ふたりは運が良い。ふたりとも時間が非常にフレキシブルな仕事だったからである。グレッグは医薬品のセールスマンで、クウェンティンはウェブのデザイナだった。なので、気分が高ぶった時は、そしてそういう時はよくあることではあるのだが、ふたりには、そういった衝動を満たすための自由があったのである。ふたりには良い環境だった。 グレッグが可能と思ったよりもはるかに早く、ふたりは家に到着した。急いでいたあまり、グレッグはいくつか交通法規を破った。グレッグは、自分の運転の仕方にクウェンティンが気を揉むのを知っていた。だが、ありがたいことに、この日は彼の恋人は何も言わなかった。多分、グレッグ自身と同じくらいクウェンティンも早く家に帰って始めたいと思っていたからだろう。 ふたりは文字通り、走るように家の中に入った。そしてドアを締めるとすぐに、互いの服を引きちぎるように脱がせ始めた。途中、何度も情熱的なキスを繰り返し、やがてふたりは上半身、裸になっていた。次に靴とズボンが身体から離れる。最後に、ふたりもつれ合うように寝室に向かって進みながら、互いの下着を放り投げ、寝室に入るとふたり抱き合って、ベッドへと倒れ込んだ。互いの唇を密着させたまま、互いに手で相手の逞しい筋肉質の身体をまさぐりあう。 クウェンティンがキスを解いた。そして、グレッグの胴体に沿って小さなキスを繰り返しながら、すでに勃起しているペニスへと降りていく。だが、そこにたどり着いたとき、クウェンティンは、ただ、その近くにキスをするだけにして、グレッグを焦らした。指を1本出して、軽く先端に触れ、茎にはかろうじて触れるかどうかの優しい愛撫をした。 その焦らしは、グレッグが堪らず爆発しそうになるまでしばらく続いた。そして、ようやく、クウェンティンの口がグレッグのペニスを捉え、吸い始めた。最初はゆっくりと、舌でマッサージを加えながら行い、次第にペースを速めていく。2分ほどが経ち、グレッグは射精を迎え、クウェンティンの口の中に発射し、クウェンティンはそれを嬉しそうに受けとめた。 クウェンティンは口の隅からザーメンの滴を垂らしながら、グレッグを見上げ、「今度は僕の番」と言った。 ふたりの愛の行為は、切迫した気持ちに駆られたものではあったが、落ちついた行為とも言えた。交互に順番を守りながら、相手を口で喜ばす。そして最後に、クウェンティンは四つん這いになり、シーツに顔を埋め、グレッグが後ろから彼に挿入して終わる。 これまでの数多くの愛の営みと同様、この日もふたりは、共に疲れ切るまで何時間も続けた。ふたりが知っているあらゆる体位のレパートリー(しかも、その数は多い)を次々と楽しみ、最後には共にぐったりとして終わるのである。 行為が終わり、ふたりは疲れ切ってベッドに横たわっていた。ふたりとも汗まみれで、性的満足に顔を紅潮させていた。グレッグもクウェンティンも黙ったままだった。ふたりとも一緒に寝ているだけで満足していたのである。彼らには、的外れな会話をして時間を過ごす必要がないのである。 ふたりともすっかり忘れていたことがあり、それは仕事をさぼる口実を伝えること。日常生活の問題についての心配事など、頭から消えていた。今のふたりには、愛のことと、ふたり一緒にいることの喜びしかないのである。これを幸福と、人は呼ぶかもしれない。真実の混じり気のない幸福。 * その同じ日の夜、クウェンティンはラジオで聞いたニュースのことを思い出した。その時までは、愛欲以外のことについては、ほとんど頭になかった彼であった。だが、それが満たされた今、再び、彼の好奇心が頭をもたげ、あのテロリストの攻撃について知りたいと思ったのである。事件を起こした男はベルと言う名前だったのを思い出し、彼はコンピュータに向かい検索を始めた。 最初に出てきたいくつかは、ベル自身についての話だった。最先端の遺伝子学者であり、ノーベル賞受賞者であるという著名な立場を利用して、黒人の優位性を喧伝し、過去の差別に対して報復を求める法案(この法案は、この年、上院と下院の両方で否決されたのであるが)それを支持していることについての記事である。クウェンティンにとっては、こんなに天才的であると同時に完璧に非理性的にもなりえる人間がいることに魅惑的なものすら感じられた。 このベルという人物は、どの人種も他の人種より優れているわけではないと分かっているはずだし、ある人々に、その祖先が行ったことに対する懲罰を下すという考えは明らかに間違っていると分かっているはず。あるいは、ひょっとすると、この人は本当に分かっていないのかもしれないと、たった1年前にベル博士がおこなった熱のこもった演説のビデオを見ながら、クウェンティンは思った。明らかに、ベル博士の怒りの壁は、理性の力でも貫通できないほど強固なもののようだ。 だが、そのいずれも、問題のテロリスト攻撃が何であったかの疑問には答えていなかった。そこでさらに検索を続けた。2分ほど検索を続けると、事件の詳細について述べた記事を見つけた。それを読んでクウェンティンは言葉を失った。その記事には、ベルが報道各社に送った、彼自身による声明文の手紙も載っていた。次のような文章だった。 親愛なる世界の皆さん:
あまりにも長い間、我々アフリカ系アメリカ人は忍耐をし続け、世界が我々を差別することを許し続けてきた。我々はずっと忍耐を続けてきた。だが、とうとう、もはや我慢できなくなった。そこで私は我々を差別してきた皆さんを降格させることを行うことにした。初めは、皆さんは私の言うことを信じないことだろう。それは確かだ。だが、時間が経つにつれ、これが作り話ではないことを理解するはずだ。
私は、私たち人類の間の階層関係に小さな変更を加えることにした。今週初め、私は大気にある生物的作用物質を放出した。検査の結果、この作用物質はすでに世界中の大気に広がっていることが分かっている。
パニックにならないように。私は誰も殺すつもりはない。もっとも、中には殺された方がましだと思う者もいるだろうが。
この作用物質はあるひとつのことだけを行うように設計されている。それは、黒人人種が優位であることを再認識させるということだ。この化学物質は白人男性にしか影響を与えない。
それにしても、この物質はそういう抑圧者どもにどんなことをするのかとお思いだろう。この物質はいくつかのことをもたらす。その変化が起きる時間は、人によって変わるが、恒久的な変化であり、元に戻ることはできない。また純粋に身体的な変化に留まる。
1.白人男性は身体が縮小する。白人女性の身長・体重とほぼ同じ程度になるだろう。この点に関しては個々人にどのような変化が起きるかを予測する方法はほとんどないが、私が発見したところによれば、一般的な傾向として、女性として生れていたらそうなったであろう身体のサイズの範囲に収まることになるだろう(その範囲内でも、小さい方に属することになる可能性が高いが)。
2.白人男性はもともとペニスも睾丸も小さいが、身体の縮小に応じて、それらもより小さくなるだろう。
3.白人男性のアヌスはより柔軟になり、また敏感にもなる。事実上、新しい性器に変わるだろ。
4.声質はより高くなるだろう。
5.腰が膨らみ、一般に、女性の腰と同じ形に変わっていく。
6.乳首がふくらみを持ち、敏感にもなる。
7.最後に、筋肉組織が大きく減少し、皮膚と基本的な顔の形が柔らかみを帯びるようになるだろう。
基本的に、白人男性は、いわゆる男性と女性の間に位置する存在に変わる(どちらかと言えば、かなり女性に近づいた存在ではあるが)。すでに言ったように、こういう変化は恒久的で、元に戻ることはできない。(現在も未来も含め)すべての白人男性は、以上のような性質を示すことになる。
これもすでに述べたことだが、大半の人は、私が言ったことを信じないだろう。少なくとも、実際に変化が始まるまではそうだろう。もっとも変化はかなり近い時期に始まるはずだ。ともあれ、1年後か2年後には、世界はすでに変わっていることだろうし、私に言わせれば、良い方向に変わっているはずである。
親愛を込めて、
オマール・ベル博士
この手紙文の後には、様々な専門家による説明が続いていて、そのいずれも、このような主張の内容は不可能であり、いかなる化合物にも、こんなことは達成できないと述べていた。ある専門家は、これはできそこないのSF小説のプロットのようだとさえ言っていた。 たとえそうであっても、クウェンティンは、全世界の白人男性が女性化した場合の結果について思いをめぐらさざるを得なかった。確かに世界が変わる。しかも、小さな変化とはとても言えない、大変化だろう。自分がゲイの男として、これまでの生涯ずっと克服しようともがいてきた数々の問題は、どうなるのだろう? 自分は、そのような変化を受け入れることができるだろうか? アナルが感じやすくなるという点には、確かに、気を惹かれた。これまでもアナル・セックスを楽しんできたが、これがさらに気持ちよくなる? クウェンティンは、どんなふうになるのだろうと思い、ぶるっと身体を震わせた。 が、すぐに我に返った。これは全部ほら話だ。みんながそう言っている。こんなありえないことについて心配しても意味がない。 彼は自分の仕事に戻った。自分は誰で、どんな人間かは自分で分かっている。自分は男であり、その点はどんなことがあっても変わらないのだ、と。 *
「集い」 Gathering by deirdre, 9/24/94 「そうだな、それが良いな」 僕の妻のジーンが、ペグを家に連れてきたら、いろいろ良いのではないかと提案した。もちろん僕も賛成だった。ペグは僕の妹で、僕や僕の姉のサンドラに会いに西海岸から飛行機でこっちに来ることになっている。ファミリーの再会のための集いだ。ペグには2年ほど会っておらず、やっと、こっちに来てみるように説得したところだ。両親が亡くなった今となっては、兄弟姉妹が疎遠にならぬよう、会うように努力すべきだと。 僕たちがサンドラを連れてきて、まだ、たった2時間なのだが、すでに僕たちはめちゃくちゃ状態になっていた。確かに、僕は姉も妹も両方愛している。でも、サンドラには、耐えきれなくなる時もあるのだ。サンドラの攻撃的な物言いについて、僕の場合は、大半は無視する方法は知ってるのだが、妻のジーンは極度にピリピリしてしまう。サンドラを交えて夕べを過ごすと、きまっていつも、僕たちが寝室に入る頃には、妻はいつ爆発してもおかしくない状態になってしまう。サンドラは、近いところに住んでいるので、僕たちは、年に2回か3回は会う。そして、これは言いたくないのだが、僕は、ペグがそばに住んでいてくれたらなあと願うことが少なくないのである。 ペグの顔が分からなかった。少なくとも、すぐには分からなかった。すぐに分かると思っていたのに。ヘアスタイルはショートになっていた。バズ( 参考)とまでは言えないまでも、あれなら手入れは一瞬だなと確信できるほどショートになっていた。最後に見た時は、長い、絹のような髪を肩まで垂らしていたのに。服は、ジーンズとかなりタイトな革のトップ。どうして、あんなにピチピチのを着てるんだろう? 体形がすっかり分かるほどピチピチ・タイトだった。どちらかと言うと、洗濯板の胸なのだが、それでも、あの服装をして視線を引きつけていた。 ペグを出迎え、ハグをした。ペグは確かににっこりしていたが、かなり控えめの態度をとっているように思えた。僕は、ペグのことだから、ぴょんぴょん跳ねてはしゃぎまわると思っていたのに。ペグはまだ20歳で、そういう子供じみた反応をしても許される年頃だ。だがともあれ、ペグに会い、話しができて嬉しかったし、ジーンも彼女に会えて嬉しく感じていたと思う。 家に帰り、僕らはペグにワイングラスを押しつけ、サンドラが帰ってくるまで、楽しくおしゃべりをした。サンドラは高校時代の旧友に会いに行っていたのだが、彼女が帰ってきて最初の5分間は楽しかったと言える。でも、その後、サンドラの威張りくさりが始まり、僕の神経を逆なでし始める。まずはペグのヘアスタイルと服についてひとくさり。次にペグが西海岸に行ったことについて文句。その合間に、ジーンには、とりわけ夕食の出し方でどんなのが一番良いかについての説教。僕は心の中で溜息をついた。 僕はペグにちょっと驚いた。僕は、ペグがサンドラの言葉に反旗を翻すはずと踏んでいたから。ペグとサンドラは、以前は、しょっちゅういがみ合っていたのだ。なのに、いまのペグは軽く受け流しているように見えた。僕が見た限り、サンドラは、ペグを怒らせるために必死に一人相撲をしているだけのようだった。サンドラは、ペグの私生活について質問を繰り返し、ことあるごとに、ペグの自立感覚に反するような意見を挟んでいた。なのだが、ペグはただサンドラの言葉を聞き流すだけ。もっとも、一度だけ、ペグがサンドラから顔をそむけたときに示した表情を見て、僕は身体が凍りつくのを感じた。あの表情は何かを決心したような表情に見えたのだが、ペグがあんな顔をするのを見て、僕は、驚いたのである。 ペグとサンドラ、それぞれに2階に寝室を割り当てたものの、ふたりを2階に送ることに、僕は不安を感じていたと言っていい。僕とジーンが寝室に引っ込んだ後、ふたりは2階に上がって行った。階段を上がる間ずっと、サンドラがペグをなじる声が聞こえ続けたし、その後も彼女の声が聞こえていた。ジーンとベッドに入った後も、階上から会話の声が聞こえてくる。会話がやんでは、また始まるというのが何度も繰り返されていた。大声で叫びあうとかそういった声ではないが、声のトーンからサンドラが文句を言ってるのは分かる。 階上からの声は、かなり長く続いていたので、僕もとうとう、うとうとし始めた。だが、突然、大きな悲鳴で目が覚めたのである。僕はビックリして起き上がった。ジーンも僕の隣、起き上がっていた。 「何なの?」 と心配そうにジーンが言う。僕はランプをつけ、ふたりベッドから降りて、寝室の外に出た。家の中、何も音がない。僕たちは階段を駆け上がった。サンドラの寝室のドアが開いていたが、彼女は中にはいなかった。ペグの寝室のドアは閉まっていた。 僕はノックした。 「ペグ!」 「何?」 とドアの向こうからペグの声。 「さっきの何? 何が起きたの?」 「何でもないわ!」 「ペグ! サンドラはどこ?」 ペグはドアを少しだけ開けた。 「サンドラなら、ここにいるわ」 「誰の悲鳴? サンドラの?」 「何か悪い夢を見たみたいね。大丈夫よ」 「本当?」 「ええ! だからお部屋に戻って!」 ペグの振舞いは変だった。ドアをちょっとだけ開いて、それ以上、開こうとしなかった。でも僕もジーンもふたりをそのままに階下に降り、寝室に戻った。僕もジーンも、眠るまでちょっと時間がかかった。それほどのショックだった。 翌朝、僕たちが起きると、何と、朝食が始まっていたのだった。キッチンに入ると、サンドラがベーコンエッグを作っていて、ペグが食べていた。だが、驚いたのはふたりの服装だった。サンドラは丈の短いナイト・シャツのようなものを着ていた。腰のちょっと上までスリットが入っている。これまでも寝間着姿のサンドラは見ていたが、いつも、丈が長くて、だぶだぶのナイトガウンを着ていた。ペグの方はきつめのTシャツとビキニ・パンティだけの格好だった! たとえ僕の姉妹だとしても、ふたりともちょっとはしたない格好と言える。ジーンも驚いたらしい。僕とジーンはローブを羽織っていた。 ペグが「卵でも食べる?」と僕たち声をかけた。サンドラは何も言わず、ただ調理してるだけ。サンドラのための場所はテーブルには何も用意されていなかったが、ペグは、サンドラに僕たちの食卓を準備するよう言い、サンドラはすぐにその求めに従った。「卵はどんなふうに?」 とペグが訊いた。「いいのよ、私がするから」とジーンが言っても、ペグは却下するので、結局、僕たちは好みの焼き方を答えた。サンドラは何も言わず、ただ、僕たちの要望に従って料理を始めるだけだった。 ジーンと一緒にテーブルにつき、僕はペグを見た。ペグは僕たちを見て、にっこりとほほ笑んだ。非常に自己満足した笑みで、むしろ僕は驚いてしまった。ペグは確かに変わった! 朝食の後、ペグは着替えをするために部屋に戻った。サンドラはキッチンに残り、食器洗いをしていた。 こんなふたりを僕は見たことがなかった。ジーンと僕も寝室に戻り、着替えを済ませて戻った。すでにペグがいた。ふくらはぎの真ん中あたりまでのジーンズ生地のロングスカートを履いていた。多分、その下にはレオタードを着てるだろう。そしてブーツを履いていた。その姿、僕には70年代後半のファッションのように見えた。 サンドラがキッチンから出てきたが、まだ、あのナイトシャツの格好のままだった。サンドラも着替えに寝室へと上がり、ペグも後に続いて2階に上がって行った。少しした後、ふたりが降りてきた。サンドラはドレス姿になっていた。思い出されるいつものサンドラの服装と比べると、それよりちょっとセクシーな感じがした。どういうわけか、靴だけは覚えている。革製で、スリッパのように僕には見えた。 「ちょっと外に行ってくるわね」とペグが言った。ふたりはサンドラの車に乗って出かけた。 「いったいふたりに何が起きたの?」 とジーンが言った。 「知らないよ」 本当に訳が分からなかったのは事実だった。 その日の夕方、サンドラは、夕食を自分で作ると言い張った。ペグは、サンドラにさせてあげてとジーンを説得した。その日一日でサンドラが何か言ったのは、その時だけだったと記憶している。これをどう理解してよいか、僕には分からなかった。 