ブラッドは、またビデオを観ていたようだ。俺もソファに座り、テレビに目を向けた。二人で観ながら、雑談をした。
だが、スライド式のガラス戸の向こうを見たとき、俺は息が止まりそうになった。ブラッドの母親がいたからだ。ピチピチのビキニを着てうつ伏せになって日光浴をしている。しかも、日焼けのラインが出ないように、上のビキニは着けていないのだ! こっちに脚を向けて横になってる。
ブラッドがいる手前、テレビに集中しようとしたが、もちろん、あいつの母親のことが気になって仕方がない。
…ちくしょう! 今すぐあそこに出て行って、ステファニをガンガンやりまくれたらいいのに… 窓の外をちらちら見ながら、俺はそう思った。大きなビーチタオルを敷いて、その上にセクシーに横たわっている。気づくと俺はズボンの中、勃起をしていた。
しばらくすると、ブラッドが立ち上がり、「このビデオ、つまんねえな。俺はちょっとトイレに行ってくるわ」と言って出て行った。
俺の椅子の隣にある棚を見たら、古いアンティークの双眼鏡があった。俺は素早くそいつを取って、窓の外にレンズを向けた。ブラッドの母親に焦点を合わせ、すぐに彼女の脚の間を覗き込んだ。
「うわっ、すげえ!」
思わず小声を漏らした。股間の近く、足の付け根あたりに、ビキニの中から陰毛が何本かはみ出ているのが見えたからだ。
ビキニはかなりきつそうだ。そのおかげでドテの盛り上がりもはっきり見えた。胴体の方に目を向けると、うつ伏せになった身体の横、乳房が押しつぶされて、横にはみ出ているのが見えた。
その時、トイレの水を流す音が聞こえ、俺は素早く双眼鏡をもとに戻した。
ブラッドが戻ってきたが、俺の方は勃起が激しく、かなりやばい状況だった。窓の外をチラリと見ると、ブラッドの母親は背中に手を回し、ビキニのトップのホックを留めているところだった。その数秒後、彼女は立ち上がり、部屋に入ってきた。
「あら、ジャスティン、こんにちは」
ステファニはビキニ姿のまま、俺の向かい側にあるラブシートに座った。
「おじゃましてます」
俺は、挨拶しつつも、彼女がラブシートの端にセクシーな両足を乗せ、ぶらぶら揺らすのを見ていた。
そのゴージャスな脚にどうしても目が行ってしまう。昨夜、ケイトが俺に彼女の足指を吸わせたが、あの時以来、俺は足フェチになってしまったようだ。今すぐ、あのラブシートの横に駆け寄り、床に膝をついて、セクシーな足指をチュウチュウしたい。
もちろん、時々、目を避けて、テレビを見てるフリをしなければならないのだが、今度はステファニの胸が気になってきた。特に、ビキニの上からだというのに、はっきり大きな乳首が見えたときには、思わず生唾を飲み込んでしまった。
…ああ、何だあれは! ビキニをつけないときに見たら、どんななのだろうと思わずにはいられない。
それほど長そうな乳首だった。あんな大きな乳首は初めてだ。俺のちんぽがズボンを破って飛び出さなかったのは、奇跡だろう。
突然、ステファニはラブシートから跳ねるようにして降りた。
「お父さんが帰ってくる前に夕食の準備をしたほうが良さそうね」 と言い、俺の横を通ってキッチンに入っていった。
歩いていくステファニの後ろ姿に目を奪われた。パンツがずれて尻の割れ目に食い込んでいたからだ。尻頬の半分以上が露出している。
ステファニは優雅にキッチンへと歩きながら、指を一本、ビキニの中に差し入れて、生地を引っ張り、尻頬を隠した。うーん、美味しそうな尻肉だぜ。
その後、しばらくブラッドとビデオを見ていたが、やがて時間が遅くなっていることに気がついた。
「俺、そろそろ帰るわ」と言い、立ち上がった。
ブラッドにトリスタのことについて話したい気持だったが、あいつに邪念を抱かれてコーヒーショップをうろつきまわられるのも嫌だったので、しばらくは黙っていることにした。そのうち話すことにしよう。
玄関先で、じゃあ、またな! と挨拶知った後、自転車に飛び乗り家に向かった。ペダルをこぎながらトリスタのことを考えた。
…トリスタの父親が牧師だとはな!
