 Pride 「プライド」 あたしはプライド月間( 参考)に親近感を感じたことは一度もない。あたしには、あれはずっと前から無意味なエネルギーの無駄遣いとしか思えない。確かに、楽しいパレードがあると面白いと思う。それに、たった1ヶ月の間にせよ、大衆に受け入れられるのが嬉しいというのも理解できる。でも、あれはあたしのためになってるかというと、そういう気持ちにはなれない。 トランスジェンダーの女性として、そういう感覚は珍しいわけではないと思う。たいていの人は理解していないけど、LGBTQ( 参考)のコミュニティにおいても、いまだにかなり性差別的なことがあるのだ。特に、トランスジェンダーのレズビアンとなると、それが顕著に表れる。 単なる通りすがりの人と呼ばれたことがあった。イカサマ師と呼ばれたこともあった。これは、女性を男性のために利用できるよう女性性を破壊する、男尊女卑主義者がよく使う策略だ。日常生活で会う人たちから憎悪の言葉を浴びせかけられてきたけど、それと同じくらい、自分の仲間たちからも憎悪の言葉を浴びせかけられてきた。多分、仲間たちからの方が多いと思う。 最近まで、あたしは、自分が自分自身でいて安心できるはずの場所なのに、そこでは自分が部外者になってると感じていた。それ自体、悲しいことだけど、それは、まともな情報を与えられていない保守主義者たちからの日常的な差別的罵倒よりも悲しいことだった。なぜなら、この人たちの方こそ、ちゃんと知識を備えているはずだったから。あたしのような存在を受け入れることができる人たちと思われていた人たちだったから。ヘイトの言葉が、どれだけ強い力をひとに与えるか、知っているはずと思われていた人たちだったから。でも、その時、あたしは真実を悟ったのだった。 あの人たちは、怯えていただけなのだと。もちろん、あたしに怯えていたわけじゃない。あたしが表すことに怯えていたのだ。あの人たちは、特別と思われたがっていた。自分たちこそ特別だと、自分の立ち位置を求めていたのだと。そんな時、あの人たちはあたしを見た。自分たちの安全な場所に踏み込んできた人間だと認識したのだと思う。それが耐えがたかったのだろうと。それを知った後、あたしはあの人たちのことを気遣うのを止めた。 今、望むことは、いつの日か、あの人たちも、別に壮大な陰謀などないのだと理解することだけ。あたしは別に女性たちの経験をなぞることで女性たちを服従させようとしてるわけじゃない。あたしは単に自分の人生を女性たちのようにして、歩もうとしてるだけ。単に、幸せになりたいだけ。 それこそ、プライド・パレードの本来の意味だったはず。世の中が辛く当たろうとも、幸せになってる人たちがいると。あるいは、あたしがそういうのを見たいだけなのかもしれないけれど。
 Patriot 「愛国者」 「マーサ、あなたに脱帽しなくちゃね。彼、可愛いわ。あなた、本当に彼を上手く調教したわね」 「ありがとう。でも、これからも道は長いわ。今日も、彼はこのパーティにトランクスの水着を着てこようとしたのよ。まるで、そうしたら、そうなるとでも思っていたみたいに」 「まあ、彼、あの日焼けのラインをどうしても見せたいじゃないの?」 「それ、あたしが言ったことなの。でも、近頃、この手の男の子たちがどうなるか知ってるでしょ? すごく些細なことに、いちいち食ってかかるのよ。避けられないんだから、それを受け入れたら、何もかもが、どんだけ楽になるか、あの子たち全然理解しないのよねえ」 「それって、あたしがあたしの男の子たちに言い聞かせていること、そのまんまじゃないの。でも、相変わらず、男らしさがどうのこうのって、口答えするのよねえ。もちろん、無駄な抵抗なのに。最後には、いつも負けちゃうのに」 「今は、彼の胸が大きくなる時を楽しみに待っているだけ。胸が膨らんできたと気づいたときの男の子を見るときほど、すごくスペシャルな時ってないわよね。それがきっかけで、たいていの男の子は落ちるんでしょ?」 「もし落ちなかったら、その時はストラップオンで落とせるわ」 「今夜、どうなるか分かるわ」 「あら、あなた、今夜、彼に初体験を味わわせるの? 7月4日の独立記念日に?」 「そう、花火がバンバン鳴っている時に、彼の処女を奪うの。それがふさわしいと思うから。彼って前は、一生懸命、国旗を振るような愛国者だったから」 「それって,すごいわ、マーサ。本当に頭いい!」 「今夜、忘れられないひと時を得るの。それに、彼も、今夜のことを忘れないと思うわ。処女を失う日になるんだもの」
