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寝取られの輪 1 (11) 

ブルースたちはレイチェルに連れられ廊下のような場所を進んだ。腰掛ける場所もあって、そこも薄暗い照明になっていた。一組の男女が隅のソファに座って、何か囁きあっている。

その廊下のような場所を過ぎ、かなり大きな部屋へと入った。パーティ会場とも、あるいは巨大なリビング・ルームとも言えそうな部屋だった。腰掛けるような場所が5箇所、小さなコーナー・バー、ダンスフロア、ソファも複数あり、部屋中に鉢植えの植物が置かれていた。ろうそくとソフトな音楽が、部屋の雰囲気を盛り上げていた。

部屋の一面はフランス式ドア(参考)になっていて、外のパティオと照明が施されたプールに通じている。部屋には20名ほどの人がいた。大半が、小さなグループに分かれてまとまっていた。

「リンダ!」

声をかけたのはマリイだった。

「まあ、マリイ!」 リンダも気づき、二人は抱き合って挨拶した。

「とうとう、ここに来る気になったのね。すごく嬉しいわ。それにあなたも、ブルース」 マリイは意味深な笑みを浮かべてつけ加えた。

「ジムはどこに?」 ブルースは、誰か知り合いにすがりつければと期待して言った。

「あのね・・・」とマリイが答えた。「実のところ、ジムはパティオに出て、輪の中にいるのよ」

「それって、つまり・・・」 リンダが口を挟んだ。

「その通り! ちょっと待ってて。紹介するから。動かないでね」

マリイが離れていくのを見ながら、ブルースはリンダの肩に腕を回し、抱き寄せた。自分の妻であることを示すようなそぶりだった。

だが、リンダは、マリイが20代のハンサムな黒人男性を連れて戻ってくるのを見て、身体を振って、肩からブルースの腕を払いのけた。

「まあ・・・」 リンダは思わず小さな声を漏らした。

「リンダ? こちらがミッチェル。ミッチェル? こちらがリンダ。私の一番の親友なの」

「おや、おや、おや!」 男は、リンダの顔からつま先まで身体全体を、あからさまにじっくりと見ながら、嬉しそうに言った。「マリイの友人は、どの人も・・・」

「で、こちらがブルース」

ブルースは男と握手した。男はブルースの手を強く握った。その握る強さは、ブルースに苦痛で泣き声をあげさせるほどではなかったものの、どちらの男が強いかを分からせるには充分だった。

「リンダ?」 マリイは、いつもの彼女らしく、息を切らせて、興奮した口調で続けた。「私について来て! あなたにある人を紹介したいの」

マリイと男に連れられてリンダが歩き始めた。ブルースもその後ろをついて歩き始める。だが、それを見てマリイは立ち止まった。彼女の立ち止まっている時間は不自然に長く、ブルースをくじけさせるような雰囲気があった。

「ブルース? 悪いけど、ここで待っていて。いいわね? またリンダに会えると約束するから」

リンダは不思議そうにマリイを見たが、彼女が、事実上、ブルースに「待ってなさい!」の命令を与えたことに文句は言わなかった。

マリイはリンダを連れて部屋の隅へと向かった。そこでは、何人かが小さなグループをなして、立ちながらおしゃべりをしていた。マリイは、その仲間に加わることはせず、ある背の高い黒人男性の肩を軽く叩き、こちらを向くように合図を送った。

リンダは、振り向いた男を見た。30代半ばと思われる非常にハンサムな男で、スポーツマンの体格をしている。男は、リンダの姿を実に長々と眺め、そのことで、リンダは顔を赤らめた。

