30分後。マリイとジムはすでに帰っていた。リンダとブルースはパティオに戻って、寝酒代わりのお酒を飲むことにした。グラスを持ってブルースが腰を降ろそうとした時、リンダが頼みごとをした。 「ねえ、あなた? 昨日の夜ここで使った、あの毛布、持ってきてくれる? ちょっと、肌寒いの」 リンダは、あの毛布のことを言うと、ブルースが顔を赤らめるのを見逃さなかった。この人、寝取られの輪の中に入った後は、どんなふうに変わるんだろう? 両膝を毛布で覆うと、リンダはグラスの縁を舌で舐めながら、夫の顔を見つめた。ブルースは、意味深な顔で妻に見つめられ、落ち着かない顔になった。リンダが何を考えているのか分からず、目を逸らし、伏せ目になった。その反応に、リンダは内心、満足した。 「それで、ジムとのおしゃべりは楽しかった?」 「あ、ああ」 ブルースは、何気なさをつくろって、返事をした。 「何について?」 「知ってるだろ・・・輪のパーティのことだよ」 「それで?」 「何が?」 「ブルース! からかうのはやめなさいよ! どう思ったか訊いてるの!」 ブルースは妻の声の調子に、驚き、たじろいだ。 「あ、ごめんよ・・・うう・・ああ、興味深かったよ。ジムは、あれでOKなようだった」 「で、あなたはどうなの?」 「どういう意味だ?」 リンダは肩眉をちょっと吊り上げて彼を見た。それだけで、ブルースには、リンダが彼の言い逃れを気に入っていないことが分かった。 「あ、ああ・・・分からない。本当に普通と違うし・・・」 「ええ、もちろん、そうね。ジムは、自分の妻が黒人男たちにやられるのを、どう感じたのかしら?」 「リンダ! そういう言葉使いをしなければいけないのか?」 「質問に答えればいいのよ!」 ブルースはしばらく黙っていたが、ようやく口を開いた。 「まあ・・・雰囲気としては、ジムは・・・ほとんどマリイを誇りに思ってるようだったよ」 「そもそも、そこの男の人たち、私なんかに興味を持ってくれるかしら?」 「お前、冗談を言ってるんだろう?」 リンダは脚を組んだ。ブルースを刺激するためである。 「マリイが言っていたけど、そのパーティに来る黒人の男性たちって、最高クラスに逞しい身体をしているばかりでなく、とてもハンサムらしいのよ。彼らの方が女性を選べる立場にあるんですって!」 「お、お前、まさか?」 「とにかく・・・」 リンダはブルースの言葉を遮った。 「とにかく、どういう人たちが来るのかを見るためだけでも、一度、そのパーティに行った方がいいと思うわ。面白そうだし。パーティに出ても、何もする必要はないのよ。ただ、飲み物を飲んで、このパーティが私たちに合っているいるかどうかを決めればいいんだから。でしょう?」 「まあな・・・」 「輪のことについてはジムは言っていた?」 「ああ」 「私は面白いアイデアだと思うわ!」 「まあ、そうだな。もちろん、お前は輪の方には出ないだろうけど」 「ええ、出ないわ。だって、そのパーティの方は、白人の人妻と黒人男性に特化ものだし。でも、ジムやビルはとっても素敵よね。自分の妻のマリイやサラをしっかりサポートして、自ら進んで輪のパーティに連れて行ってるんですもの。本当の意味で、妻に献身してると思うわ。それに、自信に溢れた行為だとも思う。男性としての自信がなければ、できないことだもの。素敵だわ」 「多分、お前の言うとおりだとは思うが・・・」 「で、どうする? ちょっと顔を出して、どんな感じか見てくる? もしつまらなくて、飽きちゃったら、早々に切り上げて、映画を見に行ってもいいし」 「ああ、そうするか。まあ、映画も楽しそうだが」 「あなた、本当に大丈夫ね? パーティについて? もし、心づもりができてないとしても、私は理解できるわよ」 「いや、いや、大丈夫だよ。ジムやビルが大丈夫だと言ってるんだから、大丈夫なはずさ」
宴会用のホールに入ると、中はすっかり変わっていた。パティがホールを完璧なメイク室と着替え室に変えていた。メイク用の照明つき鏡を備えたテーブルが一列に並んでいて、どのテーブルにも化粧道具が完全装備されていた。パティは床屋の椅子のようなものも一台用意していて、部屋の脇においてあった。 その床屋の椅子の脇にパティは立っていた。私を見ると、手を広げて呼びかけた。 「こっちに来て。すぐにしなければいけないの。何分もしないうちにマリアが来て、私は彼女のメイク変更をしなければならないから」 私は、何が始まるのか、わざわざ訊くことはしなかった。きっとメイクのやり直しをされるのだろうと思ったから。私が椅子につくと、パティが最初にしたのは、私の指を何か液体の入ったボウルに漬けたことだった。きっとこれは爪のマニキュアを落とすのだろうと思った。本当のところ、この日のマニキュアは気に入っていた色だったので、それを落とされるのは嫌だなと思った。「プリティ・イン・ピンク」というマニキュアで、私の指の肌の色とあわせると、とても良い感じに見える色だったから。 爪を液体に漬けている間、パティは私のお化粧を落とし始めた。彼女は急いでいると言っていたけれど、とても仕事は優しくしてくれた。お化粧を落とした後、まず、付け睫毛をつけた。私は、それまで付け睫毛をつけたことがなかったけど、こんなにまぶたが重く感じるとは思っていなかった。 次にパティは顔にお化粧を始めた。多分、普段、私がするより濃い目に化粧をしているはず。顔面が少し固くなったように感じた。お化粧が終わったときには、普段なら1週間かけて使う量より多い化粧を顔につけていると思った。 パティは顔が終わると、今度は、手の爪に移り、いったん前のマニキュアをきれいに拭い去った後、新しく塗り始めた。私の爪はきれいに手入れされていたので、彼女は、他のことはする必要がなく、すぐに塗ることができた。濃い目の赤のマニキュアを2回塗り、その上にラッカーを3回塗り重ねた。さらには足の爪にも、マッチした色を塗った。 爪のマニキュアが乾くまでの間、パティは私の髪に作業をした。逆毛を立てるようにして膨らませてから、ブラッシングをした。 爪が乾き、ブラッシングも終わると、私を立たせ、大きなパウダー付けを使って、体じゅうの表に露わになっているすべての肌にパウダーをつけた。 ようやく全作業が終わり、パティは私を鏡の前に連れて行き、できばえを見せてくれた。前よりセクシーで、グラマラスに変身していた。睫毛には銀色の縁取りが光っていた。付け睫毛は、地毛の睫毛の3倍近くありそうだった。アイシャドーは、数種類の色を使っていて、うまく混ぜ合わせてある。唇は、パティの使ったライナーのおかげか、普通よりも厚く見えた。全体として、この見栄えは気に入ったので、自分ひとりでもこれができるように、やり方を覚えなければと思った。 でも、鏡の前に立っている時間はあまりなかった、トレーシーが来て、私にローブを渡しながら、言った。 「さあ、来て。リチャードが外のプールのところで待っているわ」 ここに来て、これからどういうふうに進むのか、私はまったく分からなくなった。パティにしてもらったお化粧は、ポルノ・スターがするようなお化粧だったから、当然、そのリチャードという人とセックスをするのだろうと思った。でも、プールのそばですることはないだろうと思っていた。というのも、その周辺には、まだ撮影に関係ない人たちがいたし、たとえ、その人たちがホテルのスタッフだとしても、公の場でセックスすることは法律的に許されていないはずだから。 そのことがちょっと気になったけれど、私がトラブルに巻き込まれるようなことをトレーシーが私にさせるわけはないと確信していた。それに何より、私は、これがどう進むか、最後までやり遂げなければならなかった。 幸いなことに、私の心配は何でもなかった。プールのところに歩いていくと、それがすぐに分かった。 リチャードは写真家で、私の写真を撮るための場所を用意してくれていたのだった。彼は6メートル四方の区域を作っていて、ロープで立ち入り禁止にしてくれていた。その区域の中には長椅子があった。それに、傘の形をした照明機材もあった。 リチャードは、背が高く、とてもハンサムな人だった。黒に近いこげ茶色の髪と、同じような色の瞳をしている。とても大きな手をしていて、大きなデジカメを持っていた。身なりも上品で、タイトな皮製のズボンとボタンダウンのシルクのシャツを着ていた。 ロープのところを越えて中に入ると、トレーシーが言った。 「ステフィ? こちらがリチャード。私たちの雑誌のための写真を撮ってるの。リチャード? 彼女がステファニー。彼女、今回が初めてだから、優しくてね。あなたたちが仕事をしている間、私は、向こうで待ってるわ」
ストッキングとハイヒールだけの姿のまま、バーバラは後ろ向きになり、脚を大きく広げた。そして、腰をひねらせながらリモコンをカメラに向け、横にある小さなテレビに目をやった。リモコンでズームし、画面にお尻のアップが映るようにさせた。床に置いた携帯電話を拾うときだけ、彼女の手がチラリと映った。 それから彼女はゆっくりと前屈みになった。カメラアングルを少し下向きに調節し、さらに前に上半身を倒していく。 「なんて・・・」 スティーブは、言いかけたものの、自分が何を言おうとしていたのかすぐに忘れてしまった。いずれ、意味のない言葉だっただろう。 バーバラはリモコンを置いたのか、別のものを握った手が画面に現れた。肌色をしたディルドだった。それを、濡れているのがありありと分かる女陰に押し付けていく。 バーバラがディルドの頭部を2センチほど外陰唇へぐりぐりと押し付けるのを見て、スティーブは生唾を飲んだ。頭部をラビアの前頂へと滑らせクリトリスを撫でては、また、後ろへと擦りつけながら戻す。彼女はそれを何度か繰り返した。そして、ようやく、優しくディルドを中へ入れ始めた。それはどんどん奥へ入って行き、やがて3分の1ほどが中に隠れるまでになった。 「あなた?・・・あなた?・・・」 携帯はもう一方の手に握っているに違いない。スティーブは、このような姿勢でどうやってバランスを保っているんだろうと思った。 「ああ、ここにいるよ」 声がかすれていた。 「そこの建設現場からここまで来るのに、どのくらいかかる?」 バーバラは、誘惑的な甘い声で聞いた。 「いまに分かるよ」 スティーブはそう言って、立ち上がり、椅子を蹴って元に戻した。上着を握り、耳に携帯電話を押し当てながらドアに向かった。 「・・・ねえ、パソコンを切るのを忘れないでね」 「あっ・・・そうだった」 ドアに向かっていたスティーブだったが、きびすを返しデスクに戻った。ラップトップのふたを閉め、電源コードを抜き、脇に抱えながら小走りでドアに向かった。 スティーブが車を運転する間、バーバラはずっとディルドで何をしているか電話で報告し続けた。 ******** スティーブは、ぎりぎりの時までブレーキを踏まなかった。左に曲がるとき、とうとうブレーキを踏んだが、急ハンドルを切ったせいもありタイヤが大きな悲鳴を上げた。それでも車の勢いは残っており、ガレージのドアに衝突するのを避けるため、ブレーキを踏みつけなければならなかった。 車から飛び出て、ずんずんと走り、数秒のうちに、鍵のかかっていない玄関から家の中に入った。 バーバラは、玄関のすぐ内側、ロビーの床にマットを敷いて、正座していた。依然として、ストッキングとハイヒールだけの姿だった。顔は赤らめていたが、しっかりと顔を上げて前を見ていた。彼女の両手は、ずいぶん前から身体の一部を隠したいと願っていたようだが、バーバラは頑としてそれを却下し続けていた。夫が喜んでくれるように、完全に露わになっていたいと思っていたからである。 「ああ、バーバラ、すごく綺麗だよ」 スティーブは息を荒げていた。 「セクシー?」 「ああ、本当にセクシーだ・・・僕は一度も・・・君が・・・ああ!」 言葉が詰まって、なかなかうまく口から出てこない。 「こっちに来て・・・」 バーバラは、指を鉤の形にさせて、誘惑的に言った。スティーブは、素早くドアを閉め、彼女の前に突進した。
