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56_Party trick 「パーティでの愚行」
「いいえ、マジよ。誓うわ! 彼のアレに指一本触れずに、彼をイカせられるわ」
「ありえない!」
「絶対に信じないからな!」
「いま、やって見せるから待ってなさいよ。ねえ、サム! あなたの可愛いお尻をこっちに向けて! ええ、今すぐ! ほら、来なさいよ!」
「な、何……」
「ジーンズを脱いで」
「何? イヤだよ。ボクはそんなんじゃ……」
「そのくそジーンズをすぐに脱げって言ってんの! それとも何? 後で後悔させてやろうか?」
「わ、分かったよ……」
「パンティもよ。そう、それでいいわ。みんな、見える? 彼のってすっごくちっちゃいでしょ」
「どうりで、お前、こいつにパンティを履かせてるわけだ」
「それが理由のひとつなのは確かよ。ほら、サム、仰向けになって。いいこと、あたしに口答えするんじゃないわよ。さあ、始めるわよ、みんな」
「ぼ、ボクはこんなの嫌だよ、タミー。別のことできないの? ああっ! どうして、そんなことするの?」
「聞き分けのない可愛いエロ娘はスパンキングされるものなの。いいから黙ってなさい。両足を上げて。あんたのアヌスをこっちに向けて。ねえ、みんな? ここ、すごくキツイのよ。分かる? 彼が前は本物の男みたいに振る舞っていたなんて、信じられる? それじゃあ、サム……練習してきたから知ってるわよね。あんた、どれだけ我慢してられるか見てみましょう? ほーら」
「い、いやっ……やめて……お願いだから、タミー。……イヤなのに……ああっ、いいっ!」
「見た? 指はたった2本だけなのに、もう感じ始めちゃってる。あたしのストラップオンを出したら、彼、体をくねらせて身もだえするのよ。一度、それ見るべきよ、みんな。彼は3分以内にイクって賭けるわね。誰か、動画を撮ってる人いる?」
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56_Orientation 「オリエンテーション」
「ちょっと、キミ? キミが新しく来た人ね。たくさん質問したいことがあるだろうとは思うけど……」
「ここはどこ? い、いったい何が起きてるんだ? それに…まさか! あんた、男なのか?」
「かつてはね。いいから聞きなさい。これからすごく嫌なことが起きるわ。だから、前もって言っておくけど、あなた、いつの日かここから逃げ出そうとするでしょうね。いつそういう気持ちになるか分からないけど、でも、ご主人様は不親切なお方ではないの。もっと言えば……」
「ご主人様? ご主人様って誰? それに、僕が逃げ出すってどういうこと? これって……」
「最後に覚えてることってどんなことだった?」
「え、えーっと、確か……バックパッカーになってヨーロッパを旅してて、あるバーに立ち寄った。その後はちょっとぼんやりしてるなあ……」
「キミはねぇ、薬を盛られて、誘拐されて、ここに連れてこられたの」
「でも、ここはどこなんだ? それに誰が……」
「ちょっと黙って話しを聞いてもらいたいわねえ。キミへの処置が始まるまで、あまり時間がないのよ。それに、これから起きることについて何か予感してるかもしれないけど、それはそんなに怖いことでもないのよ。だから話しを聞いて。オーケー? 手短に話すわね。キミは性奴隷にするため誘拐されたの。ご主人様は収集家なの……変人の性奴隷たちのね。しかも、その奴隷たちは生まれつき他の人と変わってる人ばかりじゃないの。あたしのようにね。あたしもご主人様に体を変えられたひとり。キミの体つきからして、たぶん、ご主人様はキミにも同じことをするかもね。何か他のことをするかもしれないけど。どうなるか分からないわ。男性ホルモンをたっぷり注入させられた女たちを見たことがあるわ。バギナを作られた男たちも見た。ひとり可哀想な男がいて、その人、女体化された後、ご主人様の犬になるよう躾けられたみたい。重要なことは、これに関してキミには選択権がないということ。ご主人様は、望んだモノを必ず手に入れる人なの。キミについても、体を変えたいと思ってらっしゃるわ」
「何てことだ……」
「でも、重要な注意事項があるわ。抵抗するなということ。あらがったりしたら、ご主人様はあなたをめちゃくちゃにして他の人に売り飛ばすでしょうね。その人たち、ご主人様ほどはキミを人間的には扱わないことだけは保証できるわ。分かった?」
「あ、ああ……」
