「Entertainment おもてなし」 by deirdre
私たちの結婚式の前日のことだった。私は、フィアンセのジェフの実家にいて、持ち物を整理していた。ジェフと私は、法律関係の仕事をしていて、同じ会社に勤めている。私がこの会社に入ったのは1年前。ジェフとは、一目惚れ状態で恋に落ちた。私たちは大きな結婚式は開かないけど、新婚旅行はアルバ(
参考)に決めていた。
でも、今日はジェフはここにはいない。ロジャーと一緒なのだ。ロジャーは高校のときからのジェフの親友で、私たちの結婚式での付き添い役になってくれている。彼は、今日、この町に着たばかりで、ジェフのアパートに泊まることになっていた。
荷造りの仕事を始めたとたん、玄関のチャイムが鳴った。玄関先に立っていたのが、このブロンド美人。
「ロジャーはどこ?」
身長は160センチくらいで、信じられないプロポーションをしている。波打つ長い金髪。服は、ビジネス・スーツで下はスカート。でも、堅い服装をしてても胸の大きさは隠しきれていない。靴はハイヒールだった。手提げ袋を肩にさげている。私は、何も言わず、彼女を見つめていた。
「・・・あっ、ごめんなさい。・・・で、ロジャーさんにどんな御用なのですか?」
「私、タマラと言います。ロジャーにパーティのもてなしのために雇われました。それで、場所を確認しに来たんです」
私は、多分、彼女が言っていることの意味が分かるに連れて、ショック状態に変わっていってたと思う。彼女も私の状態に気がついたようだ。
「大丈夫、私はストリッパーですから」
まるで、それですべてが片付くと言わんばかりの言い方だった。でも、多分、私がまだ慌てているのに気づいたのだろう。彼女は、続けて説明した。
「変なことは全然ありませんよ。ただのお楽しみです。ストリップをするとは言っても、最後のGストリングス(
参考)は脱がないし、これまでもたくさんの人にストリップ・オ・グラム(
参考)をしてきました。ご主人のために私を雇う奥様たちもいらっしゃるんですよ。私は、お客様と変なことをしたりは決してしませんから」
あるトークショーで、女性インタビューアーが、ダニー自身の変身について、突っ込んだ質問をした。
「ダニエルさんは、前に、ご自身がトランスジェンダーになっていなかったら、このトランスジェンダーのコミュニティには近づけなかっただろうとおっしゃいましたよね? ということは、あなたは、特に、この本を書くために変身なさったということでしょうか?」
「いいえ、もちろん違います。正直、私が女性化を始めたときには、この話を書くことなど、考えてもいませんでした。こういう欲求は前からずっと抱いていたのです。ただ、現実世界での自分の存在や他者との関係を台無しにしてしまうのではないかとの不安から、実際には行動に移していなかった。私の変身は、私と彼女という、2人の大人の間の、同意を踏まえた、性に関する実験から始まり、そこから開花したのです。彼女は、その実験を止めたいと思わなかったし、私も同じ考えでした。それによってTガールのコミュニティに加わることができるようになったわけですが、それは嬉しいオマケにすぎません。変身したことについても、この世界に加わったことについても、私はまったく後悔していないのです」
「あなたの変身は、あなたが人生で最も愛している人物によってもたらされたとお書きになっていますよね? その人とは、あなたの奥様なのでしょう?」
「実際は、彼女は私が彼女の妻であるとみなしていますが」
「その方は、・・・何と言うか、あなたより男性的なのですか?」
「いえ、全然。彼女なら、雑誌のグラビアも飾れます。私なんかは、そういう風になれたらと夢に思うことしかできません。彼女と一緒だった頃、私は、世界中の人に彼女の美しさを見て欲しいと思いましたし、一緒にいられることで私はなんて運が良いのだろうと思っていました。彼女の身元を明らかにしない理由は、私が彼女のプライバシーを尊重しているから、ただそれだけです」
