オーガズムの余韻を楽しみながら少し休んだ後、ベッドの上、猫のように背伸びをして、起き上がった。電動ディルドはまだ中に入れたままだが、最後に残ってる巨大なヤツを取った。こいつを使うときは、これまでとは違う、何か新しいことを試してみたいと思った。
そうだ、自分の姿を見ながらやってみたいと、そう思った。誰か他の人にヤラレテいる感じを味わいたいと。
俺は廊下に出て、全身鏡のところに行った。この鏡は、リビング・ルームへのアーチウェイ(
参考)に立てかけてある。これなら完璧だと思った。
早速、巨大ディルドの吸盤部分をべろべろ舐めて濡らし、アーチウェイの壁に押し付けた。だいたい膝くらいの高さのところに。鏡の向かい側だ。
床は堅そうなので、カウチから枕をふたつ持って来て、アーチウェイの突き出た壁を挟むように左右に置いた。その状態で、鏡に向かう形で両膝を床に突いた。左右の脚で突き出た壁を若干挟むようにし、位置についた。
鏡の中、床に両手を突いて、四つん這いでこっちを見ているセクシーな娘がいる。もちろん俺のことだが、実にエロい。
俺は後ろに手を伸ばし、入れたままのディルドを掴んだ。そして、思い切って一気に引き抜いた。
「あああ~んッ!」 鏡の中の女が喘いだ。
俺はアヌスが締まってしまう前に、これまた思い切って、後ろで待ちかまえている巨大ディルドに尻を突きだした。
「ああっ! くっ! くうううぅぅッ!」 鏡の中の女が大きな叫び声を上げるのが聞こえた。
突然、強烈な痛みと、中を最大に満たされる感覚に襲われた。腹が張ってる感じだし、とてつもなく中を広げられてる感じだ。あの触手にやられた時より、自分でこぶしを入れた時より、広げられてる感じだ。
…そして、これが実に堪らなく気持ちいい!
小刻みに尻を後ろに動かす動きを始めた。
「ああぁ! ああぁ! ああぁ! ああぁ!」 動くたびに女が声を上げている。
中が完全にいっぱいになった感じがし、ようやく俺は目を開き、鏡の中を見た。
そこには卑猥極まりない淫乱女がいた。全身汗まみれで、涙をぽろぽろ流し、化粧も乱れている。乱れきった姿ではあるが、純粋に淫欲に浸った表情を浮かべている。アヘ顔って言うのか?
身体を動かすたびに、床を突いている両腕の間、大きな乳房がぶるんぶるんと揺れているのが見える。奥の方でも、巨大な勃起がぶるんぶるんと揺れている。実にエロい。
後ろを振り返り、お尻を見てみたら、驚いた。まだ3分の1くらい残ってるではないか。今でもはちきれんばかりに感じるが、俺は全部入れてしまおうと決めた。
ゆっくりと身体を前に出し、亀頭だけがアヌスに入ってるくらいにした後、思い切って強く後ろに突きだした。尻頬がアーチウェイにぶつかるまで。
「あああぁぁぁッ!……」 顔を歪め、絶叫してる女の顔が見える。
強烈な痛みだ。だが、これがまた気持ちいい…! 感じるぅぅ…!