セックス小説の内容のかなりの部分はセックスだけを描いている。セックスを求める経緯、セックスを達成するまでの経緯、頂点にたどり着くまでの性的行い、やり方や、頻度、激しさ、言い表し方などにおいて普通とは異なるセックスなどがもっぱら描かれる。サイバースペースには、巧みなストーリーを書く能力を持ち、実際に書いている有能な作家たちがいるのは事実だが、セックスの具体的な描写に焦点を当てるあまり、プロット、キャラクターの性格付け、描写や他の作話上の基本事項を損なってしまうストーリーが一般的である。これはよく知られていることであり、1990年代の中頃までに、軽い気持で書かれた(が、完全には正確とは言えない) 『alt.sex.storiesの常套シーン、トップ10』が流布し始め、すぐに、100近い常套句のリストになったことは有名である。その常套シーンの典型的なものが次である。(訳者注:部分的に 「スイング・乱交・淫乱妻」関係の常套シーンに拙訳があります) (1)女性がオーガズムに達すると、決まって、「あああ、いっくうぅぅぅぅ!!!!!」と叫ぶ。 (2)どの男のペニスも、少なくとも長さ23センチ、太さ7センチはある。 (3)巨大な乳房を持ち、ゴージャスな体つきのブロンド美女は、誰でも密かにヲタク風のコンピュータ・マニアのことを想っているものであり、彼女たちの望みは、コンピュータ・ヲタクが隣に住むアパートの一室に引っ越すことである。 (4)この世で最もラッキーな人はベビーシッターたちである。 (5)夫は、妻が他の男と浮気したと知っても、決して怒り出すことはなく、逆に、激しく興奮する。 (6)妻が、夫は自分が他の男とセックスしているところを見たがっていると知ると、きまって、その妻は素晴らしいことだと考える。あるいは、一般的に、誰かが普通じゃない種類の性行為をしてみたいと言うと、他の誰もがいっせいに同意する。 私は、ネット上のセックス小説がこのような常套句だけでできているといった印象を与えたいわけではない。ただ、我々の小説は「ジャンル」物なのであり、どのジャンルにも表現の幅に限界があるということを伝えたいのである。どの『マルタの鷹』にも、数え切れないほどの読み捨て探偵小説があるものだ。加えて、オンラインの作家にはプロの作家はほとんどいない。そして最後に、もう一度、喚起しておかなければならないこととして、このセックス小説というジャンルに属する小説の特徴は、性的興奮を求めるところにあるのが普通だということだ。もっと言えば、ストーリーをランク付けするときに普通に使われる基準は、どれだけ「手コキ」をさせたかにあるのである。 そして、この関連で、セックス小説の作家が「人格を汚される」危険性に直面するかもしれないのは何故かを説明する第二の理由が浮き彫りになってくる。この手の小説は単に性的なことが関わった恋愛を扱っているわけではないということである。そのような性的恋愛小説は、主流となっているロマンス小説の中でもありふれたものとなっている。オンラインのセックス小説の場合、性的妄想を表現し、匿名で書かれ、見ず知らずの人々と分かち合って読まれるものであるので、おのずと、物語がどれだけ極端になって良いかに関してほとんど制限がないことになるのである。現実の生活では決してやってみようとは思いもしない行為を物語りに加えることができるし、現に、そのようになっている。もちろん、ロマンスや色っぽいコメディや愛情を盛り込む物語があるが、それと並んで、同性愛や不貞を描く物語もあり、さらには、肛門性交、近親相姦、拉致、強姦、緊縛、支配と従属、SM、拷問、スキャトロジー(糞便)、水遊び(小便)、マインドコントロール、獣姦、幼児性愛、手足の切断、そして殺人といった危険な話題を、時に、複雑に組み合わせて盛り込む物語もあるのである。 ある作家が、自分の配偶者や子供そして仲間に、自分がそういう妄想を抱いているばかりでなく、わざわざ労を尽くして、その妄想を物語りに展開し、オンラインに投稿していると知られたならば、これはその作家にとってかなり破壊的な影響を与えることになる。この心配は、何も過激な小説の作家だけのものではない。例えば、ゲイの兵士の話を書く夫や、レスビアンのロマンスを書く妻なども同じような心配を抱くだろう。夫であれ、妻であれ、自分のパートナーがこのような隠れた側面を持っていると知ったなら、その人の人格は汚されるかもしれないし、夫婦の関係も危なくなる可能性があるのだ。 これは何も単なる仮定上の問題ではない。alt.sex.stories.dといったところで、これまで何人も投稿者が苦情を訴えてきている。いわく、自分の配偶者が、自分を性犯罪の罪で捕まえるよう、警察に電話したとか、小説を投稿した事実が離婚手続きで証拠として使われたとか、である。「バレること」は、多くの作家にとって、何よりも恐ろしいことなのである。1990年代中頃当時、最も有名だったセックス小説の作家の一人が書いている。彼女にとって、身元がばらされることこそ、「私の人生で最悪の悪夢だ」と。 セックス小説を書いた結果のうち、恐らく最悪の結果と言えば、逮捕されることであろう。アメリカ人は、そんなことはありそうもないと思うかもしれない。というのも、アメリカでは、言論は憲法(修正第1条)で保護された重要な権利であるからだ。だが、アメリカよりも性的にリベラルと思われる国(カナダやイギリス)も含め、他の国では、言論はアメリカほど明示的に保護されているわけではない。そのため、例えば、10代の若者とのセックスを扱った小説を書けば、犯罪者として制裁される可能性があるのである。さらに、アメリカにおいてすら、インターネットにセックス小説を投稿したことで逮捕されたり、身柄拘束をされた例がある。 1995年、ミシガン大学の学生だったジェイク・ベイカーが、逮捕、告訴された。罪状は、同大学のクラスメイトと同姓同名の女性を小説に登場させ、その女性に誘拐、強姦、および殺人を行う小説をUsenetに載せた罪である。その告訴は、最終的には、連邦裁判所の裁判官に却下されたが。2005年10月には、ピッツバーグに本拠地を持つRed Rose Storiesという幼児性愛と過激な性愛のフィクションに特化したサイトが、FBIによりサイト主催者の機器が押収されたことにより、事実上、閉鎖した。2006年10月には、ロージーと名乗っていたカレン・フレッチャーが、わいせつ物をネットに投稿した罪で、連邦政府議会法違反で告訴された。訴訟の結果はまだ未定である。先月には、多く幼児性愛の物語を書いてきた古くからの作家(でありalt.sex.stories.moderatedへの投稿者)であったミネソタ州のフランク・マッコイが、わいせつ関係の連邦法への違反の罪で逮捕された。告訴状はジョージア州で取りまとめ、提出されたものである。彼の現況や訴訟の結果は、私がこれを書いている時点では、明らかになっていない。
トップを脱いだ後、ケイトは、また俺に背中を向けて踊り始めた。音楽のビートが陶酔感を盛り上げる。 腰を揺らしながら、髪を振り上げ、前屈みになった。脚を広げているので、その脚の間から、豊かに垂れた乳房が見えた。 だが、見所は、おっぱいばかりではなかった。いつの間にかスカートを徐々に捲り上げていて、その中から、これまた見事な美尻が顔を出していたのだ。 ケイトは、さらに前屈みになり、両腕で右脚に抱きつく格好になった。顔が膝にくっつくほど、前屈した。そうやって、脚の間から、悩ましい顔で俺を見る。その顔を見たら死人すら生き返るだろう。 ケイトはゆっくりと身体を起こし、前を向いて、俺の真上にやってきた。そして、相変わらず腰をくねくねと揺らしたまま、俺を見下ろした。 両手で乳房を押さえた。まるで俺に差し出すような手つきで美乳を持ち上げる。だが、そうはしなかった。左右の美乳を持ち上げ、頭を前に倒した。舌を突き出し、固く勃起した乳首を、ぺろぺろと自分で舐め始めた。その間も、ずっと俺の瞳を見つめている。 ひとしきり乳首を舐めた後、ケイトは俺のちんぽにチラリと目をやり、美尻へ手をあてがった。俺の目を見つめながら、ジリジリと音を立てて、スカートのファスナーを降ろしていく。 ファスナーを降ろしきると、ケイトはまたゆっくりと後ろ向きなった。ケイトの美尻が俺の顔に向いている。その尻が左右に揺れた。それに合わせてスカートがするすると降りていった。俺の足にスカートが落ちるのを感じた。ケイトはそこから足を踏み出し、スカートを衣類の山へと蹴った。 またも前屈みの姿勢になり、俺に、極上美尻を見せ付ける。俺は先走りがちんぽから睾丸へと流れるのを感じた。たまらない。この尻に触りたい。ソング・パンティが尻の割れ目にきっちりと食い込んでいる。股間を見ると土手高なのか、膨らんだ陰唇が、パンティの中、むっくり盛り上がっているのが見えた。 ケイトは尻を見せ付けた後、またゆっくりと身体を起こし、肩越しに俺に振り向いた。目をとろんとさせながら、両手で乳房を触り、徐々に腰の辺りへと降ろしていく。手先を見ると、ソングを結び付けている左右のストラップのうち、左の腰にあるストラップをつまんでいた。それを引っ張っている。するするとストラップが引っ張られ、結び目が解けていく。だが、ソング・パンティはまだ尻頬の間に挟まったままだ。 ケイトはゆっくりと膝を曲げ、さらに尻を俺の顔へ近づけた。肩越しに俺を見ながら、尻に手をやり、右の腰についてる別のストラップをつまんだ。さらに尻を俺に近づけながら、そのストラップを俺の唇へ持ってきた。俺は、本能的にそのストラップを歯で咥えた。 ケイトがゆっくりと腰を上げ始めた。ストラップを咥えたままの俺の目の前に、まさに美しい光景が姿を現す。白桃のように滑らかな美尻が、完全にあらわにされて姿を出したのだ。 腰を上げたケイトは、くるりと前向きになり、俺の胸の上にまたがり、しゃがみこんだ。すっかり濡れて膨らんだ陰部が俺の目の前に来ている。なんとも誘惑的だ。ケイトは俺の口へ手を伸ばし、ソング・パンティを拾った。 「私のおまんこよ? 舐めて?」 そう言って、ソング・パンティの濡れた股間部分を俺の唇にあてがった。 ツンと彼女の匂いが俺の鼻腔をついた。その瞬間、気が狂いそうなほど淫らな気持ちになった。俺は舌を突き出し、その濡れたところを舐め始めた。 「そう、そう・・・私のおまんこ、美味しいでしょう? 食べてみる?」 俺は狂ったように舌を動かし舐め続けた。ケイトは、さらに俺の口に押し付け、布地を口の中に押し込んだ。俺に口でちゅうちゅうとジュースを搾るように吸わせる。それを見届けた後、ケイトは俺の口から引き出し、脇に放り投げた。 しかし、この女、どこまで誘惑的で、かつ、パワフルなのだろう。驚いてしまう。すっかり俺を支配してしまっている。俺はこういうのは好きではないが、このテストにパスしなければならないのは分かっていた。 ケイトは立ち上がり、俺の周りを歩いた。その間、俺の目は彼女の美尻に釘付けだ。 ぐるりと一周した後、ケイトは立ったまま、俺の顔の上にまたがった。彼女の左右の足が、俺の両耳に触れた。足で顔を挟まれた形だった。 下から見上げる俺の目には、土手高の陰部と、その上に盛り上がる二つの美乳の丘が見えていた。その丘の谷間から彼女が俺を見下ろしている。完全にエロいことしか頭にないような顔をして俺を見下ろしている。 ケイトはゆっくりと片足を上げ、その足の側面で俺の顔を擦った。 「私の足、セクシーでしょう?」 俺の目を見つめながら言った。 少し足を傾け、生肌の足と、靴の柔らかい皮製のストラップを俺の頬に擦り付けた。 「私の足にキスしたいんじゃないの?」 足の指先を俺の唇に擦りつけながら言う。 俺は、うんうんと頭を縦に振った。
