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ジャッキー 第11章 (5) 

花束を抱えてリビングに入ると、アンジーが立ちあがった。

「何て綺麗な花なの! 誰から誰への花かしら?」

花束をコーヒーテーブルに降ろすと、アンジーは赤バラの方についているカードを取って、読み上げた。

「僕の人生で最も愛していて、僕の世界を変えてくれた女性へ。アンジー、あなたを心から愛しています。ジャックより」

アンジーがカードを読みながら目に涙を浮かべているのが見えた。まばたきをして涙を振りはらい、彼女は言った。

「ジャックは本当に素敵な男性だわ。バレンタインデーに4つも素晴らしいプレゼントをしてくれた。美しいダイヤのブレスレットに、大きな箱のチョコレートに、24本の赤いバラの花束。それに、この日のために私専用のフレンチ・メイドまでつけてくれた。ジャックのような男性を愛せない女なんているのかしら? いつか彼に結婚してと頼まなければいけないと思わない? そうしなかったら、誰かに彼を盗まれてしまうかもしれないから」

アンジーが結婚のことを話したのを聞いてびっくりした。この話はこれまで一度も話題になったことがなかった。僕自身は何度も考えていたけど、話題に出すとアンジーが離れてしまうのではないかと、恐れていた。アンジーが僕に飽きるまで一緒に暮らせていられるなら、それで満足だと個人的には思っていた。

そんなことを思っていたが、元のメイドのシナリオに戻らなければと気持ちを切り替えた。

「ジャック様は奥さまから盗まれたりするようなお方ではないと思いますわ。いつも奥さまを愛していらっしゃると思います」

「そうだといいわね、ジャッキー。本当にそうだといいわ。さて、こちらの花束は誰宛なのかしら?」 と彼女はもう一方の花束についたカードを手にした。

彼女はカードを広げて「これはあなた宛てよ」 と言い、読み上げた。「女の子として生まれて初めてのバレンタインデーを迎えた、私の最高のガールフレンドへ。愛をこめて、アンジーより」

アンジーから花束をもらって、本当にワクワクした。「ありがとうございます、奥さま! とても嬉しいです」

そう言って彼女を抱こうと近寄った。するとアンジーは両手を前に突き出して、私を止めた。

「メイドとして、あなたはちょっと馴れ馴れしすぎているわね。そろそろお仕事に戻ったらどうなの? この花はダイニングのテーブルに飾って。それが済んだら、洗濯を始めなさい。用事がある時はベルを鳴らすから。さあ、出ていって!」

こんなふうに退散させられ、私は拒絶されたような気持ちになった。とはいえ、こういう役目を演じているのだから仕方ない。花束を抱え、ダイニングルームに行き、テーブルに綺麗に飾った。それから洗濯機のところに行き、タオルの山から始めた。洗濯機にスイッチを入れたとたん、ベルが鳴るのが聞こえた。

その時も、つま先歩きでいそいそとリビングルームに戻った。丁寧にお辞儀をしてから、「奥様、ご用は何でしょうか?」 と尋ねた。

アンジーは新聞から目を離さず、カップを指差し、「お代わり」とだけ言った。

早速コーヒーを継ぎ足し、再び家事に戻った。すると、2分くらいしてまたベルが鳴った。今度は、家具に指紋の跡が残ってるのを見つけたので、それを拭き直すようにとのことだった。

ひょっとして自分はアンジーを暴君にしてしまったのかもしれないと思い始めていた。仕事を言いつけられ、それを終えてリビングを出ると、2分も経たずに呼び出され新たな仕事を言いつけられたから。それを何度も。

一方のアンジーはこれをとても喜んでいるように見えた。私が深々とお辞儀をするのを見たり、私に仕事をさせたりすることで、興奮を得ているのは確かだった。私がメイド服を着ていそいそと歩くのを見て喜んでいる。


[2012/04/05] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

裏切り 第5章 (1) 

「裏切り」 第5章 食べられるだけ食べて Betrayed Chapter 5: All You Can Eat by AngelCherysse http://www.literotica.com/stories/showstory.php?id=206701


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これまでのあらすじ


ランスは、妻のスーザンが元カレのジェフと浮気をしていたことを知りショックを受ける。ジェフが通っていたシーメール・クラブに行くと、ダイアナというシーメールがおり、ランスは彼女に犯される。だが、それにより彼は隠れた自分の本性に気づく。1週間後、彼は再びダイアナと愛しあい女装の手ほどきを受け、翌日、ふたりは買い物デートをし、ディナーを食べる。レストランを出ると、スーザンとジェフがいて険悪な時間が過ぎる。ダイアナはランスをシーメール・クラブへ連れて行き、本格的な女装を施した。ランスはリサと名前を変え、ダイアナの友人の助言も得て、行きずりの男性に身体を任せる。それにはダイアナも嫉妬を感じたようだった。


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翌日の日曜日、ふたりとも11時まで眠り続けた。目覚めた後、ゆったりと愛し合い、そしてシャワーを浴びた。この日は、ダイアナも私リサも、ジーンズ、Tシャツ、運動シューズの姿でカジュアルでいる日にしようと決まった。

ダイアナに手伝ってもらい、私も何とか「美味しそう」といえる程度の見栄えを保つことができた。少なくとも彼女にはそう見えたようだ。

一方のダイアナはと言うと……、圧倒的だった。ユニセックスな服装にもかかわらず、こんなにセクシーに見える女性はどこにもいないはず。すべてを完璧にキメていた。Tシャツの裾を乳房の下のところで結んで、55センチのウエストとおへそのリングを見せていた。

カジュアルな服装でいようと決めていたけど、ダイアナとフェアに渡り合うには、意見を変えてもしかたない。私は昨夜履いたスエードのハイヒールを履くことにした。ダイアナの方は私のリーボックを履いている。ふたりとも、恐ろしいほどまったく同じサイズ。これって、神様のご意思?

ダイアナはスタイリング用のブラシと櫛を使って、私のかつらに攻撃し、乱れた髪の房をあっちこっちに動かしては、元の豪華なヘアスタイルを何とか復元してくれた。

「できたわ!」 とダイアナは勝ち誇ったように宣言した。「アンジェロほどは巧くないかもしれないけど、今日のところはこれでいいと思う」

「アンジェロ?」

「私たちのかつらのセットを全部してくれてる人よ。もうずいぶん前から私たちのお世話をしてくれているの。前はブロードウェイ・ウイッグズのお店でスタイリストをしていたけど、今は自分のショップを持っているわ。みんな、他の人に頼もうなんて考えられないと思う。このかつらも、洗ってスタイリングし直してもらう必要が出てきたら、あなたを連れていって、紹介してあげるわよ」

この綺麗なヘアピースについては、私もダイアナも手放せないと感じていた。だから、私はダイアナにおカネを持たせて、これを貸してくれたミミに弁済することにした。ダイアナは、来週の週末までには、アンジェロが代わりになるかつらを用意してくれるはずと請け合ってくれた。

この日曜日もショッピングの一日になった。まずは、昨日訪れたウオーター・タワー・プレイス(参考)のランジェリー・ショップにもう一度行った。今回は、ダイアナでなく私が着るランジェリーを買った。次に、MACストア(参考)に立ち寄って「必要不可欠」の化粧品を買いあさった―結局、ショッピング・バッグ2つ分になったけど。ダイアナは、ファッションショーの時までには、本物のメイクアップ・アーティストを私につけてくれると約束した。だけど、16歳の時からアメリカ中西部じゅうのステージに上がってきたショーガールよりも上手に、私にお化粧を教えられる人はいるのだろうか?


[2012/04/05] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)