これは興味深い。
「そういうのは何かで読んだことがあるよ。他の家系に比べて双子を生みやすい家系があるって。時々、双子にならない世代もあるとかということだよね?」
ディ・ディが言った。「私たちはそれとは違うわ、アンドリュー。いつも双子が生まれるの。例外なしに、必ず! 意味が分かってる? しかもいつも女の双子が生まれるのよ」
僕は少し混乱していた。
「文献で読んだのは、その特定の症候のことだったか、はっきり覚えていない。ともあれ、君の家系では、子供が生まれる時は、必ず双子の女の子が生まれる、とそう言ってるんだよね? それはちょっと信じがたい。ということは、君のお母さんも双子だったということ? ということは、君の母親と双子の伯母さんがいるんだね? それでいい?」
今度はドニーが応対に回った。
「ええ、ママは双子よ。でも伯母さんはいないの。キャミリア伯母さんは5歳の時、事故で死んでしまったの。ママはキャシーという名前なんだけど、未だに妹が死んでしまったことを嘆いているの。自分の人生には何か大切なものが欠けている感じがするっていつも言ってるわ。それほど、私たちは親密な関係なのよ」
僕は笑いだした。「ドニーにディ・ディ、それからキャミーにキャシーか。おばあさんの名前は何だろう? ベティかな?」
ディ・ディとドニーは互いに見合った。ディ・ディが言った。「言ったでしょう? 彼、頭が切れるって」
「頭が切れる? いや、今のはただのジョークのつもりだけど・・・え? まさか、その通りなのかい? おばあさんはベティという名前?」
「いいえ、ベティじゃないわ。ベティはおばあさんの姉の名前。おばあさんの名前はバーバラなの」
「分かったぞ。ということは、そのおばあさんの母親の名前はアンディだね? 当たった?」
「いいえ、アニーよ。アンディはおばあさんの母親の妹の名前」
「僕、君たち二人は変わり者すぎだって、言ったっけ? でも『変わり者』という言葉では君たちを表すには十分じゃない気がしてきたよ。それで、それじゃ、アニーの前は誰なの? もうアルファベットがなくなってしまうけど」
ディ・ディは何か意思を固めたような顔つきになった。
「その前には双子はいなかったの。アニーとアンディが最初だったのよ」
多分、このとき、僕は少し口をあんぐり開けていたと思う。
「ちょっと待って。君たちは、この双子問題は4世代前に始まったと言ってるの?最初に2人、次が4人、それから8人、そして今は16人いると? 僕をからかってるに違いない」
今度はドニーが返事した。
「いいえ、それほどクリアに進んでいるわけじゃないわ。途中、出産前に死んでしまった人とか他の事情が起きた人もいるから。D世代では私たちも含めて10人しかいないの」
「ということは、10人も女性がジョージア州を走り回っていて、みんなジョアン・ウッドワードに似ていると?」
ディ・ディは頭を横に振った。
「みんなジョージア州に住んでいるわけではないわ(ドニーと私はシンシナティに住んでいるけど)。それに、みんなが似た容姿をしているわけでもないの。私たちは双子であって、クローンじゃないから。女の子全員にどこか類似点のようなところがあるのは確か。でも、基本的に、私たちは、双子が4組と、片割れになってしまった者が2人なのよ」
「それで、次の世代はE世代になるということだね?」
僕は、この話しがいかに奇妙であっても、彼女たちに合わせて話しをした。
「ええ。次はE世代。この話し、どう思う?」 ディ・ディが僕に意見を求めた。
* * *
その3日後のことだった。
イサベラは廊下を歩いていた。すると、突然、大きな手が伸びてきて腰をつかまれたのだった。悲鳴を上げたものの、強引に狭く暗い部屋へと連れ込まれた。
イサベラはレオンの身体の熱を感じ、びゃくだんとムッとする男臭さが混じった匂いをかぎ、官能をくすぐられるのを感じた。ドアが蹴られ、背後で音をたてて閉まった。すぐに硬い壁のような胸板に押され、身動きできなくされる。