「そんなことは言ってません。分かってるはず・・・」 イサベラは、額に少ししわをよせ、呟いた。 だが、レオンはお構いなしに、彼女のスカートの中をじわじわ這い上がり、敏感な膝裏の肌に口をつけた。 イサベラは、唇を噛んで耐えるものの、自然と喘ぎ始めていた。レオンの唇が震える太ももに沿って、焦らしのキスを繰り返し、徐々に彼女の熱く濡れた部分へと近づいてくる。身体全体が熱してくる。 次はどこにキスをされるのだろう? そう想像すると、体の奥から、勝手に期待感が湧き上がり、その性急さに息が乱れていく。イサベラは、そんな自分の反応を押さえ込もうと必死だった。 レオンの温かい息が、太ももの頂点にある赤毛の繊毛に優しく吹きかけられた。イサベラは思わず溜息を漏らした。 「あっ・・・レオン・・・」 レオンが、鼻から息を吸って、私の香りを嗅ぐかもしれない。そう想像しイサベラは顔をピンク色に染めた。脚を閉じたいという意思はあるのだが、彼の幅広の肩がしっかりと脚の間に嵌っているので、それもできない。彼の優しい探査に身を任せることしかできない。 レオンは、繊細な手つきでイサベラのぬめった肉襞を左右に開いた。 「何だね?」 かすれた声で呟く。 イサベラは目を閉じた。そうでもしなければ、レオンが欲情に蕩けた瞳で、自分の淫猥に光沢を帯びた肉唇をじっとりと見つめている光景が頭に浮かんでしまうから。だが、目を閉じることにより、なお一層、鮮明にその光景が浮かび上がってしまうのだった。 「あなたは、おっしゃったはず・・・」 とイサベラは言いかけたが、次の瞬間、「ああっ!」と声を上げた。 レオンが彼女の割れ目の全体をべろりと舐めたからだった。イサベラは、何かに耐えるかのように、ベンチの端を握り締めた。 イサベラは息を継ぐ暇もなかった。レオンは、真昼の陽の熱で融けかかっているアイスクリームを舐めるように、彼女の秘密の部分をぺろぺろと舐め始めている。彼の舌が、そこに湧き出る滴を一滴も漏らすまいと、濡れた肉畳の中をほじり始めた。イサベラは血液が脚の間に集まり、低く脈動音を鳴らすのを感じた。 「時が来るのを待つとおっしゃったはず・・・」 舌で肉芽をいたぶられ、イサベラの言葉はほとんど声になっていなかった。それでもレオンの耳には届いたらしい。激しくむさぼり続ける口が、一瞬、動きを止めた。 「ああ、確かに言ったが」 その声はスカートの中からなので、くぐもって聞こえた。 話しを続けられると思っていたイサベラは、突然、その狭い肉鞘に指を挿し込まれ、心臓が止まりそうになった。 「レオン!」 その指が濡れて熱を帯びた部分を探りまわる。イサベラは全身を強張らせ、悲鳴を上げた。腰が自然とベンチから浮き上がっていた。そのため、かえって濡れた部分をレオンの口に押し付ける格好になってしまう。肉筒を指で愛撫され、ひくひくと脈動する肉芽を口に吸われる。 「お願い、やめて・・・」 突然、レオンは上半身を起こし、幾重にも重なったスカートの布地の中から目を輝かせながら顔を出した。イサベラは、途中で止められたことによる欲求不満から歯軋りしそうな気持ちになった。 「待つとは言ったが、おとなしく待っているとは言っておらんぞ」 「あ、あなたって・・・あなたって人は!」 「何だ?」 レオンは、まるで大人が子供を立たせるときのように、優しくイサベラのスカートを擦り、布地の皺を伸ばしながら、くすくす笑った。 「・・・ならず者か? それとも、ごろつきか?」 レオンは急に前かがみになって、イサベラの唇に強く口を当ててキスをした。突然のキスにイサベラは、ハッと声を出しそうになる。レオンは、その後、イサベラに背を向け、ぎこちない足取りでゆっくりと歩き出した。 「いやな人!」 イサベラは息を切らしながらレオンの背中に叫んだ。レオンはただ声を上げて笑うばかりで、背の高い生垣の向こうに姿を消した。 * * *
誤訳がありました。「寝取られサークル」のサークルは、サークル活動の意味ではなく、文字通り、円や輪を意味していました。以降、訂正します。リンダはマリイの言ったことを少し考えてから、答えた。 「人の妻としては、そういう気持ちにあまり惹きつけられてはいけないとは思うんだけど、でも、正直、惹かれてしまうわ」 「それでいいのよ。だから、今度の集まりに、是非、夫婦で来るべきよ。うちのジムと一緒にブルースもあの輪に加わらせるの」 「どういうこと? あの輪って?」 マリイは驚いた。 「あら、サラはあなたに話してなかったの? 輪のことについて?」 リンダは頭を横に振った。 「そう。あれは輪グループと呼ばれているわ。でも、それは縮めた言い方。『寝取られの輪』というのが正式の名前。集まりを主宰している夫婦は、郊外に大邸宅を持ってるの。そこのパティオに、大きな円があるのね。・・・だいたい直径5メートルくらい。黄色のチョークで書いてあるの。私の話しについてこれてる?」 「ええ」 「でね? 夫婦がパーティに来ると、奥さんには2つのものが渡されるの。一つは、錠つきの首輪。鎖がつながってるわ。もう一つは、プラスチック製の輪っかの形をしたブレスレット。これには首輪の錠へのカギがついてるの」 「そう・・・」 リンダは、不思議に思いながら相槌をうった。 「で、その奥さんが黒人男と一緒にいたいなあと思ったときは・・・まあ、一緒にお酒を飲みながらおしゃべりするのでも、一緒にベッドに入るのでも、どっちでもいいんだけど・・・その場合は、その奥さんは、旦那の首に首輪をつけて、鍵をかけるわけ・・・」 「・・・実は、これは一種の合図になっているの。こうされたら、旦那さんはパティオに出て、あの輪、寝取られの輪ね、それに入って、座っていなければならないの。旦那さんは奥さんに解放されるまで、そこにじっとしているの。いったん首輪をつけられたら、必ず、家の外に出て、輪の中に座っていなければならないわけ・・・」 「・・・これって、とても素晴らしいシステムよ。相手の黒人男性と二人っきりになれるし、旦那がどこにいるかも分かる。旦那さんも奥さんがどこにいるかわかる。さらには、パーティに来ている人のみんなが、パティオに目をやればすぐに、誰の奥さんが、本物の男性と素晴らしいひと時を過ごしているところなのか分かるんですもの」 リンダは、輪のパーティでの夜がどのように進行するのかを聞きながら、体が火照ってくるのを感じていた。 「うわー。その主催者のご夫婦、自分たちでそういうこと考え出したの? すごいわ。でも、そうだとすると、ご主人たちは現場を見ることはないわけね?」 「ええ、パーティでは見られないわ。でも、黒人の男性を家に招いた場合は、別よ。その場合は、あなたとその男性しだいね」 「ブルースは、そういうの受け入れないんじゃないかしら。私は、その気になってるけど、彼の方はどうかなあ・・・どうなるか分からないけど」 「いいこと? ともかくブルースをパーティに連れていくこと。彼を寝取られの輪に入れて、あなたは、生まれて初めて、逞しい黒人男性に抱いてもらえばいいの。ブルースはきっと好奇心で死にそうになってて、どんな話しでも聞きたくてたまらなくなってると思うわ。好奇心が募るあまり、本物の男性を家に招いて、もてなしても構わないという気持ちに、すぐになるはずよ。そして、家に招いて現実に行為を見たら、もう絶対、ぶっ飛んじゃうから。そうなったら、もう、何でもあなたの言いなりになるはずよ!」 マリイとリンダは、声をたてて笑った。 「リンダ? 私が、一番楽しいと思っていること、分かる?」 「何なの?」 「以前のスワップ・グループで私にあのちっちゃなものを突っ込んでた男たちが、寝取られの輪に閉じ込められて、みんなからじろじろ見られてるところを想像することなの」 「うふふ・・・そうねえ・・・分かったわ、今夜、ブルースに話しをしてみる!」 「その意気よ。次の集まりは、今週の土曜日。日曜の朝には、あなたのブルースは、もう永遠に黒に寝取られた男になってるといいわね! うふふ」 * * * * * * *
トレーシーはマークが立ち去ったのを見届けて、私に話しかけた。 「マークは、私に確かめて欲しいって思ってるの。あなたが本当に自分が飛び込もうとしている世界がどんなところか分かっているのかって。私たち3人だけでするのとは違うのよ。10人以上の人が同じ部屋にいて、あなたのことを見ることになるの。そういう中で、あなたと相手の人だけでしているように振る舞わなければいけないのよ」 「分かってます」 ちょっと皮肉っぽく返事した。 トレーシーは少しイライラしているようだった。 「それに、いろんなことを自分一人でしなければいけないわ。カメラが動き出したら、誰も助けてくれないから。特にデビュー映画はそういう感じになるはず。普通は、登場人物はあなた一人だけ。セクシーな下着で着飾った姿で登場し、その後、おもちゃや手を使ってオナニーして、イクという形」 確かに、私はそれは知らなかった。それまでオナニー・シーンの撮影を見たことがなかった。それに、トレーシーと一緒に住むようになるまでは何度も自慰をしていたけれど、一緒に暮らすようになってからは、まったくしていない。そういうシーンをみんなの前でするのは、確かに、恥ずかしいだろうなとは思った。 その気持は口に出さなかったけれど、トレーシーは私の顔の表情から私の気持を読み取ったようだった。彼女は、私の高慢な鼻をへし折ったかのように、微笑んで、言った。 「それで、そういうことを本当にやってみたいの?」 「・・・ええ」 そうは答えたものの、前ほど自信に溢れた声ではなかったと思う。 トレーシーはテーブルから立ちながら、言った。 「そう・・・分かったわ。じゃあ、花びらデザインの紫のビキニを着て、ホールに来て。パティがメイクをしているから。私はそこで待ってるわ」 自分がどいう世界に飛び込もうとしているのか、本当には分かっていなかったけれど、ともかく、やってみることになった。 言われたとおり、上の階の自分の部屋に戻り、トレーシーが指定したビキニを身につけた。とても露出度が高いビキニで、見る人の想像力に委ねられる部分がほとんどない。トップは小さな三角布が二つで、かろうじて乳首が隠れるだけ。三角布をつなぐ紐が1本、それぞれから別の紐が伸びていて、それを背中に回して結びつける。もう1本ずつ上に伸びる紐があって、それを首に巻きつけてずれないように留めるようになっている。 ビキニの下の方はすごくピチピチで、足の間に挟んだクリトリスと陰嚢をうまく固定することができるものだった。誰かが私の股間をまじまじと見たら、ないはずのわずかな盛り上がりが見えるかもしれない。けれど、そうでもしなければ、私が本当の女の子でないと分かるのは難しいと思う。パンティの後ろの方は、ひも状になって尻頬の間を上がっていて、お尻はすっかり露出しているといってよかった。 トレーシーには言われなかったけれど、ビキニの上に紫色をした薄織物の半そでローブを羽織った。ホテルの中を歩くとき、ビキニだけだとはしたない感じがしたから。靴にはヒール高8センチの紫のサンダルを選んだ。それを履き、軽くお化粧を直した後、サングラスを持って、トレーシーのところに向かった。 私が部屋を出たら、ちょうどビルも自分の部屋から出るところで、彼とばったり会ってしまった。ビルは私を見ると、途端に顔を明るくさせ、笑顔になった。私も反射的に笑みを返した。彼は私が笑顔になったのを見て、いっそう明るい顔になった。エレベータのところに行くにはビルの部屋の前を通らなければならない。ビルはそれを察してか、私が来るのを待っていた。私が彼と並ぶところまで来ると、彼は私の横に並んで歩き出した。 エレベータに入ると、ビルは話しかけてきた。 「また君に会えてよかった。ここに滞在してる間に、一度でいいから、君と話ができたらって思っていたんだ。僕は、この前のこと以降について軌道修正ができたらと思っているんだ」 私はもはやビルに腹を立てていなかった。もっと言えば、最初から怒ってはいなかった。ただ、ビルは、私に、自分はどこか間違った存在だと思わせただけ。 「何も軌道修正しなければいけないことはないわ。あなたは、私たちがしたことについてあなたが感じたことを伝えただけでしょう?」 「あの時は本当に楽しかったんだよ・・・」 ビルの声には、必死になってる感じがこもっていた。「・・・ただ、ちょっと怖くなっただけなんだ。みんなが僕を変人のように扱うんじゃないかって思って・・・」 「そういうわけで、何も起きなかったように振舞いたいと思ったんでしょう? 私とは何もしなかったように。いいわよ、私たちは何もしなかった。それに、これからも、まったく何も!」 エレベータのドアが開く直前に、私はそう言い放った。ビルは何か言おうとしていたけれど、私はそれを無視し、さっさとエレベータから出た。 トレーシーは、宴会用のホールの一室で私を待っていた。トレーシーは、私がビルとエレベータから一緒に降りるのを見ていたけれど、私が近づいても、それには触れず、ただ、「来て、パティが待ってるわ」としか言わなかった。私は、どうしてパティに会わなければならないのか分からなかったけれど、特に質問はしなかった。
