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Everything すべて (4) 

それで、ある晩のことだった。ジムは、私の税金の書類の手伝いをしてくれることになっていた。車を走らせたジムの家に行くと、たまたまニナが家にいないのを知った。ジムとは、ちょっとおしゃべりをし、厄介な書類を片付け、それが終わった後、お酒を飲んで、またおしゃべりを始めた。

私は、ニナがあんな風にジムのことを裏切っているのが我慢できなかった。私は、自分があの出来事を知っているのに、ジムがニナのことについて楽しそうに語るのを落ち着いて聞くことができなかった。罪悪感を感じてしまって。

我慢しきれなくなった私は、とうとう、彼に「話したいことがあるの」と切り出してしまった。事は深刻なことと伝わるよう、真剣な顔で切り出した。言葉で伝えるのが難しかったけれども、私は堰を切ったように、ニナが何をしているか彼に伝えたのだった。

ジムは衝撃を受けていた。いや、「衝撃を受けた」という表現では、まだ足りない。

「本当なのか?」

ジムは私に顔を近づけ、本当か確かめているように私の顔を見た。とても悲しそうな顔をしていた。それから、彼は顔面を両手で覆って、がっくりとうなだれた。私は、カウチの上、彼の隣に座って、彼を慰めるために彼の肩に腕を回した。何か気が休まることを言ってあげたいと思ったけれど、言葉が出てこない。

しばらく経ち、ようやくジムは体を起こし、私を見た。彼の顔とは20センチも離れていなかったと思う。私も彼の瞳をまっすぐに見つめた。そして、その直後、私たち二人は、長い間離れ離れになっていた恋人同士のように、キスをし、抱擁しあっていた。私は両腕を彼の体に巻きつけ抱きしめていたし、彼も私を抱きしめていた。二人の唇が溶け合うように一体化していた。

それから間もなく、私は体の中に興奮が湧き上がってくるのを感じた。この行為の行き着く先は、してはいけないことになるとは知っていたが、私は気にしなかった。ジムは、とても良い人だし、男性的に逞しいし人。ニナからあんな仕打ちを受けるなんて、可哀想すぎる。

何が起きることになるか、私もジムも分かっていた。私のブラウスのボタンが外され、彼の手が中に入っていた。私がこのようなことをするとは、自分でも信じられなかった。男性に対して、こんなに積極的になったことはなかったから。トムに対しても、これほどではなかったから。

やがて私とジムは寝室に入っていて、私は素っ裸になっていた。ジムのことが欲しくて堪らなくなっている自分がいた。でも、ジムは、私を制するように、先に進むのをちょっと止めた。

「今の俺の気持ちの状態だと、何だか、君に対して荒々しくしてしまうかもしれないんだ」

私は裸の体を押し付け、彼に言った。

「・・・いいのよ。私でよかったら、好きにしてくれて良いのよ」


[2008/04/25] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)