性を喜ばせることができるという感覚は、本当に、特別な経験だった。
キスをした。情熱と愛情と欲望のキス。両手でディアドラのローブの前を開いた。ローブは床に落ち、僕の腕の中には素っ裸の彼女が立っていた。僕には上品に振舞う余裕がなかった。彼女をすくい上げ、ベッドに運んだ。大急ぎで服を引き千切るようにして脱ぎ、あたりに放り投げた。うおーっと吼えながらベッドに飛び乗る。そして、その途端、僕は安心した。 彼女の奥深くに入っていた。一気に突っ込み、彼女を我が物としていた。彼女を強姦しているようなものだったが、彼女自身がその強姦の良き協力者だった。顔はに淫楽に喜ぶ表情。両腕を僕の背中に回してしがみつき、僕の肌に爪を立てている。でも痛みなど感じない。足裏をベッドにつけたまま膝を曲げ、両脚を大きく広げている。僕は動物のように吼えながら、欲情をぶつけていた。彼女も叫びながら、欲情をぶつけ返していた。二人とも、淫欲に狂った原始的な2匹の動物になっていた。 激しく出し入れをしている間、ディアドラは何回かオーガズムに達していたが、僕のペニスはまだ鋼鉄の状態のままだった。動きのスピードを落とすことすらできない。彼女に休息を与えることすらできない。どうしても彼女に注ぎ込まねば、いてもたってもいられない。どうしても、ディアドラにオーガズムの最も根幹となる部分を味わわせ、彼女に、彼女は僕だけのものだと示さなければ、いてもたってもいられない。どうしてもそのことはディアドラに分かってもらいたい。他の誰にも渡せないのだ。彼女は僕だけのものだ! 強烈な解放に向けて、どんどん高まっているのを感じた。それまでも激しく動いていたにもかかわらず、なおもどんどん激しさを増して、彼女に打ち込み続けた。やがて、絶頂に近づくのを感じ、とうとう、そこに達した。 彼女の中、ペニスが爆発し、僕の精子を浴びせていた。撃ち出されたのがきっかけとなってディアドラも再びオーガズムに達する。甲高い叫び声を上げて絶頂を告げ、頭を後ろに振り、体をアーチ状に反らせ、その姿勢のまま強張り、激情を耐える。 そして、彼女は、がっくりと崩れた。抜け殻のようにぐったりとなった。使い古した人形のように、両腕、両脚とも広げ、大の字になって横たわっていた。目は閉じ、何か分からぬ言葉を小声でつぶやいている。 僕も彼女の隣に横たわり、もう一度、彼女を抱き寄せた。ディアドラが目を開けたとき、目に涙が浮かんでいるのが見えた。彼女をいたわりたくなる。優しく顔を擦ってあげ、愛していると言った。 「乱暴すぎたんじゃなかった? ごめんね」 彼女には幸せな気持ちになって欲しい。僕を愛して欲しい。それだけを望んでいた。 ディアドラは、華やかな笑顔になり、頭を左右に振った。「いいえ、アンドリュー。あなたがあのようになっている時は、どんなことをしても乱暴すぎるということはないの。昨日と今夜のことについては、あなたにどう感謝してよいか分からないわ。私には、本当に、特別な2日間だわ」 彼女にキスをした。彼女は、優しく心を込めて僕に抱きついた。それだけでも、また、僕の中に炎が燃え上がってくるのを感じた。彼女の場合、僕は、いくら抱いても、抱き飽きることがないようだ。決して。 キスをしながら、ゆっくりと下方へずれた。慈しむように時間をかけ、辿る道筋に現れるすべての場所をキスの形で賞賛し、崇拝していく。 やがて僕の唇はディアドラの女性の部分にたどり着いた。心を込めて、彼女のそこをあがめ始める。 決して急ぐことはしなかった。ゆっくりと愛撫を続け、緩やかなカーブではあるが、常に上昇かーぶになるように、彼女の興奮を高めていく。僕は、ディアドラとなら、クンニリングスをするのがこんなにも嬉しくて堪らない。
イサベラは、もう一本指が加わるのを感じ、ぶるぶる体を震わせた。マリイの2本の指が、若い娘の肉体から反応を引き出そうと愛撫を始める。反応をしたくないのにと堪えるイサベラは、恥ずかしさが湧き上がってくるのを感じた。 「おやめください・・・」 やっとの思いで囁いたが、マリイの指に快楽の蕾を探り当てられ、顔を横に背け、みじめさに目を閉じた。 目を閉じたままでも、マリイの体重でベッドが揺れるのを感じた。マリイは、たっぷりしたシルクのスカートを後ろに引きずりながら、ベッドに上がり、イサベラの太腿にまたがったのである。 「ああっ・・・」 熱を帯びた唇が、敏感な乳首に触れ、甘美に吸い上げるのを感じ、イサベラは溜息を漏らした。太腿に何か熱い部分が押し当てられ、そこに擦りつけているのも、淫らすぎる。 イサベラは、こんなふうに自分の胸をキスでいじめているのは、実はレオンなのだと想像しようとした。彼の熱く優しい唇で愛撫されているのだと。