リンダは、サラの言うことを具体的にのみ込むにつれ、頭の中で何かが回転し始めるのを感じた。ブルースが貞操帯をつけている光景が浮かぶ。完全に自分の言いなりになっているブルース…
「でも、それは24時間だけだったんでしょ?」
「ええ、最初だからね。その後の話はもうちょっと込み入ってるの。でも、手短に言えば、それまでに、ビルには、私のあそこを何度も舐め清めさせていたの。あの黒人男の誰かにすごく激しく犯してもらって、美味しいスペルマであそこをいっぱいにしてもらった後で、きれいに吸わせて舐めてもらう。そうやってから貞操帯をつけさせたのよ」
「ええっ?! まさか、ビルがそれをするなんて!」
「いいえ、ちゃんとやったわ。初めてビルにそれをさせた時、私、ビルにこう言ったのよ。それをすることは、私を抱いてくれたオトコへの敬意の印になるのよって。私にとっても本当に大切なことだわって。私や私のオトコのために、その『お清め』行為を三回くらいしたあとかな、夫はそれに慣れ始めたわ。私が、それをしたビルをおだててやったり、手でしごいて出させてやったりしたからとは思うけど…」
「わーお」
「とにかく、ジャックとした後の夜だったわ… あなたはまだジャックには会っていないわよね… ジャックはとてもタマタマが大きいのよ。それに信じられないほどいっぱい出すの… そのジャックがウチに来て私を抱いて、帰って行ったんだけど、ビルはジャックが帰って行ったのを見届けて、寝室に戻ってきたの。その時、私を喜ばせるのを期待してか、文字通り、舌舐めずりしながら入ってきたのよ…」
「…それで、私、ビルに言ったのよ。今夜は、目が覚めるまでジャックが私の中に出してくれたものをキープしておくつもりだから、吸い取るのはしなくていいわよ、ってね。そしたら、ビルはすごくがっかりした顔をしたの。私、焦らしたあげく、とうとう根負けした演技をして、そんなに舐めたいなら、まずは貞操帯をつけさせてくれるなら、ジャックのスペルマを私から吸い取ってもいいわよ、って言ったのよ。今回は、私がいいと言うまで、つけているのよ、ってね。ビルは即座に同意したわ」
「信じられない… あのビルが、黒人の出したスペルマをあなたから舐め取るために、そんなになるまで興奮するなんて。ビルにとって、すごく屈辱的なことだと思うんだけど…」
「それは、まったくその通り。ビルは自分でも恥ずかしいことだと思っているわ。でも、私を喜ばせたくてたまらない状態になっているのよ。能力の点で決して勝てる見込みのないオトコたちを、自分は完全にサポートしていると証明したがっているのよ。その思いがあまり強いので、この行為は素晴らしい行為なのだって思いこんでいるわけ。理由はそればかりじゃないけど、残りのところは、また別の機会に話すわ」
「それで、ビルは貞操帯をつけることに同意したわけね…」
「そう。それが二週間前のこと。まだ、外すのを許可してないの。ビルは気が狂いそうになっているはず! 今のビルはものすごく従順よ。私がジャンプしてって言ったら、どのくらい高くジャンプすればいい?って訊くわ。私の囚人みたいなものね。加えて、いつも、やりたくてうずうずしてる状態。毎晩、外させてくれって私に懇願するわ。私はカギを隠している。もちろん、それを外してもらえる場所など他にない…」
「…この状態、すごくいいわよ。いつも私のことを懇願する目つきで見ているの。私を喜ばせたい、外してもいいと私に思わせるようなことを何でもしてあげたいって、そう思いながら私を見てるのよ…」
「…もう一週間はつけさせるつもり。その時には、これまでしたことがないことを命令するつもり。何か新しい、本当に屈辱的なことをさせるの。もしビルがその命令に応じたら、貞操帯を外してあげる。だけど、ちょっとの間だけね。まあ、今は、たとえどんなことを命じても、服従しないなんてありえない段階に来てるとは思うけど」