気づくと、床に射精していた。白いドロドロがびゅっ、びゅっと出ていた。ペニスに触ってもいないのに。
俺は何かにとり憑かれたようになっていた。快感が俺を支配したような感じだ。ただひたすら、身体を後ろに叩きつける動作を繰り返していた。そうするたびに身体の中を限界まで充満される快感に襲われる。
さっきの射精の後、しばらくはペニスは脚の間にだらりとしていたが、すぐにまた血液が集まり始めてる。
また顔を上げて鏡の中を見た。激しく犯されながらも淫らな表情で悶えてる女の姿が見える。俺はその女に下品な言葉を吐きかけた。
「このエロ女め! でかい黒マラを尻に突っ込まれて、よがり狂ってるのか? こんなにイヤラシイことをしてて、喜んでる。とんでもない淫乱だな! ほら、もっとヤッテやろう! もっと激しくズブズブやってやる! 根元まで喰らえ!」
やがて、俺はまたイキそうになっていた。次第にこうして言葉を吐くことすら難しくなっていた。ただ喘ぎ、叫び声を上げるだけになっていた。悶え狂う女の声で。
「ああっ…。ううぅぅぅ……。いいッ!……あああぁぁぁ!! うううっ…!」
睾丸が身体にせり上がってくるのを感じ、俺は両手を床から離し、身体を起こした。尻を突きだし、膝立ちする格好。自分の体重でディルドが最深部まで入った。
両方の手で乳房を握り、背中を反らし、胸を突きだしながら乳首を強くつねった。
その瞬間、電流が全身に走った感じがし、再び射精を開始していた。何発も何発も撃ち出してるようで、床にびちゃっ、びちゃっと落ちる音が繰り返し聞こえた。
こんなに長く射精が続いたことは経験がない。単にペニスをいじってする射精とは全然違う感じがした。もっと身体全体が関わってる感じだった。
乳房や乳首からの快感。腹や太腿がぶるぶる震えてる快感。自分が出してる声だが、性的に極限まで高められ喘ぎ悶える女の声。前立腺からの快感。アヌス、睾丸、ペニスからの快感。それらすべてが同時に身体のいたるところから襲ってくる。
長時間、射精してるはずだが、まだ続いていた。ずっと射精しっぱなしになるのではと思った。あの生物に襲われた時と同じように。
だが、ようやくそれも終わりになった。俺は力尽き、前のめりに突っ伏した。自分が出したスペルマで顔から身体からびちゃびちゃになるのを感じた。突っ伏すと同時に、ディルドがぬちゃっと湿った音を立てて俺から抜けた。
俺はスペルマまみれになったまま、床に横たわっていた。ハアハアと荒い呼吸をしながら。
どの位そうしていただろう。だが、やがてゆっくりとだが体力が戻ってくるのを感じ、俺は立ち上がった。
しかし、立ち上がると同時に、自分の出した白濁でつるりと足を滑らせ、思い切り尻もちをついてしまった。
「アハハ!」
明るい女の笑い声だが、もちろん俺の笑い声だ。俺は笑いながら、這ってスペルマの水溜りから離れ、注意深く立ちあがった。
ディルドを壁から剥がし、キッチンに行って、バイブ式のディルドと一緒にシンクに放り込んだ。そしてペーパータオルを何枚か取って、床についたドロドロを拭き取った。思い切りやった後で性欲も鎮まっていたこともあり、急に汗やスペルマまみれになってるのが気持ち悪くなり、シャワーに飛び込んだ。
身体を洗い流し、熱いシャワーを浴び、気持ち良かった。興奮していて気づかなかったが、ずいぶん裸でいたので、身体が少し冷えていたようだ。
シャワーから出て、タオルで体を拭き、ブラシをしながらドライヤーで髪を乾かした。そして、男の身体の時に使っていたトランクスとTシャツを寝巻代わりに着た。これを着てちょっとだけ昔の自分に戻れたらと期待したからだ。それほど、今の自分は昔の自分から離れてしまったように感じた。今の新しい自分がますます気に入ってきている。
それからカウチに座り、毛布にくるまって映画を観た。以前の俺のお気に入りの「キル・ビル」だ。
映画の感想は前と変わらなかった。最高だ。観るのは5回目だが、最初に観た時と変わらなかった。
映画が終わった後、俺は歯を磨き、裸のままベッドに入った。身体を丸めて横寝になって寝た。大きなペニスや乳房を抱くようにしながら。そして、明日はどんなことが起きるだろうと思いながら眠りに落ちた。
おわり
身体的な移行は驚くほど簡単だった。でも、精神的な移行はそれに比べてずっと難しかった。もはや前の自分には戻ることがないことをきちんと認識すること。それは難しかった。怒りや苦悩を乗り越えるのに、しばらく時間がかかった。どうしたら、以前の自分をすっかり捨てることができるのだろう?
だけど、結局、捨てることなどないと悟るようになった。知的には、以前と全然変わらない自分である。ほとんど同じ仕事をしているのだから。
外見は変わった。そして外見に対する知覚も変わった。自分自身に対する知覚も他の人からの知覚も。感情も変わった。部分的にホルモンのせいもあるだろう。
しかし時間が経つにつれ、全体的に見て、得るものが多く、失うものは少なかったという認識になっていった。チョコレート・サンデーのことを思い出して? 毎日それを食べることができて、しかも飽きがこなくて、さらに全然体重が増えないとしたら?
