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ライジング・サン&モーニング・カーム 第3章 (2) 


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「では、来週の同じ時間に」

「ありがとうございます、ベック先生」

アンジェラは、患者が部屋を出て行くのを見ながら、とてもお腹がすいているのに気がついた。だが、外の嵐はやみそうな気配がない。普通なら彼女はワーバッシュ通りにあるお気に入りの小さなベーカリーで食事を取る。だが、この天気を見て、彼女はこのビルの下の階にあるレストランで済まさなければいけないだろうなと思った。

アンジェラは、そのレストランに入った時、ランチタイムだと言うのにほとんど客がいないのを見て驚いた。この広いスペースに他の客はたったひとりだけだった。この店には来たことがなかったが、内装からすると、ある種のアジア系の料理を出すところだと思われる。10分ほど待った後、ようやく中国人風の女の子がメニューを手にやってきた。

「何名様ですか?」 と明るい声で娘は訊いた。

「あの、私だけなんです」 と、こんな広い場所でひとりだけで食事をするのはちょっとバカみたいと感じながら答えた。

「ではご案内します」 

娘はアンジェラを巨大な水槽の前の席に案内した。「ご注文が決まりましたら、お知らせください。お食事の前にお茶はいかがですか?」

「お願いします」

アンジェラはメニューを眺めながら、こんなにお腹がすいてしまって困ったなあと思った。彼女は、これほど空腹になってしまうといつも食べ過ぎてしまうのである。午後の診察時間に、満腹で苦しみながら患者の話しを聞くのだけは避けたかった。

どうやらこの店は想像した通り、アジア料理全般を扱う店らしく、メニューの写真が信じられるなら、酢豚風鶏肉炒め(参考)が特に美味しそうに見えた。

ウェイトレスが戻ってくるのを待ちながら、彼女は、テーブル二つ向こうにいる男性に目をやった。その人も東洋人で、書類の山に覆いかぶさるようにして何かをしていた。染み一つない黒のスーツに身を包んでいるが、特に印象深いのは、彼の髪の長さだった。背中の半分までの長い髪で、ゆったりとしたポニーテールにまとめている。それに短い髭を生やしているのも、アジア系の人にしては珍しかった。

アンジェラは気づかぬうちに長いこと彼をじろじろ見ていたに違いない。視線を感じたのか、男が突然、彼女の方を振り向いた。そしてアンジェラはその男の瞳が青いのを見てびっくりした。それにもまして彼女が驚いたのは、彼の顔に、彼女のことをすでに知ってたような表情が浮かんでいたことだった。

「ご注文はお決まりですか?」

「は?」

アンジェラは青い目の男を見るのに忙しすぎて、ウェイトレスが来ていたことに気づかなかった。

「あっ、えっと、酢豚風鶏肉炒めをお願いします」

「かしこまりました」 ウェイトレスはメニューを取り、厨房へと姿を消した。

アンジェラが男のいた席に目を戻すと、そこには書類の山はあるものの、男の姿は消えていた。「え? いったい…」

「同席しても良いですか?」

アンジェラは望む以上に大きな悲鳴を上げていたかもしれない。あの男性が突然、自分のテーブルのすぐ脇に姿を現したからである。

「ごめんなさい。怖がらせるつもりはなかったのですが」

これがカラーコンタクトだとしたら、是非ともこの人の検眼師の電話番号を教えてほしいと彼女は思った。とても本物らしく見える。レンズの輪の線すら見えない。それにちょっと灰色のポツポツも混じっている。薄青の色が絶妙。こんな薄青の目を見るとしたら、インの目か、ある種の犬の目でしか見られない。