僕たちは、その夜は映画を観に行く計画を立てていた。だが、ペグは、サンドラと一緒にいるから、ふたりだけで観に行ったらいいんじゃ、と言う。その映画はサンドラもペグももう観てしまってると言うのだ。だが、それはおかしな話だった。僕とジーンは、ペグとサンドラを交えて4人で楽しもうということで、その映画を選んだのだから。ならば、別の映画を選ぼうと言うと、ペグもようやく同意してくれた。どの映画を見るか話しあっていた時、ペグは、地元のアート系の映画館でしている映画はどうかと言った。それは外国映画で、主として、過激なヌードが出てくることで有名な映画であり、それをペグが選んだことで僕はちょっと驚いていた。ジーンが嫌がるんじゃないかなとも思った。ジーンは前からヌードが出てくる映画を拒否していたから。でも、僕たちは観に出かけた。ジーンは何も言わなかった。 映画から戻り、僕たちは眠ることにした。今回は、ふたりが階段を上がる時は、まったく静かだった。僕は驚きっぱなしだったが、それでも気持ちが落ち着き、やがて眠りに落ちた。 真っ暗な中、誰かに優しく揺さぶられていた。 「デイブ!」 囁き声が聞こえた。 ベッド脇のライトがつき、一瞬、目が見えなくなった。その人はペグだった。ベッド脇に立っている。「デイブ! 起きて!」 「何なんだ?」 「いいから、起きて!」 時計を見た。12:15AMとあった。ジーンの方に目をやった。 ジーンがいない! 「ジーンはどこ?」 「彼女なら大丈夫。起きて、着替えて!」 ふたりともひそひそ声で話していた。 「何が起きてるんだ?」 「気にしないで。見せてあげるから」 僕は下着しか着てなかったので、服を着た。僕が着替える様子をペグがそばにいて見てるのがちょっと変な感じがした。ペグは僕の妹なのだから。 ペグと廊下に出た。「もう話してくれ。何が起きてるんだ?」 と僕はまた訊いた。 「来て!」 とペグは言い、階段を上りはじめた。音を立てないように静かに。電気は消えていた。二階の廊下に来ると、サンドラの部屋の前の照明はついているのが見えた。ドアはほとんど閉まっているが、完全に閉まっているわけではなかった。 「静かにね!」とペグは囁き、ゆっくりと少しだけドアを開けた。「ね、見てみて!」 僕に、ドアの隙間から覗くよう、手招きしてる。僕が顔を覗かせることができる程度にドアを開けて。僕はドアの隙間に顔を突き出し、中を見た。 そこにはジーンとサンドラがいた! サンドラは例のナイト・シャツの姿で、ベッドの端に座っている。一方のジーンは全裸だった。サンドラの脚の間にひざまずいて、顔をサンドラの股間に押し付けているではないか! 僕は、その光景に唖然とした。サンドラはジーンの髪の毛を鷲づかみにしている。ジーンは両手を後ろ手に縛られていた。 僕は顔を引っ込めた。「いったい!?」 囁き声だが、驚きの声を上げた。 「来て!」 とペグは言い、僕を再び階下へと連れ戻した。 「何が起きてるんだ?」 改めてペグに訊いた。 「ジーンはね、ずっと前から、女の人とするのってどうなのか興味を持っていたのよ。サンドラとなら完璧にいくわ。だって、ジーンって服従するのを好む傾向があるから」 僕はペグの顔を見つめた。ペグが言ったことは、僕にとっては、最も考える可能性がないことだった。ましてやジーンが? 僕のジーンが? 気が狂ってる! 「だって、ちゃんと見たでしょ?」 ペグは、あたかも僕の心を読んだかのように、そう答えた。 「さあ、行こう!」 ペグはそう言って僕の腕を引っぱった。僕は茫然としてて、ただ引っぱられるがままになっていた。ペグは家の外、僕の車に向かっていた。そして、僕は車に乗せられていた。ペグが運転している。
娘をどうやって止めたらよいか分からない! こんなふうになったクリスティは初めて。この店やアーケードの中のすべてが彼女にとっては真新しくて、興奮させるものの様子。あたしは、そもそも娘をここに連れてきたことが良かったのか分からなくなっていた。 クリスティが手を出し、穴から突き出ているおちんちんに触れた。 「クリスティ!」 思わず叫んだ。あたしの叫び声にテレビからの喘ぎ声が覆いかぶさる。 クリスティはあたしの声が聞こえなかったのか、あえて聞かなかったのか、あたしが何かする前に、そのおちんちんを握ってしまっていた。小さなこぶしを作って握ってる。そして、前後にしごき始めた。あたしは、もっとよく娘に言って聞かせることができるだろうと、娘の横にひざまずいた。 「クリスティ、よく聞いて。あなた、この男の人が誰か分からないでしょ? こんなことをしちゃダメ」 と彼女の手を見ながら言った。 でも、どういうわけか、娘の小さな手が太いおちんちんを握ってる光景が、すごくエロティックに感じていたのも事実。 「ママ、これ、大きくなってくる!」 その通りだった。そのおちんちんはみるみる太さを増し、どんどん長くなってきている。その大きさに、あたしも息を飲んでしまった。 クリスティは規則的に手を前後に動かしながら、目を大きく見開いて、そのペニスのことをじっくり観察している。しかも顔を近づけて。こんな光景の娘を見るなんて思ってもみなかった。クリスティを見ていると心臓がドキドキしてくる。 娘はあたしの方に顔を向け、首を伸ばして、あたしにキスをした。突然そんなことをされて驚いてしまった。クリスティは、ピクピク跳ねるおちんちんを握りながらも、あたしのことを想っているの? 唇に娘の柔らかい唇を押しつけられるのを感じ、あたしも心をこめてキスを返した。自分でも気づかなかったけれど、知らぬ間に手で娘のお尻を触っていた。柔らかいお尻の頬のお肉が、触ってて気持ちいい。 娘はキスを解き、しばらくあたしの顔を見ていた。そして、小さな声で、「ママもしてみたら?」 と囁いた。 あたしは何も答えず、娘を見ていた。それがどんなに間違ったことかと思ったけれど、娘の提案を思うと、身体がゾクゾクしてくる。あたしが知らない人のおちんちんに触れる? それはイケナイことだと思うことと、娘の前でそれをすることは全然、レベルが違う。単にイケナイことというレベルを超えている。多分、「タブー」という言葉が正しい表現。 あたしはただ娘を見ながら床に座っていた。娘はニコニコしているだけ。すると、娘はもう一方の手を伸ばしてきて、あたしの手を掴み、おちんちんの上に置いた。大きなおちんちんなので、あたしたちふたりの手で握れるほど余裕があった。 顔が火照るのを感じた。真っ赤になってると思う。こんなの、恥ずかしいわ! この恥ずかしさ、知らない人のおちんちんに触ってることから生じた気持ちじゃない。確かに、それも関係はあるけど、知らない人のおちんちんに触っていて、それを自分の娘に見られていることから生じてる気持ち! 娘の前でこんなことをしているなんて、まるで……まるで……淫乱になったみたい! 本当に変なんだけど、この淫乱という言葉は、あたしを興奮させてしまう魔法の言葉になっている。ずっと前からそう。その魔法にかけられて、あたしは手を離さずにいてしまう。 「ねえ、ママ? この人のって大きいわよね?」 クリスティが言った。おちんちんの先端から、先走りの大きな滴ができてくるのを見ていた。そうして、また、あたしに顔を近づけ、舌を伸ばしてあたしの唇を舐めた。そして、その後、またおちんちんに顔を向けた。今度は危険なほど顔を近づけている。まさか、クリスティは……… 「クリスティ!」 娘が舌を伸ばして、おちんちんの先の割れ目をぺろりと舐めた! そして、ごくりと唾を飲み込んで、にっこり笑いながらあたしを見て、ウインクをして見せた。ふと気がつくと、あたしは握ったおちんちんをずっとしごき続けていた。 「ママもやってみたい?」 と娘はセクシーな声で言った。 「いや、できないわ……」 クリスティはただ笑顔まま、もう一度、おちんちんの頭を舐めた。今度は、舌で亀頭をぐるりとねぶる感じにした。そうやって、またあたしを見上げ、おちんちんから手を離し、お口を開けて、中に入れてしまった。 ぐいぐい顔を前に突き出して、どんどん飲み込んでいく。とうとう、クリスティは、唇が、根元を握ってるあたしの手にぴったり触れるまで飲み込んでしまった。ゆうに15センチは飲み込んでいる。喉の奥までいってるはず。 その位置でしばらくとどまった後、ゆっくりと顔を引いた。ヌルヌルと長い肉茎が娘のお口から出てくる。 「うーん……、すごく美味しい」 そうして正座したまま背筋を伸ばし、今度はその唇をあたしの唇に寄せてきて、長々と、気持ちのこもったキスをしてきた。 あたしは自分がどうなってしまったのか分からない。知らない人のおちんちんの味がすると分かっていたのに、あたしはお口を開けて、娘の舌を受け入れていた。多分、むしろ、それが分かっていたから、あそこからお汁が出て、パンティが濡れていたのだと思う。 娘の舌はあたしのお口の中にぬるっと入ってきた。おちんちんとそれが出した先走りのしょっぱい味がした。もう、頭の中が混乱状態。ランチの時に飲んだワインのせいもあって、わけが分からなくなっていた。 クリスティはあたしから顔を離し、あたしを見て言った。「今度はママもやってみて」 おちんちんをしごきながらそう言っている。
「恋人の目には」 In a Lover's Eyes by Nikki J クウェンティンは、筋肉が波打つ恋人の腹部に手を添えながら横寝になっていた。その目は、彼の恋人の完璧とも言える彫りの深い、男性的なハンサムな顔を愛しそうに見つめていた。クウェンティンは大学2年生の時、グレッグと出会った。ふたりが互いのことをほとんど知らなかった当時からすら、ふたりは気が会い、そのことは周囲にも有名であった。何らかの結びつきがあった。魂の触れ合いとでもいうべきものである。それは否定できない。ひと目惚れというのは存在しないと思う人もいるだろうが、クウェンティンもグレッグも、そういう人には属さない。ふたりとも、ひと目惚れを身を持って体験したのだから。 確かに、ふたりとも当時、そのことを実感していたわけではない。たいていのゲイの男性はそういうものである。さらに複雑にしていたのは、クウェンティンが極度に信心深い家庭に育ち、彼の生き方を承認しなかったという事実であった。結果として、クウェンティンは、自分の本当の姿を認め、自分が本当に求めていることを求めることに臆病になっていた。その彼の性格により、芽が出たばかりの関係はゆっくりと育てることになった。とは言え、ふたりとも、その関係の成長を止めることはできなかっただろう。たとえ、ふたりが関係の深化を望まなかったとしても止めることはできなかっただろう。なぜならば、愛というものは強いものであるから。愛というものは否定できるものではないから。 1年ほど経つと、ふたりの感情は真剣なものに変わり、その半年後、ふたりは一緒に住むことにした。大学を卒業後、ふたりとも自分で自分の人生を決めることができるようになった。世界は美味な肉に満ち、ふたり互いにそれを満喫した。 同居を始めて3年後、グレッグはクウェンティンにプロポーズした。結婚のプロポーズではない。と言うのも、彼らが住む州では同性婚は違法だからである。そのプロポーズは、ある意味、結婚より深遠なものであった。少なくともクウェンティンはそう思った。彼の論理によれば、男女間の結婚、あるいは少なくとも結婚しようと決めることは、簡単な決断だということである。誰も反対しないものだ。だが、それに比べて、ふたりのゲイ男性が一生、共に人生を送る誓いを立てるということは、どうだろうか? 人々の不寛容や、時には、あからさまに憎悪を剥き出しにされる中で暮らしていくというのは、どうだろうか? これには相当の覚悟がいると言える。 クウェンティンは、何気なく指でグレッグの腹筋の輪郭をなぞった。その白い肌に指を走らす。彼は、グレッグがプロポーズしてくれた夜のことを思い出しながら、満足げに溜息をついた。あれは暑い夏の夜だった。グレッグは美味しい料理の用意をしていた。ふたりは、その日あった出来事とか政治とかスポーツとか、日常的なことを話しながら、その料理を食べた。だが、クウェンティンは料理も話題もほとんど覚えていない。というのも、記憶力のすべてが、その食事の直後に起きたことに捧げられたからである。 グレッグがテーブルから立ち、クウェンティンの横にひざまずいた。クウェンティンは、横にひざまずく彼の輝く顔に目を落とし、そしてその青い瞳を覗きこんだ。 「君を愛している。一生、君と一緒にいたい。だから、申し込みたい。できるなら、もし可能なら、僕と結婚してくれないか?」 クウェンティンは答えようとしたが、グレッグは遮った。「ちょっと待って。まだ終わっていない。それまで待ってくれ。……もしイエスと言ってくれるなら、もちろん、僕は今ここで誓う。君と、君だけと共に生き、世界の他のなによりも君を愛すると。たとえ、僕たちが決して結婚を許されなくても」 グレッグの横に横たわりながら、クウェンティンは2年が経った今でも、言葉のひとつひとつを覚えていた。どうして忘れることができよう? もちろん、彼はイエスと言った。ゲイの結婚はいまだ合法化されていないが、クウェンティンとグレッグにとっては、それは大きな問題ではなかった。ふたりとも覚悟を決めたということの方が重要であった。法によって認められようが認められなかろうが、ふたりの覚悟を変えることはできない。 「ん……、くすぐったいよ」とグレッグは眠たそうに言った。彼は目を閉じたまま微笑み、クウェンティンの手を握った。 このまま指いじりを続けていたら、ふたりとも一晩中起きてることになると知っていたクウェンティンは、指いじりをやめ、頭をグレッグの胸板に乗せ、そして眠りに落ちた。ふたりの愛が世の中に認められる世界を夢見ながら。 * 「がんばれ! 君には、力が残ってるはずだぞ!」 とグレッグが唸った。 クウェンティンはあまり自信がなかった。胸からバーベルを押し上げようと筋肉がぶるぶる震えている。だが、力を振り絞って、何とか彼は持ち上げることができた。ゆっくりとではあるが、バーベルを胸から持ちあげ、そしてラックへ掛ける。息を切らせながら、クウェンティンは身体を起こし、両ひじを膝に当てながら、振り返ってグレッグを見た。彼は微笑んでいた。 「よくやったな!」 と彼は言い、クウェンティンも笑顔を返した。 これは毎朝のことである。ふたりは5時に起床し、ジムに行く。外見は重要だ。ふたりとも身体の線を崩したくはない。だが、それ以上に、ふたりとも、よくいる典型的に女性的なホモセクシュアルと混同されたくないと思っていた。クウェンティンもグレッグも、そういう典型例とは異なり、全身、男そのものであった。それ以外の容姿は、ふたりとも決して耐えきれないだろう。ふたりとも、決して女性的な男まがいの人ではなく、男らしい男にそそられるのである。 ふたりが触れあう時間が少しだけ長すぎるとか、友だち以上の関係を伺わせる表情とかがなければ、知らない人が見たら、ふたりを仲の良い友だち同士だと思うだろう。だが、少しでも詳しく観察したら、ふたりの関係には、それをはるかに超える深みがあることが分かるだろう。プライベートな場では、ふたりは普通の恋人同士のように振舞い、公の場では、それを慎んだ。ふたりとも、別にそれを恥ずかしがっていたからではない。単に、ふたりとも、公の場で愛情を見せびらかすタイプではないというだけだった。 ふたりはエクササイズを終え、ジムのロッカールームでシャワーを浴びた。クウェンティンの目はグレッグの逞しいカラダを見つめていた。それに触れたい、両手を筋肉質の胴体に沿って走らせ、下にある、その肉体にふさわしい逞しいペニスに触れたいという気持ちが痛いほどだった。 ふたりとも同じく、男性的な逞しい肉体の一級の典型例ではあるが、寝室では、どちらが上でどちらが下になるかについて、あいまいになることはほとんどない。そして、この時、クウェンティンは恋人のカラダを見ながら、今この場で、グレッグに身体を倒され、お尻を突き出し、激しく貫かれたいと、それだけを想っていたのだった。 だが。時も場所も、今この場所は、それにふさわしくない。クウェンティンは欲望を抑えこみ、シャワーを浴び、服を着るのであった。 * グレッグには彼の表情が分かっていた。クウェンティンはエッチな気持ちになっている。ふたりは、朝起きた時に素早く楽しむのが普通だった。だが、この日の朝は、ふたりとも若干寝坊をして、その時間がなかったのだった。クウェンティンの顔を見て、グレッグは悔やんだ。 着替えを済まし、ジムを出たふたりはグレッグの車に乗り込み、職場へと車を走らせた。くだらないポップ・ミュージックを流してるラジオ局をいくつか飛ばした後、ニュースを流すラジオ局に落ち着いた。 「……もっとも、彼が大気に化学物質を放出した後、世界中が注目しているところです。科学者たちは、確かに放出されていると確認しましたが、本当にそれがベル博士が主張する効果を持つかどうかは、依然として不明のままです」 ラジオの男がそう言っていた。さらに続けて、 「ベル博士については、元ノーベル賞受賞者であり、著名な遺伝子工学者であることは、皆さまの多くがご存じでしょう。まさに、その理由から、この主張を真剣に考える必要があると言えます。彼が主張したようなことができる人がいるとしたら、それはベル博士をおいてはおりません」 その後、ニュースのアナウンサーは別のニュースに移った。グレッグはクウェンティンに顔を向けて訊いた。「何の話だったか、分かる?」 「全然」 「だが、深刻そうだったな。……大気に化学物質? どこだろう」 「分からないよ。多分、大都会じゃないかな……だから多分、僕たちは安全だよ」 「そうは言っても…。ところで……」 とグレッグは言いかけた。 「仕事を休みたい? 君も知ってる通り、僕はそうなんだ。でも、どこかのテロリストの攻撃のせいじゃないよ」 とクウェンティンはほのめかした。「でも、それは仕事を休む言い訳になる」 グレッグはにやりとし、即座にUターンをし、多くの後続車の運転手たちを怒らせた。だが、グレッグは全然気にしない。クウェンティンと同じくらいエッチな気持ちになっていたから。家に戻る時間を無駄にする気は、さらさらないグレッグだった。
