ジャネットは、クリスの話を聞きながら、興奮が高まってくるのを感じていた。
「それで・・・クリス? あなたは、今も、夜になると、私のことを思いながら自慰を続けているの?」
「え?・・・困ります、そういう質問は・・・」
「で、どうなの?」
「ええ・・・続けています」
ジャネットは、心臓が高鳴るのを感じた。その鼓動の速さに、過呼吸になるのではと恐れた。荒い呼吸にかすれた声で言った。
「見せて」
「え?」 クリスは、何か聞き違えたと思った。
「自慰をして見せて。見たいから」 努めて落ち着いた声になるようにしてじゃネットは言った。
「できません・・・そんなことをここでは・・・」 クリスは、依然としてジャネットが本気で言っているとは思えなかった。
「いえ、できるわ」
ジャネットはデスクの上を片付け始めた。デスクをきれいにすると、椅子に深々と座った。クリスが動こうとしないと、ジャネットは彼を睨みつけて言った。
「臆病ね! やってみなさいよ!」
クリスの心臓も高鳴っていた。
わかったよ! はったりに決まってる!
そう思いながら、クリスはゆっくり立ち上がった。そろそろ、止めるはずだと思いながら、ベルトのバックルを外し始める。ジャネットが「そこまで」と言うのを待ちながら、ジーンズのボタンを外した。ジャネットは何も言わない。クリスは振り返って、オフィスのドアを見た。
「鍵がかかってるわ」
ジャネットは、質問を察し、答えた。
ええ!? 本気なのか!
両手を震わせながら、ゆっくりとジッパーを降ろした。ズボンの中、ペニスが痛いほどになってるのを感じた。中のトランクスに手を入れ、固く勃起した肉茎を握った。ジャネットが止めさせるのを待ちながら、額に汗がにじみ出てくるのを感じた。
「ズボンを降ろしなさい」
ジャネットは、平然とした調子で言った。だが、声は普段より上ずっていた。彼女の腰は、椅子の上、かすかに前後に動き始めていた。注意して見れば、気づく程度の動きだったが。ぷっくりした唇が興奮のため震えていた。このようなことは止めなければとは分かっていたが、興奮が理性をはるかに上回っていた。
分かったよ! これでどうだ!
クリスは心の中で叫びながら、ジーンズと下着を一緒に降ろし始めた。降りていく下着の中から、突然、彼の勃起が飛び出した。
「まあ!」
ジャネットは、クリスの勃起を見て、思わず、声を漏らした。ヒクヒクと脈動している。何より、その大きさにジャネットは驚いた。長く、太い。大きな薄紫色の頭部。男性の性器をたくさん見てきたわけではないが、これまで見知っているものよりも大きいのは確かだった。
「あら、ちょっとやり方のポイントを教えてあげてもいいわよ」
「でも、私たちのハネムーンには間に合わないわ」
彼女は少し考えている様子だった。「じゃあ、今夜はどう?」
「でも、今夜はパーティがあるんでしょう?」
「パーティの後よ。10時ごろ。私、あまり遅くまでいないの。遅くなると、いろいろ乱れてくるから」
多分、私は、この話に乗ることに決めた顔つきをしていたに違いない。私を見ながら、タマラは続けた。
「あなたの家の住所を教えて。帰る途中で、あなたのところに立ち寄るから」
結局、彼女に住所を教えた。タマラが出て行った後、私は、この出来事についてじっくり考えた。ジェフがこんなお楽しみを許すことで、自分が、寛大で現代的な女性になったような気がした。それに、彼との関係のことを考え、ちょっとワイルドなことをしようとしている。私は、自分の家に戻り、タマラが来るのを待った。結婚式を控えているのに、他のことが何も考えられなくなっていた。
ちょうど10時になる頃、タマラがやってきた。同じ服装で、同じ、手提げバッグを持っていた。ちょっとおしゃべりをしたが、タマラは、私に、ダンスをして見せてと言った。
「あなたがしたようなこと、全然できないわ」
「うーん、少し、肩をほぐさなくちゃダメよ。何か、アルコール類はない?」
冷蔵庫に、栓を開けたワインが残っていた。
2人でキッチンに行き、ワインを出した。タマラは、グラスを断り、ボトルごと私に渡した。ラッパ飲みするように言う。お酒をラッパ飲みすること自体、私にはまったく馴染みのないこと。でも、何か得るためには、気持ちをリラックスさせなければいけないように思い、やってみた。タマラもラッパ飲みして、また私にボトルを渡し、もう一口、飲むように言った。2回目のときは、少ししか躊躇しなかった。
リビングに戻るとタマラが訊いた。
「何か、特に覚えたい動きとかある?」
「どんな動きがあったか忘れちゃったわ」
「じゃあ、もう一度、踊るから、よく見て、考えてね」
タマラはラジカセを出し、カセットを入れ、再びダンスを始めた。2度目なのに、このときも私は、彼女のダンスの上手さ、セクシーさ、動きの的確さに圧倒された。こんな風にジェフにも踊ってあげたんだと思ったら、急に不安になった。でも、私は何を不安に感じてたのだろう?
「また、手錠を嵌めてくれる?」
心の中の何かが私に、そう言わせた・・・それが何かは今も分からない。
タマラの目が光ったような気がした。軽く微笑むのが見えた。彼女は音楽を止め、バッグのところに行き、手錠を取り出した。そして私のところに来て、椅子に手錠で拘束した。それから、またバッグのところに行き、別のカセットテープを出した。私の家にあるステレオを見つけ、それにテープを入れた。