マリイが言った。

「ジェイムズ? こちらが私の友達のリンダ。彼女のことは前にあなたに話したわよね? リンダ? 彼はジェイムズ」

ジェイムズはリンダの手を取り、優しく握った。

「おい、おい、マリイ? 彼女、君の言っていた人とは違って、ずいぶん素敵な人じゃないか」

「初めまして、ジェイムズ」 リンダは挨拶しながら、急に体じゅうが熱を帯びてくるのを感じていた。顔が赤くなってないようにと心の中で願った。

「ねえ、リンダのお相手をちょっと頼んでもいい? 私、旦那を何分か輪から出してあげなきゃいけないの」

「もちろん!」 とジェイムズは言い、リンダにウインクをした。「充分にお相手させていただくよ」

マリイがパティオの方に去っていくと、ジェイムズは部屋の向こう側のラブシートにリンダを連れていき、そこに一緒に腰を降ろした。座ると、二人の脚が接触する状態になった。リンダは彼の脚から熱が伝わってくるのを感じ、ほてりを鎮めるため、シャンパンを一口すすった。

「で、旦那はどこにいるの、リンダ?」 

「ドアの近くに座ってこっちを見てる人がいるでしょ? あれが私の夫よ」 とリンダは笑った。

「なるほど。君の旦那は、このパーティのルールを知ってるんだよね?」

「ええ、全部、知ってるわ。うふふ・・・」

「そう・・・リンダ、君はここにものすごく馴染むようになると思うよ。それに、ここに来て本当に良かったと思うようになるとも思う」

「ほんとにそう思う?」 リンダはちょっと誘うような感じで聞き返した。男との会話の雰囲気に溶け込んできているようだった。

「ああ、もちろんさ。特に、旦那も一緒に連れてきた以上、大丈夫だよ。何なら、今すぐ、旦那も混ぜてみてもいいぜ」

「どういうこと?」

「まあ、見てなって」

ジェイムズはブルースの方に目をやり、人差し指を使って、呼び出す仕草をした。ブルースは、合図を送られているのが自分なのか分からないかのように、あたりを見回した。それから、顔に問いかけるような表情を浮かべ、自分の胸を指差して見せた。

ジェイムズは頷いた。

ブルースは立ち上がり、こちらに歩き始めた。だがジェイムズは手のひらを掲げて見せ、歩いてくるブルースを制止した。ブルースは迷ったような顔をした。ジェイムズは自分が持っていたシャンパン・グラスを掲げ、もう一方の手で円を描くような動きをし、ブルースにシャンパンのお代わりを持ってくるように伝えた。

ブルースは顔をしかめたが、ゆっくりと向きを変え、バーの方へ向かった。

「すごーい!」 リンダが言った。

「どうして? 俺はこれからあいつの奥さんを天国に登らせてやるんだぜ? あいつは、少なくともお代わりを持ってくるくらいするのが当然だろ?」

「うふふ・・・」

リンダは、彼の自信に満ちた態度に笑い出した。この男は、私が本当になったらいいのにと期待し始めたばかりのことを、すでに当然のこととみなしている。

「ずいぶん、自信を持っているのね?」 

「間違っちゃいないと思うよ。君は、今夜が終わるまでに、確実に、幸せに満たされた女性になっているはず。君には、確実にまたこのパーティに来る気持ちになった上で帰ってもらいたいからね」

「どうかしら? うふふ・・・」


[2010/01/05] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

ポルノ・クイーンの誕生 最終章 (10) 

レストランに入り、他の人に話しが聞かれないように、ひとつブースを開けて、席についた。早速、マークがトレーシーに訊いた。

「今日、写真撮影をしたって聞いたけど、どんな具合だった?」

「うまくいったわ。もっと言えば、最高だったわよ」

「ステフィにどんなことをするか話して欲しいと言ったときは、別に、写真撮影をしてみようとまでは意味していなかったんだけどなあ」

そうマークが言うと、トレーシーはくすくす笑った。

「でも、写真撮影をしちゃダメとも言わなかったでしょう? それに、彼女にこの仕事がどんな世界かを教えるのに、実際に体験させることより良い方法はないと思うし。もし、ステフィが怖がったり、身を引きたいと思ったなら、その場合は、ちゃんと止めるつもりでいたわ。撮影の間、ずっと現場で彼女を見守っていたの」

