ケイトは俺の手を握り、二人一緒にステージから降りた。二人とも素っ裸のままだ。ケイトに連れられて、螺旋階段に戻り、そこを上がって彼女のオフィスに戻った。
ケイトはドアを閉め、俺の方に振り返り、キスをした。実に優しいキスだった。それからデスクに戻り、腰を降ろして言った。
「あなた、合格よ」
それからデスクの一番下の引き出しを開けながら言った。「もう服を着ていいわ」
俺は服を着て、デスクの前に座った。ケイトは封筒をひとつと他のものを2、3、俺に渡した。
「これは、あなたのIDバッジ。クラブに入るときは、これをつけてくること。もし、このクラブに連れてきたいと思ったゲストがいるなら、その人には、このゲスト・カードを渡すこと」 ケイトはタバコに火をつけながら言った。
ケイトはまだ全裸のままだった。タバコをふかす彼女の肌、俺のスペルマが乾き始めてるのが見えた。
俺は膝に金色の封筒を乗せ、ケイトを見上げた。それにしても、俺はずいぶん多量に出したようだ。彼女の全身に降りかかっている。片方の乳首リングは完全に白濁で覆われていた。そこの滴がたらりと伸びて、今にも彼女の膝に落ちそうになっている。
ケイトは、タバコを深々と吸い、口の脇からふーっと吐き出した。そしてちょっと動きを止め、俺の目をじっと見つめた。
「入り口はレストランの裏手にあるわ。IDカードを使えば最初のドアが自動的に開いて中に入れる。2番目のドアの前には警備係の男がいるから、その人にIDを見せること。そうすれば中に入れる」
ケイトはまたタバコに手を伸ばし、もう一服した。「何か質問は?」
俺は頭を振って、ケイトに渡された封筒に眼を落とした。
「指示や規則の類はすべて封筒の中にあるわ」 ケイトはそう言って、最後の一服を吸い、灰皿に押し付けて消した。
「ありがとう、ケイト」 俺はそう言って立ち上がり、握手をするため手を差し出した。
ケイトも柔らかでセクシーな手を差し出し、二人、握手をした。握手のときの振動で、彼女の乳房がぶるぶると揺れ、乳首から落ちそうになっていたスペルマが彼女の下腹部に落ちた。
ケイトは自分の下腹部に目を落とし、その滴を指ですくい取った。それから誘惑的なまなざしで俺を見ながら、その指を口元に近づけ、舌を出した。クリーム色のねっとりしたスペルマを指からぺろりと舐めとった。
「それじゃあ、また」
ケイトの別れの言葉に促されて、俺は彼女のオフィスから出た。レストランの中を歩き、外に出て、自転車のところに戻る。
ペダルをこぎ、家路に着いたが、自分がひどく疲労していることに気がついた。脚はがくがくしていたし、頭もぼんやりしている感じだった。
だが、家に向かって走りながら、またも素晴らしい計画を思いついた。この計画がうまく行けば、グラフ先生をクラブに誘い込み、一緒にステージに上がることができる。いまや俺はクラブの会員になったわけだし、必要な道具は全部そろっている。計画実現までは時間の問題だ。
それと同時に、あのレストランの向かいにあったコーヒーショップのウェイトレスのことが気になっていた。トリスタという名前だった。キュートな娘だった。明日の朝、またあのコーヒーショップに行ったら、彼女、俺のことを覚えていてくれるだろうか? デートに誘ったら、応じてくれるだろうか?
家に着き、音を立てないようにして中に入り、自分の部屋に戻った。俺は、崩れるようにしてベッドにもぐりこみ、あっという間に眠っていた。
つづく
「でも、あなたのような若い人が、そんな古くてよく分からない映画で何をしているの? あなたなら、もっと新しい映画が好きじゃないかと思うけど」 とドニーが訊いた。
僕は何と答えたらよいのだろう?