デニスの生活は、学校と仕事、そしてたまにあるパーティのリズムに落ち着いた。日を重ねるごとに、週を重ねるごとに、デニスは、この新しい生活に馴染んでいったし、デニスとアンバーの間も密接になっていき、互いに一番の親友と言える間柄になっていた。デニスは、間もなく、ホステス係から給仕係へと昇格し、それに伴って、チップも大幅に増えた。 彼は、冬休みに入る直前、ある男性と初めて一緒に寝た。最初はちょっと痛かったけれど、すぐにその痛みは快感へと変わり、最後には、デニスは情熱的に反応していた。後から思い出そうとしても、デニスはその男の名前を思い出すことすらできなかったが、その男の姿かたちや、彼のペニスの姿、そしてそれで突きまくられた時の快感はしっかりと覚えていた。その一夜の出来事が、デニスにとって転換点となった。その後、彼は、以前のシャイで控えめで、いつも恥ずかしそうにしている存在から脱却し、自分がボイであることを完全に受け入れ、肯定的に生きるようになった。 それから間もなく、デニスは本格的にデートを始めるようになった。毎週、週末、違った男性とデートに出かけ、この世界が提供してるモノをすべて採集するようになった。相手と寝る時もあれば、そうしない時もあった。アンバーはと言うと、そんな彼をいつも支援し、デニスとダブルデートすることも数多くあった。ある時など(酔った状態で受けてしまったと、後でふたりとも後悔したことだが)男性ふたりと4人プレーをしたこともあった。その男性ふたりは、典型的な大学生で、ボイと女性を相手にするという物珍しさから誘ったらしく、ただ快感をむさぼるだけだった。 アンバーが、デニスに対する気持ちが友情を超えたものであると告白したのは、大学を卒業した後、デニスが修士課程に進学し、アンバーがエンジニアになった時だった。 「あなたを愛しているの」 とその夜、ディナーをとりながらアンバーが言った。「ずっと前から」 デニスは何と言ってよいか分からなかった。彼自身、何度かそういう目でアンバーのことを見たことは確かにあった。でも、それはいつも一時的なものだった。彼は、そんなことを考えるのは、前の男性としての生活の名残にすぎないのだと無視したのだった。だが、ひょっとすると、そのような考えは何か別のものなのかもしれないのでは? 自分も、アンバーに同じ感情を持っているのでは? これまでもずっと、心の片隅で、アンバーの気持ちは単なる友情を超えたものであることは、ある意味、知っていたのだと思う。そして、彼女がそれを告白するまでは、そのことを無視することができていた。 「何と……何と言っていいか分からないよ、アンバー。……僕も君を愛している。でも、その気持ちが何であるか分からないんだ。これまではただの親友と思っていたけど、でも……」 「言うべきじゃなかったわね。……ごめんなさい。ただ、どうしても……」 「最後まで言わせて」 とデニスが遮った。「僕も君に気持ちがあるんだ。だから、思うに……その気持ちを、ふたりで探究してみるべきだと思うんだ」 アンバーは何も言わず立ち上がり、身体を傾け、テーブル越しに顔を寄せ、デニスの唇にキスをした。デニスは、彼女の唇が触れた途端、悟った。そこには愛情があった。彼が男性に対して感じる愛情とは、多分、異なる愛情。だが、同じくらい強い愛情。 長い年月を経て、デニスはようやく見つけたのだ。ずっと前から欲していたのに、なかなか捉えられなかったものを。本当に心から自分を愛してくれる人を見つけたのである。自分の姿かたちが良いから愛してくれてるのでもなく、快楽を与えてくれるからでもないし、一緒に連れて歩くと自慢できるからでもない。それとは異なる理由で愛してくれる人。アンバーは、まさにデニスがデニスであることでデニスを愛してくれている。 その後、ふたりは永遠に幸せな人生を送っただろうか? そうはならないかもしれない。デニスは、生い立ちでひどい精神的ダメージを受けてきたボイであり、アンバーは、おそらく、デニスが彼女を想っているよりも、デニスのことを愛しすぎている。でも、この瞬間、ふたりは愛しあっていた。そして、愛があるところには、希望もあるものである。それ以上、何を望めようか? おわり
娘のお尻があたしの顔の前、2センチに来てる。甘い蜜の香りに麻痺しそう。 「クリスティ、あなたはママの娘なの。ママはこんなことしてはいけないのよ」 そう頼んだけど、目はすでにクリスティの濡れた割れ目と美味しそうなピンクの唇に釘付けになっていた。 「知ってるわ、ママ。でも、そんなの私、どうでもいいの。ママに食べてほしいの。ママに私のおまんこ、食べてほしいの! ねえ、食べて! むしゃむしゃ食べて!」 娘はさらにお尻を突き出してきた。あたしは、ヤメなさいって大きな声を出そうとお口を開けた。でも、遅すぎだった! 娘の濡れたあそこの唇があたしの開けたお口にピッタリと押しつけられていて、もともと弱々しいあたしの抗議の声がくぐもってしまった。 押し返そうとしたけど、娘は構わずぐいぐい押しつけてくる。あたしは床に正座したまま、背中はドアに、顔は娘のお尻にと、両面に挟まれ、身動きできない。自分がしてる行為にショックを受けていた。あたしは何をしてるの! 多分、力が抜けていたのかもしれない。それとも、ちゃんと力を込めて抵抗していなかったかもしれない。もう、よく分からないわ! こんな変態じみた行為をしてると、あたしのお口がまだ開いたままになっていること、それに、舌がゆっくりと伸びてきていることに気づいた。自分のお口と舌なのに! ダメ! ダメ! ダメ! 心が叫んでいたけど、無駄だった。 あたしの舌はどんどん突き出ていって、娘のあそこに触れ、それから蛇のように娘の肉襞の間に忍び込んでいく。さらには、触れてない部分を残してはならないと思ってるかのように、ベロベロと舐めまくり始めた。 「ああ、すごいわ、ママ!」 クリスティは、あたしが突然、元気に舐めはじめたことに驚いて、悶え声をあげた。 「んんんんッ!」 あたしに言えたことはこれだけ。 あたしは、すっかり我を忘れて没頭していた。娘が分泌するお汁を飲んで味わい、びらびらの花弁を舐めまわす。 クリスティは、もはやあたしのお口にお尻を押しつけてはいなかった。あたしの方から密着して攻撃していたので、その圧力で、逆に娘の方がテレビ画面の方に押し付けられていた。あたしは、甘い蜜をもっともっと味わいたくって、飢えたように顔をぐいぐい押しつけていた。 「ああぁぁぁぁ……。すごく気持ちいい、ああ、すごい……ママはすごくお腹がすいていたのね!」 そう言いながらクリスティは片手を後ろに回して、あたしの髪の毛を掴んで、自分からあたしの顔をお尻の頬の間に引きつけた。 窒息しそう! お顔の周り、娘のお肉だらけ。そして、その中心からどんどんお汁が溢れ出てきて、お口の中に流れ込んでくる。 その状態をできるだけ長く保ち続けたけど、限界が来て、気絶しそうに感じ、とうとう、お顔を離して、よろよろと立ち上がった。ハアハアと息を荒げながら。 クリスティも身体を起こして、あたしと対面した。両手であたしのお尻の頬を掴んで、抱き寄せてくれた。 「ああ、ママ……。ママのお顔がびちょびちょになってる」 娘はあたしをさらに抱き寄せ、キスをしてくれた。長々と、官能的なキス。舌をあたしのお口の中に入れてきて、中を舐めまわし、あたしの舌を包むようにしてくれる。あたしも感謝をこめて舌で応戦した。しばらくそうやって、互いの舌をもつれ合わせた。その後、娘はあたしの唇やあごのあたりを舐めてくれた。娘は、あたしの顔面についてる自分のお汁を自分で舐め取ろうとしてる様子。 そして、充分、舐め取ったと思ったのか、急にあたしから離れ後ろのテレビ画面にもたれかかり、あたしの目を見た。 「もっと前から、これをすべきだったわね、ママ?」 そう言って、いたずらそうな笑みを浮かべた。 こんな顔をして、そんなことを言うなんて。この娘は、今後、あたしに何をするつもりなのかしら、と思った。 その時、突然、視界の隅で何かが動くのが見え、あたしは横の壁を見た。思わず、息を飲んでしまった! 何か穴のようなところがあって、そこから半立ちのおちんちんが突き出ている! 「なんてこと!」 とあたしはお口を手で塞いだ。 娘もそれを見た。そして目を輝かせた。 「うわっ! ママ、これ、至福の穴( 参考)だわ!」 クリスティは、そう言って、そのおちんちんの前にひざまずいた。 「クリスティ、よしなさい!」 そう叫んで、娘を離そうと肩に手をかけた。 「ママ、ちょっとヤメて! 調べてみたいだけだから」
その2日後、デニスは、リコという名の大柄なラテン系の男の前に座っていた。バイトの面接を受けているのである。デニスは、その面接はルックスだけで決められるのだろうと踏んでいたが、面接自体は、これまでの面接と何も変わらなかった。アンバーの助言に従って、ちょっと愛想を振りまこうとしたが、そんな技術はまだ会得していないとすぐに気がついた。男はデニスが魅力を振りまいても、ほとんど反応しなかった。 デニスは面接を終え、そのレストランを後にした。あまり期待はしていなかった。振り返り、店の看板を見た。「フーターズ」( 参考)。もちろん、あの男はデニスを雇わないだろう。デニスにはそもそも、ふさわしい資質がなかったのだ。とりあえずトライしてみるべきとのアンバーの意見に従っただけなのだ。アンバーによると、フーターズのウェイトレスは、他のレストランのウェイトレスよりはるかに高額の賃金をくれるらしい。デニスは、それに促されて応募したものの、彼には、そもそも、その仕事をする資格がない事実に目を閉ざしていたのである。 学生寮の部屋に戻った。誰もいなかった。デニスは課題をするため机に向かった。勉強を始めて1時間ほどした時、デニスの電話が鳴り、彼は電話に出た。 「もしもし?………そうです。………ええ、まだ興味があります。………もちろん。………では、明日の夜、伺います」 電話を切り、デニスはにんまりとした。フーターズに雇われたのだ! デニスはすぐにアンバーに電話し、その知らせを話した。アンバーの喜びは、デニスのそれよりも大きかった。 「お祝いをしなくちゃね。今夜はダメなの。明日、テストがふたつあるから。今週の週末はどう? ダンスに行かない?」 とアンバーが言った。 デニスは嬉しさから、ためらいすらしなかった。「ああ、良さそうだね」 * 「全米自由人権協会ACLUは、何年も前からうちをつけまわしていたんだ。うちには、ジェンダーの公平性が欠けているとね。だから、こうすれば、連中を黙らせられると期待している」 翌日、リコはデニスにそう説明した。デニスは約束の時間の15分前に来ていて、リコのオフィスに行くよう指示された。リコはデニスに衣装類を渡した。 「君のユニフォームだ。君にはホステスとして仕事を始めてもらうつもりだ。とりあえず、仕事の具合を確かめるためにな。着替えをしたら、アイリーンが君に手順を教えるだろう」 話しが終わったと察知し、デニスはオフィスからそそくさと退出し、ウェイトレスのための小さなロッカールームに入った。中に入ると、半裸状態の美しい女性が10人ほどいた。デニスは、半年前なら、この部屋に入るためにいくら払っただろうと思い、ちょっと笑ってしまった。だが、現状、彼に見えてるのは、ただの女性たちだ。友だちになるかもしれないし、あるいはライバルになるかもしれない、そんな女たち。以前とは異なり、欲望の対象としては見えなかった。 デニスは空いているロッカーを見つけ、服を脱ぎ始めた。 「あんたが、オンナ男ってわけね。えぇ?」 と黒人の女の子がデニスに声をかけた。「チップを全部かっさらうつもりなの? あたしたちから男を奪うだけじゃ、物足りないというわけ?」 「ええ、何て?」 とデニスは驚いた。 「あたしはねえ……」 と黒人女性が始めたが、背の高いブロンドの女性に遮られた。 「いいから、やめなさい、ジャッキー。彼は置かれた状況を何とかしようとしてるだけなの。ほっといてやりなさいよ」 その女性はそう言った後、デニスの方を向いた。「私はアイリーン。ジャッキーのことは気にしないで。彼女、ついこの前、彼氏がボイとベッドにいるところを見つけたのよ。だから、今はちょっと苛立ってるの」 「ああ……」 デニスにはそれしか言えなかった。 彼は渡された衣類を調べた。フーターズの白いタンクトップ、オレンジ色のショートパンツ、褐色のパンスト、白ソックス、白い靴、それに彼の名前が書かれた名札があった。 服を脱いだ後、最初にパンストから始めた。滑らかな脚に沿って巻いたストッキングを上げていき、整える。裂け目を作らずに履く方法はアンバーから教えてもらっていた。次は、ショートパンツだった。履いてみると、すごくキツイ。ピチピチだった。そしてタンクトップ。これも身体にぴっちり密着した感じだった。最後にソックスを履き、テニスシューズを履いた。 近くの鏡の前に立った。ユニフォームのすべてがピチピチなので、身体の線に関して、見たまんまであり、想像の余地はほとんどなかった。丸い腰、膨らんだ尻頬、そして、その他は引き締まった身体。それが、そのまんま、鏡に映っていた。自然と目は股間に移ったが、彼のペニスによるわずかな盛り上がりがあったものの、ほとんど気づかれないものだった。胸に目を向けると、膨らんだ乳首がはっきりと突き立っていて、薄い生地を中から押していた。概して言えば、この衣装の効果はかなりセクシーだと思った。 振り向くと、そこにはアイリーンがいてデニスを見ていた。彼女がいつからそこにいて、鏡を見つめるデニスを見ていたか、分からない。 「恥ずかしがらなくていいのよ。もし、私があなたのような身体をしていたら、あたしも見つめてしまうと思うわ」 そうアイリーンは微笑みながら言った。それを聞いてデニスは一瞬にして彼女を好きになった。アイリーンは175センチほどの長身で、きわめて大きな胸をしていた(明らかに豊胸手術を受けたと分かる)。その他の点では痩せた体形をしていた。彼女の笑顔はとても温かみがあり、人を和ませる笑顔で、デニスは彼女と一緒にいると気が休まると感じた。 アイリーンが良い人だったことは、本当に幸いであった。というのも、その後に続いた仕事がデニスにとって悪夢以外の何物でもなかったからである。ヒューヒュー声をかけられたり、言い寄られたり、身体を触られたりするのは避けられないだろうと、心の準備はしていた。だが、この仕事自体がかなり難しいことについては予想していなかったのだった。あらゆる仕事が高速回転で進行する。しかも、ホステスとしてだけで働いていても、そうなのだ。仕事の終わりになり、着替えをしながら、ここで働こうとした決心は間違っていたのではないかと思い始めていた。 「顔を上げて、胸を張りなさい、ボイさん!」 背中からアイリーンの声がした。「あなたは、私の初日よりは、ちゃんとできてたわよ。本当に。私なんか、仕事の途中から、泣きだしていたもの。あなたなら大丈夫」 彼自身、驚いたが、その言葉にデニスは本当に慰められた。あまり過酷に消耗してしまうことがない限り、この仕事が続けられるように思った。この店の喧噪状態に慣れるかどうかの問題にすぎないのだと思った。 * その週の金曜の夜、デニスは仕事休みだった。彼はその週の金曜以外の夜は、ずっと仕事をしており、職場の狂ったような忙しさに慣れ始めてきたところだった。しかし、この日は休みを取れて、とても嬉しかったデニスである。だが、その嬉しさには、少なからず不安も混じっていた。 今夜は、アンバーがお祝いをしたいと言った夜である。つまりは、ダンスに出かけることを意味する(これは、デニスはそれまで一度も経験がなかった)。アンバーは、デニスのためにキュートで可愛い服を選んだ。タイトなパンツとタイトなオックスフォード( 参考)のブラウスである。そしてふたりは地元のクラブに出かけた。 クラブの中、どっちを見ても、ボイが男性とダンスしたり、いちゃついていたり、さらにはキスをしていたりするところが目に入った。もちろん、そうだろうなという予想はあったが、予想することと実際に目の当たりにすることは、まったく異なる。デニスは急に居心地悪くなるのを感じた。 もし誰か男が自分にキスしようとしたらどうなるだろう? 身体を触られたらどうなる? 男とダンスしなければならないのだろうか? それにダンス自体、どうなんだろう? ダンスの仕方は知っていた。女性がダンスするところも何度も見たことがある。でも、デニスは自分の能力に自信がなかった。確かに、ここ数日、職場で似たような難問に直面してきたけれど、職場では、これは仕事なんだと割り切ることができた。あのユニフォームは、ほぼ変装のような役割を果たし、遊び上手で浮気っぽい女性の仮面の下に本当の自分を隠すことができた。でも、このクラブで、ダンスフロアにいる他のボイたちを見ながら、こうして立っていると、デニスは丸裸にされてる感じがした。彼は、完全に100%自意識過剰の状態になっていた。 「リラックスすればいいの、デニス」 とアンバーが声をかけた。「あなたは、したくないことは何もする必要はないんだから」 アンバーの声で彼は我に返った。パニック状態を和らげてもらった。もちろん、アンバーの言うとおりだと思った。不安な気持ちを抑え、彼は言った。「一緒に踊ろう」 デニスはこれまでもクラブに行ったことはある。でも、あの変化の後のデニスにとって、クラブがいかに違った場所になっているかについては、どんな心の準備も可能ではなかっただろう。アンバーとダンスをしている間、ずっと、男たちの視線を感じ続けた。そして、デニスはそれが悪い気はしなかったのである。目立ちがり屋になって人の関心を惹くというたことが一度もなかったデニスだったが、この時は、気がつくと自然に、普通よりちょっとセクシーにダンスしようとしていた。そうやって積極的に男性の視線を浴びようとしていた。 わざと身体をダンス相手の男性に擦りつけたり、彼らの体格を身体で感じたり、彼らの力強い手で身体をまさぐられたり……。その夜も半ばにさしかかった頃までには、デニスも悟っていた。自分は男たちが触ってくる触り方が好きというよりも(確かに、それも好きなのだが)、それよりもむしろ、男たちから求められているという感覚の方が好きなのだと。この建物の中にいる男性のほぼ全員が自分を求めている。そう実感でき、その事実に彼は喜びを感じた。 何時間もダンスフロアで踊った後、ようやくデニスもすっかり疲れてしまった。仮に自分が求めれば、ここにいる男たちは僕を家に連れ帰るために列をなすだろうと思った。だが、デニスはアンバーとふたりっきりで寮に戻ったのだった。 *
