メールが来てないかネットにログインし、メール・ボックスを開けてみたが、驚いたことに、ステファニからもミセス・グラフからもメールが来てない。俺はログオフして、部屋を出た。
家から出てカギを締め、車に乗った。早速、ブラッドの家に向かう。車を走らせながら、ステファニがいくらカネを用意してるだろうかと考えた。すぐにブラッドの家に着き、車を家の前に止めた。
エンジンを切り、深呼吸し、ミラーで自分の顔をチェックし、車を出た。玄関前のポーチへと進み、ベルを鳴らした。
「よお、ジャスティン」 とブラッドがドアを開けながら俺に声をかけた。
「やあ」 と俺は家の中に入り、ドアを閉めた。
「おやじさんの車で来たのか?」
ふたりでキッチンを進み、ステファニの横を通り過ぎ、小部屋に向かいながら、ブラッドが訊いた。
「ああ、今は俺の車だけどな」 と俺はソファに腰を降ろした。
「おやじさんに車を譲ってもらったのか?」 とブラッドは野球ゲームのスイッチを入れながら訊いた。
「ああ」
とりあえず、ステファニとふたりっきりになるチャンスが欲しい。
「あんまりゲームばかりしてちゃダメよ」 と遠くからステファニが声をかけた。「夕食はもうすぐよ」
「ジャスティンも一緒に食べていい?」 とブラッドが叫んだ。
返事がなかった。ステファニは俺にここにいてほしくないのだろう。ずっと沈黙が続いた後、ブラッドの父親が小部屋に顔を出した。
「ジャスティンならウチの夕食にいつでも大歓迎だよ」 とブラッドの父親は言い、キッチンへと姿を消した。
俺はニヤリと微笑みながら立ちあがり、ブラッドと一緒にキッチンに入った。入るとすぐに、ステファニは俺の顔を見た。
ステファニは、カットオフ(
参考)を履いていてビックリするほど色っぽい。白いシャツのおかげでほど良く焼けた肌がコントラストをなして綺麗に見えたし、あの胸の谷間もよく見える。すでにシャツの下に尖った乳首が見えていた。この後なにが起きるかステファニは予感している証拠だ。
みんなでダイニング・テーブルの席に着いた。俺はブラッドの母親の一挙手一投足を見続けた。彼女は最後の料理をテーブルに置くと、俺の真向かいの席に腰を降ろした。
食べてる間、基本的に誰もおしゃべりをしなかった。ステファニは非常にそわそわしているようで、しょっちゅう、みんなにチラチラ視線を向けていた。特に俺を気にしていた。ある時、あまり長い間、俺のところを見ている時があったので、俺はニヤリと邪悪そうな笑みを浮かべて見せてやった。ステファニは不安そうに周りを見回した後、俺の方に視線を戻し、ゆっくりと顔を左右に振った。「ヤメテ」と言おうとしてるのだろう。
俺はニヤニヤしながら、ズボンのポケットのあたりを触った。ポケットの中には小さなリモコンが入ってる。ステファニは、食べ物を噛みながら、俺の動作を見続けていた。
スピーカーからDJの声が流れた。
「ウワーオ! ここマックスでは普通のことだが、ワイルドなことが起きるものだ! 酒で喉の渇きを癒そう! それに女の子にチップをやるのも忘れないでくれよな! この様子だと、どうやら、ウチのATMに行って軍資金の補給をしなきゃなさそうだな。次の登場はボニーだ! テキサス出身の官能的な新人だ。ではボニーに盛大な拍手を!」
あたしは顔を覆っていた手を降ろし、周りを見回した。フランクがじっとあたしを見ている。フランクばかりでなく変態どもみんなもあたしを見ていた。フランクはあたしの唇のあたりに視線を向けていた。この男が何を考えているかあたしにも分かるわ。彼はあたしに顔を寄せてきた。
「自分の娘にも今みたいに舐めてやってるのか、ケイト? クリスティのあそこをあんなふうに?」
あたしは反射的に彼の頬を叩こうとした。だけど、手をつかまれてしまった。
「絶対そうだな。俺には分かる。旦那が寝た後、寝室からこっそり出て、娘の寝室に忍び込み、舐めてやってるんだろう。さっきのステージの女みたいによがり声を出させてるんだろう。俺には分かるぜ」
今にも殺しそうな目でフランクを睨みつけたけど、フランクはただ笑うばかりだった。
「おっと、写真のこと忘れちゃダメだぜ、ケイト」 とフランクは囁き、あたしの手を離した。
フランクは立ちあがり、あたしにも同じように立つよう合図した。指示通りに立ちあがった。その時になって気づいたけど、スカートが腰のところまで捲り上がってて、パンティにはお札がたくさん差し込まれていた。ああ、なんてこと! あたし、チップをもらってたということ? まるでストリッパーみたいにチップを受けていたということ? どうしていいか分からないので、あそこを隠そうとスカートを降ろそうとした。でもフランクに止められた。
「そのままにしておけよ。どうせ、すぐに脱ぐことになるんだし。それにお前が俺のためにどれだけ稼いだか、みんなにも見てほしいしな」
フランクの言葉を聞いて、自分が安っぽい女になった気がして、腹が立った。でも、同時に、興奮もした。どうして興奮しちゃうの? あたし…女の人のあそこを舐めてお金を稼いだのよ! ああ、どうして、それでこんなに興奮しちゃってるの? 今はダメ。エッチな気分になりたくないわ! 少なくとも今はイヤ。この男のためにそうなるのはイヤ!
不満を感じながら、席へと歩いた。スカートは捲れたまま、濡れたパンティも股間に食い込ませたまま、歩いた。一歩一歩あるくあたしを男たちがじっと見ていた。疑いようのない目つきで。あたしは席につき、次に何が起こるのか待った。この店には公衆電話があるはず。これ以上、事態が悪化する前にクリスティに電話をしなきゃ!
ふと、レイブンがあたしたちの方へ歩いてくるのに気がついた。彼女、あたしを見て、あたしの露わになってる腰のあたりに目を落とした。変態どものひとりが椅子を引っぱって、あたしの隣に置いた。レイブンはそれに座った。ブラとパンティだけの姿。あたしの方に寄り添い、腕をあたしに回して抱き寄せる。
「うーん、あなた、いい肌してるわね」 と彼女はあたしに囁いて、すぐにフランクへ目を向けた。
また、この人の匂いがした。あそこの匂い。とても甘い香りで、これを嗅ぐと狂っちゃいそうになる。
「フランク? この人を連れて来てくれてありがとう。さっきみたいなこと、この数ヶ月、なかったことなのよ」 とレイブンは笑った。
「分かってるって。最後に俺がここに来た時も、同じようになったよな。でも言わせてもらえれば、この前の女より、この女の方がずっと上手だったろ?」
この場にあたしがいるのに、さっきの変態行為についておしゃべりして笑ってる。まるで、あたしが、能なしでカラダだけの女みたいに。でも自分でも驚いたけど、あたしはただ黙って話しを聞いていた。
「ええ、彼女、最高だったわ。舌がヌルヌル這う蛇みたいで、私もワイルドになっちゃった」
レイブンはそう言いながら手をあたしのお口に近づけ、人差し指を唇にあてた。彼女が何をしようとしてるのか分からず、あたしは身を強張らせた。レイブンは指であたしの唇をなぞりながら言った。
「あら、彼女、ちょっと固くなってるみたいね」
変態男たちがみんな、笑いながら、レイブンがしていることを見ている。
「どうしたら彼女の緊張をほぐせるかしら? うーん、私にならできそうな気がするわ…」