「大丈夫ですか?」 アンジェラが茫然と見つめていた瞳の持ち主が、問うように彼女を見つめた。

ぱちくりと数回まばたきし、アンジェラは自分が男性の瞳を見つめていたことに気がついた。

「まあ、私、ごめんなさい。ええ、大丈夫です」

彼がまだ彼女の返事を待っていることに気づき、アンジェラは反対側の席へと手招きした。

「どうぞ」

男性が滑らかに椅子に座るのを見ながら、何を言ってよいか分からず、彼女はたわいない話しを始めた。

「こことても広いですね。でも、どうしてこんなにお客さんがいないのかしら? ここの料理、美味しくないのかしら?」

「大丈夫ですよ」 と男は言った。

日本人だわと彼女は思った。英語は欠点なしだけど、訛りがあった。でも、ゴージャスという言葉が声についても使えるとしてだけど、彼の声はゴージャスだった。深く、絹のような声であると同時にザラザラした感じもある。彼の瞳と同じく茫然とさせるところがあった。

「いまは休業してるのでお客さんがいないのです」

アンジェラは男が見ている方向に目を向けた、そしてそこに「クローズド」のサインが出ているのを見た。

「じゃあ、どうしてあの子は私を席につけたのかしら? それにあなたもどうして?」

男は唇の角を少し上げて、小さく微笑んだ。「私が彼女にそうするように言ったからです。私はこの店の店主なのです」

困惑と驚きを同時に感じつつ、アンジェラは衝動的に言った。「なぜ、彼女にそうするように言ったの?」

「あなたがお腹がすいているように見えたから」

「私が?」

アンジェラは自分がお腹をすかして哀れな姿を見せていたのを想像し、どういうわけか可笑しくなり、笑い出した。

「笑い顔が素敵ですね」 と男は彼女をほめた。

その言葉に驚いてアンジェラは何と返事してよいか分からず、ただ「ありがとう」としか言えなかった。



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Four 4人 (1) 

「Four 4人」 by deirdre, 4/6/96

「一緒に来て! あなたに見せなくちゃいけないんだから!」

ペグは、ラリーと私が玄関を入るなり、ペグがそう言って私の腕を引っぱった。ペグはラリーに向けて言ったのではなかった。私にだけ。ラリーの方に顔を向けたけど、諦めて、ペグに引っぱられるまま、ついて行った。

家の中、他のご主人たちは誰もいなかった。ラリーをシャノンとデニスのところに置き去りにしてしまって、一瞬、罪悪感を感じた。ラリーは、そもそも来たくなかったんだから。私には分かる。まあ、でも、ラリーも少なくともシャノンを見て楽しむことでしょう。男なら、たいてい、そう。

「何なの?」 ペグにキッチンへと連れられ、そこを通り過ぎ、地下室へ通じる階段を降りながら訊いた。

シャノンの家でのディナー。ある土曜日、私たち4人でランチに行った時、このアイデアを思いついたのだった。引きずり出す良い機会…。つまり4人それぞれ、自分の夫をディナーに連れ出せるし、シャノンも料理の腕前を披露できる。シャノンの家には来たのは、それまで一度だけだったけど、今でも彼女の家のことは全部覚えている。シャノンは装飾について良いセンスを持っている。

地下室に降り、角を曲がった。私は息をのんだ。目の前には、裸の男性が3人!

3人とも身体を縛られ、目隠しと猿轡をされて、立っていた。みんなのご主人たちだった。

「どう思う?」 ペグが私の耳に囁きかけた。

私はただ見ているだけ。3人とも立っているけど、よく見ると、天井から伸びたロープで首を結えられている。だから座れないのだし、あまり動くことすらできない。

「ペグ? いったい何が起きてるの?」 私もひそひそ声で訊いた。頭が混乱していたし、ショックも受けていた。

「最高じゃない?」 彼女もひそひそ声で答えた。

最高って? それって、この状況を表す言葉なの? 私はどうしたらいいのだろう?

この光景は、シャノンの家で見るとは絶対に想像できない光景だった。ディナー・パーティに来て、これを目の当たりにするなんて。これが何だか分からないけど。ラリーはこれをどう思うかしら?