この、繊細なタッチで触れてくるものの、残酷そうな眼差しをした女に愛撫されているのではないのだと。 だが、イサベラは、間もなく、自分の身体が拒否するのをやめてしまったのを知るのだった。無力な肉体がマリイの愛撫に反応し始め、熱い滴をちろちろと脚の間に垂らし始めたのである。 「おや、お前、これが好きなんだね。違うかい? 可愛い淫乱娘?」 マリイは、濡れた乳首にふうっと息を吹きかけながら、嬉しそうに言った。 イサベラは、一旦離れたマリイの口を求めるかのように、背中を反らせ、胸を突き上げた。自制心が溶け出しているのを感じる。マリイの巧みな指は、依然として責めを続け、イサベラは、喘ぎ、体をくねらせて耐える他なかった。レオンの高圧的な愛撫と、あまりに異なった別次元の愛撫。 女の口が、湿った跡を残しながらイサベラの胸を横切り、もう一方の乳房の頂上を予想外に強く捕らえた。 「あっ、いやっ、やめて・・・わ、私、こんなのいや・・・」 また、熱い涙が溢れ出し、イサベラの頬を伝った。 マリイの舌が乳房をぐるりと舐めまわし、その後、乳房全体を口に含むのを受け、イサベラは体を震わせた。 「あら、でも、お前の可愛い体は、正反対のことを言ってるよ。お前の可愛い口とは異なって、体の方は嘘がつけないようだね」 「あっ!」 また、もう一本、指が加わり、彼女の中に忍び込んでくるのを感じ、イサベラは小さな溜息を漏らした。快感に耐えるように、体の両脇で、両手にこぶしを握り、身体が勝手にぐいっとベッドからせり上がった。「あうっ・・・!」 「マリイ!」 予期せず、静かにその言葉を掛けられ、マリイもイサベラも、はっと息を飲んだ。そこにはレオンがいて、小部屋のドアに無頓着そうに寄りかかっていた。黄金色の目を細め、目の前に展開している見世物を眺めている。 「あなた!」 マリイは声の主にさっと顔を向け、叫んだ。ベラの上から滑り降り、部屋を駆け、両腕を広げて、長身の男に抱きついた。 「あなた、早く戻ってきたのね」 イサベラは、レオンが、マリイの頭越しに自分の方へ視線を向け、そのクリーム色の肉肌をさっと見定め、うっとりとした目つき、火照った頬、そして、マリイの愛撫により湿ったままになってる勃起した乳首に気づいたのを感じ、息を飲んだ。何を考えているか読めない視線に晒され、イサベラは全身に緊張を走らせた。 レオンはイサベラから視線を戻し、抱いているブロンドの女に視線を落とした。そして、彼女の両手首をゆっくりと、しかし、しっかりと握り、首の周りから外させた。
ヒールに片足を入れ、ベルトを締めて、足に馴染ませた。それから脚を組んで、もう一方の足先にも履き、ベルトを締めた。両足を床に着け、立ち上がる。身長が急に180センチ以上になった気がした。足裏が急勾配で下がっていて、前のめりになりそうな感じにも。 試しに2、3歩歩いてみた。転ばなかったのに気をよくして、自分のオフィスの中を歩き回ってみた。歩くたびに、コツ、コツと音がする。 どうも歩き方がぎこちない。その理由を思い出し、ジェニーが教えてくれたように、腰を大きく左右に振りながら歩いてみた。すぐさま、腰を揺らすリズムに乗り、部屋の中を快調に行ったり来たりし始める。小鳥のように、両手を開き、指先が外側にむくようにさせ、腰を振って、ちょこちょこと歩く。 服装は男の服装なのに、ヒールを履いて歩き回っている。突然、自分がそんな格好をしていることに気づき、僕は素早くデスクに戻り、腰掛けた。 椅子に座りながら、ヒールをぬ剛をすると、電話が鳴った。いまの気持ちからするとちゃんとした男性の声が出るように注意しなければ。そう思いながら受話器を取った。 掛けてきたのはドナだった。 「お願い、まだ、それは脱がないで」 「何を脱ぐって?」 困惑しながら訊いた。 「そのハイヒールよ。デスクの左袖の一番下の引き出しを開けて見て」 そこを見ると、黒毛のページボーイ・スタイル( 参考)のかつらと、口紅があった。 「お願いだから、ヒールを脱ぐ前に、そのかつらをつけて、口紅をして見せて」 「そんなこと、ここではできないよ。いつお客さんが入ってくるか、分からないんだから」 「お客さんなら、ゲイルが時間稼ぎしてくれるわ。お願い。私のために、してみせて」 僕がしていることを、どうしてドナに分かるのか、依然として不思議に思いつつも、僕はかつらを取り上げ、丁寧に頭につけ、形を整えた。それから、口紅を手に鏡の前に行き、明るい赤の口紅を唇に塗った。上唇と下唇に塗り、両唇を擦り合わせて伸ばし、軽く舐める。 これまではブロンドのかつらをかぶったことはあった。いま鏡に映る、美しい黒髪の自分にも、驚きの気持ちで見入ってしまった。