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Deal breaker 「約束違反」 

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56_Deal breaker 「約束違反」

あたしの友達みんなが、彼はシシーだって言う。みんなあたしに警告しようとしてくれてたんだろう。でも、あたしは耳を貸さなかった。分かってくれると思うけど、彼は非常に繊細な人なだけだろうと思っていた。女性的な面に理解がある? それって良いことと思われているんじゃない? でも、あたしはちゃんとみんなの話しを聞くんだった。

振り返ると、たぶん、その兆候はかなりはっきりしていたのだと思う。髪を長くしていることを見て、警戒すべきだったかもしれないけれど、あたしは、最近は、長い髪の毛の男の人も多いわと思っていた。ていうか、確かに彼の髪形はたいていの長髪男性と違うけど、それはスタイル的なものにすぎないと思っていた。

マニキュアとペディキュア(とか、スパ通い)も、彼の本性を教えてくれるものだったかもしれない。赤いポリッシュを使っていたのも特に。てか、そんなことする男ってどんなの? って。当時、あたしが何を考えていたのか今は分からない。多分、否認ってのだと思う。

お化粧についても同じ。毛を剃った脚についても同じ。それに、「アンドロギュノス」的な服装についても(ええ、分かってるわ、その通りよ)。ちょっと聞いてほしいんだけど、別に、あたしにはそれが見えていなかったと言ってるわけじゃないの。言ってるのは、それらのことをつなげて見ることがなかったということだけ。彼はとても優しかったし、あたしが付き合ったどの男性よりもあたしのことをよく理解してくれたの。だから、真実が見えなかったのよ。分かってもらえるでしょ?

最終的に分かったのはいつだったか? そうねえ、あたしたち春休みでビーチに来てたんだけど、彼、ビキニを履いて出てきたの。SPEEDO(参考)じゃなくって、女性のビキニ。後ろから見たら、彼が女じゃないって言えない感じだった。あの体形、どうやってあの体形になったんだろうって分からなかったけど、男の体つきではないのは確かだった。でも、その時ですら、あたしはそれをありのままで受け入れていたの。彼の真実を見始めたのは、彼が何杯かお酒を飲んだ後だったわ。

自分の彼氏がパーティで酔っぱらった淫乱になるのを見たら、ちょっと引いてしまって、彼氏との関係を見直そうという気になるものじゃない? あの週、彼が男と3人ヤルのを見たわ。それに実際には見てないけど、もっとたくさん関係があったみたい。それについて、ある時はお酒のせいだと思ったこともあるし、あたしの考え方が未熟だからと考えたこともあった。でも、それ以上だったら? ええ、あたしは理解がある女よ。でも、あれは限度を超えている。

ええ、そうよ。あたしの彼はシシー。今はそれを受け入れている。でもそれが約束違反になるのかどうかが分からないだけ……。


[2018/01/11] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

Commitment 「コミットの有無」 

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56_Committed 「コミットの有無」

「彼はどこにもいないわね」とテレサは言った。彼女はモニターから目を背け、目をこすった。「もう彼は戻らないわ。これの後では、もう二度と」

フランクは頷いた。「それでは、これは成功だと言ってよいのですね?」 彼はメモ帳に何か書き留めた。

「成功?」 テレサは、そうつぶやき、顔を上げ、同僚を睨み付けた。「あたしたち、何の罪もない人の人生を破滅させたのよ。よくも、それを成功だなんて言えるわね?」

彼女はモニターを指さした。モニターにはカップルの性行為が映し出されていた。上に乗っている人物は青いストッキングを履き、女性の身体をしていた。「彼は、自分が誰かすらほとんど分かっていないのよ!」 テレサは叫んだ。「それに彼を見てみて! しっかり見て! 脚の間にあるしぼんだモノの他に、彼が男性だって証拠がどこにあるの? あのね? 彼は、ただ他の科目の単位も取りたいと思った心理学専攻の学生にすぎないの。前途有望な完全にストレートの学生だったのよ? あんた、どうして、そういう事実をそんなに簡単に無視できるのよ!」

「あんた、バカか? 俺たちに他に選択肢がなかったからだろ、テレサ」フランクは吐き捨てるように言った。彼の態度は急変していた。「これをやらなかったら、どうなっていたと思うんだ。俺たちの研究費。あんた、忘れてるかもしれないから言うけど、人の命を救うための俺たちの本当の研究だ。あのための研究費はあいつらを喜ばし続けることにかかっているんだよ。連中が、資金を出すから、これをやれって言うなら、俺なら喜んでやるね。それにあんた、分かってるのか? あんたもこの最悪な研究をすることに同意したんだぜ? あんた、上から目線できれいごと言ってるんじゃねえよ!」

「でもそんなに冷淡にならなくても……少しは憐みの気持ちを持つべきだわ」

「これはコストなんだよ。たくさんの人々の命を助けるために、たったひとりだけ、人生を犠牲にしてもらっただけなんだ。それに、付け加えると、彼はそんなに不幸には見えないんだよ。彼を見てみろよ。完璧に……」

「ああ、もういいわ。黙って、フランク」 テレサはさえぎった。「ええ、その通りよ。また訊かれる前に言うけど、この試行実験は大成功だわ」


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Caught in the act 「現場を押さえられて」 

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56_Caught in the act 「現場を押さえられて」

