そして、突然、僕も肉欲に征服されてしまった。今や相手としている女性がディ・ディではないと知った事実と関係があったのだろうと思う。僕の身体は、彼女がディ・ディではないと知った上で、改めて彼女を自分のものにしたいと思い、動いていた。
二人とも激しく動いていた。激しく鋭い、淫欲に満ちた動き。その雰囲気がホテルの部屋全体に染み渡っていた。あまりにエロティックな状況だった。何で僕がそうなってしまったのか分からない。よく知りもしない女性だが、この女性の体内に僕の子種を植えつけたいと、それしか頭になかった。永遠に彼女を自分のものにしたい欲求に駆られていた。
1週間前には、僕は女性にまったく興味がなかった。それが今や僕は、ここにいる二人の美しい女性に対して、いくら奪っても奪い足りないと感じて、どうしようもなくなっているのだった。
僕はドニーにがんがん突き立てた。何度も、何度も。ドニーは、発作的にたびたび悲鳴を上げていた。そして、彼女が最後の叫び声を上げたのを受けて、僕たちは二人とも限界を超え、僕は彼女の子宮の奥へ激しく放ったのだった。
ドニーは、ぐったりと横たわったまま、「ああ、すごい、ああ、すごい」と、うわ言のように呟いていた。
終わった後、ディ・ディがようやく僕たちのところに来て、ベッドに腰をかけた。
彼女はまだ裸のままだった。僕はどうしても彼女の身体に目を釘付けにしてしまう。その美しさに見蕩れる。これまでディ・ディとは何度もセックスをしてきたのに、僕は、彼女のことをじっくり見る時間がほとんどなかったのに気づいた。ああ、何て美しいんだろう。
ディ・ディは、僕が彼女を見て反応しているのに気づいたようだった。それに、不満そうな様子でもなかった。多分、ディ・ディ自身が望む効果を僕が示すのを見たからだろうと思う。いったんディ・ディのことを抗えないと感じたら、もう、僕はどうしようもないのだ。反応してしまうのだ。ディ・ディには抗えない。
ディ・ディはドニーに話しかけた。
「ドニー? あなた、私たちの計画の予定よりちょっと先に進んだわね。第1段階から始めようとしていたのに、もう、第6段階に来てるじゃないの。でも、二人ともディナーに行かない? 私、お腹がすいたわ。ドニー、ごめんね。でも、お腹がペコペコで、アンドリューがあなたのあそこを舐めるのを待ってられないのよ。食事の後まで待ってくれる?」
ドニーが顔を真っ赤にさせた。いや紫色に近い。
「ディ・ディ! そんな恐ろしいことを言うなんて信じられない。アンドリューが私のことを誤解するじゃない?」
ディ・ディは笑った。
「アンドリューに誤解されるかもって、ようやく気になりだしたようね。納屋のドアを閉めてもいいけど、もう馬はとっくに外にでてるのよ。アンドリューは、あなたが淫乱だって、もうとっくに分かってるわ」
「ディ・ディ!! よくも私をそんなふうに言えるわね! 下品すぎるわ」
僕はドニーを抱き寄せ、なだめようとした。
「彼女、君のことを淫乱だと思っているようだね。でも、ドニー? ディ・ディは職場の会議室で僕にフェラをしたんだよ。君は、ディ・ディから淫乱になるレッスンを受けたに違いない」
今度、顔を紫色にしたのは、ディ・ディの番だった。
「アンドリュー! ひどいわ。そんな個人的なことを、彼女に言うなんて!」
僕は笑い、ディ・ディにも腕を伸ばし、抱き寄せた。左腕には、裸のブロンド美女、そして右腕には、もう一人、瓜二つな全裸のブロンド美女を抱きしめている。
「君たちが二人とも僕の淫乱ちゃんであるなら、他のことはどうでもいいや」
僕はそう言った。
つづく
