「前屈みになるんだ。お尻を階段の方に突き出してな。そうすれば、クリスティが降りてきた時、自分のママがとんでもない淫乱ママだって分かるだろ?」
言われたとおりにした。ああ、ほんとに、してしまってた。言われるとすぐに脚を広げて、脚は曲げずに前屈みになっていた。しかも、手でお尻の頬を広げて…
「ああ……、したわ。ああん…言われたとおりに、前屈みになってる……」
「そんな格好をクリスティに見てほしいのか?」
ほんとに吐き気がするほど変態じみたことを言うのね! 自分の娘にこんな格好を見せるなんて! でも、こんな格好をするまいってどんなに頑張っても、心がダメなの。性的に刺激を受けちゃってて、階段からわたしを見てるクリスティのイメージがチカチカ頭の中に浮かんでくる。
「ああ…そ、そうよ……ああん。こんな格好になってるママを見てほしいの」
「じゃあ、今度は指をアナルに入れてみろ」
手が震えている。その震える指先がお尻の穴触れた。呼吸が乱れていた。
「あっ、あっ、あっ……。ああぁぁぁん……」 強引に入ってくる指…。その強引さにお尻の輪の形の筋肉が観念していくのを感じた。
「入ったか? じゃあ、動かして、出したり入れたりしてみろ」
「ああん、ああん…ううッ! ああん、ああん……い、いい!」
どうして、わたしはこんなに簡単に、こんな男の言いなりになってるの? どうして、わたしはこの男に自由にさせているの? 答えはひとつ。そうしなければいけないから。写真を返してもらうためには、こうしなくちゃいけないから。そうなのよ。自分でしてるんじゃないの! 興奮や快楽は二の次なの。そうよね?
「いま、アナルを自分でやってるんだよな? おばさん?」
「え、ええ……」
「淫乱になってるんだよな?」
「ええ……そう。そうです」
「ちゃんと自分で言ってみろ。おばさんの口から聞きたいな」
一瞬、ためらった。こんな男に、わたしの本性を認めてしまうなんて。家で恥知らずにも裸になってるわたし。お尻の穴を自分でいじってるわたし。そんなの言いたくない。でも、実際にわたしのお口から出てきた言葉は……
「わたし、淫乱女なの…ああ、ほんとうにイヤラシイ淫乱女なの」
目を閉じ、エッチなお尻の穴に指を深く突っ込みながら、電話に囁いていた。
「よし。じゃあ、おばさんは、今夜、俺専用の淫乱女になるんだ。俺が言うことを何でもするんだぞ、いいな?」
わたしはフランクが何を言ってるか理解し、身体を強張らせた。もし、この人にわたしを自由にさせるとしたら、どんな変態じみたことをさせられるか分からない。それを思って、本当に吐き気がしてきた。でも、わたしのもう一つの部分は……何か期待している部分がある。そうよ、写真を返してもらうためにはしなきゃいけないの。どうしても、しなきゃいけない……
「……はい」 ほとんど聞こえない声になっていた。
「聞こえねえぞ、ケイト。ちゃんと言うんだ!」 強く叱るような声。
「は、はい。今夜、あなた専用の淫乱女になります…。あっ、ああぁぁぁぁ……」
思ったより、しっかりした声で言っていた。わたし自身のお口から出た言葉、それにアナルを犯してるわたし自身の指…それが相まって、わたしは淫らな声を出していた。本当に淫乱になった気持ち。
これって、わたしの夢にものすごく近いから…。誰かに身体を好き勝手に使われる夢…。誰かにわたしの身体の穴という穴をぜんぶ犯される…まるで安い商売女のように扱われて、あそこの中にも、おっぱいにもお口にも、いっぱい出されて汚される!
心の中がそんな下品な思いでいっぱいになって、頭の中がからっぽ。あるのは変態じみたエッチな妄想だけになってる……
「ああ、フランク、あなた専用の淫乱女になるわ。どんなことでもします。わたし、そんあ淫乱女なんです!」
もう止まらない。言葉が勝手にお口から出てくる。そういう言葉を言えば言うほど、あそこにもお尻の方にも刺激が送られてくる!
もう立っていられなくなって、床に崩れ落ちてしまった。膝をついて、脚を広げ、お尻を突き出していた。
「ああっ、ああっ、ああっ………」 片手でお尻の穴に出し入れを続けながら、床に転がった受話器に顔を近づけ、喘ぎ声を上げ続けた。
肩越しに階段の方を振り返って、娘が部屋から出てくるのを想像した。素っ裸で床にへたりこんで、お尻の穴をいじってるわたし。それを見下ろしてる娘!