鏡の中、黒髪の女性がセクシーに美しい唇を舐めていた。ハイヒールのために、セクシーに胸を突き出し、お尻をつんと上げる格好になっている。 うっとりとした気持ちで、僕はゆっくりとシャツのボタンを外した。キャミソールに覆われたブラジャーが見えてくる。ゆっくりと鏡から離れ、肩越しに振り返って自分の姿を見た。男物のシャツとスラックスを着ているにもかかわらず、鏡の中には、黒髪の魅力的な美女が見えていた。アイシャドウと長い睫毛をつけたら目のところがどんな風に見えるか、想像できる気がした。 僕は電話に戻り、受話器を握った。 「オーケー、いま、かつらをかぶって口紅を塗ったよ」 「分かってるわ、ミス・ビッキー。その黒髪と明るい赤の口紅だと、あなた、完全と言っていいほど素敵に見えるわ」 僕はあたりを見回した。ドナは、この部屋のどこかにいるのは確かなはずだ。だが、どこにも彼女はいない。 ちょうどその時、いつもならパソコンのところにつけられているウェブ・カムが場所を変えていて、僕のデスク回りばかりでなく、部屋全体を捉えられるところにあるのに気づいた。 そのウェブ・カムと電話の両方に視線を走らせた。電話の向こう、ドナが笑っているのが聞こえた。それに、ゲイルの笑い声も。僕はオフィスのドアへ行き、注意深く、外を覗いた。そこにはゲイル以外誰もいなかった。ゲイルは、受話器を持ちながら笑っていた。
「確かに、悪性のインフルエンザにかかったし、その後、ある秘書の子供からうつされた腹痛が続いたし、続く1週間は昼食も取れないハード・ワークの連続だったよ。でも、それよりも深刻な体調にはなっていないんだ・・・」 スティーブは、そこまで言って、少し考え込んだ。 「・・・しばらく食欲もなく、痩せてしまった。まるで、カカシか骸骨か、そんな感じに見えていたと思う。でも、今は大丈夫だ。今日だって夕食時はもりもり食べたし、家に帰った後も、まだお腹がすいてる状態だったんだよ」 スティーブはもう一度バーバラを抱きしめた。 「もっとも、これからはポテトチップスを食べるのはほどほどにしようとは思ってるけどね」 バーバラはすでに体の震えを止めていた。夫が語る言葉をすべて聞きとり理解したが、それでも、まだ迷いが消えない。急にベッドが揺れた。スティーブが掛け布から脚を出し、立ち上がったからだった。 「すぐに戻ってくるよ」 スティーブは足早に寝室から出て行った。バーバラはベッドに横たわったまま、彼がリビングの電気をつける音を聞いていた。パチンと何かを弾く音が2回、そして紙をめくる音・・・その後、何かをパタンと閉じる音と、電気のスイッチを切る音がした。 そのすぐ後に、スティーブは、ベッドの上、バーバラのそばに腰を降ろし、ベッドサイドの明かりをつけた。バーバラは、まぶしさに目が眩んだ。目が明るさに慣れるまで、何度かまばたきをする。目が慣れた後、うつ伏せになり、両肘をついて上半身を起こした。 「バーバラ、今夜、このことについて話しをしようと思っていたんだ・・・でも今夜は、君がリディアのところに行く日になっていたから」 そう言いながらスティーブは、何か公式文書のように見えるものを彼女に振って見せた。 「いいかい?・・・」 真面目な口調だった。「僕はHIV陽性ではないんだよ。もう3ヶ月以上経っているんだ。あの・・・ああ、何と言うか・・・その危険性に晒されてからね。ともかく、抗体変化の兆候がまったくないんだ。今日の午後、マクミラン先生から、そのお言葉を頂いたばかりなんだ」 スティーブは、バーバラが何を考えているか、ヒントを得ようと彼女の顔をまじまじと見た。 「先生は、HIVは、96か97パーセントの確率で、・・・確か、接触してから2週目から12週目の間に発症すると言っていた・・・そして、僕はもうその期間をすぎているんだよ、バーバラ。本当にまれなケースでは半年後まで発症しないこともある。それについては、僕は心配したけど、先生はまったく気にしていなかった。今の時期以降に陽性であると診断される確率は、隕石に当たる確率と同じようなものだと言うんだ。分かるかい? 僕はエイズになっていないんだよ・・・それに君も僕からエイズをうつされることもないんだよ」 バーバラは仰向けになり、枕に頭を乗せ、天井を見上げた。 「もっと早く言ってくれてもいいのに」 声には咎めるようなところがあった。 「眠っていたからね」 とスティーブは素早く言い返した。「朝まで待てないというのも知らなかったから」 なだめるような声の調子だった。彼が言う理由は、確かに明瞭で、バーバラには反論することはできなかった。 「それに、僕をペニシリンに無反応にする注射をした後、他のすべての性感染症の病原菌を退治してくれて、今はすっかりきれいな身体になっているんだ。