やがてトレーシーは舌が疲れたのか、体を起こすと、ナイト・スタンドに手を伸ばし、濃い青の透明なビンを取り、中の液体を手のひらに垂らした。そして、その液体を彼女のペニスに擦り込んだ。 ペニス全体を濡らした後、トレーシーは、両足を広げたままの僕を見下ろし、言った。 「ステファニー、そろそろお前をもっと気持ちよくしてやろう。準備はいいか? 本物の女のように愛される準備はできてるな?」 トレーシーがストラップ・オン・ディルドをつけているのを見た最初から、僕はこうなることを知っていた。そうでないなら、どうして、ストラップオンが必要だろう? 僕は彼女を見上げ、ためらわずに答えた。 「はい、準備ができています、ミス・トレーシー。あなたのペニスを受け入れる準備ができてます」 トレーシーは僕を見下ろしながら微笑んだ。同時に彼女のペニスの先端が、アヌスを押し開くのを感じた。痛みを感じないようにと、必死でリラックスしようと努めた。幸い、潤滑液がたっぷり塗られていたことと、昨夜一晩中、ディルドを入れていたおかげで、亀頭の部分は、かすかな痛みだけしか与えなかった。その痛みは、昨夜よりさらに大きく広げられていることによる痛みだった。僕は、その痛みには逆らわないようにした。トレーシーが喜ぶなら、入れて欲しいと思っていたから。 頭部がするりと中に入ると、急に痛みが消えた。昨夜は一晩中、別のディルドを入れていたものの、この新しいディルドの充満感に、いっそう驚かされていた。まだ一部しか入っていないのに、もう、これ以上は受け止められないように感じた。しかし、トレーシーはさらに奥に押し込み始め、僕の感覚が間違っていることを示した。 アヌスの中、ディルドの頭部は打ち込まれたくさびのようにしっかりと固定しているように感じた。だが同時に側面では何か動いているような感覚がある。やがて、トレーシーはディルドの根元まで僕に入れたようだった。彼女の左右の太ももが僕の尻肉を挟むのが感じられる。根元まで入れられ、亀頭が胃の辺りに来ているように感じられた。 しかしトレーシーはそこで休むことはしなかった。ゆっくりと、小さな動きで出し入れを始めたのだった。僕が慣れるまで、一度に2センチほどの動きで出し入れを繰り返し、その後、徐々に動きを大きくしていった。数分間、それが続き、その後は、半分ほど引き抜いては根元まで滑り込ます動きに変わった。 トレーシーは動きながら、かすれた声で僕に話しかけた。 「ステファニー? 大丈夫? 痛くない? 動くのをやめて欲しい?」 突然、返事を求められ、僕は声を出したが、その時の声は、まるで小さな女の子のような声になっていた。 「ああ、ミス・トレーシー・・・ああ、いい。気持ちいいです。どうか、やめないで」 それを聞いてトレーシーは意味深に笑った。また男の口調になった。 「俺にアヌスを愛されて、嬉しいんだな? 気持ちいいんだろう? 分かるぞ。どれくらい気持ちいいのか言ってみろ。気持ちいいなら、俺にお願いするんだ。女々しい淫乱め。淫乱娘なら淫乱娘のように、もっとやってって声に出して言うんだ。俺に抱かれるとお前が淫乱になるのは分かってるんだぞ」 何を言ったらよいか、何も考えずに、僕は甲高い声で叫んでいた。 「ああ、お願い、ミス・トレーシー。やって! もっと! もっと私にやって! 淫乱娘のように扱って! 私のあそこにもっと突っ込んで!」 トレーシーは男のような唸り声をあげ、強く打ち込み始めた。 「ああん・・・ああん・・・ああん・・・ああん・・・」 トレーシーの腰が激しく上下し、それに合わせて彼女のペニスがピストンのように出入りを繰り返した。深く、全長を打ち込まれるたび、僕は叫び声をあげ、抜かれるたびに、切なく悩ましげな声を上げていた。 僕たちはこれを1時間近く続けていたと思う。ディルドの根元にはクリトリスを刺激する部分もあるようで、トレーシーは動きながらも刺激を受け、数回オルガスムに達していた。いきそうになると、動きのリズムが止まり、突っぱねたように体を強張らせ、女性の声でエクスタシーを告げていた。そしてオルガスムが峠を過ぎると、再び動き始め、徐々にスピードと打ち込む深度を増していく。 その間、僕は一度も達していなかった。だがそれは気にならなかった。単発的なオルガスムよりも、ずっと深い快感を絶え間なく感じていたからだった。