 66_Dream or nightmare 「夢か悪夢か」 「おい、お前、何くそ着てんだよ?」 「何のこと? この服、超人気じゃないの」 「な、何だって。俺は……俺は……おいお前、くそ、いったいどうしちまったんだよ、くそ? お前、ドレス着てんだぜ? お前、くそオカマか何かになっちまったのかよ?」 「何よ、そんなわけないでしょ! どうしてそんなこと言うのよ?」 「お前がくそドレス着てるからじゃねえか! それにお前、『この服、超人気』とかって言ったか? なんだよ、くそ!」 「お願いだから、罵り言葉をそんなにたくさん使わないでくれる? それに、知らないなら教えてあげるけど、このドレスは本当に超人気なの。あんた、そんな古臭いジーンズなんかを履いてるからヤキモチ焼いてるんじゃない? つか、あんたが、あたしにまともに接するようになったら、あたしのクローゼットの中から好きなモノを取ってっても文句言わないかも。うちのクローゼットには、素敵なスカートがあるの。アレ、あんたが履いたら絶対、すごくファビュラスに見えると思うんだけど」 「スカートだって? おい、お前、正気か? いったいどうなってるんだよ、くそ」 「あら、また、その言葉を言った。あんた、まるであたしのお兄ちゃんそっくりね。いっつも、あたしに、あたしが女の子みたいな恰好をしてるって思ってる。まるで、ドレスが女専用みたいな言い方。ええ、確かに、このドレスを『フォエバー21』で買ったわよ。パンティは『ビクトリアズ・シークレット』で。でもだからと言って、これが女の子しか着れない服ってことにはならないでしょ」 「お、おい、お前、パンティを履いてんのか?」 「もちろん! このドレスにトランクスはありえないでしょ? でも、あらヤダ、そろそろお買い物に行かなくちゃいけないわよ! あなたの下着関係が今すごく安いの……」 「お、俺、何がくそ起きてるのかくそ分かんねえよ。なのにお前は全然……こんなの、くそ分かんねえ……つか、俺はただ……まあ、しょうがねえからついていく他ねえか」 「何でもいいけど、自分に素直になれば? どっちにせよ、あたしは出かけるわ。で、できれば、ちゃんとストラップ・オンの使い方が分かる女の子を見つけるつもり。あたしが言ってる意味、あんたが分かるか分からないけど」 「お、俺は何を言っていいのか分からないよ。マジで分からん。俺は家に帰ってベッドにもぐりこむよ。こんなのただの悪い夢だったと思って。目が覚めたら、お前はいつもの俺のダチに戻ってるって思いながらな。ああ、そうだよ。これは、そういうことなんだ。これは全部、夢の中の話しなんだ」 「はっきり言うけど、これは夢では決してないわよ。これが夢なら、もっとキラキラ楽しいことがあるはずじゃないの?」
 66_Deserved 「当然のこと」 あなたは、あなたのあるがままの存在のまま人から愛される資格がある。これは単純な言葉だけど、この世界では、これほどの真理はありえない。今日、この言葉を忘れないだけではダメ。いつも忘れずにいてほしい。性差別やヘイトがあなたを睨み付け気落ちさせるこんな悪意に直面した時、あなたは愛される価値があることを思い出すこと。それを忘れないこと。そして、人があなたを傷つけることがあるかもしれないけれど、その痛みはいつまでも消えないわけではないことを忘れないこと。間違いなく、あなたは、あなたが憎悪よりもっと良いことを得る価値がある存在であることを知っているのだから。 あなたは受け入れてもらう価値がある存在。あなたは間違っていない。間違っているのは彼ら・彼女らの方。それを忘れないこと。そうすれば、時にあれほど残酷になりえるこの世界でも、あなたは幸福を見つけることができるかもしれない。 バレンタインズ・デイ、おめでとう。