「ブルースも私にお清めをしてくれるかしら?」 とリンダは笑いながら言った。
「絶対するわよ。私が話しを聞いたうちでは、旦那たち全員がしてるもの。それをすることは、夫にとって、究極の屈服であるし、本物のオトコに対する自分の役割を認める究極の形と言えるわね。ともかく、一度でいいから、あなたがあの黒牛たちのひとりとしているところを見せるのよ。そして、あなたがベッドの中でどんなふうに狂うか、しっかり見せるの。その途端、ブルースはあなたの要求を満たそうと必死になるはずだわ。さらに、あの男たちの前では、いまよりもずっと萎縮した気持ちに変わるはず。最終的には、ブルースもあなたや男たちの言うなりになるはずよ」
「うわあ、話しを聞いていたら興奮してきちゃったわ。こういう話に興奮しちゃいけないはずなのに、興奮してしまう… そう言えば思い出したわ。今度のパーティは、私たちが参加して三回目になるんだけど、私たち、まだ、正式会員になる申請をしてないのよ。その儀式では、ブルースは、あの男たちの誰かに、私たちを正式会員にする後援をしてくださいとお願いしなければいけないんでしょ? それをするようブルースに頼まなくちゃいけないんだわ。でも、その儀式って面白そう」
「私にとっては、それはすごくエロティックなイベントよ。だから口では言えないわ。知ってると思うけど、それをしたら、ブルースは、あなたとのセックスに関しては、あの黒人男たちに降参すると諦めることを意味するの。自分が黒人に妻を寝取られた夫であるという立場を受け入れる、いわば、宣誓をすることになるの。それをした後は、もう、後戻りはできない」
「早くその時がこないかなあ。待ちきれないわ」
「アドバイスが欲しい?」 とサラは続けた。「後援の申請をブルースにさせたいと思うオトコを選んだら、まずは、どんな手でもいいから、最大の効果が出るようにして、ブルースがその男に接触するように仕向けるの。それからはスピーチの練習をさせること。でも、簡単にできるようなスピーチはダメ。ブルースにしっかり覚えこますの。ちゃんとオトコに対して敬意をもっているように話すこと。オトコを褒め称え、懇願し、優秀さを認め、おねだりするようにスピーチする練習をさせるのよ」
「私、早速、今夜から基礎固めを始めるわ。ブルースがすでに貞操帯をつけていたらいいのに。そうなら、もっと御しやすいのに。でも、そのためにはひとつずつ段階を踏まなくてはね。何とかできる気がする。まずは、あの素敵で、逞しくて、セクシーな黒人男のことを思い浮かべて、それからブルースに目を向ければいいと思うわ。あまりの落差に、俄然、やる気が出そう。そうしただけで、ブルースを仕向けてあそこに鼻先を突っ込ませてやろうって勇気が出てくると思うから」
「そうこなくっちゃ!」
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僕は話しをせかした。「じゃあ、その件は片付いたとして、僕は他のことを話そうと思う。ドニー? この件については前にディ・ディに話したんだけど… つまり、僕たちの関係はどうあるべきだと僕が思っているかについて、なんだ。多分、君は、僕が非常に付き合いやすい人間だと分かると思う。でも、僕は人間関係にはある決まったことがらがなくてはならないと思っているんだ。それを率直に君たちに求めたいと思っている」
「いいわよ、率直になって。それで、何を私たちから求めたいと思っているの?」 とドニーが言った。
「正直であること、オープンであること、率直であること。僕がマズイことをしでかしたら、どこが悪いか僕に言って欲しい。僕が、感情的であれ、身体的であれ、何であれ、君たちが求めていることを与えていないと思ったら、はっきり言って欲しい。何か問題が起きつつある場合、大問題になってしまう前に、つぼみの段階で刈り取る必要がある。ドニー、これは大切なことなんだ。長期にわたる人間関係を継続させるには、これ以外の方法は見当たらないと思っているんだ」