クリスティがあたしに振り返って、微笑み、両手を腰のところに持っていった。ショートパンツの腰のところをいじってる。よく見ると、パンツのボタンを外してるところだと気がついた。 あたしはと言うと、娘の真後ろに立って身動きできないまま。娘の後ろから画面と娘を見ている形。 するとクリスティが、またあたしを振り返って、微笑みながらあたしの両手を握った。そのまま、あたしの両手を自分の腰のところに持っていった。お腹のおへそのあたり、肌が露出している部分に、あたしの手のひらをあてがう。娘のつるつるの肌。肌がとても暖かい。 あたしは娘の後ろ、身動きせず、娘の行為にすごく興奮したままでいた。 最初、クリスティは画面を見ながら立っていただけ。画面では女の子が男にディープスロートをしていた。あんな大きなおちんちんだというのに、半分近く飲みこんでいて、カメラは、そのおちんちんの先端が喉の奥に入っているところを映していた。 クリスティは小さく溜息を漏らしながら、セクシーな感じで腰を小さく揺らしていたけれど、あたしが何もしないのに気づくと、あたしの手をとって、ショートパンツの腰バンドの下へと押し始めた。あたしの両手は、下へ押され、それにつれて、どんどんショートパンツが下がっていく。 そんな娘の行動を止められるかと言うと、全然できなくって、ただ突っ立ったまま、自分の両手が、娘のショートパンツを道連れに、下へ、下へとゆっくり降りて行くのを見てるだけだった。娘のお尻の上のところや、お尻の割れ目が見えてきて、思わず震えてしまう。 すると娘はあたしの両手を離して、はあーんと喘ぎ声を上げた。今が娘のショートパンツを引き上げるチャンスと思った。元通りに履かせれば、事態を正常で適切な状態に戻せる……でも、あたしはしなかった。まるで、あたしの両手が意思を持っているみたいに、勝手に娘のショートパンツを下へ下へと降ろしていった。そして、そのすぐ後、娘のパンツは重力に従って、スルスルと落ちて行き、クリスティのお尻を露わにしてしまった。 その瞬間、あたしは膝ががくがくしてきて、力が抜け、娘の後ろ、床にへたり込んでしまった。目の前にはクリスティのお尻が来てる。そこに目を吸い寄せられる。なぜかあたしは娘のショートパンツを引っぱっていて、クリスティはビックリしたような目であたしを見ながら、パンツから足を抜いた。 またも、娘はあたしの前で腰から下が丸裸になっている。さっきのレストランと同じ。でも、今回はあたしたちは他の人の目につかない個室にいるし、あたしはと言うと、娘のお尻の真後ろに正座している姿勢。これから起きそうなことが予感でき、とても怖かった。そんなことを自分がしてしまうかもしれないと、とても怖かった。なのに、何てことなの! あたしは立ち上がったりしなかった! 両手でクリスティの両脚にさわさわと滑らせ、その肌を擦った。つるつるでクリームのようなしっとりとした肌。そして、いつしかあたしの両手はクリスティのお尻に戻っていた。両手をお尻の左右の頬にあてる。心臓がドキドキして今にも喉から飛び出てきそう。でも、お尻の頬は撫でたけれども、それ以上、進む勇気はなかった。 そんなあたしのためらいに気づいたのか、クリスティは、また手を伸ばしてきて、あたしの両手の上に重ねた。そして、ゆっくりと力を加えてくる。尻頬を左右に広げる方向に力を加えてくる。 「ああ、クリスティ。ダメよ、そんなこと……」 自分が何をしてしまうか怖くて、小声でつぶやいた。 「ママ……」 娘はそう囁き返して、さらに力を加えてくる。同時に前のめりになる姿勢を取り始める。 ああ、娘のあそこの綺麗な唇が見えてきた。とても艶やか。ヘアがないので、何にも隠されずに見えている。そこがゆっくりとお口を開いて、中に溜まっている滴がはっきり見えた。 中は明るいピンク色。濡れていて、あたしを誘っているみたい、そこから甘い香りが立ち上ってきて、あたしたちの周囲の空気を満たしている。 クリスティがお尻を突き出してきた。あたしの顔に危険なほど近づく。あたしは本能的に距離を保とうと、後ろに引きさがった。でも、あたしの背中にドアが当たり、それ以上、引きさがることができない。もう、これ以上は避けられないわ! なのに、クリスティは容赦なくお尻を突き出してくる。あたしのお口と娘のあそこの間は、もう数センチしか離れていない! 「クリスティ、ヤメて! ママには無理!」 思わず叫びそうになったけど、何とか堪えて、小声で言った。 「ああ、ママ。ママは、そんなことないはずよ。さっきあのレストランで、ママがどんなふうに私のことを見ていたか知ってるもの。私がしてほしいのと同じくらい、ママもしたがってるの。分かってるんだから……」 とクリスティは甘い声を出した。
仕事はとても少なかった。デニスは2週間近く探し続けていたが、ひとつも見つからなかった。 だが、その点を別にすれば、彼の生活は、これまでにないほど良くなっていた。彼とアンバーは日増しに近しくなり、互いに秘密を話しあう仲になっていた。それに、どこに行くにもふたりは一緒だった。数は少ないが、共通の授業も受けている。デニスは生物学、アンバーは工学と、専攻は違っていたが、概論の類の授業は同じものを取るようにしていた。 この最初の2週間の間に、デニスの態度や身のこなしは大きく変わっていた。デニスは、その変化の大半はアンバーのおかげだと思っている。彼女はとても快活で楽天的なので、彼女がいるだけで、デニスは、根っからの鬱屈した性格が陰に潜むのを感じた。 彼の身のこなしについて言えば、かなり女性的になったことは認めざるを得なかった。なんだかんだ言っても、デニスは普段の時間のすべてをアンバーと一緒に過ごしてるし、アンバーは他の誰よりも女性的であった。そのことと、ふたりが同じ服装をしていて(アンバーの服をユニセックスを言う人は誰もいない)事実が重なれば、デニスがアンバーの身のこなしをまねるようになったのは、当然と言えるだろう。 その日、アンバーは机についていて、デニスが洗濯物を畳んでいる時だった。デニスが声をかけた。 「仕事を得た人は誰もいないみたいだよ」 「ウェイターとかだったらいつでもできるんじゃない? そういう仕事で学生時代を乗り切る人はたくさんいるわよ」 「それも考えたんだけど、どの仕事も、経験有が条件となっているんだ……でも、僕にはそういう仕事に就いた経験がない」 アンバーが振り向いた。「そんな可愛いのに? 経験有だろうと無だろうと、あなたなら、速攻で雇ってもらえると思うけどなあ。ともかく、あなたに使える手段を利用するのよ。男は簡単なモノよ。ちょっとだけでいいから愛想を振りまくの。そうすれば、あなたが望むこと何でも、してくれるわ」 「でも僕は女の子じゃないし。女の子かそうでないかが、大きな違いなのは分かるだろう?」 「あなたって、世の中がどうなっているか、ホントに注意してないんじゃない?…今は、世の中が前とはすっかり変わってるの。どう言えばうまく説明できるか分からないけど。そう言えば、この前、完璧と思える記事を見つけたわ」 アンバーはそう言ってデニスを手招きし、マウスを何度かクリックした。デニスが後ろに立った時までに、彼女は、すでに、あるネット記事をディスプレに表示させていた。 「これ、読んでみて?」 * * * * * 「調整するということ:すべてのボイたちが知っておくべきことのいくつか」 イボンヌ・ハリス著
数ヶ月前、オマール・ベル博士が大気に生物化学物質を放出し、それはこの何ヶ月かに渡って、私たちの白人男性に対する従来の考え方を効果的に根絶することになりました。男性的ないかにもアメリカ男といった存在は消滅し、その代わりに、小柄な(通常、身長165センチに満たない)男の子と女性の中間に位置する存在が出現したのです。ですが、そのことを改めて言う必要はないでしょう。あなたがこの記事を読んでるとしたら、自分がどう変わってしまったかを一番よく知っているのはあなた自身であるから。この記事の目的は、情報提供にあります。(以降、この記事ではボイと呼ぶ)白人男性たちが、依然として男性のように振舞おうとあくせくしている様子がいまだに続いています。それは間違いなのです。あなたたちはもはや男性ではありません。ボイなのです。それを踏まえて、この記事では、いくつかの主要な問題点に取り組むことにします。それは挙措、セックス(イヤラシイ!)、そして服装という3つの問題です。それでは、前置きはこのくらいにして、早速、本論に入りましょう。
すでに述べたように、最初の問題は挙措についてです。どういう意味だろうかと思うかもしれません。まあ、「挙措」とは態度、振舞いのことを言う気取った用語ですが、それ以上のことも意味します。挙措には、普段の姿勢から歩き方に至るあらゆることが含まれます。ボイたちが、これまでと違ったふうに振る舞うことを学ばなければいけないというのは、奇妙に思われるかもしれませんが、でも、率直に言って、あなた方が男性のように振舞おうとするのは、マヌケにしか見えないのです。10代の若い娘が、その父親のように振舞おうとする姿を想像してみるとよいでしょう。まさにそれと同じです。ボイが男性のように大股で歩くのを見ると、まさにそれと同じくらい奇妙に見えるものなのです。
ボイは、男性とは異なるがゆえに、男性とは異なるふうに振る舞うべきなのです。この点はいくら強調しても足りません。というわけで、外出しようとするあなたたちボイに、いくつか指針を提供しましょう。まず第1に、背中を少し反らし続けること。その姿勢を取ると、あなたのお尻を完璧に愛しいものに見せることになります。第2に、腰を少し揺らすようにすること。男性はそれが好きです(これについては後で詳しく述べます)。第3に、怖がらず、エアロビクスを行うこと。皆さんは身体の線を保つ必要があります。太ったボイは孤独なボイになってしまいます。個人的にはストリッパーのエアロビを勧めますが、他のどんなエアロビでもよいでしょう。ですが、私が提供する指針で一番重要なものは、次のことです。女性をよく観察し、彼女たちをまねること。皆さんは、女性にはるかに近い存在となっているのです(しかも、性的な目標もきわめて類似している。これについても、やはり、後で詳しく述べます)。そして、女性たちは皆さんよりはるかに以前から、これを実行してきている。なので、ボイたち、私たちを観察し、学習するのです!
触れなければならないふたつ目の問題は、服装に関する問題です。(あなたが、元々、発育がよくなかった男子だった場合は別ですが)みなさんの大半は、おそらく、持っている服のすべてが、もはや自分に合わないことに気づいていることでしょう。ですから、皆さんは、すべて新しい服を買い直す必要があります。たいていのデパートでは、直接ボイを対象にして、新しいセクションを開いています。なので、そこから始めるのが良いでしょう。ですが、予算に限りがあるならば、勇気を持って、あなたのサイズに近いガールフレンド、妻、あるいは姉妹から服を借りるとよいでしょう。
ただし、いくつか注意すべき点があります。まずは下着から話しましょう。ボイはパンティを履くこと。そうです。ブリーフやトランクスではありません。パンティです。みなさんの体形は、パンティを履くようになっているのです。パンティを履くことを好きになるように。私も、新しいセクシーなパンティを履くのが大好きです。それを履くと、自分に自信がみなぎるのを感じるものなのです。ボイの中には自分の女性性を完璧に受け入れ、ブラジャーをつけ始めた人もいます。そのようなボイたちの適応力に、私は拍手をします。ですが、私の個人的な意見を言わせていただければ、ボイはブラをつけるべきではありません。どの道、ボイには乳房がないのですから(今の時点では、なのかもしれませんが。気の狂ったベル博士が何をしたか、知ってる人は誰もいませんし)。皆さんは、女の子でもありません。ボイなのです。ボイには乳房はありません。ゆえにブラの必要はないのです。
アウターに関して言うと、基本的に女の子が着る服なら何でも適切と言えるでしょう。スカートからジーンズ、ブラウスからドレスに至るまで何でもよいでしょう。着てみて似合うと思ったら、着るべきです。注意すべきは一つだけ。(たとえサイズがかろうじて合うような物であっても)紳士服を着たら変に見えるということを忘れないこと。皆さんは、決して男性のようにはなれないのです。ですから、婦人服や、ボイ、あるいは子供服のセクションにある服に限定すべきなのです。
最後に、セックスについて少しだけ触れたいと思います。もし、この話題に関して嫌な感じがしたら、即刻、読むのを止めてください。
よろしいですか? まだ、読み続けていますね? よろしい。
ボイの皆さんは、性器に関してサイズが減少したことに気づいているかもしれません。この変化に気恥ずかしさを感じた人も多いことでしょう。でも、そんな恥ずかしがることはないのです! ボイが小さなペニスをしていることは完全に自然なことなのです。最近の研究によると、白人男性の平均のペニスサイズは4センチ程度になっており、しかも、それより小さいことも珍しくはありません(実際、私の夫は、2センチ半にも達しません。これ以上ないほどキュートです)。ボイの皆さん、心配しないように。そんなペニスのサイズなんて、もはや、それほど重要なことではなくなっているのです。そのわけをお話ししましょう。
皆さんは、以前に比べて、アヌスがかなり感じやすくなっていることに気づいているかもしれません。皆さんの身体はそういうふうにできているのです。その部分を、新しい性器だと考えるようにしましょう。女性にはバギナがあります。男性にはペニスがあります。そして、ボイにはアヌスがあるのです。恐れずに、その新しい性器を試してみるとよいでしょう。その気があったら、そこの性能を外の世界で試してみるのもよいでしょう。ガールフレンドから(あるいは、気兼ねなく言えるなら、姉や妹から)バイブを借りるのです。そして、街に出かけるのです。すぐに、そこが「まさに天国みたい」に感じることでしょう(これは私の夫の言葉です)。
さて、皆さんの人生にとって最も大きな変化となることが、次に控えています。多分すでに予想してることでしょう。そうです。ボイは男性と一緒になるべきなのです。これは簡単な科学です。ボイは女性とほぼ同一のフェロモンを分泌します。それに、男性のフェロモンに晒されると、ボイは女性とほぼ同一の反応を示すことも研究で明らかになっています。
これが何を意味するか? ボイの皆さん、気を悪くしないでください。ですが、皆さんは男性に惹かれるようになっているのです。もっとも、男性の方も皆さんに惹かれるようになっているのです。そのような身体の要求に抵抗したければ、してもよいでしょう。ですが、これは自然なことなのです。この事実と、皆さんが感じることができる新しい性器を持っている事実を組み合わせてみれば、なぜ、ベル博士があの物質を放出して以来、男性とボイのカップルが400%も増えたのか、その理由が分かるでしょう。
ボイにとって、ヘテロセクシュアルであるということは、男性を好むということを意味するのです。そのことを拒むボイも多数います。そのようなボイは、基本的にホモセクシュアル(つまりレズビアン)であることを意味します。あるいは、少なくとも様々な実生活上の理由から、レズビアンになっているということを意味します。多くの女性が、変化の前は、男性と結婚していた(または男性のガールフレンドになっていた)わけですから、変化後もその関係を続けるとなれば、ボイはレズビアンになることになるわけです。
一応、その事実を念頭に置いてですが、そういうボイの皆さんには近所の「アダルト・ストア」に行き、何か…突き刺すもの…を探すことをお勧めします。あなたもあなたのパートナーも共に同じ種類の欲求を持つので、おふたりが共に満足できるようなものを手元に置いておくことがベストでしょう。