僕の小さなペニスはずっと勃起しっぱなしで、プレカムを出し続け、実際、僕のお腹はプレカムでかなり濡れていた。 1時間近くになると、トレーシーが疲れてきているのが分かった。疲労を漂わせた目の表情や、全身を覆っている多量の汗を見て、もう彼女が限界に来ているのが分かった。腰の力がなくなり、ピストン運動のリズムも不確かになっていた。トレーシーは、出し入れの動きを続けながら、僕のペニスを握り、しごき始めた。 ただそれだけで、僕は簡単に限界を超えた。いくぅと叫び、同時に熱いスペルマを次から次に発射していた。あまりに激しい射精で、空中に撃ち出された後、僕の顔や首に降りかかった。しかし、発射のたびに、次第に射程距離が短くなり、首の後は胴体のナイティに落ち、最後にはお腹の上にぽたぽたと滴った。 僕はすっかり消耗していた。それはトレーシーも同じだった。僕の中にペニスを埋め込んだまま、がっくりと僕の上に覆いかぶさって、そのまま眠ってしまったようだった。僕の方はもう少し長く意識があって、本当に素晴らしい体験をしたと余韻に浸っていたと思う。
ジャネットは、今でも、セックスが楽しかった頃のことを覚えていた。性的な器官全体を荒波が洗うように、快感と苦痛が混じった興奮を与えられるのを、毎日のように楽しみにしていた日々。だが、それは仕事と家庭が軌道に乗る前の時代だった。 自分でも、セックスに関しては、世界中で最も創造性に溢れた女性ではないのは分かっていたし、多分、すこし、引っ込み思案な方だろうとは思っていた。それでもロジャーは不平を漏らさなかった。それに、ここ2年ほど、ジャネットは、気がつくと、自分で認める以上に、セックスのことについて思いふけっていることが多かった。時々、容姿の素敵な男性を見ると、体全体が少し火照り、顔が熱くなり、心臓がどきどきするのを感じることがあった。ジャネットは、それは多分ホルモンのせいだろうと考えることにしていた。以前、本で、30代の女性はセックスの点で絶頂期にあると読んだことがあった。だが、ここ2年ほど、ロジャーとジャネットは、せいぜい2週間に1度だけで、それすらないこともあったのである。 ジャネットは、寝室でセクシーな衣装を着て性生活に刺激を与えようとしたことがあった。だが、それもうまくはいかなかった。ロマンティックに、ろうそくをともしたディナーを用意したこともあった。それに、突然、休暇をとって驚かせ、ニュー・イングランドの人里はなれた小さな旅宿に逃避旅行をしたこともあった。だがいずれも効果はなかった。今や、そのわけがはっきり分かったのである。ロジャーは若い愛人を作っていたのだ。どうしてそんなことに気づかなかったのだろう。なんてバカだったの。ジャネットは何度も自問した。 このショックから立ち直るのに、1年以上かかった。ようやくにして、娘や友人たちの励ましもあって、ジャネットはゆっくりながらも気落ちした状態から立ち直っていた。実際、男性とのデートも始めたのである。そのデート相手の中に、出会って数ヶ月で結婚を申し込んできた男性がいた。ウェインという名である。 しかし、ジャネットは、まだ結婚に飛びつく心の準備ができていなかった。もう少し辛抱してくれるよう頼み、ウェインの申し出は断ったのだった。もっと時間が必要だと、立ち直る時間、自分を見つけなおし、自分が何を求めているかはっきり自覚するための時間が必要だと、彼に告げた。しかし、実際は、ジャネットにはそれ以上の理由があった。先の性的な憧れの気持ちである。その憧れのため、彼女は、仕事や大半は退屈だった私生活よりももっと意味のあることが人生には存在すると思うようになっていた。 ウェインは良き男性だった。尊敬されている小児科医で、何年も前に妻を癌で失っていた。ウェインの最も良きところは、ジャネットを女王様のように扱ってくれる点だった。デートを始めて数ヵ月後、ジャネットは彼に身を委ね、セックスをした。ウェインは、ベッドでも良き男性だったし、持ち物の使い方もよく心得てはいたが、彼もまたジャネットと同じく、保守的で、変わったことを試みようとはしなかった。特に、オーラル・セックスは拒絶していたのである。ジャネットは、セックスのその方面が欠けていることを残念に思っていた。