ああ、そうだ! 郡の保健局の人たちが、キムとやった・・・いや、キムのパートナーたち全員に接触をしてくれて、その全員がHIV陰性だと分かったんだよ。全員、あの小さなサークルにいる人以外の人とセックスをしてから半年すぎていた。連中は、仲間同士で様々な性感染症をうつしあっていたんだが、幸い、エイズはその中になかったんだ」 そこまで説明した後、スティーブは、バーバラが、いま話したことを理解し吸収するのを待った。 「私たち、死なないのね?」 彼女はつぶやいた。 「すぐには」 「ああ、どうしよう・・・あなた、私のこと、とんでもない馬鹿だと思ってるに違いないわ」 バーバラは、悲嘆に満ちた声をあげ、夫に見られないようにと右腕を顔に当てて隠した。 スティーブは、はあーっと息を吐いた。バーバラの反応を待つ間、ずっと息を止めていたのだった。 「いや・・・いや、そんなふうには思ってないよ」 スティーブは明かりを消し、ベッドに潜り込んだ。「でも、話し合わなければならないことはある」 静かな口調だった。 「どんなこと?」 バーバラは夫の腕に抱かれて、心地よく感じていた。この腕をどれだけ求めていたことか。 「二人で合意したよね? 再びセックスを始めるとしたら、話し合いをして、合意したことに従うと・・・覚えている?」 「ええ・・・まあ・・・」 バーバラは気が進まない様子で返事した。「でも・・・」 「『でも』は、なしだよ」 スティーブはきっぱりと言い放った。「僕は君を懲らしめなくてはいけないと思ってる」 「何をするつもりなの?」 バーバラは心配そうに尋ねた。確かに、そういう合意はしたが、いまは、二人の関係を後退させる段階ではないはず。去年の秋から、二人の関係はずいぶん好転してきてるのだから。 「そうだなあ・・・まず手始めとして・・・君には、今夜、濡れたスポットで寝てもらうことにする」 彼の腕の中、バーバラの体の緊張がほぐれた。手をシーツにさっと滑らせ、「濡れたところなんてないみたいよ」 と甘い声で答えた。 「ああ、そうか・・・確かに、その通りだ。さっきのは、大半、僕のトランクスが吸い取ってしまったからなあ。でも、シーツに濡れたスポットを作る方法は、確実に覚えているんだ」 スティーブは優しく、そう答え、バーバラのないとガウンの裾に手をやり、その中に入れ、滑らかな太腿を撫で上げた。 バーバラは嬉しそうにくすくす笑った。 「分かったわ」 と彼女は夫に同意した。 ********
急いで自転車に乗り、家に向かってペダルを漕ぎ出す。かなり夜も更けていて、通りには誰もいなかった。冷たい夜の空気は、むしろ、興奮した身体には気持ちよかった。どうせ、これだけ遅くなったのだからと、夜風を楽しみながらゆっくり帰ることにした。 ペダルを漕ぎながら、俺はすでに次のことを考えていた。あのクラブに入る方法さえあればいいのに・・・。突然、俺は笑顔になっていた。・・・一つ、方法があるかもしれない! ペダルを漕ぐスピードを急に上げる。 家に着き、自転車を草むらに倒し、裏門からキッチンに入った。すでに家は真っ暗で、親たちも寝ていた。電子レンジについている時計を見たら、もう4時10分になっているのを知り、びっくりした。 音がしないようにこっそり自分の部屋へ上がり、パソコンを立ち上げた。邪悪な笑みを浮かべながら、ワープロに打ち込み始める。 「ステファニ奥さんへ 奥さん、この前の夜は、人妻として、やってはいけないことをしてたようだな。奥さんのナイスな写真が俺の手元にあるぜ。でも、あんたがイケナイことをしてるのは、俺にとってはいいことだ。もし、奥さんが俺の指示に忠実に従うなら、奥さんの悪事は誰にもバレないだろう。だが、もし従わなかったら、あんたの旦那にも子供にも、奥さんがどんな淫乱娼婦かを見せてやることになるだろうな。だから、これは奥さん自身の判断に任せる。今日、仕事が終わったら、6000ドルを20ドル札で用意し、茶色の買い物袋に入れろ。そして、その紙袋をシーサイド・ダイナーのトイレの中のゴミ箱に入れてるんだ。それを行ったら、即時、そのレストランから出て行くように。俺の指示に従わなかったら、奥さんの小さな秘密はみんなに知れ渡ることになるだろう。指示に従えば、奥さんの秘密は今までのまま、秘密にしておける。いいな」 俺は、ステファニの名前と住所を封筒に印刷し、手紙を畳み、ブラッドの母親が愛人とセックスしている写真の何枚かと一緒に封筒に入れた。それから、こっそり部屋から出て、キッチンを通り、再び外に出た。 ブラッドの家へ自転車を飛ばす。我ながら、かなり疲れているのに気がついた。