それから2日過ぎた。僕たちの仕事は進捗していたが、ディアドラは、僕が気が散っていることに、だんだん居心地の悪さを感じてきているようだった。実際、僕は彼女と同じ部屋にいる間ずっと勃起を続けていたのである。どうしても収まらないのだ。 火曜日と水曜日は、僕は緩めのズボンを履いていった。そうすれば、その中のことがあまり目立たなくできると思って。だが、それも無駄だった。いくらゆるいズボンを履いて行っても、目立つものは目立ってしまうからである。ずっと勃起し続け。どんなことをしても、それは変わらなかった。 正直に言うと、僕は、可能な限り機会を見つけては自慰をすることで、ディアドラの影響を和らげようとしたのである。実際、自慰をしなければいけなかったのは本当で、さもなければ、青い玉( 参考)、つまり睾丸の痛みの末期症状で死んでいたことだろう。仕事に行く前にまずは自慰をし、復帰するまでいくらか時間が持つだろうと期待する。だが、ディアドラの全身が目に入った瞬間、早速、息を吹き返してしまうのだった。 僕は、人を笑わせようとして、こんな話しをしているわけではない。決して満たされることがない興奮という苦しみを味わっていたのだ。 水曜日の朝も、月曜と火曜日の繰り返しだった。しょっちゅう、気が散って、いらいらし、居心地が悪く、その結果、会社とBRMCの仲介役としての仕事が、総じて完璧にはできずにいたのである。 昼になり、ディアドラは、この建物の別の部署で働いている別のBRMCの人とランチに出かけた。僕は自分のデスクでサンドイッチを食べていた。もう死んでしまいたいと思っていた。 ディアドラがランチから帰ってきた後、再び会議室で仕事が始まった。僕は先に会議室に入って待っていた。ディアドラの圧倒的女性美の影響が及ばず、自由に行動ができる間に、いくらからでも仕事をしておこうと、ノートパソコンを前にしていた。 ディアドラは部屋に入ってきて、僕に力のない笑みを投げかけ、そしてドアを閉め、鍵をかけた。ああ、とうとう来たか、と思った。彼女は僕を叱り付けるに違いない。 ディアドラは僕を見て言った。冷たい表情ではなかった。 「アンドリュー、話しがあるの」 他の人は皆、僕のことをドリューと呼ぶ。僕のことをアンドリューと呼ぶ人はただ一人、僕の母親だけだと思う。今、ディアドラは僕をアンドリューと呼んだ。これもまた、望んでいない、気が散る要素だ。僕は気持ちが散らないよう努めた。 「何か問題でも、ディアドラ?」 「アンドリュー、あなた私と仕事をするのがイヤなの? 月曜の朝からずっと、神経の束みたいにいらいらしているじゃない。あなたの仕事仲間から、あなたが普段は落ち着いて、自信を持って仕事をする人間だと聞かされていたわ。あなたと仕事をして楽しいのだけれども、だんだん、あなたがここ以外の場所に行きたがっているように感じているのよ」 僕は素早く頭を振った。「それは違う、ディアドラ。僕も本当にあなたと一緒に働いて楽しんでいるんだ!」 ちょっと待て。少し力を入れすぎて言ったかもしれない。 彼女はまた悲しそうな笑みを見せた。
しばらく経ち、僕たちはあらためて目を覚ました。僕は、ベッドから這い出て、ドレッサーの引き出しを開けた。パンティを脇によけ、BVDのパンツを持ってバスルームに行った。体に石鹸を塗りつけていると、体中で、毛がちくちくとするのを感じた。体毛が伸びてきているのだろう。これはちくちく痛いし、痒くなりそうだ。僕は、後先のことを考えず、かみそりを手にし、伸び始めている体毛をすべて剃った。肌がつるつる、すべすべになる。さあ、これで良い。 シャワーを止め、バスタブから出た。カウンターからタオルを引っ張って取ると、床に黒いレースのパンティが落ちた。それを拾い上げ、カウンターに置いたのだが、持ってきたはずのBVDがなくなっているのに気がついた。他に持ってきた衣類も見えなくなっている。 その代わりに、ドナの化粧セットが椅子の前、ふたが開いたままで置かれていた。僕はもう一度、パンティを手にした。とても可愛く、繊細な感じだった。僕は、今日は、パンティを履かないつもりだったのだが、手にしているうちにどうしても着てみたくなってしまった。 腰をかがめ、脚を通してみる。その生地は、毛を剃ったばかりの脚には実に官能的だった。同じく毛剃りしたばかりの下腹部とお尻を、その滑らかな生地で包んだ。素敵な肌触りだし、デザインもそそられる。