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ティファニー再び大満足 (12) 

私はすぐに指示されたベンチに座りました。そしてジョンは私の前に立ちました。彼のズボンの前を開けて、中からコチコチに固くなったおちんちんを引っ張り出しました。それをすぐに私の中に入れたかったのは山々ですが、ほんのちょっとだけ焦らしてあげたいとも思い、こう言ったのです。

「コンドームをつけてと頼まなくちゃいけないの。私のような商売女は、前もって注意しないといけないのよ」

ジョンはびっくりして目を丸くしました。そしてコンドームを取りだして、装着したのです。

私は飢えた獣のように夫の肉棒にむしゃぶりつきました。ちゅうちゅう吸ったり、ペロペロ舐めたり。そうしながら、自分たちがどんな場所にいるかを考え、誰かに見られているかもしれないと思いました。

何回か吸っていたら、夫が私の肩を軽く叩きました。顔をあげて夫の顔を見ると、左側の壁の方を見てごらんと、あごで合図するのです。見てみると、壁の穴を通しておちんちんが突き出ていました。夫のと同じくらいの大きさのおちんちん。

正直、びっくりしたし、ちょっとショックを受けたのも事実です。読物では読んでいたけど、これは本物だったから。ジョンは私の表情を見て、笑っていました。さらにもう少しした後、彼が言いました。

「あれもいじってみたいんじゃないか?」

私は夫の顔とあのおちんちんに何度も視線を行き来させました。まだ夫のおちんちんを握っていて、うわの空の状態で、ゆっくりしごいていました。

「君が僕にしていること、多分あいつも喜ぶと思うよ」

私は顔を下げて、手に握っている夫のおちんちんを見ました。それから壁から出ているおちんちんへと視線を向けました。そして、どうしたらよいか分からないまま夫の顔を見上げました。

「私にしてほしいの?」

ジョンはにっこり微笑み、頷きました。

ベンチに座ったまま、ゆっくりと壁の方に移動し、近づいて見てみました。普通のおちんちんのように見えます。ちょっと頭のところだけ触って、どんな感触か優しく試してみました。とてもお馴染みの感じがしました。自分でもどうしてこんなに恐る恐るしているのかと驚いていたのも事実です。

多分、夫がこの場にいるからだと思いました。1年前、10人以上の男たちのおもちゃになった時は、私は全然ためらったりしなかった。でも、今は、夫がそばにいる…

だけと、夫は私にしてごらんと勧めてくれているの。だったら、ためらうことなどないんじゃない?

私は、その固いおちんちんを握って、ゆっくりしごき始めました。薄い壁を隔てて、隣のブースから男性のうめき声が聞こえました。

たった10回ほど擦っただけで、そのおちんちんは、どろっとした白濁を吐き出してイッてしまいました。白いものが床に飛び、私の靴にかかるのを見ました。射精が終わるとすぐに、そのおちんちんの持ち主は私の手から引き下がりました。壁を通して向こうから、「ありがとう」とくぐもった声が聞こえました。

私は汚れた靴を見て、それから夫を見上げました。夫はそんな私を見て笑い出しました。もう、どうして笑ってるのと私は困ったような笑顔をジョンに見せながら、脚を組みました。組んだ脚先の靴をゆっくり揺らしながら、その靴についた白濁の塊を指にとって、お口に入れました。わざと、夫に、とっても美味しいと見えるような表情をして見せ、さらに何度も指ですくってお口に入れました。

ジョンは、おお、すごいと驚いた顔をしていました。

「君のような根っからイヤラシイ女を妻に持てたなんて、僕はいったいどんなことをしたんだろう」

「ただ運が良かっただけじゃない?」

その時、別のおちんちんが壁から出てきました。今度のはさっきのよりも太い感じです。ジョンはそれを指差して言いました。

「今度は口でじかに受けたらいいんじゃないのかな?」

私は夫を見上げて言いました。「本気なの? じゃあ見てて」

夫は頷きました。


[2011/09/28] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

ライジング・サン&モーニング・カーム 第1章 (3) 


今や紙がなくなる心配もなくなり、二人は話し言葉によらない長い会話を始めた。ノボルは、海を渡ってきたのだが、嵐のために船が難破してしまったと説明した。ジウンは、以前、両親と朝鮮の都に住んでいたのだが、疫病で両親とも亡くしてしまい、ここで伯父と一緒に暮らしてしたこと、その伯父も2年ほど前に亡くなってしまい、以来、一人で暮らしてきていると説明した。

ノボルが、どうやって漢字を覚えたのかと訊くと、ジウンは、父親が宮廷の高官であったので、その父に教育を見てもらったと答えた。ノボルは、それでこの高価そうな硯があるのか、と口には出さず納得した。それにしても、この娘は、たったひとりで貧しい暮らしをしてきたのか…。ノボルの胸はジウンへの同情でいっぱいになった。

命を救ってくれたことに対して、いまだ正式に礼を言っていなかったことを思い出し、ノボルは石に感謝の言葉を書き、深々と頭を下げた。ジウンはにっこりとほほ笑み、お返しに頭を下げた。だが、ノボルは、ジウンがここで何をしているのかと訊くと、突然、罪悪感が襲ってくるのを感じたのだった。

本当のことを言えるわけがなかった。ノボルが使える将軍は、明朝を征服する準備段階として、彼女の国である朝鮮に侵略する計画をしていたのだった。ノボル自身は朝鮮国の人々について何も知らなかったし、とりわけ戦争は嫌いだった。だが、弟の三郎がこの小さな国の沿岸地域を偵察する使命を授かったのを聞き、ノボルは、その慎重な性格ゆえに、三郎ひとりにその使命をさせることができなくなり、偵察隊に加わったのである。それが今は、侵略しようとしている土地の住民に命を救われた。ノボルは良心の呵責を感じ、ジウンの顔をまっすぐに見られないと感じたのである。

ジウンはノボルが辛そうにしているのを察し、質問のことは忘れてと手振りで示し、食事ができるようにと石を横にずらした。

質素な食事をふたり一緒に食べながら、ジウンはノボルの食べ方を見ていた。男は茶碗を手に持ち、口に近づけ、箸でめしを口に入れているのだ。一方のノボルも、ジウンが茶碗を手に持たず、机に置いたまま食べるのに気づいた。それにもう一つ彼が気づいたことがある。それは、よく見るとジウンは、明らかに貧しい身なりをしつつも、かなり美しい顔をしていること、そして高貴な娘の印象があるということだった。

ジウンは、ノボルの茶碗にお代わりを盛ってあげた後、引き続き彼の食べる様子を見、彼の顔をより詳しく見た。髭はきれいに剃り、髪はきっちりと結って、頭の上にまとめている。顔かたちは朝鮮の男たちと似ているけれども、それでも、小さな違いもいくつかあった。

ノボルは彼女の視線を感じで顔を上げた。ジウンは見ていることに気づかれて、視線を逸らした。顔が火照っている。横眼でこっそり彼の顔を覗き見した。ノボルが笑顔になっているのが見えた。それを見て、ジウンは恥ずかしそうに笑いだし、ノボルは、彼女の笑い声を聞いて、いっそう明るい笑顔になった。

食事を終えた後、ジウンは、ノボルに身ぶりで横になるように示した。ノボルは、これまでも充分に彼女の世話になっていることを感じ、断ろうとした。ジウンは、困った顔をして、例の石を持ってきて、病気なのだから、横になるべきだと書いた。すると、ノボルは、ジウンに床に寝せるわけにはいかないと、返事の言葉を書いた。

ふたりは石盤を挟んでどうしたらよいかと、しばらく見つめあった。どうにも埒が明かないと、いたたまれなくなったノボルは、おもむろに「一緒」の文字を書いた。とたんにジウンは眉を吊り上げ驚いた顔になった。それを見てノボルは思わず笑いそうになったが、それを堪えながら、「貞節」と「安全」を表す文字を並べて書いた。だが、ジウンは疑った顔しかしない。どうしたらよいか返事をもらえそうにないのを感じ、ノボルは胸の前で腕を組み、彼女の返事を待った。


[2011/09/28] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

淫乱ママ 第5章 (19) 

3人は自分のカメラをいじり始めた。モデルを迎えての大事な時に備えて準備をしている。わたしは何もすることがないので、鉄道の車両の下から突き出ている梁に腰かけて、みんなを眺めていた。

この時も、ジェイソンは、わたしが見ていない隙にチラチラとわたしのことを盗み見していた。それに、フランクも時々わたしのことを見ている。フランクと目があうと、なんだか怖くなってわたしは目を避けていた。

ようやく、それから10分くらいしたら、車が近づいてきて、止まった。中からティムが飛び出てきた。堂々とした足取りで、みんなの方にやってくる。

「ダメだ。モデルなし。最後の瞬間にキャンセルされちゃったよ」

「ティム、あのモデルに何て言ったんだ!」 即、フランクが文句を言った。

驚いてしまったけど、ティムはぜんぜん怖気ずく様子もなく、まっすぐにフランクに顔を向けていた。ティムはフランクより背が低いし、体格も小さいのだけど、どういうわけか、堂々としていて、自信がある雰囲気を醸し出している。

「俺たちが考えていることを言ったんだ。それだけ…」

「ティム、お前なあ! 最後まで何も言うなって言っただろ!」 とフランクが怒鳴った。

ティムはぜんぜんひるまず、まっすぐにフランクを見ていた。

「彼女が訊くもんだからな。訊かれたら、俺は嘘は言わないよ、フランク」 ティムは厳しい口調で答えた。

二人ともかなり険悪な感じになっていた。ひょっとしたら、殴り合いになるかもと心配した。トミーもジェイソンも、ただ見ているだけで、言い争いに割り込もうとしない。困ったわ…。事態が手に負えなくなる前に、この険悪な状況を和らげなくちゃ…。

「あのね、みんな…? わたしにできることあるかしら?」

フランクとティムは、まるでわたしの存在に気づいていなかったみたいに、わたしのことを見た。ふたりとも怒った顔をしていたけど、それがゆっくりと、好奇心に満ちた顔に変わった。ゆっくりとふたりのところに歩いて行くと、状況から険悪さがみるみる溶けていくみたいだった。とうとう、二人の間に来て、そこに立った。ふたりとも、怒りの表情は消えていて、むしろわたしを称賛する顔になっていた。

「すみませんが、まだあなたに…」 とティムが礼儀正しく手を差し出した。

「トミーのお袋だ、ティム」 とフランクが言った。何だ、拍子抜けしたよといった感じで、どこか声にがっかりしたような色があった。

それを聞いてティムは目を丸くした。わたしはフランクに「あなたは黙っていなさいよ」って言いそうになったけれど、何しろ、あの大きな体格だし、目つきも鋭いので、ちょっと怖くて言えなかった。それでも、さっきのフランクの言い方は大嫌い。

「トミーのお母さん! 初めまして、ミセス…」

「ケイトと呼んで」 と、わたしはティムに笑顔を見せた。

「どういうことになっているのか、事実を全部知ってるわけじゃないんだけど、どうやら、あなたたち、何かウェブ・サイトを立ち上げようとしてるんでしょ? だけど、あてにしていたモデルさんが、約束を取消しちゃったと。でも、そんな大きな問題じゃないんじゃない? つまり、その人の代わりになる人なら、探せばどこか他にいるんじゃない?」

そう言いながら、フランクの方を見てちょっと嫌な顔をして見せた。

「ママ、僕たち、そのモデルにお願いするのにどんだけ時間をかけたか知らないんだから。彼女だと完璧なんだ。そのために、いろんな準備をしてきたんだから…」 と息子が熱心に説明した。

「ちょっと…、ちょっと待って…」 とジェイソンが割って入った。「で、ケイト…、ケイトはどうかなあ? ケイトはモデルのようだって、俺、もう言ったよね。代役をするのはどうかな?」

突然、みんながいっせいにわたしに視線を向けた。四方から視線を浴びせてくる。みんなの目がわたしの身体を上から下までじろじろ見ている。

ショックだった。こんな流れになるとは全然予想していなかったもの!

