 64_In a corner 「心の片隅では」 「いつまでも、そこをいじっていてもいいのよ」と彼女は言った。ボクは彼女を睨み付けたが、何も言わなかった。「でも、いじったからって起きたことは変わらないわよ」 「分かってるよ」とボクは答え、ボクの男らしさの点で最後に残った部分に目を落とした。哀れを誘う代物だ。2センチもないし、完全にしなびている。まだ少し感じると言えば言えるけれど、かすかな感覚しかない。何をしても反応しない。無能状態。かつては睾丸があったところには、ちょっと柔らかい肌があるだけ。睾丸を取られたのはずいぶん前になる。ボクの男らしさの感覚が奪われたのもずいぶん前になる。 「正しい決断だったわね」とボクの元妻は続けた。「あなたもそう思うでしょ?」 ボクは頷いた。もっとも声に出しては同意しなかったけれど。ボクは黙ったまま頷き、かつての男だった頃のふにゃふにゃの残りモノを見つめ続けた。こんな姿になったことには意味があったんだと自分に納得させるように。 ボクには選択の余地はなかった。そこまではボクも彼女も知っていた。元妻のギャンブルによる借金とボクのわずかなおカネすら管理できない無能さゆえに、ボクと彼女はホームレスになる寸前の状態になっていた。だけど、そんな状態にありつつも、あの男の提案に同意するのは容易ではなかった。たとえどんな状況に置かれていても、彼の提案に同意するのは、それほど容易ではなかっただろうと思う。 ボクはいまだに彼が仕掛けているゲームが分からない。彼の本名すら分からない。ボクも彼女も彼を「ご主人様」とだけ呼んでいる。知っていることと言えば、彼が並外れて裕福であるということと、並外れて変態であるということ、そして、去勢し女性化した若い男が好きだということだけ。彼は自分の欲望を満足させるためなら、どんな苦労もいとわない。たとえ、ボクたちが一生かかって合法的に稼ぐことができると期待できる金額をはるかに超えた金銭をボクたちに費やすことになっても、彼はそんなことは平気だと考えている。 「あたしたちがどんな状況になっていくか、あたしたちふたりとも分かっていたわよね?」 と彼女が言った。ボクは顔を上げた。半分涙目になっていた。「あなたにとっては辛いことなのは分かるわ。でも……」 「ほんとに? ほんとに分かってるの? ケリー、ボクは奇形みたいなものだよ。ボクを見てみてよ。ボクは死ぬまでこんな姿でいることになったんだよ。それに比べ君は……君はただ……」 「体じゅうにピアスをされた。いい? これって本当に不快なんだから。あなたと比べて割が合わないのは知ってるわ。でも、これは必要だったのよ」 「分かってるよ」 とは言ったけど、本当は必要なかったんだよと言い返せたらいいのにと願った。激しく毒づいて、叫び、泣きわめけたらどんなに良いだろうと。でも、ボクは自分の判断でこうしたのだった。ボクは誰も非難できない。咎められるのは自分自身だけだ。 「でも、たった2年くらいよ。それが終わったら、あたしたち、したいような生活をできるようになるわ」 ボクは思わず笑いだしそうになった。こんな姿になった以上、もう決して、夢を実現することはできないだろうし、それはボクも彼女も知ってるはずだった。もう、昔の夢をあきらめるしか道はない。だから新しい夢を見つける必要があった。新しい自分を見つける必要があった。たとえどんなことが起きようとも、ボクはかつてのような男に戻ることは決してできないと分かっているのだから。 「ケリー。君のそういうところが、ずっと前から大好きなところだったよ。君はどんな時も楽観的だ。ボク? 僕はどっちかというと現実的。今のことが良い形で終わることはないと思ってる。でも、君が言ったように、ボクたちには選択肢がなかったしね」