脚に力が入らないし、眠たくてしょうがない。 ようやくブラッドの家の前に来ると、いつもはガレージに入っているブラッドの母親の車が家の前に出ているのを見て、驚いた。それと同時に、もっと良いアイデアを思いつく。回りを見渡し、近所の家々がまだ真っ暗なのを確認した後、自転車を降り、車に近づいた。 封筒をワイパーに挟もうと思っていたが、念のためドアを調べてみると、驚いたことにロックされていない。できるだけ音が出ないようにドアを開け、ハンドルのところに封筒を置いた。 再びできるだけ音がしないようにドアを閉め、自転車に飛び乗り、家に向かった。これで、あの秘密クラブに加入することができそうだと夢を見る。後はブラッドの母親が俺の罠に嵌まってくるのを待つだけだ。 家に着き部屋に戻った俺は、倒れこむようにベッドに入り、すぐに眠りに落ちた。 つづく
翌日、職場にて。僕はマーサに話しかけることに極度に緊張していた。マーサは、ただちに、僕の態度を察知したようだ。というのも、廊下でおはようと言った直後、彼女は僕のオフィスにどかどかと押し入ってきて、僕を捕まえ、ドアを閉めて言ったから。 「私、昨夜のことで、私たちの友情関係を台無しにするつもりはないの! だから、あなた、ちゃんと私に話しかけなさいよ!」 真剣な口調だった。 「はい、分かりました」 そう言うと、彼女は僕を叩いた。まあ、軽くではあったけど。 その後、マーサは笑い出した。「アハハ。まあ、最初はそれでいいわ。でも、決して私のことを恐れるような態度をしないで。もう、どんなことがあっても、アレをすることは、もうないから」 「もう一回」 これを言った時、僕は、自分の声だと信じられなかった。 「え? 何て?!」 「もう一度、する必要があると思う。君はセックスの経験をしたかったんだろう? 最初のは、数には入れられないよ」 自分の口から出るまで、こんな考えはしていなかったと思う。 マーサは苦笑いをした。 「調子のいい作り話をしているの? ・・・未熟な女王様に?」 「未熟だなんて。君は天性の才能を持っているよ」 僕は、マーサの顔に浮かんだ、あの無防備な笑顔が好きだ。 「じゃあ、もう次のランデブーも計画してあるの?」 「ああ、フェイスが土曜日の午前中、妹とショッピングに行くと言っていたんだ」 「女王様は、受け取れるものは受け取らなければならないということね」 「女王様って! 僕は君には別の言葉を使うよ。ともかく、君は乗り気なんだね?」 土曜日、フェイスが出て行くとすぐに僕は狂ったようにマーサのところへ車を飛ばした。マーサは玄関で僕を見て、満面の笑みを浮かべていた。すぐさま僕の手を引っ張って、彼女の寝室へと僕を連れて行く。 寝室はカーテンが目一杯引かれていて、ほとんど真っ暗に近かった。そして寝室に入ると同時に、マーサは僕に襲い掛かり、ぐいっと僕を引き寄せ、キスをしてきた。キスを休んだのは、二人、ベッドに上がる時だけ。ベッドの中に入った後も何分かキスが続いた。 ようやくマーサはキスを解き、僕の股間をまさぐった。前と同じ勃起した状態の僕のペニスを探り当てる。彼女は、それを確かめた後、僕の服を脱がし始めた。とは言え、僕も、彼女の成すがままになっていたわけではなく、僕も、同時に彼女の服を脱がしていた。 この時は、前と比べて、マーサの身体を良く見ることができた。少なくとも、カーテンからかすかに漏れ入る日光により、前とは違う形で彼女を見ることができた。マーサは依然として、嬉しそうに笑みを浮かべたままで、もはや、自分の裸体がはっきりと見えていても、少しも恥ずかしがるようなところはなくなっていた。 「私が上になるのを試してみても、いい?」 驚くべき天性の才能だと思った。とても、反論することなどできなかった。どうやら、マーサは、その体位の方が女性にとってうまく行くと、人から聞いたか、何かで読んだのだろうと思う。
午後も午前とほぼ同じように進んだ。僕たちは、プロジェクトの僕たちの担当部分をまとめ上げる作業をしていて、実に時間通りに進んでいた。僕個人としては、時間通りすぎて不満ですらあった。この仕事には3週間の時間を割り当てられていたが、このままで行けば、そんなに長くはかからないことになってしまうと分かった。ディアドラと過ごす時間が、その分、早くなくなってしまう。 午後の間、何度か、ディアドラは、突然、手を伸ばし、ズボンの上から僕の勃起を触った。エロティックなことのように聞こえるが、しかし、分かって欲しいのは、全然、予想していない時に、突然、誰かに股間を握られるというのは、とてつもなく恐ろしいことだということだ。 やがて、僕は、これ以上我慢できなくなってしまった。