「わ、わたし?… だ、ダメよ…。どうしてよいか分からないもの…。ダメダメ、絶対ムリ!」

どうして、突然、雰囲気が妖しくなったの? 4人に取り囲まれて、わたしは全身の肌から一斉に汗が吹き出しそうになっていた。

「トミー? お前、お母さんがポーズを取っても気にしないよな?」 とジェイソンがウキウキしながら訊いた。

「ぜんぜん。ママならすごくいいと思うよ!」 と、息子が問いかけるような顔でわたしを見た。

わたしは頭を左右に振っていた。どうしてこんな展開になってるのか信じられない。フランクとティムのケンカの仲裁に入った時、こうなることはぜんぜん思っていなかったのは確か。

「いいだろ、ケイト。どうにかなるって…。俺たちのためにモデルになってくれよ」 とフランクが言った。

みんな、わたしのことを見ている。返事を求めている。ひとりひとり、顔を見たけど、みんな興奮した顔で、わたしのことを称賛している顔。本当にそれを期待しているの?

フランクさえも、多分わたしのことあまり気に入っていないと思うのだけど、期待した目でわたしのことを見ている。

息子を見たら、声には出してないけど、「頼むよ」って言うように唇を動かしていた。

「いいわ。オーケー。でも、モデルになるのはいいけど、どの写真をサイトに使うかはわたしが決めるけど、いいわね」

「オーケー、問題なし!」

「もちろん、いいよ!」

「ああ、完璧だ!」

4人はニヤニヤ笑ってわたしを取り囲みながら、うんうんと頷いた。


[2011/09/26] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

ジャッキー 第9章 (3) 

キスを終えると、アンジーはすぐに僕の服を脱がしにかかり、あっという間に服は足元に落ちていた。そして、彼女は両手で僕の身体じゅうをまさぐり始めた。身体じゅうではあったが、大半は、僕のお尻を中心に触っていた。尻頬を揉んだり、つねったり。時に、指が尻頬の谷間に入ってきて、アヌスをいじっていた。

僕の方も手を休ませていたわけではない。すでにアンジーのドレスのチャックを降ろしきり、彼女のドレスも床に落ちていた。それから両手をお椀の形にして彼女の胸を覆い、ブラジャーも外した。キスをしながら敏感な乳首をいじり続け、やがてアンジーは僕と唇を重ねたまま、悩ましい声を上げ始めた。

これだけは、はっきりしていた。つまり、いつも基本的にそうなのではあるが、特にこの夜は、アンジーはふたりの愛の営みの主導権を握りたがっていたということである。

僕は乳首をいじり続けていたのだが、アンジーは、それによって興奮しすぎてしまう前に、キスを解き、僕の手を取ってベッドに導いた。そして僕に、頭を枕に乗せて横たわるようにさせ、その僕の横に沿うよう彼女自身も横になったのだった。それから、再び僕にキスを始めた。

この時、僕が彼女の乳首に触れようとするたび、アンジーはそれをやめさせた。何度繰り返しても、僕の手を掴んで乳首から離し、しばらくベッドに僕の手を押しつけたままにするのだった。アンジーが僕が乳首に触るのを拒んでることは明らかだった。

僕の印象では、アンジーは、1時間近く僕にキスをしていたと思う。ようやくキスを終え、僕から離れると、彼女はナイト・スタンドの引き出しを開けた。そこから何かを取りだし、僕の方を振り返ったとき、彼女は目隠しを持っていた。

その目隠しを僕につけながら、彼女は言った。

「今日は、私、男の人が彼女を愛するように、あなたのことを愛したいと思っているの。これを、視界を塞がれた状態で経験してほしいと思ってるのよ。本当に女の子になったつもりで、私に愛されてくれると嬉しいわ。目隠ししても心配しないで。傷つけるようなことは絶対にしないから」

その目隠しは、明るい場所で眠りたい人が使うたぐいの目隠しだった。ゴム・バンドを頭に回して固定するタイプで、布などを頭に結び付けるタイプではなかった。

僕に目隠しを装着すると、アンジーはまたキスを始めた。ちょっと唇にキスをした後、僕の鼻、あご、両頬へと唇を移動していった。じわじわと右の耳へと唇を這わせた後、首筋を下り、反対側の左耳へと這わせていく。そこにキスをした後は、また首筋をじわじわと降り、肩へと移動。それから、今度は右腕へと進み、指先まで丹念にキスを続けて行った。

変な言い方に聞こえるかもしれないけれど、アンジーがしてることは、本当に気持ち良く、とても官能的だった。すでに完全に勃起しているはずだったけど、ギャフのせいで、それは不可能だった。後ろ側に曲げられているせいで、血液がペニスに流れず、勃起できないのだった。実際、かなり苦しい状態だった。

アンジーは僕の右腕に唇を当てながらじわじわと這い上がってきて、胸を横切り、左腕にも同じようにキスを始めた。それと同時に僕の偽乳房にマッサージを始め、キスもし始めたように思う。もっとも、僕には、胸に圧力をかけられているなあとしか感じられなかったけれど。

胸には、さらにもう2分くらいキスをしていたように思う。その後、彼女はコルセットをつけたままの僕の胴体にキスをしながら下方へ降りて行った。できれば、コルセットを外してほしいと思った。生の肌に唇を這わせてもらえたら、とても気持ちいいと知っていたから。ではあるけど、コルセットの上からでも気持ちいいことは変わりがない。


[2011/09/26] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

デス・バイ・ファッキング 第12章 (9) 

「…さて、今度は人間について話すことにしよう…」

「…哺乳類の中で、人間だけが、飲み込むことと呼吸を同時にできない種なんだ。ふたりとも知っていた? ただ、それには例外がある。その例外は、二人とも、毎日、だいたい4時間ごとに見てるんだよ。そう、赤ちゃんは別なんだ。赤ちゃんは飲むことと呼吸を同時にできる。だが、2歳を過ぎると、人間の咽頭は下降して、突然、飲むことと呼吸を同時にできなくなるんだ。片方だけならもちろんできるけど、同時は無理になる…」

「…そこで問題なのは、そういうことが、どんな適応になっているのかという点だ。理屈が分からないんだ。飲むのと息をするのを両方できた方が適応度が高いように思われるのに、片方しかできないふうに弱めてしまうのは、一種、進化に反しているのではないかと…」

「で、理由は何だと思う? 咽頭が喉の奥へと下がっているので、人間は他の動物が出せない音も出せるようになっている。複雑な音を出せるようになり、それが人間の言語に発達したのだと。他の動物は限られた範囲の音しか出せないが、人間の場合は出せる音は際限がないと…」

「…ということは、咽頭が降下したのは、人間言語を促進させるためだと。でも、それで正しいかというと、多分、これは間違い。別に言語を使えるようになるために咽頭が降下したわけではない。というのも、言語が発達する何万年も前に咽頭は降下しているから。多分ね。何回も『多分』という言葉を使ってすまないけど、ここの部分は根拠がぐらついているところだから仕方がないんだ…」

「…ともかく、僕の知るところによれば、古生物学者たちは、咽頭がどうして降下したかについて、想像することしかできない。だけど、ともかく、咽頭は降下した。そのおかげで、後々の人類は、そのことを言語のために利用することができるようになったということ。そもそもの、咽頭降下の進化上の働きは何であれ、その後、それを別目的に使うようになったということなんだ…」

「…もう、ここまで言えば、二人とも、僕がこの話で何を言いたいか分かったと思う。本当にテレ・エンパシー能力を使ってるとしてだけど、そのテレ・エンパシーを使う能力は『前適応』ではないのか。人間の脳はほとんと無限にいろいろな働きができるのだが、その脳が、まったく別の目的のために発達した脳の部分を使って、別の働きを発達させたのだと。多分、脳の中のいくつかの部分を組み合わせて、このまったく新しい働きを作りだしたのではないかと…」

「いったいどうやって? そんなの僕に分かるわけないよ、ディ・ディ。理論を聞きたいと言ったから、僕の理論を話してるだけだ。ともかく、この情報を世間一般の知識にするのはやめておいた方がいいと思ってる。さもないと、CIAだか国家安全保障局NSAだかホワイトハウスが僕たちのところに押しかけてきて、子供のひとりを取り上げ脳を解剖したり(さらに、僕の脳を解剖したり)、この能力を国内、国外の敵に対する兵器として使う方法が分かるまで、僕らのうち残った者を独房に監禁するかもしれないから…」

「…もしこの情報を明るみに出すとして、それは僕たちがそうすると決めた時としなければならない。もし、この能力がちゃんと遺伝するとしたら、つまり、僕たちの子孫の全員がこの能力を持つとしたら、そのことが既成事実となるまで、待つべきだと思うんだ。僕たちの同類があまりに多くいるので、もはや、抵抗することができないとなるまで。そうなったら、他の人は僕たちを止めることはできないし、むしろ、僕たちを必要とするはず…」

「…話しは以上だけど、これは理論としてどうだろう?」

ドニーと私は、驚いて互いに顔を見合わせていた。アンドリューにはいつも驚かされる。いったいどうして私たちはこの人物とつながることになったのだろう? 彼が『次の世代』の人間でないとしたら、他には誰もいない。アンドリューの理論には、いつもそうだけど、帰結が含まれていたし、その帰結に対する反応も含まれていた。私たちの愛する男は、いつも、数ステップ先を考えている。

ドニーが質問した。

「この能力がテレパシーでないと言い切れるの? 本当に心を読んでると言えるの? 子供たちはまだ言語を獲得してないわ。仮にテレパシーだったら、子供たちが言葉で思考をするようになれば、子供たちとは言葉の交信になって、心を読みあうことはなくなるんじゃない? そうなるって、今のうちから、どうしてわかるの?」

アンドリューはただ頭を振った。

「ああ、そのことは僕も悩んだところだよ。この子たちは大きくなっても僕の心を読めるのだろうかって。でも、一歳の子供が文を二つ伝えるごとに『ファック』という言葉を使うのをどう思う? 正直、僕は、自分が、口に出してしゃべってるよりも、ずっと多くこの言葉を考えてると知って恥ずかしく感じてるところなんだ」