ペニスが息を吹き返してくるのが見えた。 あらためてこの2日間の行為を思い出し、信じられない気持ちになる。体全体が火照った感じになり、目覚めた時に思った決心が融けていくのを感じた。カウンターの上、ふたが開いたままの化粧セットを見て、顔につけてみたいという圧倒的な衝動がこみ上げてくるのを感じた。 ペニスが、また、ぴくんと跳ねた。僕は化粧台の椅子を引き、鏡の前に座った。 ドナとゲイルがしたことを思い出し、まずは軽くファンデーションをつけた。次に目に取りかかり、形を整えた眉毛を際立たせ、まぶたにアイシャドウを塗り、マスカラで注意深く広げた。目のところが充分女性的にいきいきした感じにさせた後、頬紅を頬骨の上のところにつけ、そして暗赤色の口紅をつけて仕上げた。ドナやゲイルがしてくれた時より、かなり派手目の顔になってしまった。あのような軽いタッチが欠けている感じだった。それから、お気に入りになってきているボディー・スプレーを体につけた。 寝室に入ると、ベッドの上に衣類が置いてあり、ブロンドのかつらが、丁寧にブラシされて、スターの頭を模ねた発砲スチロールの置物に乗せられていた。僕は黒いレースのブラジャーを取り、見てみた。ドナのブラよりは小さいカップだった。両腕をストラップに通し、身につけてみた。背中に手を回し止めようとしたが、ホックに届かないことに気づいた。そこで一旦、外し、腰のところに反対側にして巻きつけ、ホックを止め、それから後ろに回して、装着しなおした。すべて、完璧にフィットしているように感じた。 鏡を見ると、そこには、黒レースのパンティとブラジャーを身につけ、顔に化粧をした自分が立っていた。僕はいてもたってもいられなくなった。急いでドレッサーのところに行き、ブロンドのかつらを取り、慎重に頭に載せた。髪の毛を調節して、自分の愛らしい顔を取り巻くようにセットし、唇を尖らせて、キュートな表情を作ってみた。軽く頭を振って、髪の毛が肩をさわさわと擦るのを感じ、金色のヘアが自然な形で顔の回り、ふわりと広がるのを見た。にっこりと笑うと、自分がまるで男性を誘惑している娼婦になったような気がした。鏡の中の自分に投げキスをし、ベッドのところに戻った。 ガーターを取り、それを身につける。ストッキングを巻き上げ、つるつるの脚に滑らすようにして、履いていき、手のひらを這わせて、しわを伸ばす。爪にはまだピンクのマニキュアが残っていた。両手を前に突き出して、その爪を眺めた。
翌朝、マークとトレーシーに朝食を出し、2人の世話をした後、ベッドに入ったままのローレルのところに朝食を持っていった。ローレルは、メイド服を着ている私を見るなり、驚いていた。 「メイドをしているって冗談じゃなかったのね」 「ええ、本当ですよ。私のユニフォームいかがです?」 そう言ってピルエット( 参考)をして見せた。 「うふふ・・・とってもセクシーよ。あなたをベッドに押し倒して、一発やりたくなってしまったわ」 私はちょっと媚びた笑みを見せながら言った。「今日は仕事がたくさんあるの。だから、今はダメよ」 ローレルは私の太ももを、さっと触った。「我慢しようとはするけど、約束はできないわね」 ローレルはお昼頃までは、確かに我慢してくれた。彼女は、小部屋でほこりを拭いていた私を見つけ、いきなりテーブルに私を押し付け、後ろから襲い掛かった。メイド服を着たままの私をテーブルに覆いかぶらさせ、ソング・パンティの股間部分を脇にずらし、彼女のクリトリスを私の中に入れてきた。前戯なしで、されたのは、この時が初めてだったけど、実際、とても興奮し、2人ともあっという間に達してしまった。ローレルは私のお尻の中に、私はパンティの中に射精した。 ローレルは射精を終えると、私にキスすらせずに、部屋を出ていってしまった。私は自分の寝室に戻って、体を洗浄することしかできなかった。それに下着も新しいのに変えた。このときの出来事については、私もローレルも、何も話さなかったけれど、それから毎日、お昼近くになると、ローレルは私を見つけ、その度、私の体を使っていった。私自身、毎日、お昼近くの時間を楽しみに待つようになっていった。夜はと言うと、ローレルが私と一緒のベッドに寝るときは、彼女はとても愛情深い愛し方をしてくれていた。けれど、昼間は、私の体を、まるで召使のように扱っていた。 ある日の夜のことだった。その夜は私とマリアだけで寝ていて、ローレルはいなかった。彼女はトレーシーとマークのところに招待されていたのだった。マリアが、ヘレンにやきもちを焼いた気持ちが分かったような気がした。ローレルのことを羨ましいと思ったから。ローレルがマークたちと同じベッドにいるから羨ましいのではなく、私がマークたちのベッドにいないことが辛かった。マークの素敵なペニスを入れてもらえたらと、寂しく感じていたから。