いまやクラブ・カフスの正式会員になった俺が、牧師の娘とデートしようとしてるとは。思わず苦笑いをしていた。
彼は自分の中に隠し持っているものを本当に分かっているのだろうか? 分かってないと思う。私なら、彼を助け、導くことができる。彼は他の男とは違うのだ。私たちのアンドリューなのだ。彼は私の知っている他のどの男とも似ていない。
彼の自我は壊れやすく、自分のことをただの青二才だと思ってる。でも、そんなものとはまったく違う。私なら、そのことを彼に教えてあげることができる。私たちなら。私とディ・ディとで、教えてあげる。
アンドリューは、クリーブランドの郊外にある、何の変哲もないマンションに住んでいた。彼の部屋に入ったけれど、完全に予想していた通りの部屋だった。飾り気はまるでなし。機能一辺倒の居住装置そのもの。
アンドリューは、ちょっと恥ずかしそうに、家の中を私に紹介して回りった。二人で、彼の機能的だが平凡なリビングに入り、機能的だが平凡なソファに座った。部屋の中、彼のアイデンティティーを示す持ち物と言えば、壁一面に並んだコンピュータの機器類だった。サーバー、モニター、様々なものをつなぐ配線。誰でも、ここにはコンピュータ・オタクが住んでると分かるはず。
「ドニー、ごめんね。あんまりたいした家でなくって…。僕は物には執着がないだけなんだ。必要なものは手に入れるし、必要なものとして使うんだけど、物についてはどうでもいいんだ。そのことが、僕がこれまで女性とうまくいかなかった理由のひとつなんだろうな」
私はいぶかしげに片眉を吊り上げた。
「あらそう? あなたは、わたしが見た限り、接しているどの女性とも、とてもうまくやっているように見えるけど?」
アンドリューは少し微笑んだ。
「君の場合、僕が他の女性と接しているところを見たと言っても、ディ・ディと接しているところだけだから…。確かに君とディ・ディは違うし、それは君も知ってるけどね…。ともかく、僕の基準からすると、君たちはリッチなんだ。欲しいと思ったおもちゃは全部、すでに持っているに違いない。それを買うお金があるわけだから、当然、持っているはず。少なくとも欲しかった物なら、そうだと思う。だから君たちは、物質的な物を得るのに僕は必要ないはず。少なくとも、そう思っていてくれると助かるよ。仮にそうじゃないとしたら、君たちは間違った男を選んだことになる」
「あなた自身のことを説明してくれる? 青二才さん?」
「ドニー、僕は25歳だ。君にとっては、その年齢は、とてつもなく若いと映るかもしれない。でも、正直に告白すると、もし僕が本気で何か偉い金持ちになりたいと思ったら、僕はもうすでに最初の100万ドルを手にする道を順調に進んでいるはずだよ。でも実際にはそうはなっていない。というのも僕は偉いお金持ちになりたいという気持ちがないからなんだ。言ってる意味、理解できるかな?」
「なら、何が欲しいの、アンドリュー?」
「分からない。ただ、他の人が欲しがるものは、欲しいと思わないということだけは分かってる。勝った、負けたと得点をつけたいと思わないんだ。自分の経済力と他の人の経済力を比較したり、自分のおもちゃと他の人のおもちゃを比較したり…そういうのに興味がないんだ。前に、こんな言葉が書かれたステッカーを見たことがあるよ。『いちばんたくさんおもちゃを集めて死んだ人が勝ち』って。僕は勝ちたいと思わない。勝負をしたいとも思わない」
この人の精神は、その身体と同じく、その顔と同じく、ステキだわ。彼は、私たちと同類なのだ。私はそれを確信し始めていた。