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Leaving a little 

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「あたし、このふたりのことがとても誇らしいわ」 とトリッシュは、バーベキューをしている女性化した若い裸の男たちを見つめながら言った。「こんなに早く、こんなレベルまで達するなんて思ってもみなかったわ」

「あなた、ふたりのことを誇りに思っているの? それとも、あたしたちがふたりにしたことを誇りに思っているの? それって、大きな違いよ?」 とベッキーが言った。

トリッシュは肩をすくめた。「その両方って言っちゃいけない?」

「正確には違うわ。ふたりは、自分の体を変えられるというのに、事実上、一言もイヤだと言わなかったのよ? だったら、どうしてふたりを誇りに思えるかしら? 結果については誇りに思ってもいいけれど、ふたりを誇りに思うのは、誇りの気持ちを向ける先を完全に間違っているんじゃない?」

「でも、それって関係あるかしら? 結果は同じなんだし。以前のあたしたちには、性差別主義者の同僚がふたりいた。それが今、あたしたちには、完全に行儀のよいスレイブがふたりいる。その点を除けば、他のことは全部、意味論の問題じゃない?」

「まあ、確かにそうね」とベッキーは譲歩した。そして、少し間をおいて彼女は尋ねた。「ひょっとして後悔していない?」

「もちろん、後悔なんかしていないわ」 とトリッシュは即答した。「あのふたり、本当にひどかったもの。あのふたりがあたしたちのアイデアを自分たちの手柄にしたことが、いったい何回あったことか。あっちにいるトニーなんか、あなたのことを自分の秘書だと思い込んでいたじゃない? しかも、それが間違いだって気づいたのが、2週間も経ってからだったわ。だから、後悔なんかしていない。ふたりがこういう姿になったおかげで、世の中が良くなったもの」

「でも、あたしたち、ふたりから何もかも奪っちゃったわよね……」

「その代わり、ふたりには新しい考え方を与えたわ。それに幸せにもしてあげた。ふたりは、今の状態を本当に気に入ってるもの」

「そういうふうに思うように、あたしたちが仕向けたからでしょ? 今のふたりには、昔のふたりにあったものがほとんどなくなっている。全部、人工的なものになってる」

「全部じゃないわ」とトリッシュが言った。「今のようにバーベキューに夢中になっているところ、あれは前のふたりから残った点じゃない? 少なくとも、あの夢中度は大したもんだわ」

「確かにね」 とベッキーは皮肉っぽい声の調子で答えた。「あたしたち、ふたりを完全に女性化したけれど、バーベキュー愛だけは残してあげた。本当に素晴らしい交換条件と言えるわね」

「良かった」 とトリッシュはベッキーの皮肉を無視して答えた。「あなたとは意見が完全一致してて、あたし嬉しいわ」



[2017/12/08] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

Hiding in plain sight 

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「ダメ、こんなのできない。僕はまだ準備ができてないよ。本当に、まだだから」

「大丈夫よ、あなた。気を楽にして。深呼吸するといいわ。大丈夫だから」

「大丈夫? どこが大丈夫なの? どうすれば大丈夫になるの? みんな、もうすぐ、あと1時間くらいしたら、ここに入ってくるんだよ。そして、みんながここに来たら、僕の人生は永遠に変わることになるんだよ。ふう……。別の人生か。それに気楽にしてって言うけど、ほんとに正気で言ってるの?」

「本気よ。大丈夫だから。まず、ちゃんと残りのコスチュームも着たら、その胸が偽物だって分からなくなるから」

「ハンナ、おっぱいがあるのよ! 誰も信じてくれないわ、いくら言っても……」

「これは偽物だし、お化粧のおかげだって言っても? いや、信じてくれるわよ。残っているバニーガールのコスチュームを全部着たら、完ぺきになるから、大丈夫。テープとかを使って、わざと強調してもいいんじゃない?」

「そんなのうまくいかないよ。本当に」

「いえ、うまくいくわ。誰もその手のことを考えたいと思っていないから。みんなは大笑いするでしょうね。そして、すごいコスチュームだねって言うと思うわ。多分、明日はみんなあなたをからかうでしょう。それに、確実に噂話が広がる。でもね、本当の秘密は、わざとそれに似たことをバラした方が安全なの。あなた自身が胸を張って女装を誇れば、かえって、本当に女の子の体になっているという秘密は守れることになるのよ」

「本当にそう思う?」

「もちろん、そう思ってるわ。でも、分かっていると思うけど、別の道を選んでもいいのよ。つまり、ある時点で、本当にカミングアウトする道。いずれにせよ、じきに、あなたが変身した姿で公の場に出なくちゃいけなくなる時が来るわ。すでに、その胸の盛り上がりをスーツの下に隠すのに苦労しているでしょ? カミングアウトするのが早くなるか遅くなるかだけの違いよ」

「いや。今はダメ」

「じゃあ、いつなの?」

「分からないわ。でも、今はダメ。いいわね? 今日はダメ」

「分かったわ。でも、いつまでも先延ばししてるわけにはいかないわよ? いつまでもみんなに嘘をつき続けるわけにはいかないの。いつかは、みんなに本当のことを言わなくちゃいけない日が来るわよ」

「それは今は言わないで。ともかく、今日はカミングアウトしないからね。明日もしない。さっき言ってたテープを持ってきてくれる? 着替えをしてしまわないといけないから」

「あなた、とても素敵よ。自分でもそれは分かっているんでしょ? あなたは、何も隠すことなんてないの」

「今はそれが重要なことじゃないわ。分かってるくせに。ともかく、着替えを手伝って、ハンナ。これをやり過ごすのを手伝って」

「もちろんよ。手伝ってあげる。妻ってそういうことのためにいる存在なんだから」


[2017/12/08] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)