「もしもし、私」 バーバラが言った。 「やあ」 スティーブは、返事しながら、携帯電話を耳に強く押し付けた。外の工事現場からの騒音に会話を邪魔されないようにするためである。 「どうした?」 「あなた、いま、独り?」 「あ、ああ・・・ロイスとジェフは、ランチに出ていて、ついでに街のオフィスから報告書を取ってくることになっているけど・・・」 「そう、良かった・・・ドアは鍵をかけてある?」 「ええ?!」 スティーブは、妙な電話だなあと思っていたのだが、さらにドアの鍵のことを言われ、かなり当惑した。 「い、いや・・・鍵はかけてないよ。どうして?・・・どうして、急に?」 電話の向こう、少し沈黙が続いた。バーバラはスティーブの質問には答えなかった。 「いえ、ただ、他の人にドアからあなたのラップトップの画面を見られたくないから・・・窓からでも・・・大丈夫かしら?」 スティーブは、何がどうだか分からなくなっていた。 「ああ、まあ、すぐ横のブラインドを降ろせば、外から見えないけど・・・」 「じゃあ、降ろしてくれる?」 スティーブは、どうして? と訊こうと思った。だが、とりあえずは、言うとおりにしようと考え直した。溜息をつきながら、彼は立ち上がりブラインドを降ろした。 「オーケー、いいよ。降ろしたよ。で、いったい、これはどういうことなんだい?」 「すぐに分かるわ」 スティーブは、バーバラの声にちょっとそわそわした雰囲気があるのに気づいた。いったい、これから何が始まるんだ? 「スティーブ?・・・ジューンのこと覚えてるわよね? それに彼女のいとこのことも。あのコンピュータ男?」 「もちろん」 確かに彼らのことを覚えていた。ジューンは、バーバラの職場での一番の親友だった。ジューンは、スティーブがバーバラの浮気を職場じゅうにばらした後は、かなり長い間、バーバラのたった一人の友だちとなっていた。ジューンのいとこはウェンデルと言い、どこをとっても、まさにコンピュータ・オタクの典型のような男だった。 「二人が今朝、家に来たの・・・」 バーバラがちょっとそわそわしているのは、今やはっきりしていた。スティーブには、はっきりと察知できた。 「そう・・・それで?」 バーバラがなかなか続きを言わないので、痺れを切らしてスティーブが言った。電話の向こうで、バーバラが深く息を吸い、一気に吐き出すのが聞こえた。 「で・・・ウェンデルがウェブ・カメラを設置するのを手伝ってくれたの」 バーバラには、もちろん見えていなかったが、スティーブは顔をしかめていた。いったいなぜ、バーバラはウェブカムを家につけたいなどと思ったんだ? わけが分からない。 「あなた? まだ、そこにいるの?」 バーバラが心配そうに尋ねた。 「ああ、ごめん・・・ちょっと、頭の中を整理しようとしてたんだ」 「そう・・・それで、家のIPアドレスをあなたのネットスケープに入れてくれる・・・それから・・・ポートは11547を使って・・・いい?」 「あ・・・ああ・・・ちょっと待ってくれ」 スティーブは、今は、興味津々の気持に変わっていた。バーバラは新しい趣味でも始めたのだろうか? 「オーケー。作動してるところだ・・・ファイアーウォールが停止した・・・接続を許可してと・・・おっと!」 スティーブは素早く後ろを振り返った。大丈夫、ブラインドはちゃんと降りていた。 今、画面にはストリーム動画が映っていた。バーバラは、リビングから出てきて、書斎にいた。彼女の姿がはっきりと見える。 スティレットのハイヒールと薄地の黒のストッキング・・・他は何も着ていない! 左耳に携帯電話をあてがっている。 スティーブは窒息しそうな声で言った。 「バ、バーバラ! 何をしているんだ?」 「気に入った?」 バーバラは嬉しそうな声で言った。画面の中、彼女が満面に笑みを浮かべているのが見えた。カメラに向かって手を振っている。 「ああ、なんと・・・もちろんだって分かってるじゃないか。・・・でも、ジューンとウェンデルは、もう、家にいないんだよね? それとも・・・」 バーバラが笑い出した。 「バカね、もう帰ったわよ。うふふ」 「ああ・・・」 スティーブはうわの空で返事しながら、もっと詳細が見えるように動画画面を拡大し、その後、最上の画像になるまで徐々に縮小した。心臓がドキドキと鼓動するのを感じていた。肺も過剰に活動している感じだった。 「スティーブ・・・まだ、そこにいるでしょう?」 「ああ、うん・・・ちょっと待ってくれ・・・ドアに鍵をかけてこなきゃ」 電話の向こう、バーバラがくすくす笑う声が聞こえた。スティーブは電話を置いて、ドアに駆け寄り、しっかりと鍵をかけた。 「今戻ったよ」 再び携帯を取り、伝えた。 「ああ、良かった・・・」 甘い声で言う。「・・・ねえ、あなた? もっと良いものを見てみたい?」 「すでに、いま見てるよ」 バーバラがまたくすくす笑った。 「もっとワクワクするものよ」 「ああ、もちろん・・・バーバラ? ・・・何かセックス・ウェブサイトみたいなものを始めたのかい?」 画面の中、バーバラがカメラを振り向いた。 「あなた専用・・・あなたのためだけ・・・」 「ちょっと確認しただけだよ」 バーバラはカメラレンズに向かって微笑みかけた。どうやら、しようとしていたことを思い出したようだった。
読者 セックス小説の人気に関しては、作家や作品の数ばかりでなく、当然、読者の数も問題になる。読者数は確認が難しいのだが、サイトの中には、個々の作品がアクセスされた回数を記録しているところがある。恐らく、ダウンロードの数については、ASSTRが最多であると思われるが、現時点では、このサイトではダウンロードについての総合的な情報は手に入らない。ただし、このサイトに載せた作家は、個々の小説が何回ダウンロードされたかについて週毎の情報を得ることができる。多数の作品を書いている活発な作家の場合、1年あたりトータルで万単位のダウンロードがあると思われる。一例として、私自身は、ASSTRで最もダウンロード数が多い作家たちには含まれないものの、あのサイトに掲載されている私の作品や各章を合わせると、1週間あたり、1000回程度のダウンロードは軽く越すし、1年あたりでは5万回くらいになる。私はひょっとして有名作家なのかもしれない。 他のウェブサイトでは、現在、記録として確認できるものが多くある。Literoticaは、すべての作品にダウンロードの総数を表示している。単一作で最も多くダウンロードされている小説は、「A:私の名前はアリス (A -- My name is Alice)」である。これは、中年の主婦が、自分の10代の息子に誘惑される話であるが、2001年8月から470万回もダウンロードされてきた。Literoticaのアーカイブにある上位173作は、そのいずれも、50万回以上ダウンロードされている。普通の作品では、数百から数千回ダウンロードされるのが典型である。 StoriesOnLineの読者数は、Literoticaの読者数には決して敵わないが、それでも上位70作は、どれも10万回以上ダウンロードされている。第一位の作品、「ジャックとジル(Jack and Jill)」は、高校生のセックスと恋愛についての118章もある作品だが、すでに33万4千回ダウンロードされている。ここでも普通の場合、数百から数千回ダウンロードされるのが典型である。 作家数や読者数についての概略は、すでに明白であろう。性的にあらわな小説を、ある程度、匿名性を保持しつつ投稿することが可能になるとすぐに、かなり多数の個人が小説の投稿を開始し、その数がますます増えていること、そして、それに合わせて、投稿者より遥かに多数の人々がそのような小説をダウンロードし、読むようになったということである。 小説の国での諸問題 セックス小説の投稿が広まっており、膨大な読者がいるということから、こういった行いが世間一般に受け入れられるようになるかもしれないと考えるかもしれない。ある程度、それは真実かもしれない。だが、この分野には、その特有の性質として、社会学者のアービング・ゴフマン(Erving Goffman)の言う「人格を汚される」可能性があるという問題がある。つまり、セックス小説を書く人々の人格が疑われてしまうかもしれないという問題である。 そのような事態を招きかねない主な要因には2つある。1つは、書き手は絶え間なくセックスに焦点を合わせざるをえないということである。私たちが書く小説は、恋愛小説、SF、怪奇物、探偵物、二次小説、歴史小説、純文学、はては詩に至るまで、様々なジャンルにかかわることがあるが、どんなジャンルになるにせよ、焦点の中心はセックスに当てられるのである。しかも、ほとんどすべて、露骨に性行為を描写することになる。
その後、ケイトは俺の横に来て、ひざまずき、俺の腰にナイロン製のストラップを巻きつけた。そいつは左右に紐が伸びている。ケイトは床にある左右のフックにストラップを接続し、ぎゅっと引っ張った。これで俺は腰も動かせなくなってしまった。 さらに、太ももの方にも別のナイロン・ストラップを巻きつけ、同じようにフックに装着した。俺は、素っ裸で床に大の字にされ、まったく身動きできない状態になっていた。 ちょっと、もがいて動こうとしたが、すぐに、それは無駄な努力だと分かった。こんなふうに拘束されるのは我慢がならない。 音楽の低音ビートが床を振動させ、体全体にびんびんと響いている。スポットライトは相変わらずステージに円を描くように回り続け、照らしている。 立ち上がったケイトは、俺を見下ろした後、ゆっくり片足を上げ、俺にまたがった。下から見ると、彼女が俺の上にそびえ立った巨大な女のように見える。 ケイトは、そのまま、音楽に合わせてゆっくりと踊り始めた。エロティックな音楽に合わせて腰を誘惑的にうねらせている。その体に触りたいと思うが、もちろん体は動かせない。 ケイトは踊りながら、両手を体全体になまめかしく這わせていた。さらに、両腕を上げ、頭の後ろにもって行き、その髪の毛を上に持ち上げ、さらりと振り降ろした。長い髪が量感豊かに肩にふんわりとかかる。 今度は後ろ向きになり、俺に尻を向けた。わざと前かがみになって、スカートを徐々に持ち上げ、太ももを見せ付ける。俺を焦らしているようだ。すると、再び、俺の方に向き直り、俺の顔を見下ろした。 悩ましく腰を揺らしながら、徐々に俺の顔の方へと上がってきた。両脚を広げて俺にまたがっているので、本当に彼女が巨大に見える。俺のちんぽは、ひくひく言いっぱなしで、プレカムも滴っていた。 腰や肩を揺らしながら、片手で軽くおっぱいを揉み、もう片手はゆっくりと太ももを擦り、上へと這わせていく。チラリとひくひくしてる俺のちんぽに目をやった後、誘惑的な笑みを浮かべて俺の瞳を見つめた。次に何をされるのか、たまらない。 ケイトは片手を胸の間に上げた。そこにはドレスの結び目があり、それによってトップを押さえるデザインになっている。ケイトは、その結び目に手を当てると、親指と人差し指で布を引っ張り、ゆるく結んである結び目を解き始めた。 相変わらず、潤んだセクシーな目で俺を見つめている。さらに、好色そうに舌なめずりをした。その瞬間、ドレスの結び目が解ける。 俺はすぐに彼女の胸に目をやった。だが、ドレスの結び目は解けたものの、生地はまだ体に引っかかったままだった。豊満な乳房に引っかかったままで、まだ美味しそうな乳房は姿が見えない。 またケイトの目に視線を戻すと、彼女は、妖艶な顔つきで俺にウインクし、俺にキスを飛ばす仕草をした。そして結び目になっていたドレスの布地を左右の手に持った。音楽にあわせて腰や肩を揺らしながら、実にゆっくりと、その布地を広げていく。 とうとう、死ぬほど見たいと思っていたものが姿を現した。俺が知ってるうちでも最高クラスの美乳が目の前に現れた。左右の乳首にピアスがあるのを見て、興奮が一層高まる。金色の小さなバーベルような形をしたピアスだ。 ケイトは、じわじわと焦らすようにドレスのトップを脱ぎ去り、俺の服の上に放り投げた。
そして、突然、僕も肉欲に征服されてしまった。今や相手としている女性がディ・ディではないと知った事実と関係があったのだろうと思う。僕の身体は、彼女がディ・ディではないと知った上で、改めて彼女を自分のものにしたいと思い、動いていた。 二人とも激しく動いていた。激しく鋭い、淫欲に満ちた動き。その雰囲気がホテルの部屋全体に染み渡っていた。あまりにエロティックな状況だった。何で僕がそうなってしまったのか分からない。よく知りもしない女性だが、この女性の体内に僕の子種を植えつけたいと、それしか頭になかった。永遠に彼女を自分のものにしたい欲求に駆られていた。 1週間前には、僕は女性にまったく興味がなかった。それが今や僕は、ここにいる二人の美しい女性に対して、いくら奪っても奪い足りないと感じて、どうしようもなくなっているのだった。 僕はドニーにがんがん突き立てた。何度も、何度も。ドニーは、発作的にたびたび悲鳴を上げていた。そして、彼女が最後の叫び声を上げたのを受けて、僕たちは二人とも限界を超え、僕は彼女の子宮の奥へ激しく放ったのだった。 ドニーは、ぐったりと横たわったまま、「ああ、すごい、ああ、すごい」と、うわ言のように呟いていた。 終わった後、ディ・ディがようやく僕たちのところに来て、ベッドに腰をかけた。 彼女はまだ裸のままだった。僕はどうしても彼女の身体に目を釘付けにしてしまう。その美しさに見蕩れる。これまでディ・ディとは何度もセックスをしてきたのに、僕は、彼女のことをじっくり見る時間がほとんどなかったのに気づいた。ああ、何て美しいんだろう。 ディ・ディは、僕が彼女を見て反応しているのに気づいたようだった。それに、不満そうな様子でもなかった。多分、ディ・ディ自身が望む効果を僕が示すのを見たからだろうと思う。いったんディ・ディのことを抗えないと感じたら、もう、僕はどうしようもないのだ。反応してしまうのだ。ディ・ディには抗えない。 ディ・ディはドニーに話しかけた。 「ドニー? あなた、私たちの計画の予定よりちょっと先に進んだわね。第1段階から始めようとしていたのに、もう、第6段階に来てるじゃないの。でも、二人ともディナーに行かない? 私、お腹がすいたわ。ドニー、ごめんね。でも、お腹がペコペコで、アンドリューがあなたのあそこを舐めるのを待ってられないのよ。食事の後まで待ってくれる?」 ドニーが顔を真っ赤にさせた。いや紫色に近い。 「ディ・ディ! そんな恐ろしいことを言うなんて信じられない。アンドリューが私のことを誤解するじゃない?」 ディ・ディは笑った。 「アンドリューに誤解されるかもって、ようやく気になりだしたようね。納屋のドアを閉めてもいいけど、もう馬はとっくに外にでてるのよ。アンドリューは、あなたが淫乱だって、もうとっくに分かってるわ」 「ディ・ディ!! よくも私をそんなふうに言えるわね! 下品すぎるわ」 僕はドニーを抱き寄せ、なだめようとした。 「彼女、君のことを淫乱だと思っているようだね。でも、ドニー? ディ・ディは職場の会議室で僕にフェラをしたんだよ。君は、ディ・ディから淫乱になるレッスンを受けたに違いない」 今度、顔を紫色にしたのは、ディ・ディの番だった。 「アンドリュー! ひどいわ。そんな個人的なことを、彼女に言うなんて!」 僕は笑い、ディ・ディにも腕を伸ばし、抱き寄せた。左腕には、裸のブロンド美女、そして右腕には、もう一人、瓜二つな全裸のブロンド美女を抱きしめている。 「君たちが二人とも僕の淫乱ちゃんであるなら、他のことはどうでもいいや」 僕はそう言った。 つづく