「それって、ずいぶん女性的なモノの見方ね、アンドリュー。あなた、本当はゲイじゃないの?」 とドニーが言った。
僕は彼女の胸に手を伸ばして、柔らかく美しい乳房を揉んだ。「また、ベッドに戻って、自分自身で確かめてみる?」
ディ・ディが僕の手をピシャリと叩き、ドニーの乳房からどかせた。「アンドリュー、そんなこと彼女に言っちゃダメよ。私の妹は自堕落淫乱女なの。彼女の性欲については、この午後に見ただけでもう充分だわ」
「分かった! そろそろ、セックスについて話し合う頃合いのようだね。僕たちはセックスはたくさんしてきているけど、一度も、セックスについて語り合ってはいないんだ」
ディ・ディもドニーもちょっと恥ずかしそうな顔をした。
「そもそも、私たち子供のころから今まで、セックスについてほとんど話し合ったことなどないわ。どんなことを話し合いたいの?」とドニーが訊いた。
「君たちは二人とも、よく、長期の出張に出るだろう? そうなると、君たちは気を揉むことになると思う。ディ・ディの言葉を借りれば、緊張度が増すということに。僕は自分の眼で見たから、それがはっきりと分かるし、君たちは二人ともセックスについてとても熱心だということも知っている。だから、そういう場合について、君たちはどうするつもりでいるのか話し合いたいんだ」
ディ・ディはちょっとショックを受けた顔をした。それに、唖然としている表情も。
「アンドリュー? 私たちもう何年もセックスなしで過ごしてきたのよ。出張で出かけた時に、自分自身をどうコントロールするかは私もドニーもちゃんと分かっているわ。私がショックを受け、唖然としているのは、そういう状況で私たちが何かすると、あなたが思ったこと自体だわ」
「ちょっと待って。僕は何も君たちを何かで責めようとしてるわけじゃないんだ。セックスを思う存分していない状態より、セックスをまったくしていない状態の方が楽だと、それを言ってるだけなんだよ。セックスをすれば、もっとしたくなるし、さらにセックスすれば、もっとしたくなるものだ。やがて、もっともっと求めるようになっていく。セックスとはそういうものだと僕が理解していること、それに、この場合、適切な言葉だとは思うが『貞操』といった観点では僕は君たちに何も求めていないということ、それを伝えてるつもりなんだ」
ドニーが言った。「どういうこと? 私たちがあなたのもとから離れている時なら、私たちが他の男とかかわったとしても、あなたは平気だと、そう言ってるの? それって狂ってるわよ」
「いや、そういうことを言おうとしているんじゃないんだ。僕は君たちのすべてを僕に向けて欲しいと思っている。その点では僕はわがままだ。でも、もし万が一、そういうことが起きたとしても、僕は、それを理解できると言ってるんだよ。ただ、ちょっと気を使って、そういうことについて僕に話さないでくれたら、嬉しいけど。そういうのは知りたくない。僕は、自分が愛している女性が、他の男にも魅力的に映っていると知って興奮するタイプじゃない。君たちに惹かれない男は、気が狂っているか、ゲイかのどちらかだ…」
「…でも、もし、君たちにそういう『疼き』が湧いてきて、僕と一緒にそれを癒すまで待ちきれないような状態になった場合、僕が前もって許可を与えているということを知っていてほしい。それだけだ。罪悪感など感じる必要ない。もっとも、僕自身が本当にそういうことについて知りたくないと思っているかどうかは、不確かなところがあるんだが…」
「…ともかく、僕は君たちのどちらも所有しているわけじゃない。愛し合っている時は、そういうふうに感じるのは確かだ。君たちを自分のモノにしたいと。でも普通のときは、そういうふうには思っていないし、そもそも、君たちを所有するなんてできることではない」