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08 Contest 「コンテスト」
もう4年以上、ボクはこの島にへばりついている。信じてくれるかどうか分からないけど、ボクがここに来たときは、普通の男だった。マッチョじゃなかったのは誰よりも速く認めるけど、いわゆるシシーでもなかった。ボクは普通だった。
4年前、ボクはあのバカげたコンテストに参加したのだった。コンテストと言うより社会実験だったのかな。何でもいいや。ともかく、ルールは単純だった。男女のカップルでこの島で生活すること。でも、条件があった。男性は女性に従わなければならないという条件。言いたい気持ちは分かる。そんなに悪い条件でもないだろって? それは間違い。その「従うこと」の中には、服装、振る舞いから、愛し合い方に至るすべてが含まれていた。
最初の1年はきつかった。ドレスやビキニやランジェリを着るのに慣れるのは難しかった。ベッドで「女性」になるのに慣れるのは、もっと難しかった。でもボクは何とかやり遂げた。参加者の半分以上が、この最初の1年で脱落した。でも、ボクは残った。最後まで残ったひとりになれたら1000万ドルの賞金がもらえる。ボクはその最後のひとりになるつもりだった。
実際、2年目は比較的楽だった。自分の立場に慣れていたし、むしろ楽しむようにもなっていた。でも、その後に3年目が訪れる。条件が吊り上げられたのだった。ホルモン摂取、食事制限、エアロビ、そして手術が条件に加えられたのだった。それがアナウンスされた時、残っていた男たちのさらに半分以上が脱落した。ボクも、実際、脱落することを考えたけど、結局、頑張って残ることに決めた。
体が変化し始め、大きく膨らんだところと縮んだところがはっきりしてきた。それに合わせて、女物の服が体にぴったりするようになっていった。多分、彼らは特別に強力なホルモン剤とかを使ったのだろう。ボクには分からない。いずれにせよ、3年目をすぎたときには、ボクは以前のボクとは似ても似つかない姿になっていた。
今は、ボクも混ぜて2人しか残っていない。でも、ボクの方が有利だと思っている。もう一人の男の場合、彼の妻がしょっちゅう彼に暴力をふるっているのだ(悲しすぎることだが)。彼はやがて我慢できなくなるだろうと思ってる。こういう形でボクが勝つのは望んでいないけれど、ボクが一番になるだろう。
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08 A raise 「昇給」
ある日、目が覚めて、「ボクは秘書になりたい」となったとか、そんな感じではない。何と言うか、ボクは男だし。男は秘書にならないし。そうだよね?
でも、どうしようもなかった。ボクは仕事に就きたかったし、その会社はボクに仕事があると言ったんだから。服装規定に文句を言える立場じゃなかった。他の秘書たちと合わせないなんて出来っこなかった。パンティとかブラジャーとかスカートとか、他のいろいろに慣れるのに時間はかかったけど、その服装に何とか慣れるようになった。
その頃、ボスがボクにちょっと規定以外の仕事をしてほしいとほのめかした時、ボクは何となく上司が何を言ってるのか分かった。他の秘書もみんなしてることだったから。ボクはこの仕事を失う余裕はなく、上司の言いつけに従った。床にひざまずいて、彼のペニスをしゃぶった。その2週間後、ボクは昇給した。
だから、上司がボクのアヌスをやりたいって感じのことをほのめかしてきた時は、ボクも喜んで彼を受け入れた。もう一回、昇給したら、新しいアパートに移れる可能性がすごく大きくなるから。でも、まだ昇給してない。上司に抱かれる度に、今度は昇給してもらえるといいんだけどなあって思ってる。
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08 A new track 「新しいトラック」
最近、学校で変な目で見られるようになった。イジワルな目で見られるというわけではない。何と言うか、みんながボクのことを気にしているような目でボクを見ているのに気づいたということ。言ってる意味が分かってくれるといいけど。……特に男子の目つきが変。
多分、2ヶ月くらい前にボクが本気でトラックを走り始めた時からだと思う。高校では陸上部に所属していたけど、大学では陸上競技で他の学生たちと張り合えるとは思っていなかった。そんな時、ボクはキャロルと出会った。今のボクの彼女。キャロルはボクに本気になって全力を尽くしてやってみなさいよって、熱心に勧めてくれた。そしてボクはその勧めに従った。キャロルは、有利と思えるところがあったら全部利用するつもりにならなければ、やる意味はないとも言っていた。
彼女が体毛を剃るべきと言った時、理屈があってると思った。体毛が空気抵抗を作ることはみんな知っている。そこでボクは体毛を全部剃った。最初は変な感じだったけれど、2週間もするうちに気にならなくなった。その後、キャロルはボクに新しいシューズを買ってくれた。それまでのシューズより軽くて、走りやすいものだった。唯一の問題はそのシューズがピンク色だったこと。でも、どうでもいいやとボクは思った。そして次に彼女はボクに新しいウェアを買ってくれた。肌にぴっちりしたウェアで、それを着るときは特別の下着を履かなくてはいけなかった。でも、しばらくすると、新しい下着にも慣れてきて、ボクはいつもそれを履くようになった。