ディアドラは僕のあれを握って、軽く絞り、その後、手のひらを使って根元から先まで擦り始めるようになっていた。本当に頭にくる。 いや、正確に言って、僕は怒っていたわけではない。自分のペニスに触れるのが好きな女性に怒る男などいるだろうか。しかし、これをされると気が狂ったようになってしまうのだ。たまりかねて僕は言った。 「ディアドラ! やめてくれないか!」 すると彼女は済まなそうな顔をした。「ごめんなさい。あなたのそれがまだ私のことを求めているかどうか知りたくなってしまうの」 僕は声を和らげた。遠くシンシナティにまで届きそうな大きすぎる声だったかもしれないと心配になった。 「ディ・ディ! 夕方の5時になったら、僕たちはこのオフィスを出るんだ。君のホテルの部屋に直行する。そして、僕は、君が気絶するまでセックスするつもりだ。反論はしないように。その前にお腹がすいてる、などとも言わないように。その気分じゃないのとかも言わないように。セックスの後だったら、君が求めるどんなことにも従う。でも、まずは、僕は君にとことんセックスしなければならないんだ。分かった?」 ディアドラは、真面目な顔で頷いた。「うん、分かった」 「よろしい。じゃあ、仕事に戻ろう」 だが、5時が近づくのに比例して、僕の中、何か圧力のようなものが蓄積していった。ほとんど、怒りに近いものに感じられたが、怒りとは異なるっている。強力な期待感なのかもしれない。そもそも、それが何であるか、僕に分かるはずがない。ともかく、僕は今にも爆発しそうだった。この世の中、ペニスをディアドラの中に埋め込むことだけが、僕の唯一の望みになって頭を占領する。文字通り、それにとり憑かれた状態。 そして、とうとう5時になった。僕はディアドラを急がせたが、彼女自身、すでに分かっていたようだ。僕がどんな状態を続けていたか分かり、僕の心的健康状態のためにも、急ぐべきだと分かっていたようだ。 彼女は会議室のドアまで歩くと、僕の方を振り返った。 「私のホテルに行くまで、ここで10分待っててくれる? いいわね?」 僕は駄々っ子のようになっていた。「ええ? 10分?」 でも僕には、10分が10時間のように聞こえたのである。それほど我慢できない状態だった。 「ええ、10分。ちょっとトイレに行きたいの。死刑囚でも、刑の執行の前におしっこをするチャンスは上げるでしょう?」 「わかった! わかった! 早く行ってよ! そう言っている間にも、10分の割り当てに食い込んでいるんだから」 彼女は僕の頬にキスをし、会議室のドアを開け、外に出て行った。 600からカウントダウンしながら待つと、10分というのは長く感じられる。まるで子供に戻った気分だった。クリスマスの日、父から、朝の7時までは階下に降りてきてはいけないと言われた子供時代。僕たちはいつも6時には起きていたので、時計が7時に向かってゆっくり時を刻むのを見ながらじっと待っていたクリスマスの朝は、死ぬほど長く感じられたものだった。 カウントダウンの数字が1になったと同時に、会議室のドアを出て、ホテルに直行した。もう、体の中が欲求で溢れかえる状態だった。今すぐ、ディアドラが欲しい。彼女だけが欲しい。 ホテルの部屋をノックした。ドアが開く。彼女はシルクのローブだけの姿で、そこに立っていた。僕は素早く中に入り、後ろ手にドアを閉め、彼女を両腕で抱きしめた。
マリイの指が、イサベラのピンク色の割れ目の間で弧のように曲がり、イサベラは体を強張らせた。何も考えず、本能的に後ずさりし、両膝の裏側にベッドが当たるのを感じた。だが、マリイは素早く前に進んだ。 ぴしゃり! マリイの右手がイサベラの頬をぴしゃりと叩いた。 イサベラは悲鳴をあげ、頬に炎のように痛みが広がるのを感じ、手で顔を覆った。目にじわりと涙が溢れてくる。 「お前は私に反抗するつもり? お前の女主人である私に? レオンを憤慨させたいのかい?」 マリイは青い瞳を輝かせながら、イサベラを上から睨みつけた。 イサベラは、邪悪な鞭や木べらで飾られた地下牢の光景を思い出し、背筋に冷たい震えが走るのを感じた。無言のまま、ただ頭を左右に振って答えた。だが、叩かれた頬を涙が伝い落ちることは防げない。 「それでよろしい」 マリイは冷たく微笑んだ。 「ならば、今すぐ、ベッドに仰向けになって、脚を広げなさい。召使たちが噂していた蜜壷を見せてもらうことにするよ」 イサベラは、心底ショックを受け、息を飲んだ。そんなことって・・・ 「レオンを怒らせたくないのだろう? ええ? どうなんだい?」 躊躇うイサベラを見て、マリイは目を邪悪そうに細めた。 イサベラは、悔しさに下唇を噛みながら、ゆっくりとベッドに腰を降ろし、横向きになって、体を横たえた。