ドニーも私も、それを聞いて大笑いしてしまった。私たちの子供は、夫のせいで堕落してしまう! でも、子供たちが世界中のどの人の心も読めるとしたら、読んでほしいと私たちが思うのは彼の心だわ。多分、そうなったら、子供たちにはアンドリューのことが理解できるだろうから。

[2011/09/22] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

誰とやったか知ってるぜ 第7章 (4) 

トリスタがドーナッツを俺の前に持ってきて、言った。

「ねえ、みんな。私、仕事に戻らなくちゃいけなくなったわ。私抜きでおしゃべりしててくれる?」

トリスタを見上げると、彼女は上半身を屈めて、俺の唇に優しくキスをした。ちょっと長めのキスで、唇で俺の唇を揉むようなキスだった。そして身体を起こしながら、少し俺の髪に指を絡め、俺の目を見つめた。

「あ、忘れるところだった」 と俺は用件を思い出し、トリスタに言った。

「何?」 と俺のコーヒーカップにお代わりを注ぎながらトリスタが訊いた。

「君のお母さんに今夜ディナーに来ないかと誘われたんだ」 とコーヒーにクリームを入れながら言った。

「ああ、そうだった。私も忘れるところだったわ。あなたに会ったら言わなくちゃいけなかったの」 と担当の客の方をちらりと見ながらトリスタが言った。

「ママは何時って言ってた?」

「6時半」

「良かった。で、来てくれるの?」 と笑顔で訊く。

「もちろん」

それを聞いてトリスタはさらに笑顔になった。

「良かった。じゃあ、その時またね」

トリスタは客に呼ばれ、その客のテーブルの方へと去っていった。歩きながら肩越しに俺の方を振り返り、目をキラキラさせて手を振っていた。

彼女が客にコーヒーのお代わりを注ぐのを見た後、俺は、また、レイチェルとバルに注意を戻した。

またもバルは俺のところをずっと見ていたようだ。バルに話しかけたが、レイチェルは、あの取り済ました顔をしたまま、ツンとしている。

「で、君は18歳になるんだね?」 とバルに訊くと、バルは目を輝かせて、笑顔になった。

「え、ええ!」 まるで俺に見つめられて、上の空になっていたような返事だった。

「バルのボーイフレンドが、ディナーに連れて行くらしいわよ」 とレイチェルは、冷淡な口調で口をはさんだ。まるで、俺がバルに悪いちょっかいを出そうとしてると思いこんでるような口調だった。

「あの人はボーイフレンドなんかじゃないわ、レイチェル」 とバルは目を丸めて、横眼でレイチェルを睨みつけた。

どうやら、ちょっと妙な摩擦が、俺を含めて、この3人の中にあるようだと感じながら、俺はドーナッツを食べ終え、コーヒーを啜った。その間も、バルとレイチェルは妙な視線のやり取りをしている。

「その人、私のボーイフレンドなんかじゃないのよ」 とバルは俺に微笑みかけながら、ちょっと小さくまぶたを動かした。ウインクをしたようにも見えた。

何か目に入ったのかもしれないし、ちょっと神経が引きつって、そんなまぶたの動きになったのかもしれない。ただ一つ、確かに言えるのは、バルがそういうふうにまぶたを引きつらせたとき、俺のチンポもピクンと動いたということだ。

「ねえ、バル? もう行きましょう」 とレイチェルが言った。そしてバルを押して、ブースの奥の席から出ようとし始めた。

「君たちに会えてよかったよ」 と俺は立ちあがり、レイチェルに握手の手を差し出した。

だが、俺は速攻で無視されることになる。レイチェルが顔を背け、すたすたと出口へと歩いて行ったのだった。なんて女だとレイチェルの尻を見ていたら、バルが代わりに俺の前に立った。

「私こそ、楽しかったわ」 と、今度ははっきりとウインクをして見せた。そして、細い指を俺の手のひらに当てて、ぎゅっと握った。

「また会えると思うよ」 と言いながら、バルのアーモンド型の瞳を覗きこんだ。

「私もそう思うわ」 と名残惜しそうに俺の手から手を離し、ゆっくりと向きを変え、出口のドアの方へと歩いて行った。

俺はブースに座りなおしながら、バルの後姿を見ていた。あのピチピチした若々しい尻にどうしても目を奪われる。左右に振りながら歩いても、ぜんぜん尻頬の肉がぶるぶる揺れてない。それを見ても、かなり張りのある尻をしているのは確かだな。そう思いながらバルがドアを出て、去って行くのを見ていた。


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裏切り 第4章 (2) 

「それでは、みんな、遠慮しないで、彼女をドレスアップするのを手伝って! 彼女にコツを教えなくちゃいけないの!」

「ちょっと、待って!」 と僕は叫んだ。

ダイアナが僕の方を振り向いた。にっこり微笑んでる。「待ってって、何を?」

「僕は、まだ何も言っていないんだけど」

ダイアナは、まさに誘惑的な妖女のように、僕の首に両腕を絡めて抱きつき、鼻先で僕の鼻先を擦った。

「でも、あなたはもう言ったはずよ。やめたくないって。もう気が変わっちゃったの? だとしたら、とてもがっかり」

「いや…、ただ僕は…」

口を開いて、すぐに足をつっこんで塞ぐ(参考)、というか、もの言えばくちびる寒し秋の空とでも言うのか。ダイアナが本気だったとは思わなかったと言っても、ちょっと遅すぎだろう。ともあれ、この種類のことについては、彼女は冗談を言わないものだ。

「で、でも…、誰かにバレたら、死ぬほど恥ずかしいよ」 と僕は悲鳴を上げた。

だけど、ダイアナはただウンウンと頭を振るだけ。彼女の笑顔は否定できないし、僕の唇への優しいキスも拒めない。

「あなたって、おバカね! あなたが何と言おうと、そんなこと、ここでは問題にならないわ。あなたが心の奥で期待してるなら、それは、すなわち私の命令。私たち以外の誰にもできないことだとはっきりさせなくちゃ。でしょう? 私たちを置いて、他に誰が、あなたを可愛く着飾らせることができると言うの?」

「彼女にどんなのを着せるつもり? ダイアナ?」

ダイアナはにんまりとしながら、ショルダーバッグに手を入れた。

「ちょうどここに持ってきてあるの。この可愛いの!」 とダイアナは喜びの声を上げ、バッグの中から半透明のブラウス、スエードのスーツ、それにミュールを取りだした。

「彼女、今日の午後、これを着ていた私のこと気に入っていたの。でも、今度は、彼女に着せて、どんな感じか見てみようと思って」

あっという間に、僕はダイアナが着ていた服に変えられていた。僕がその服を着ても、彼女ほど良く見えないだろうと思っていたが、驚いたことに、実際、よく似合っていたのだった。嬉しい驚きだった。そんなはずはないと想像していたのだけれども、化粧も髪のセットもしていないことを考慮外に置くと、僕はぜんぜん男性には見えなかったのだった。それに化粧や髪のセットがないことによる欠点も、そう長くは続かなかった。早速、そちらも対処されたのである。

みんなに誘導されて、リクライニング式の、美容院にあるような椅子へと座らされた。ほとんど仰向けに横たわるようにさせられた。その僕の身体に美容院で使う大きなエプロンが掛けられ、首から下の部分をすべて覆われた。これから何があるか分からないけど、それによって服が汚れるのを防ぐためだと思う。

その後、彼女たちは本格的に僕に作業を始めた。「お化粧アーティスト」のメンバーは次から次へと入れ替わって、それぞれの専門の仕事をしていった。まずは眉毛。4本から5本の毛抜きが一斉に出てきて、同時に僕の眉毛に攻撃をした。情け容赦なく、許可を請うでもなく、眉毛を一本、一本、引き抜かれていった。ようやく、眉毛係が満足すると、今度は僕の顔の肌色を入念に調べ、粗さがしを始めた。

女の子のひとりが僕に言った。

「あなた驚きよ。あなたの顔、赤ちゃんのお尻みたいに柔らかくて、つるつるだわ。虫めがねがないと、毛穴ひとつ見つけられないわ。ニキビも染みもないし。それに、髭の跡も、ちっとも見つけられないもの!」

僕は打ち明けた。

「髭を剃るのが嫌いなんです。体毛も同じ。体毛や髭に汗や細菌がつくみたいで、長距離を走った後みたいな嫌なにおいがするから。それに、感触も気持ち悪くて…。ゾワゾワするというか…。だから、おカネを稼ぐようになってすぐに、レーザーで処理してしまったんです」

「それでいながら、女装は初めてなんでしょう? 何てもったいない!」 とチャンタルが驚いて言った。

「もったいない」のところはふざけ混じりの声だった。彼女たちは僕にうち解け始めていたし、僕もうち解け始めていた。

この状態のすべてが、現実離れしている感じだった。1週間もしない前には、僕はこの世界を通りすがりに垣間見て知ってるだけだったのに、今や、すっかりこの世界に引き込まれている。

僕自身は、彼女たちに何も隠していなかった。もし、僕が男性としての自我に固執していたら、僕のルックスやほっそりとした体つき、愛嬌のある表情などは、彼女たちの領域を侵犯するものとして拒否されていたことだろう。ダイアナは彼女たちにかなり高評価を得ているようだ。そのダイアナと僕が関係があるということが、彼女たちが僕を受け入れてくれた理由のすべてだと思う。


[2011/09/22] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

ティファニー再び大満足 (11) 

夫と二人、店内に入りました。正直ちょっとおどおどしていました。でも、そんな気持ちは、私が入ったとたんに、15人ほどの男の人たちが私の方向に首をひねり、私の身体を上から下までじろじろ見るのを見た瞬間、消え去りました。それと同時に、あそこがじゅんと濡れ始めました。

壁にかかっていた大きな鏡で自分の姿を見ました。そして、私がたった一つのことを目的とした姿をしているのを改めて自覚したのです。そのたった一つのこととは、もちろん、セックス。どんな男も私の身体を断れないでしょう。

その男の人たちは、私の身体のどこを見たらよいか、それを選ぶのが大変だと感じていたようです。染み一つない綺麗な顔。水晶のように澄んだ青い瞳。その顔を縁取る、シルクのような長いブロンドの髪の毛。

それとも、トップの中からはち切れそうに張り出している96センチEカップの胸かもしれません。二つの乳首が薄地の生地を通してはっきりと見えます。

あるいは、私の平らなお腹や、引き締まった丸いお尻かもしれません。白ストッキングに包まれたすらりと長く伸びた脚や、「犯して!」と言わんばかりのヒール高15センチのハイヒール・サンダルが、あの人たちの目を惹きつけたのかもしれません。

普段、私はとても慎ましい女ですが、そんな私でも今の自分の姿を見たら、ひと目で、セックス目的で来た女だと分かるでしょう。その場にいた男の人たちは、誰もが私を見て、この女は今夜やられまくると分かったと思います。でも、私が、今夜、子供を授かるつもりで来ていることまでは、多分、誰も想像していないことでしょう。