娘はどうするかしら? こんなわたしをどう思うかしら? わたしのことを淫乱ママと呼んでくれるかしら? お仕置きにお尻を叩いてくれるかしら? あああぁぁぁ、いいぃぃぃ…!
指を抜いて、自分でお尻の頬を平手打ちした。刺激が背筋を駆けのぼり、ゾクゾクと痺れてくる。
いきたいの…。もう本当にいかせて! いくときの快感が欲しいの…!
でも、いけなかった……。そこまでは登りつめられなかった。どうしてもおちんちんが必要。誰かの助けが必要なの!
「ああん、もお…ううん…」 いきたくてもいけない辛さに、電話口で不満の声を上げていた。
フランクはまるでわたしの心を読んで、この困った状態を知っているかのよう。電話の向こうで笑っていた。
「心配いらないよ、おばさん。今夜、ちゃんと良い淫乱女になったら、数えきれないほど、逝かせてやるから」
その言葉に、わたしは本当にこれに嵌まってるんだと気づいた。
「じゃあ、今夜、着てきてほしいものを言うからな。あと、俺に会う場所も」
わたしはフランクの要求を聞いた。そんな格好で人が見ているところを歩くの? わたしは、そんな自分を想像し、心が沈むのを感じた。
つづく
イサベラは身をこわばらせた。大きな手が腰からするすると降り、尻頬をつかまれる。そして、次の瞬間、突然ぐっと抱き寄せられた。イサベラは、両手を父親の胸板につっぱねて抗った。だが、それも敵わない。彼女が解放されたのは、主広間から大きな声で呼ぶ声が聞こえた時だった。父親がひるんだのを機に、イサベラは彼を押しのけ、主広間へと駆け逃げた。
教会の入り口に立っていたのはレオンだった。恐ろしい顔をし、険悪な目つきで辺りを見回し、警戒していた。やがて、その目は乱れた服のイサベラを発見する。彼の目がさらに細くなり、険悪さを増した。
イサベラは背後で父親が何事か叫ぶのを聞き、「イヤッ!」と叫んだ。階段を駆け下り、レオンの元へと走る。ただレオンだけを見つめて。イサベラはレオンに危険が迫っていることを伝えたかった。
だが、イサベラは無防備すぎた。突然、背後から腕が伸びてきて、捉えられしまった。イサベラはもがき逃れようとするが、捉えた者は暴れを収めようと、彼女を抱き、かかえ上げた。イサベラの足が地面から浮く。
「逃げて!」
イサベラは叫んだ。脚をばたつかせ、捉えた者を蹴る。だが、彼女の脚は流れるようなスカートの布地に絡まり、思うようにいかない。
突然、喉元に冷たい鉄製の物が当てられるのを感じ、イサベラは動きを止めた。ただ、恐怖に満ちた瞳でレオンの瞳を見つめている。
アランの部下たちが、剣をかざし、レオンの動きを封じた。レオンは黙ってはいたが、全身から怒りを発散していた。
「イサベラを放せ。お前が用があるのは俺のはずだ」
レオンは一歩前に進み、教会の中に踏み込んだ。それまで扉を開いたままに押さえていたレオンだったが、彼の抑えがなくなった今、扉が彼の背後で閉まった。そのために、レオンはたった一人になり、何十人もの武装した衛兵たちに対峙することになった。
イサベラの身体の中のすべてが「いやッ!」と叫んだ。
「ほー、何と感動的な。その態度、まさか本当にお前はイサベラを気づかっているように見えるではないか」
アランは胸の前で両腕を組みながら微笑んだ。彼はいま控えの間に通じるドアの前に立っている。
「イサベラを放すんだ」 レオンはイサベラから目を放さずに繰り返した。「この教会は俺の部下たちに取り囲まれている。彼らには、イサベラが無傷で解放されたなら、お前が咎めなくショボノウの門を通るのを許してよいと命令を受けている」
「レオン、いけない!」 イサベラが叫んだ。レオンに分からせなければ。城に戻るよう伝えなければ。もしレオンが私と結婚してしまったら、父が企んでいるように、レオンは事実上、殺されることを確実にしてしまうことになる。「レオン、決して…」
「こらこら、イサベラ。いい子になって静かにしてるんだ」 とアランは何事もないかのように言い、イサベラに歩み寄った。「わしはイサベラも、お腹の子も、傷つけるつもりなどないのだよ。お前がわしにそうするよう仕向けない限りはな」 と彼はレオンに言った。
イサベラは燃えるような怒りもあらわに、隣に立つ父親を睨みつけた。アランは手を上げ、彼女の紅潮する顔にかかるシルクのようなほつれ毛を優しく撫で、元に戻した。それを身震いしながら耐えるイサベラ。