「ペグ? こんなの変よ。ご主人たち大丈夫なの?」 と小声で訊いた。

「もちろん! みんな喜んでしてるの」 それが返ってきた答え。もう一度、ご主人たちを見た。ただ立っているだけ。

「行きましょう?」 とペグは、私を階上へ導きながら言った。

ひょっとしてこの男の人たちに私の声が聞こえてるかもしれないと思って、なぜか恥ずかしくなった。私は声を小さくして言った。

「ペグ、こんなの変すぎるわ。私たち帰るから」

「え、なんで? 来たばかりじゃないの。みんなでディナーを食べるんでしょう?」

「ラリーはこんなの嫌がるはず!」 

でも、本当のところラリーはどう思うんだろう? 彼がどう思うか私には分からなかった。でも、私は不快感を感じていた。私の友だちもそのご主人たちも完全に狂っていたなんて。そういうふうに、その時の私は思っていた。

「あら、私はそうは思わないわ。男ってこの手のこと大好きなのよ」

この手のことって、何のことを言ってるんだろう? 3組の夫婦がいて、そのご主人たちが三人とも裸で拘束されている。そんなところに来ることをラリーが気に入る? あのご主人たちもこれを喜んでいる? 確かに、あの人たちはそうなのかもしれない。でなければ、どうして自ら進んであんな状況になっているのか説明がつかないもの。

「見てみて!」 とペグが言った。依然として小声で。

彼女はリビングルームのドアのところに私を連れて行った。私は、目の前の光景を見て、立ち止った。

シャノンとラリーが互いに見つめあっている。シャロンはテーブルの上、真ん中に座って脚を広げていた。かかとはテーブルの上、両腕の肘を膝に乗せている。タイトなズボンを履いていた。彼女の長く細い脚や、しなやかで鍛えられたボディの魅力を強調するような服装。

シャノンはまっすぐにラリーを見つめていた。とても真剣な顔をして。

そしてラリーも部屋の真ん中に立ったまま、彼女をまっすぐに見つめ返している。私たちが視界に入っても、どちらもぴくりとも動かなかった。デニスは、部屋の向こうの、私たちの反対側の壁に寄り掛かってふたりを見ていた。


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淫乱ママ 第6章 (3) 

ジーナに連れられて二階の寝室に上がった。そこには大きなベッドとドレッサーがあった。ジーナはベッドにタオルを放り投げて、そのベッドの方を指差した。

「そこに座ってくつろいでいて、私、ママのビキニを探してくるから」

ベッドに腰を降ろして、引き出しの中を探すジーナの姿を眺めた。彼女はわたしに背中を向けているから、とっても形の良いお尻がよく見える。紐ビキニの紐がお尻の割れ目に食い込んでいて、ほとんどお尻が丸見えになっているようなもの。

ふと、ジーナの姿を見ながらものすごく興奮している自分に気がついて驚いてしまった。何と言うか、いままで女の人との体験は一度だけだったし、その時のことはすごく鮮明に覚えているんだけど、あれは試しの体験みたいなものだと思っていた。もう一度だけ試してみて、本当にゾクゾクすることなのか確かめてみたい、と。

ジーナはちょっとふり返って見て、わたしが見ているのに気づくと、にっこりと笑った。そして、頭を元に戻すと、今度は両膝をまっすぐに伸ばしたまま、一番下の引き出しに手をかけた。

その時のジーナのお尻を見て、思わず息を飲んでしまった。お尻の穴をやっと隠してる程度の細い紐ビキニ。お尻の穴のまわりのちょっとだけ色が濃くなっている部分の肌まで見えている。その紐の奥、三角形の布切れにつながっているけど、それは彼女のあそこだけをかろうじて覆ってるだけの小さな布切れ。若い女性の大切な部分を覆ってはいるけど、でも、あそこの左右の唇の形が、はっきり浮き彫りになって見えている。

この若い娘を見ているうちに、わたしもあそこに火がついてしまった。ジーナのあそこを食べるイメージが頭の中にいっぱいに膨らむ。あの官能的な肉厚の唇を左右に広げて、舌を奥深くに入れたい…。今すぐジーナのところに駆け寄って、抱きしめたくなる衝動をかろうじて抑えていた。