 64_Hatching a scheme 「悪だくみ」 「わっ、彼、可愛いじゃない。ほとんど彼って気が付かなかったわ。いったい、どうやって彼にあの服装を着せたの?」 「賭けよ。というか、一連の賭けと言った方がいいかしら。彼、負け続けて、そのたびに賭けのネタが高くなっていったの。何回かわざと勝たせてあげて、彼にチャンスがあるかもと思わせてあげたわ。でも、賭けネタがあたしが欲しいところまで上がったところで、ドッカーン! とね。彼にハンマーを打ち下ろしたってわけ」 「それで彼にあの格好をさせたわけ? あれ、何? ドロシー?」 「知らないわよ。あたしは、ただ彼をコスチュームのお店に連れて行って、一番女の子っぽいのを選んでと言っただけ。それを着てトリック・オア・トリートをしに出掛けると聞いて、彼、すごく怒りそうだった」 「ちょっと待って。あなた、彼にあの格好で外に行かせたの? それって、すごいイジワル」 「あら、たった2時間くらいよ。それも街中じゃなかったし。誰も彼のこと分からなかったし」 「誰にもバレなかった理由が分かるわ。彼みたいな人がこんなふうになるなんて、あたしも予想していなかったもの」 「こんなふう、って、セクシーだってこと? そうでしょ? 正直言って、あたしも、彼にとってはまったく別の理由で恥ずかしいことになるだろうなって思っていたの。でも今は、彼はこの格好がちょっと女の子っぽすぎる点だけで恥ずかしいと思ってるんじゃないかって思ってるの。それに彼の態度がどんだけ変わったか、あなたも見るべきだったと思ってるの」 「どんなふうに変わったの?」 「そうねえ。彼のこと分かってるわよね? チョー傲慢な性格。うぬぼれ。根っからの仕切たがり屋」 「ええ。高校の時よりは良くなってきてたけど、彼って、いまだ昔のリックそのままだわ」 「でもね、あの衣装を着ているときは違うの。彼、本当にすごく受動的な性格になるの。しかも、恥ずかしがり屋にもなるし。誓ってもいいけど、声まで甲高くなったわよ。それに、もっと言っちゃうと、あたし、それが気に入ったのよね。とても気に入ったので、こうやって写真に撮ることに決めたわけ。さらに、このバージョンのリッキーを見るのは、ハロウィーンの時だけにはしないことに決めたの」 「待って。何? あなた、彼にもう一度、これをさせようと思ってるわけ? でも、どうやって?」 「彼、この写真を友達に見てほしいと思う? あたしのためにこの格好でダンスしてくれたけど、その時のビデオとかも? もちろん、そんなわけないわよね。だから、これを秘密にしておくためなら、彼、どんなことでもすると思うの。要するに、あたし彼に罠をかけたわけ。でも、彼はまだそれを知らない」 「ケイティ、それって……すごく邪悪だわね。でも、あたしも気に入ったわ。威張り腐ってるポールにも同じことができたらって思ったわよ」 「あなたならできるわよ」 「どうやって?」 「あたしに任せて。何か考えるから。約束するわ。来年のこの時期、あたしたちには可愛いシシーがふたりいるはずよ」
 64_Fathers and sons 「父と息子」 私は性差別主義者ではない。私は同性愛者嫌いでもない。そして、私は、誰であれ、単に染色体がたまたま本人が自覚する性と同一でないということだけで、その人のジェンダーが他の人のジェンダーより劣っていると思う人間では決してない。私は、他の人に負けないほど進歩的な考えの持ち主だと思っている。であるが、たとえそうであっても、自分の息子が女の子だと知るのは非常に、非常に辛いことである。 まさにそう感じる自分自身に嫌悪感を感じてしまう。本当にそう感じている。そのような考え方は間違っているのは分かっているし、彼を(彼女をと言うべきか)ありのままの姿で受け入れるべきであることを分かっているし、これまでと同じように彼女のことを愛するべきであることも分かっている。頭では分かっているのだが、どうしても、息子が一緒に育った他の男の子たちと同様に成長してくれたらよかったのにと願わずにはいられないのだ。 最悪なのは、過去を知る人と会うときである。息子の昔の友達の父親たちと会い、彼に息子は最近どうしているかと聞かれるときである。