ケイトはまたミセス・グラフの股間に顔を戻した。女陰に口を押しつけ、クリトリスを吸い始める。もう一方の手の指先がミセス・グラフのすぼまったアナルに押し当てられるのを見た時には、思わず射精してしまいそうになった。
ミセス・グラフは身体をガクガク震わせ、痙攣しているようだった。脚は天井から下がってる鉄の拘束具につながれ、高々と上げられたままだが、その美脚がぶるぶる震えている。腕も拘束具の鎖を鳴らしながら、泳ぐように動き続けている、腰も上下にうねりっぱなしだ。その激しい腰の動きにケイトが祭壇から落ちてしまうんじゃないかと思ったほどだ。
だがミセス・グラフの激しい身悶えと同じく、ケイト自身も狂ったように震え始めている。ミセス・グラフの股間を激しく吸いつつも、腰は相変わらず貪欲に動き続け、彼女の顔面にぐりぐり押しつけている。大音量の音楽が流れているが、それでも今は二人の女の喘ぎ声がはっきり聞こえる。身悶える二人の美女をスポットライトが煌々と照らし、観客も大騒ぎだ。
ケイトはオーガズムから回復し始めると、顔を上げ、俺のいるマジックミラーに目を向けた。かすかに微笑んでいたが、その顔はミセス・グラフが分泌した愛液でびちゃびちゃだ。顔は上げても、指はアナルに入れたまま。今は第二関節まで入れている。それを見て、俺の分身もヒクヒク痙攣した。
ミセス・グラフはケイトの指をアナルに入れたまま、腰を突き上げ続けていた。
突然、ミセス・グラフが激しく腰を突き上げた。尻が祭壇からすっかり浮き上がる格好になった。再び絶頂に向かっているのは明らかだった。ケイトはニヤニヤ笑いながら、その美しい指で俺の元教師のアナルに指を出し入れし始めた。
「ああぁぁぁぅぅぅッ!」
ケイトの下、ミセス・グラフは身体を激しく震わせ、叫んだ。女陰から出る愛液が下のアナルへと伝って流れているのが見える。その絶頂に到達しそうになった瞬間、ケイトは指を引き抜いてしまった。
「あっ! い、いやぁぁぁぁッ!!」
オーガズムの高みに達する直前で打ち切られ、ミセス・グラフは悲痛な声を上げた。
ケイトはミラー越しに俺を見ながら、ゆっくりとミセス・グラフの身体から這い降りた。両脚を振るようにして祭壇の端に揃え、そこからぴょんと飛び下りる。そして祭壇の周りを歩いて、ミセス・グラフの顔のところに回った。顔を傾け、唇を重ねる。互いに顔の上下が逆になった形でのキスだ。
ケイトは俺の方をチラチラ見ながら、舌を尖らせ、ミセス・グラフの口に入れたり出したりを繰り返した。一方のミセス・グラフも待ってましたと言わんばかりに口を開き、舌を突き出した。ふたりの舌がもつれ合うのが見える。その間もケイトは俺の方を見続けていた。
ケイトがミセス・グラフに何か言うのが聞こえた。ミセス・グラフは頭を縦に振って、微笑んだ。何を言ったのだろう?
ケイトが身体を傾け、何かを取りだした。黒いスカーフのようだった。ケイトはそれを掲げて、それからそのスカーフをミセス・グラフの顔にかけた。顔に残っている乾いたロウソクを優しく払い、目を覆うようにしてスカーフをかけた。
ケイトがミセス・グラフの顔をスカーフで覆うのを見て、観客は狂ったようになった。ステージ上のメインイベントを見ながらセックスしている観客たちもいたるところにいた。音楽はズンズン鳴り続け、低いベース音にステージ上のあらゆるものが振動していた。
「そうねえ…どんなふうにしているの? ひょっとすると、間違ったやり方をしてるかも…」 と娘の瞳を見つめながら囁いた。
「ううぅぅ…これって、恥ずかしい…。でも、ママは私のママなんだから、どんなことでも言っていいわよね」
クリスティは、また頭をわたしの胸の上に乗せた。今度は唇がちょうど乳首のところに来ている。娘の熱い息が感じられる。ああ、神様! 乳首があんまり固くなっていなければいいんだけど…
「そうね、普通は脚を大きく広げて、指でクリのところを擦るの。何か…セクシーなことを考えながら。このまえ見た映画みたいなこと…。男の子が友だちもいる前で、自分のガールフレンドに他の女の子のあそこを舐めさせるところとか…」
セクシーって? これがクリスティにとってセクシー? この子、ちょっと奇妙な性的嗜好があるのかしら? ひょっとしてちょっと露出好きなところもあるの?