窓からしか見たことがなかった壁に囲まれた庭園。その真ん中にある細い石板のベンチにイサベラは座っていた。考えごとに没頭していた。何時間も前に陽はすでに沈んでいたが、このように外気に触れながら座っていることに満足していた。彼女は、時が過ぎるのも忘れ、大小様々な生き物たちが夜の儀式を開始し、様々な音を立てるのを聞いていた。幽閉から開放された今、イサベラは再び生命を取り戻したような気持ちになっていた。
「ここに来ればお前に会えると思っていた」
太い声をかけられ、イサベラはハッと我に返った。そして、ゆっくりと後ろを振り向き、彼を見上げた。彼は彼女の真後ろに立っていた。
レオンは、彼を見上げたイサベラの瞳に、彼女が考えていたことをいくらか察知したに違いない。そしてイサベラも、レオンの金色の瞳の奥に後悔の念がちらつくのを見たように感じた。
イサベラは、目を逸らした。不安そうにうつむき、膝に両手をつき、紫色のシルクのドレスのしわを伸ばした。
ふと、背後から絹髪の中へ手を差し入れられた。髪を掻きあげられ、うなじに唇を当てられた。イサベラは小さく身を震わせた。
「お前は素晴らしい・・・」
熱い息を吹きかけられる。彼の指は肩先を通り過ぎ、胸元から彼女のドレスの中へと忍び込んだ。そのまま、シュミーズの中に潜む柔らかい乳房を捕らえる。
イサベラは、耳たぶを甘く噛まれるのを感じ、子猫のような声を上げた。官能的に耳たぶを歯で挟まれ、引っ張られる。それにより、足の間にも同じく官能的な疼きが生み出されてしまう。
「お前が欲しい・・・今ここで、この姿のままで・・・」
レオンは、指でイサベラの乳首をいたぶり、固くさせながら、彼女の耳元に囁いた。
「・・・このドレスの裾を捲り上げ、お前のあの柔らかな太ももを広げ、お前のあの狭い部分に突き入れたい・・・お前は俺を感じて濡れているか?」
レオンはベンチをまたいで前に移り、イサベラの前にひざまずいた。表情豊かなイサベラの顔を見上げながら、幾重ものシルクやレースのドレスの裾に大きな両手を差し入れ、スリッパ履きの小さな足に触れた。
イサベラは心臓が高鳴るのを感じた。もしレオンがスカートとペチコートを捲り上げたりしたら、自分の中核部が滴をたたえ、濡れていることを発見してしまうかもしれない。イサベラは下唇を噛んだ。
レオンの二本の手は、イサベラのふくらはぎを覆いながら忍び込み、より敏感な膝の裏側へと這い上がった。
「俺は向こうでお前のことをずっと見ていた。衣類を着たままのお前を奪ったら、どんな感じだろうと思いながらな」
レオンの手は前方に回りこみ、イサベラの両膝を掴んだ。そして、突然、力強く左右に広げた。イサベラは、ハッと息を呑んだ。
レオンの指先が、膝から太ももの内側を優しく引っ掻きながら中心部へ向かう。イサベラは、甘美なショックを受けつつ、囁いた。
「こ、こんなところで、ダメです・・・誰かに見られるかも・・・」
「うふふ・・・」
レオンがかすれた声をあげて笑った。そのときになって初めて、イサベラは自分の言った言葉が誘惑的に聞こえたことに気がついた。
「私が言ったのは・・・」
途中まで言いかけたものの、レオンが片手でスカートをゆっくり捲り上げるのを感じ、いうべき言葉があやふやになってしまう。
「うふふ・・・お前の言いたいことは分かっているよ。そんなに俺にお前の奥深くへ来てもらいたがっているとはな。実に、誘惑的だ」
「そんなことは言ってません。分かってるはず・・・」
イサベラは呟いた。
* * * * * * * * *
その頃、家の中では、リンダがマリイから実情について訊いていた。
「で、楽しかった?」 とリンダ。
マリイは、伝えたくて仕方なさそうに喜んで答えた。
「どれだけ楽しんだか、とても言い表せないわよ! それまで、自分は本当のセックスというものをしてこなかったんじゃないかって思ったわ。リンダ、是非、やってみなきゃダメ」