「僕はジョアン・ウッドワードはこの世で最も美しい女性だとずっと思ってきたんだ。それに、彼女は、僕のお気に入りの女優の一人だしね。彼女の映画は大半持っている。つい先日も、『イブの3つの顔』を見たばかりだ。それに2週間ほど前に、テレビでやってたドラマも観た。確か、『パッション』という題名のドラマだ。リチャード・クレンナが彼女の夫の役をしていた。その夫が死んだ後、ジョアンは夫が隠れて女と付き合っていて、息子までいたことを発見するというストーリーだった。浮気相手の女性はきれいな人だった。誰だか忘れちゃったが。多分、リンゼー・ワグナーだったと思う。だいたい35歳くらい。それで、ジョアンの方は多分60歳くらい。でも、歳なんか関係ない。何歳だろうが、僕ならジョアンの方を選んだだろう」
僕は、おどおどした顔つきになっていたと思う。
「ごめん。僕は話しが脱線してしまう傾向があるんだ。そうだよね? ジョアン・ウッドワードについて話し始めると、それがいっそうひどくなる。ジョアン狂みたいなものだから」
だが、ディ・ディもドニーも気にしていないようだった。
ドニーが言った。「アンドリュー、好きなだけジョアン・ウッドワードのことを愛してもいいのよ。私たちが彼女に似ていると思う限りは、いくらでも」
その頃には、3人ともデザートに何を食べようかと考えていた。彼女たちは何かフルーツ・タルトのようなものを注文した。僕は「デス・バイ・チョコレート」という名前の盛り合わせを注文した。
その名前を見て、あのホテルの部屋で情熱の嵐に揉まれた直後にドニーが似たようなことを言っていのを思い出した。あの時、彼女は「デス・バイ・ファッキング」と言った。それを聞いたとき、ドニーがどんな感じでいたか僕にもはっきり理解できた。というのも、僕も同じ気持でいたから。あの行為があまりにも強烈過ぎて、ほとんど死んでしまいそうな感じだったのだ。
そんなことを考えていたら、僕は、ほとんどこれ以上勃起できないほど固くなってしまった。もちろん、それをディ・ディが見逃すことなどなかった。案の定、これまでどおり、彼女の小さな手がズボンの上から僕の勃起を擦っていた。
この女性は、デザートを食べながら、会話を楽しみ、こんなに美人で、しかも同時に僕のペニスもなで続けることができる。彼女の才能には限界がないらしい。
そのディ・ディの瞳がきらりと輝いた。それに、あの可愛いえくぼも浮かんだ。
「アンドリュー? ここでも、また例の緊張状態を感じているんじゃない? あなたがもっと落ち着けるように、私たちにできることがあるかしら?」
「今、この場で、ということなら、今、僕が感じている以上に快適になれる方法はまったくないよ。別の時、別の場所と言うなら、確かに、もっと快適になれるようなことは考え付くとは思うけど。でも、ここではダメだ」
「その件については後で考えましょう。ともあれ、今は、私たち、あなたに話さなければならないことがいくつかあるの。ドニー? その件に入っていいわよね?」
「ええ。私も、アンドリューにすべてを話さなければならないって思っていたところ。今、この場で」
こんな素敵なレストランで、こんな素敵な料理を食べて、僕のお気に入りのシャンパンをすでに2本も空けて、しかもこの世で最も美しい女性が二人僕を挟んで座っていて(ジョアン・ウッドワードは別世界の人だからカウントしていない)、さらに、その美女のうちの一人が僕の勃起に手を添えていてくれている。人生はなんと素晴らしいんだろう。それなのに、彼女たちは真面目な話しをしたがっている。まあ、いいけど。
「僕に話さなければならないことって、何だろう? 君たちは、まだ僕に、何か深くて暗黒に満ちた秘密を隠しているということ、ディ・ディ? 君とドニーが双子だという事実だけだと思っていたけれど。それには、もっと他のことがあるのか?」
ドニーが頷いた。「単に双子以上のことがあるのよ、アンドリュー。私たちの家系には、双子の血が流れているの」