正直になれたなら、私はそんな父親たちにこう言うだろう。息子はようやく本来の自分を発見し、幸せになれたと。そんな強い心をもった息子を自慢に思っていると。だが、私は嘘をついてしまう。真実を隠してしまう。性別を明らかにしなければならない代名詞を使うことを避けてしまう。彼らがあまり深く掘り下げないように願いながら、実行し慣れたカモフラージュの壁の陰に隠れてしまうのだ。 息子が大きくなるにつれて、私は彼が他の男子とは違うところがあると思ってきた。どのくらい根深いものかは分からなかったが、そういう印象は持っていた。そのヒントも目にした。それを無視しようとどれだけ頑張っても、そう考える手掛かりが目の前に出てきて、目を背けようとも否応なく目に入ってきたものだった。だが、息子はずっと黙っていた。彼が言ってくれたのは、大学に進んでしばらく経ち、すでに女性化する道に入り始めた後だった。 息子のベッドの下にパンティを見つけたときを思い出す。私は、息子にガールフレンドができて、それを隠しているのだと自分を納得させた。息子の顔に化粧の跡があるのを見つけた時を思い出す。息子のクローゼットの上のところに男性器の形をした玩具があるのを見つけた時を思い出す。それでも私は、そういう変わったことを説明するあらゆる可能性を信じこもうとしていた。そういう可能性がますますあり得なさそうに見えてくるにも関わらず。 とうとう息子が私に話してくれた時、私は驚かなかった。私自身が認めたがっていようがいまいが、ずっと前から私には分かっていたことだったから。そして、息子の告白に私は心暖かに、支援する反応を示した。私の世界に新しく娘ができたのだと歓迎した。その新しくできた娘を愛していると息子だった彼女に言った。私はその娘を誇りに思っていると伝えた。本当にそう伝えたし、誇りに思っていることも本当だった。 だが、それでも、私は彼女のことが恥ずかしいという恥ずべき気持ちから逃れることができずにいる。いかに心の奥深いところにその感情を埋め隠しても、依然としてその感情は存在し、私の思考に影響を与えている。願わくば、その感情を彼女から隠し通すことができればと思っている。理想としている父親のふりをしているのであるが、最後までそんな父を演じ続けることができればと願っているのだ。
 64_Fantasies and reality 「妄想と現実」 私は自分の人生がこんなふうになるとは思ってもいなかった。確かに、妄想はしていた。インターネットでストーリーを読んでもいた。夜。ベッドに横になりながら、そういうストーリーを実際に実行する想像をしてもいた。でも、それは単にそれだけのものだった。つまり、単なる妄想。決して実行するつもりなどなかった。 もっと用心すべきだったのだと思う。特に職場のコンピュータについては用心すべきだった。でも、私のブラウザの閲覧履歴が勝手に他の人の手に落ちるとは思ってもいなかったのだ。本当に全然考えていなかった。そもそも、どうしてそんなことが可能だったのだろう? 私は特に目立った人間ではなかった。重要な人間でもなかった。私は社内に何十人もいる会計士のひとりにすぎなかった。私のような人間が何をしてるかなんて、誰が気に留めるだろうか? どうして彼らにバレたのか、いまだに分からないけれど、彼らは実際に見つけてしまった。すべてを知られてしまった。ブラウザの履歴やら、オンラインで投稿した写真(ごく普通の女性服を着た私自身の写真)やら、私が書いたストーリーのいくつかまで、彼らは全部見つけてしまったのだった。彼らは、すぐに私を破滅させることはしなかった。代わりに、選択肢を出してきた。実際に妄想通りの生活をするか、それともみんなに私の本当の姿をバラすかのどちらかという選択肢。 正直言って、最初は、これは、そもそも選択肢などとは言えないと思った。正気な人間なら、後者を選ぶ人間などどこにいるだろうかと。