「わーお! あなたの変身の話題に戻りますが、彼女も喜んでいましたか? つまり、彼女は、女性になったあなたといて楽しんでいたのでしょうか?」
ダニーはにっこり微笑んだ。
「一晩に、数回も」
インタビューアもにやりとした。
「お2人が別れてしまった原因は、もっと普通のカップルについて別れてしまう原因と、どのような点で、異なるのでしょうか?」
「異なるところはまったくありません。私たちのことを人々がどう見ているかに関わらず、私と彼女は、他の人々とまったく同じ、個人的・社会的プレッシャーを受けました。私たちが別れた原因は、残念ながらと言うか、幸いにもと言うか、どの別れたカップルにも共通したものだったのです。どのカップルも、別れるときには別れてしまうのです。ジェンダーの問題とは関係なく」
「どうしても目に入ってしまうのですが、あなたはまだ結婚指輪をはめていらっしゃいますね? 離婚したわけではないのですか?」
「いいえ。正式には、私たちは別居しているだけです。ただし、彼女が、最近、何か、私が知らない行動を起こしていたら話は別ですが」
「ということは、寄りを戻すチャンスもあるわけですね?」
ダニーは再び微笑んだ。内省的な表情に変わった。
ゲイルは、僕のピンクのグロスを取り、美しい唇に塗りつけた。それから唇を合わせ、色を唇全体に行き渡らせた。それを見て、僕も同じくすべきであることを思い出した。グロスにより唇が滑るように滑らかになっているのを感じる。舌先で、少しだけグロスを味わう。
ゲイルは刷毛のついたキャップをグロスの小瓶にもどした。
「女の子がグロスを分け合うには他の方法もあるのよ」
突然、ゲイルは引き締まってはいるが、柔らかな体を僕の体に押し付け、グロスを塗った唇を僕の唇に当てた。互いに顔を左右に動かし、唇を擦り合わせる。滑らかな唇が官能的だ。ゲイルは、さらに口を開き、舌を出して、優しく僕の唇を擦った。僕も、この熱気に反応し、ゲイルが舌に力を入れて僕の口の中へ押し込もうとするのを受けて、自分から口を開き、彼女に口の中を探らせた。体から力が抜け、立っていられなくなり、知らぬ間に僕はゲイルのデスクの端に腰を降ろしていた。ゲイルは僕の両脚を開き、股間を僕の股間に押し付けているのに気づいた。
しかし、僕は急に自分がしていることに気づき、ゲイルを押して、体を離させた。
「ゲイル、こんなことはできない。僕は結婚しているんだ。浮気をしてドナを裏切ることはできない」
「ビクトリア? これは浮気じゃないわ。この遊びに私を誘ったのはドナ自身なの。私は、できる限りのことであなたの手伝いをするようにと頼まれているの。今のは、あなたが、ドナと同じくらい上手にキスができるか確かめたかっただけよ」
僕は、ゲイルが言ったことが意味することに気づき、体が凍り付いてしまった。2日前なら、これを聞いて、僕はゲイルに嘘をつくなと怒鳴り、即刻、解雇したことだろう。だが、今日は、僕の世界がさかさまになってしまったようだ。自分は、今、ピンク色のグロスを塗り、ズボンの下には、ピンク色のパンティとガーターベルト、そしてストッキングを履いて、他の女性とキスをしグロスを分かち合っている。それに、昨夜は、妻が他の女性とキスをするのを見ていたし、僕自身、その女性にアヌスを奪われていたのだ。
ゲイルはオフィスのドアへ行き、鍵をかけた。OPENの札を返してCLOSEDに変える。戻ってくると、僕の手を取り、僕のオフィスへ入った。そして、ドアを閉める。
「ビッキー? あなたがどれだけ美しいか、見てみたいわ」
ゲイルはそう言って、僕のシャツを脱がし始めた。