窓からしか見たことがなかった壁に囲まれた庭園。その真ん中にある細い石板のベンチにイサベラは座っていた。考えごとに没頭していた。何時間も前に陽はすでに沈んでいたが、このように外気に触れながら座っていることに満足していた。彼女は、時が過ぎるのも忘れ、大小様々な生き物たちが夜の儀式を開始し、様々な音を立てるのを聞いていた。幽閉から開放された今、イサベラは再び生命を取り戻したような気持ちになっていた。 「ここに来ればお前に会えると思っていた」 太い声をかけられ、イサベラはハッと我に返った。そして、ゆっくりと後ろを振り向き、彼を見上げた。彼は彼女の真後ろに立っていた。 レオンは、彼を見上げたイサベラの瞳に、彼女が考えていたことをいくらか察知したに違いない。そしてイサベラも、レオンの金色の瞳の奥に後悔の念がちらつくのを見たように感じた。 イサベラは、目を逸らした。不安そうにうつむき、膝に両手をつき、紫色のシルクのドレスのしわを伸ばした。 ふと、背後から絹髪の中へ手を差し入れられた。髪を掻きあげられ、うなじに唇を当てられた。イサベラは小さく身を震わせた。 「お前は素晴らしい・・・」 熱い息を吹きかけられる。彼の指は肩先を通り過ぎ、胸元から彼女のドレスの中へと忍び込んだ。そのまま、シュミーズの中に潜む柔らかい乳房を捕らえる。 イサベラは、耳たぶを甘く噛まれるのを感じ、子猫のような声を上げた。官能的に耳たぶを歯で挟まれ、引っ張られる。それにより、足の間にも同じく官能的な疼きが生み出されてしまう。 「お前が欲しい・・・今ここで、この姿のままで・・・」 レオンは、指でイサベラの乳首をいたぶり、固くさせながら、彼女の耳元に囁いた。 「・・・このドレスの裾を捲り上げ、お前のあの柔らかな太ももを広げ、お前のあの狭い部分に突き入れたい・・・お前は俺を感じて濡れているか?」 レオンはベンチをまたいで前に移り、イサベラの前にひざまずいた。表情豊かなイサベラの顔を見上げながら、幾重ものシルクやレースのドレスの裾に大きな両手を差し入れ、スリッパ履きの小さな足に触れた。 イサベラは心臓が高鳴るのを感じた。もしレオンがスカートとペチコートを捲り上げたりしたら、自分の中核部が滴をたたえ、濡れていることを発見してしまうかもしれない。イサベラは下唇を噛んだ。 レオンの二本の手は、イサベラのふくらはぎを覆いながら忍び込み、より敏感な膝の裏側へと這い上がった。 「俺は向こうでお前のことをずっと見ていた。衣類を着たままのお前を奪ったら、どんな感じだろうと思いながらな」 レオンの手は前方に回りこみ、イサベラの両膝を掴んだ。そして、突然、力強く左右に広げた。イサベラは、ハッと息を呑んだ。 レオンの指先が、膝から太ももの内側を優しく引っ掻きながら中心部へ向かう。イサベラは、甘美なショックを受けつつ、囁いた。 「こ、こんなところで、ダメです・・・誰かに見られるかも・・・」 「うふふ・・・」 レオンがかすれた声をあげて笑った。そのときになって初めて、イサベラは自分の言った言葉が誘惑的に聞こえたことに気がついた。 「私が言ったのは・・・」 途中まで言いかけたものの、レオンが片手でスカートをゆっくり捲り上げるのを感じ、いうべき言葉があやふやになってしまう。 「うふふ・・・お前の言いたいことは分かっているよ。そんなに俺にお前の奥深くへ来てもらいたがっているとはな。実に、誘惑的だ」 「そんなことは言ってません。分かってるはず・・・」 イサベラは呟いた。
* * * * * * * * * その頃、家の中では、リンダがマリイから実情について訊いていた。 「で、楽しかった?」 とリンダ。 マリイは、伝えたくて仕方なさそうに喜んで答えた。 「どれだけ楽しんだか、とても言い表せないわよ! それまで、自分は本当のセックスというものをしてこなかったんじゃないかって思ったわ。リンダ、是非、やってみなきゃダメ」 「その気がないとは言えないんだけどね。でも、ブルースを説得できるかどうか分からないの」 「冗談でしょう? うちの旦那のことも、あなたのご亭主のことも、私には分かるわ。こと、話がセックスのこととなったら、男たちはすぐに飛びつくものよ。そして、そのセックスが彼らには関係しないことと悟った時には、まあ、もう手遅れということね。その時点で、すでに後戻りはできなくなってるから」 「うふふ、まあ、そうね。この前の夜、ブルースばかりでなく私自身も驚くようなことしたの。彼にクンニをさせたの。パティオで!」 マリイは目を丸くした。 「パティオで?! 本当に?」 「ええ。もちろん、彼に毛布を被せて、隠してだったけど。最初はブルースもためらっていたわ。でも、あなたやサラが黒に染まった話しをしているうちに、すごく興奮してしまって、我慢ができなくなってしまったのよ」 「うん、想像できるわ」 「もっと言うと、私、命令口調で言ったの。『早く!』って、強く。そんな口調で言ってごめんなさいって謝ろうと思ったのね。そしたら、彼、突然、床に膝をついたのよ。すごく気が弱い感じになって。だから、そのまま彼にやらせたわ」 「すごい! 私もその場にいて見てみたかったわ」 「それに、あなたに分かるかなあ、私、その状況にものすごく興奮してしまったのよ。単に、ブルースにあそこを舐めさせたからだけじゃないの。それに加えて、私が、ある種、場を支配している感覚。それが最高だったわ!」 「いいこと教えてあげるわ。本物の男、つまり、黒人ね。黒人男に私が犯されているところをジムに見せて以来、私たちの夫婦関係が劇的に変わったのよ。あなたも知ってるでしょう? ジムって、いつも威張り散らして、何でも支配したがって、自分の意見しか通さなかったってこと。でもね、私が処女を奪われた後は・・・私、あの最初のセックスのことをそう言ってるのね・・・その後は、ジムは新しい旦那に生まれ変わったのよ」 「本当? もっと話して?」 リンダは驚きながら訊いた。 「ええ・・・あの最初の夜ね。リックが私を抱いて、帰って行った後。ジムは、急に恥ずかしそうな態度になってて、私のことを見ないのよ。視線を逸らす感じ。だから、もちろん、私は何度もジムと会話をしようとしたわ。彼の視線を捕らえるようにしてね。でも、おどおどして、目を伏せがちにしてるの。すっかりおとしめられたみたいに。本当よ、すっかり変わったのよ!」 「マリイがそういうことを言うなんて、可笑しいわ。この前の夜のブルースがまさにそういう感じだったのよ。その時、ちょうど、黒人とのセックスについて話し合っていたところだったの。実際にそういうことが起きたら、ブルースがどうなるか、なんとなく想像できる感じだわ」 「もう一つ、びっくりする反応があって、それは私自身の気持の変化。ずーっと何年もの間、私は、とても素敵なセックスをしてもらっていると思っていたのね。それが、実際は、全然、本物には足元にも及ばないものだと分かった。当然、私、ジムに対して怒りの感情を持つようになったのよ。今まで私をだましてきたのねって。ともかく、本当の世界に開眼したとことが大きいわ」 マリイとリンダは、声を合わせてくすくすと笑い出した。 マリイが続けた。 「夫に頼らなければならないことの主なことに、セックスがあるでしょう? でも、その方面に関して夫でなくても良いとなると、夫というものは、とても従順になるものなのよ。妻を喜ばそうと必死になる。それに、私としては、長年、本当の喜びを奪われていたわけで、怒りを感じているの。だから、ジムのあんなモノを入れてくなくても、全然、かまわないって気持なのよ」
その夜の夕食では、私たち5人が一緒にテーブルについた。テーブルを見ると、私の右隣の椅子が空いているので、6人分の用意ができているようだった。私たち5人だけだと思っていたのに。 そして、一番、恐れていたことが起きた。ビルが現れ、ご一緒できますかと訊いたのだった。 食事は楽しく、会話もユーモア混じりで楽しかった。マークは、これまで作ってきた映画のことについて、その失敗談を楽しく語った。マークの話しがとても面白くて、私たちは笑い転げてしまい、ビルが偶然に私の手に触れても私は気にしなかった。 ディナーの後、ヘレンとマリアと私の3人で散歩に出かけた。外はとても美しかった。想像していたほど暑くなかった。アリゾナと聞くと、普通は砂漠を思い浮かべ、すごく暑いところを想像すると思う。実際はそれほどでもない。散歩のあと、私たちは部屋に戻った。 部屋では、私たち3人は、深夜まで愛し合った。もっと言えば、互いに抱き合いながら眠りに付いた時には、すでに午前4時を過ぎていたと思う。その日、どんなことが起きるか知っていたら、私たちはもっと早く寝ていただろうと思う。 朝の7時ちょうどに、マークが私たちの部屋のドアをどんどんと叩いた。私が出た。 「マリアに、1時間以内にロビーに降りてくるように言ってくれ。マリアは、撮影開始の前に多少、朝食を取っておきたいと思うだろうから」 マリアはあまり楽しそうな様子ではなかったけれど、出演料をもらう以上、指示に従わないわけにはいかなかった。 ようやくロビーに行った時には、もう、マリアには朝食を取る時間はなくなっていた。マリアはフルーツを二個ほど取って、そのまま、マークに会いに行った。その後、コスチュームを着るため、衣装室に連れて行かれた。 1時間後、マリアはホテルのフロントに立っていた。今朝の撮影は、大半がマリアのクローズアップ撮影だった。ヘレンと二人で撮影の様子を離れたところから見ていた。マリアは、架空の宿泊客を相手に話しかけ、チェックインの作業を演技していた。 正午近く、ランチの時間であることが告げられた。マリアは部屋に戻ってきてベッドに横になった。頭痛がするといっている。ヘレンはマリアに連れ添うことにし、ランチの間は、マークとトレーシーと私の3人だけだった。幸いビルはいなかった。すでに撮影が済んだシーンについて作業があるらしい。 私は、この機会が、この映画に出ること、あるいは少なくとも他の映画でも良いけど、映画に出ることについて、マークに話しをする良いチャンスだと思った。サラダをフォークでいじりながら、マークに話しかけた。 「映画に必要な女優はみんな確保したんですか?」 マークはくすくす笑った。 「この種の映画では、いくら集めても足りないものなんだよ。でも、何とか間に合わせるだろう。明日あたりには35人、女の子がやってくるけど、正直、もっと欲しいところだな」 マークが食べ物に噛りつこうとした時、私は言った。 「もし、良かったら、私を使ってくれていいんですよ。というか、私、この映画に出たいと思ってるんです」 マークは食べ物を口に入れ、噛み下した後、返事した。 「いや、ステフィはこの映画に出ることが決まっているよ。すでに、あるシーンでは君とヘレンをプールサイドにいる人の役に指名してある。別のシーンではバーにいる人としても君を予定してある。加えて、君には他の仕事もあるのを忘れないでくれよ。君なしでは、この撮影はうまく行かないと思っているんだから」 私は、この時すでに両手が震えていたし、球のような汗が額に浮かんでいる気がした。声に出したけれど、少しどもっていた。 