ほとんど息をする間もなく、唇に荒々しく唇を押しつけられた。それに押され、頭の後ろがドアに当たった。その間もレオンは無情にイサベラの口の奥へと舌を伸ばし、荒らしまわった。イサベラは口をふさがれつつも、か弱いうめき声をあげ、レオンの金色の髪の毛に指を絡め、引き離そうとした。
「イサベラ・・・」 レオンはイサベラのスカートの裾に両手をかけ、手繰り上げた。冷たい空気がイサベラの膝の間を吹き渡る。「・・・お前に触れたい」
レオンの手がスカートの中にもぐりこんだ。あの熱を帯びた場所を求めて進む。だが絹のシュミーズに指が絡まって進めない。
「くそっ」 苛立ったレオンは毒づきながら、イサベラのシュミーズを引きちぎった。その間も体を押し付け、彼女の首筋に顔を擦りつけていた。
イサベラは、二人の身体の間でレオンがシュミーズの薄衣を不器用に手繰るのを感じた。そして、その後、太ももの付け根、彼女の秘密の部分に火の如く熱く、脈動する硬いものがぐいぐいと突くのを感じた。
「レオン・・・」
イサベラはつぶやき、必死に理性を取り戻そうとした。だがレオンの唇が彼女の唇を再び奪い、またも痺れるような感覚に頭が麻痺していく。
「ん!・・・いや・・・」
イサベラはレオンが彼女の臀部を両手でつかんだのを感じ、唇を振りほどき、弱々しい泣き声をあげた。レオンは、下腹部で彼女の背後を扉に押しつけながら、イサベラを抱えあげた。
「両脚を俺の腰に巻きつけるんだ」
イサベラは抵抗することなどまったく頭に浮かべなかった。命令されたとおりに両脚をレオンの体に巻きつけた。身体が密着し、彼女のうち震える胸が固い壁のようなレオンの胸板に押しつぶされていた。その間もレオンの舌はイサベラの舌を愛撫し続けた。
やがて、イサベラは、滴をたたえた肉の入口をレオンが突くのを感じ、ハッと体の動きを止めた。
「レオン・・・」 彼の唇を振りほどき、力なくつぶやく。
「俺を許してくれ」
レオンはそう言って、唸り声をあげ、同時に肉茎をイサベラの奥深くへと一気に根元まで突き刺した。
イサベラは極太の肉茎に串刺しにされ、狭い肉壁がめりめりと拡張されるのを感じた。レオンが素早く引きに入った時にかろうじて息継ぎができたが、再び強引に突き刺される。
「レオン・・・お願い・・や、やめて・・・」
脚を激しく前後する彼の腰にしっかりと絡め、彼の体にしがみつきながら、イサベラは喘いだ。
「イサベラ・・・」 レオンは汗ばんだ額を彼女の額に押しつけ、うめいた。
扉に体を押し付けられ、まるで身体を引き裂くように鋭い突きを何度も受け止めつつ、イサベラは絶え間なく、悩ましい泣き声を上げ続けた。だが、彼女の肉体は、この残虐な抜き差しを嬉しく受け止めてたのは明らかだった。イサベラは、二人の身体が結合している部分に淫らに湿った熱が集中してくるのを感じていた。
「いや・・・やめて・・・」
口ではそう懇願し、意識の上では高まってくる快感の波とあらがいつつも、イサベラの女の部分の筋肉はレオンの分身を包み絞り、収縮を繰り返すのだった。
だが、この行為は、始められた時も唐突であったが、それと同じほど唐突に中断されたのだった。
「ちくしょう!」
レオンはかすれ声でうめいた。両手でイサベラの柔らかい尻肉をつかみ、指先を肉肌に食い込ませる。太い肉茎は彼女の熱く濡れた部分に完全に埋め込んだまま。
何秒か緊張間に満ちた時間が過ぎた。その間、レオンは自制心を求めて必死に内面で戦っていたのだった。一方、イサベラは、ただ彼にしがみついているだけだった。扉に体を押し付けられ、彼の脈動する肉茎で満たされている喜びだけを感じながら。
だが、恐ろしいことに、彼はゆっくりと彼女の中から抜け出ていった。無意識的に、イサベラの唇から惜しむような溜息が漏れた。
「行け」 レオンにはその言葉を言うのが精いっぱいだった。
床に下ろされ、イサベラは脚を震わせながら立った。レオンは、わざと彼女から顔をそむけた。
「俺の気が変って、お前をサカリのついたけだもののように犯す前に、出ていくんだ!」
イサベラは、振り返らず、部屋を飛び出た。
* * *