最後にキャロルはボクに新しいビタミン剤を買ってくれた(毎日3回飲んでいる)。でも、2週間前、ボクは陸上部から追い出されてしまった。コーチは、ボクの記録がどんどん落ちてるからだと言った。でも、キャロルは、ボクが陸上部の他のメンバーより輝いて見えてるので、ヤッカミからだと思っている。
キャロルは本当にボクのことを応援してくれてる。
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07 The bachelorette party 「独身女子会」
彼を辱めようとか、そういうことで始めたことじゃなかった。無邪気なバカ騒ぎのつもりだった。みんなヒドイことだとは知っていたし、彼の気持ちを傷つけるるかもしれないと思っていたけど、みんな、これは、何年かした後、思い出して大笑いする、そういうタイプのことだと思っていた。
知っておくべきだったと思っている。彼の服装とか振る舞い方とかを。彼には男の友だちはひとりもいなくて、いつも、あたしたち女子と遊ぶ方を好んでいた。高校もずっとそうだったし、大学に入ってからも同じだった。彼は、女の子だけの友だちグループの中に混じった、ちょっと女っぽい男子。もっと言えば、あたしたちみんな、彼のことをそういうふうに思っていた。……男の子だけど、女の子だと。
彼がああいう振る舞いや身なりをするのは、そういう理由なんだろうなとあたしは思っていた。彼が内在的に他と違うとかそういうことではない。ただ単に、彼は、いつも女の子たちと一緒にすごしていて、女の子のように扱われつつ、そういう状態を拭い去ることができない、そういうタイプの男の子なのだと。だから彼はあんなに女の子っぽいのだろうと思っていた。彼がお化粧するのは、あたしたちがお化粧してるから。彼が女の子っぽく振る舞うのは、あたしたちの振る舞い方を真似してるから。あたしたちと一緒に遊んでいたいから、あたしたちの真似をしてるんだろうと。ともかく、あたしたち仲良し仲間のひとりが結婚することになり、あたしは、独身女子会を開く役になった。もちろん、彼も出席したがった……仲間外れにされたくなかったからだと思う。結局、彼も参加することになったのだけど、どうしてみんな彼を招待しなかったのかを彼に言う勇気は誰にもなかった。その理由は、その会に男性ストリッパーがくるということ。……彼はずっと自分はストレートだと言い張っていたからまずいことになるかもと、みんな、そう思っていた。
さっきも言ったけど、こんなふうになるはずではなかった。ちょっと恥ずかしい目に会わせてからかうだけのつもりだった……こんなことになるなんて。ただのイタズラと思っていたのに。
でも、彼がそのストリッパーを見た瞬間、彼の眼はその人の逞しい体に釘付けになった。そして、だんだん雰囲気が盛り上がっていって……そういう時、どんなふうになるか、みんな知ってると思うけど。気がついたときにはみんな裸になっていた。
笑うつもりはなかった。でも、彼を見た時、彼の顔を見た時……ストリッパーを見ながら舌なめずりする彼を見た時……。これは多分、ただのイタズラじゃすまなくなると思った。いや、これは彼にとって一生を変える夜になるんじゃないかと思った。この夜、彼は初めて自分が思っているよりも自分は女の子になっているのだと認めた夜になった。その夜、彼は生まれて初めてフェラチオをしたのだった……そして、これが彼にとって最後のフェラにはならないことも確かだった。
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07 Skinny dipping sissy 「水につかるシシー」
あ、ちょっと。そこにいたの知らなかったよ。ジェイバーだろ? 新しく来た庭師の? 何か変? ジェイバーは裸の男を見たことないの?
そんなに堅くならなくていいよ。パパがいつも、気楽に裸のままでいていいんだよって言ってるんだ。あ、本当のパパじゃないんだ。でも、そのことをパパに言っちゃダメだよ。パパはママが死んでからボクのためにいろんなことをしてくれたんだ。ボクがそれを感謝してないなんてパパに思われたくないんだ。本当に。
あれ? 居心地悪そうにしてるのは,ボクが裸だからじゃないの? その表情、ボクには分かるよ。何が欲しいかボクには分かるよ。
パパは、ボクに自分のセクシュアリティについて不安に思っちゃいけないって言ってるよ。ボクのような男の子が他の男とちょっと違うのは普通のことなんだって。
ほら、ボクを見て嬉しそうにしてる人がいるみたいだよ。恥ずかしがらなくてもいいんだよ。何でもないよ。そういう顔、これまでもずいぶん見てきたから。それって、ボクのこと可愛いと思ってるということだけだよね。そう思ってくれてるんだよね?
ズボンを脱いでボクと一緒にプールに入ったら? 絶対、楽しいことがあると思うよ!