「シルクの囁き、ラベンダーの香り」 第8章(最終章) Chapter 8 数週間後・・・ ジャネットは、愉悦に満ちた笑みを顔に浮べていた。その笑みは、決して途切れることがない。そして彼女の両手は、自分の股間に埋まっている頭を押さえていた。 舌が、膨らんだ陰唇の間を滑り、クリトリスへ向かって舐め上がるのを感じる。ジャネットは、すでに3回、クライマックスに達していた。そして今は、次のオルガスムに向かって急速に高めれられているところだった。 今やジャネットは、いくらセックスをしても飽きることなど、ありえなくなっていた。クリスは、これまで隠れていたジャネットの中の何かを解き放ってしまったようだった。ジャネットは、突然、快感を受ける方向と快感を与える方向の両方向で、性的快感を要求してやまない女に変貌したのだった。 クリスと愛し合った2日後、ジャネットはウェインと真摯に話し合うことにした。彼女は、ウェインに、2人の性的関係に関して彼女が抱いている欲求に応じて欲しいと語った。さもなければ、2人の関係は続けられないと。ジャネットは、正直に、自分がオーラルセックスを求めていること、そして、セックスをするときにはコンドームを使わないで欲しいと、伝えた。 ウェインは、ジャネットの要求のすべてに関して、あっさりと、それに応じると答え、彼女をこの上なく驚かせた。ウェインは、ちょっとした急かし、あるいはジャネットからの最後通牒のようなものが必要だったらしい。 まさにその夜、ウェインはジャネットにクンニリングスを行い、直接、射精し、彼女の子宮に体液を注ぎ込んだ。彼もジャネットと同じく、性に関して、いくら行っても飽きることなどありえなくなっていた。 「ああ・・・いい・・・もっと私を食べて。貪って! ああ、すごく上手よ」 ジャネットはウェインの頭を股間に引き寄せながら、喘ぎ伝えた。股間を彼の顔にぐいぐい突き上げている。それから何秒もせずして、ジャネットは再びクライマックスに達し、ウェインの顔にジュースを振りまいた。 オルガスムによる体の震えがおさまると、ジャネットはウェインの体を引き上げた。 「今度は、あれを入れて・・・あなたのを私のあそこに」 ウェインは喜んで求めに応じた。ジャネットに覆いかぶさり、唇にキスをしながら、いきりたつ武器をバギナに導きいれた。ゆっくりと、生肌のペニスをジャネットの中、奥深くへと差し込んでいく。互いに性的欲望を隠したりせず、求め合い、愛し合った。ウェインは、ジャネットが再びオルガスムに達するまで、射精を堪えた。 ウェインが直に体の中に注ぎ込むのを受け止めながら、ジャネットは彼の体をきつく抱きしめ、キスを求め、舌を絡ませた。 セックスの余韻に浸りつつ、寄り添って横になっていたとき、ウェインは、ジャネットに再びプロポーズした。ジャネットは目に涙を溢れさせながら、イエスと答えた。
水曜日:個別カウンセリング 「ご主人は、悲嘆の5段階( 参考)というのをご存知ですか?」 「ええ、とても大雑把にですが、知ってると思います。1つか2つ、記事を読んだことがあります。でも詳しいことは知りません」 「そうですか、ちょっと簡単に説明させてください。その5段階とは、まずは『否認』段階。その段階では、親しい人を亡くす経験をした人は、『違う、これは自分のことではない・・・こんなことが自分に起こるはずがない』と言うのです。次が・・・『怒り』。残された人は、どうして? どうして自分なんだ? と問う。・・・」 「・・・その後に来るのが『取引』段階。その段階では悲嘆にくれた人は、神に、もし愛した人を生き返らせてくれたら、もっと善良な人間になると誓ったりします。その段階が過ぎると、『抑うつ』の段階が来る。悲しみに打ちひしがれた人は、愛した人はもう戻ってこないと認め、何もできなくなる。そして最後に、『受容』段階になります。自分の人生を進みだそうとする段階です」 「なるほど」 スティーブは平然としていた。 