「あっ、あったわ。どうやら、これね」

ジーナは身体を起こして、白いビキニを持って掲げて見せた。それからゆっくりとわたしの方に歩いてきて、目の前に広げて見せた。

「うーん、これを着せる前に服を脱いでくれないと…」

お口の中がカラカラになっていて、ビキニを着るには服を脱がなくてはいけないことを忘れていた。多分、わたしは戸惑った顔をしていたのだと思う。ジーナはわたしを見て、また笑っていたから。まるで、ジーナが母親で、わたしが初めてビキニを着る女の子みたい。

「その上にビキニを着るつもり?」 とジーナが言った。

あら、やだ。本当にバカみたいに振舞っていた。わたしはジーナの母親と同じ年なのに、まるで少女みたいに扱われてるなんて!

立ち上がって、ジーナからビキニを受け取った。そしてスカートに手をかけたけど、ちょっと止まって、「あっちを向いていてくれる?」 とためらいがちに言った。

「どうして? ここには私たちだけなのに?」

また、わたしを見て笑ってる。あの青い瞳が笑ってる。目で笑いながら、わたしがスカートをめくり上げるのを待っている。ああ、下着を履いていないのに。それがジーナにばれてしまうわ…。

でも、それがどうだって言うの? 最近は下着を履かない女性がたくさんいるんだから。多分、ジーナ自身も普段は下着をつけていないんじゃないかしら。

わたしはスカートの裾を持ち上げて、いったん腰の周りで丸め、それからするりと足元へ降ろした。無毛に剃ったわたしのあそこ、見たのね? ジーナが小さく息を飲むのが聞こえた。

それから、依然としてジーナの方を真正面に見ながら、シャツのボタンを外して、シャツを脱いだ。わたしはジーナの前で素っ裸になっていた。身につけているものと言ったら、足に履いたハイヒールだけ。

ジーナを見ると、わたしの身体をじっと見つめている。わたしの張りのある大きな乳房に視線を向けて、それから下に降りて、お腹、そしてあそこに視線が這って行く。

彼女に見られながら、身体が震えてしまった。何だか、まるでジーナの視線で肌を触られているみたいだったから。身体じゅうのゾクゾクした興奮が脚の間のあそこに集結していって、あそこが濡れて行くのを感じる。

顔が火照っていたけど、何とかして落ち着いたふりをし、平然とビキニを手にとって、下の方から先に履いた。

ちょっとすごくきつい感じ。ジーナの水着と同じで、あそこがやっと隠れるくらい小さい。素早くビキニのトップも身につけ、鏡を見た。

「ああ、いやだわ。こんな格好で下に降りていけない」

ジーナのお母さんはわたしより身体が小さくて、そんなに曲線も派手じゃなかったのを思い出した。身体のどの部分もすっかり露出している。股間のあそこの部分と、乳首とその周りの部分がちょっと隠れてるだけ。

ハイヒールを履いているので、脚がとても長く見える…とてもセクシー。腰も露出していて、太ももの内側の部分、ラビアへ通じる小さなしわも見えている。隠れているのはあそこの唇だけ。

大きな胸の方もほぼ丸見え。乳首と乳輪とその周辺が隠れているだけ。後ろを振り向いて見ると、お尻が露わになっていて、お尻の頬の間にビキニの紐が食い込んでいる。

「あら、とっても素敵よ。ほんと綺麗。ケイト? あなた、下にいるみんなをノックダウンしてしまうかもよ」

ジーナは鏡に映るわたしの姿をうっとりと眺めていた。


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ジャッキー 第10章 (3) 