トレーシーは、僕がしっかりとディルドを見たのを確認した後、手でシャフトを握って言った。 「ベイビー、俺のちんぽをしゃぶれよ。可愛い淫乱娘のように、お前のそのセクシーな唇で包んでくれ。美味しそうにしゃぶるところを見せるんだ」 僕は昨夜ほど酔っているわけではなかったので、正直、ディルドを口に咥えるのはためらっていた。確かに多少は酔ってはいたものの、理性は働いていて、自分の行いをきちんとコントロールできている。それに、たとえ本物のペニスではないにしても、男がペニスをしゃぶるのは間違っていると分かっていた。 トレーシーは僕が乗り気でないのを見て、ディルドの頭部を僕の唇に擦りつけ、男のような言葉を続けた。 「ほら、昨日は喜んで吸っていただろ? お願いだ。可愛い淫乱になって、舐めまわってくれ。お前が終わったら、俺もお前の可愛いのを舐めてやるから」 今トレーシーの脚の間に生えている巨大なものに比べると、確かに彼女が僕のペニスを「可愛いの」と言ったのも当然と思った。この棍棒のような代物に比べたら、僕のは圧倒的に小さい。僕のは、長さ14センチ、太さ3センチ半くらいの平均サイズだけど、トレーシーが見せ付けているものに比べたら、はるかに見劣りがする。昨日の夜に使ったディルドと比べても、ずっと大きい。 ためらったままの僕に、トレーシーは苛立ってきたようだった。突然、僕の後頭部に右手を当てて、引き付け、ディルドの頭部を僕の口の中に突き入れたのだった。僕は口を開き、それを受け入れるほかなかった。 亀頭を口に入れられるとすぐに、トレーシーの声が聞こえた。 「そうだよ、それでいいんだ、ステファニー! 俺のちんぽを吸え。美味しいだろ? そのエロい唇をもっと広げて、俺のでかいちんぽを、もっと深く飲み込め」 これも僕にはどうしようもなかった。飲み込むも何も、トレーシー自身が腰を動かし、ぐいぐいとディルドを僕の口に押し込んできたからだ。 最初は、トレーシーが腰を動かしていて、僕は何もせずになされるままになっていたが、しばらく経つと慣れてきて、僕自身が頭を動かすようになってきた。頭を前後させればさせるほど、トレーシーは大きくうめき声をあげ、溜息をもらした。 「うおお・・・ああ・・いいぞ・・・なかなか上手じゃないか・・・俺のちんぽが美味しいんだろ? 淫乱娘?」 僕はディルドを吸うのを楽しんでいたというより、むしろトレーシーを喜ばせることを楽しんでいた。トレーシーが感じている声を上げ、僕がフェラチオが上手だと褒めるたび、僕の背筋にゾクゾクとした興奮が走り、ますます熱を入れてフェラをし、トレーシーを喜ばせたいという気持ちになった。そして、気がつくといつのまにか僕は、トレーシーのペニスを、それこそ夢中になってしゃぶっていた。初めは、何度も咽そうになっていたものの、喉の奥まで彼女のペニスを飲み込み、さらに奥へ取り込もうとしていた。 どのくらいの時間、口に咥えていたか分からない。だが、ようやくトレーシーが僕の口からディルドを抜いてくれた時には、あごの筋肉が痛くなっていたし、唇も感覚がなくなっていた。トレーシーは僕の体を起こし、自分に引き寄せた。同時に彼女は後ろに倒れたので、僕が覆いかぶさる形になっていた。トレーシーはその僕の唇に強くキスをした。 キスをしながら、トレーシーは僕たちの体を反転させ、僕は仰向けに、彼女が上になる形にした。そうしてからキスを解いた。 「さあ、可愛くて女々しい淫乱ちゃん? 今度はあなたの番よ。今度は私があなたのちっちゃくて可愛いおちんちんをしゃぶってあげる。その後、2人で愛し合いましょうね」 トレーシーに女々しいと呼ばれ、傷ついたが、すぐにその屈辱感も快感のおかげで忘れた。彼女は、僕の体にキスを繰り返しながら、ゆっくりと下へ降りていったから。 トレーシーは、何秒か、僕の乳首に吸い付いて、強く吸った。驚くほど快感があって、僕は思わず足の指を内側に丸めて、それを受け止めていた。その後、トレーシーは唇をお腹に這わせ、おへそを舐めまわった後、僕のペニスを口に含んだ。 それこそ、掃除機のような吸引力で僕のペニスを吸い、同時に、肉茎を唇で締め付けながら、頭を上下させていた。このような激しい口唇攻撃に、僕はあっという間に果てるだろうと思ったが、その攻撃は、それほど長くは続かなかった。 トレーシーは、2分ほどしか、それは続けてくれず、その後、口からペニスを出して、シャフトにそって舐めあげたり、睾丸を舐めたりに変わってしまった。