排卵時期のことについて、夫に言った時は不確実だったのですが、後で本当になると分かりました。体温を取り続けていて、その夜がどんぴしゃりなのです。私は夫を焦らすのが好きですが、夫は、私が妊娠するかもと思うと、そそられるはずと分かっていました。

こういう理由で、私はジョンと一緒にブースに入ることにしようと考えていました。そこで、もう少し彼を焦らした後、愛する夫に素敵なスペルマをたっぷり私の子宮に注ぎ込んでもらい、子供を授けてもらおうと、そう考えていたのです。

ジョンは、お店で使うトークンのコインを数ドル分買いました。そしてブースが並んでいる店の奥の方へとゆっくり進んで行きました。私も彼の後に続いて進んでいきます。私のことをじろじろ見ている男の人たちには笑顔を見せながら、歩きました。この人たち全員に、私の身体のどこかの穴を使ってやってもらう…。そう考えただけでワクワクしてきます。

ブースの並びの通路は暗く、よく見えませんでしたが、ジョンは空いてるブースを見つけたようです。夫はそこへ私を連れ込み、ドアを閉め、鍵をかけました。

「別々のブースに入ると思っていたわ」

「それは後で。今は、トークンを無駄遣いしないよう、一緒にビデオを見ることにしよう」

「オーケー」

そう返事して同意しましたが、これからどうなるか、正直、自分でも分かっていませんでした。ブースの中、確かに『至福の穴』がどの壁にもあるのに気づきました。思ったより大きい穴なのでびっくり。

ジョンがコインを何枚かスロットに入れると、ビデオが始まりました。最初は、画面が明るすぎて眩しかったのですが、すぐに目が慣れました。画面では女性がひとりと男性ふたりがセックスをしていました。ふたりの男性は上と下両方から女性にしていました。それを見て、すぐに、あの自動車工場のこと、それにあの時の素敵な感覚のことを思い出しました。

あそこから愛液が出てくるのを感じます。そして夫のおちんちんが欲しくてたまらなくなってきました。私は両腕を彼に絡めて抱きつき、キスをしました。彼の片方の太ももの上にまたがり、股間をそこに擦りつけました。まるでサカリのついたメス犬のように。そして、囁きかけました。

「私にやって…」

「いいよ。でもまずはおしゃぶりするんだ」 と夫は命令しました。


[2011/09/16] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(2)

ライジング・サン&モーニング・カーム 第1章 (2) 


朝になりノボルは目を覚ました。頭がぼんやりし、身体もぐったりしている。起き上がろうとしたが、身体に力が入らない。枕から頭を上げるのがやっとだった。

枕だと? 俺はどこにいるんだ?

視界がはっきりしてくるのに合わせ、頭を横に向けてみた。そして、そばに若い女が眠っているのを見た。毬のように身体を丸めて眠っている。この寝台は、この女のものなのだろう。

自分の置かれている状況に不安になり、ノボルは気を失う前に起きたことを思い出そうとした。最後に覚えていることは、彼の乗った偵察船が海に乗り出したこと、そして、その数分後に嵐に遭遇したこと。俺は岸に打ち上げられ、ここに入る娘に見つけてもらったのだろうか。

体中が痛んだ。そして、突然、自分が衣類を着ていないことに気がついた。だが、充分すぎる掛け布が身体に掛けられているのは、ありがたい。それにしても、わが身に降りかかった様々なことを思うと、気が落ちつかなると言っても言い足りない。この娘が着ているものを見ると、自分は朝鮮にいるのだろう。

思案を続けるノボルだったが、娘が目覚めたのを見て、唐突にもの思いを中断した。

不思議だった。娘は何も言わず、身じろぎもせず、黙ったまま、何分かノボルを観察していた。じっと目を見つめている。

ノボルはどうしてよいか分からず、ぼんやりと同じように見つめ返していた。娘は、20代前半とまではいかずとも10代後半のようだ。頬にそばかすがあるのを見て、ノボルはいささか驚いた。

ようやく娘は口を開き、何ごとかしゃべったが、ノボルには一言も理解できなかった。彼女は、ノボルの顔に浮かんだ問いたげな表情から察したのだろう、自分自身を指差して「ジウン」と言った。さらに数回、自分の胸を叩き、「ジウン」と繰り返した。

ノボルは、喉を渇かせつつ、かすれ声ながらも「ノボル」と声を出した。

娘は、うんうんと頷いた後、さっと立ちあがり、部屋の隅へと走り、何かを探し、戻ってきた。手には紙と硯を持っていた。

見るからに高品質な紙と高級そうなの硯で、それを見てノボルは驚いた。娘は硯に水を加えながら、墨を擦りつけている。そして、筆を取り、何かを書き始めた。それが漢字であるのに気づき、ノボルは驚いた。

華麗な筆遣いで、娘は「大」の字を書き、期待している顔で彼の顔を見た。ノボルは何を期待されているのか分からぬものの、両手を大きく広げ、大きなものを表して見せた。

娘は、それを見て、再びうんうんと頷き、また、別の文字を書き始めた。今度は「嵐」の文字である。それを見て、ノボルが家の外を指さすと、娘は嬉しそうに声に出して笑った。

ノボルは娘がどうして笑ったのか分からなかったが、その明るい笑い声は嬉しく、彼自身もお返しに笑顔を見せた。

彼は少しお辞儀をしながら、娘の持っている筆を指差した。ジウンは彼が筆を求めているのを理解し、筆を手渡した。そして、彼が「国」の字を書くのを見た。

「ここがどの国か知りたいのね」 とジウンは声に出し、ノボルの顔を見た。そして筆を取り、「高い」と「王国」を表す漢字を書いた。朝鮮を意味する漢字ふた文字である。ジウンは男が理解したと頷くのを見た。

ジウンは、男と意思を通じ合わせる方法を見つけ、喜んだものの、もうすぐ紙がなくなってしまうのに気づき、心配になった。男は、彼女の懸念を察知したのか、ちょっと思案に没頭した後、ジウンに衣類を渡すよう頼んだ。下ばきに脚を通し、彼はためらいがちに立ちあがった。

ノボルは、今にも気を失いそうになったが、ジウンが素早く立ちあがり、助けに入った。それでもノボルは頭を軽く振りながら、ジウンに家の中にとどまるよう身振りで示し、引き戸を開けて、家の外に出た。

よろよろと浜辺に出て、辺りを見回したノボルは、大きく平らな岩を見つけ、それを抱えて、家に戻った。

ノボルはジウンに、何か飲むような身ぶりを示した。それを受けてジウンは椀に水を入れて持ってきた。ノボルは、さっきとは別の筆をその水に浸し、岩に文字を書き始めた。水のおかげで岩の表面が黒ずみ、やがて乾いて消えた。だが消えるまでの時間で、文字を読み取ることはできる。ジウンは、書かれた文字が「石」の字であるのを読み取った。そして、顔を上げ、この賢い男に笑顔を見せた。その笑顔を見て、ノボルは心が温まるのを感じた。


[2011/09/15] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

淫乱ママ 第5章 (18) 

息子はわたしの姿を見るや否や、ほんとに目をまん丸にして、息を飲んでいた。誰だってそうなるかも。わたしは、肌にぴっちりのタイトな黒いミニスカートに、白いストッキングを履いていた。このストッキングはガーターなしで留まるもの。スカートの裾のちょっと上のところまでの長さ。ハイヒールは持っているなかでも一番ヒールが高いのを履いた。上のブラウスも身体に密着したピチピチので、胸元が深く切れ込んでいる。それにほとんどシースルー。ブラジャーはレースで、これもシースルー。でも、ブラウスと組み合わせると、効果的にうまく胸を隠してくれる。ブラウスの胸回りは、かなり露出気味で、その端のところがちょうどブラの端と重なるくらい。だから、わたしの胸の豊かな谷間も、お乳の肉のはみ出た部分も見えていて、とてもセクシー。

「わーお! ママ! すごい…。わーお!」 息子は口をあけっぱなし。

わたしは、笑顔で息子を見ながら階段を降りた。わたしの姿を見て、息子が影響を受けてるのが楽しい。こういうふうに自分の身体を誇らしく見せびらかしたいと思っていた。そうすれば、息子も、素敵なママがいると、お友達に自慢できるだろうと思って。

「その反応、ママが着てるものが気に入ったと解釈するわね。これ、ちょっと露出し過ぎじゃないかしら?」

「ぜんぜん! 完璧だよ!」

「お友達にこの恰好で会っても、大丈夫と思うのね?」

息子は、悪戯そうな笑みを浮かべてわたしを見た。

「ママを見たら、みんな、大騒ぎするよ」

息子は紳士がするように手を差し出し、わたしの手を取って、ガレージにある車へとエスコートした。前のドライブとは違って、今回は、わたしが助手席に座った。腰を降ろす時、ちょっとだけ、脚の間を覗かせてあげた。こういうことをするのが大好き。セクシーに、ちょっとだけ大胆に振舞って焦らすのが大好き。

写真撮影をするという場所までは、そんなに時間はかからなかった。そこは、古い鉄道の敷地で、かなり荒れ果てた場所。ずっと何も作業がなされていない感じ。そこの敷地に入る門は、大半、施錠されていたけど、一か所だけ車が通れる幅くらい開いたゲートがあって、驚いた。

「トミー? ここ、入ってもいいところなの?」 ちょっと心配になって訊いた。

「ティムのお父さんは鉄道の仕事をしてるんだ。話しをしたら許可してくれて、このゲートの鍵も貸してくれたんだよ。僕たちは写真を撮るだけだって知ってるから、あまり、心配はしていなかったよ」

貨車の間を車で進み、ようやく、撮影するという場所についた。そこは、貨車で四方が完全に取り巻かれたような場所で、砂利敷きの地面。だいたい25メートル四方の広さの場所だった。すでに車が一台とまっていて、そのそばに男の子がふたり立っていた。

車を止めて、その子たちのところに歩いて行った。

「やあ、ティムはどこ?」 と息子が訊いた。

「分からない。もう、来ていてもいいんだけどなあ」 背の高い、ブロンド髪の子が答えた。

わたしは、息子のお友達が二人ともかなりハンサムで、体つきもしっかりしてるのを見て、ちょっと驚いていた。ふたりともTシャツとジーンズ姿。Tシャツはぴっちりと身体を包んでいて、なかなか逞しそうな胸板と腕を見せていた。あからさまにお口をあんぐり開けて見つめたりせず、視線を逸らすべきだったんだけど、できなかった。

ふたりとも、わたしが誰か知りたがっているようで、わたしのことを見ていた。

「ああ、こちらは僕のママだよ。ママ? こちらはジェイソンとフランク…。あ、ジェイソンのことは知ってるよね? ジェニーンの息子だよ」

え? わたしのお友達のジェニーン? あらまあ! これがジェイソン? しばらく会わないうちに、こんなに大きくなって!