これを読んでる皆さんの中には、まだ拒絶状態でいる人も多いと思います。厳しいことを告げる時が来たかもしれません。どうか、鏡を見てください。何が見えますか? その姿は男性ですか? 決してそうではないでしょう。その姿は女性ですか? いいえ、違う。鏡の中からボイがあなたを見ているはずです。ボイはボイらしく行動する時が来たのです。
カウンセリングが必要な人もいるでしょう。それは良いことです。政府は、そのような要求に備えて、国中にカウンセリング・センターを設置しました。そこに行くこと。そして新しい自分を受け入れる方法を学ぶことです。この記事が役に立てばと期待しています。それでは今日はここまで。ありがとう。次週は、パンティを履くことが、あなたに人間としてどのようなことを教えるかについてお話します。* * * * * すべてが理にかなっていた。フェロモンの下りは、なぜ自分がもはや女性に性的に惹かれなくなったのかを説明していた。デニスはホッと溜息をついた。彼は、ひょっとして自分が変質者か何かになってしまったのではないかと思っていたからである。そんな自分は完全に正常である(少なくとも、ジェンダーが3つある、この新しい世界では、正常なのだ)という意見は、大きな安心をもたらすものであった。 だが、この記事は、デニスが不思議に思っていた他の事柄についても説明していた。まずは服装だ。彼が見かけたボイたちは大半が婦人服を着ていたが、いずれも、とても地味な服装だった。それが最近、ドレスやスカートを身につけるボイたちも見かけるようになっていた。どうして、このように変わってきたのか、この記事が説明していた。おそらく、ボイにはどんな服装が適切かに関して、新しい見方が出てきて、それが関わっているのだろうと分かる。 もうひとつ、この記事によって分かったことがあった。それは、最近、黒人男性がボイと手を組んで歩いてる姿をたくさん見かけるようになったこと。その理由がこの記事によって説明されていた。以前は、この風潮は大学内のことだろうと思っていた。大学だと、若者たちが自分のセクシュアリティに関して実験的な行動をしがちだからと。だが今は、これはボイがボイらしい行動をしているからだと分かった。この記事に書かれているように、ボイは男性と付き合うものなのである。デニスも、記事を読んでる時にすでに、これは正しいと実感した。彼は、トレントの露わになったペニスを見て反応した時から、このことを知っていたのである。 そして、この記事を読んで、アンバーが言ったことがいっそう妥当性を持っているように感じられた。デニスは、別に自慢気にではなく、自分がかなり可愛いボイであること、もっと言えば、美しいボイだとすら言えると思った。デニスは、自分はユニークな存在だと感じた。確かに、自分の他にも、異人種のカップルの間に生まれたボイがいるはずだとは思っていたが、いまだ、ひとりも出会っていない。そのことは、デニスに自分が特別であり、とても珍しいセクシーな存在なのだと感じさせた。 デニスはアンバーの忠告を受け入れ、ウェイター(ウェイトレス?)の仕事に応募しようと決めた。 デニスとアンバーは、この記事と、この記事が意味することについてしばらく話しあった。そしてデニスは新しい自分の立場を完全に受け入れ始めた。 *
ゆっくり時間をかけて商品を調べ、ようやく、革のストラップと目隠しに落ち着いた。これを使えば、夫を動けない状態にしたまま、次にあたしが何をするか知られずに夫をいじることができる。その2つのアイテムを持って、クリスティが立っているところに近づいた。クリスティは両手にいっぱい商品を抱えていた。手錠やギャグ・ボールばかりか、数え切れないほどの鞭や縄を持っていた。 「この店にある商品を全部買ってとは言わなかったわよ」と驚いて言った。 「ママ、どうしても見逃すことができなくて。全部、セール品だって」 そう言いながらクリスティは、店の奥、男たちがふたりほど出てきた方に目を向けた。 「向こうに何があるのかしら。行ってみない? 何があるのか調べてみなきゃ」 娘はあたしの手を握り、その一角へと引っぱった。そこには「アーケード」という標識がかかっていた。そこがどんなところか、漠然とした知識はあったけれど、とりあえず、娘に引っぱられてそちらに行った。 中に入ると、薄暗い廊下があって、その角のところには暗い照明でイルミネーションがなされていた。廊下の左右にいくつもドアがあって、並んでいた。反対側の壁には両替機が置いてあった。 その両替機のところに男の人がふたり立っていて何か話していたけれど、あたしたちが来るのに気がつくと、急におしゃべりをやめたみたい。ふたりともあたしたちの様子をじっと見ていた。 どのドアにも、細長いイルミネーションの札がついていて、中でどんなタイプのビデオが見られるかを表していた。普通のセックスや、乱交モノ、10代のセックスから緊縛ボンデージ、奴隷モノや異常なセックスに至るまで、何でもそろっていた。行為のあからさまな画像と一緒に短いあらすじもあって、それを読んでるうちに頭がクラクラしてきた。クリスティは、あたしを引っぱりながら次から次へとあらすじを読んで歩いてる。 例のふたりの男たちのところに近づくと、ふたりはニヤッと笑って両替機のところから離れた。ふたりともビジネスマン風のシャツとスラックスの、きちんとした身なりで、ふたりともハンサムだった。この人たち、多分、お昼休みにちょっと気晴らしに来ただけの、ちゃんとした仕事に就いている人たちじゃないかなと思った。 「ママ? 25セント玉を何枚か用意しなきゃ。どうしてもこれを調べつくす必要があるわ!」 クリスティはもうすっかり興奮していた。 「クリスティ、あなた本気でここのブースの中に入ってみるつもりなの?」 あたしは驚いた。 「もちろん。ママも一緒に来てね。ねえ、ママ? ここの中を調べるのは今回しかないわ。社会勉強のためにも、調べさせて」 あたしは、いやいやながら、持っていた1枚きりの10ドル札を両替機に入れた。両替機は大きな音を立てて、、じゃらじゃらと25セント玉を吐き出した。店中に聞こえると思うほど大きな音。 視界の片隅に、さっきのふたりの男たちが見えた。あたしたちの挙動を逐一見つめている。薄暗い照明のせいもあって、何だか不安になってくる。 クリスティはコインを握って、ドアを開け、あたしを中に引っぱった。そのドアには、大きなおちんちんをした男が小柄のブロンド娘のお尻に突き入れてる写真が貼られていて、その横には「アナル好きのティーンエイジ淫乱」と書いてあった。 「クリスティ! これはダメ!」 その写真に驚いて、あたしは抵抗したけれど、時すでに遅し! クリスティは、中に入るとすぐにドアを締め、鍵をかけてしまった。小さな個室で、ドアの上に赤い電球があって中をぼんやりと照らし、個室の奥には32インチのスクリーンが置いてあった。横にコインを入れるところがある。部屋の中、スペルマみたいな匂いがむんむんしていた。 「うわ! ここ、ひどい匂いがするわ」 「ホント! ママの言う通り。これって…アレの匂いみたい。男の人たち、ここに入ってオナニーするの? ママ、そう思う?」 クリスティはあたしの前に立っていて、お尻をあたしの股間に押し付ける格好でいた。部屋は狭くて、あまり自由に動ける空間がなかった。 「ええ、そうね。ここが何のためにあると思ってたの?」 あたしは、娘が最初のコインを入れるのを見ながら、そう言った。 ビデオが始まり、すぐに男と若い娘の行為が始まった。その登場人物は、ドアに貼ってあった宣伝用の写真に映っていたのと同じ男女だった。 シーンが変わり、男が女の子の服を脱がせるところになった。女の子は、すっかり裸にされると、男におしゃぶりをし始めた。カメラの方にお尻を突き出し、脚を広げながら舐め吸ってる。 クリスティは興奮した顔であたしを見て、手に持っていたお買い物を部屋の片隅に置いた。嘘はつけない。娘ばかりかあたしも興奮していた。 その男のおちんちんがすごく大きかったから! 小柄なブロンドの女の子は両手で大きな肉茎を捧げ持って、その皮膚をゆっくり根元に押していった。すると、亀頭がにゅるっと顔を出してくる。その頭のところを美味しそうにお口に入れていく女の子……でも、大きすぎて、お口に入れるのがやっとみたい……そうしてから頭を前後に動かし始める。 ちょうどその時、あたしたちのブースの両隣りのブースからドアが閉まる音が聞こえた。両隣りのブースに誰かが入ったのが分かる。さっきあたしたちを見ていた、あのふたり連れの男の人かしら?
アンバーはショートパンツとタンクトップも渡し、デニスはそれを着た。 「完璧ね。見てみて」と彼女は鏡を指差した。 デニスは鏡の前に行き、自分の姿を見た。女物の服の効果は圧倒的だった。彼が予想していなかったのは確かだが、彼の身体は、端的に言って、完璧なプロポーションになっていたのである。もし、この身体に乳房がついていたら、皆がハッと目を奪われるような美しい若い女性に見えるだろう。 デニスの肩越しにアンバーが覗きこんだ。「本当に可愛いわ。しかも、お化粧もしてなくて、こんなひどいヘアスタイルをしてるというのに」 デニスは自分の髪を見た。彼は近所の人たちに顔を見られることすら恥じていたので、床屋に行くことすら避けていたので、髪がぼさぼさの伸び放題になっていた。これまでも、髪は若干長めにしていた。その方が良いと思ったから。でも今はちょっと伸び放題になっている。結果は、もじゃもじゃのアフロになっていた。 「どうしたらいいと思う? 僕はこの種のことについて経験がなくって。いつも、普通の男のような髪でいたから」 「そうねえ、髪は簡単にストレートにすることができるわよ。ヘアサロンに行って、化学的にストレートにしてもらうのを勧めるわ。でも、ヘアアイロンを使ってもできるし。それとも、そのナチュラル・ヘアのままでもいいかも。いずれにせよ、一度、スタイリストに見てもらうべきね」 デニスは考えた。前から、彼は、ストレートのヘアをした黒人女性を可愛いと思っていた。その旨をアンバーに話すと、彼女は大はしゃぎして喜び、直ちに携帯を出して、ヘアサロンに予約を入れた。 彼女が電話を切った後、デニスが言った。「あの…それより前に、ここの整理をして落ち着く必要がないかなあ」 「ナンセンス! 自分の新しい生活の準備をすることの方が、荷解きなんかよりずっと、ずっと大切よ! さあ、行きましょう。予約を入れたから」 デニスがためらってるのを見てアンバーはつけ加えた。「私のおごりよ」 デニスは微笑んだ。「ありがとう」 「全然!」 とアンバーは答えた。 * デニスは鏡を見つめながら、絹のような髪の毛をいじっていた。スタイリストは、彼の髪をストレートにしてくれたばかりか、髪に微妙なブロンドのハイライトも加えてくれた。デニスも、この髪を素敵だと認めざるを得なかった。いや、これまでのどんなヘアスタイルより、はるかに素敵だ。女性っぽい髪としては、依然として短めで、あごの下あたりまでしかないけど、毛先のところが軽くカールしている。このヘアスタイルが何と呼ばれているか知らないが、彼は気に入っていた。 「もういじるのはやめたら?」 とアンバーは荷解きをしながら言った。 ヘアサロンに行く道中を利用して、ふたりはいろいろと話しあった。デニスは自分のことについて、どのように育ったかとか、生まれ育った集合住宅の様子のことを語った。一方のアンバーも、郊外での生活や、高校でチアリーダーをしていたことや、どうしてエンジニアになりたいと思ったかを語った。 ふたりは気があう仲間のようだった。ではあるが、デニスにとっては不思議な感じもした。思い出せる限りで言えば、これまで彼は、女の子が優しくしてくれたら、すぐに、その子が自分のガールフレンドだったらどうな感じになるのだろうと夢想し始めたものだった。だが、アンバーの場合は、そんな考えがまったく浮かんでこないのである。確かに、アンバーと一緒にするかもしれない数々のことは頭に浮かぶし、いつか変なことを言ってしまい、彼女との友情が壊れてしまうかもしれないと神経質になってはいたが、そのいずれも、まったくロマンティックなことではなかった。 「それと、自分の服が買える時まで、必要な服は何でも使っていいわよ。ただ、着た後は必ず洗濯してね。私も同じようにするから」 とアンバーは荷解きの作業から目を上げずに言った。「ちょっと大変かもしれないけど、たぶん週に2回くらい洗濯すれば、問題はないと思うわ」 「オーケー、でも、できるだけ早く何かバイトをしようと思ってるんだ」 「ええホント? どんな仕事を考えてるの?」 「まだ分からない。これまでは肉体労働のタイプの仕事しかしたことがなかった。ひと夏、倉庫で働いたことがあった。でも今は、そういう仕事はちょっと……」 「問題外?」 とアンバーがつなげた。「でも、きっと何かが見つかるわ。あなたのような可愛い子なら大丈夫。ちょっと甘えて見せたら、誰でもあなたに仕事をくれるはず」 デニスは顔を赤らめ、アンバーはアハハと笑った。 それから何分かふたりは無言で作業をしていたが、何気なくアンバーが問いかけた。 「ちょっと個人的なことを訊いてもいい?」 「もちろん」 「あのね? 私の高校にたくさん男の子たちがいたのね? 何と言うかあなたのような男の子たちのことだけど。その子たちの何人かが、変化が起きた後、何と言うか、女の子を追いかけるのをやめて、その代わりに…分かると思うけど、男を求め始めたの。……それで、あなたはどっちなのかなって……」 デニスはその質問にちょっと驚いた。アンバーは彼がためらっているのを見て、つけ加えた。「あっ、ごめんなさい。そんなこと訊くべきじゃなかったわね。私、前からずっと詮索好きで。答えなくてもいいのよ」 「いや、そういうことじゃないんだ。僕は別に怒ったとかしてないよ。だって、君はすごく僕を助けてくれたし。しかも知り合ってまだ1日だというのに、君は僕のこれまでの人生で一番の友だちになっているんだ」 アンバーは何か言おうとしたけれど、デニスは遮った。 「何と言うか、自分でも分からないというのが本当。前は女の子が大好きだったんだけど……」 そしてデニスは身の上話を始めた。ベッキーとトレントとの出来事。その時のことが噂になって広まり、仲間外れにされたこと。 「……当時は、何が起きているか誰もよく知らなかった。僕は他の点では何も変わっていなかったので、みんなは僕が突然ゲイになったとみなしたようだ。でも今は、例のウイルスだか化学物質だか何だかのせいだと知っている。それが分かっていても、自分が惹かれる相手をどうしようもできない。本当に、自分で相手を選ぶことができればと思うよ。自分では、男性が好きなのかどうか、男性と関係を持ちたいと思ってるのかどうか分からないんだ。でも、僕の身体が男性に反応するのは知っている」 アンバーは何も言わなった。彼女はデニスが座っているところに近寄り、彼を抱きしめるだけだった。 *