その愛撫は、ペニスを口に入れてくれていたときほどは快感ではなかったが、それでもとても気持ちよいことには変わりなく、もちろん僕も不満はなかった。 ペニスと睾丸についても2分ほど舐めてくれた後、トレーシーは僕の両足を抱え上げ、僕の胸につくくらいにさせた。そして、左右に大きく広げる。と同時に、顔を僕の陰部に埋め、今度はアヌスを舐め始めた。 それまで、僕にこれをしてくれた人は誰もいなかった。初めての経験だったが、とても気持ちが良いことを知った。僕の経験のうち、一番の快感だった。舐められ始めてすぐに、僕はよがり声をだしていたし、舌をアヌスに入れられたときには、女の子のように、ああん、ああんと声を上げていた。 「もっとそういう声を出していいのよ」 トレーシーは、声を出すように励ましながら、5分以上も、僕のアヌスに舌を出し入れしていた。その間、僕はずっと快感に浸っていた。
匿名の通報を受け、警察が地元のモーテルの1室に踏み込み、この地域の女性に対しての連続性犯罪との関連で、2人の男の身柄を拘束したというニュースである。この踏み込みで、デジタルカメラ、ビデオ装置、加えて、過去の犯罪の証拠を含むと思われるデジタルディスクも押収されたという。警察が現場に到着した時には、部屋のドアは、押し破られた形跡があり、問題の2人の男は、手錠を掛けられ、殴打された状態だったと言う。さらに伝えられたところによると、性的な暴行も受けていたと。現在、2人は地元の病院に収容されており、罪状認否の取調べは、退院を待って行われる。この2人に対して、明らかに、何らかの復讐が行われたと考えられるが、現時点では、警察はその容疑者は把握していない。2人の退院を待って、さらに情報が得られると思われる・・・ そして、このニュースが流れてすぐ、私は彼女の姿を見たのだった。グウェンが、私たち仲間の3人に、「ゴサム」という新しいクラブが開店したと教えてきたのだった。早速、金曜日の夜に、いつもの4人でその店をチェックしに行くことになった。店の装飾は、陰鬱とした不気味な雰囲気を醸し出したもので、かなりゴシックの影響を受けたものだった。照明が暗い小部屋がたくさん合って、通路も入り組んでいる。探検する気持ちでいないと、迷ってしまいそうな作りだった。 そして、そこのダンスフロアにダニーがいたのである。別の女性と一緒にダンスをしていた。相手の女性は私に背を向けていたので分からなかったが、ダニーの方は、確かだった。あのゴージャスな体も、あの燃えるように赤い髪も、他の人に見間違えることはなかった。 2人とも、可愛い淫乱娘のような服装をしていた。深く切れ込んだ胸元、猥褻なほどに短いスカート、そして、危険なほどヒールが高いスティレット・ハイヒール。2人は、ゆっくりとした官能的な音楽のビートに合わせて、体を密着させてダンスをしていた。その空間にいる誰もが、2人に目を奪われているように思えた。 しばらくダンスを続けた後、ようやく相手の女の子は魅惑的な赤毛の女の子の手を両手で握り、フロアから降り、通路に姿を消したのだった。私は2人の跡をつけることにした。客の群集を注意深くかき分けながら進んだ。 小部屋を1つずつ、入り組んだ通路も1つずつ確かめながら、あの2人連れの姿をもう一度見るため、探して回った。2人は店を出てしまったのだろうか? たったあれだけ、数分にもならない時間だけしか、ダニーを見ることが許されなかったのだろうか? あれだけで、後は一生、彼女の姿を見ることができないのだろうか? いくら探しても見つからず、絶望してあきらめようとした時だった。暗い、つきあたりのひと気のない小部屋の中に2人を見つけたのだった。 2人は・・・セックスをしていた。部屋の前を通れば、誰にでも見られるような場所なのに。