「こんにちは。フランク君? 会えてうれしいわ。それにジェイソン、お久しぶり。ママはお元気?」 わたしはそれぞれに手を差し出した。

「こんにちは、ミセス…」

「ケイトと呼んで」 と素早くジェイソンに注文をつけた。

わたしは、二人にはわたしがここにいても気にしないでいてほしかった。そのためには、名前で呼び合う間柄しておくのが良いと思った。ふたりともちょっと困ったような顔でわたしを見てたけど、ともかく握手してくれた。

「お母さんは元気ですよ。今は仕事でずっと忙しくしてます」

ジェニーンはモデル業界に入って働いている。彼女自身はモデルではない。彼女がモデルになってもおかしくないほど、小柄で可愛い人なんだけど。モデル業界の編集関係の仕事をしている。わたしたちは、たまに一緒にコーヒーを飲みながらおしゃべりをする間柄で、とても仲良しだ。

「ケイト、会えてうれしいよ」 とフランクが言った。

「あのね、僕のママも写真に興味があるんだ。どういうふうに写真撮影をするのか見たいというので連れてきたんだ」 と息子が言った。

「クールだね! ケイトもモデルになるの?」 とジェイソンが訊いた。

「いえ、いえ…。ただ、ちょっと、トミーの作品を見るのが好きなだけ。いい趣味だなあと思って…」

そう言いながら、顔が少し赤らむのを感じた。トミーの作品ってわたしの写真のことだし、わたしにアレをしているときの写真だったから…。

「あの…。こんなこと言うと気を悪くするかもしれないけど…。ケイトはモデルになっても十分、通用すると思うよ。モデルの体つきをしている…」

ジェイソンはそう言うと、顔をちょっと赤らめた。

多分、ジェイソンは自分の友だちの母親にこういうことを言って、少し恥ずかしくなったのだろうと思う。わたしは、その言葉はジェイソンの心からのお世辞と思って、にっこり微笑んだ。

改めて息子のお友達をよく見てみた。ジェイソンの方はすぐに好きになった。礼儀正しいけど、率直だし、自分に誇りを持っているみたい。まあ、この年齢だから未熟なところはあるけど。ブロンドの髪の毛と青い瞳のため、どこか、よくビーチで遊んでいるスケボー小僧のような雰囲気があった。その、青い瞳がときどきわたしのことを盗み見しているのを感じた。視線をわたしの身体の上から下へと走らせている。でも、それはいやらしい視線ではない。慎ましく、わたしにばれないようにして見ている。でも、もちろん、わたしには、その視線がはっきり感じ取れていた。

一方のフランクは、ジェイソンとはほぼ正反対の印象。黒い髪と肌の色も濃い目。そのため、どこか傲慢そうな、鋭い印象があった。背はトミーやジェイソンよりも高く、胸板や腕のところも、ずっと逞しそうだった。Tシャツの上からも、中の盛り上がった筋肉がはっきりと分かる。目は茶色で、人を見据えるような視線で力が入ってる。ほとんど、命令するような目つき。どうしてだか分からないけど、フランクに見られると、身体がゾクゾクして、無意識的に身体を強張らせてしまう。

「あのなあ、ティムはもう30分も遅刻してるぜ。言いたくないが、ティムはモデルの件で、しくじったんじゃねえのか」 とフランクが太い声で言った。

トミーもジェイソンも、顔をしかめてフランクを見た。

「もうちょっとだけ待とうよ。そのうち、来るさ」 と息子が言った。


[2011/09/15] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

ジャッキー 第9章 (2) 

アンジーはまたクスクス笑い、それから身体を傾けて、僕の右頬にキスをした。

「ごめんなさい。恥ずかしい思いをさせちゃって。そのつもりはなかったのよ」

それから1、2分、時間を置き、僕が落ち着きを取り戻した頃、アンジーが話しを続けた。

「でも、少なくとも、彼とのダンスは楽しかったんじゃない?」

「男がふたりで踊っていたというのを考慮に入れたらの話しだけど、その上でなら、とても楽しかったわ」

「うふふ…。でも、彼の方はあなたが男だとは知らなかったはずじゃない? それに彼の方もストレートな男性でなくって、バイの人だったかもしれないわ。それも考慮に入れるべきね。でも、私の見たところ、彼はあなたは本物の女の子だと思っていたはず。それは確かだわ。ねえ、教えて? 彼、あなたとダンスしながら勃起してた?」

僕は声に出して答えることができず、ただ、頷くだけだった。

「そう…。あなたのことセクシーだと思ったに違いないわ、あの人。私と同じく、あなたのこと可愛いと思ったのよ」

どうしてだか分からないが、彼が僕をセクシーだと思ったらしいと聞いて、僕はにっこり笑っていた。ばかばかしいことだとは分かっていても。

その夜、僕とダンスしたのはグレンだけではなかった。実際、別々の男性10人くらいとダンスしたと思う。アンジーは、僕に同じ男の人とダンスするのは望まなかった。特に親しくなるのを望んでなかったからだろうと思う。

「何と言っても、今夜は私たち一緒に家に帰るし、その時、他の人にはいてほしくないから」

そのクラブでは、一つだけ、とても不思議なことがあった。トイレに行った時である。もちろん、この恰好をしているので、男子トイレではなく女子トイレを使わなければならない。クラブを出るちょっと前にトイレに入り、僕は便器に座って小便をしていた。その時、隣のトイレに女の子が入ってきた。

最初、全然気にしていなかったのだけど、その人がおしっこをする音を聞いて、床の近く、彼女の足を覗きこんだ。確かにハイヒールを履いているので女の子だと分かったのだが、足の向きが逆になっているのだった。つま先がドアの方でなく、便器の方を向いている。いったい、どんな格好でしているんだろうと思ったが、ふと、その人は女じゃないのだと気がついたのだった。女の子の服装をした男に違いないと。僕と同じに。

その女の子がトイレから出るのを待って、その後に僕も出た。ここには女の子の服装をした男がいるのだろうかと、クラブの中を見回した。すると、クラブの女の子の大半について、とても奇妙なことに気がついた。その多くが、よく見ると、ちょっと筋肉質の体格をしているのだった。もちろん、全員というわけではないが、かなりの人が男性的な体格をしている。

テーブルに戻ったら、アンジーに何か言おうと思っていたけど、彼女はすぐに店から出ようとしていた。テーブルに戻ると、彼女はすぐに僕の手を取り、もう帰りましょう、と言った。クロークでコートを受け取り、店を出て、彼女の車に戻った。

車が動き出し、家への道を進みだすのを受けて、僕はトイレにいた人についてアンジーに話した。彼女は僕を見て、言った。

「それ、どういうことだと思う?」

「多分、私と同じ女の子だったと思う。もっと言うと、あのクラブには私と同じ人がたくさんいたと思う」

「アハハ…。どうやら私の計略がばれちゃったみたいね。私、あなたをクラブに連れ出したかったの。でも、普通のクラブだと、いろいろマズイでしょう? だけど、他のお客さんがあなたは本物の女の子じゃないと分かっているようなところなら、あなたも安全だろうって思ったのよ」

「やっぱり…。あのクラブは、女の子の服装をする男性向けのクラブだったのね?」

「そういう人のことをトランスセクシュアル(性転換願望者)というの。それに女装好きの人はクロスドレッサー(異装者)というのよ。その人たちは根は男性。ただ女性の服を着てるだけ。他にトラニー(性転換者)という人もいて、その人たちは二度と男性に戻らない手術を受けた人たち」

「そうだとすると、あのクラブでは、私が女の子でないと実際に分かっても、たいていの場合、誰も何も言わないだろうということね。そもそも、そういう女の子がいると分かっているから」

「うふふ…。多分そうね。でも、誰かあなたに一緒に家に来ないかって訊いた人いた? ダンスクラブと言っても、あそこにいる男性の大半はそれを目的に来ているのよ」

僕はアンジーの言ってることが正しいんだろうと思った。

アンジーの家には、さほど時間がかからずに到着した。家につくとすぐに僕たちは二階の寝室に入った。そして寝室に入るとすぐに、アンジーは僕を抱きしめ、キスを始めた。彼女のキスは甘く、情熱的だった。それに、どこか切羽詰まった雰囲気もあった。


[2011/09/14] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

デス・バイ・ファッキング 第12章 (8) 

「子供たちは分子レベルで僕を理解していると思っているんだ。ともかく、そんな感じのことだ。僕たちは、あの子たちが生まれる2か月前から、接触してきたんだよ。いや、真面目に言っている。ディ・ディ? 僕が子供たちと初めて接触した時のことを、君は覚えているはずだよ。あの時、僕は君とちょっと口唇関係の楽しい行為に没頭していた。あの時、僕はいわば君に「声を出させよう」としていただけなんだけど、後になって、君は、僕が泣きだしたので、僕がどうかしていたと思ったよね。うん、確かに僕はどうかしていた。あの時、まだ君の子宮の中にいたエレとエマに僕は接触したんだ。まさにあの時、ディーとエッダが目覚めた時でもあったんだ。そして、あれ以来ずっと僕は子供たちと一緒にいる…」

「…これは、例の僕の『化学的誘惑子』理論を拡張すれば説明できると思ってる。この理論は、君とドニーと僕がどうしてこんなに、論理や理性を超えて惹かれあってしまうのかを説明するものだった。そして、僕たち3人の遺伝的構成要素が組み合わさって、あの子たちと僕が生物的に分かりあう状態を獲得したのじゃないかと思うんだ。何と言うか、直接、心で触れ合えるような能力を獲得したのではないかと。僕っていったい何者なんだと思うよ。ユリ・ゲラー? ジョン・エドワード?(参考) 何が起きてるのかは分かるんだが、どうして、そんなことが起きるのか、その理屈が分からない」

「で、どんなことが起きてるの?」 とドニーが訊いた。

「子供たちの感情を感じることができるんだ。僕はこれをテレ・エンパシーと呼んでいる。僕と子供たちは、互いにある種の共感状態にあるんだ。僕が子供たちに心を送り込もうとすると、子供たちはちゃんと感じ取ってくれる。多分、僕が送る前にすでに感じているのかもしれない。どうなってるのか僕にも分かるはずがないよ。まだ、『ママ』という言葉すら言えてない5か月の赤ちゃんと話しをしてることになるんだ。まだ、子供たちとは共感投射について議論はできていないけどね」

ドニーも私も唖然としていた。こんな内容の主張なわけだから、多分、私たちはちょっと懐疑的になっていたと思う。確かに、アンドリューと子供たちが共感し合ってることは、私もドニーも知っていた。まあ、他にどんな説明をされても、彼の説明に対する印象と同じようなものだったろう。でも、子供たちがお腹の中にいた時から、アンドリューは知っていたって? どういうこと? お願い。

「で、どうやって子供たちを泣きやませているの?」 ドニーが訊いた。

「愛情とか安らぎとかの気持ちを送り込むだけだよ。お前たちが欲しいものはちゃんと分かってるよ、すぐにあげるからと伝えるんだ。子供たちが泣くのは、たいてい、母親に何か欲しいものがあるのを知ってほしいからだと、僕は理解している。普通、食べ物だけど、それを手に入れるまで子供たちは泣き続けるんだ。でも、あの子たちは、僕が行くと、欲しいものがすぐにやってくると分かって、だから泣く必要がないと分かるようなんだ。もちろん、これは僕の理論にすぎないけど」