 Need 「どうしても」 ビューティフルな一日になる兆しが全部そろっていた。お日様は出てるし、小鳥たちがさえずってるし、キャンディスは愛してる男性と一緒にいるし。それに、彼の方も彼女を愛している。この日はパーフェクトになるはずだった。でも、そうはならなかった。そして、キャンディスが秘密を明かすまでは、絶対に、パーフェクトな日になることなどないと思えた。 「お話ししなくちゃいけないことがあるの」とキャンディスは言った。ウッド・デッキで裸で立ち、ブレットの目を真正面から見つめていた。 「どうしたの?」 と彼は顔を近づけながら訊いた。この小屋の絵に描いたような美しい庭などほとんど気にかけていない。 「あたし……あたし、あなたが思っているような人間じゃないの」 「昔のことは関係ないって、ふたりで話し合ったと思うけど? 僕は知ってるよ、君が……」 「そう言うと思ったわ。でも、あたしが話し終わった後、あたしの言ったことを信じてくれるとは思えないの……。ただ、……あたしはあなたにあたしを愛してほしいと思ってるだけ。それがすべてなの。そういうふうには始まらなかったけれど、でも……」 「じゃあ、話すなよ。もし、それが今の僕たちの関係を傷つけるなら、僕は知りたくない」 「でもどうしても話したいの」とキャンディスは続けた。「どうしても話したいの。だからお願い……どうか、話させて」 ブレットは溜息をついた。「いいよ。でも、話しを聞いても、僕が君をどう思ってるかは変わらないからね。君がトランスジェンダーだと言った時も変わらなかったし、それは、これからも変わらないよ」 「あたしはあなたに嘘をついていたの」 突然、キャンディスは言った。「あなたと出会った時からずっと。どうして、あなたがあたしのことが分からなかったのか、今も分からない。でも、あたしは最初からあなたに気づかれる価値がある人間じゃなかったのよ」 そこまで言って、彼女は一度、深呼吸をした。「あたしの名前はジェシー・クレメント。あたしたちは同じ高校に通っていた」 「ジェシー……クレメント?」 ブレットはそう言った後、しばらく黙り、ようやく分かってきたのか、唸り出した。「ああ、なんて……ああ、まさか……ああ……」 「そうなの。もうわかったわね?」 「き、君は死んだと思っていた。みんな、そう思っていた、それに、ぼ、僕は、それは……」 「あなたは、その原因は自分にあったと思っていた。……知ってるわ。それが何か意味があることなら、とっくにあたしが試したわよ。当時、あたしはとても孤独だった。そして、あなたやあなたのお友達は……特に、あたしのような人間に酷いことをしてくれたわよね。あたしは、それから抜け出る道はただ一つだと思った」 ブレットは両手で顔を覆い、周りにも聞こえる声で泣き始めた。「君の死は俺のせいだと思った。お、俺は……あの出来事の後、自分の人生をすっかり変えた。別人になったんだ」 「分かってるわ。本当に。ふたりが出会ったあの夜、あなたを見た時、あたしはあなたに恥をかかせてやろうと思ったの。あなたに何をしようとしてたのか……もう、忘れたわ。でも、あなたは……あなたはすっかり変わっていた。そして、あなたとはとてもうまく付き合っていられたし。だから、交際を止められなくなったの」 「でも、僕たちは君を埋葬したんだよ。僕は君の葬式に出たんだ。そして、その葬式の間、みんなは、ひたすら……ひたすら、みんなで僕を責め続けた。僕は引っ越さなくちゃいけなかった。妹は、いまだに僕と話そうとしない。妹は僕を性差別主義者だと思っている。僕には……何のことか……分からない。どうしてなのか? なぜなのか? なぜ君はあれをしたのか? 何が起きたのか……本当に……分からない。本当に辛かったんだよ、キャンディス。どうしていいか分からなかったんだ」 「分かってる」とキャンディスは言った。「でも、今は……今は、ただ……あたしはあなたと一緒になりたいだけ。あたしたち、あのことを全部忘れることができるんじゃない? あたしは、この通り、前と変わらず女なわけだし」 「僕に話さなければよかったのに。僕に話しちゃいけなかったんだ」 「でも、どうしても離さなくちゃいけなかったの……どうしても」