ゲンゾウはあくびをした。アンジェラは、彼のあくびを、もうそろそろ切り上げるべき合図であると解釈した。 「じゃあ、そろそろ寝た方がいいわね。楽しいことは明日しましょう」 ゲンゾウは疲れた顔で微笑み、ごろりと横になり、何秒も経たずに眠ってしまった。アンジェラは、余った毛布を持って来て、彼の上に被せ、眠ってる彼の顔をまじまじと見た。安らかな寝顔で、人懐っこい顔にも見えた。普段のゲンゾウの取る威圧的な外面とは大違いに思えた。 アンジェラもベッドに入り、身体を丸め、眠りに落ちそうになった時、ノボルから電話が来た。 「もしもし?」 と囁いた。 「私の天使は私がいなくても生き延びているかな?」 ノボルの低い声を聞き、アンジェラは全身が震えるのを感じた。「かろうじて、生きてるわ。あなたがいなくて死ぬほど寂しいの」 電話の向こう、ちょっと間があった。「どうして囁いてるのかな?」 「ゲンゾウが眠ってるのよ」 アンジェラの耳にノボルが笑う声が響いた。まるで、眠ってる子を起こさないようにと心配してる母親のような返事だったからである。 「ソウカ[So-ka]。ゲンゾウとは仲良くやってるかな?」 「なんとかね」 アンジェラは、ゲンゾウが打ち解けた態度を取ったことを、ある意味、喜んでいたが、このことはさしあたりふたりだけの秘密にしておこうと決めた。 「今から成田に向かうところ。明日の午後にはそちらに着くはずだよ」とノボルは言い、声を小さくして、つけ加えた。「君と別れてから一度も発散していないんだ。今も君のことを思って、ものすごく勃起している。君のあそこを味わって、悲鳴を上げさせて、それから君の中に出したいよ。待ちきれない気持ちだ」 「ノボル? そんなことを言って私を苦しめないで」 アンジェラはすでに太腿の間がベタベタしてくるのを感じていた。 「明日会えるね。愛してるよ」 アンジェラは笑顔になったことをノボルに伝えられたらと思った。「私も愛してるわ、ノボル」 電話を切り、溜息をついた。そして指を太腿の間に滑り込ませた。 あの人ったら! と独り言を呟いた。自分で慰めたい衝動をこらえながら指を舐め、彼が待っているなら、自分も待つことにしようと決めた。 アンジェラの興奮を示す匂いが、階下で眠るゲンゾウの鼻孔にまで漂い、ゲンゾウは驚いて頭をもたげた。意識していないのに、彼女の匂いに彼のペニスは硬直していた。その事実に気づき、ゲンゾウは恐怖を覚え、何とか鎮めようと試みた。確かにそれは鎮まったが、それはアンジェラが眠りに落ち、彼女の興奮状態が終息した後にやっとであった。 ゲンゾウが寝返りを打つと、コーヒーテーブルの上にスノッティがいて、彼のことを不思議そうに見つめていた。 「何を見てるんだよ!」 とゲンゾウは罪悪感を感じながら日本語で唸った。猫は頭を横にかしげ、その後、階段をとんとんと駆けのぼり、アンジェラの元へと去っていった。ゲンゾウは、仰向けになり、再び眠りに落ちた。 __________________________ 指で彼女の陰唇を広げ、彼はそこがしとどに濡れているのを見て驚いた。顔を近づけると、そこから立ち上ってくる匂いに、自然と口の中に涎れが溜まってくる。 ペニスがむくむくと頭をもたげてくるのを感じた。彼女を奪い、溜めこんだものを彼女の熱い壺の中へ放出したいとうずうずしている。そして、彼女がねだる声を聞いた。 「お願い、ヤッテ。今すぐに」 舌舐めずりをし、舌先を固くし、彼女の中に滑り込ませる。それと同時に彼女は甘い喘ぎ声を上げた。その声は連続し、彼の口が彼女の濡れた肉襞を愛撫するのに合わせて、彼女は腰を彼の口へと突き上げた。彼女の両手は彼の頭を押さえ、指先が彼の頭皮を引っ掻く。 彼女の味は彼の獣性を浮上させ、舌と口唇を使って愛撫するのに合わせて、彼女が乳房を上下にうねらせるのを見ながら、彼は、野生の獣を押さえつけていた抑止の気持ちが蒸発していくのを感じた。 指で彼女の陰唇を左右に大きく広げ、彼は命令した。 「俺の口でイクんだ」 そして唇でクリトリスをがっちりと挟んだ。 快感の中心部を激しく吸われ、彼女は下半身をうねらせ、さらに彼の頭を強く引き寄せ、ありえないほどの深部に彼の舌を導き入れようと、あらがった。 「ゲンゾウ、イキそう!」 その叫び声に、彼は口をあそこにあてがったまま、唸った。その唸り声の振動で、彼女は限界を超え、痛々しいほどの強さで彼の髪を掴み、何度も繰り返し、彼の顔面を股間に打ちつけた。 彼女が強烈なオーガズムから回復するのを待って、彼は立ち上がった。彼女が分泌した熱い体液が顔面からたらたら滴るのを感じたし、彼女の匂いに感覚が麻痺していく。 もはや自分を抑えきれなくなり、身体の骨格が伸び、筋肉が拡張するのを感じた。とうとう、彼の獣性が勝利し、自らを解放し始める。飢えた目で、下に横たわる裸の女性を見降ろす。自分の3分の1ほどの大きさしかない裸の女。彼女は、自分を見つめる金色に光る瞳に気づき、ゆっくりと脚を広げ、自分の指で陰唇を広げた。彼の攻撃を受け入れるために。 咆哮を上げながら、彼は彼女の小さな身体を掴み、乱暴に押して、横寝にさせた。その片脚を持ち上げ、脚の間にひざまずき、ペニスの先端で彼女の女陰をピタピタと叩いた。そうやって彼女を焦らし、その湿った音を聞いて楽しむ。 痛いほど勃起した彼は、貪欲に、その肉茎を根元まで彼女の肉穴へと詰め込んだ。その女陰はもちろん自ら凌辱されるのを望んでいる。彼は彼女の肉襞がツタのように彼に絡み、締めつけるのを感じ、その場でイキそうになった。だが、彼はそれを堪え、尻の筋肉をヒクつかせながら、巨大すぎる器官で彼女を痛めつけ始めた。絶頂に近づいた彼女が、さらに彼をきつく締めつけ始めるまで。そして、絶頂の悲鳴が爆発的に彼女の唇から発せられる。それを受けて彼は引き抜き、自分でしごき始めた。 「アンジェラ、イク[ikku]」 苦しそうな唸り声を上げ、彼は彼女の顔面にクリームを噴射させたのだった。 つづく
またも、手をあそこにもってって今度は3本指を入れて、出し入れをした。ちょっと喘ぎ声を出して、あたしの前で娘が同じことをしているのを見ながら、そうしていた。娘が自分の指で若々しいあそこを犯し、そのお汁たっぷりの指を舐めるのを見てると、この自慰行為が10倍は気持ちよくなってくる。どんなにイケナイことだと知ってても、そう。あたしも娘も、飢えた目をしてお互いの手を見ていた。クリスティは顔を赤くして、目もギラギラさせていた。 濡れた指を、またお口に近づけようとしたら、急に、娘が、またあたしの手首を掴んだ。そんなことする必要ないのに。自分でお口に入れて舐めるから、いいのに。そう思って、わけが分からなかった。でも、そのあたしの手をクリスティが自分の方へ引っぱっていくのを感じ、身体が凍りついた。ダメ! 「クリスティ、ダメ……」と小さな声で言った。 でも娘はあたしのことを聞いていなかった。もう、性的に極度に興奮した状態になっていたみたいで、あたしの声が聞こえていたかも怪しい。 もう身体全体が板のように強張った。あたしの指がだんだんと娘のお口に近づいていく。もう2センチも離れていない。 これは、とんでもなく間違っている! クリスティが視線をあたしの濡れた指から、あたしの目へ向けた。そうしながら、あたしの濡れた指を舌の上に乗せた。 だめ、だめ、だめ。こんなことをしちゃダメ。心が叫んでいた。でも、手に力が入らない。手を引っ込めることができない。あたしは、娘があたしの濡れた指を1本、バラのように赤い唇で包んで、ちゅーっと吸うのを、呆然としながら見た。 「んーん……」 娘は低い声を出した。 クリスティは、その指をお口から出して、別の指に入れ替え、さらにまた別の指を吸って、あたしの指を全部きれいに舐め吸った。そうしてあたしの手首を離し、その後は、また、あそこをいじりながら、あたしをじっと見ていた。 あたしは、こんなことを娘がするとはと、ショック状態。でも、信じられないほど性的に興奮していた。 もう一度、自分のあそこのお汁を味わいたかったけど、また娘が同じことをするかどうか分からなかった。混乱しながら、濡れたあそこに手を置いた。指を中に挿しこまなくても指がびちゃびちゃに濡れる。顔が真っ赤になってるとは思いつつ、クリスティを見ながら、手をあそこから離した。するとやっぱり娘はあたしの手を握って、自分の顔に引っぱっていく。 「ああ、クリスティ、何をしてるの? だめ。そういうことは……」 文句を言ったけど、それは口だけ。娘があたしの濡れた指をお口に入れて、吸うのを、あたしはただ見ていた。ああ、何てこと。どうしてあたしは娘を止めないの? クリスティはあたしのあそこの涎れを舐めている。自分の娘があたしのあそこを味わってる! もう耐えきれなかった。もっとワインを飲まなければ、耐えきれない。 ごくりと大きく飲んだ後、娘を見たら、まだあたしのことを見ていた。何かを待っている。クリスティが何を待っているかは分かっていたけど、どうしてもそうする気にはなれない。 そんなあたしを例のウェイターが助けてくれた。テーブルに料理を持って来てくれたこと。 あたしは素早くドレスを引き降ろして身体を隠したけど、クリスティはまだ腰から下は丸裸のまま。彼に見られるかもしれないと心配した。でも、クリスティは機転を効かして、テーブルクロスを引っぱって身体を隠し、彼に見つからないようにした。彼に見えてるのは、ほとんど露出同然のあたしたちの胸だけ。でも、それだけでも彼の関心は充分、支配されていたみたい。 娘とふたり、黙ったまま食事した。ふたりとも、さっき起きた出来事について物思いにふけっていた。どうして、あたしはこんなことを許してしまったの? どうして娘を止めなかったの? 唯一、説明と言えるのは、あたしがクリスティに欲望を持っていることと、この状況のユニークなセクシーさだと思う。結局のところ、あたしたちは、公の場でこんなことをしているのだ。そこが魅力的。 「ママ……? ママは私に怒っていないわよね?」 クリスティが囁いた。 どうしてあたしが怒るの? 娘のことをこんなに愛しすぎているのに。 「大丈夫、怒っていないわ。このことはお互い心の奥にしまって、ランチを食べましょう。これからお店に行かなくちゃいけないんだから」 このことを話しあって、いっそう事態をこんがらがらせたくなくって、あたしはそう答えた。 「お店に早く行きたいのは分かってる。もうショートパンツを履いた方がよさそうね」 まあ、そうね。でも、もう少し時間があるかも。 「食事の後でしたらどう?」 と囁いた。そうして娘の手を握りながら、ほぼ丸見えのあそこをちらっと覗いた。 クリスティはにっこり笑い、ちょっと身体を起こし、あたしにあそこを見やすくさせてくれた。 「ママは、こういう格好の私が好きなのね? そうでしょ?」 「うーん、ええ、好きよ」 ワインが効いてきたみたいで、よく考えもせず返事してしまった。娘がまた呼吸を乱し始めるのが分かった。 「ママ? ママのためなら私、どんなことでもするわ」 そう言いながら、クリスティは片脚を上げて、膝のところで曲げ、あたしの後ろ、あたしのお尻とシートの背もたれの間に挿しこんだ。この姿勢だと、娘は片脚はあたしの後ろ、もう片脚は床に置いたままで、あそこが丸出しになっている。 本当に若々しいあそこが、あからさまにあたしの方を見つめている感じ。あそこの唇も開いていて、中にお汁を湛えている。実際、新しく分泌が始まってるようで、お汁が溢れてシートに流れ出していた。 腰から下、あそこを露出させてる格好がすごくセクシー! あたしは生唾を飲んで、時々、娘の脚の間に目をやりながらランチを食べた。そのせいで、あたしはずっと極度に興奮して性的に刺激を受けていたし、それはクリスティも同じこと。あそこから、ずっと涎れを垂らし続けていた。 食事を終えた後、娘はショートパンツを履き、ふたりでレストランを後にした。例のウェイターはすごく残念そうな顔をしていたけれど。 目的のショップまでの道はほんの数分足らずだった。気持ちを整えながら店の中に入った。あたしの目的は、夫を興奮させて、もっとヤリたくさせるような、何か特別なモノを買うこと。これまでの夫との愛の営みを振り返ると、夫はあたしに支配的に振舞われることが好き。お店の中を歩いてたら、ストラップや鞭が置いてあるところに来た。これだわ! クリスティはあたしの後をついていて、目を大きくさせながら商品を見ていた。 「ママ、これ見てみて!」 娘は鞭のひとつを手にして、ふざけ半分に、笑いながら、その鞭であたしのお尻を叩いた。あたしは頭を左右に振った。 「それ、また繰り返すの? ヤメて」 この前、キッチンのキャビネットに挟まって動けなくなった時、クリスティにスパンキングされたけど、その時のことを暗にほのめかして言った。 クリスティは頭にライトが点ったかのように、にっこり笑ってまたあたしを叩いた。 「絶対、これ買って。他にもちょっと買ってもいい?」 と嬉しそうに言う。 「もちろん」 そうは答えたものの、あたしは夫のためのプレゼントのことで頭がいっぱいだった。
デニスの声は、大学入学予定の日の2日前に変化し、結果として、彼の年齢の女の子たちの声に似た声になった。加えて、彼は母親の衣類を時々くすね始めていた。たいていは、ジーンズやTシャツやショートパンツだった。その衣類は彼にはちょっと大きすぎだったが、自分の服よりは、はるかにフィットしたものだった。 服については安心したとはいえ、登録すべき日、学生寮に着いた時も、彼は打ちひしがれている様子だった。しかしながら、彼は自分よりひどい状態の人たちもたくさん見ていた。みなが身体のサイズよりも何倍も大きすぎる服を着ていた。 デニスは寮の入り口に立っていた女性に近づき、「寮の登録に来ました」と伝え、自分の名前を告げた。 その女性は手に持っていたリストを調べた。 「あら、掲示を見ていなかったの? あなたのような男子は女子と一緒にまとめられることになったの。セクハラの事件が何件かあったのよ。あなたたちを他の男子と一緒に住まわせて、その可能性を認めるわけにはいかないので」 デニスはちょっと驚いたが、何も言わなかった。その女性はデニスに新しい寮への配置を伝え、彼はその指示に従って、道を進んだ。 そこはひどく離れているわけではなかったし、デニスも速足で向かった。少なくとも、デニスは他の学生のようにたくさんの荷物を持っているわけではなかった(彼の荷物はスーツケース2個だけだった)。だが、歩く途中、彼は、将来のクラスメイトになる人たちを見る機会を得ることができた。 見まわしながら、非常に奇妙な感じになった。フィットした服を着ていた白人の男子学生はごくわずかで、皆、着心地が悪そうな服を着ていた。ダブダブの服でぞろぞろ歩いている。だが、異和感の原因はそれに限定できると言えたかと言うと、そうは言えない。白人の男子学生と女子とを分けるのは、むしろ、胸のところだった。みな、女子と違って胸が平らだった。それにより白人の男子と白人の女子との見分けが簡単についた。 寮に着いたが、部屋の割り当てを受ける行列に並ばなければならなかった。おおよそ30分待った後、自分の新しい部屋の前に立った。だが、どこか入るのを躊躇っていた。新しいルームメイトに何て言おう? 自分のことを気に入ってくれるだろうか? 自分もその人たちが気に入るだろうか? その人も自分と同じような男の子なのだろうか? ひょっとして女の子がルームメイトなのだろうか? デニスは深呼吸をして、ドアを開けた。 部屋の中は空だった。デニスはちょっと心が沈んだ。自分は独り部屋をあてがわれたのだろうか? それは、それでそんなにひどいとも言えないのでは? 確かに、友だちを見つけ、ルームメイトと楽しく暇をつぶすといった学生生活を夢見ていた。だが、たった独りで生活するというのは、故郷に残してきた生活とたいして違わない。それはそれで悪くない。 デニスはベッドの上にスーツケースを置き、衣類を取り出し始めた。みな、サイズが合わない衣類だった。 2分ほどした頃、ドアが開き、デニスは顔を上げた。ドアのところには、ブロンド髪の小柄な白人女性が立っていた。身体のサイズはデニスと同じくらいだが、どこを見ても女性であった。胸は巨大とは言えないが、はっきり存在していると分かるし、張りがある感じに隆起していた。その子はにっこり笑っていた。 「ハイ、あたし、アンバーというの」 「僕はデニス」 「ママ? パパ? こっちよ!」 彼女は廊下の方に呼びかけた。そのすぐ後に、アンバーの後ろにふたりの人物が姿を見せた。どちらも背が高いわけではないが、片方は明らかに女性化した彼女の父親であり、もう一方は母親であると分かる。アンバーは両親にデニスを紹介した。彼女の両親は、荷物を部屋に持ちこんだ後、さようならと言って立ち去った。 アンバーは、両親が帰っていった後、デニスに問いかけた。 「どうやら、フィットする服を探すのにちょっと苦労してるみたいね?」 彼女はくすくす笑ったが、悪意のある笑いではなかった。純粋に陽気な笑いであり、デニスの緊張感をほぐす笑いだった。 「そう。これは僕の母親の服。経済的に苦しくて、新しい服を買えないから……」 「分かるわ。うちのパパも似た問題を抱えていたから。もし、よかったら、あたしの服を貸してあげてもいいわよ。あたしたち同じサイズのようだから」 デニスは唖然とした。彼は、これまでの人生で、こういった親切をしてもらったことが一度もなかった。彼が育った所では、いかなる形であれ、彼に手助けを提供する者は誰もいないだろう。少なくとも、何か隠れた動機もなしに親切に振る舞う人など誰もいないことは確かだ。 デニスはどうしても訊かざるを得なかった。「どうして、僕に親切を?」 アンバーはその質問に心から驚いた様子だった。「どういう意味?」 「僕たちは会ったばっかりで、君は僕を知らないのに。なのに、どうして僕に親切にするの?……いや、別に迷惑に思ってるわけじゃないんだ。本当に感謝してるんだ。ただ、何と言うか……僕の経験では、親切というのは、こんなふうにされることじゃなかったので……」 アンバーは顔をそむけ、ちょっとの間、沈黙した。そして再びデニスに顔を向けた。その時、デニスはアンバーの瞳に心から心配する表情が浮かんでるのを見た。その表情が正確にどのような表情か、あるいは、どうして彼がアンバーを信頼したかを説明することはできないだろうが、その表情を見たのは確かだった。 「ああ、本当に悲しいことね。あなたたち…あなたたちボイにとってどれだけ大変か分かるつもりよ。あたしのパパも同じことを経験したから。それほど大きな変化何だもの。だから、あなたが直面している困難なことのリストに、サイズの合わない服をつけ加えるべきじゃないと。そう思っただけなの」 デニスはアンバーの申し出を感謝したし、喜んで受けたいと思った。しかし、このような親切をしてもらった経験がないということは、とりもなおさず、どのように反応してよいか分からないということを意味する。そこで、彼は自分に言える唯一の言葉を述べた。 「どうも」 アンバーはにっこり笑った。 「じゃあ、あなたに似合う服があるかどうか見てみましょう?」と早速、バッグのひとつを開け、中から衣類を出し始めた。デニスは、どうしてよいか分からず、横に突っ立ったままでいた。それを見て、アンバーが言った。 「うふふ。服を脱いで、おばかさん」 デニスはためらった。そしてアンバーが言った。 「恥ずかしがっても意味がないわよ。あたしが、服を着てないあなたを見るのは、これが最後じゃなさそうなんだから。なんだかんだ言っても、あたしたちルームメイトなんだし」 と彼女は再びバッグの中を漁り始めた。 デニスはどうしてよいか分からなかった。一方では、彼は自分の身体に、いまだに馴染んではいない。他方、彼は、新しい友だちになって欲しいと思っている人をがっかりさせたり、傷つけたりするのは望んでいなかった。結局、彼の孤独は嫌だという思いの方が勝ちを収め、シャツを脱ぎ始めた。次にズボンも。そして、デニスは極度にだぶだぶのトランクスひとつの格好で突っ立って、アンバーが服を出すのを待っていた。 「この服の中にソレを着るの? それはありえないわね。服の下でごわごわに丸まってしまうもの」 そう言ってアンバーは手を伸ばし、彼のトランクスを引き降ろした。その何気ない手つきに、デニスは、彼女が彼を女の子のように考えており、まったく害をなすつもりがないことが分かった。 アンバーは彼にピンクのパンティを放り投げた。「それを履いて」 言われた通りにしたら、驚くほど身体にフィットするのを感じた。股間にペニスの盛り上がりができたが、小さすぎてほとんど気にならない。