ドニーも私も口を動かしていたが、何も言葉が出てこなかった。やっとのこと、私は言葉を吐いた。「なんてこと! どうりで、あなたが一緒だとおとなしくなるはずだわ。でも、本当にどうやって? どんな仕組みになってるの?」

アンドリューは、7か月もこれを考えてきていた。彼のことだから、理論を立てているはず。でも、彼がこんなに長く黙っていられたなんて、アンドリューの性格を考えると、そっちの方が信じられない。

「ずっと黙っていてすまない。でも、打ち明ける前に、僕と子供たちの間で何かが起きてることを君たちにしっかり認識してほしかったんだ。いきなりしゃべって、誰だかわからないけど白い服を着た男たちにどこかへ連れて行かれるのは、ごめんだからね…」

「…僕はテレパシーとかそういうものに関する話しを読みまくった。そのほとんどすべてが、人間というものは使える脳の力のうちほんのわずかしか使っていないという説明だ。進化の見地から考えた場合、その見解はあり得ない主張といえる。そもそも、必要のない能力なら、進化で得られることなどないんじゃないかと。もうひとつ、そういう話しでの主張は、テレパシーであれ、他の特別な能力が何であれ、かつて人間はそれを使っていたという主張だ。以前は使っていたが、のちに使わなくなったという主張。能力自体は残っているが、休止状態で眠っていると…」

「…ダメだダメ! 乱暴な言葉を言ってすまない。でもね、僕はそんな説明はダメだと思ってるんだ。人間は使える脳の力の数パーセントしか使っていないと言う人は、科学が脳のことをまだ分かっていないという現実に頼りすぎてるんだよ。単に、脳のどの部分が何に使われているか分からないからと言って、それは、そこが使われていないということにはならないからね。それに加えて、現代の科学は、脳の使用について分からない部分をかなり解明してきたと僕は確信している。1950年代には、何に使われているか分からない余分な能力だったものが、2004年には何か重要で、明確な能力であると分かったと、連中が言ってることは、それだけだと思うんだ…」

「…で、だとすると、僕と子供たちの位置づけはどうなるか? ということなんだけど、『前適応』という用語を聞いたことがないかな? これは、最初はある働きをするように進化したんだけど、それが後にまったく異なった働きのために使われるようになったものを指す用語だ。古典的な例が、鳥の羽毛。鳥の羽毛はどうやって進化してきたのだろうか? 最初の鳥たち、あるいは、疑似鳥でもいいけど、それが空を飛んでいた時には、もうすでに羽毛を持っていた。進化は、前もって計画的に進むものではない。何かの目的のために計画的に進化するなんてありえない。とすると、鳥たちは、飛べるようになる前に、どうやって飛ぶための羽毛を進化させたのだろう?…」

「…答えは明らかで、羽毛は飛行のために進化したのではなかったということ。羽毛は、身体の保護、多分、体の保温のために進化したということ。そういう羽毛を進化させた生き物たち、もちろん、それは恐竜の一部だろうけど、その生き物たちの一部が、たまたま、空を飛ぶようなレベルまで生き延びた。その時、羽毛があった方が飛行に便利だったというわけ。でも、羽毛自体は、まったく別の目的のために存在していたんだ…」

「…さて、今度は人間について話すことにしよう…」


[2011/09/12] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

誰とやったか知ってるぜ 第7章 (3) 

次の角を曲がり、コーヒーショップの隣の店の前に自転車を止めた。髪の毛を撫でつけながら、店のドアを入る。向かいのシーサイド・ダイナーをちらりと見たが、まだ朝食の時間帯といえるので、お客がたくさん入っていた。

コーヒーショップに入るとすぐにトリスタの姿が見えた。彼女はブースから立ち上がるところだった。トリスタは俺に気づくと、こっちに来るようにと笑顔になって手招きした。彼女のいたブースに行くと、すぐに俺に抱きつき、唇に軽くキスをした。

「来てくれて嬉しいわ」 まだ俺の腰に手をまわしたまま、トリスタは言った。

「どんなことがあっても、俺は君に会いに来るって。分かってるだろ」 と俺も彼女の唇に軽くキスを返した。

トリスタはテーブルへ目をやって言った。「ねえ、ジャスティン? レイチェルとバルを紹介するわ」

俺たちは互いに紹介し合った後、席についた。トリスタは俺の隣に座った。改めて見ると、バルはアジア系なのだろう。茶色の髪の毛をショートにしている。アーモンド型の綺麗な目をしていて、胸はかなりナイスなサイズだ。彼女の瞳を覗きこんだ瞬間、この女、たぶん俺に気があるかもしれないと思った。

「レイチェルは、この世で私のいちばんの親友」 とトリスタは俺に寄りかかりながら言った。

「レイチェルのお父さんも教会の牧師をしているの。レイチェルの家は教会のすぐ近くなのよ」 トリスタは俺のコーヒーカップを取り、コーヒーを注ぎながら言った。

「バルは交換留学生。この夏、ずっとここに滞在することになってるのよ」 とコーヒーにミルクを垂らしながら続けた。

「お二人に会えて嬉しいです」 と俺は、握手をしようと手を差し出した。

バルの手は俺の手に溶け込むような感じで、マニキュアを塗った指を俺の手のひらをなぞりながら握手をした。ふたりともしっかり感触を楽しむ感じで握手をした。

「会えて嬉しいわ」とバルは俺の瞳の奥を見つめながら言う。

「僕も嬉しいよ」 と、名残惜しそうにバルの手を解き、今度はレイチェルに手を差し出した。

「会えてうれしいです、レイチェル」 そういうと、レイチェルはちょっと警戒しながら手を取り、握手した。

「私も」 とレイチェルは言ったものの、彼女の指も手も、氷のように冷たかった。

レイチェルの表情から察するに、どうやら、あまりフレンドリーな人じゃないようだ。そもそも、俺が一緒にいることにすら興味を持っていないようだった。一方のバルは、俺が座ってからずっと俺から目を離していない。

トリスタは他の客が何か注文してないかと辺りを見回していた。「レイチェルは私より年上だけど、私のいちばんの親友なの」

「レイチェル、年はいくつ?」 と彼女のきれいな緑色の瞳を覗きこみながら訊いてみた。

「21」 と、愛らしいブロンドの髪の毛を肩の後ろに払いのけながら言う。

「バル、君は?」 と、同じように彼女の美しい茶色の瞳を覗きこみながら訊いた。

「私は17です」 と優しい口調で、俺の瞳をまっすぐに見つめながらバルは答えた。

「…でも、明後日には18歳になるの」 とバルは身体を起こして、背もたれに背をつけて付け加えた。その姿勢のおかげで、かなり発達した胸の様子がよく見えた。

スカートはピンク色でぴっちりと太ももを包んでいる。胸の方も豊かで、包んでいるトップの生地がパンパンに張り詰めている。俺はレイチェルの方へ顔を向けたが、バルは依然として俺のことを見続けたままだった。

「レイチェルは婚約しているの」 

トリスタはブースから立ち上がりながら言った。客が彼女を呼んだようだ。トリスタはコーヒーのポットを取った。肩越しにトリスタを見ると、向こうにいる小柄な老人のところに行くところだった。コーヒーを注ぐために前のめりになると、ジーンズがぴっちりと脚を包んでいるので、見事な尻の形がはっきり分かる。

「そう、それはおめでとう。結婚はいつなの?」 と俺はレイチェルの長く細い指を見ながら、訊いた。明るい赤の爪は染み一つなくきれいに塗られていたが、それより、俺の目を惹いたのは、指についている巨大なダイヤの指輪だった。

「今度の10月から1年後」 とレイチェルは、手をかざして、その指輪を俺に見せびらかすようにして答えた。


[2011/09/12] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

裏切り 第4章 (1) 

「裏切り」第4章 試合開始 Betrayed Ch. 04 by AngelCherysse Chapter 4: Let The Games Begin
http://www.literotica.com/stories/showstory.php?id=205602

***********
これまでのあらすじ
ランスは、妻のスーザンが元カレのジェフ・スペンサーと浮気をしていたことを知る。調査するとジェフはシーメールのクラブに出入りしていた。そのクラブを訪れた彼はダイアナというシーメールと知り合い、酔った勢いで彼女に犯される。だが、それにより彼は隠れた自分の本性に気づくのだった。そして1週間後、離婚手続きをした後、彼は再びダイアナと愛しあい女装の手ほどきも受ける。翌日、ふたりは買い物デートに出かけ、ディナーを食べながら話しをする。レストランを出ると、そこでスーザンとジェフがいた。険悪な時間が過ぎる。
***********



ダイアナはリンガーズの駐車場に向かうよう指示した。正直、それには驚かなかった。リンガーズは僕の新しい住処からわずか2ブロックしか離れていない。車でなら、特に渋滞になっていない限り、5分ほどで着く。新しい住処をどうしてリンガーズの近くに選んだのか? 意識的に選んだわけではなかった。無意識的には…? 正直、わからない。

ギアをパークに入れるとダイアナは、「トランクを開けて」と指示した。

僕は言われたとおりにした。彼女は僕が外に回ってドアを開けるのを待っていなかった。自分からドアを開けて出て、車の後部にまわり、トランクからカペジオ・バッグを取り出し、トランクを閉めた。トランクの閉め方は、正確で、優しく閉め、カチッと音がなるのを確認する閉め方だった。

その閉め方を見て、彼女は、こういう高性能の高級車に乗った経験があるのだろうと推察した。たいていの人は、トランクの蓋はバタンと音を立てて閉めるものだ。アメリカ車の場合はそうしなければ閉まらない。ふと、ダイアナはかなり裕福な客を惹きつけているタイプの女の子なのではと思った。実際、彼女自身、「甘えられるオジサマ」たちはたくさんいると言っていたし、その人たちみんなを断ったとも言っていた。その上で僕を選んだとしたら…。僕は嬉しかった。

ダイアナはバッグを肩にかけ、僕の腕にすがりついた。

「行きましょう」 と明るい声で言う。

「どこへ?」 

「あなたの未来が待っているわ。でも、もう1分たりとも、待たせておくわけにはいかないの」

ふたり、腕を絡ませながら歩道を進んだ。いつものことらしいが、2回目のショーを待つ客の長い行列ができていた。その脇を通り過ぎて行く。整理係がすぐにダイアナに気づき、挨拶し、僕たちに手招きして中に入るように促した。

それを見て、列をなして待っている者たちから不満そうな呟き声が出た。「金持ち野郎とそのオンナ」は特別扱いされるのかと、面白くないのだろう。

屈強そうな体格の雇われ整理係の男は、群衆の不満をなだめるため、「タレントさんが入ります」と言った。それを聞いて不満を漏らしていた群衆も認めたようだ。

僕たちは入り口を進んだ後、ステージの奥のドアへと進んだ。歩き進む間、しょっちゅう、バーテンダーやら、パフォーマーやら、ワーキング・ガール(つまりデート嬢)やらに声をかけられ、立ち止っては挨拶をした。誰もがダイアナのことを知っていた。それも僕にとってはちょっと誇らしく感じたし、たいしたものだと尊敬する気持ちも混じっていた。