「よろしい。もうひとつ知っておかなくちゃいけないことは……特に、正気のままここにいたいと思うならだけど……これは期限付きだということ。3年以上ここにいた人は誰もいないわ。ご主人様は、誰についても最後には解放なさるの。だから、キミもいつか自由を取り戻したいと思うなら、ご主人様を喜ばすためにどんなことでもすること」
「ど、どうして……なんでその人はこんなことをしてるんだ? 何が望みなんだ?」
「ご主人様は世界で最も権力のあるお方のひとりなの。できる力があるからなさってるんじゃないかしら。さあ、後2分くらいしたら、あの人たちが入ってくるわ。忘れちゃだめよ。抵抗しないこと。言われたことをすること。あたしも手伝える時には手伝ってあげるから……」
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56_Old friends 「旧友たち」
「どうして、そんなにナーバスになっているのか分からないわ。あなたの親友の独身男の会でしょ? 当然、出席すべきよ」
「親友? 彼とは卒業した夏以来、会っていないんだよ。正直、彼に招待されてビックリしたくらいなんだよ」
「その人、ちゃんと理解していたと思うわ。あなたは、フランスで勉強する素晴らしいチャンスを手にした。その学校、毎年2人くらいしか留学生を取らないんでしょ? しかも、高校を出たての学生を対象にして。聞いたことがないほどのチャンスだった。あなたがフランスに来たのは当然だったのよ」
「分かってる。でも、2年間も友達とは会っていないんだよ。その間、何から何まで変わったし、それに……」
「あなたは以前のあなたと全然、変わってないじゃない。ちょっとスタイリッシュになっただけ」
「ま、まあ…。でも、真面目に言って、何か他の服に変えるべきと思わない? 先月買ってくれた可愛いジーンズとか、パンツでもいいけど」
「あなた、素敵よ。お友達みんな、あなたのことをうらやましがると思うわ。賭けてもいいわよ」
「ど、どうなんだろう……君はボクの友達がどんな人たちだったか覚えているよね? それにボクがどんなだったかも。もし、以前のボクが今のボクを見たら……」
「可愛いスカートだねって言うんじゃない? あたしにはあなたが分かるの。あなたは、こういう服を着るように生まれてきたようなもの。あなたもそう思っているでしょ? それに、お友達があまりに……あまりにアメリカ人すぎて、あなたの服装のセンスが分からないとしたら、まあ、その場合は、そのお友達の方の問題と言えるわね」
「でも髪の毛は? お化粧は? マニキュアはどう? 何と言うか、こういう格好をするのは、パリでは全然問題なかったけれど、ここでは、ダメだと思うんだよ。分かってると思うけど……みんなボクのことを女の格好をしてると思ってしまうよ」
「そんなのバカげてるってだけの話しよ」
「分かってるけど……」
「あなたは、他のどんな男たちよりずっと男らしいわ。それとも、あなたは、あたしが何か別の理由であなたと付き合っているとでも思ってるの? もちろん、そんなことないわ。あなたはとても素敵。もし、お友達がそのことを受け入れることがでいなかった、その場合は、そのお友達の方があなたと付き合う価値がない人ということよ」
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56_Nowhere to go 「どこにも行けない」
彼女とは別れるべきなのは分かっている。ふたりの関係が健全な関係と言えた頃からずいぶん経っている。彼女はあらゆる局面で、虐待的に振る舞い、支配的な態度をとって、ボクをけなす。さらに悪いことに、彼女は、ボクをボクが決して望んでいなかった人間へと変え、ボクにそういう人生を強いた。
確かに、そうなってしまうまでの1つひとつの段階でボクは変化に同意してきた。でも、ボクには選択肢があったわけではなかったということを理解してほしい。ボクは経済的にも精神的にも彼女にとても依存していたので、彼女と別れるとなんてとても言いだせる状態ではなかった。外の世界は恐ろしい。ボクのような人間にとっては特に。
だから、ボクはこの生活を続けている。いつか、どういう形でかは分からないけど、全部、好転していくだろうと期待しながら生きている。嘲り笑われてもじっと耐えている。男だったかつてのボクを知ってる旧友と会う時も、気まずいけれど、耐え忍んでいる。ボクは彼女が望む人間になるよう彼女に合わせ続けている。それが今のボクの生活。それがボクという人間。