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08 New swimsuit 「新しい水着」
最新の水着のはずだった。ディーンのガールフレンドが彼に絶対よと言った。まさにこのタイプの水着を着た水泳選手が最近、新記録を立てたのだと。もちろん、ディーンは彼女の言葉を信じた。どうして彼女が嘘をつくだろうかと。
それでも、彼はこの水着を着ると、依然としてすごく体を露出してる気持ちになった。形の良いお尻の部分が大きく露出してて、気になってしまうのである。それに、流体力学上の理由からとは言え、ペニスを股間にしまい込まなければならないことも、少し気になっていた。だが、記録のために彼はそれをしたのだが。
ディーンはどれだけ体が変わったか自分で気づいてるのだろうか? 彼はもともと痩せた男子水泳選手ではあったが、2年前に彼女と付き合い始めてからは、ほとんど別人のようになっていた。彼女からもらったビタミン剤のせいだろうか? それとも彼女が好きだというので伸ばし始めた髪の毛のせいだろうか? あるいは、体毛を剃り、つるつるの肌になり、軽く毛要しているせいかもしれない(彼女は化粧をしてる男子は多いと言っている)。
いずれにせよ、18歳の彼は急速に変化を遂げている。そして、これから彼はどんな変化を遂げることになるのだろうか?
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08 New look 「新しい気の持ち方」
ミッキーは何年も、あらゆるタイプのからかいの標的とされてきた。他の男子たちは、彼をゲイとかシシーとかオカマとか何百もの呼び方で呼び、悪口を浴びせ続けた。たいてい、彼は、じっと我慢して、無視し続けた。泣き出してしまうこともあった。落ち込むこともあった。一度、相手とケンカしようとしたこともあった(壮大な不成功に終わったが)。いずれにせよ、悪口は止まらなかった。
だが、高校3年になる前の夏、ミッキーはある決心をしたのだった。もし、それを抑制できないなら、それを積極的に受け入れてしまえ、と。そして、彼は髪を伸ばし始め、化粧をするようになり、どんどん女性的な服を着るようになった。生まれつきの女性的な傾向を無理やり抑え込もうとするのをやめたのである。
夏休みが明け、3年生の学年が始まる時までには、彼は変身を遂げていた。それまでの女っぽい男の子から、学校のたいていの女の子より可愛いシシーへと変身したのだった。もちろん、からかいは続いたが、ミッキーはからかわれても、それに合わせて受け流すようにした。ゲイとかシシーとか言われても、その通りと受け入れた。冗談を言われても、その通りだよと自ら認めて受けて立った。
やがて他の男子たちはミッキーのことを気にし始めたのだった。もちろん、ミッキーもそれに気づいていた。そして、毎日、体育の授業の前に男子ロッカーにおいて、彼は他の男子たちにちょっとしたショーをして見せてあげた。服を脱ぎ、パンティひとつの姿になと、ロッカールーム中の目が自分に向けられているのを知るのだった。
結局、シシーであることはそんなに悪いことではないと思うのだった。
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08 Little brother 「弟」
弟のボビーは、来年、大学生活を始めたら、乱暴に事実に目覚めさせられることになるだろうと思う。いま弟の周りの人はみんな彼をシシーだと知っていて、単に、みんな、それを無視してるだけ。弟は可愛いから。みんな、彼のことが大好きだから。
でも、大学に入って、寮のルームメイトがボビーは毎日パンティを履いてると知ったら、そのルームメイトは何て言うだろう? それにボビーの衣服(ドレスやスカートやタイトな女性物のズボンやブラウス)を見たらどう思うだろう? それにボビーのヘアスタイルや化粧していることや体毛の処理をしているのを見たら?
弟はからかわれるだろうか? それとも、ここにいる時のように、みんなに受け入れてもらえるだろうか? 後者だといいのだけれども。
でも、どうしても想像してしまう。もし、周りの男子学生たちがボビーを利用しようとするのではないかと。何と言うか、ボビーは外見で言えば女の子そのものと言っていい。しかも、女の子の中でも超一級のすごく可愛い女の子。自慢するわけではないけど、私は高校卒業の時、プロム・クイーンに選ばれた。だけど弟は、そんな私よりもずっとずっと女らしいのだ。もし、男子学生たちが、弟のキュートな顔と小柄で女性っぽい体を見て、本物の女の子とあまりに近いので、弟が男であることなど問題ではないと思ったら、どうなるだろう? ボビーは抵抗するだろうか? 抵抗できるだろうか?