 66_Defiant 「反抗的」 「彼、ちょっと憮然としてるようだけど。抵抗してるの?」 「いえ、いえ、そんなことは。彼はただ状況に適合するのに苦労してるだけですよ」 「どんな苦労? 反逆したとか? 当局に連絡する必要があるかしら?」 「いえ。全然、そんなことではありません。少し気落ちしてるだけでしょう。ご存知の通り、彼にとっては大きな変化ですから。あれだけ力があったのに、今は、この姿ですから。多少、気落ちしても驚くほどのことではありませんよ」 「でも、気になるわねえ。気落ちすると不服従の状態になりえるの。そして、不服従はずっともっと大きな問題につながる可能性があるの。ちゃんと彼をコントロールできてるの?」 「私ども、ちゃんと法律を順守しております。彼は完璧な男性のまさに見本となっております」 「態度に問題を抱えた完璧な男性。そういう存在は私たちは許さない……」 「是非とも思い出していただきたいのですが、あの法律が可決された時、ある一定の状況は特例とされるとなったはずでございます。パワーを持っていた男性を従順にするのには困難が伴うという理由から、私どもにはある程度の自由裁量が認められております。彼は、『メン・ファースト』運動のリーダーなのです。彼がそういう自由裁量の資格があるのは確実ではないかと」 「誰も彼が資格がないとは言っていません。ただ、懸念があると言ってるのです」 「どうか、ご心配なさらぬように。彼がどれだけ変わったかご覧ください。体はご覧の通り。もう何ヶ月も、服を着ずに過ごしています。完全に従順と言える態度です。それに比べたら、態度の点での小さな問題など、取るに足らないことですよ」 「取るに足らないことが、大きなインパクトを持つことがあるけど?」 「存じております。でも、その点でも彼は進化しておりますよ。じきに、彼は他の男たちと同様、充分に適応しハピーに生きるようになりますって。ちょっと時間がかかってるという、それだけですよ」 「あんた、本当でしょうねぇ。小さな反抗ですら私たちが打ち立てたバランスを覆す可能性があるのです。私たちが作り上げたすべてを崩壊させる可能性もあるんですから」 「私にご講義なさる必要はありません。そのために彼を調教するよう私が選ばれたのですから」 「分かっています。だが……」 「ご視察は以上でよろしいかと。それでは、今日はこれで」 「だが……」 「今日はこれで」
 66_College boys 「男子学生」 「ねえ、ボクたちとうとう大学生になったんだよ、信じられる? とうとう、ここに来れた。これから楽しくなるよね?」 「ああ、そうだよね。気づいていたか分からないけど、最近、ジャネットがうざくて困ってたんだ。ボクの着る服を選ぶとかいろいろ。ボクが自分で服を選べないみたいに、うるさく付きまとってさ」 「分かるよ。マリアも同じだった。でも、今はボクたち自由さ。少なくとも、しばらくは自由。故郷の女の子たちのことは、話題にしないことにしようよ。いいね?」 「女の子と言えば……」 「ああ。あの廊下にいた彼女たちだろ? すごく可愛いかったよね? 間違ってボクたちを女子寮に案内しようとしてた。あれ、ボク、ちょっと嬉しかったんだ」 「ちょっと? 彼女たち、ボクたちにその気まんまんだったんじゃ? これから、ヤリタイ放題できるよ。ボクたちと付き合うために、女の子たち、行列を作るんじゃない?」 「あ、行列を作ると言えば、思い出した。オリエンテーションの時に何が起きたか、話したっけ? あのね、ボクにしつこく言い寄った男がいたんだよ」 「最悪。お前、何したの?」 「それとなく伝えようとしたんだけどね。でも、心の中では、ボクはゲイじゃないよって叫び続けていたようなもの。なのに、あの人、全然、分かってくれなくって」 「最低だよね。それじゃあ、高校時代の再現になっちゃうじゃない?」 「そうよ。ここでは同じことはしないよ。あの男と遊びに出ても、ボクは絶対、何もしないつもり。高校の時のようにはしないつもり」 「フェラもしてやらないの? それじゃあ、あんまりぶっきらぼうすぎない?」 「まあ、フェラくらいならしてあげるかもしれないけど。夕食をおごってくれたらね。少なくとも、それくらいはしてもらわないと。そうでしょ?」 「そのくらいは、ね」 「でも、それ以上はダメ。その男、すごくキュートなんだけど、ダメ。賭けてもいいけど、彼、すごく大きなおちんちんしてると思うの。……だから、もし本当に大きかったら……うーん……その時は、それを味わわないのってバカっぽいと思わない?」 「でも、どれくらい大きいかによるんじゃない? マイク・ジェイムズソンは大きいって話したっけ? カイル・アダムズが大きいって話は? もし、カイルのくらい大きかったら、その場合は……」 「カイル? あれくらい大きかったら、その場で彼を押し倒してエッチしちゃうよ。ボクだって、バカじゃないんだから」 「ちょっと確認しただけよ……」 「ええ、分かってる。大学生活は高校とは違うよね。ボクたちも高校の時とは違うんだから」 「本当にそうよね。全然、違う」