ともかく、頭の中いっぱいに、女の子が別の女の子のあそこを舐めてる光景が出てきた。自分でも白状しなくちゃいけないけど、そんなことを頭に浮かべていたら、心臓がドキドキしてきたし、呼吸も乱れてきてしまった。気がついたら脚をピッタリくっつけて、擦り合わせるような動きをしていた。脚の間のあそこの唇が擦れ合うのを感じてる。
「そう…。それはスタートとしてはいいわ。でも、彼氏と一緒の時はどう? その時のことを思うとかは?」
「ママ? 私、これまで付きあった彼氏は二人だけなの。それに信じてほしいんだけど、どっちもすぐ終わって、あまり良くなかったの」
わたしは横たわったままだけど、唖然としていた。クリスティは一度もオーガズムを味わっていないの?! もう19歳になるのに!
「ママ? ママがパパとしてるところ、私、見たのね…。その時、ママのことが羨ましくて仕方なかったわ。ママのアレの姿を見た時…。ママがイクところ…。あーあ…。ママ、とても嬉しそうな顔をしていた…。なのに…」 とクリスティは大きな溜息をついた。
「ああ、可哀想に…。ママ、知らなかったの。ホントごめんね」
そう言ってクリスティをギュッと抱き寄せた。その時、偶然にわたしに押し付けられていた娘の乳房のところに手がいってしまった。
普通だったら、そういうことになったら緊張して、娘も身体を離すと思うけど、その時はクリスティはたじろぎもしなかった。その代わりに、片脚をわたしの身体の上に回して、胎児のように身体を丸めた姿勢になった。わたしの手は娘の胸の下に挟まったまま。軽く触れ続けている。
頭の中は、この後どうしたらよいかでいっぱい。クリスティはパンティを履いていないのは知っている。それに、この姿勢だと、もうちょっとでもわたしに近づいて来たら、わたしの脚にあそこを押しつけることになるし、じかに娘のあそこが触れてくることになる。身体を離すにはどうしたらいいの? このまま身体をくっつけていてはいけないわ。でも、話している内容が内容だけに、そう簡単に身体を離すわけにもいかない…。
「いいのママ。大丈夫。ただ、どうやったらいいか知りたいだけなの…。ねえ、ママ…。あの…。何と言ったらいいか、ママが私にして見せてくれるといいんだけど…?」
最後の言葉は、思わず口に出てしまったことのように聞こえた。言ってしまって緊張しているのが分かる。
それにわたしもそれを聞いた瞬間、ビクッと身体が緊張した感じがした。いや、本当にビクッとなっていた。
これにはどう答えたらいいの? もし、ここでダメと言って娘を押しのけたら、娘は、あの一番素敵な感覚、つまりオーガズムを経験せずに一生を終えてしまうことになってしまうかもしれない! そんなのダメ。娘にはそんな人生歩んでほしくないわ。わたしの可愛いクリスティには幸せになってほしいの!
「ああ、クリスティ? ママは本当にあなたを助けてあげたいのよ。でも、どうしたらよいか…」
クリスティはまた元通りにリラックスした。そして大きな目をしてわたしを見上げた。本当に大きな目をして見てる。興奮しているのが分かる。
「ただ…。ただ、して見せてくれるだけでいいの。見ることさえできたら…私もできると思うから…。ああ、本当に自分でイケる方法が分かればいいのに!」
「今どこに向かっているの? レオンに何をしたの?」
「レオンは生きとるよ。あいつは、お前に結婚を拒否されたにも関わらず、そうやって心配されて、感動することじゃろう」
何らかの暗黙の相図を受けて、いざべらの父とその部下たちは馬を止めた。小さな空き地のような場所だった。部下の男がひとりイサベラに手を差し伸べて、馬から降りるのに手を貸し、その後、彼女を1本の木のところへ案内した。イサベラの父は馬に乗ったまま、イサベラがその木に両手・両足を結びつけられるのを見ていた。
「なぜこんなことをするのです?」
イサベラは、父親がこの領地を安全に通行するために自分を人質として使おうとしているに違いないと思った。だが、どうして、私をこんなところに拘束するの? ひょっとして、父は、今この場で私を犯そうとしているの? 兵士たち全員が見ている前で?
