僕は自信なさげに言った。「正直、僕は、君が僕のどこを買ってるのか分からないんだ。…君が知ってる他の男たちに比べて」
「心配しないで。いずれ分かるから」 とダイアナは楽しそうに言った。
「それはそうと、本気で僕にリサになってほしいの?」
ダイアナはぎゅっと僕の手を握り返した。
「少なくとも私にとっては、あなたはすでにリサになってるわ。私自身が、私にとっては、ずっと前から今の、あなたの目の前にいる『私』でいたのと同じ。ポールにもあなたのことが見えていたと思う。ポールは、男性にしては、女性性の判断はとてもしっかりしているの。ポールがつきあってるキティもそうね。ポールとキティはとても変な関係にあるの。私たちと同じ。…それはともかく、今の私たちの課題は、意識上の『あなた』を意識下の『あなた』に追いつかせることだわ。あなたにその気があるならの話しだけど」
「僕たちどこまで進むんだろう?」 と僕は不安げに訊いた。
ダイアナは、ただ肩を少しすくめ、いたずらっぽい笑みを浮かべただけだった。
「そんなの分からないわ。…これまでも、私は男の子を女の子に変えてきたし、そのついでに、その結果も楽しんできたわ。そういった場合は、その人たち、私の場合と同じで、最初から女性になりたいという目標があったの。私はその目標の達成を助けていただけ。女性化の過程に精神的にかかわってきたのは、今回が初めて。もし、あなたが本当に私の生き方をモデルにしたいなら、これからしなくちゃいけないことや、学ばなくちゃいけないことがあるわ。それについては私はすでにどうしたらよいか知っている。でも、それ以外のことについては…。正直に言って、私が、いいえ私たちが、どこまでしたいと思うかは、分からないの。進めながら、いくつか約束事を立てていく必要があるのは確かね」
ダイアナは、言葉で強調すべきところが来るたび、何気なさを装って、テーブルの下、僕のストッキングの脚を足で擦っていた。
「はっきり分かっているのは、かなり短期間にずいぶん進んできたということ」
「でも、もしそんな先まで進めていったら、僕のペニスは…、その…」
その先をどういう言葉で続けていったらよいか分からなかった。あまりに極端すぎる。だが、少なくともそれが可能性としてあることは知っていた。
ダイアナは目を輝かせた。そして、からかい気味に言った。
「そうしたいの? 私の可愛い従順な女の子になりたいの? そうなりたいなら、私には、そうならせることができるわよ。すっごく興奮しそう…」
「いや、違う、違う、違う!」 慌てて言った。少し慌てすぎたかもしれない。「もしそうなったら、の場合を訊いただけだよ。僕は、アレがなくても君を喜ばせることはできる。でも…、何と言うか、そうなったら、君は、ペニスであそこを満たしてほしいと残念がることはないのかな、って」
ダイアナは真剣な顔になって、一度、深呼吸をした。