 Monster 「怪物」 「で、今度は何?」 「どういうこと? これって、あたしたちが、ほぼ2年間、目指してきたことの結果だわ。彼は完成。今度は、彼を使って遊ぶのはどう?」 「それって、これまであたしたちがしてきたことじゃない? あなたが彼にチアリーダのユニフォームを着るように強制したのは、遊びじゃなかった? あたしは、彼に、バスケット・チームの選手たちに輪姦されるのを承諾させたけど、あれって、遊びじゃなかった? おっぱいが膨らんでくるのを見て、がっくり来てる彼を見たときは? その後、彼が、大きな胸を誇りに思うようになってくるのを見たときは? なんて言うか……」 「分かってるわ、サリー。すべきことは全部したと思ってるのよね? 違う?」 「だって、新しいこと、もうないわ。この2年間、あたしたちふたりで、彼を辱めたり、屈辱感を味わわせたりしてきた。ふたりで、彼を完全に女性化してきた。彼の友だちで、今も彼に話しかけようとする人は、ひとりもいなくなったわ。両親にも見放された。元の彼を知ってる人はみんな、彼は奇人だと思ってる。後は、何が残ってるの? あたしとしては、もう、充分かなって」 「あたしは違うわ。長い目で見たら、まだまだ。あいつがしたことに比べたら、全然。あいつは、こういう目にあって当然だし、まだまだ足りないの。ストラップオンで彼をヤるときいつも、あいつ、叫び声上げるけど、その時はいつも思い出してるの。あいつがしたことを。この報いは当然なんだって。その時の、気持ちってすごいわ。すごくパワフルになった気持ちになれる。あいつがアレをした後だと思うとなおさら」 「分かるわ、カーラ。本当に。あの記憶を消し去れたらと思ってるんだけど、できないの。でも、あなたも前を見たら? 彼に死ぬまでこんなことをし続けるなんて、できないわ」 「あら、そう? あいつは報いを受けるべきじゃない?」 「ええ。その通り。それに実際、報いを受けてるし。でも、どのくらいしたら、やりすぎになる? 彼は、もう、壊れてるわ。昔とは別の人間になってる。カラダも、心も、魂も。昔のジェリーは死んでるわよ。どっかにいっている」 「もっと、酷いことをしても当然なのよ」 「そうかも。でも、あなたがこれを続けたら、あなたも、彼と同じレベルの人間になってしまうわよ」 「別にいいわ。もっといい人間になろうなんて思ってないし。良いこと悪いことなんか、どうでもいいの。あたしが大事にしてるのは、自分がコントロールしてるって感じられる小さな瞬間だけ。それがあれば、どーでもいいのよ。それは瞬間だけど、あいつを相手にしてると、その瞬間がどんどん長く持続していくの。あいつに何をさせようかと考えてるときとか。あなたにも分かってくれたらと思うわ。あなたも、そうしたいと思ってるんでしょ? でも、そのためには、あいつのような人を捕まえて、あれこれさせた時の幸福感を経験しないと無理かも……」 「言ってることは分かるわ。あたしも、確かにそう。だから、こうやって手伝ってるわけだし。でも、これ以上は、あたしには無理。彼を見るたび、自分が汚れた感じがするのよ。自分が怪物になったような気がするのよ」 「あたしもそうよ。まさに、そうだから、これを止められないの」
 Magic 「魔法」 あたしはただ幸せになりたかった。それだけ。それがすべて。100万ドルもいらなかったし、有名にもなりたいと思っていなかった。ただ、幸せが欲しかった。そんなわけで、あたしは、あの流れ星に願いをかけた。そんなわけで、あたしは、あの、たったひとつの願いに心も魂も注ぎ込んだ。そして、それゆえ、その願いが実現したのだと思う。 成長時期、あたしは人気者ではなかった。透明人間だった。両親に放置され、同年齢の子供たちには無視され、それ以外の世の中の人たちには、いるのかいないのか分からない存在。世の中の陰に包まれた生活を送っていた。世界中で、あたしが生きてるか死んでるかなど気にする人はひとりりもいないと、確信していた。今から思うと、そんな状態だったから、あの運命の夜、父の持っていた銃を握りながら、自分で、この状態を終わらせるつもりになっていたのだと思う。少なくとも、あの時は、そう思っていた。 銃身を咥えた。思ったより大きかった。それに、思ったより冷たかった。涙が頬を伝い流れるのを感じながら、引き金に親指を引っかけた。本当は死にたくない。生きていたいんだ。幸せになりたいんだ。人を愛し、人に愛されたいんだ。普通の人生を送りたいんだ。ただ、希望する到達点への道が見えず、どうしても、達成できないと思った。だから、あたしは、引き金を引いた。 カチャっ! あの時の音を一生忘れないだろう。金属的な音。それだけ。その音は実際は短い音だったけれど、あたしの心の中、何時間も鳴り響いていた。時々、今でも、あの不発の音が頭の中で聞こえるように思う。あたしは、声に出して泣きながら、ベッドに銃を放り投げた。