「わ、私をローレルやサミーと同じように使ってくれても良いと・・・」 マークはショックを受けたような顔になった。このような表情になったマークを見るのは初めてだった。マークは、その後トレーシーの方を見た。彼女はマークよりもショックを受けた顔になっていた。 マークは手に持っていたフォークを置き、私の手を握った。 「君は、ローレルやサミーが何をしているか、ちゃんと理解してるはずだが。僕たちは、彼女たちのセックス・シーンを撮影するんだよ。しかも何回も。それを分かってると思うが?」 「分かっています。まさに、それをしたいんです。でも、あなたが、私のルックスは充分でないとか、未経験すぎるとお思いなら、仕方ないけど」 「おーい。もっと前にそういうことを言ってくれてたらと思うよ。ルックスの良さについて言ったら、君は大丈夫。もっと言えば、君のような女の子を50人集められたら願っているほどだ。ステフィは、ちょうど大学に入れる年齢だね?」 マークの頭の中が高速で回転しているのが見て取れた。 「なぜ、やってみたいと思うんだい? お金かな?」 「ただ、試してみたいだけなんです。やってみたと言えるようになりたいだけ・・・それに、お金は関係ありません。この種のことがどれだけのお金になるか分からないし。ただ、試したいだけなんです」 「本当に、これをしてみたいと確信しているなら、是非、君にも加わってもらうようにするよ。でも、試してみて、気に入り、続けたいと思った場合は、今の作品がリリースされる前に君のデビュー映画を一本撮りたいと思う。この『スプリング・ブレイク 1』をリリースする前に、君の名前を公けにしておきたいんだ」 その後は食事の間、何も話しはなかった。マークは私を連れてロビーに戻ると、トレーシーの耳元に何か囁いた。私はマークの後について行くべきだと思ったけれど、トレーシーは私の腕を掴んで、引き止めた。
「思うに、その話しは、僕の・・・何と言うか、バランス感覚に反するんだ。僕自身は、人が行う行動には、どんな場合でも、思考過程が伴っていると信じた方が気が休まる・・・だが、僕自身が、いつもそうとは限らないということを示す良い具体例なのも事実だ。あの時、僕は、まったくためらわずに信号無視をした・・・その行為が正しいことか、悪いことか、あるいはどちらでもないかなど、そういうことを一切考えずに、赤信号を無視した。そのことには言い訳はしないよ・・・」 スティーブは姿勢をただし、バーバラをまっすぐに見て、きっぱりと言った。 「でもね、これにはもう一つあるんだ。あの時以来、僕は一度も信号を無視したことはない。一度たりとも。僕は、交通の流れの先頭を車で走っていて、信号に差し掛かる時は、ほとんどいつでも、あの日の午後の記憶を思い出している。むしろ積極的に思い出して、ああいった過ちは二度と行わないようにしているんだ・・・」 「・・・バーバラ? 僕たちには、もうあのようなことは起きないよ。このアナロジーを使い続けたいと思うなら、君自身、注意を払っていないときに悪いことをしてしまうかもしれないことを覚えておいた方が良いと思う・・・」 「・・・僕たち夫婦では、定員は2名だけだ。僕は、3人目の人間は受け入れない。決してね。こういうことは、二度と、なしにするつもりなんだよ、バーバラ」 バーバラは、スティーブの手を握っていた手に力を入れた。目には涙がにじんでいた。 「分かっているわ、あなた・・・ジミーやレイフとしてしまったことを思うたびに、本当に不快感で気分が悪くなってしまうの。あんなことをしたバーバラを私は憎んでいるわ。でも、あの記憶を消し去ることはしないつもりよ、スティーブ。いつも頭に入れておいて、私がまた狭くまっすぐな道から踏み外さないようにさせるつもりなの」 スティーブはバーバラの顔を見つめた。この前。バーバラは、僕がエイズにかかり、僕とセックスをすれば最終的には自分が死ぬことになると考える十分な根拠があったときに、僕とセックスをした。それまで僕はバーバラは僕を愛していないのだろうと疑っていたが、あの行為でもって、バーバラは自分に対して深い愛情を持っていることを表した。あの行為によって、僕たちの間の障壁が大きく取り崩れるようになってきたのだった。 そして今、バーバラは、他の男たちとしたことを思うだけで気分が悪くなると言っている。今後、道を踏み外したりしないよう、その痛々しい記憶をいつまでも忘れないつもりだと言っている。 スティーブは溜息をついた。今夜は溜息ばかりついているな、と彼は思った。 「分かったよ。・・・この件は気にしないことにするよ、バーバラ。僕は、世界で最も聡明な人間ではないのは確かだが、はっきりと示されれば、その論理は理解できるから」 スティーブは立ち上がり、しばらくバーバラを凝視した。それから急にヒューストン氏の方を向いた。 「で・・・これで僕は、あなたがあの時お話ししてくれた悲嘆の過程( 参考)について、全段階を何とか乗り越えたと言えるでしょうか?」 ヒューストン氏は不意を突かれ、戸惑った。スティーブに悲嘆の過程について語ったカウンセリングのことを思い出すのに、多少、時間をかけざるを得なかった。 「そう思いますよ、ええ、スティーブ・・・しかも、とても素晴らしい形で」 「じゃあ、ようやく、もっと小さな問題に着手できるわけですね?・・・最初は何からしよう?」 ********
Usenetからウェブへの移行 では、セックス小説の投稿にいったい何が起きたのだろうか? その流れは枯れ果ててしまったのだろうか? そうではない。alt.sex階層の参加者が減ったことは、書き手たちがUsenetを捨ててウェブに乗り換えたことを示している。 第一に、過去10年にインターネットに接続するようになった人々の多くは、ウェブ・ブラウザでしか活動せず、Usenetのことを知らないことがあげられる。第二に、インターネット接続プロバイダは提供するUsenetグループを取捨選択できるため、多くのプロバイダが、例えば、性的な話題が中心のニューズグループへの接続を拒否してしまったことも指摘できる。最大手のプロバイダであるAOLは2004年にUsenetへの接続を一切停止することに決定してしまった。確かに、現在は、Usenetは、グーグル・グループなどのサービスを利用して、閲読も投稿もウェブを経由してアクセスするとこができる。だが、ニューズグループが、ウェブを基盤とした掲示板、インスタント・メッセージ、Eメールを基盤とした議論グループ、ブログなどからの厳しい挑戦に直面していることは事実である。 セックス小説についての最大のウェブ基盤のサイトは、 ASSTRであると言える。1997年に立ち上げられたこのサイトは、安定して成長を続け、現在は、作家たちの作品アーカイブ用のサイト、他のニューズグループのアーカイブ・サイト、いくつかのウェブ上の作品サイトの本拠地となっており、同時に、他のアーカイブ・サイトのミラーサイトにもなっている。ASSTRは合衆国から免税処置を受けた組織であり、広告は一切受け付けず、完全に寄付金によって賄われている。alt.sex.stories.moderatedはアーカイブに53,000作品の投稿数を持っているが、ASSTRには、その検索エンジンを使うと、現在363、000以上の作品が登録されていることが分かる。 ああ、確かに、この数値は、作品をすべて唯一的にカウントして得られた数値ではない。複数のサイトから再投稿された作品や、非常に長い小説の各章を分けてカウントした場合や、作家自身によって再投稿されたり修正された作品も含んでいるからだ。大半の小説サイトは非営利的であり、著作権は著者個人が管理している状態なので、個々の作品が複数のサイトに投稿されたり蓄えられたりすることも考えられる。ともあれ、ASSTRのアーカイブに登録される作品数は、発足当初は一日平均30作であり、最近は60作から200作となっている。 ASSTRは、さらに、作家たちが自由に作品を保管する場所も提供している。彼らは、ASSTR内のFTPサイトや個人のウェブ・ページに自分の作品を保管できるようになっている。ASSTRは、作家部門に「1000人以上」の作家を擁していると述べているが、その数は非常に古いものになっているようだ。FTPサイトで作家のフォルダを数えてみると、2,100以上もの作家名が並んでいるのが分かる。 次に大きなセックス小説のウェブサイトであり、特定のニューズグループと結びつきがないもので言ったら、恐らく最大と思われるサイトは、 Literoticaであろう。ここは75,000作以上の作品を有していると述べているが、この数も古いものとなっているようだ。Literoticaは、ASSTRと異なり、受け付ける作品に制限を掛けており、(恐らくカナダの法律の理由からか)18歳以下の人物とのセックスを描いた小説や獣姦小説を拒否している。ではあるが、それでも毎週、おおよそ500作、年間25,000作は投稿がある。Literoticaは明示的に国際志向となっており、6ヶ国語で作品を読めるようになっている。 ウェブにおける小説サイトの成長を示す3つ目の例は、 StoriesOnLineである。このサイトは1999年中ごろに立ち上がった。2000年から2007年にかけて、投稿数は年間542から3,200へと増えた。この数は、alt.sex.stories.moderatedへの投稿数を遥かに凌駕する。2007年末までで、そのアーカイブには19,000以上の作品がある。この数値は、投稿数よりも遥かに少ない。StoriesOnLineでは複数章を別投稿とはカウントせず、単一作として数えているからである。 これらに加えて、他に、定期購読者を募る有料のネット雑誌(E-zine)も増えている。これらネット雑誌は、セックス小説により専心する作家たちを求めて競い合っており、読みやすいフォーマットやイラストを加えて作品を提供している。ただし、これらネット雑誌に出される作品は、フリーの小説サイトに比べて小数である。ネット雑誌には、一定期間、作品掲載の権利を独占的に保持し、その期間の後は作家が自由に他に投稿しても良いとするところが多い。
俺は呼吸が乱れ始めているのに気がついた。まるで、俺に支配されているときのグラフ先生のように乱れている。 ケイトは俺のベルトのバックルを外した。その間、ずっとケイトは色っぽい目で俺を見上げていた。 ケイトは前のめりになり、俺の腹にキスを始めた。手の指はズボンのボタンへと向かっている。再び下を向くと、やはりケイトと目が合った。ケイトは俺を見つめたまま、強くズボンを引っ張った。それに合わせてズボンのボタンがポンと外れた。 目を見詰め合ったまま、ケイトはゆっくりと下へ顔を向け、ズボンのチャックを歯で捕らえた。そのままゆっくりと顔を下げていく。ジリジリと音を立ててチャックを降ろしていった。 ケイトは膝立ちしたまま、ちょっと身体を後ろに倒し、俺のズボンに両手を掛けた。俺のカーキのズボンがじわじわと降ろされていく。足首まで降ろされると、俺にかかとを上げさせ、ズボンを抜き去った。さらには靴紐を解き、左右一つずつ、靴を脱がせた。ソックスは履いてなかったから、裸足で立っている格好だ。いまは下着1枚でケイトの前に立っている状態だ。 ケイトは再び前のめりになり、また俺の腹に顔を寄せた。軽くへそにキスをしながら、脚の裏側に両手を這わせ、徐々に上げてきた。脚の裏側が感じやすいところだとは知らなかった。ケイトの柔らかくセクシーな指に徐々に触られ、びんびんと感覚が痺れてくるのを感じた。小さく震えてしまう。 俺はこういうふうに女に支配されるのは好まない。だが、クラブに入るためには、言われた通りにする他ない。 ケイトの両手が俺の尻まで上がってきた。両手の指が下着の中に滑り込み、俺の尻肉を覆うのを感じた。相変わらず、舌は俺のへそをいたぶってる。 ケイトがいったん下着の中から手を抜き、その後、下着の上から俺の尻に手を当てるのを感じた。ケイトは、俺の盛り上がりに軽く噛み付きながら、両手の指を下着の腰ゴムに引っ掛けた。そして、ゆっくりと降ろし始める。 すでに俺のペニスは完全に勃起していた。冷たい外気が裸になった尻肉に触れるのを感じた。とうとうちんぽが下着から解放された。そいつは生地に引っ張られて下向きになっていたのだが、下着から解放されると一気に跳ね上がり、ケイトの髪の毛に触れた。 突っ立ったままの俺の足元に下着が落ちた。普通だったら自分から足を蹴って脱ぐところだが、俺は、動かず、堂々と立っていた。ケイトは前かがみになり俺の足を片足ずつ持ち上げ、プレカムで濡れた俺の下着を脱がせ、他の衣類のところに放り投げた。 ケイトはひざまずいたまま俺を見上げた。ケイトが俺の瞳とちんぽに交互に視線を向けるのが見えた。 「床に横になりなさい」 ケイトは厳しい口調で言った。 俺は文句を言える立場じゃない。素早く言われたとおりに床に座り、そして仰向けになった。 「両腕を大きく広げなさい」 指示された通りに腕を広げた。見ると、床に固定されている手錠があった。ケイトはそれを俺の手首に装着し、鍵を掛けた。それからいったん立ち上がり、もう一方の手首にも手錠を嵌めた。 「足も大きく広げなさい」 ケイトは、俺のちんぽに一瞥をくれながら命令した。俺のアレは、びくんびくん跳ね、プレカムをとろとろ流していた。 俺は、今までにないほど勃起していた。グラフ先生は、俺に命令されながら、こういう興奮を味わっていたのだろうかと思った。 頭を上げて足先を見ると、ケイトは俺の足首に拘束具をつけていた。もう一方の足首にも嵌められる。俺は床に拘束され、素っ裸で大の字になっていた。完全に逃れられない状態だ。