術後の回復期間が終わり、仕事に復帰した。自分でも素早く気持ちを切り替え、仕事に集中できたことに驚いた。回復期間中、私はCNNとCNBCを見続けた。合衆国の西部地域とカナダで干ばつが続いているというレポートを読んでいた。仕事に復帰するとすぐに、私はテレビに出ていた農民団体と話しをするためフライトの予約を取った。
現地の農民から状況がどれだけ酷いか、じかに聞きとった。企業が所有しているマスコミの甘ったるい報道では分からない現状を掴んだ。その後、早速オフィスに電話し、冬場の小麦の先物取引について、パックマンのごとく買い漁るよう指示した。1ヶ月後、農業省が、干ばつのため生産が20%落ちると発表した。小麦と言う黄金色の収穫物は、私たちには本物の黄金になった。冬場の小麦相場が高騰したからである。
アジアの鳥インフルエンザの流行がどれだけ悪影響を持つか、言いかえれば、このアメリカでの鳥肉の価格にどれだけの影響を与えるか、たいていの人は予想していなかった。だけど、これは実に単純なこと。鳥インフルにより家禽類の数がかなりのパーセントで減るとなれば、中国は感染していないニワトリで自国内の食料をまかなう必要が出てくる。その数は膨大になるだろう。私たちは早速、家禽類の先物を買い漁った。表向きは、私たちが鶏小屋を守るキツネのフリをして見せていたけれど。
端的に言って、中国が風邪をひいたら、世界の他の地域は鼻水を流し始める。だから私たちは先回りしてティッシュー売り場に急いだと。そういうこと。
原油取引はもちろんだけど、このような取引のおかげで、今年は、私たちの会社つまりSTG社にとって過去最高成績の年になった。と言っても、まだ半年も過ぎていないのだけど。
今年は、クリスマスのボーナスは社員の誰もを笑顔でいっぱいしていて、社員はSTGを「サンタさん」と思っている。戦略的トレーディング部門の社員たちは私の本能を不気味だと言っている。トワイライト・ゾーン的なものだと。また、彼らは、まるでランスが社を去っていないようだとも言っていた。ランスは自分のクローンとして私を作りだしたのではないかと言うのだ。どうやってかは知らないけれど。
そういう時、私はただにっこり笑い、素敵なお世辞、ありがとうと言う。そうは言っても、別に彼らをバカにしているつもりはない。実際、私は彼らの何人かと3年は一緒に働いてきているのだから。彼らはただそれを知らないだけだから。
私は先物トレーダーとしてこれだけ成功でき、幸運の星の元に生れたと感謝している。でも、陰謀者の割り出しの仕事については、サム・スペード(
参考)にはなれていない。メモリアル・デイは2週間先に迫っていたけど、陰謀者の割り出しには手術の前から一歩も進展できてないように感じていた。
アンジーと私はファッションショーのリハーサルを繰り返していた。ダイアナはロサンジェルスにいる知り合いの女の子に会いに行っていた。でも、ショーには充分間に合うよう帰ってくると約束してくれた。ダイアナがロスに行ったことについて、ポールはまったく心配していなかった。これまでもいくつもショーに出演してきたベテランのダイアナのことだから、ポールがどうしてほしいと思ってるかダイアナはちゃんと分かっていると自信を持っているようだった。戻ってきた後は、「高速で追い付いてくるはず」と。
CNNとABCのどの世論調査でも、私たちのアンドリューはこの世で一番セクシーな男だと確認されてる。彼の写真は何度も「ピープル」誌の表紙を飾ってる。普通は、ブリトニー・スピアーズか誰か他のセクシーな女と並んで、まるでアンドリューが彼女たちを知ってるかのように挿入されて表紙に載ってる。それに、彼との結婚の申し込みや、それよりずっと下品な申し込みをするメールが毎日送られてくる。
そんな状況なのに、アンドリューは私たちだけを求めてる。野暮で中年妻の私たちだけを。ディアドラも私も嬉し涙を流した。自分たちも知らなかった何か心の奥の琴線に触れることだった。
私たちがアンドリューに対してセットしてきた、この性交渉の時間の間、私たちは一切私情を挟まず、仕事として割り切っている。彼には巧くするよう励まし、女性たちとは仲良く雑談をし、彼女たちが想像すらしてなかった最高のセックスをした後のショックから立ち直らせてあげ、そして、送りだす。
そうやって仕事と割り切ってきたものの、心の奥のどこかでは、これが疑念の種になると思っていたのかもしれない。内心、こういうことを続けて、私たちの夫婦関係にどんな影響があるかと心配していたのではないか。アンドリューはああいう女性たちの方が好きなのではないか。私たちよりずっと美しい女性がたくさんいた。アンドリューは彼女たちの方を気に入るのではないか?
