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裏切り 第7章 (3) 

用を足している間、今日の午後のことについての絡みあった感情を整理していた。アンジーにばれてしまったというショック、それに彼女が見せたちょっと脅迫とすら思える強引さに、最初は驚いたが、それから立ち直ると、後はとても興奮することばかりだったと思えた。

元々、僕は僕の美人秘書にずっと前から惹かれていたというのは否定できないだろう。そして、今は、以前にまして惹かれている。アンジーは、前から、同じ気持ちでいることをいろんな機会に僕にほのめかしてきていた。彼女は、これからどこに向かっていくつもりなのだろう? 本能的に、これは単なる気軽なお付合い以上のものになるのではないかと感じた。

これはダイアナに対して不実を働いていることになるのだろうか? いや、そうではない。ダイアナは、男とセックスするかもしれないと前もって僕に伝えることができない場合があると言っていた。そして、そういうことが起きた場合、彼女は、後から、僕にそのことを教えてくれるのが常だった。いまは、僕も同じことができるはずだし、それでまったく問題はないはずだ。

ダイアナは、僕がダニエルと「デート」したとき嫉妬したが、もし僕が秘書とセックスしたら、ダイアナはあの時と同じように嫉妬するだろうか? アンジーはダイアナがしたように、僕に挿入したいと思うだろうか? この場合はディルドを使ってだが? 僕はその場合に備えて準備をしておきたかった…

うちのバスルームは完全装備になっている。ジェットバスのバスタブでシャワーは個室。洗面台は二つ。そしてトイレにビデも。購入にあたってこのマンションを見学した時、ビデを見て、バスルームの隅に見放されたように佇んでいる装置を変なものだなと思った。決して使うことはないだろうと…。だがいまは…。強力なジェット水で完全に洗浄される時の感覚は、刺激的ではあるけど、同時にちょっと落ちつかなる感じにもなる。洗浄しながら、その刺激で身体の中が疼き始めていた。洗浄行為だけでなく、これから起きることへの期待も疼く原因になっていた。

バスルームにいる間、アンジーが話す声が聞こえたと思う…誰かと話す声が…

それはともかく、僕がいない間に、アンジーは顔と髪の毛に「ちょっと手を入れ」たのだが、その結果は僕と同じくらい劇的なものだった。僕がバスルームから出ると、眩いばかりの笑みを見せ、手を差し伸べた。

「準備いい?」

デジャブ?

「何のための?…」

「お祝よ!」 とアンジーは大きな声を出した。「2分くらいでタクシーが来るわ。私たちみたいな美人が二人、こんな格好になっているのに家にいるなんて、あり得ないわ。今夜はシカゴ中の人に私たちを見てもらいたいの。自分がこんなにイキイキしているの、いままでなかったわ!」

告白すると、僕も同じ気持ちだった。スエードのハンドバッグを取り、現金を足し、運転免許証(これは見せなければならなくなったら、恥ずかしいけど、法律だから仕方ない)、香水、コンパクト、それにKYゼリーをもう1本入れた。アンジーは、僕がすでにバッグに入っていたコンドームに加え、KYゼリーを入れるのに気づくと顔をパッと明るくさせた。

「あら? 何かいいことあるかもって期待しているの?」 とアンジーは女友だちに話すような声で訊いた。

「ちょっと頭に浮かんだだけ…」 と僕は恥ずかしそうに女の声で答えた。

アンジーはウインクをした。

「その通りになるかもね。私、いまとても興奮しているもの。それにあなたも素敵! セクシーよ。もうどんどん楽しくなってくる」

タクシーに乗ってる時間は短かった。ディアボーン通りのルース・クリス・ステーキハウスの前で降りた。まあ、ここでいいか。バーはちょっとナイスだし、もう少し時間が経ったら、小さなフィレ肉を食べられるくらいはお腹がすくだろう。でも…


[2013/02/11] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)