「そこでですが、愛する人を亡くすことと、愛する人を不倫で失うことの間に類似点があると思いませんか?」 ヒューストン氏の質問は直接的だった。 「まあ確かに」 スティーブは、意に介さぬ風に答えた。「きわめて当然ですね。僕のような素人にも分かりますよ」 ヒューストン氏は鼻を鳴らしながら答えた。「驚かれているんじゃないんですか? この5段階の話しを聞かされると、自分のこととは考えず、別の世界の人のことと考える人がいるのですが」 スティーブは、ほのかに笑みを見せた。 「それで、あなたは僕がどの段階にいると?」 「それを答えるのは私ではありませんよ。私たちはずっとこのことについて話し合ってきたのです。・・・もっとも以前は、ちょっと脱線気味でしたが。ご主人、あなたは今はどの段階にいるとお思いですか?」 スティーブは頭を振って、鼻をすすった。 「まあ、確かに怒ってはいますね。この上なく腹を立てているし、その状態はすぐに変わるわけでもなさそうだ。・・・でも、それと同時に、僕はすでに、自分の結婚は終わったという事実を受け入れているんです。ですから、怒りの段階であると同時に、最終段階の受容の段階にも来ていますよ・・・」 「・・・僕の望みは唯一つ、残りの人生をうまくやって行きたいということです。なのに、今は、このいつまでも終わらないカウンセリングを延々と続けて、そこで停滞している。すべてのことを、何度も何度も話し続けているだけ・・・」 スティーブはヒューストン氏を見た。ヒューストン氏はスティーブの目に険悪な色が浮かんでいるのを見た。スティーブは荒い調子で言葉を続けた。 「・・・否認の段階などとっくの昔に終わっています。バーバラが昔のボーイフレンドと会っているのを見た時に、すでに怒って、彼女を見捨てていたんだ、本当は。その時に、彼女を取り戻すべきじゃなかったんだ。というのも、その結果、僕は、さらにもう2回も陰鬱状態にさせられたのですから。取引もしましたよ。神とではなくバーバラとですが。今回だけでも彼女を許せば、彼女もより善良に変わって、2度と僕の信頼を裏切らないだろうと信じてね。その信頼は、2回とも裏切られましたよ・・・」 「・・・ヒューストンさん。僕の状態を言いましょうか? 僕は、時に怒りの段階にあり、ほとんど自殺したくなるほど、抑うつの段階にもあるし、いつも否認を続けている。そして同時に、不実で嘘つきの妻とは離婚しなければならないという運命を受容して、完全に納得もしているのです。取引に関しては、どんな理由であれ、妻とも、他の誰とでも、まったくする気はありません」 スティーブの話しを聞きながら、ヒューストン氏は次第に顔を不機嫌な表情に変えていった。浮気問題が起きた場合、裏切られた配偶者を説得し、夫婦関係を守るために、裏切ってしまったものの、それを後悔している、もう一方の配偶者と協力し合って、夫婦関係を守っていくようにさせるチャンスが、いかに小さいものであれ、存在するのが普通だ。ベルン・ヒューストンは、スティーブとバーバラが、すでに、関係修復のための重要な時期を過ぎてしまっているのではないかと不安に思った。良い展望が見られない。スティーブは守りの姿勢になり、かたくなに自分の立場を通し続け、気持ちを曲げる兆候を一切見せていない。 ヒューストン氏は、落胆し溜息をついた。最近、溜息をつくのが多くなっていると感じた。だが、何とか修復に向けて取り組んでいかなければならない。ヒューストン氏は、静かな口調で問いかけた。 「嘘の部分について取り組むのはどうでしょう?」 スティーブは肩をすくめた。 「取り組むって、何のために?・・・嘘をついているのは僕じゃないのですよ。カウンセリングを始めてから、僕はあなたにも、バーバラにも、真実でないことを話したことはありませんよ」 「ええ・・・つまり、もし、私がご主人に、奥さんが事実を語っているという、明白で否定できない証拠を提示できたら、どうでしょうということなんですが・・・先週、木曜日に奥さんが、2回しか、性的な・・・なんと言うか、性交渉がなかったと言った件についてです」 スティーブは、興味を示した。・・・少し疑っている顔ではあるが、ともかく興味を示した。 「どうやって?」 「奥さんは、この月曜日にここに来たとき、ポリグラフ・テストを用意して欲しいと、私に頼んだのです・・・」
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