ダイアナはまっすぐ楽屋に僕を連れて行った。ほとんどドアをノックすると同時にドアを開けた。中には8人から10人くらい、ゴージャスな「女の子たち」がいて、すっかり衣装を着た者から、まだ素っ裸の者まで、それぞれ様々な着替えの段階にいた。

慎ましやかにしてる者もいれば、まったく羞恥心を持たぬ者もいたが、ダイアナは全然気にしなかったし、彼女たちの方も僕がいることを全然気にしていないように見えた。だが、誰もが、ダイアナのドレスや靴、アクセサリーにみとれ、特に高級毛皮コートに涎れを垂らさんばかりにしたのは言うまでもない。彼女たちは、ダイアナが急に裕福になった原因を推測したのだろう。それにふさわしい目で僕に関心を寄せ始めた。

「彼ってキュートね」 とひとりが好意的な眼差しで僕を見やり、意見を言った。「それに、服のセンスも鋭いわ。ちょっと似合っていない気もするけど。ねえ、ダイアナ、彼、何って名前なの?」

「彼の名前は『予約済み』よ」 とダイアナはふざけて言った。

「彼、あなたの一番新しい旦那様?」

「そうだけど、もうすぐ旦那さまじゃなくなるのよ…」とダイアナは可愛い声で言った。「みんな? この人は、リサ・レイン。彼女は私の奥様になろうとしてるの。みんな、ちょっと手伝って、お願い!」

すさまじいばかりの悲鳴や歓声が部屋にとどろいた。少なくとも12本は手が伸びてきて、瞬く間に、僕のコート、シャツ、ネクタイ、靴、そしてズボンを剥ぎ取った。そして気がつくと、僕はランジェリーだけの格好で、女の群れの真ん中に突っ立っていた。

「悪くないわ、ダイアナ」と別の女の子がコメントした。「スーツが似合わなかったのも、うなづける。あなた、すでに彼女を女装に引きずり込んでたのね。なかなか、いい体つきをしてるわ、彼女」

その女の子は僕の偽乳房の片方を悪戯っぽく揉んだ。

「うん、確かだわ。彼女、とても可愛くなれるわよ。ねえ、ダイアナ? どういうふうにしたの? やり方をまとめてくれたら、みんなお金持ちになれるわよ」

「そういうのはあなたの夢の中だけにしておいてね、チャンタル」 とダイアナは苦笑しながら答えた。「私にできるのは、そういう人を見つけることだけ。すべてを追い求めることはしないの。私が知ってる誰かさんみたいに、ズボンの中のものを追い求めたりはしないの」

この言葉に、再び冷やかしの悲鳴がとどろいた。



[2011/09/12] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

ティファニー再び大満足 (10) 

翌土曜日、起床後、私たちはいつもの土曜日と同じように午前中を過ごしました。ジェフは予定されていたスポーツのイベントに出ることになっていて、私もジョンと一緒にそれを見に行きました。試合の間、ジョンは私に今夜ビデオ・ショップに行くことについてどう思うか訊きました。もちろん、私は、絶対に行きたいわと答えました。

その後、友だちのジュディに電話をして、今夜、ジョンと出かけたいので、ジェフとジェニーの子守りをしてくれないかと訊きました。ジュディはOKしてくれたばかりでなく、なんなら外泊してきてもいいわよとさえ言ってくれました。その方が、夜に帰宅した時に子供たちを起こさなくてすむからと。それに、そうしてくれた方が、ジェフはジミーと一緒に遊ぶ時間が増えるから、かえって好都合だと。ジミーというのはジュディの息子です。それで話しがまとまり、私はジェフとジェニーに食事をさせた後、ジュディの家に車で送りました。

家に戻ると、すでにジョンは私が着る服を広げていました。服と言っても、ほとんど生地がありません。それに下着もありませんでした。トップとスカートは白いレース地で、かすかにシースルーとなっていました。トップの方は、ノー・スリーブで胸元が深く切れ込んでいて、裾は胸の下のところまでしかありません。だから小麦色のお腹を露出することになります。肩に細いストラップをかけて、それだけで服全体を吊るすデザインです。普通でしたら、布地は多少はゆったりしていると思いますが、これを買ったのは私の胸が大きくなる前。今はぜんぜんサイズが違います。その結果はというと、胸をぴっちり包んで、強調してるルックになっていました。このルック、ジョンも、たいていの男たちも、気が狂わんばかりになるでしょう。

スカートはフレア・スカートで、丈が短く、とてもひらひらした感じです。ちょっと風が吹いただけで、簡単に露出してしまいます。トップもスカートも白いレース地なので、一見すると、私がとても純真そうな印象を与えます。でも、それほど真実からかけ離れたことは他にはないでしょう。

装いの仕上げに、白いサイ・ハイ(参考)と靴底15センチの白いプラットフォーム(参考)のサンダルを履きました。スカートはとても丈が短いので、ストッキングの付け根が簡単に見えてしまいます。わざとウエストのところに2、3センチ分スカートを巻き上げて、そうなるようにしました。

髪を逆立てるようなヘアスタイルにして、普段より濃い目にお化粧をしました。夫は、私の姿をひと目見るなり、すぐに私を欲しくなったみたいです。でも、私は、「ダメよ、ジョン。私が欲しければ『至福の穴』にアレを通さなくちゃ」と言ってからかいました。

これで準備完了。私は白いハンドバッグを持って、玄関に向かいました。

「その小さなバッグにはコンドームは入ってるのかい?」 とジョンが訊きました。

「いいえ」 と玄関ドアを出ながら言いました。そして肩越しに振り向いて、「私はコンドームはいらないもの。それが必要なのはあなただけ」と言いました。

「なるほど」 とジョンはちょっと戸惑った顔をして言い、私の後に続いて車へと向かいました。

目的地はアダルト・ビデオ・ショップ。そこに到着し、車から出る時、ジョンは車の小物入れに手をつっこみ、コンドームを鷲づかみにしてポケットに入れました。1ダースはあったと思います。

私はちょっと笑みを浮かべながら彼を見て、言いました。

「あなた、今夜、それ全部使うつもりなの。元気いっぱいね」

「いや、誰か他の人が使うかもと思って」と彼は言いました。


[2011/09/07] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

ライジング・サン&モーニング・カーム 第1章 (1) 

「ライジング・サン&モーニング・カーム」 第1章 The Rising Sun & The Morning Calm Ch. 01 http://www.literotica.com/s/the-rising-sun-and-the-morning-calm-ch-01 by vinkb

釜山 1587年 李氏朝鮮王朝時代

一年のこの時期にしては珍しく、釜山の海岸沿いに嵐が猛威をふるった。雨期になるのは2カ月ほど先だったのだが、ほとんど突然、空が黒く染まり、天が海岸沿いの町に住む人々に、その怒りをぶちまけたのだ。

ジウンは、帰宅の道を急ぎながら、どうしてもっと早く漁を切り上げなかったのかと自分を恨んだ。今日、彼女はとりわけ大漁に恵まれ、最後のギリギリまで漁を続けようとしていたのである。いま、激しい雨に打たれ、頭に上着を被りながら、彼女は、その当然の報いに耐えているところだった。靴は濡れた砂に埋まり、どうしても歩みが遅くなる。
 
その時だった。彼女は、突然、砂の中の何かにつまずいた。そして、濡れた髪を顔から拭い払いつつ、つまずいたものに目を凝らした。あたりは暗く、ほとんど前が見えない。明かりと言えば、時折、空を引き裂く恐ろしい稲光だけ。しかし、一瞬の稲光の明かりの中、彼女は、かろうじて、砂に流木がいくつか転がっているのを見ることができた。そして、その隣に何か塊を見たのだった。それは人間であった。ジウンは、不運な漁師が岸に流されてきたのかと憐みを感じ、自分の漁の獲物を浜に置き、その人を家へと引きずり始めた。

5分もすると、彼女はかなり疲労し始めていた。この男、漁師にしても、ひどく重い。嵐で先を急がねばと急きたてられていなかったら、何度も立ち止り、休んでいたことだろう。永遠に続くかと思われたが、それでもやっとのこと、彼女は男を家に連れ入れることができた。慎ましい家である。

木製の引き戸を締め、ジウンは、ほっと安堵のため息をついた。そして急いでろうそくのもとに行き、灯りをつけた。

ようやく明かりに目が慣れ、その人物を見たジウンは、悲鳴を出しそうになるのをこらえ、危うく、手元のろうそくを落としそうになってしまった。彼女の目の前、床の上には、男が横たわっていたのである。いや、男であるのは分かっていたが、いまだ意識を取り戻してないその男は、重々しい見知らぬ鎧を身に着けていたのである。このような鎧は、朝鮮の兵士が着ているものとは全く異なっていた。ジウンは好奇心を抑えることができず、もっとよく見ようと男に近づいた。

ろうそくを男の顔の近付けた。思ったほど年配ではない。年上とみても20代後半か。びしょ濡れのままなので服を脱がすべきだと思い、ジウンは灯りを横に置き、どうやればこの鎧を脱がせられるのかと迷った。

ぎこちない手つきで漆塗りと思われる様々な鎧の板を外していき、ようやく最後の武具を男の胴体から外した。その瞬間、男の肌に触れ、異様に熱くなっているのを感じた。この人は熱を出してる。

普段は慎ましい娘であるジウンであったが、それもすっかり忘れ、男の衣類をすべて剥ぎ取り、素裸にした。そして素早く身体を拭き、自分の寝台へと引きずり乗せた。

ほんのわずかしか掛け布は持っていなかったが、そのありったけの布団を男にかけ、身体を包んだ。その後、小さな箪笥に手を伸ばし、中から乾燥した植物を取りだした。それを粉に挽いた後、その粉を布に包み、その布包みをお湯にひたした。間もなく、ムッとする匂いが部屋を満たした。

ジウンはすぐに見知らぬ男の横に戻り、男の頭を抱え上げ膝の上に乗せた。そして、男を起こそうと、頬を叩いた。ようやく男が薄眼を開けたのを見たジウンは、先ほどのお湯を入れた椀を男の唇にあてた。

男はその湯の匂いに気づき、拒もうとした。それを感じたジウンは、この男に言葉が分かるか不明であったが、きつい調子で、

「文句はなしよ!」と言った。「飲むの!」

男は、彼女が言わんとしてることを理解したのか、その汁を飲み干し、またぐったりと横になった。これだけのことでも疲れ果ててしまったようだ。

ジウンは、二人とも何か食べなくてはいけないと思い、漁の獲物を置き去りにした浜へと走り、獲物を回収し急いで家に戻った。身体にかかった雨水を振い落しながら家に入り、早速、魚を焼き、アワのおかゆを作り始めた。そして乾いた服に着替え、男の隣に座った。

さっきとは違って、男の頬を叩いて起こそうとしたが、男は動かなかった。熱は引き始めていたが、代わりに冷たい汗が男の全身に噴き出していた。身体を震わせているのが見える。

