
66_Utopia 「ユートピア」
「おい、マーカスなのか? お前なのか? 何が起きた? あいつら、お前に何をしたんだ?」
「今はマルシアよ。あたしには『ノー』の返事は許されなかったから」
「お、お前、(FC2の規約で単語で表現できないけど)『合意に基づかない強制的な性行為』でもしたのか?」
「いや。そんなことは、マジでやっていないよ。あたしは女の子をデートに誘ったんだけど、彼女はソノ気はなかった。その後、もう一度、誘ったら、彼女はボタンを押したわけ。そうしたら、気づいたら、あたしは不適切な性的行動の罪で訴えられていたということ」
「なんてこった。それで、どんな判決だったんだ?」
「懲役7年。でも、割と楽にこなせたわ。少なくとも、あたしのアレは残してくれた。アレって……分かるでしょ?」
「なんてこったよ。同情するぜ」
「正直、そんなにひどいことでもないわ。室内では服を着るのを一切許されなかったのはちょっとムカついたし、仕事を失ったのも痛手だし、このおっぱいも気になって仕方ないけど、でも、あたしは法を犯したわけだし、こうなるのも仕方ないかなって思ってる」
「お前、女をデートに誘っただけだろ? なんの違反にもなってねえじゃねえか!」
「その子、はっきり断っていたけど、あたし、しつこく誘いかけたのよ。女の子の方から誘いに乗ってくるのを待つべきだったの。その方がずっと安全だった。だからと言って、いま、あの手のことについて気を揉まずに済んでるってわけじゃないけど。少なくとも、しばらくは続くだろうけど」
「ど、どういうことだ?」
「女性があたしを見て、その気になったら、自由にあたしを犯しても合法的なの。あたしには抵抗できない。女性がストラップオンをつけてるのを見たら、あたしは、お尻を突き出して、受け入れなくちゃいけないの」
「で、でも……それって……合法的だわけねえだろ!」
「合法的なの。さっきも言ったけど、あたしはそうされて当然だから。もし、アレを切除する方を選んでいたら、こういうことは避けられたかもしれない。バギナをつける方を選んでいたら、服を着るのを許されたかもしれない。普通の人となれたかもしれない」
「そんなの狂ってるだろ!」
「いや、理にかなってるわ。おちんちんがなくなったら、それはあたしがもはや男ではないということになるもの。男性ホルモンが体を駆け巡ることがなければ、もっと賢い選択をしていたと思うの。誰でもそう。そこが重要なのよ、マイク。それが理由で、最近、本物の男性が世の中でまれになってきてるの。もう20年くらいしたら、あたしたちみんな女になるでしょうね。そして世の中はその分、良くなっていると」
「で、でも……なんて言うか……それって……」
「ユートピアでしょ。分かってる。このバカな代物を取っておくことを選んだけど、それ、本気で考え直してるところ。もう、コレって何の役にも立っていないもの」
「だけど……」
「もう出て行った方がいいわよ。女王様がくるから。あたしを信じて。女王様が、あたしが普通の人間のように振る舞おうとしてるのを見たら、あなた、この場にいたいと思わないはずよ」