自分は、何と恐ろしいことをしようとしたんだろう、本当に起きていたら、なんと恐ろしい結果になったのだろうと思い、さめざめと泣いた。 泣きぬれた瞳で、寝室の窓の外に目をやり、星々がきらめく空を見上げた。そして、その壮大さに圧倒された。自分が小さく思えた。すごく、すごくバカバカしいほど小さいと。そして、その時、あれを見たのだった。夜空をサッと走り流れる、針先ほどの小さな光を。 あたしは、迷信を信じる人間だったことは一度もない。そういう類のことを信じない。でも、あの瞬間、あの、夜空を横切る流れ星を目で追った時、あたしは、それまで感じたことがない信心が湧き上がるのを感じた。自然に願いが出てきた。その願いが何を意味するか心の中ではっきり掴んでいないにも関わらず、自然に願いが湧いてきた。 「幸せになれたらいいのに」 そう呟いた。単純な文だったけれど、それまで何百回も口に出していた言葉だった。でも、あの瞬間、どういう訳か分からないけれど、その言葉が突然、何か別の意味を持つように思ったのだった。そして、一瞬にして、あたしは、少し気分が良くなるのを感じた。あの時、後ろを振り返り、ベッドの上に放り投げられている銃を見たのを覚えている。あたしの死を綴ったはずのモノが横たわっているのを。再び、自分がしようとしたことを思い恐れおののいた。そして、あたしは、もう死にたいとは思っていなかった。 その夜、あたしはそれまでと同じように眠りについたけれど、翌朝、目が覚めると、完全に別人になっていた。それが、それまでの人生で願い続けたことが蓄積した結果なのか、前夜の願いの結果なのかは分からない。でも、あたしは、ようやく、暗く深い森から抜け出る道を見つけた気持ちだった。幸福に至る方法が分かったから。 その日の午後、両親の前で自分の姿を見せた。ふたりとも驚いていたのは分かったけれど、あたしが根はトランスジェンダーだったと宣言しても、肩をすくめる程度の反応をする以上にあたしのことを気にかけてくれていたとは思えない。でも、それはどうでもいい。あたしは自分の全人生について、それまでの自分の気持ちをはるかに超えて、自信を持てた気持ちになっていた。 その後の数年で、あたしは、誰しも予想するように、良いことも悪いことも経験した。みんなにからかわれたし、侮辱された。イジメにあったし、殴られもした。でも、変身を続けるにつれ、自分の進む道への確信は、どんどん強くなるばかりだった。自分は女になるべきなのだと思った。後から思うと、そんなこと、自明すぎると言えばそうなのだけれど。 最後には、侮辱はなくなった。あたしは変身を完了し、普通の生活をし始めた。それまでの人生で初めて、幸せになった。あの、何か分からない不思議な力が、あたしに、この道を進ませたと思ってるかどうか、自分でも分からない。あたしは、引き金を引いた。人生を終わらせたかった。でも、あの星を見た後すぐ、人生が好転したのだった。そして、今、あたしは、昔なら夢に見ることすらできなかったほど、幸せでいる。それが、魔法でないなら、いったい何なのか、あたしには分からない。
 69 Long summer 「長い夏」 あたしは写真を長いこと見つめていた。そして見つめている間に、後悔の気持ちが湧き上がってきた。あたしは、この1年間に大きく変わってしまったし、これからも変化していくことを知っている。大学に戻れば、彼が待ち構えているだろう。彼は、あたしをぐいぐい押して、あたしをかつての自分とかけ離れた人間へと変えていくだろう。そして、その点に関して、あたしは彼に感謝している。そういう関係が、あたしと彼の関係の本質。あたしたちはそういう人間。 これはあたしがキャンパスから離れている時は毎日しなくてはいけないことだけど、あたしは自分の写真を彼に送った。送信しながら、未来はどうなっていくのだろうと思った。彼はあたしに、昔の自分なら思いもよらなかったことをいろいろさせるだろうというのは分かってる。でも、その一方で、そういう行動が正確にどういう形を取っていくのかは分からなかった。すでに、これまでのいくつかの学期、あたしは彼に囲われたシシーとして大半の時間を過ごしてきた。ピアス、豊胸、そして貞操ケージ。それらはあたしの新しい人生の象徴。でも、この後には何が来るのだろう? 想像できない。 一度ならず、あたしは人生を変えたあの夜のことを思い出す。すごく興奮していたのを思い出す。大学に入って、学生生活を始めるところだったのに加えて、苦労はしたけど、大学の優秀な男子学生クラブに加入することを認められたのだった。