アンジェラは、いかにも満足げに背伸びをし、お上品な手つきでコントローラを置き、無邪気な顔でゲンゾウに向かってまばたきして見せた。 「まあ、楽しゅうございましたわ。あなたは相手としては私の半分くらいのレベルですわね。再挑戦をお望みなら、お教えくだされ」 彼女は、嫌気がさすほど甘ったるい声でそう言い、立ち上がった。 ゲンゾウは殺気に満ちた顔でテレビ画面を睨みつけていた。コントローラを握るこぶしは血の気が失せて白くなるほど強く握っている。 「ちょっと、座れ」 と歯ぎしりしながら彼は唸った。 「ゲンゾウ? あのIDはあまり良くないと思うわよ」 「いいから座れって言ったんだ!」 アンジェラはおずおずとコントローラを握り直した。そもそもゲンゾウとゲームをするんじゃなかったと後悔した。負けてもお酒を飲まなくてもいいなら、別に、わざと負けてあげても構わなかった。 そして、その後も彼女は一杯も飲まなかったのである。1時間後、ボトルは空になり、ゲンゾウはこぶしで床を叩き続け、悔しさに咆哮を上げていた。普通の状況で、彼がそんなに酔っていない状況だったら、アンジェラは、彼の様子を楽しく見ていたことだろう。 「ああ、たぶん、このプレーステーション、どこか壊れてるのかも」 アンジェラは、ゲンゾウの男性としての痛んだプライドを救おうと小さな嘘をついた。 「ソンナア……[Sonnah...]」 と彼は呟き、敗北に打ちひしがれた。まだ、床に突っ伏したまま、両手で頭を抱えている。 アンジェラは大きなグラスに水を注ぎ、差し出した。「これを飲んで」 「ああ?」 ゲンゾウはどんよりとした目でアンジェラを見た。 「あれだけのアルコールで脳内を洗ったわけだし、明日の朝、ひどい二日酔いになるわよ。水よ。さあ、飲んで」 ゲンゾウは、迷惑そうに手で彼女を払いのけ、傷ついた自尊心を慰めるためにカウチに這って戻った。 「いったい、どうして俺が女に負けるなんてありえるんだ?」 彼は大きな悲嘆の声をあげた。 「気を悪くしないで、ゲンゾウ。私、子供のころは男の子の友だちしかいなかったの。遊びと言ったら、テレビゲームをすることだけだったのよ」 ゲンゾウが驚いてアンジェラを見ると、彼女は両手の親指を立ててみせた。その親指は、何時間もゲームをしていたために皮膚がかなり固くなっていた。 「そもそも、これ、誰のプレーステーションだか知ってる?」 ゲンゾウは夢中になりすぎていて、アンジェラのゲーム機でプレーしていたことを忘れていた。それに気づき、彼は純真に大笑いした。アンジェラにとっては、ゲンゾウに会ってから、彼がそんなふうに笑うところを見たのは初めてだった。 いまや互いにくつろぎ、しかも、堅苦しい真剣さもなくなり、アンジェラはゲンゾウといることを楽しく感じ始めていた。そもそも、ゲンゾウとテレビゲームをするなんて想像していなかったし、ましてや、こんなに楽しく遊べるとは思ってもみなかった。彼とのひと時は、彼女の大学時代のことを思い出させた。 「しかし、あなたは変な女性だ、アンジェラ」 とゲンゾウは笑顔で言った。 「ええ、よくそう言われるわ」 とアンジェラは彼に近づき、再び水を差し出した。「お願い、ゲンゾウ、飲んで?」 「はい、はい、はい」 と彼は従順に水を飲み干した。 空になったグラスを受け取り、アンジェラは言った。「ゲンゾウ? 私たち、ほぼ一週間、一緒にいるけど、私はあなたのこと何も知らないわ」 ゲンゾウはお酒によりガードが緩くなっていた。人懐っこくアンジェラに微笑みかけ、「どんなことが知りたいのかな?」 と訊いた。 「そうねえ、例えば、どうやってノボルと知り合ったの?」 ゲンゾウは遠い目をした。 「私はある忍びの村で生まれ育った。その私たちの忍びは、もうひとつの忍者の一族と宿敵の関係にあった。ある日、宿敵の一族が私の村に攻め入り、ほとんど全員が殺されたんだ。その時、ノボルが私を見つけ、私の命を救うために、私に感染させたんですよ。それ以来ずっと、私は彼に仕えている」 「まあ!」 そういうわけで、ゲンゾウはノボルの命令にあんなに忠実に従ってるのね。 「ガールフレンドは? あ、ボーイフレンドかも?」 ゲンゾウは、自分がゲイかもしれないとアンジェラが思ったことに気づき、ちょっと彼女を睨みつけた。 「今は女はいない」 「どうして?」 「日常の生活ではあまり女性に会う機会がないものでね」 とあたりまえのことのような口調で言う。 アンジェラは、ゲンゾウの胸に座りに戻ってきたヤンの身体をトントンと叩いた。 「それは本当に残念だわ。あなたはとても良い人なのに」 その発言にゲンゾウが驚いた顔を見せたことに、アンジェラは気づかなかった。 「ねえ、ゲンゾウ?」 「はい?」 「あなた、一日中、コンピュータで何をしているの?」 「見てみたいかな?」 アンジェラが頷くと、ゲンゾウはパソコンを膝の上に乗せ、いくつかファイルを開いた。そして、画面をアンジェラの方に向けた。そこには美しいイラストが出ていた。彼のお気に入りであるヤンのイラストもあった。 「あなた、アーティストなの?」 とアンジェラはビックリした口調で言った。 「まあ」 「これってスゴイ作品よ、ゲンゾウ!」 ゲンゾウは、アンジェラの言葉に嬉しそうに顔を輝かせた。アンジェラはアパートから持ってきた箱のひとつのところに歩いていき、大学時代のスケッチブックをひとつ取り出した。 「私も前にちょっとだけ美術関係をやっていたの」 ゲンゾウはスケッチを何枚か捲り見た。 「アンジェラさんは、かなり才能がありますよ」 彼は、心から感心して、そう言った。「私は、今は、グラフィック用のタブレットで描く方が便利に感じてるんです」 「私もそういう機械を使えたらいいのになあ。私、コンピュータについては、まるでバカなの」 とアンジェラは羨ましそうに言った。 「お望みなら、教えてあげましょうか?」 「ホント?」 ゲンゾウは頷いた。 「そうなったら、すげえ、楽しいはず!」 ゲンゾウは笑った。「あなたは、ちょっと言葉が派手ですね。女性には珍しく」 アンジェラは顔を赤らめた。 「まあ、さっきも言った通り、私は男の子たちに混じって育ったから。信じるか、信じないか、分からないけど、私はげっぷもするわよ」 「マジデ? [Majideh?]」 ゲンゾウは改めてアンジェラを見た。「一回、して見せてくれる?」 「ダメダメ、ニンジャ・ボーイさん」 ゲンゾウをそう呼んだ時に、彼の顔に浮かんだ驚いた表情をアンジェラは喜んだ。彼女は、今後はゲンゾウをずっとそのあだ名で呼ぶことに決めた。そう呼ばれて彼が困れば困るほど、楽しい。この1週間、ずっと彼に苛立たせられてきたのだが、ようやく、彼から反応を得ることができ、楽しかった。 「少なくとも、今はダメ」
あたしのあそこもすごく濡れていた! クリスティのまねをして、指を2本あそこの穴に滑り込ませた。とたんに快感が溢れてくる。娘が見ている前でこんなことをするのことに、まだ罪悪感はあったけど、どうしてもやめられない。 あたしは前のめりになってテーブルに肩肘をついて、手で顔を覆った。こうすれば、遠くの方からあたしを見る人がいても、あそこのところは隠せる。クリスティも同じ姿勢になった。 ふたり、テーブルに並んで座り、肩肘をついて顔を隠して、互いに顔を向けあってる。ふたりとも片方の脚は折り曲げてシートの上。片足だけ正座しているような形。 これなら、遠くから見たら、あたしたちは密着するように座って、何かひそひそ話をしているように見えるかも。ブースは半円形になっているので、横側はうまく隠れている。 クリスティはあたしの顔を見て、それから視線を落とした。あたしのあそこに目を向けている。あたしのあそこが娘に見えているのと同じく、娘のあそこも見えている。 クリスティはにっこり笑いながら、濡れた指をお口に持っていった。あたしの反応を確かめるみたいに。多分、娘には、目をまん丸にしたあたしの顔が見えていたはず。 娘はまた手をあそこに戻して、ぱっくり口を開けたあそこの唇に近づけた。湿り気の滴が何滴も出てて、娘の指を濡らしていく。ゆっくりとあそこの唇に触れて、右に左にとなぞる。そして濡れた指をお口に持って来て舐めている。それを、あたしは、目を見開きながら見ていた。自分でもあそこをいじりながら。 こんなことを母親にして見せている我が娘。それを見てると身体がゾクゾクしてきてた。あたしも、自分のお汁を味わいたい。でも、できっこない……娘の前では。 でも、クリスティはあたしに見せただけで満足してるみたい。また指をあそこに戻して、あそこの唇をなぞって、湿り気を集めた。そして、またお口に持っていく。今度はお口の中に指を挿しこんで、唇で包み、ちゅうーっと吸うようにして見せた。 ああ、この子、何て可愛い淫乱なの! 娘がそれをすればするほど、あたしも自分でやってみたくなってしまう。脚の間にどれだけ湿り気が溜まっているか、自分でも感じてみたい! 指を吸う娘の顔を見ながら、あたしも手をお口に近づけた。でも、寸前のところで、押し留まった。ダメよ、できない! クリスティは、あたしも同じことをしてみたいと思ってるのを知ってか、ただ、にっこりと微笑むだけ。またも、指をあそこに持っていって、自分の湿り気を吸ってる。クリスティは、あたしが彼女を見ながらシートの上、もぞもぞするのを見ていた。あたしが、彼女の前では、しないだろうと思った様子。 だけど、突然、あたしの手首を掴んで、手を引っぱり、あそこからあたしのお口へとゆっくり持ち上げた。あたしの濡れた指が、じわじわとお口に近づいてくる。「やめなさい!」と言うのよ、って自分に言ったけど、無駄だった。クリスティに掴まれた手に、どうしても力が入らない。舐めさせられるのが必至。 あたしも娘も無言のまま。とうとう、あたしの濡れた指がお口に触れてしまった。その瞬間、あたしの唇から溜息が漏れ、クリスティは、すかさず指を1本あたしのお口の中に押し込み、じっとあたしの顔を見つめた。 指をお口に入れられた後、あたしは唇をすぼめた。そして、両目も閉じた。 実の娘の前で、自分のあそこのお汁を味わってる。でも、やめることができなかった。クリスティがあたしの手首を離したのを感じ、あたしは目を開けた。クリスティは、自分の指を舐めながらあたしを見ていた。どうしてなのか、娘は、いたずらっぽい顔から、真剣で興奮した顔に変わっていた。 あたしは、また股間に手を戻し、二本指であそこの中をかき回した。指をそこから出して、その後、自分がその指に何をするのか、自分でも怖かったけれど、すでにしてしまったことがあたしの心に浸食し続け、ゆっくりと勝ちを収めつつあった。やっぱり、指をあそこから引っ張り出して、お口の奥に持っていった。ほとんど咽てしまいそうになるほど、喉の奥に指を入れた。 お口に入れた指を舐め、ちゅうちゅう吸った。性的興奮がぐんぐん高まってきて、またもコントロールできないところまで燃えあがってしまう。もう、娘が見てることなんか、気にしなくなっていた。
続く2週間は、デニスにとって地獄そのものだった。最初の2日ほどはいつも通りに自分のすべきことを片付けようと頑張ったが、すぐに、どこに行っても、背後で囁き声やくすくす笑いがしていることに気がついた。最初は何が起きてるのか分からなかった。だが、やがて、あの件が噂になっていたと知る。 これまで、ペニスを見て興奮したことは一度もなかった。まったく、意味が分からなかった。 あの日、トレントの姿を見せられ、意識せず興奮してしまった。デニスは恥ずかしさのあまり、そそくさと服を整え、泣きながらベッキーの家を出たのだった。自宅に帰った彼はベッドに横たわりながら、2時間近く泣き続けた。 だが、すぐに、恥ずかしい気持ちよりも、好奇心の方が上回り、パソコンに向かい、ブラウザを開き、お気に入りのポルノサイトに行ったのである。裸の女性を見ても彼のペニスはぴくりともしなかった。デニスは、躊躇いがちに「セクシーな裸の男性」のキーワードを打ち込んだ。とたんに、まさにそのような画像が洪水のように溢れ出た。それを見つめているうちにペニスが固くなってくるのを感じた。 ということは自分はゲイなのか? そもそも、そんなふうになるのか? ある晩、女を好きな状態で眠りについて、翌朝起きたら、男が欲しくなっている? そんなの全然、正しいことには思えない。 アイクですらデニスから離れてしまった。デニスは完璧に、まぎれもなく、独りになってしまった。めったに家を出ることはなくなり、引きこもりになった。家を出るときは、ずっとうつむいたままで歩き、誰とも目を会わせないようにした。秋まで何とかやり過ごせればいいんだ。そうしたら、大学に行けるし、誰も自分の秘密を知ることはないだろうから。そうなるはずだった。彼が変化を始めなかったとしたら。 最初は、全然、大きな変化ではなかった。ただ、ちょっと乳首がかゆくなっただけだった。デニスは、湿疹か何かなんだろうと思った。だが、1週間もすると、そのかゆみは薄れ、その代わりに、あらゆる刺激に敏感に反応するように変わった。それがますます強くなっていく。左右の乳首自体ばかりか、乳輪も大きく、色が濃くなっていった。何か変なことになっていると思ったが、その考えを否定しようとした。何かアレルギー反応でも起こしてるんだと言って。 しかし、夏の盛りになったころ、もはや、変化は否定できなくなっていた。身体が小さくなっていることに気づいたのである。前なら簡単に手が届いたところに手が届かなくなっている。それに体重も落ちているのに気づいた。なんか身体が前とは……違う。 その2週間後、デニスは本格的に自分の身体を調べてみようと決めた。それまで彼は変化について考えることすら避けていたのである。まして身体を調べることなど論外だった。しかし、以前の服が全然合わなくなってることは否定できない。やっぱり本気で調べてみようと、変化を調べてみようと思ったのだった。 大学に行くまであと1ヵ月となった時、デニスは部屋の中、服を全部脱いで立った。彼の服はすべてだぶだぶになっていて、脱ぐと言っても、実質、重力に任せれば勝手に脱げ落ちると言った感じだった。 鏡の前に立ち、彼はハッと息をのんだ。自分の姿だと認識できなかったと言ってよい。こんな激しい変化を、どうしてこれまで無視できていたのだろう? 最初に目に着いたのは肌だった。白人の父をもつせいで、肌の色が彼の知ってる男たちよりも少し明るい色だった。だけど、周りから突出して目立つほどではなかったはずだ。それが今は、肌の色は明るい黒と言うよりは、むしろ、白肌が日焼けしたと言った方に近くなっていた。ラテン系人種の肌のようだ。 次に目に留まったのが、髪の毛だった。前より直毛っぽくなっているように思えた。 続いて顔に目が行った。その顔は、妹がいたらこんな顔をしているだろうと思われる顔になっていた。ごつごつした角が取れ、あごも、もはや、角ばったところはまったくなくなっていた。額も小さくなって、目が大きくなっているように見えた。端的に言って、可愛らしくなっていた。ハンサムではない。可愛いのである。女の子みたいに。 身体も縮んでいた。前は170センチはあったのに、ほぼ15センチは背が低くなっている。多分、体重も48キロくらいだろう。ただ、身体全体が変わってしまったことを除けば、体重が減ること自体は、それほど悪いことではなかったかもしれない。肩幅は狭まり、ウエストも細く、腰が広がり、お尻が丸くなっている。男性的な胴体に変わって、丸みを帯びたお腹が姿を見せていた。筋肉の盛り上がりは大半が姿を消していた。 そしてペニス。明らかに小さくなっていた。多分、前のサイズの3分の1になっているだろう。 パニックになりかかっていた。いったいどうすればいいんだ? 何かできることはないのか? 何か変な病気にかかったのだろうか? 自分は女になりつつあるのか? ほぼ10分間、デニスは鏡を見ながら100ほどの疑問を心の中で問い続けた。その後、もっと情報が必要だと気づいた。だが、医者に行く気にはならなかった。ひとつには、こんな身体になって、極度に恥ずかしかったことがある。もうひとつには、保険に入っていないこともあった。保険に加入するお金もない。デニスは医者の代わりにインターネットに相談することにした。 ネットで見つけたことは、極めて驚きに満ちたことだった。どうやら、他の人も、ほぼ同一の症状を経験しているようだ。そして、みんな、それをオマール・ベル博士という人のせいにしている。その名前はデニスも聞いたことがあったが、どこの誰かは知らなかった。そして、デニスは、ベル博士自身によって書かれた手紙の形で、説明を得たのであった。それには次のように書かれていた。 親愛なる世界の皆さん:
あまりにも長い間、我々アフリカ系アメリカ人は忍耐をし続け、世界が我々を差別することを許し続けてきた。我々はずっと忍耐を続けてきた。だが、とうとう、もはや我慢できなくなった。そこで私は我々を差別してきた皆さんを降格させることを行うことにした。初めは、皆さんは私の言うことを信じないことだろう。それは確かだ。だが、時間が経つにつれ、これが作り話ではないことを理解するはずだ。