「それにお前もだ、ドゥ・アンジェ。お前も、わしの希望に従うならば、傷つけるつもりはない。いったんわしのここでの仕事が完了したら、わしもわしの家来も直ちに帰路につくだろう」
ノボルの携帯電話が鳴り、二人は目を覚ました。ノボルは、けだるそうに電話を取り、「モシモシ[Moshi moshi]?」とつぶやいた。
アンジェラはその姿を眺めていたが、突然、ノボルが緊張しだし、電話の向こうの人が語ることに、ひとつひとつ頷くのを見た。
「ヨシ…。ハイ……ハイ……。ソレデハ[Yosh. Hai. Hai. Sorudewa]」
ノボルは電話を切ると、ベッドの中、寝がえりをうち、アンジェラの身体を包むように、体を丸めた。
「私の部下が今からあなたの家の物を運んできます」
「こんなに早く?」 ノブは確かに仕事が早い。
「サブローには、あなたに関する情報をさぐる時間を一切与えたくなかったから。そんな情報を与えてしまったら、あいつにとって役に立つことになるかもしれない」 とノボルはアンジェラの肩に優しく唇を這わせた。「あなたの家族はどちらに?」
「カリフォルニアよ。どうして?」
「良かった。それなら、すぐに危険になるというわけじゃない」
ノボルはシーツを払いのけ、立ちあがった。黒いキモノのローブを羽織り、腰に帯を巻く。振り返ると、アンジェラがずっと見ていたのに気づき、照れくさそうに笑った。
肩まで伸びた漆黒の髪。振りかえったときの彼の表情。それを見て、アンジェラはノボルの唇がいっそう誘惑的に見え、なおも彼を見つめ続けた。
「その人たちがここに来るまで、どのくらいかかるの?」 とアンジェラは意味ありげに訊いた。
アンジェラが興奮してることを示す匂いがノボルの鼻孔を満たし始め、彼の瞳に浮かぶ表情が、明らかに邪悪っぽく変わった。
「残念ながら、そんなにかかりません」 意志の力を最大限に発揮して、なんとか勃起を抑え込む。「…あなたは、私の命なのですから」
突然、ノボルがドアの方に聞き耳を立てた。アンジェラには何も聞こえず、奇妙に見えたが、彼の部下たちが到着したのである。ノボルはドアを開けると、黒スーツ姿の大きな日本人男性が4人入ってきて、礼儀正しくお辞儀した。男たちは、ノボルから日本語でいくつか命令を受けた後、アンジェラの持ち物を入れた箱々を搬入し始めた。小型の家具も運んできている。
見知らぬ男たちが動き回るのが居心地悪いのか、イン、ヤン、スノッティの3匹はベッドに飛び乗り、彼らを見るアンジェラに擦り寄った。アンジェラはシーツを前に引っ張って身体を隠している。
男たちは作業を終えると、動きを止め、アンジェラへと顔を向けた。アンジェラはノボルが男たちの視線を追っているのを見た。そして、彼が彼女を見た時、その顔にわずかに自慢げな表情が見えているのに気づいた。4人の男たちはアンジェラに深々とお辞儀し、ノボルに退出する旨を伝え、そして出ていった。
ノボルは階段を上がり、猫たちの邪魔をしないよう気遣いながらアンジェラの隣に座った。インとヤンはすぐにゴロゴロ喉を鳴らし、頭をノボルに擦りつけ始めたが、スノッティは迷惑そうな顔を見せ、ベッドから飛び降りた。
「ゴメン[Gomen]、スノッティ君。でも、君はお母さんを独り占めしないようにしないといけないよ。アハハ」
こげ茶色のスノッティは、無視するようにあくびをし、「それはお前のことだろ」と言いたげに目を細め、頭をぴんと掲げて、偉そうに歩き去った。
「ナニ[Nani]?」 とノボルは自分の腰のあたりに目を落とした。アンジェラがキモノの帯をほどこうとしている。
ノボルは自分でキモノのローブを脱ぎ棄てた。アンジェラは彼の分身が目の前に直立するのを見て、いたずらっぽく微笑んだ。
顔を下げ、彼女はノボルのそこの、むっとするような匂いを嗅いだ。
「まあ、とてもいい匂いがする…」
その言葉にノボルの勃起がピクッと反応した。アンジェラは頭部の皮を引き下げ、ぬるりとした表面を軽く舐めた。
「ノブ? 一日じゅう、ずっとあなたとしていたいのに、どうやったら仕事できるかしら? そんな気になれないわ…」
それを聞いて、ノボルが突然、真剣な顔に変った。
「何? どうしたの?」