何週間にも渡る後輩イジメに耐え、数えきれないほど何時間も先輩たちのわがままの言うことを聞き、しかも絶対に加入してみせると決意を確かに持っていたおかげで、あたしは完璧と言える位置につけていた。そして、あたしは入会式に出席した。これからの4年間、数えきれないほどのパーティ、可愛い女子学生クラブの女の子たち、それに、一生続くだろう友情を夢見ながら。 もちろん、実際にはそういう展開にはならなかった。そういう未来はあたしの道ではなかったのだった。あたしは別の道を進んでしまったのだった。酩酊しての醜態、間違った選択、そして自制心の低下。夜が終わる頃までには、あたしの将来のご主人様は、あたしを脅迫して従属させるために必要なすべての材料を手に入れていた。その、どのひとつもあたしは覚えていなかったけれど、写真は嘘をつかない。そして、それら写真は、恥辱の話しを物語っていた。そんな類のものが表面化してしまうのを許すわけにはいかなかった。そして、結局あたしは彼が命じることを何でもすることに同意してしまったのだった。 最初は、ただの小さな嫌がらせ程度だった。彼の服を洗濯したりとか、代わりに宿題をしてやったりとか。そういう類のことだった。だけど、2週間ほどすると、あたしの仕事のリストに、彼の体をマッサージすることが加えられた。その次にはシャワーに入って体を洗ってあげることが加わった。シャワーでの体洗いは、すぐに石鹸の泡を使って、手で仕事をしてあげることにつながった。それが、次には、口唇を使っての仕事になり、最後にはセックスへとつながった。各ステップはとても小さな変化のように思えた。すでに手を使ってイカせてるなら、口を使って同じことをするのに何か違いはあるのか、と? あたしの体の別のところを使ってイカせるのに何か問題はあるのか、と? すでに口でするのに慣れていたのだから、下半身のある部分でするのも変わらないだろう、と。自分がどれだけ前とはかけ離れてしまったか、しかも、あんな短時間で。でも、とても容易く、そのような変化を辿れなっていたのだった。 もちろん、胸が膨らみ始めた時……それは朝に飲むスムージーに入れられていたホルモンの結果なのだけど……そうなった時、彼の元から離れ、大学の相談所に行こうかと考えた。でも、あたしはそうしなかった。そもそも、そのような彼によるあたしの改造をやめてほしいと思っていたかどうかも分からない。自分はやめてほしいと思っているのだと思いたかった。だけど、そう思ったからと言って、それが真実なのだとは言えない。結局、あたしは彼に合わせ続け、体にいくつもピアスをつけたり、半恒久的な貞操ケージをつけることに同意したのだった。 写真を見ながら、いくつもの思い出が頭の中にフラッシュした。このような姿になったのを両親が見たらどんな反応をするだろうかと思った。実家に戻ってからのこの1週間、野球帽をかぶって、ダブダブの服を着て、なんとかすべてを隠すことができた。でも、夏休みは長い。いつかは、両親にもあたしの本当の姿がバレるだろうと思っている。 あたしは、1年にもなっていない前に、両親が大学に行くために郷里を離れるのを見送った青年ではなくなっている。もはや、自分は男性と言ってよいのかすら分からない。自分がまだ両親の息子と言えるかどうかも分からないし、何か他の存在になってしまったのかも分からない。 でも、一番悪いことは、あたしが、あたしを苦しめた男を切望しているという事実。彼にあたしの中に入ってほしいと思ってる。思い切り淫らに振る舞うという解放感を味わいたい。思い切り彼を喜ばすという喜びに浸りたい。そして何より、あたしは早く大学に戻りたい。 本当に、この夏休みは長い夏休みになりそうだから。
彼女はすでに男の言うがままになっていた。男が夜が明けるまでと言ったとしても、彼女は同意していたことだろう。 「ええ、ゆっくりやって」と彼女は囁いた。一瞬、夫のことが頭に浮かんだが、意識して心の中から消し去ることにした。 男はニヤリとした。「じゃあ、ちゃんとした形でやろうぜ」 そう言って男は体を起こし、ペニスを引き抜き、ベッドにあった枕をつかんだ。「今はもう、奥さんまんこが俺のちんぽを咥えられるのが分かったからな、がっちりハメあうことにしようぜ」 彼女は素早く尻を持ち上げ、それを受けて枕が尻の下に入れられた。そして再び、男は彼女の中に入った。今度は根元まで一気に挿入した。彼女はその先端が喉奥まで到達したような気がした。 それから5分ほどすぎ、そして10分がすぎた。その間、ずっと男は、ゆっくりとしたペースではあったが出し入れを続けていた。挿しては抜きを繰り返す。