淫乱が二人:アンドリューの話 僕は現場を押さえられてしまった! ディ・ディとベッドに入っていたと思ったのに。ディ・ディの中にしっかり納まっていたと思ったら、目を上げると、バスルームのドアのところに、そのディ・ディが立っていたのだ! 僕のペニスは、思い余って射精してしまったときのように、急速に萎え始めた。 もう一度、ディディの顔を見た。判読できない表情を浮かべて立っていた。ああ、たまらない! 彼女はタオル一枚でそこに立っていた。そして、そのタオルとは髪を巻いたタオルなのだ! 何を言えばいいんだろう? 何て素敵なボディなんだ! 柔らかそうで、そして、まさにあって欲しいというところに適切な丸みがついた身体。それに、あのしっとりとしたミルクのような肌。本当にきれいだ。どうしても、そのことを伝えたくなっていた。 「ああ、ディ・ディ! 素敵だよ! 君は何てゴージャスなんだ! 信じられないほどだ!」 この状況では、僕は、ディ・ディ以外の女性としてることに対してふんだんに謝罪の言葉を発するべきか、あるいは、何か陰謀を仕掛けられたと言って、どんな言い逃れも受け付けず怒り狂うべきだったろうと思う。 だが、どういうわけか、ディ・ディは僕に怒っているわけではなさそうに思った。多分、女性にとっては、他の女とセックスしている男に好色そうな目でじろじろ見られることは、むしろ自尊心をくすぐられることだからかもしれない。だが、それを言うなら、セックスされている女性にとっては、相手の男が他の女に興奮しているのは、自尊心をいたく傷つけることになるはずだ。 縮小過程に入っていた僕のペニスは、Uターンをし、再び、元通りに跳ね上がっていた。僕が入れていた女性も、それを感じたらしい。というのも、突然、彼女が喘ぎ声を上げたからだ。そして、あっという間に、彼女は限界を超えてしまった。大きく膨らんだ僕のペニスを咥え込んだまま腰をぐいぐいとうねらせ、叫び声をあげて、オーガズムに達したのだ。 こんな状況になったら、どんなことを言うべきだろうか? 知らない女性が僕のペニスで絶頂に達している。その一方で、美しくセクシーな僕の恋人が、それを見ている。不謹慎なのは知ってるけれど、僕はこの状況がユーモラスに思えて仕方なかった。 僕がのしかかっていた美しい女性は、ようやくオーガズムから意識を取り戻し、目を開いた。彼女は、夜道で急にヘッドライトを当てられた小鹿のような目をしていた。僕は彼女に話しかけた。 「あなたはドニーさんですよね? はじめまして。僕の名前はドリューです」 彼女はさらに目を大きくした。 「ドリュー?・・・あなたはドリュー?」 彼女の瞳の様子から、パニックになってるのが見えた。僕はディアドラが僕のことをドリューでなく、アンドリューと呼んでいることを思い出した。多分、彼女は、まったくの赤の他人とセックスしてしまったと思ったのだろう。 ディ・ディもドニーの質問の含意を察知した。「ドニー、この人がアンドリュー・アドキンズよ。大丈夫、あなたがやった相手は人違いじゃないわ」 ドニーの瞳からパニックの色が消えていくのが見えた。だが、その代わりに、今度は涙が溢れてくるのが見えた。 僕はどうしてもこらえることができなかった。声をあげて笑い出していたのである。この状況は、これまで僕の身に起きたことの中で、最も可笑しなことと思ったのだ。僕はまだ勃起していた。この、ほとんど見ず知らずと言ってよい女性の陰部に入ったままなのだ。しかも最愛の恋人がそばに立って見ている。こんな変な状況は、他にない。 ディ・ディも、この状況をかなり可笑しいと思ってるように感じた。というのも、彼女も目を輝かせて笑みを浮かべていたから。嫉妬しているような雰囲気はなかった。 ドニーは傷つけられたようだった。不満顔で僕に言った。「何が可笑しいのよ?」 僕は、笑い出したら止まらなくなってしまった。しばらく笑い続けた後、ようやく、ドニーに返事ができるほどまでは、なんとか落ち着きを取り戻した。 「いま僕たち、ある種の新記録を打ち立てたかもしれないよ。ギネスブックでそういう記録がないかな。僕たちは、まだ紹介もされてなかったんだ。君がいることすら知らなかった。こんなふうに速攻でやっちゃったことのこれまでの記録はどのくらいだったんだろう?・・・」 「・・・ドニー? 気を悪くしないでね。僕は男性優位主義者じゃないんだ。ま、少なくとも、そういうタイプの男じゃないつもり。でも、これはすごすぎる! どうしても自慢したくなっちゃうよ。この話し、他の男は誰も敵わないはずだよ。僕自身が、僕のヒーローだ!・・・」 「・・・僕たちは、初めて会ってからベッドに入るまでの時間で、世界新記録を打ち立てたんだ。ゼロの状態からセックスまで2分以内だ!」 ディ・ディも、前から、僕のちょっとした想像話に乗っていたようだった。「それにちょっと但し書きを加えたほうが良いんじゃない? アマチュア部門で、助走なしのスタートからセックスまでで、最速ということで」 僕はいっそう大笑いしていた。ドニーの気持ちを傷つけたくはなかったが、それにしても面白すぎる! ふと気がつくと、この部屋で広がりつつある雰囲気にドニーもどこかしら乗ってきたようだった。彼女は無邪気そうに言った。 「でも、プロの人は、最初にお金の交渉をしなきゃいけないんじゃない?」 僕は笑った。 「そう、そう! その通りだ。だから、事前交渉なしの無差別級部門で、助走なしのスタートからセックスまでで最速、と。スウィング・パーティをする人たちは、相手を一列に並べて次々に入れていくということがあるからね。その人たちは除外だ」 僕は抑えられなくなっていた。まだ勃起したままだったのだ。そして、笑えば笑うほど、ドニーに入れたまま動いてしまうことになっていた。なんとなく、彼女をからかいたくなっていた。ドニーのことをまったく知らなかったが、僕の気持ちとしては、もう遥か以前から彼女のことを良く知っているような感じだった。 「ドニー? 君は、セックスの変人部門の殿堂に入ったかも知れないね。最初の接触から2分でオーガズム達成! と。2分の壁を破ったんだ。第2位は誰だろう?」 僕は笑い続けていたが、ますます固くもなっていた。笑うときの動きで、だんだん、気持よくなってきていた。どうやらドニーにも影響が出てきているのが見えた。ディ・ディの方を見たら、彼女も、何が起きてるのか分かっているようだった。僕はディ・ディに言った。 「ちょっと、ディ・ディ、いいかな? 話し合わなければと思っている。でも、その前に、気を悪くしなければだけど・・・」 そう言いつつ、僕はドニーに突き刺した。ドニーも、肉欲が羞恥心を上回ったようだった。肉欲は遠慮の気持を上回り、さらに、あらゆる抑制心を上回ったようだった。彼女自ら、僕の打ち込みに熱を込めて打ち返していた。
* * * * * 二日ほど後、リンダとブルースは、友人であるマリイとジムの夫婦を、まさに同じパティオでもてなしていた。土曜日で、夜もふけていた。キャンドルを灯したテーブルでディナーを食べ、その後、パティオに出てきたのである。ディナーの席ではスウィング・パーティの話しは出ていなかった。今は、4人ともワインでほろ酔い状態。心地よい夏の夜風に吹かれリラックスしていたからか、考えることがセックスに向かいつつあった。 ブルースの場合、この時もまたマリイのことを美しいと思いつつ見ていた。ブロンド髪の愛らしい29歳の若妻。市の中心の権威ある法律事務所に勤める法律関係のアシスタントをしている。ブルースは、これまでもスウィング・パーティで何度もマリイの美しい女体を堪能してきており、今夜もひょっとして何か期待できるかもしれないと思っていたのだった。 会話の話題を例の「サークル」のことに向けたのはリンダだった。 「それで、ねえ、マリイ? 話してよ。そのサークルのことについて?」 「ええ、とっても素晴らしいわよ! 私たち、すごく楽しんでいるの。そうよね、あなた?」 マリイはジムに相槌を求めた。 「ああ、そうだね」 ジムは、いささか気のない様子で返事した。 「最初は疑念を持ってて躊躇していたけれど、参加するようになった今は、本当に信者のようになっている。それを、誰より最初に認めるのはジムじゃないかと思うわ」 これに対してはジムは何も答えなかった。 「信者って、何の?」 ブルースが、思い切って問いかけた。 「もちろん、セックスフレンドとしての黒人男の能力の信者よ」 「ちょっといい?」 リンダが口を挟んだ。 「ちょっとだけマリイと二人だけになって、女の子同士の話し合いをしたいんだけど、いいかしら? ジム? ジムはブルースと二人だけで、そのサークルでの経験を教えてあげて。いいわね?」 「もちろん」 とジムは答えた。 ブルースとジムは、家の中に引っ込んでいくお互いの妻を、美しいものを見る目で見送った。マリイの悩ましい腰つきと長く形の良い脚を見ると、ブルースは必ずといって良いほど興奮してしまう。 「僕たちが最後にパーティをしたのは、ずいぶん前になるぞ。マリイはますますセクシーになったなあ」 「ああ、そうだな。君は友だちだから、見たいものは何でも見ていいよ。見るだけならね。でも、君も知っての通り、僕の妻は黒に染まってしまったんだよ」 「それは、はっきり言うと、どういうことなのかなあ?」 「実に単純さ。マリイは黒人男としかセックスしなくなったんだ」 「いや、もちろん、君ともだろ?」 「ああ・・・確かに、時々・・・ある意味ではね。状況によるんだ」 「それで、妻が黒人男と一緒になるの見るというのは、どんな感じだった?」 「本当のことを言うと、まさに、頭が吹っ飛んだような感じだった。あんな光景は想像すらしたことがなかった。マリイがあんなに興奮したところを見たことがなかった、というのが主かな。それに、あの声! ほとんど恐怖感を感じるほどだったよ」 「男の方は、サラがリンダに話したように大きかったのかい?」 「ああ、大きかった。本当にでかい。軽く23から25センチはあったな。それよりも太さだ! 恐ろしいほどだよ。マリイがあれを受け入れられるなんて信じられなかった。だが、ちゃんと受け入れたんだ。あの怪物がぐいぐいとマリイのあそこにねじ込まれるのを見たが、自分の目を疑ったよ。途端に、マリイは気が狂ったようになった。まだ男は動き始めてもいないのに、狂ったように達したんだ。ああいうふうに入れられたと感じただけで、オーガズムに達したんだよ」 「わお! そいつは、見ててつらそうだな」 「前はね。いや今も時々そうかな。もっとも、僕はかなりそれに慣れたと思う。今の時点では、マリイに、それを禁じることは僕にはできないだろう。あの男たちは、30分以上も持続できるんだ。しかも、すごく激しく続けられる。やっぱり連中は僕たちとは違うんだよ。どうしてマリイが僕たちがやっていた前のパーティに興味を持たなくなったか、君にも理由が分かると思う。ちょろちょろ生えた毛の中に小さい道具を備えただけの白人男。そんな僕たちが集まっても、何にもならないんだよ。僕たちでは戦う相手にならない。あっけなく降参して、連中に明け渡さなければならないんだ。僕も、あれだけの快感をマリイに与えることができたらと憧れるよ。だが僕には無理だ。マリイが虜になってしまったのは確かだ。連中の能力は圧倒的さ。偉大な力の持ち主にはひれ伏すしかないだろう? だから僕は信者なわけだよ」 ブルースにとって、この話しは情報過多だった。 「何とも・・・」 「君たちもサークルに来るのを考えているのかい?」 「いや、まだ、分からないんだ」 「是非、参加すべきだよ。それに、僕は、時々、サークルで僕の知っている人が隣にいてくれたらいいのにと思うときがあるんだ」 「どういうことだい?」 「知ってるだろう? あのサークルでのこと。 あ、君はまだ知らないのか?」 「まだ、詳しく知らないんだ」 「そうか・・・こういうことなんだけどね・・・」 ジムは、そう言って説明を始めた。