だけど、自分の新しい状況の現実に直面したとほぼ同時に、私は自分の選択がいかに間違っていたかを悟ったのだった。 想像すること自体は面白い。だけど、実際に、他の人にこんな品性を貶める境遇になることを強要されたり、辱めを受けたり、体に突き入れられたりするのは、まったく別の話しだった。 彼らは私を人間として見ていない。彼らにとっては、私は、彼らが職場で淫らな気持ちになったときに自由に使える玩具にすぎない。命じられるまま、ウイッグをかぶり、スーツを脱ぎ捨て、中のランジェリー姿の肉体を晒す。そして、私の男らしさ(の欠如)について様々な恥辱を味わわされた後、彼らを性的に喜ばすよう強要される。 この行為について、少しでも私に選択する余地があったら、多少は楽しいかもしれない。だけど、現状では、大半が楽しくもなんともないと自信を持って言える。多分、古くからの格言が正しいということだろう。つまり、何かを願うときには注意しないと、本当に実現してしまうよ、ということなのだ。
 64_Don't overthink it 「考えすぎるな」 「一体なに? 何するの?」 リックがシャワールームに入ってくるのを見てサムが大声を出した。「出て行ってよ!」 「俺はシャワーを浴びるだけだよ。何が悪いんだ?」 とリックは平然と答えた。 「悪いって? 何が悪いって?」サムは吐き捨てるように言った。「あんた、あたしと一緒にここにいるのよ。あんたは素っ裸。それにあたしも……裸なの。何と言うか……これって……」 「ちょっといいか? これってそんなに変なことじゃねえだろ?」とリックは答えた。 「遅すぎだわ」 「おい、おい。俺、初めて見るってわけじゃないんだぜ? もう、昨日の夜、ふたりっきりの時に、俺にしっかりじっくり見せたじゃないか?」 とリックは答えた。 「ちょっと待ってよ」とサムは両手を前に突き出して、彼の言葉をさえぎった。「昨日の夜のことは、起きてはいけない出来事だったの。いい?」 その出来事は、ふたりがシェアしている寮にリックが一日早く帰ってこなければ、起きるはずがない出来事だった。サムがランジェリを身にまとい、化粧をし、女性ホルモンにより変化した体をすっかり露わにしているところをリックが見つけなければ、起きようがない出来事だった。サムが諦めて、自分がトランスジェンダーであることを告白し、女性化した肉体をだぶだぶのバギー服の下に隠し続けてきたことを告白しなければ、起きるはずがない出来事だった。リックが非常に理解があり、サムに一緒にビールを飲もうと言いださなければ、起きるはずがなかったのは確かだった。 サムが言った。「ふたりとも酔っぱらっていたの。あたしはあんなつもりじゃ……」 「俺は酔っていなかったぜ」とリックがさえぎった。「それに、俺はアレで終わりにしたいとも思っていない。君の気持ち次第だけどな。だけど、昨日の夜のことから判断すると、君も俺のことを好きなんじゃないかな? だったら何が問題なんだよ?」 「ああもう、全部リストアップしなくちゃいけないの?」とサムは答えた。「第一に、あたしは本物の女の子じゃないの。いい? それ、ちゃんと分かってるわよね? それにみんなにもバレるわ。あなた、みんなに知られたくないでしょ?」 リックは、唇で、続きを言おうとするサムを黙らせた。長々と熱のこもったキスだった。それによって、一時的に、サムが思う多くの恐れをすべて黙らせた。ふたりがようやくキスを解いたときには、サムの手は無意識的にリックの長く太いペニスを優しく包んでいた。 「俺は気にしないよ。君は女の子で、俺は男だ。そして、俺たちは互いに好きだと思っている。考えすぎるなよ」