ボビーはずっと前から男の子には興味がないと言っている。実際、高校時代には可愛いステディのガールフレンドもいた。でも、私には分からない。……あれだけ女っぽくて、あれだけ可愛いのだから……。男の人と一緒になったらどんな感じになるだろうって、少なくともそういうことを考えないはずがないと思う。
それとも、弟はそういうことを考えたことがあるのかもしれない。考えてるけど、実行に移していないだけかも。
弟は、自分を女の子とは違う存在として見ていないのではないかとすら思ってる。私の前で裸になることを何とも思っていない様子。……というか、私の服を借りたりすらするし。それに、弟がつるつるの脚に沿ってレースのソング・パンティを引き上げ、履くのを見るたび、弟が本当に女性を異性と見てるのかすら怪しく思ってしまう。
でも、来週になれば、この答えも分かるだろう。来週、弟は大学の寮に引っ越す。そして私の疑問にも何らかの形で答えが与えられると思う。
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08 It's a living. 「生活のため」
小さい頃に、あたしは、どういうわけか分からないけど、男の人があたしに惹かれるのを知った。多分、あたしが比較的、体つきが小さかったからかもしれないし、顔つきが可愛らしかったからかもしれない。何かの化学反応みたいなものだったかもしれない。知らないけど。ともかく、これまでの人生、あたしはいろんなタイプの男たちに言い寄られてきた……しかも、たいていはストレートな男の人だった。そして時間と共に、あたしの方もちょっとだけ、そういうふうな状態が好きになっていた。あたしは、男の人に惹かれたかって? 多分そう。でも、当時、自分はどう思っていたかって、思い出すのが難しい。
でも、同じ経験をした人が多いと思うけど、学校を卒業した時、あたしは就職ができなかった。あたしが男の人に頼って生活するようになるのに時間がかからなかった。言い寄ってくる男の人にいろんな物を買ってもらって生活する。住まいとか車とか、いろいろ。
ホルモンも摂り始めた。それにいくつか小さな整形もした(もちろん男の人のおカネで)。今は……まあ、今は(名前は伏せるけど)とある有名なミュージシャンのステディなガールフレンドになっている。彼はあたしが欲しいものを何でもくれる。まあ、あたしの方も、彼がしてほしいことを何でもしてあげているんだけど。誰だって、どうにかこうにかして、生活していかなくっちゃいけないでしょ?
今あたしは幸せかって? そう思う。よく分からないけど。ステキな物を持つのは好きだけど、でも……よくわかんない。
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08 I can't believe he did it 「彼がヤルなんて信じられない」
何年も前から彼は自分はシシーじゃないと言っていた。あんな服装をして、立ち振る舞いもあんな感じなのに、自分は普通の男だよと言っていた。みんな彼の言うことを信じていたかって? 多分、違うと思う。多分、最初は普通の男だったかもしれない。でも、時間と共に、彼が変わったのは確か。どうして変わったかって? 実際、それはすごく単純だった。
あたしたちみんな、こう考えている。つまり、たいていの人は、一番ミステリアスな雰囲気を持ってる性に惹かれるということ。たいていの場合、それが男に女が惹かれる理由だし、女に男が惹かれる理由。でも、あたしたちの友だちのランスの場合は、その正反対だった。あたしたちが小さかった頃から、ランスはいつも女の子たちと一緒に遊んできた。ほんと、彼はどこをどう取っても、あたしたち女の子のひとり。同じような服装をしてたし、振る舞い方も同じだし。姿かたちも似ていた。さらには、彼が一緒にいるときでも、あたしたちは裸になっても全然平気なレベルにまでなっていた。あからさまに裸を見せるために裸になるって感じじゃなくって、彼が部屋にいても、何も考えずに普通に着替えするって感じ。
思うに、あたしたち女の子は他の女の子に対していつもケチをつけてばかりいるので、それが、何と言うか、伝染したのだと思う。彼も女の子たちの欠点ばかりあげつらうようになった。あたしたちが男の子についておしゃべりするときは、その正反対。……そして、それも、また伝染したのだと思う。
ともかく、大学1年生の時の春休みに、それが一気に表面化した……(よくあるように)状況がちょっとワイルドになってきて、この、すごくキュートな男子がいたわけ。その男子はどういういきさつだったか素っ裸になっていた。それで、誰かが、ランスに、その男子のおちんちんに触ってみたらって、何も考えずにけしかけたの。正直、大変な間違いだった。……ランスはまさにあたしたちのような顔つきになり、あたしたちのように行動したわけ。
躊躇ったのは、ほんの数秒だけで、彼はアレに触った。単に触るだけじゃなく、握ってしごき始めたし、やがて、それは本格的なおしゃぶりへと。いったん、口に入れた後は、もう平気で吸い始めた。
多分、彼の中で、そういう気持ちがしばらく前から膨らんでいたのだろうと思う。だって、ランスは、ヤッテる間、周りを見ることもせず、夢中になっていたもの。まるで催眠術に掛けられているみたいだった。