 66_Closing the sale 「売買契約の締結」 あたしは、不安と恐れを感じつつ、ふたりの男の前に立っていた。ひとりは高価そうな縦縞スーツを着た男。この男をあたしは知っている。もうひとりは知らない男。知ってる男と知らない男でどっちがよりひどいかは分からない。でも、どっちにせよ、これから何が起きるかは知っている。 「いいぞ、その調子だ、ナタリー」と、服を脱ぐあたしを見て、知ってる男が言った。脱いだドレスが床に落ちる。「恥ずかしがることはねえぞ。お前は服を着てたら、事実上、仕事にならない人間なんだからな」 「ずいぶん、躾けができてるようだな」と知らない男が言った。 「みっちり仕込んだからな。俺自身が躾けたんだ」とあたしを調教した男が言った。 「それは安心した」 おそらくあたしの新しい所有者になる男が言った。「この女の経歴は?」 「他のと同じだよ。のめり込みすぎた若者さ。最初は一時的なことだろうと思ったのだろう。マゾっぽい嗜好を満たすためだけだと。すぐに元の普通の生活に戻れると思っていたのだろう。だが、俺は、こういう極上の獲物が来たら、絶対、手放さないのさ」 「その理由、分かるぜ」ともうひとりは言い、あたしの乳房を握り、乱暴に揉んだ。「チューン・アップもよくできてるな」 「というわけで、あの価格だ」 「普段は、俺はケチな男なんだが、これは……これは、あんたの言い値を払うだけの価値は充分にある。代金は今夜にもあんたの口座に振り込んでおくよ」 あたしの持ち主は笑顔になり、買い手に握手を求めた。買い手の男も手を出し、ふたりは握手した。「取引完了だな」そう言い、男はあたしの方を向き、言った。「おめでとう。お前はこれでこの会社のあたらしい玩具だ。俺に奉仕するときと同じように、喜んで仕事に励むんだぞ。分かったか?」 「はい、ご主人様」 「よろしい。俺は返品されるのが大嫌いなんだ」
 66_Apology 「謝罪」 「あのね……ケビン?」 レニーはドアのところに立ち、彼に声をかけた。「お話があるの。あたし、告白しなくちゃいけないことがあるの」 ボクは腰に手を当てながら、微笑んだ。「何だい?」 ボクは裸でいることは気にしていない。 かつてのボクなら、素っ裸でいることを恥ずかしく思ったかもしれない。でも、レニーと付き合い始めてからは、そんな恥ずかしさはすっかり捨て去っていた。 彼女も笑顔を返してくれたけれど、彼女の顔にはどこか悲し気な表情が浮かんでいた。レニーはパティオの椅子に腰かけた。「告白しなくちゃいけないことがあるの。それを聞いたら、あなたは怒ると思うの」 「なんか大変なこと?」とボクは彼女の向かい側の椅子に座って、彼女の手を握って、顔を寄せた。「それがどんなことであれ、ボクと君なら乗り越えられるよ」 レニーは大きな声ですすり泣きを始めた。そして、手で涙をぬぐった。「あなたは、そう言ってくれるけれど、いったん真実を知ったら……あたしがあなたにしたことを知ったら……」 ボクは彼女の顎に指をかけ、上を向かせて、彼女の瞳を見つめた。「大丈夫。ボクに言って。怒ったりしないから」 「あなたは自分が何を言ってるのか分かっていないのよ」と、彼女は急にボクから離れ、立ち上がり、ボクに背中を向けた。「あ、あたしは……良い人間じゃないの。ずっと前から悪い女だったの。でも、それはあたしのせいじゃないわ。あたしは、ただ……ただ……あなたに分かってほしかったの。あなたに、あたしが望む人になってほしかっただけなの」 彼女は滝のように言葉を吐いた。ほとんど狂信的な声の調子だった。正直、それがとても怖かった。ボクは立ち上がり、震える彼女の肩に手を添えた。「大丈夫だよ」とボクは繰り返したけれど、内心、ボク自身が大丈夫じゃないかもしれないと不安になっていた。