時々、突く方向を微妙に変えて楽しんだ。 彼女のほうはすでに両脚を高々と掲げ、男の腰に絡みつけていた。両脚で男の下半身を強く抱きしめている。ふたりの体からは汗がだらだら流れ、シーツを濡らしていた。 そして再び彼女にオーガズムが近づいてくる。今回は、前よりも大きな声を出し始めていた。一時的に夫のことを忘れているためか、彼女の声は「囁き声」のレベルをはるかに超えていた。 「ヤッテ、その大きいので突きまくって。大きくて真っ黒な棒でやりまくって。そう。いいっ、いいっ! いきそうよ。もうすぐ……もうすぐ……いっ……うううぅぅぅ ああっ、すごい。信じられない!」 絶頂に達した人妻を見て、男は大きな笑い声をたてた。彼女は片手で男の背中を、もう片手で男の尻頬を掴んでいた。爪を食い込ませるようにして掴んでる。その爪で血が出てるかもしれないが、男は気にしなかった。絶頂に達し、叫び声をあげる女の声を、キッチンにいる旦那は聞いていることだろう。それが小気味よい。 「哀れな野郎だぜ。あいつ、向こうで地団駄踏んでるだろうな」と心の中で笑った。 男は、彼女の呼吸が元通りに戻るまで待った。それから、再びゆっくりと出し入れをし始めた。そして、彼女の夫に聞こえるくらいの声で語り始めた。 「俺はもう一発、奥さんの中に出すつもりだ。それをやったら、ここから出ていく。奥さんも、もう一回いけそうなら、どっちが先にいくか、競争してみようか?」 とはいえ、これは競争といえるようなものではなかった。というのも、彼女は事実上、ずっとオーガズムが持続しているような状態だったから。 男が射精に向けて本格的に動き始めると、男の睾丸が彼女の尻頬を叩く音が聞こえるようになってきた。男は長いストロークを選び、抜けそうになるほどまで引いては、一気に根元まで突き入れる動きを繰り返した。それに合わせて、彼女には彼の腰がググっとせり上がり、一気に沈み込む様子が見えていた。 男は、ひたすら自分自身の快楽だけを求め、その目的のため、一切無駄な動きをしなかった。だが、それこそが彼女にとって、再び、強烈な絶頂に至るために欲していたことであったし、必要としていたことでもあった。見知らぬ男に好き勝手に体を使われてしまう自分。そのイメージこそ必要としていたのだった。 また、意識的に夫の存在を頭から消すと、喘ぎ声やよがり声はいっそう、長く大きな声になっていった。そして、再び絶頂に達する。これにより彼女はオーガズム競争で男に勝ったわけであるが、そればかりではなかった。少し遅れて、男が、彼女のきゅっきゅっと痙攣する膣肉に締め付けられ、唸り声をあげ、最後の1発を噴射した後、彼女はまたも絶頂に達したのだった。連続して2回、達したのだった。
でも、心配する必要はなかった。あたしの射精の光景を見てたウェンディは、すぐに状態を飲み込んだのか、上半身をあたしの方に傾けてきた。ウェンディは何も言わなかったけど、ジーナも同じようにあたしに寄り添ってきた。 あたしの目の前、たった数センチのところで、あたしのお友だちが、ふたりの美人がキスをし始めてる。こんな淫らで、エッチな光景、今まで見たことがなかった。 最初はただ、唇を押し付けあってるだけだったけど、見てるうちに、ふたりの口から舌が伸びてきて、互いに口の中を探り始める。あたしの出したのを舐めあってるわけ? 見てると、ジーナが手を伸ばしてきて、キスしながらウェンディの片方のおっぱいをにぎった。 えっ、そこまでするの、って思ったけど、その瞬間から、急にふたりのキスは淫らな感じに変わった。ウェンディの舌が出てきて、ジーナの顔面をべろべろ舐め始めてる。あたしが出した精液をぺろぺろ舐めている。それを受けてジーナも、お返しとばかりに、同じようにウェンディの顔を舐め始めた。 すぐに、ふたりとも、互いの顔面をべろべろ舐めあい始めた。あたしが出したのを舐めとっては、ゴクリゴクリと飲み下してる。やがて、ふたりとも顔がキレイに元通りになっていた。元通りと言うか、互いの唾液でテカテカになってる。でも、ふたりの目を見ると、ふたりとも、もっと欲しがってるのが明らかだった。 あたしはジーナのおちんちんを握っていた右手を離し、その人差し指をおへそに当てた。そこから胸の谷間まで、その指先でゆっくりとなぞり上げた。指が辿った後に、きれいになった肌の細い線ができた。そして指には、あたしたちが出したドロドロが全部混じって、ドロッとした大きな塊がくっついていた。左右にいるジーナとウェンディが、そのあたしの指を目で追っているのを知りつつ、あたしは、指をペロペロ・キャンディを舐めるようにして口の中に入れた。 