脚が震えていたものの、力を緩め、わずかだけ広げた。 「もっと、広げるのよ。・・・そう、それでよい」 マリイは、イサベラが言うことを聞くのを見て、満足そうにつぶやいた。 「ずいぶん柔らかいわね・・・」 マリイは、指をイサベラのふくらはぎから膝の内側へと這わせながら、つぶやいた。「・・・まるで、あかちゃんのよう・・・」 手は太腿の内側を這い上がり、足の付け根の肉付きの良い部分を柔らかく揉みほぐす。 マリイの手が優しく恥丘を覆うのを感じ、イサベラは体を小さく震わせた。 「その無垢な反応は、演技なのかい?」 そう言いながら、マリイは、指を曲げ、熱くなった部分へ滑り込ませた。イサベラは、脚の間から、どきんどきんと鼓動がし始めるのを感じ、溜息を漏らした。 「なかなかの絶品だねえ」 マリイの柔らかい指がイサベラの膨らんだ唇を左右に広げた。イサベラは、ピンク色の秘密の部分を、あの青い瞳でじっくりと見られているのを感じ、恥ずかしさに身をよじらせた。 「ううむ・・・誰かさんは、ふしだらな娘のようだねえ。肌がしっとりとして、ずいぶんほぐれているように見える。 レオンは、お前を精力的に、しかも、たびたび犯しているにちがいないわねぇ・・・」 マリイは、独り言を言うようにつぶやいた。 イサベラは、マリイの指が、柔らかく、そして優しく、その部分を探り続け、抵抗する気持ちを融かしていくのを感じ、唇を噛んで堪えた。 「はっ!」 突然、指が1本、内部に入ってきて、イサベラは息を飲んだ。 「お前、きついんだねえ。ずいぶん、きつい」 マリイは、その部分の筋肉が、入れた指をきゅうきゅうと締め付けるのを感じ、つぶやいた。「・・・じゃあ、お前をもう少し濡らしてやることにしようかねぇ? そうすれば、お前の、この、おちょぼ口をもう少しほぐしてやることができるから」
デスクに戻り、椅子に座りながら、僕は改めて、自分がドナみ見事に操られていると、むしろ感嘆した。ゲイルを助手に使い、見事に僕を操作している。 そして、書類を出すために脇の引き出しを開けて、僕は再び驚かされた。黒レースのガーターと黒シルクのストッキングが入っていたのだ。それを見て、どうしても身につけてみたくなってしまう。 椅子から立ち上がり、ゲイルが僕の姿を客に見られないにしているのを確認した後、僕はもう一度スラックスを脱ぎ、椅子に座りなおして、セクシーなストッキングを履き始めた。 だが、生えかかったすね毛がチクチクとするのを感じ、そこで履くのをやめた。この美しいストッキングに電線を走らせてしまうのはいやだ。そこで、ズボンを脱いだままで洗面室に行き、そこに常備してある電気かみそりを手にした。 トイレに座り、足をシンクに乗せて、毛を剃り始める。もう一方の足の毛も剃って、つるつるの肌にした。それから、また小走りでデスクに戻り、腰掛け、滑らかになった足にストッキングを履いた。この甘美な感覚に、またもや、ゾクゾクと興奮してしまう。 それから、また立ち上がり、後ろ向きにしてガーターを着け、ホックを留めた後、前向きに回し、腰のところに装着した。ストッキングを留めるタブがいくつか太腿に垂れ下がっている。前屈みになって、前部のタブにストッキングを留め、ずり落ちないようにさせた。後ろのタブにストッキングを留めるのには、ちょっとアクロバティックな姿勢にならなければならなかったが、何とか装着する。 脚にガーターとストッキングを装着した後、僕は、スラックスを履きなおし、ベルトを締め、靴を履きなおした。前にも感じたが、ソックスじゃなくストッキングの足を靴に入れると、ローファーの靴( 参考)がゆるくなったように感じる。だが、それは我慢し、ソックスは履かず、書類入れの引き出しの奥にしまうことにした。そう思って、引き出しを開けて、僕はハッと息を飲んだ。 ヒール高13センチの黒いスティレット・ヒールがあったからである。これだけは職場で履くことはできっこない! ちょうどその時、ゲイルが、また、様子を見に来た。 「それは、帰宅する時に履くものよ、ミス・ビッキー。職場用ではないわ」 彼女は、そう言って、また、オフィスの表の方に戻って行った。一体全体、ゲイルは、どうやって、僕がヒールを見つけたのを知ったのだろう? 僕は困惑して椅子に座るだけだった。 だが、ともかく、僕は、あのハイヒールを履いてみたくて、堪らない気持ちになっていた。もし、お客さんが来たら、ゲイルが声をかけるだろうから、危険を察知できるだろう。そう思い、僕はローファーを脱ぎ、引き出しを開け、愛しいものに触れるような手つきで美しいハイヒールを取り出した。
