「彼女、これ、したことないんだね」
彼は私を見ながら、ベスに話しかけていた。私は何も言わなかったし、それはベスも同じだった。沈黙の後、ようやく彼が言葉を続けた。
「こっちへ来て。ここに来るんだよ」
彼は椅子に座ったまま、自分の太もものところを軽く叩いて見せていた。私はじっと見つめているだけ。ジェフもベスも私を見ていた。
「さあ」 ちょっと笑って言う。「君は今日、10歳になったばかりってことにするよ」
「わ・・・私・・・」
私はそう言いかけて、やめてしまった。ベスの顔を見た。彼女も私を見ていた。一言も言わずに、じっと私の目を見ている。彼女は私がジェフの膝の上にうつぶせに横たわるのを期待している。そんな感触は確かにあった。とても変な感じだった。彼女もジェフも、期待しながら私を見ている。私は、言われた通りにしない方がまるでバカのような気持にさせられていた。
私は従った。ジェフの膝に覆いかぶさった。その姿勢で、床とジェフリーの靴を見ていた。そして、よく知りもしないこの男が私にスパンキングするのを待っていた。自分からこんな姿勢を取るとは、一番考えていなかったこと。それを私自身がしている。
「心配しなくていいよ。悪くないと思うから」
そして彼は行った。私を叩いた。叩く音が聞こえたし、痛みを感じた。彼は非常に強く叩くことはしなかったし、実際、思ったほど痛くはなかった。そして、彼はもう一度、叩いた。さらにもっと。私は黙って数を数えていた。確かに10回。彼は10回目でやめ、私を立たせた。私は2人を見ながら、ただ突っ立っていた。2人は何も言わなかった。
ベスがスカートの中に手を入れ、下着を降ろし、足をけって脱ぎ捨てた。それから、私と同じように、ジェフリーの膝の上に横たわった。
「ええっと、君は確か22歳だったね?」
ジェフはベスのスカートを捲りあげた。彼女のお尻がすっかり露わにされた。私は心臓が喉から飛び出てきそうな感じだった。私のときは、彼は服の上からスパンキングをした。だが、いま彼はズボンのベルトを引き抜き、それを折って、2重にしている。そして、それを使ってベスにスパンキングをした。強く。ベスが息をこらえるのが聞こえた。それでも彼女は少しも声を出したりはしない。彼は休みを設けなかった。何度も繰り返し強く叩き続けた。ベスはただ顔を下にして横になったまま、じっと耐えていた。ジェフは、私を叩いたときより、ずっと強く彼女を叩いていたのは、見ているだけではっきり分かった。
「テレサとべバリーの分かち合い」 Theresa and Beverly Share The Warthog
昨夜の出来事をいまだに信じられない。もう日曜の朝で、太陽が出てから2時間ほど経っている。僕と妻のべバリーは、僕たちの新しい友達、テレサとクレイグと別れの挨拶をした。昨夜、僕たち4人は人生で最高のひと時を過ごした。この経験、僕たち4人の誰も、すぐに忘れることなどないと思う。僕は、思い出すときの手助けとするため、昨夜の出来事を書き留めることにした。その物語がこれである。
ベブと僕は、友達から、近接する都市に、古いがナイスなバーがあると聞いていた。確かに古い店だったが、小ぎれいに維持されているところだった。僕たちは前もって電話をして、バーの上の階にある1室を借りる予約を入れていた。そうすれば、家に運転して帰る面倒を気にせずに、思う存分、飲んで楽しみ、酔ったら、そのまま寝てしまえるからである。僕たちは土曜の午後、早い時間に到着し、借りた部屋に入った。リッツホテルでないのは確かだが、悪くはない。この部屋の目的に十分かなった部屋だった。
着替えを済まし、僕たちは階下のバーへ向かった。ベブは、下はジーンズ、トップは体を程よくぴっちり包むブラウスとデニムのベストを着ていた。かなりセクシーで、バーに入るなり、早速、何人かに振り返られていた。この店はカントリー音楽を出し物にしている。すでにパーティは始まっていた。僕たちは席に着き、飲み物をオーダーした。ダンスをしたい気持になった僕は、ベブを引っ張るようにして席から立たせた。彼女はダンス好きというわけではないが、とにかく僕の求めに応じてくれた。速いテンポの曲を2曲ほど踊った後、僕たちは席に戻って休み、ドリンクを飲み干した。
僕がテレサのことに気がついたのは、2杯目のドリンクが運ばれてきた後である。その時、ベブが別の方向を見ていたのは、幸いだった。僕は、誰かセクシーな女性がいて、その人をチェックしているところをベブに見咎められるのが嫌いだ。そして、テレサは確かにセクシーな女性だったのである。彼女とクレイグは僕たちの隣の席に座っていた。その時点では、僕にはクレイグについて語ることは何もない。というのも、僕の関心はもっぱらテレサに向けられていたから。彼女はタイトなジーンズを着て、セクシーな皮ブーツを履いていた。トップの赤いブラウスも同じくセクシーで、ボタンを外した黒皮ジャケットの中から、胸のところがせり出ていた。
テレサの体型はベブの体型に良く似ていた。ベブは、96C-73-94である。2人とも背が高い方で、バストもなかなかだ。だが、お尻の部分ではテレサがベブより僅差で上回っていると言えた。確かにベブは素晴らしいヒップをしているが、テレサのは、あのタイトなジーンズに包まれていると、まるで磁石そのもので、触って欲しいとおねだりしているように見えた。僕は彼女の愛らしい顔も見続けていた。ハッと息を呑むような青い瞳とダークな茶髪が素晴らしい。彼女と対照的に、僕の自慢の美人妻は茶色の瞳とブロンドの髪である。