どうして私たちはそんな疑念を持ってしまったのだろう? アンドリューは私たちと出会った瞬間からずっと、心から私たち一筋できていたのだ。
ディ・ディも私も泣いていた。ふたり抱き合って、互いの肩に顔を埋めて泣きあった。そんな私たちを見て、アンドリューはエレを下に降ろした。エレは裏庭へと走った。
裏庭に通じるドアのところでエレがこっちを振り返って言った。
「パパ? ディ・ディママとドニーママがパパのこと欲しがってると思うわ。愛してあげて。そうすればママたち気持ちよくなると思うから」
そしてエレは出て行った。6歳の子なのに、ずっと賢い。
私とディ・ディはふたりとも両腕を広げ、アンドリューを抱きしめた。みんな泣いていた。アンドリューも泣いていた。あの女性たちのこと私たちの間に亀裂を生む可能性があったことなのに、私たちは気づいていなかったなんて!
可哀想なアンドリューは、私たちが求めたのでしかたなく実行していたのだ。決して自分で求めたからではなくて。彼は私たちのためなら何でもするつもりでいるのだ。たとえ、本心に反することであっても。私たちの愛は純粋で永遠に続くものだ。それを改めて知ってとても、とても嬉しい。
突然、アンドリューが私たちの腰に腕をかけた。右腕には私、左腕にはディ・ディ。そうして私たちを洗濯物入れ2つを運ぶようにして抱え、二階に上がった。彼は私たちを求めている。でも場所は寝室で。これから私たちは夫と愛し合うのだ! こんなに幸せだったのはいつだろう? 覚えていない。
「先に行っていいよ」 と俺はバルに言った。実を言うと、板張りの通路を歩く時の彼女の後姿、それにハイヒールによる、コツコツコツという音に催眠術をかけられたような気分になっていたからだ。
すぐ後ろをついて歩いていると、バルは板道の端まできて、そこで立ち止り、蹴るようにして靴を脱いだ。そして手に持っていたビーチサンダルを落とし、そこに足を入れ、腰をかがめてハイヒールを拾い上げた。
そして俺たちは岩陰への砂浜へと進んだ。歩きながら、ふたりとも無言のままだった。砂は足に柔らかく、海から陸へと吹くそよ風が気持よかった。ようやく、岩陰へ着き、バルは立ち止った。
「ここ良い場所ね」 と俺を振り返り、俺の瞳を覗きこむ。
まだピンク色のショートパンツと白いタンクトップの姿でいるバルだ。もちろん俺が見たいのはその中に隠された姿なわけだが。
俺は砂に座り、ココナツオイルの瓶を置き、ブランケットを出した。バルには反対側を持ってもらい、ふたりで広げる。うまく敷き広げ、飛ばないようにした上で、ふたりでそこに横になった。
「私たちがほとんど裸同然で一緒にここで横たわってるのを見たら、トリスタ、何て言うと思う?」
バルはそう言って、ビーチサンダルをブランケットの隅のところ、セクシーなハイヒールの隣に放り投げた。俺も靴を脱ぎ、素早くシャツを捲り上げ、頭から脱いだ。
「バルはトリスタが何と言うと思う?」 と俺は訊き返した。互いの視線が合って、見つめあう形になっていた。
「素敵なカラダしてる……」 とバルは俺の胸板に視線を落として言い、また目を上げて俺を見つめた。
俺は辺りを見回した。波打ち際で行ったり来たりしてる人がふたりほどいたが、他には誰もいなかった。
俺はカットオフ・パンツのボタンを外して、かかとまで降ろした。そして蹴るようにして、素早く脱ぎすて、腹這いになった。
「僕にココナツオイルを塗ってくれる? そうしたら僕も後で君に塗ってあげるから」 大胆にそう告げ、バルにローションの瓶を投げ渡した。
頭を横にし、片頬をブランケットにつけ、腹這いになる。俺は波打ち際で遊ぶ人たちを眺めた。
急にバルが俺の背中にまたがるのを感じた。ココナツオイルの瓶のふたが開けられる音が聞こえる。そして次の瞬間、ひんやりとした液体が背中に垂れてきた。どろっとした感じだ。バルが瓶とタオルを横に置く音が聞こえ、その後、彼女の指が背中に触れるのを感じた。手でローションを肌に擦りこんでくる。
「うーむ…」
バルが本格的に背中全体に擦り込み始めるのを感じ、俺は小さく唸り声を上げた。