僕が気づく前にアンジーは部屋の中にいた。

「ねえ、何を持ってるの?」

彼女はベッド脇に立っていて僕を見下ろしていた。僕はすぐに雑誌を閉じ、できるだけ嫌そうな声を出して言った。

「これが君の調教マニュアルのようだね」

彼女が雑誌の表紙を見た瞬間の目の表情から、彼女が僕が読んでいた雑誌が何であるか分かったようだった。

たいていの人なら、そんな場合、その雑誌にどんなことが書かれてるか知らなかったと言い張るだろうし、勝手に個人の持ち物を盗み見した僕を責める人もいるかもしれない。だが、アンジーはそういう普通の人とは違った。落ち着き払ってベッドに腰掛け、その雑誌を手に取った。

アンジーがどんな答えをしようかと考えているのが見て取れた。1分ほど黙っていた後、彼女は口を開いた。

「これが見つかっちゃって、残念だわ。これを買ったその日のうちに捨てておくべきだったわね…」 と言い、ベッドにあった他の雑誌を指差して、続けた。「…これは、そちらにある雑誌と同じようなものだと思っていたのよ。あなたの女装関係の参考になるものだと。セックス雑誌だったとは知らなかったの」

アンジーの言う理屈は筋が通っているように聞こえたし、正直言って、僕も彼女を信じたかった。僕が愛する女性が、僕にこんなことをするなんて想像すらできないから。

「つまり、君は、僕にこういうことはしたくないと思っていると。そうだよね?」 僕は彼女がその通りよと言うのを期待して訊いた。

「ええ、もちろんよ。あなたにそういうことは絶対にしないわ」

アンジーはそう言って、雑誌を開き、一枚の写真を指差した。その写真では、シシーがロープで縛られ、猿轡をされて、ひざまずいていた。女王様の女性がそばに仁王立ちして、乗馬鞭を手に彼の尻を叩くポーズを取っている。その男性の尻頬に赤い筋が幾本もあることから、彼がすでに数回鞭打ちされているのが分かる。

「ねえ見て…」とアンジーはそのシシーを指差して言った。「私があなたにこんなことをしたことがある?」

もちろん僕は首を左右に振った。

「もし私がこういう行為が好きだったら、この3カ月の間に一度くらい試みたはずだと思わない? あなたのために選んで、あなたのために買ってあげた女装用の服で、何かあなたの気分を害したことあったかしら?」

再び僕は首を左右に振った。「もちろん、そんなことは一度もなかった。君が僕のためにしてくれてるのを知って、僕はとても運がいいと思っている。君も楽しんでいるのは知っていたけど、そもそも、もしも僕が拒んだなら、君もこういうことを始めなかったと思う」

よく冷静になって考えると、アンジーが言うことが正しいと思えるようになっていた。

「アンジー、ごめんなさい。多分、勝手に想像をたくましくしてしまったみたいだ。君は僕にこういうことをしたことがなかったし、今までしようと思ったらいつでもできたはず。それなのにしなかったというのも分かった。疑ったりして、ごめん」

「私こそ、こんなもの取っておいててごめんなさい。今夜、家に戻ってきた時に、暖炉で全部燃やしちゃうわね」 とアンジーは僕を抱きしめた。

「これからどこに出かけるの?」

「あなたとディナーに出かけようと思ってるの。とっても良いニュースがあるのよ。外食して一緒にお祝いしたいと思って」

どんなニュースかと訊いたが、彼女は答えようとしなかった。「どこに行くのかなあ。それに、どんな服を着て行くべきなんだろう?」

自分の衣類を選ぶときになっても、どんな服を着て行くべきか、アンジーから答えをもらっていなかった。だが、彼女は、僕の迷いを知っていたようだった。つまり、ジャックとして出かけるのか、ジャッキーとして出かけるのか、という迷いである。確かにアンジーはいつも、それは僕自身が決めることと言っているが、それでも前もって彼女自身の好みを伝えることが多い。

「あなたも知っての通り、私はジャックと一緒にいても、ジャッキーと一緒にいても、どちらでも幸せなの。でも、今夜はできたらジャックにそばにいてほしいわ。このニュースは彼にも関係のあることだから」 と彼女は僕の頬にキスをした。


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