「もう少しワインを飲もうか?」 僕は促してみた。 「もうなくなっちゃったよ」 とボブ。 「大丈夫。冷蔵庫に1本、冷やしてあるんだ」 早速、ボブは冷蔵庫から僕の用意しておいたワインを持ってきた。高級ビンテージ物というわけではないが、この場では高級ワインでなくても十分だ。ボブは3つのグラスに注いだ。クリスタルは、自分のグラスを取ろうと、体をひねって、手を伸ばした。 その時、トップの端のところから、ブラジャーの片方のストラップがはみ出した。クリスタルは、すぐに、それをタンクトップの下に隠した。それを見たボブが口を出した。 「おっと、ブラジャーをつけてちゃダメだよ。外してくれ」 クリスタルはすぐに嫌がったが、結局は、折れて、外すことにした。 「マイク? ちょっとそっちを見てて」 言われた通りに顔を背けた。顔を戻した時には、ブラジャーはクリスタルの手に。もちろん、セクシーな青いタンクトップは着たまま。クリスタルは、外したブラを、部屋の隅に置いてあるスポーツバッグに放り投げようとした。 「ちょっと待った!」 「・・・?」 「僕は、ランジェリーと女性という組み合わせもセクシーに見えるといつも思っていたんだ。それは持ってて。もっと言えば、こんな感じかなあ・・・」 僕はクリスタルのところに近寄り、手を背中にあて、前のめりになるよう、少し押した。クリスタルは、その通りに、前のめりになり、テーブルに両肘をついた。前のめりになったおかげで、タンクトップの中が覗き込めた。胸の丘が盛り上がり始めるところ、それに、その2つの丘の間にできた深い谷間という、美しい風景を見ることができた。クリスタルは、ブラを片手に握っていたが、それを肩に引っ掛けるように指示した。その通りにするクリスタル。 僕はテーブルに座る彼女の上から見下ろしてる状態のまま、カメラを手に、次々にシャッターを切っていた。 フラッシュ 伝統的な構図のショットも撮ったけど、「トップの中の」ショットも撮ろうとしたのは、言うまでもない。同時に、照明とか反射板を調節して歩き回っていたのだけど、ふと、後ろから見ると、トップの下から覗き上げると、乳房の下の側面も見えることに気がついた。いまやブラが外れたので、押さえつけるものがなくなり、タンクトップを中から押し上げてるわけで、トップの裾から中が見えるようになっていたのだ。 当然、そのアングルからも何枚か撮った。ボブがどんな写真を求めているのか、正確には良く分かっていなかったが、これは僕自身のために、是非とも欲しいショット。 「なあ、ボブ? どのくらいセクシーな写真がいいのかな?」 「私にも投票権がある?」 とクリスタル。 「セクシーセクシーでお願いするよ。・・・でも、高品質のを頼む。ほら、ただの安っぽいポルノ写真ってのがあるだろ? ああいうのはダメ」 「そうそう。わかるわかる」と僕。「で、君はどう? クリスタル?」
ようやくスティーブが口を開いた。 「それで、ポーター氏と知り合いになったいきさつは?」 バーバラは目を細めた。この質問は予想しておらず、即答できる答えは考えていなかった。 「答えを言う前に、一言言っておくと、僕は絶対的な真実しか受け入れない。もし、この結婚を救うチャンスがあると思っているなら、・・・多分、そう思っているから、ここにいるのだろうけど・・・もし、そう思っているなら、この件に関して、一切、嘘をつかないことだ。いいかな? バーバラ」 バーバラは、少し間をおき、頷いた。スティーブは手のひらを上にして手をあげ、バーバラに頷いて見せた。話を続けるようにという身振りである。 「彼の会社は私たちの会社と同じビルに入っているの。ビルの中のカフェテリアで、ある日、知り合って、話すようになったのよ・・・実際、あなたも、予断なしに彼と知り合ったら、きっと気に入ると思うわ。いつもそういう風に不機嫌になるのをやめて」 スティーブは、そこまでのバーバラの発言に関しては、あえてコメントせずに通すことにした。ただし、敵意から、どうしても唇を歪ませてしまう。落ち着くために、一度、深呼吸した。 「つまり、君の職場の1階ロビーのところにある小さなレストランで出会い、それから、彼の夫婦生活について助言を与えてきたということかな?」 バーバラは頷いた。 「・・・で、情事はなかったと?」 バーバラは、まったくないと頭を振った。 「セックスも?」 バーバラはスティーブをにらみつけた。 「もちろん」 「キスもハグもなかった・・・彼が触るべきでないところを触ることもなかったと?」 スティーブは冷静に訊いた。 「決して!」 バーバラは力を込めて言った。スティーブは何も言わず彼女を見ていた。長い時間が流れた。
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