「一体何だ!? うわっ、ひどいな……キャム? まさか……お前なのか?」

「ああ、ボ、ボクは……これはそんなんじゃないよ、トミー。違うんだ……」

「本当か? 俺のいるところから見ると、お前が誰か男のちんぽの上に乗っているように見えるが。それに化粧もしているし。ネイルも塗ってるじゃないか?」

「ボクはただ……本当だよ、トミー。これは、違うんだ……き、キミは旅行してるはずじゃなかった? 出張でロスに行くって言ってたと……」

「ああ、そうだけど、結局、行かなくて良くなったんだ。でも、話題を変えるなよ。俺は、なんでストレートなはずのルームメイトがこんなことをしてるのかが知りたいんだよ」

「ああ、お願いだから、レベッカには言わないで。どんなことになるか……」

「どうして俺の妹に言ってはいけないんだよ? つか、妹は婚約者がオカマ野郎だったと知る権利があるんじゃねえのか? オカマ野郎じゃなくて、本物のトランスジェンダーなのか? それともゲイなのか? 何て言うか、この状況、どれとも取れる状況だからな、キャム」

「これは違うんだ。ただ……さっきも言ったけど、これって、見て想像するようなことじゃないんだよ。ブロック、彼に言ってくれ。ボクはこんなことしたくなかったんだと、あなたに脅迫されてこんなことをしてるんだと、彼に言ってくれ。ボ、ボクは、そ、そんな人間じゃないって」

「本当なのか? そうなのか、ブロック? あんたがキャムにこんなことさせてるのか? だって、それってとんでもないでっち上げみたいに思うからな」

「ちょ、ちょっと待って。どういうこと?」

「あのな、前は全然気づかなかったけど、お前、ずいぶん女っぽい体つきしているだろ? その体にウィッグをかぶったら、絶対、女として通るぜ……」

「そんな……」

「ブロック。ヤリ終わったら、俺に教えてくれ。キャムとちょっと話をしたいから」


[2018/01/11] 本家掲載済み作品 | トラックバック(-) | CM(0)

Captain Big Dick キャプテン・ビッグ・ディック」 

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56_Captain bigdick 「キャプテン・ビッグディック」

チェルシーはレンガ壁を背に寄りかかり、自分の状況の現実を嘆いた。彼女は勤め先で横領をしていたところを見つかり、その後、強制的に司法取引を受諾させられたのだった。その結果は、刑期2年の判決だった。チェルシーは目を閉じ、自分の不運について悪態をついた。横領の証拠をもう少しうまく隠しさえしていたら、今頃、どこかトロピカルなビーチにいたはずなのに。

独房のドアが開く音がし、チェルシーはパッと目を開いた。だが、そこに見たものは、彼女が想像していたものではなかった。ドア先にいたのは、大きな乳房をしたブロンド髪の美女だった。しかも、脚の付け根には見たことがないほど小さなペニスがついている。

「あんた、いったい誰よ?」 チェルシーは裸のシーメールに吐き捨てるように言葉を投げかけた。

「キャンディーよ」 美女は黒い警棒を意味深けにさすり、そして微笑んだ。「あ、あたしは…んー……あたしはここの看守だったの。キャプテン・ビッグ・ディックって名乗っていたわ。あたし……えーと……見つかってしまって……なんて言うか……囚人を使ってるところを。セ、セックスのために。見つかったあと、しょ、所長があたしをこんなふうにしたの。たくさんホルモンを使われて。そして……」

「ジェシー?」 チェルシーが訊いた。なぜ、この美女を見覚えがあると感じていたのか、突然、分かったからだった。「あなた……ジェシーなの?」

「あ、あたしはキャ、キャンディーよ。ジェ、ジェシーなんか知らないわ」

「ジェシーだわ!」 チェルシーは跳ねるようにして立ち上がった。「あんたがここで働いてるなんて知らなかった! 働いていたというべきかしら? それとも、まだ正式にここで働いているの? って言うか、あんた、矯正施設に送られたと思っていたけど。よく分からないけど」

キャンディはチェルシーに近づき、小声でささやいた。「黙って! あの人たちにあたしたちのことがバレたらまずいの。あなたがあたしの姉だって知られたらまずいのよ。本当はあたしは、あの人たちが言ってるようなことはしていないの。ただ……何と言うか……囚人のひとりとセックスをしたのは本当。だけど、すべてその女がけしかけてきたことだったの。あれは仕組まれていたの。そして……」

チェルシーは女体化した弟を突き放した。「じゃあ、あんた、何しにここに来たのよ? 警告のため? 囚人を行儀良くさせるためとか? あいつらが私たちを自由に……」

「あ、違うわ……違うの。あたしは……うーん……囚人たちがここにいるのを少しだけ楽しく感じられるようにするために、ここにいるの。………好きなようにあたしの体を使って楽しめるように……」

チェルシーはキャンディに近寄り、何センチも離れていないほど近づいた。そして「あんた、本気で私にこれをしてほしいの?」と囁いた。

キャンディは頷いた。「他に道がないのよ。あたしがあなたの弟だって知られたら、大変なことになってしまう。監視されてるの。あの人たちが信じられるように演技しなきゃダメなの」

チェルシーは固唾をのんだ。キャンディが自分の弟ではないと思い込もうとした。だが、それは思ったより簡単だった。彼女の手が彼の小さな持ち物に触れた。「キャプテン・ビッグ・ディックねえ? すっごく皮肉な名前じゃない? このちっちゃなモノ。おちんちんというよりクリトリスじゃないの?」

キャンディはぶるっと体を震わせ、囁いた。「あ、ありがとう」

チェルシーは頷き、弟の縮んだ分身をまさぐり続けた。


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