ここは、レオンがいるはずのショボノーの城からどのくらい離れているのだろう? 殴られたレオンが腕の中でぐったりとなったあの光景。それが頭に浮かび、目にどっと涙が溢れてくる。イサベラは、拘束を確かめる衛兵にギリギリと縛りをきつくされても、抵抗しなかった。
だが、その衛兵は拘束を確かめた後、自分の馬へと戻り、それに乗ったのだった。イサベラは、信じられないふうに見た。一礼した後、父親も部下の兵士たちも埃を巻き上げて、走り去ってしまったからである。
父は、私もお腹の中の子も傷つけるつもりではなかった? イサベラは安堵に泣きそうになった。それほど安堵感は大きかった。いまはただ待つだけ。夫が自分を見つけ出してくれることを祈りながら…。
夫? たった一語の単語だったが、イサベラには豊富な意味がある語だった。彼女自身、いまだ良く理解できていないものの。
時間が苦痛とすら思えるような遅さで過ぎていった。その間、イサベラは、強制された上でとはいえ、神父の前でレオンと誓いの言葉を述べたこと、およびそれがレオンの命へどのような影響をもたらすことになるのかを考えた。それは悩みごとではあるのだが、気の遠くなるような時間をつぶすには格好の考え事であり、むしろありがたくさえ感じた。
そして遠くから彼女を追ってきた一群が見えた。懐かしい、ショボノーの黒と金の紋章を掲げた一群だった。
その一群が近づくにつれ、彼女の心臓は高鳴った。その先頭を率いる肩幅の広い男の姿が見えたからだ。レオンである。
ノボルは立ち上がるとアンジェラのそばに行き、彼女の手を取った。そして再びベッドへと連れていった。
「私は大きなバイオテックの会社を持っていると言ったのを覚えていますか?」
アンジェラは頷いた。
「私たちは、いくつか別々のプロジェクトを進めています。そのいずれも、私の身体の生物機構や化学機構を理解しようとする研究から生まれたものです。あなたが医大にいた時に教わった分子遺伝学について、覚えていますか?」
「基本だけ。ずいぶん前になるから」
「覚えているかもしれないけれど、DNAというのはイントロンとエクソンで構成されています。エクソンは、遺伝情報のうち、実際にたんぱく質に変換される部分ですが、イントロンはいささか無用と言えるもので、最終的には細かく分断される部分です…」
「…これもご存知かもしれないけれど、動物種の中には、遺伝物質の点でそんなに違いがないものが多く、中には我々人間のゲノムと90%以上類似しているものもいる」
「それで?」
「これら無用と思われる変換されない遺伝領域には、高等哺乳類の動物種に共通の遺伝物質が含まれているのではないかと推測されてきました。私が何に感染したか、それは分かりませんが、それが、いま言ったような変換されない遺伝領域のうち、普通の人間とは違った部分を活性化したようなのです。特に狼に関係した部分を」
「でも、それは意味をなさないわ」とアンジェラが遮った。「あなたのDNAはすでに人間のものにセットされていたはず。なのに、どうして、そういう部分を活性化できるわけ?」
「実際、感染をもたらしたウイルスは、レトロウイルスである点で、HIVと非常によく似ているのです。そのウイルスは、逆転写酵素を使うので、既存のDNAを書き変えることができる。私たちは、私の老化が非常にゆっくりとしている理由はこれであると発見しました。老化のプロセスは、染色体の先端についている物質に関係しているらしい」
「テロメアね」 とアンジェラが付け加えた。
「その通り。私のDNAで活性化したと思われる顕在的な遺伝情報の一部は、余分なテロメアに変換されるたんぱく質の情報となっていました。その結果、私のテロメアは決して減らないのです。認識できる形では一切減らない。問題のウイルスは常時、私の遺伝物質を書き変えているので、DNAの複製過程でエラーが生じてもすぐに修正される。その結果、過去400年にわたって、私の身体はいかなる種類の癌化過程も経験していないのです」
アンジェラは驚いた顔でノボルを見つめた。
「ノボル? 自分で何を言っているか知ってるの? もし、その過程をコントロールする方法を見つけたら、長命の秘密の鍵を発見したことになるし、あらゆる癌の治療法を明らかにしたことになるわよ」
「ワクワクするでしょう?」 とノボルは微笑み、アンジェラの髪を撫でた。
アンジェラは彼の発見の重大さに、頭がくらくらする思いだった。「あなたのところの科学者たちがこれを明らかにしたら、ノーベル賞が量産されることになるはず」
「現時点では、この研究は非常に秘密裏に行われています。と言うのも、うちの研究員たちは、使っている遺伝物質の出所を明らかにできないので」