私は、私たち人類の間の階層関係に小さな変更を加えることにした。今週初め、私は大気にある生物的作用物質を放出した。検査の結果、この作用物質はすでに世界中の大気に広がっていることが分かっている。
パニックにならないように。私は誰も殺すつもりはない。もっとも、中には殺された方がましだと思う者もいるだろうが。
この作用物質はあるひとつのことだけを行うように設計されている。それは、黒人人種が優位であることを再認識させるということだ。この化学物質は白人男性にしか影響を与えない。
それにしても、この物質はそういう抑圧者どもにどんなことをするのかとお思いだろう。この物質はいくつかのことをもたらす。その変化が起きる時間は、人によって変わるが、恒久的な変化であり、元に戻ることはできない。また純粋に身体的な変化に留まる。
1.白人男性は身体が縮小する。白人女性の身長・体重とほぼ同じ程度になるだろう。この点に関しては個々人にどのような変化が起きるかを予測する方法はほとんどないが、私が発見したところによれば、一般的な傾向として、女性として生れていたらそうなったであろう身体のサイズの範囲に収まることになるだろう(その範囲内でも、小さい方に属することになる可能性が高いが)。
2.白人男性はもともとペニスも睾丸も小さいが、身体の縮小に応じて、それらもより小さくなるだろう。
3.白人男性のアヌスはより柔軟になり、また敏感にもなる。事実上、新しい性器に変わるだろ。
4.声質はより高くなるだろう。
5.腰が膨らみ、一般に、女性の腰と同じ形に変わっていく。
6.乳首がふくらみを持ち、敏感にもなる。
7.最後に、筋肉組織が大きく減少し、皮膚と基本的な顔の形が柔らかみを帯びるようになるだろう。
基本的に、白人男性は、いわゆる男性と女性の間に位置する存在に変わる(どちらかと言えば、かなり女性に近づいた存在ではあるが)。すでに言ったように、こういう変化は恒久的で、元に戻ることはできない。(現在も未来も含め)すべての白人男性は、以上のような性質を示すことになる。
これもすでに述べたことだが、大半の人は、私が言ったことを信じないだろう。少なくとも、実際に変化が始まるまではそうだろう。もっとも変化はかなり近い時期に始まるはずだ。ともあれ、1年後か2年後には、世界はすでに変わっていることだろうし、私に言わせれば、良い方向に変わっているはずである。
親愛を込めて、
オマール・ベル博士デニスは、意味を探ろうと、何度か読み返した。声が変化する点を除いて、この文章は彼に起きたことを完璧に記述してた。 ……でも、なぜ、僕なんだ? 僕は白人ではない。異人種の両親をもつ人を何人か知ってるが、誰も僕のように変化を受けた人はいなかった。 その時、彼は曾祖母のことを思い出した。その人は白人だった。それが影響したのかと思った。とは言え、彼には、どうしてよいかアイデアはなかった。身体が変化を起こしてるのは事実だ。それに、変化が完了するまで、少なくともさらにもうふたつ、みっつの変化が起きるのだろう。この声も、いずれ変わってしまうのだろう。 将来、自分は変わっていく。この見込みに彼は恐怖を感じた。小さな恐怖どころではない。大きな恐怖だ。いま彼は、あまりに多くの点で孤独状態になっていた。友人はひとりもいなくなった。母親とも、ほとんど顔を合わせていない。彼の母親は家計を維持するため、ほとんどいつも働きに出ており、何週間も顔を合わせないこともあったのである。そして、その結果、彼と母親との関係は疎遠になっていた。もう何年も前から疎遠状態になっていた。 そんな彼に、また別の状況が発生したのである。女性化した黒人男という状況。この状況による孤独感の圧力に、デニスは押しつぶされそうになった。このような状況になった人はまれだろう。したがって、この状況には、たった一人で直面する他ない。 デニスは、あれこれ頭を悩ませたが、やがてベッドに崩れ落ち、泣き出した。 今後、何もかも変っていくだろう。だが、一番の不安は、大学に進んだ後の状態だった。これまでは、大学に進んだ後に希望を抱いていた。しかし、これだと、大学に進んだ後も、いままで通りの、「周りから目立ち、それゆえ疎外される人間」という状況は変わらないことになる。目立たないという祝福された存在になれるという最後のよりどころまでも、奪われてしまったのだ。仲間外れにされるのか? 確かに肌の色は明るい。だが、黒人であることは紛れもない。したがって、女性化した白人男性の間に紛れ込むというのも、不可能に近いだろう。一瞬、今後は女だと言い張って通そうかとも思ったが、すぐに、断念した。自分は女でもないのだ。彼の心の中の何かが、女性であると振舞うことを許そうとしなかった。自分は今後、本物の男ではなくなるだろう。だが、だからと言って、女として通そうとする気にはなれなかった。 その時、あたかも巨大な岩に打たれたかのように、デニスは自己啓示を得た。結局、自分は自分なのだ。そんな自分を人々が受け入れられなくても、だから、何だと言うんだ。 その夜、デニスは、その考えに安らぎを見い出し、眠りについた。 *
2週間後、デニスの人生は、すでにはっきりと上向きに転じていた。そして、そのことのほぼすべてにベッキーが関係していた。ふたりは毎日のように会い、互いに一緒にいることを嬉しく感じていた。 デニスは自分の幸運が信じられなかった。それまでの人生、ずっと仲間外れにされ、孤島に住んでるようなものだったのだ。それが、彼が誰であるか、何をしているかに関して先入観をもたないひとりの女性のおかげで、その孤独感を吹っ飛ばすことができたのである。加えて、その女性はとても可愛らしい。そのことも、彼が自分は幸運だと思うことと関係があったのかもしれない。 外見の良さで判断するなんて……。デニス自身、ベッキーの内面でなく、外見に惹かれてることは、ちょっと変態っぽいし、極めて浅い考え方だということは知っていた。だが、彼は、可愛い女の子の愛情には免疫がなかったのである。ベッキーの性格は、第一の要因である彼女の外見、および、第二の要因である、彼女が彼を気に入ってくれているという事実のふたつの陰に隠れ、デニスにとっては第3要因として遠くの問題に見えていた。愛らしい外見と表面的な愛情。この2点が一緒になって働き、第3の要因である性格が陰に潜むということは、よくあることだが、デニスにはそれを知る経験がほとんどなかったのである。 デニスはベッキーが本当はどんなタイプの人間か、もっと注意を払うべきだった。それというのも、彼女の外見や表面的な愛情よりも、性格こそが彼の未来に少なからず影響するからなのだ。 ベッキーは、一見すると、ごく普通の女の子のように見えた。だが、それは仮面なのである。実際は、彼女は、傲慢で、優越感を漂わせていた。そのこと自体は、デニスにも、いかに心が曇っていたとはいえ、間違いなく察知できていた。ベッキーは、自分は周りの人々より優れていると思っていたし、その気持ちをほとんど隠そうとしなかった。それに、意地も悪く、恨みがましいところもあった。他の人に対して、その人がおかれている状況、立場、あるいは、彼女の言葉や行動がその人に与える影響などを、あからさまに無視することは、一度に限らない。 ああ、だが、愛は盲目だ。デニスは、そんなベッキーの性格を知っていたにもかかわらず、それに目を向けなかった。ベッキーは、悪い人間だが、可愛いし、自分のことを好いてくれている。だから彼女の性格の問題は考えないことにしよう……とりあえず今は。 ふたりがデートを始めてから3週間経った。その日、ふたりはベッキーの部屋にいた。ちょっとエッチな気持ちが盛り上がっていたところだった。 デニスは片手をベッキーのシャツの中に忍ばせ、彼女の豊満な乳房に触れようとしていたところだった。驚いたことに、ベッキーはデニスの侵入を拒まなかった。デニスにとって、女の子の胸に触れるのは、これが初めてだった。その興奮に彼は圧倒されていた。 突然、ベッキーは身体を離し、ほとんど引き裂くような勢いでシャツを脱いだ。そしてブラジャーも脱ぎ去った。デニスはインターネットで何百もおっぱいは見てきている(彼の母親が勉強のために使うだろうと、ハイスピードのネット回線を引いてくれていたのである)。だが、パソコン画面のおっぱいなど、本物の、ライブの、個人的な付き合いのある女の子のおっぱいに比べれば、何の意味もない。 デニスはベッキーの胸を見て、口をぱっくり開いた。だが、(実際、彼はそうなのではあるが)それではまさに童貞の男の反応だと、そんな反応をしたのを隠すため、デニスはベッキーの胸に顔を埋め、舌で乳首を愛撫し始めた。感じてくれてるようだ。喘ぎ声をあげている。 しばらくそうしていた後、ベッキーは立ち上がり、デニスをベッドに仰向けにした。デニスは両ひじを突いて、上半身をあげ、ベッキーを見た。彼女は彼の脚の間にひざまずいていた。彼のジーンズのボタンを外している。そして、悪戯そうな笑みを浮かべながら、ジーンズを引き脱がした。次に彼の下着も。デニスの柔らかなペニスが露わになった。 デニスは、自分のペニスに関して、以前からちょっと恥ずかしさを感じていた。ステレオタイプのことは知っていた。いわく、黒人は白人より大きなペニスをしているといったこと。だが、彼の父親は白人だ。そうすると、自分は父親と、その点に関して同じ遺伝子を持ってることになるのだろうか? その懸念により、デニスには、どこか周りの黒人より劣ってるかもしれないという気持ちが生まれていた。そして、彼は定期的に自分のペニスサイズを測ることにしていて、ほぼ平均サイズなのは知っていた。だが、それでも、自分のペニスを見るたび、インターネットで見たペニスに比べたら、小さいんだろうなと、そして、どれくらい小さいのかなとも思うのだった。 ベッキーがデニスのペニスを濡れた口に入れるのを見ながら、デニスの心の中では、数々のこんな思いが飛び回っていた。 だが、驚いたことに、彼のペニスが一向に固くならないのだった。ベッキーは、舐めたり、キスしたり、吸ったりを何分か繰り返したが、デニスのペニスは彼女に協力しようとはしなかった。 やがて、ベッキーは嫌悪感を丸出しにして顔を離した。 「いったい何だって言うの? あんた、女の子が好きじゃないの?」 デニスは屈辱を感じていた。どうしてなのか、さっぱりわからなかった。「わ、分からないんだ」 ベッキーはシャツを元通りにし、胸を隠し、ドアに向かった。 「ねえ、トレント! ちょっと来てよ。このオカマ野郎を見てみて!」 「え、何?」 デニスはパニックになった。下着を元通りにしようと引っぱり上げようとしたが、ベッキーはぐいっと引っぱって、取り上げてしまった。 「ダメよ。あんたはそこに座ってなさい」 何秒もせずに、大柄の黒人男が部屋に入ってきた。デニスより2歳ほど年上の男だった。デニスは、その男はベッキーのいとこだと気づいた。 「どうしたんだ?」 とトレントが訊いた。 「何でもないよ……」 とデニスが言い始めたが、ベッキーに鋭い視線を向けられ、最後まで言えなかった。 「あたし、この3週間、ここにいるチビのオカマ野郎に付き合わされてきたのよ。そしたら、こいつ、そもそも女が好きじゃないときた。あたしを見ても、勃起すらできないのよ」 デニスが声を上げた。「そうじゃないよ、ベッキー。僕は本当に女の子が好きだよ。でも、どうしてか分からないけど……」 ベッキーはいきなりデニスの頬を平手打ちした。 「もし、お前が女が嫌いなら」 とトレントは、ズボンのチャックを降ろしながら言った。「お前、男が好きなんだろ?」 彼は巨大なペニスを引っぱりだした。「これが好きなんだろ?」 それは巨大なペニスだった。もちろんデニスのよりもはるかに大きかった。それゆえ、デニスの目を惹きつけた。 デニスは隠そうとした。隠したかった。だが、下着を奪われていたため、みるみる勃起してくるペニスを隠すことは不可能だった。 「ほーら、やっぱり!」 ベッキーは大きな声を上げた。「こいつ、ちんぽが好きなのよ!」 *
あたしは、娘のショートパンツが、かなりピチピチなのを見て、まずはタンクトップの裾をパンツの中に押し込んだ。それに応じて、胸を覆っていたトップの生地が引っぱられて、肩から下に伸びて、胸のかなりの部分が露出した。かろうじて乳首だけが隠れている程度に。さらに、もうちょっとだけ引っぱったら、乳輪の輪郭が見えてきた。 クリスティは、もうすでに興奮しているみたい。急に、あたしと向き合ったまま、後ろにカラダを傾けて、片脚を持ち上げてシートの上に乗せた。あたしは、クリスティがそんなことをしたのを知ってビックリして、顔をあげた。でも何も言わなかった。 トップの裾をショートパンツの中に押し込むのは、簡単じゃなかった。思い切り手を伸ばして、パンツの中に手を入れないと、裾がちゃんと入って行かない。 手を捩って、指先でタンクトップの裾を挟みながら、簡単に裾が外に出ないようにと、パンツの奥へ奥へとねじ込んだ。 指先をクリスティのおへその下へと滑り込ませたら、パンティに触れた。そして、ビックリしてしまった。パンティの生地が濡れていたから。びちょびちょになってるじゃないの! 驚いて顔をあげて娘の顔を見たら、頬を赤くして、お口を半開きにしていた。息苦しそうにハアハアしてる。でも、それはあたしも同じだった。 どういうわけか、あたしの指が勝手に動いていた。娘のパンティの奥へと勝手に忍び込んでいて、おへその下のお腹のつるつるお肌を触っていて、そこから娘のあそこの上のところを軽く引っ掻いていた。 ええ、ここ、すごく濡れてる! 自分でも分かっていた。いま、あたしは母と娘の境界を越えようとしてるって。最後に残っていたわずかな意思の力を振り絞って、手を引っ込め始めた。でも、そうしたら、クリスティが素早くあたしの手を掴んだの。 驚いて顔をあげ、クリスティを見た。クリスティもあたしを見ていた。ふたりとも黙ったまま。 クリスティはゆっくりとあたしの手を奥に引き込んだ。指先が娘のお豆に触れた。その瞬間、クリスティは頭を後ろに振り倒して、ああぁぁ…と声を漏らした。 「クリスティ……」 こんなこと止めなくちゃと、あたしは囁いた。 娘はあたしの手をさらに奥へ押し込んだ。指が娘のあそこの入り口に触れた。クリスティがこんなことするなんて信じられない。あまりに親密すぎる。しかもクリスティはあたしの娘なのよ! 指先に濡れた娘のあそこを感じながら、興奮が全身を駆け巡った。 「クリスティ!」 やめさせようと、声を大きくした。 あたしの声に、娘は、まるで夢から覚めたかのように、かっと目を開いた。あたしは店の中を見回した。向こうから例のウェイターがワインを持ってこっちにやって来る。あたしは素早く手を引っ込め、娘も姿勢を正した。指が娘の粘液でベトベト。あたしは、テーブルの下に手を降ろしたままにして、隠した。 「ワインです」 とウェイターが言った。でも、眼ではあたしとクリスティをじろじろ見ている。 その時、テーブルの下、娘があたしの濡れた手に触れるのを感じた。指をあたしの指に絡めて、指についた粘液をまぶしこんでいる。指に官能的に触れたり、優しく撫でたりしてる。そのヌメリが何であるか、ちゃんと知っていながら。 「他に何かご注文は?」 「い、いえ……、これで結構」 そう言うのが精いっぱいだった。 ウェイターは、もう一度、あたしたちを見た後、テーブルから離れて行った。 あたしはちゃんと座りなおした。でも、娘の顔に目を向けることができなかった。ウェイターが去った後も、あたしたちは手を握りあったまま、娘はあたしの手を優しく撫でている。こんなことをされていると思うと、気が狂いそうだった。 でも、しばらくすると、あたしも反応し始めていて、こっちからも娘の指を撫でていた。ベトベトを擦りつけあっていた。だって、すごく官能的だったから! クリスティを見ると、ただ、にっこり笑っているだけ。そして、何と! ちょっと辺りを見回した後、ショートパンツのボタンを外して、脱いでしまった。その後、パンティまでも脱いでしまった。そして、脱いだパンツと下着をシートの上、あたしたちの間に置いた。 「ああ、クリスティ、あなた、何を考えてるの?」 でも、クリスティは、またも微笑んだまま、何も言わない。心臓がドキドキしてきて、ドレスの胸を覆っているところが波打っているような感じがした。 下に目を向けると、娘が腰から下、丸裸になっているのが見えた。手を脚の間に当てていて、指を1本のばして、あそこを上下になぞっている。それから指先をあそこの入口に当てると、あそこの穴の中に入れていった。 娘の指があそこの中に姿を消していく。それを見ていたら、無意識的にお口の中に涎れが溢れてきた。思わず、ごくりと音を立てて唾を飲み込んだ。 あたしは思わず、ワイン・グラスをとって、一気に飲み干した。カラダにアルコールが効いてくるのを感じた。 どうしてなのか分からないけど、あたしは手で自分のドレスの裾を掴んでいた。そして、店の中を見回して、誰も見ていないのを確かめながら、ゆっくり持ち上げた。あたしのあそこも露出するまで。 クリスティはすぐにそこに目を落とし、指であそこをいじりながら、舌舐めずりした。 「ああ、クリスティ……こんなこと狂ってるわよ。とんでもないトラブルになってしまうかも……」 と小声で言った。 「心配しないで、ママ。……誰にも分からないわ」
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