「彼女、可愛いわね」 ベブが囁いた。
ちぇっ! またチェックされた! 僕はそう思った。かすかに顔を赤らめながら、ベブの方に向き直り、返事した。
「うん、そうだね」 気持を立て直しながら続ける。「君と同じくらい可愛いと言えるかな」
ベブは、僕が少し大げさに褒めたてているのを知りつつ、微笑んだ。「あなた、きっと、あのジーンズの中に何が隠れているかチェックしたいって思ってるんでしょ?」
僕はショックを受けた顔をしてベブを見て、おどけた身振りをして見せた。 「え、誰? 僕が?」
「ふん! それはそれでいいわよ。あなたが彼女といちゃついてる間、私は私で、彼女の彼氏の脚の間にどんなのが隠れているか探ってるだろうから」
僕は、僕の素敵なレディに笑い顔を見せた。彼女は、僕を笑わせるためにどんなことを言うべきか、しっかり心得ている。テレサを見ていたのを見咎められたことには気分を害していたが、彼女はそれをちょっとした遊びに変えてくれた。ベブがこういう遊びをするのは、この時が初めてではない。僕は、ベブが非常に積極的な女性で、気に入った男なら誰でも、その魅力で魔法のようにズボンを脱ぎたくさせる力があるというのを知っている。それに、どうやら、彼女はクレイグの外見を気に入っているようだった。僕は僕のライバル男にちらりと視線を移し、彼の姿をチェックしてみた。僕より少し背が高いという点を除くと、体型はほとんど同じだったし、口ひげとあごひげを生やしている点でも同じだった。
スティーブは、歯科医のアシスタントに名前を呼ばれ、返事した。立ち上がって歩き、アシスタントの女性が言う言葉に微笑み、椅子に座り、首の周りに紙の前掛けをつけられながら、静かに待った。彼は、歯科クリニックのスタッフの言うことを聞いていたし、協力的に振舞っているようには見えるが、実際には、その場にいないようなものだった。
スティーブの記憶の中でも、今回の歯穴の補填治療は、最も痛みが少ないものだった。文字通り、何も感じていなかったといってよい。ウィリス医師は、横倒しにしていた椅子を元に立て直した。その時までに、すでにスティーブの心の中に生まれた氷の塊は、明らかに、その場所に永住することを決めていた。
自動人形のように動きながら、スティーブはエレベータで下の駐車場へ降りた。だが、どこに自分のピックアップ・トラックを駐車したのか思い出せない。広い駐車場を歩き回り、車の並びのほとんどすべてを調べて周った。そして、ようやく自分の車を見つける。
大型の黒いラム・チャージャー(
参考)に乗り込んだ。エンジンをかけず、かといって、何も考えず、ただ運転席に座っていた。だが、やがて、ようやくエンジンをかける力を搾り出す。エンジンがかかった後、1分から2分もの長い間、排気音の轟音が轟き続けていた。気がつくと、彼はアクセルを目いっぱい踏み続けていたのだった。耳を塞ぎたくなるような轟音である。その音は、屋内駐車場や通路のコンクリートの壁に反響し続けていた。
この車は5年前の車である。元々の持ち主は、最初のエンジンをダメにしてしまった。そして、その後より大きくパワフルなエンジンを載せ変え、さらに微調整を行って、以前よりさらに大きな馬力を出せるように改造していた。さらに、エンジンパワーの増量に見合うように、過酷な使用に耐えるサスペンションを付け替えたのだが、その直後、彼は脳卒中で倒れてしまったのである。スティーブは、その車を安価で手に入れた。元オーナーの未亡人が、どうしても、この車を処分したかった。亡くなった夫のことを思い出させるものを身近に置いておきたくなかったからである。
バックミラーを見ると、通路の向こう側にある高級車に乗り込もうとしている男が見えた。怒った顔で、スティーブに1本指で挨拶し(
参考)、走り去った。スティーブは、ようやく自分がしていたことを悟り、意識をはっきり持って足をアクセルペダルから外した。何をするのも、腹立たしいほど疲労を伴った。彼の周り、世界が吹き飛んだような気がした。何もかも分からない。惨めさと怒りと痛みの大海にたった一人で漂っているような気がした。
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だが、こうなる予感はあった。例のクリスマス・パーティは、注意を喚起する出来事だったのだ。もっとも、あのパーティの前からすでに、バーバラが自分と距離を置こうとしているのを感じていた。そしてあのパーティとその後の口論。あの後、スティーブは、妻に自分がどれだけ愛しているかを示す努力を倍増させたと言ってよい。彼は何度か、バーバラの車のダッシュボードに、小さな贈り物を置いた。彼女が好きな香水が入った可愛い小瓶などをダッシュボードに置いておき、バーバラが仕事に行く前に見つけてもらおうとしたのである。それに、バーバラの会社が特に忙しくなる週など、その週の半ばに、彼女の職場にデイジーの花束を生けた花瓶を送ったこともあった。彼女への愛と献身を誓うメッセージを書いたEメール・グリーティングを送ったこともあった。スティーブは、思いつく限りの方法を用いて、妻との距離を狭めようと努力した。だが、その何も上手くはいかなかった。