彼女がこんなに取り乱しているということは、本当に大丈夫なことではないのだろう。ひょっとすると、ボクたちには乗り越えられないことかもしれない。「どんなことなの? ボクに話して」 レニーはくるりとボクの方に向き直った。「あたし、あなたを変えてきたの、ケビン!」と彼女は叫んだ。その叫びの異様さに驚き、ボクは思わずたじろいだ。その後、彼女は話しをしだしたが、その時はずっと落ち着いた感じに戻っていた。ほとんど囁くような声になっていた。「ごめんなさい。本当に、本当にごめんなさい。ここまでするつもりはなかったの。ああ、それに加えて……あなたは自分が変えられていることすら知らないでいる。あなたは自分がどうなっているのかすら知らないでいる」 「ボクは前から少しも変わっていないよ。まあ、ちょっと露出好きになっているかもしれないけど。だけど、ボクは前と同じケビンだよ」 レニーは笑い出した。情け容赦ない、引きつった笑い方だった。「まさか、あなた、本気でそう思ってるの?」 「もちろんだよ。き、君は違うの?」 とボクはつぶやいた。 レニーは手を頭にあげ、指で髪の毛をひと掻き、掻いた。「あなたにどうやって分からせたらよいかすら、分からない」と、またすすり泣きを始めた。ぼろぼろと涙が彼女の頬を伝っている。「そこが一番酷いところなの。あなたには、あたしが何をしたかすら分からない。あなたは何もかも問題ないと思ってる」 「本当に何もかも問題ないよ。ボクたちは一緒で、幸せだよね? ボクは君を愛してるんだよ」 「ほんとのことを知ったら、愛してはくれなくなるわ。あなたが本当の自分の姿を見れたなら、あたしを憎むことになるわ」 「決して、君を憎んだりなんかしないよ」 とボクは優しい声で言った。 「あなたのお友達がみんなあなたに話しかけなくなったの、変だと思わない? あなたの家族があなたにセラピーに行くように言い続けてることも、変だと思わない? あなたのことを女の子に間違える人が、あんなにたくさんいることも、変だと思わない?」 「ボクは、家族のことについては話したくない」 ボクは、かつては家族と親密にしていたけれど、それはほぼ一夜にして変わってしまった。今のところ、ボクは家族と接触することを避けている。さもないと、メンタルヘルスについてしつこく話しを聞かされることになるから。「それに、他の人がどう思おうと、ボクにはどうしようもできないよ」 「みんながあなたのことを女の子と間違えるのは、あなたが女の子のように見えてるからなの。それはあたしのせい。あたしがあなたをそうしたの。あたしはあなたに催眠術をかけて、ドレスを着るようにさせたし、ホルモンを摂るようにさせたの。……それに、あたしを愛するようにもさせたの。全部、あたしがしたこと。本当に……本当にごめんなさい」 「そ、そんな、バカな……バカなことを言って……」 突然、こめかみのあたりに爆発的な激痛が走った。ボクは、血を絞り出すようなうめき声をあげて、コンクリートの床に倒れ込んだ。高速で様々な光景が目の前に現れた。幾千もの記憶が走馬灯のように目の前に展開した。極限の激痛が永遠に続いているように感じたけれど、現実には激痛は一瞬で終わっていた。気が付くと、ボクは床の上、丸くなって赤ちゃんのようにすすり泣いていた。 レニーはボクのそばにひざまずき、なだめるようにボクの腕をさすっていた。「戻ってきたのね? 全部。この2年間のことすべてをフィルターなしで見ているのね。本当に……本当にこんなことしなければよかったのにと思ってる。ごめんなさい、ケビン。本当に……ごめんなさい」 そう言って、彼女はその場を離れた。ボクに人生に加えられた変化をひとりで考えさせるためだろう。何時間か経ち、ボクは起き上がった。ガラス戸に映った自分の姿を見た。2年ぶりに見た自分の本当の姿をしっかりと見た。かつての自分は背の低い小太りの男だった。その代わりに、ガラスには小柄の女性が映っていた。ボクの過去を示す唯一の証拠は、脚の間にぶら下がる萎えたペニスだけだった。 ボクは、自分が失ったもの、変えられてしまった自分、自分が行ったことを思い、号泣した。