口に入れた瞬間、美味しくて死にそうになった。あたしたち3人のそれぞれ異なったエッセンスの味が、一回で、全部味わえる感じ。ウェンディのは可愛くて大胆な感じの味、ジーナのは風味豊かで他の味を補う味わいがある。そして、あたしのはと言うと、ただひたすら淫猥な味。3種類が揃って、完璧と言えた。 あたしの行為を見て、ウェンディとジーナはヒントを受け取ったようだった。すぐにふたりともあたしの体に顔を寄せてきた。ふたりの舌があたしのお腹や胸を這いまわるのを感じる。ふたりが精液のドロドロを吸い取ってるのを感じたし、ふたりの首を見ると、喉の筋肉が収縮を繰り返していて、口の取り込んだものを飲み下しているのが見えた。 そして、しばらくそれを続けた後、ふたりは再び唇を重ねた。今回は、ふたりは舌を互いの口の中に入れあって、口に含んだモノをやり取りしているようにしてるのが見えた。そして、それを繰り返す間、精液と唾液がキスしあうふたりの口の間からポタポタと滴り落ちるのも見えた。すると、最初にウェンディが自分の口に入れたものを全部、ジーナの口の中に送り込むのが見えた。口の中を空っぽにするためだと思う。 「ジーナ? 私たち強欲になってると思うの」とウェンディは誘惑するような声で言った。「分かち合うべきじゃないかなって……」 そう言ってウェンディはあたしの顔を見た。ジーナもあたしに目を向けた。 その瞬間、もはや躊躇う雰囲気は消え去っていた。ジーナの顔は、いまだスペルマと唾液で覆われていたけど、そのまま、顔をあたしに近づけてくる。ムッとしたセックスの匂いが彼女の顔から漂ってきた。そして、彼女の唇があたしの唇に触れた。 最初は、普通の優しいキスだったけれど、彼女の舌があたしの唇を割って中に入ろうとするのを感じた。唇を開いて彼女の舌を受け入れると、急に、スペルマと唾液とちょっとだけミルクまでが大波となって口の中に流れ込んできた。ジーナは舌であたしの口の中をぐるぐるかき回して、いろんなフレーバーを味わわせてくれる。それに彼女が片手であたしの乳房を握るのも感じた。あたしたちふたりがキスしあってる間も、ウェンディがあたしの体からスペルマを吸い取ってるのを感じる。
実際、夫の想像はそれほど外れているわけではない。もっとも、上になって擦りあう動きをしてるのが彼の妻の方であることは、夫の想像を超えていたが。 彼女は男の上にのしかかり、上下にストロークするたびに、ますます興奮の度合いを増していた。ただ、上に乗ってるのが彼女であるにしても、彼女は、正確に言って、今、レ〇プされているところなのであった。 それにもかかわらず、彼女は、男の巨大なペニスに陰部の内壁を最大に広げられ、擦りたてられている間、魅惑的なほどエロティックな感情が湧き上がってくることを無視することはできなかった。この男を憎みたかった。乱入者であり、泥棒であり、レ〇ピストである、この男。だが、彼女は20年もの間、家に忍び込んできた見知らぬ男に、表面的には強要されてセックスしてしまうことを待ち望んでいたのだった。そして、その男が今、ここにいる。 もちろん、彼女の夢の中では、これまでずっと、その男は白人だった。だが、どういうことか分からないが、すでに彼女には分かっていた。これから先、同じ夢を見るとしたら、その男は白人ではないだろうと。 寝室から聞こえてくる音が柔らかみを帯びたものに変わっていた。彼の妻が悶え泣きの声に変わっていたからだった。妻が取っている体位は、夫が想像している情景とは正反対ではあったが、妻が思い、感じてることに関して言えば、夫の想像は外れてはいなかった。彼女は上下運動を続け、もうすぐ、あの境地に達しそうになっていた。もうすぐ、達する。もうすぐ。 その点に関しては、ぼろ某も同じだった。そしてふたりは、ほとんど同時に、オーガズムに達したのだった。泥棒の方がほんの数秒、彼女より早かった。彼のペニスは強力な噴射を始め、彼女の中に撃ち込んだ。次々と実弾が彼女の中に撃ち込まれ、彼女の中をドロドロで満たしていった。そこはすでに彼女が分泌していた粘液でダラダラになっていたのではあるが。 射精を受けて彼女は「うぅっ」と唸り、これまでになく速く腰を動かし、そして絶頂を迎えた。その間、男のペニスは射精を終えた後にもかかわらず、固さを保ったままだった。そして絶頂を終えた彼女は、力尽きたように男の体の上に覆いかぶさり、ハアハアと喘いだ。生まれてこの方、最も強烈なオーガズムを経験した後の余韻に浸る彼女の肌は、汗でキラキラ輝いていた。 