「その気がないとは言えないんだけどね。でも、ブルースを説得できるかどうか分からないの」
「冗談でしょう? うちの旦那のことも、あなたのご亭主のことも、私には分かるわ。こと、話がセックスのこととなったら、男たちはすぐに飛びつくものよ。そして、そのセックスが彼らには関係しないことと悟った時には、まあ、もう手遅れということね。その時点で、すでに後戻りはできなくなってるから」
「うふふ、まあ、そうね。この前の夜、ブルースばかりでなく私自身も驚くようなことしたの。彼にクンニをさせたの。パティオで!」
マリイは目を丸くした。
「パティオで?! 本当に?」
「ええ。もちろん、彼に毛布を被せて、隠してだったけど。最初はブルースもためらっていたわ。でも、あなたやサラが黒に染まった話しをしているうちに、すごく興奮してしまって、我慢ができなくなってしまったのよ」
「うん、想像できるわ」
「もっと言うと、私、命令口調で言ったの。『早く!』って、強く。そんな口調で言ってごめんなさいって謝ろうと思ったのね。そしたら、彼、突然、床に膝をついたのよ。すごく気が弱い感じになって。だから、そのまま彼にやらせたわ」
「すごい! 私もその場にいて見てみたかったわ」
「それに、あなたに分かるかなあ、私、その状況にものすごく興奮してしまったのよ。単に、ブルースにあそこを舐めさせたからだけじゃないの。それに加えて、私が、ある種、場を支配している感覚。それが最高だったわ!」
「いいこと教えてあげるわ。本物の男、つまり、黒人ね。黒人男に私が犯されているところをジムに見せて以来、私たちの夫婦関係が劇的に変わったのよ。あなたも知ってるでしょう? ジムって、いつも威張り散らして、何でも支配したがって、自分の意見しか通さなかったってこと。でもね、私が処女を奪われた後は・・・私、あの最初のセックスのことをそう言ってるのね・・・その後は、ジムは新しい旦那に生まれ変わったのよ」
「本当? もっと話して?」 リンダは驚きながら訊いた。
「ええ・・・あの最初の夜ね。リックが私を抱いて、帰って行った後。ジムは、急に恥ずかしそうな態度になってて、私のことを見ないのよ。視線を逸らす感じ。だから、もちろん、私は何度もジムと会話をしようとしたわ。彼の視線を捕らえるようにしてね。でも、おどおどして、目を伏せがちにしてるの。すっかりおとしめられたみたいに。本当よ、すっかり変わったのよ!」
「マリイがそういうことを言うなんて、可笑しいわ。この前の夜のブルースがまさにそういう感じだったのよ。その時、ちょうど、黒人とのセックスについて話し合っていたところだったの。実際にそういうことが起きたら、ブルースがどうなるか、なんとなく想像できる感じだわ」
「もう一つ、びっくりする反応があって、それは私自身の気持の変化。ずーっと何年もの間、私は、とても素敵なセックスをしてもらっていると思っていたのね。それが、実際は、全然、本物には足元にも及ばないものだと分かった。当然、私、ジムに対して怒りの感情を持つようになったのよ。今まで私をだましてきたのねって。ともかく、本当の世界に開眼したとことが大きいわ」
マリイとリンダは、声を合わせてくすくすと笑い出した。
マリイが続けた。
「夫に頼らなければならないことの主なことに、セックスがあるでしょう? でも、その方面に関して夫でなくても良いとなると、夫というものは、とても従順になるものなのよ。妻を喜ばそうと必死になる。それに、私としては、長年、本当の喜びを奪われていたわけで、怒りを感じているの。だから、ジムのあんなモノを入れてくなくても、全然、かまわないって気持なのよ」