次にリーさんたちが来たとき、ジェシカの大学生のお姉さんも一緒に来た。彼女の名前はハンナと言って、容姿はジェシカとあまり変わらなかった。でも、ハンナはジェシカと違って、見たこともないほど露出度の高いビキニを着ていた。
ハンナの姿に、私の目は磁石に引き寄せられたみたいになってしまった。でも、見つめたりしないようにと、とても気を使っていた。
頭の中をいろんな思いが駆け巡った。ハンナは年上なんだから、私と彼女が変な関係になっても「問題ない」はず…
なんということを考えてるの、私は! 私は結婚してるの。離婚や浮気なんか考えたことない。全然、「問題ない」はずがないじゃない!
でも…ハンナと妖しい関係になることを「思う」だけなら、問題ないはず。
私は彼女のことを盗み見した。とても美味しそうな身体。紐ビキニなのでお尻がほとんど隠れてない。
私は、そんなことを思って、また身震いした。でも、ハンナのことを妄想するだけならかまわないと思うと、少し気が休まったのは本当だった。ただ、その想いがばれないように注意しなければ…
その夜、ベッドに横になり、また暗い天井を見つめていた。ジェシカとハンナのことを思っていた。二人とも。でも、ハンナのことだけを考えるように努めた。ジェシカが着替えをしたときのようにハンナが着替えをしたらどんなふうだろうと想像した。お母さんのリーさんに命じられて、私の前で着替えをしたとしたら……
翌朝、誰かが玄関に来て、誰かと思ってドアを開けたら、そこにハンナが立っていた。何の用事だろうと思いながら、彼女を家に招き入れた。
「あなた、東洋人が好きでしょう? 違う?」
私は混乱して、ちょっとの間、立ちつくしていた。それから、支離滅裂だったけど、私が東洋人に何の偏見も持っていないと、抗議し始めた。
「そういうことじゃないの! 私たちを見て興奮しているんじゃないの、と言ってるの!」
「ハンナ! お母様に何か言われたなら…」
「隠せないわよ! 私は、最近、東洋系の女に興奮する男の人がいっぱいいるのを知ったし、同じように興奮する女の人もたくさんいるのを知ったの。今は、ずっと遠くから見てても、分かるようになったわ。私、あなたのことを見てたの。あなた、絶対、ジェシカを見て興奮してたでしょう? それに私を見ても興奮していた。私のお母さんを見ても興奮しているんじゃない?」
「どうしてそんなこと思うの? 分からないわ…」
「あなたがジェシカをいやらしい目で見てること、お母さんに言ってもいいの?」
私は唖然としていた。そして私がパニックになっているのがハンナにバレバレになってるのに気づいた。
「あら、いまになってバレたと感じてるみたいね。でも、どのみち、私は100%確信していたから。……うふふ… あなた、東洋人が好きなのね。未成年の少女でも、そういう気持ちになるんだ。…ひょっとすると、むしろ少女だから、そういう気持ちになってるのかも…」
「わ、わたし… 私、何もしてないわ…」 言葉がつかえていた。私はどうしようとしているの?
「これ…これね、ジェシカが私のビキニを試着してるところの写真よ」
彼女はポラロイドのスナップ写真を私によこした。私はその写真を見つめた。ジェシカがポーズを取ってる。ほとんど全裸と言えるような格好で。
「あら、欲しかったら、それ、あげるわ」
「いらないわ」
そうは言ったけど、私は写真をハンナに返す動きは取らなかった。口で言ってることと手がしてることは別のことだった。
ハンナはニヤニヤ笑っていた。彼女も私から写真を取る動きはしなかった。二人とも、ただ突っ立っていた。
「まあいいわ。あとでまた来るわね」
ハンナはそう言い、にっこりと笑顔を見せ、そして帰って行った。私はスナップ写真を持って立っていた。
もう一度、写真を見た。あのビキニを着てポーズを取ってるジェシカには、そうでない時のような純粋無垢の雰囲気はあまり感じられなかった。とても幼い子のようなのに、とてもセクシーに見える。
ああ、どうして私はこんなことを考えてるのだろう? どうしてしまったの?
私は写真をハンドバックにしまった。でも、その日いち日じゅう、気づいてみると私はときどきその写真を取り出して見ていたのだった。
その日の夜、私はジェシカがあのビキニを着ていて、それを脱ごうとしてるのを想像した。指が勝手に動いてクリトリスをいじっていた。夫は隣で眠っていた。私は声を漏らさずに、達していた。