 66_A gift from a friend 「友人からの贈り物」 「お、おい、なんでお前のウチのバルコニーに裸の女がいるんだよ?」 「彼のことか? だったら気にすんな。ただの俺の飼ってるヤリマンだから」 「ああ。つまり、その……なるほど。でも、あの男の肩を持つつもりはないけど、あいつらを男性の代名詞で呼ぶべきじゃねえんじゃないか。彼女が動物のように四つん這いになって全裸でいる事実を脇においても、あいつらは性別を間違って認定されるのは好まないんじゃないかと思うぜ。別に俺は政治的正しさを訴えようとしてるわけじゃないんだが、でも……おい、ちょっと待てよ、なに笑ってるんだよ?」 「あ、いや、別に。ただ、お前がこの状況を完全に読み間違えてるんで笑ってしまったんだよ。いいか、あいつは女じゃない」 「それは分かってるよ。生物的には違う」 「いや、まだ誤解してる。彼はトランスジェンダーでもないんだ」 「でも……つまり……何言ってるのか分からないよ」 「明らかに、な。お前、彼が誰か分かっていないだろ? 違うか?」 「俺が知ってるやつなのか?」 「ブロック・ケネディという名前を聞いたらどうだ?」 「何だって? 高校の時、俺たちをイジメてた、あのブロックか? なんで、こんなふうに…ああ、なんて……ああ……」 「分かったようだな。ようやく、つながりが見えたようだな」 「待ってくれ。俺は……こんなのって……でも、どうやって?……どうやってこんな? 彼はどう見ても……あまりにも……」 「オンナだろ。そうだよ。そこが重要な点だ。念のために言っとくが、あいつもこんなふうに変えられてしまって、嫌悪してるんだぜ。だが、あいつは、どう足掻いても変えられないと分かってる。ようやく、今の事実を受け入れたようなんだな、これが」 「でも、どうやって? どうやってこんなふうに? 俺が覚えてるブロックは、お前がチラッとあいつを見ただけで、こっち見るなって言って、お前をしこたま殴ってたじゃないか。それが、どうやって、こんな?」 「綺麗だろ? で、どうやってについてだが、実際、ちょろいと言っていいんだ。ブロックは法律違反関係でちょっとトラブルを抱えていて、長期間、牢屋暮らしになる判決が下されそうになっていた。で、俺のところにあいつの事件が回ってきた時、俺はあいつに裏取引を持ち掛けたってわけだ。俺の命令通りにするなら、この事件は却下してやるとな。もちろん、あいつは俺を相手にした方が簡単だと思い、俺の条件を受け入れた。だが、あいつは考えてなかったんだよ。俺があいつに電気ショックの首輪をつけることとか、あいつの元の仲間たちが、あいつがお咎めなしで釈放されたので、あいつが寝返ったと思ったこととかをな。結局、あいつはここから外に出られなくなってしまったわけだ。今は、あいつもそれを分かっている。あいつを崩壊させるのに、半年しかかからなかったよ」 「で、でも……でもそれは……」 「分かってるよ。ひどい話だって、そう言いたいんだろ? でも、きっぱり言えるぜ。俺は、微塵も、後悔していないって。ちょっとでも、あいつについて可哀想だなと思ったら、いつでも、俺は高校時代にあいつが俺たちにどんなことをしたかを思い出すことにしてる。あの頃のことを思い出せば、元の決心を取り戻すのはあっという間だ。だが、最近、こいつは毎日のルーティンに慣れっこになってきてるようなんだ。ちょっと変化をつけて、あいつを慌てさせる必要がある。そんなわけでお前にここに来てもらったわけなんだ。2ヶ月ほど、あいつを預かる気はないか?」 「あいつを預かる? 預かって何をする?」 「何でも好きなことをしていいさ。好き放題に犯してもいいし、メイドにしてもいいし、毎日、輪姦パーティを設定してもいい。俺は、あいつをビーチに連れて行って、遊びに来てる学生たちをからかうのを見るのが好きだな。いったん海に入らせる。だが海から出てくると、いつも水着のトップが脱げてるわけだ。その後どうなるかは想像に任せるよ。ともかく、お前があいつをどう使うかは、完全に、お前に任せる。どうだ? この種の責任を担ってみる気はないか?」 「俺が何て言うか知ってるだろ? いいとも、しっかり責任を取ってやろうじゃないの」
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