 64_Digging deeper 「深みへと落ちる」 彼女がボクにペニス拘束具を取り付けた時、こんなの間違いだと思った。でも、当時は、これは一時的で、すぐに外されるだろうと思っていた。あのプラスチックの拘束具をつけられ2週間ほど過ごしたら、後はすべて普通の状態に戻るだろうと。彼女はボクがしたことを許してくれて、元通りの普通の夫婦に戻れるだろうと。それは夢としては良いけれど、決して実現しない夢だと分かったのだった。 何日かという話が、何週間かに変わり、何週間かという話が何ヶ月かに変わった。彼女が拘束具を外してくれるのは、体を洗う時だけだった。最初は、拷問のように感じた。嫌で嫌で仕方なかった。不快そのもので、そう感じる理由はいくらでもあげられる。身体的な面で言えば、いつも、拘束具の存在を意識せざるを得ない状態にさせられる。その器具が局部の肌を擦る感覚に慣れた後ですら、その重さはいつも感じていた。あの器具があることを常に知らされる。では心理面では? 自分の妻に拘束具をつけられ、性欲をコントロールされていると思い知らされることは? それは、極度に去勢された気持ちにさせることだった。 そして、妻に家の中では彼女のランジェリを着るように言われてからは、事態は悪化の一路を辿った。ペニスをプラスチックの拘束具に締め付けられ、家の中では網ストッキングを履いて歩き回り、妻に「可愛い子ちゃん」といったペットを呼ぶような言い方で呼ばれる。そういう状態で自分は男だという気持ちでいることは難しい。さらに、妻に何ヶ月もビタミン剤として与えられてきたものが、実は、女性ホルモンだったのだから、男でいることはいっそう難しいものになっていった。 それを知ったとき、その場で家を出るべきだったと思う。本気で拘束具を外したいと思えば、外す方法がなかったわけではない。だけど、正直な気持ちで言うと、一年近く、そういう状態を続けていた後では、むしろ、完全に自由になることを少し恐れていたと思う。もし彼女が正しかったら、どうなるだろう? もし、ボクが本当に自制心の効かない人間だったとしたら、どうなるだろう? なんだかんだ言っても、ボク妻を裏切って、浮気をしてしまった人間だ。彼女の怒りも落胆も、当然のことだった。そして、その頃までには、ペニス拘束具をつけていることに、多少、居心地の良さを感じ始めていた。 もちろん、ボクは妻を愛してもいたし、妻にはボクのことを自慢にしてほしかったし、ボクのことを愛してほしいとも思っていた。だとしたら、拘束具を外したらどうなるのだろう? 外してしまったら、妻に愛されるなどありえないと思えた。だからボクは家に留まり、自分の運命を封印したのだった。 それから間もなくして、妻はボクにストラップオンを使い始めた。そして、それが始まってすぐに、ボクはそれを喜ぶようになっていった。結局、性的な解放はその行為を通してでしか許されていなかったわけで、ボクはそれにすがりついたのだ。他にどうしようもなかったのは分かってもらえると思う。 妻が愛人を家に連れてくるようになった時も、ボクはそれを受け入れた。これは妻の性的欲求を満足させるための手段だと。男たちは何の意味もないのよ、と妻は言っていた。単にセックスだけだと。ボクは彼女のことを信じた。拘束具に閉じ込められているわけで、ボクには夫の果たすべき義務を行えないのは事実だった。気に入らないことではあったけれど、理解はしていた。 そして今度は、ボク自身が男性の愛人を持つべきだと妻は言い始めた。ボクは反論すらしなかった。ボクは妻の命令に従うことにあまりに慣れていたので、拒否することなど、思いもよらないことになっていた。 ボクは次から次へと間違った選択をしてきた。その始まりはボクが浮気をしたこと。そこから次々にミスを犯し、穴の中、より深くへと陥ってしまった。そして今はどうなってるか? 今は、もう、この穴から抜け出せないと分かってる。かつてのような男に戻ることはありえない。それに、妻がこのちょっとした遊びに飽きてしまうのは時間の問題だとも分かっている。間もなく彼女は次の段階へと進むだろう。その時どうするか、ボクには何も考えがないのである。
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