ジウンは、少しおかゆを食べた後、男の鎧を珍しげに眺め、立ち上がり、刀を手にとり、調べた。刀を鞘から出した彼女は、その細い剣を作った見事な職人技に驚いた。美しい武器だった。

脱がせた男の衣類の横に再び座りなおしたジウンは、自分の両手を枕にし、薄暗い灯りの中、男の顔を調べるように見つめ、そしていつしか眠りに落ちた。
[2011/09/07] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

淫乱ママ 第5章 (17) 

それから2時間くらいして息子が帰ってきた。なんだかとても興奮している様子。

「あら、お帰り。何か楽しいことがあったみたいね」 と息子のところにキスを求めて近づきながら言った。

「ママ、僕たちモデルを雇うことになったんだよ。写真を撮る…。プロのモデルの写真が撮れるんだ!」 息子はほとんど叫ぶような声で言った。

「ちょっと待って、モデルって…。どんな写真を撮るの?」

息子は返事もせずに自分の部屋へあがって行った。この話にとても好奇心をくすぐられたので、わたしも後をつけて、息子の部屋に入った。息子は、早速、デジタルカメラを出して用意していた。

「トミー? モデルって、どんなモデル?」

息子はカメラをいじり、これまで撮った写真を調べながら言った。

シアーズとかJPペニーとか通販会社があるだろう? その人はそこのモデルなんだ。よくカタログでポーズを取ってるモデル…。ああいう仕事のモデル。僕たちのモデルになってくれるんだって」

「ふーん、面白そうね。どんな写真を撮るつもりなの? それに、僕たちって、他には誰がいるの?」

息子はわたしが聞いてる本当の意味を知って、ちょっと顔を上げた。

「ママ、ママが考えているようなのじゃないよ。あと、僕たちと言うのは、僕と僕の親友のティムとジェイソンのこと。僕たちウェブ・サイトを立ち上げようとしてるんだ。ママも知ってる通り、3人とも写真に入れ込んでるからね。…それで、サイトを立ち上げる時に、プロのモデルが必要だと考えたわけ。…そうすれば、他の人に興味を持ってもらえるから。ティムが、友人を通して、このモデルの女の子と知り合ったんだ。そして彼女がモデルの仕事を引き受けてくれるって言ってくれたらしいんだよ。今から20分後、僕たちは彼女と会うことになっているんだ。古い鉄道の敷地で」

「トミー、ウェブサイトって、写真って……。ちょっと落ち着いて、お願い。ママ、あなたに確かめておかなくちゃいけないことがあるわ…」

わたしは本当に心配顔になって息子を見た。息子もわたしの心配を察したみたい。わたしに近づいて、わたしを抱き寄せ、耳元で囁いた。

「ママ、大丈夫だよ。ママの写真は絶対にアップしないから。僕が撮ったのは絶対に…。僕を信じて」

それを聞いて少し安心した。心臓の鼓動が元の普通のリズムに戻るのを感じた。息子に抱かれるととても安心する。このまま溶けていたい気持。

「ええ、ママも分かってるから。ママの写真をアップしてもいいわよ。でも、あからさまなのはダメ。いいわね?」

そう言って顔を上げると、息子の唇がすぐそこに来ていて、わたしの唇に重なった。

ふたり抱き合ったまま、キスを続けた。しばらくたって息子がわたしから離れて、にっこりと笑った。

「ねえ、ママ。なんなら、僕と一緒に行かない? 撮影の様子も見れるし、僕の友だちにも会えるよ。ねえ、行こうよ」

正直言って、その考えにわたしもそそられていた。今日は何も予定がないし、息子と一緒に外出するのが一番良さそうに思えた。

「そうね、そうするわ。ちょっと待ってね、何か着てくるから。その後、出かけましょう」

「えー? ママ、変だよ。アハハ。ママはちゃんと服を着てるんじゃない?」

「でもね、トミーのお友達に会うんでしょう? だったら素敵なママの方がいいんじゃない?」 とわたしは腰に手を当てて、ちょっと無邪気にポーズを取って見せた。

「ああ。うん、そうだね! それに、何かセクシーな服がいいな…。一緒にバーに行った時のような…」

もちろん、息子の言ったバーというのがいつのバーのことを言ってるか、わかっていた。あの夜に着た露出満点の服を着て、息子のお友達に会う? それを思っただけで心臓がドキドキしてしまった。あの服で息子の前に出るのと、あの服で息子のお友達の前に出るのは、ぜんぜん違うことだから。

わたしは急いで二階に上がり、15分後、ちょっとナーバスな笑顔をしながら、階段を下りた。


[2011/09/06] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

ジャッキー 第9章 (1) 

「ジャッキー」第9章 Jackie by Scribler http://www.literotica.com/s/jackie-pt-02


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これまでのあらすじ
ジャックは妻アンジーの浮気現場を見てショックを受け、彼女と知り合った頃を回想する。彼は法律事務所のバイト。アンジーはそこの上司だった。仕事を通じ親密になった二人はデートをし、やがてステディな関係になった。その過程でジャックはアンジーのランジェリを送られ、陰毛を剃られ、自分が出した精液をアンジーの陰部から舐め取る経験をする。いつものように週末アンジーの家にいくと、彼女はどこか様子が変だった。だがそれも忘れ、その週末の間にジャックは、女装と化粧の手ほどきを受け、ジャッキーという呼び名をもらい、アナル愛撫の快感も体験するのだった。さらには女装してショッピングをし、夜にはクラブへ行くことになる。
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アンジーが選んだクラブは、この界隈で名前が知られたクラブとは言い難かった。それは、ある意味、幸いなことで、僕たちは行列に並んだりしなくても良かったし、店内に入ればすぐにテーブルを見つけることができたし、さらにはサービス料も無料だった。もっとも、コートの保管にはお金が取られたが。

そのクラブは混んでいたとはいえ、過剰に混んでるわけでもなく、見たところ、お客さんは男性より女性の方が多い様子だった。僕がこれまで行ったことがあるクラブでは大半が逆で男性の方が多かったので、ちょっと奇妙な感じがした。でも、僕は学生のころにクラブに行ったきりだったし、僕が行ったクラブは学生たちが集まる店だったから、あまりあてにならない。

飲み物を注文するとすぐにアンジーは僕の手を引き、ダンスフロアに出た。早いビートの音楽で、平らな靴底の靴を履き男性の服装をしていたとしても、そのリズムに合わせるのがやっとだっただろう。ましてや女の子の服装をして、ハイヒールだったので、この音楽に合わせて踊るのは大変なチャレンジだった。

僕は周りにいる他の女の子たちを見ながら、それを手本にして踊った。アンジーもヘルプしてくれて、僕の両手を握ってくれていた。それが一種の安定役になり、なんとか転んだりせずに済んだ。二曲目の音楽が流れる頃には、ずいぶん上達し、安心してダンスを楽しめるようになっていた。

三曲目はスローな曲で、残念ながらアンジーはテーブルに戻って次の曲を待つことにしたようだ。そこでふたりでテーブルに戻ろうとしたら、男性がふたり、僕たちの前に現れた。アーティとグレンと自己紹介している。

二人とも190センチ以上はありそうなのだが、その中でもアーティの方が背が高い。体格的にもアーティの方が大きく、グレンはかなり痩せ形だった。グレンは茶色の髪で、直毛。ほとんど角刈りに近い短髪だった。一方、アーティはそれより長く伸ばしていたが、それでも、そんなに長髪と言うわけではない。

紹介をしあった後、アーティはアンジーにダンスを誘った。僕はアンジーに断ってほしいと思っていたけど、彼女は笑顔になって、頭を縦に振った。ふたりがダンスフロアに行くのを見ていると、グレンは僕の手を取り、ダンスフロアの方へ歩き出した。多分、グレンは、アンジーは僕のこともOKと返事したと思ったのだろう。

ショックを受けたときどうなるか想像してほしい。普通の男性であるにもかかわらず、男にダンスフロアに連れていかれているのである。しかもその男は自分の2倍はある巨体の男だ。グレンは一見すると普通のストレートな男性に見えたが、本当にそうなのかは正直分からなかった。彼は僕が男だと言っても決して信じないだろう。あ、いや、ひょっとすると、僕がバラしてしまう前に、彼は僕が男だとわかってしまうかもしれない。ともあれ、僕にはグレンのリードに従って、一緒に踊るほか何もできなかった。

ダンスフロアに上がるとすぐにグレンは僕を両腕で抱き寄せた。彼は右手を僕の背中に回し、左手で僕の右手を握って自分の胸の近くにあてた。僕は、普通の女性がするように、左手を彼の肩に乗せることしかできなかった。

手以外は彼に触れないように、僕はグレンの身体にくっつかないようにしていたけれど、踊っている間に彼は僕を引き寄せ、身体を密着させてきた。

「心配しなくていいよ。噛みついたりしないから。いや、ちょっとは噛むかもしれないけど、噛みついたりはしない」

このセリフは歌詞の一節だと知っていたので、これを言われた時には、思わずうなり声をあげそうになっていた。

グレンとは2曲、ダンスを踊った。その間、彼はおおむね紳士的でい続けた。確かに、一、二度、手が僕のお尻へと降りて行ったことはあったが、それ以外には何もなかった。だけれども、驚いたことがあって、それは彼が勃起しているのを感じたことだった。身体を密着させて踊っていたので、多分、僕の偽乳房が彼の胸を擦り、刺激していたのだろう。そして、その時、何かが僕の太ももを押しているのを感じたのだった。実際、そこに手を降ろしてチェックしたわけではないので、多分、彼のペニスなのだろうと想像するほかないが、それでも、それまで感じなかった何か固いものが太ももに当たっていたのは確かだった。その点を除けば、グレンとのダンスは割と楽しい体験だったと言える。実際、ダンスが終わった時には、もう少し続けたかったなあと思ったほどだった。

2曲目が終わると、音楽は早いビートの曲に変わった。グレンは僕をアンジーのいるテーブルへと戻してくれた。アンジーもダンスを終えていて、先にテーブルに座っていた。グレンは、ダンスにつきあってくれてありがとうと礼を言い、僕が腰を降ろす時、ちゃんと椅子を引いてくれた。そしてすぐに僕たちのいるところから立ち去った。

グレンが去ると、アンジーは意味ありげに唇を歪ませた笑顔で僕を見た。その笑顔を見たとたん、僕は顔が赤くなるのを感じた。アンジーの視線に目を合わせられなくなって、僕はうつむいた。

そんな僕を見てアンジーはうふふと笑い、他の人に聞こえないように低い声で僕に囁いた。

「どうやら、女の子の役をしっかり心から演じていたようね。初めて男とダンスをして楽しかったんじゃない?」

「こう言っちゃ悪いけど、君のせいで、他にどうしようもなかったんだよ。実質上、僕があの男とダンスせざるを得ない状況にしたのは、君じゃないか」

「あら、男みたいな言い方になっているわよ。うふふ…。でもね、別に私が仕向けたわけじゃないわ。あなたからダンスしたくないって言えたはずよ」

断ろうと思えば、断れた…。確かにアンジーの言う通りと思い、顔がいっそう赤くなるのを感じた。


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