その時に撮ったビデオを作品化したものを、マークは、その週の土曜日に見せてくれた。とても興奮する作品になっていた。撮影した人は、マークだったり、トレーシーだったり、マリアだったりしていたのだけど、作品では誰が撮っているか分からないほど滑らかな編集がなされていた。編集の人者は素晴らしい仕事をしていると思った。ビデオの最後には、映画のようにエンド・クレジットが流れた。私たち全員の名前が出ていたし、編集としてビル・グラフトという名前も出ていた。 すぐに、ビル・グラフトという人が誰か、私には分かった。2週間ほど前、セットで彼に紹介されていたから。このような素晴らしい編集をし、その編集時に、私たちの行為を見たのがあの人だと分かって、私はとても興奮してしまい、次の瞬間には、隣に座るマークのところに上半身を傾け、彼のペニスを口に咥えていた。 ビデオを見ている時から、ずっと、そこを触り続けていたのだけど、急に、おしゃぶりしたい衝動が込み上げてきて、我慢ができなくなってしまったのだった。もちろん、マークは拒否しなかったし、実際、5分ほどで、私の口を美味しいスペルマでいっぱいにしてくれたのだった。 私は、それでも、もう一度マークに出してもらいたいと舐め続けていたのだけど、マークは私の口からペニスを抜いて、言った。 「ありがとう、ステフィー。でも、今はここまでにしよう。でも、このビデオ、ステフィーはそんなに興奮したのかな?」 私は顔が赤くなるのを感じた。「ええ、とっても」 「確かにそうだな。とすると、これが、他の誰にも見られないなんて残念だね。君がセックスされているとき、どれだけセクシーかを、誰にも見られないなんて」 マークはそう言って、私にキスをした。マークが何か考えたことがあってこう言ったのかは、私には定かでないけれど、この夜、私の頭の中にある考えの種を播いたのは事実だった。 続く3か月は、あっという間に過ぎてしまった。私は、ますます映画撮影での仕事を依頼されるようになっていた。マークが、Tガールの映画を作るのが間に合わなくなってきたからのようだった。Tガールの映画は最近、ますます売れ筋になってきているようだった。 父は、定期的にLA地域に来るようになった。そしてロスに来るたび、私を夕食に誘ってくれた。それに加えて、私とディナーを食べる夜でない夜は、マリアをディナーに連れて行った。父が私をディナーに連れていく時は、ホテルに帰る前に私を家に送ってくれるのが常だけど、マリアを連れていく時は、マリアは次の日の午前中に帰ってくるのが普通だった。 マリアは父と夜を過ごして帰ってくるときはいつも、私に対してとてもびくびくしている感じだった。そうなので、クリスマスが近づいたころ、私はマリアに伝えた。 「マリア? 私がマリアを愛していることも、父を愛していることも、マリアは分かってくれていると思うわ。だから、あなたと父が楽しんでいることは、とても嬉しいの。これからもずっと関係を続けてくれるといいなと思っているの。だから、翌日になってあまり罪悪感を感じてほしくないなって思っているのよ」 マリアは笑いながら答えた。「確かに、お父様と一緒に過ごしたあとは後ろめたい感じに振舞ってしまってるわね。でも、お父様もあなたも私の好きな人だということは、ちゃんと分って欲しいの。何というか、お父様と寝るたび、近親相姦のタブーを犯しているような気持ちになっちゃうのよ」 私も笑い出してしまった。「マリアは私ともお父さんとも親族関係じゃないんだから、どうして、そんなふうに考えるのか分からないわ。マリアがお父さんと結婚したとか言うなら、話しは別になるけど」 そう言うと、途端にマリアは狼狽して、そんなことはないと言おうとしていた。けれど、実際には言葉にできないらしくて、わけの分からないことしか言えていない。私は、ますます大きな声で笑い出して、マリアも、私がからかっていたのだと分かったみたい。彼女は、大きな木製のスプーンを持って、家の中、私を追い掛け回した。 あちこち逃げ回ったけれど、最後には、マリアに捕まってしまった。彼女は私のお尻をスプーンで何回か叩いた後、二人とも笑いながら、床に転がっていた。 そのことがあってから、マリアは、父と夜を過ごした後も、私に対して引け目を感じているような素振りは一切しなくなった。もっと言えば、父がロスに来た日の夜はいつも父と過ごして泊まってくるようになった。私と父がディナーを食べる夜でも、そうするようになった。父は、私とディナーを食べた後、私をトレーシーの家まで車で送ってくれるけれど、その間も、マリアは、父の泊まっているホテルの部屋で父のことを待っているのだろう。 つづく
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