ようやく呼吸が平常に戻ると、彼女は男の上から転がるようにして離れた。涙が両頬を伝って流れている。熱のこもった性交を終えた彼女は、急に、自分がしたことを恥ずかしく思い、悔やみ始めたのだった。体をシーツで覆い隠す。こんなことをしたと知ったら、夫は永遠に、この事実から立ち直ることはできないかもしれない。夫は、自分が出した声を聞いていたに違いない。 「奥さん、俺はまだ仕上げをしてもらってねえぜ」 男はそう言って、立ち上がった。彼のペニスは、いまだ、まっすぐに立ってこっちを向いている。 「奥さんの出した液でベタベタしてるんだ。ちょっとキレイにしてくれ。そうしたら、俺は出て行く」 男はそう言いながら、ベッドの横に立った。半立ちとは言え、夫のより固いペニスが彼女の唇の数センチ先にいて、彼女を睨み付けていた。「キレイにする」で男が何を意味してるかは明らかだった。 彼女としては、それをすることは別に構わなかった。体を反転させ、片方の肘で体を支えながら、両手で男のペニスを握った。目を閉じ、男の分身を口へと導いた。だが、口に入れ、舌で亀頭部分のシルクのようなツルツルの肌をさすり始めると、なぜか、急に再び興奮してくるのを感じたのだった。 「その調子だ、いいぞ、奥さん。頭のところを舌でねぶって、液を全部キレイにするんだぞ」 男は言葉こそ乱暴だが、態度はすっかり優しくなっていた。彼女が残ってるものを吸い取ろうと、自分から吸い始めると、男は両手で彼女の顔を優しく愛撫して励ました。彼女は男の肉茎を握り、ゆっくりと上下させ、ミルク絞りの動きをした。実際、男はまだ蓄えていて、しごきだすとスプーンひとつ分くらい出てきた。彼女はそれを飲み下し、かすかに体を震わせた。 彼女はさらにミルク絞りを続けたが、やり慣れたことでもないし、つつましいやり方だったからか、彼女の手では、男に「出しきった」という感覚を与えるまでには至らなかった。むしろ、その逆の効果が起きてしまったのだった。何秒も経たぬうちに男は再び最大に勃起してしまったのだった。彼女は片手でしごき続けつつ、亀頭から口を離した。 彼女が完全勃起状態の時の男の一物に手で触れたのは、実際、その時が初めてだった。その固さ、重量感、そして大きさに、彼女は畏敬とも言える表情を浮かべた。あるいは、こんな代物を自分はあそこに受け入れたのかと信じられないと言う表情だったのかもしれない。 「いいぞ、奥さん。奥さん、もっと欲しいんだろ? 俺には分かるぜ。だったら、仰向けになれよ。もう一回だけ、軽く一発やるから。奥さんは俺のちんぽの相手ができると分かった以上、奥さんは、ただ仰向けに寝てればいい。俺が仕事をやる」 男は彼女をベッドに押し倒した。だが、彼女は楽しんでしまった自分に罪悪感を感じたからか、抵抗し始めた。 「だ、ダメ。私は、ただ、……私が舐めて、あんたが喜べば、すぐに私たちの家から出て行くと思って、そうしたのよ。別に、もう一回してもらうために、したわけじゃないんだから!」 「もう遅いよ、奥さん。奥さんがもう一度やりたがってるってのは俺には分かってるんだ。だから、俺が奥さんをもう一回ヤルから、その間、おとなしくしてることだな。すぐに済ませるぜ。奥さんがもう一度、イキたいって言うなら話は別だけどな」 彼女は、口では抵抗していたが、なぜか脚がすぐに広がって男を再び迎え入れる姿勢になっていた。正常位でこの男にされるのを期待してか、両手を股間に持っていき、ペニスを掴み、アソコへと導いた。男が侵入を始めると、彼女は再び淫らな声を上げた。 この時の声は、明らかに喜びの声だった。すでにあそこは広げられたままだったし、男の精液ですっかり潤っていたからである。もっと男が入りやすいようにと、彼女は股間を押しつけた。その時、彼女は目を大きく開けて男を見つめていたが、その表情は恐怖によるものに見えるかもしれないが、実際は、興奮による表情だった。 驚いたことに、今回は、あまり苦痛もなく男を受け入れることができ、男は、たった2回、ストロークするだけで根元まで挿入したのだった。 4回目のストロークの時には、彼女は両腕、両脚で男の体を包んでいた。目を閉じたまま、男の突きに合わせて、腰をぐいっぐいっと突き上げていた。男はゆっくりと、根元から先端までを使うストロークを選んだ。それを知って彼女は笑顔になっていた。もちろん、その笑顔を男は見逃さなかった。 「奥さん、また燃えてきたな。ゆっくり時間かけて楽しみたいんじゃねえのか?」
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