「ああ、いい… それでこそ男よ! 本物にはかなわないけど、今はそれで十分。さあ、もっとやって! その舌で中を擦って! もっと深く! ほら、もっとがんばってよ!」
いまや、リンダは、ブルースの顔面に激しく股間を突き上げていた。その激しさに、ブルースは舌を挿入し続けるのが難しくなっていた。あごが疲れはじめているし、顔面を叩かれ続けている状態だった。
ブルースは、自分の妻の女陰が恐ろしいとすら思い始めていた。ほとんど、これに支配されているようなものだ。彼は、結婚して初めて、リンダのパワーを感じ、それに恐怖を感じた。
「やめないでよ! い、いきそう! ああぁぁぁ!」
ブルースはリンダに両手で髪の毛を掴まれるのを感じた。びちゃびちゃに濡れた顔面をさらに強く引き付けられる。ブルースは、リンダが、まるで自分の顔面を使って自慰をしているだけなのではないかと感じた。これでは彼女が一方的に快楽を貪っているにすぎない。
ようやくリンダの身体から力が抜け、ブルースを離した。
「もう、そこから出てきてもいいわよ」
ブルースはシーツの中から這い出た。ようやく、元のように自由に呼吸ができるようになる。びちゃびちゃに濡れ、さんざん痛めつけられた顔には、冷たい空気が気持ち良い。
「ありがとう」 とリンダが言った。
ブルースはシーツで顔面を拭おうとした。それを見て、リンダは強い口調で言った。
「何してるの! そのままにしておいてよ!」
「俺の方はどうなるんだ?」
「ごめんなさい。私、疲れちゃって…。でも、いま、何より望んでることがあるんだけど、それ知ってる?」
「何だ?」
「あなたがオナニーするところを見たいの!」
「ここでか?」 とブルースは愕然とした。
「他にどこだと言うの? さあ、やってよ。あなたが興奮してるのは知ってるのよ。出したいんじゃないの?」
「まあ、そうだが… お前が、と思ってたんだが…」
「いやいや。私は横になってあなたが自分でイクところを見ていたいわ。それをしている間、どういうことを想像したらよいか、お話してあげるから」
「…オーケー、分かったよ。お前の勝ちだ」
ブルースはそう言って、ベッドの上で胡坐をかいた。痛々しいほど勃起しているが、控え目なサイズのペニスを親指と二本の指で挟み、しごき始めた。
「目を閉じて、想像してみて… あなたは二階の、あの寝室にいるの… そして私と私の初めての黒人男、ジェイムズが一緒にいるところを見ているの… 想像できる?」
「ああ、見える」 ブルースは目を閉じ、ペニスをしごいた。
「…寝室の中、あなたは座って私のことを見てる… 私が口を大きくあけて、見たことがないような大きなペニスを咥えているところ。よだれを絡めて、舐めしゃぶってる音も聞こえるはずよ。舐めるときのずるずるという音とか、吸っているときの、ちゅうちゅうという音とか… 今は私は頭を上下に振り始めてる…」
「ああ、くそっ!」 ブルースが毒づいた。
「あなたは、まさに自分の妻を寝取られるところを見ようとしてる… 見えてる? 興奮しない?」
「うむむむ……」
「あなたは手に私のパンティを握ってるわ… それを顔に近づけて、私の匂いを嗅いでるの… 頭がくらくらするような匂い!」
「ああ…」 ブルースは、次第に絶頂に近づいていった。
「それがこれよ。目を開けてもいいわ。でも、手はとめないで」
ブルースは目を開けた。リンダはパンティを持っていた。それを手渡される。ブルースは開いてる方の手で受け取った。それは濡れていた。
「さあ、また目をつむって。そして私のパンティを顔に当てるの。その方がもっとリアルになるから」
ブルースは言われたとおりにした。濡れた布地を顔にあて、鼻から息を吸った。
リンダは、自分でしていることながら、ブルースを見て驚いていた。自分が言葉を巧みに操って、夫にこんなことをさせられるとは! これまで想像すらできなかったことだった。夫を操り、自分の前で自慰をさせることができるなんて。しかも、夫の頭の中には自分を寝取った男のイメージが浮かんでいて、愛液で濡れたパンティを顔にあててるとは!
「いきそうだ!」
「私のパンティの中に出して! 私のパンティに! 今よ! 出して!」
ちょうど間に合って、ブルースはペニスをパンティで包み、そのシルクの濡れた布地の中に精液を放った。
やがて呼吸が元に戻り、オーガズムから回復すると、ブルースは顔を上げた。そこには彼を微笑みながら見ているリンダの顔があった。
「すごい見世物だったわ!」
その瞬間、ブルースは恥辱を感じたと言うだけでは、言葉が足りなかっただろう。自分はここまで矮小な存在になってしまったのだろうか。彼は、目を伏せ、妻の面白がってる視線を避けた。
「あなた? お願いがあるの… 申し訳ないけど、それ、シンクで洗ってきてくれる? いいでしょう?」
「ああ、いいよ」
リンダの願いはブルースにとって幸いだった。彼女の前から一時的に姿を消す口実ができたからだった。ゆっくりと歩いてバスルームに入り、シンクに水を貯めた。
「あっ、そうだ… あなた?」 寝室からリンダの声が聞こえた。
「何だ?」
「ついでに私の新しいストッキングも洗ってくれる? シャワーのドアに掛ってるはず… お願いね、ありがとう… おやすみなさい」
ブルースはドアに掛ったナイロン・ストッキングを取り、シンクに入れた。パンティやストッキングを洗いながら、彼は思った。…そう言えば、リンダがこの新しいランジェリを着てるところを俺は見てなかったなあ。見たのはジェイムズだけだ…
ブルースは顔を上げ、目の前の鏡を見た。顔面がまだ濡れていたし、髪の毛もべったりと頭についていた。ブルースはジェイムズのことを思い、そしてリンダのことを思った。