「オーケー、分かった。でも、ステフィに出版許可のサインはもらった? マイクが、ステフィに許可書にサインしてもらっていないって、大騒ぎしていたんだ」

トレーシーはマイクにちょっと腹を立てているように見えた。「マイクは、いつも、何かについて大騒ぎしているのよ。大丈夫、ステフィはちゃんと許可書にサインするから。たとえ、彼女がサインしないとしても、写真を削除すればすむことだし。たいした問題じゃないと思うわ」

今度はマークがくすくす笑った。「まあ、確かにそうだな。でも、マイクのおかげで僕たちが法的な問題を抱えずにすんでいるのも事実だよ」

マークは私に顔を向けた。「それで、ステフィ? どうだったかな?」

私はにっこり笑って答えた。「とても楽しかったわ。明日もできるかしら?」

「アハハ、明日は無理だよ。明日は、君には待機していて欲しいんだ。あさっては、カメラの前に出てもらうよ。6人、他の女の子たちがホテルに来てチェックインするから、その子たちと一緒に演じてもらいたいんだ。あさっての午後に、君にセックス・シーンを試してみるつもりだ。すべて順調に進んだらの話だけど」

食事の間、トレーシーは、マークばかりでなく、ヘレンやマリアにも、私の写真撮影の間にあったことを話していた。特に、クリスにわざと嫉妬で乱暴に振舞う演技をさせ、私を驚かせたところを話し、笑っていた。私が驚いた表情を顔に浮かべるようにさせたかったからと言っていた。トレーシーは、望んでいた私の表情を確かに撮ることができたと言っていた。

食事を終え、みんなでホテルに戻った。

マークは、その日に撮影したものを検討する仕事が残っていた。トレーシーもマークに付き合って、仕事場へと付いて行った。多分、マークは私が映った写真も見ることになるだろうと思った。私とマリア、そしてヘレンは、部屋に直行せずに、バーに寄ることにした。音楽が鳴っていて、ダンスができるかもしれないと思ったから。

カウンターで飲み物を受け取り、3人でテーブルに腰を降ろした。バーには30人くらい人がいた。クルーが何人かいて、残りは役者やエキストラの人たちだった。そのバーは、基本的にはピアノ・バーのようなところだったけど、ピアノは置いてなく、代わりにスピーカーから音楽が流れていた。スローでソフトな曲で、何人かダンスフロアで踊っている人もいた。

バーに入ってすぐに、クリスが私たちのところに来て、私をダンスに誘った。私は、最初、断ろうと思ったけれど、ちょっと考え直して、一緒にダンスすることにした。

クリスはダンスは上手だったけれど、踊りながら手で私の身体をまさぐり続けた。彼と踊るのは一曲だけにし、私はすぐに席に戻った。ベッドの中や撮影の間に、身体をまさぐられるのはアリだろうけど、ダンスフロアでそれをされる理由はない。

クリストのダンスはやめたけれど、ダンスをまったくしなかったわけではない。実際、電気関係のクルーの一人、それに音響関係の人ともダンスをした。だけれども、大半は、ヘレンかマリアと踊っていた。私たちは、ダンスをしたり、おしゃべりをしたりして10時あたりまで過ごし、そこでお開きにすることにした。マリアは、翌日、早くから仕事が入っていた。

バーを出ようと私たちが腰を上げたとき、ちょうど、ビルがバーに入ってきた。前にビルと私たちが遊びに出たときは、彼はバギーパンツを履いていたけれど、今は、別の服に着替えているのに気がついた。それに、今日、仕事中に着ていた服とも違う。

今日の仕事中には、彼は、ぴっちりとしたジーンズとポロシャツの格好だった。今は、ファッショナブルなスラックスと、ボタンダウンのシルク・シャツを着ていた。もはや、私はビルのことなんか気にしないつもりでいたけれど、とても似合っていて、素敵だと思わざるを得なかった。

[2010/01/05] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)