ドナは椅子に座ったまま、振り向いた。僕を見るなり、目を輝かせた。 「まあ、ビッキー! ずいぶん居心地がよさそうな服装をしているじゃない。私も似たような服に着替えるわね。その後で、何か食べる物を用意するわ」 「いや、違う。君は分かってないよ。いま起きていることについて話し合わなきゃいけないと思うんだよ」 ドナは、僕が怒っているのを悟ったのだろう。顔が曇った。 「どうしたの?」 僕はパソコンの画面を指差した。 「ドナ、ここまで行くと、もう、やりすぎだ。僕と君だけで、個人的にちょっとした性的なゲームを続けるのは、それでかまわない。だが、これはやりすぎだ。僕たちの行為をオンラインに流して、金儲けをするなんて。何千人もの人に、著しく個人的信頼を損ねかねない行為をしている自分たちの姿を見せるなんて。あのウェブ動画を誰が見てたかも、録画していたかも分からないじゃないか。たとえ女装していたとしても、僕に気がついた人がいるかもしれない。その人が脅迫とかをしてきたらどうするんだ」 突然、ドナの顔に恐怖の表情が浮かんだ。 「どうしたんだ?」 不安になって、訊いた。 「今日、早くからログオンしていた人なら、あなたに気づいた人がいたかもしれないの」 「どういうことだ?」 「今日一日の行動をウェブに流していたの。職場から家まで。ビックからビッキーに変わるところ全体を。だからこそ、夜までに、こんなにビューアーが増えたと思う。朝からどんどん増え続けていたし、メールも洪水のように入ってきたわ。私たちが普段していることを見たいとリクエストする人がたくさんいたので、私もその気になって、リクエストに応じてしまったの。地元の人が誰か見るかもしれないなんて考えてもみなかった。興奮状態に囚われていただけ。私のコントロールの元、あなたがミス・ビッキーに変身することで、あなたがもたらした興奮に囚われていたの。ごめんなさい、ビック。私、本当に台無しにしてしまったみたい」 僕は、唖然として、座ったままだった。 「あの・・・ビック?」 「ああ」 僕はつぶやいた。 「私、他に録画していたものもネットに流したの。どの動画にも、かなり膨大なダウンロード数があったわ。今日一日で、本当にたくさんお金が入ったわ。今日のところ、あなたはインターネットではスター状態よ。もし、悪いことになったら、本当にすまないと思うわ。でも、ちょっと様子を見て待っていたらどうかと思うの。ひょっとすると、何も問題ないということになるかもしれないし」 「ああ、でも、ひとつだけ問題がある。それは、この女性化のあれこれを続けることだ。僕は、もう十分だと思っているし、君もそうだと思う。前の生活に戻るべきだし、以前に僕たちが持っていたお互いへの信頼を取り戻すべきだと思う。君がこういうことを、僕に相談せずに行うなんて、信じられないよ」 ドナはおどおどした顔になっていた。 「あなたが恥ずかしがって、私がネット公開を試してみるのをやめさせるんじゃないかしらと思ったのよ。それに、どんな反応が返ってくるのか知りたかったの。本当にごめんなさい」 僕はちょっと考えた。それからドナにパソコンを使わせてくれるよう頼んだ。グーグルで「ビクトリア・アルア(Victoria Allure)」の名前を検索した。何ページ分ほどヒットした。おののきながら2、3ページ分チェックした。そのすべてが同姓同名のポルノ・スターに関係しているのを知り、ようやく、ひと安心した。もちろん、ウェブでビデオを見た人々が動画のコピーをばら撒き始めるには、まだほとんど時間が経っていないのであるから、大きな意味があるわけではないことは分かっていた。だが、少なくとも、知られずに済むかもしれないと期待することだけはできそうだった。 「オーケー、今のところは大丈夫みたいだ。でも、もうインターネットのビデオカムとか、女装した僕を撮影とかはダメだ。いいね。僕の服はどこにあるんだ?」 実のところ、女王様のコスチュームをしてるドナに、女々しい恰好をした僕がこんなふうに命令をするのは、ちょっと可笑しい気もしていた。 「2階の予備寝室のクローゼットにあるわ」 「よろしい。こういうのは全部、片付けること。それから僕の衣類は元通り僕の洋服入れやクローゼットに戻すこと。いいね?」 ドナは頷いた。目に涙をあふれさせている。 「ごめんなさい、ビック。このゲームの興奮に夢中になりすぎていたわ。あなたの服も、元通りの場所に戻すわね」 ドナは寝室に入り、すぐに、両腕いっぱいに女性の服や靴を抱えて出てきた。僕はパソコンに向かい、僕の側から見た話しを打ち込み続けた。それが終わった時には、1時間が過ぎていた。 立ち上がり寝室に行くと、僕の服は元通りの洋服入れに戻っていた。早速、女物の服を脱いだ。その服をベッドの上に並べた。履いていた女物のジョギングシューズも一緒に。 洋服入れに戻り、BVDを取り上げた。この数日、サテンの下着を着てきた後では、BVDのコットンの肌ざわりはごわごわしているように感じられたし、僕とドナのちょっとしたゲームがこんなふうに展開してしまったことに、少し後悔の気持ちが疼いた。だが、この件については決心を緩めず、すべて元通りに、自分でコントロールできるようにしなければいけないことも分かっていた。 着替えた後、キッチンに行った。ドナが食事の用意をしていた。 「僕のために買ってくれたものは、全部、捨ててしまったのかい?」 僕はドナに後ろから抱きつきながら、問いかけた。 「実は、そうとも言えないわ」 ドナは、振り返り、僕の腕に包まれたまま、いたずらそうな笑みを浮かべた。 僕はドナから離れ、1歩、引きさがった。ドナは前進し僕に体を近寄せ、僕のTシャツの中に手を入れ、乳首をつねった。 「いつか、またプレーしてみたいと思うかも知れないと思って、全部、予備の寝室にしまったの。私の衣装も含めて。いいでしょう?」 僕は、さっき固めたばかりの決心がぐらつき始め、そして、粉々に砕けていくのを感じた。 「ああ、いつか、たぶん・・・でもビデオはもうダメだよ」 おわり
マリアは私の手を握って、気遣ってくれた。 「私は驚かないわ。マークは、役者じゃない人には演技を頼んだりはしないはずだもの。ポン引きみたいに思われたくないから。マークはそういう人。あなたは、役者の世界に入ることを考えているの?」 私は、顔がますます赤く火照るのを感じながら、言った。 「それは考えてきたの。でも、マークは私を求めないだろうと思うの。私、そんなにカワイイわけじゃないし」 マリアは私の両手を握った。 「あなた、十分、可愛いわよ。それは確か。それに、あなたはカメラ映りも良いと思うの。でも、あなたのことを大事に思ってる人たちとホーム・ビデオを撮るのは、生活のためにポルノ映画を撮るのは、違うこと・・・だから、慎重に考えてみてね。とっても楽しいこともあるかもしれないけど、大半は、ただの仕事だから」 マリアはもっと助言するつもりだったかは分からないけれど、彼女は、演じる役の打ち合わせのため、マークの書斎に呼ばれていた。 ポルノ映画に出るかどうかについて、私は、真剣に考えた。続く10日間ほど、そのことばかり考え、他のことは考えなかった。目の前にカメラが来ている状態でセックスをするといのはどんな感じなのか、それについては分かっていた。その頃までには、そいうことにすっかり慣れていたから。それと映画出演の違いはというと、別に愛情を持っていない人たちとそういう行為をするということだし、まったく知らない人たちが、たくさん、私の行為を見ることになるだろうということ。 私の中には、ぜひ、やってみるべきと言う部分があった。どういう感じなのかを知るためにも、少なくとも1度はやってみるべき。自分にできることなのかどうか、確かめたいと思っていたのは確かだった。今から思うと、何より、好奇心が勝っていたと思う。 自分の中では、映画に出てみたいという気持ちが固まっていたけれど、それをマークに言うチャンスはなかなかなかった。いつも今は適切な時期ではないように思えたし、マークも、いつも本当に忙しそうにしていたから。 マークは、アリゾナ州ユマに行くためスポーツ汎用の4輪駆動車をレンタカーで借りた。ユマにはホテルを建物ごと借りて、撮影を行うことになっていた。借りた車はマーク自身の車やトレーシーの車より遥かに大きく、荷物を含めて私たち5人で乗り込んでも、十分に余裕があった。 マークは、実際の撮影に必要となる機材をすべて運び込むため、トラックも借りていた。衣装類や小道具もこれで運んだ。ビルの編集用の機材もトラックに積んだ。 カメラマン2人、音声係2人、それに電気関係の人3人は、別のバンに乗って、私たちの車に続いた。そのバンには、衣裳係のパティに加えて、サミー・ウェイトとローレル・アダムズも乗った。もちろん、ビルもそのバンに乗った。 マークが採用した他のTガールズたちは、出番になる1日か2日前に現地に来ることになっていた。マークの計画では、該当する女優の大半のシーンをすぐに撮影してしまうことになっていた。そうすれば、彼女たちも出番を待っていつまでも拘束されることもないだろうと。 マークが借りたホテルは、大規模な改修工事をされるところだった。その工事のため2カ月ほどホテルを閉鎖することになっていたのだが、マークが働きかけて、安くその場所を使用する契約を取ったのだった。ホテルは、最初見た時は、ちょっとみすぼらしい感じだったけれど、確かに、魅力的なところもあった。マークが言うには、ビデオを見る人はセックスに注目しているので、このホテルのみすぼらしいところには誰も気がつかないだろうとのことだった。 マークとトレーシーはこのホテルの中で一番良い部屋に入り、マリアとヘレン、そして私は、マークたちの隣の部屋に入った。マークたちと同じ部屋にならなくても良かったし、私たちも、別の部屋を望んだのだった。それに、多分、結局は、みんなが同じ部屋に集まることになるだろうとも思っていたから。 ローレルはボーイフレンドを連れてきていた。週末だけ、ここに来るらしい。彼女たちはサミーと同じフロアの部屋に入った。サミーは、その時はボーイフレンドがいなかったけれど、そもそも、欲しくなることもないだろうと彼女は思っていた。クルーの大半も、同じフロアの部屋に入った。ビルもその中に含まれている。
バーバラは、理解を求めてスティーブの瞳を覗き込んだ。スティーブは、私がどうしても言わなければいけないことのすべてを完全には理解してくれないかもしれない。それでも、彼なら、いま自分が話していることと問題の関連性を分かってくれるのではないかと期待した。 バーバラは一度、深呼吸をした。 「・・・ちょっと前に戻ってもいいかしら? 話しているうちに、どこまで行ってたか忘れてしまったわ。・・・あなたが気にしているのは、私自身、悪いことだと知っていながら、ああいうことをすると決めた時点があったのかどうかということよね? なんであれ、私がやってしまうと決めたのはどうしてかと?」 スティーブは、その通りと言わんばかりに頭を縦に振った。彼は、こんな会話を始めるんじゃなかったと、ほとんど後悔しそうになっていたところだった。この会話で良い方向が見出せるとは思えなかった。 「信号機のことを覚えている?」 バーバラは、突然、問いかけた。 スティーブは、一瞬、バーバラが何のことを言ってるのか分からなかった。だが、急に思い出す。あれは、確か6年以上も前のこと。 「信号機?」 ヒューストン氏も口を挟んだ。 ヒューストン氏は、バーバラの言葉をすべて注意深く聞いていた。彼女が言ったことの大半は、不倫をしてしまった妻たちが典型的に語りそうなことばかりだった。たいてい、自分が混乱していたとか、孤独感を感じていたとか、どんな結果になるか考慮しなかったとかと語る。そのような行動パターンを取るようになってしまった経緯を本当に理解している者は、非常に少ない。だが、バーバラは、他の女性たちよりも、深く問題を掘り下げようとしてきた。それにしても、信号機の話はこれまで出てこなかった話だ。これは他に例がない。 「あれは、私たちがまだデートをしていた頃のこと・・・」 バーバラは、顔を半分、カウンセラーの方に向けて話し始めた。「・・・スティーブが車を運転していて、私たちの他にもカップルが2組、同乗していて、一緒にどこかに行こうとしていた・・・」 「州立公園だ」 スティーブが唸った。 「ええ、そうね。私たちピクニックをしに州立公園へ向かって、小さな田舎道を走っていたところだった。その途中、どこだったか、ある小さな町に来たところで、あの交差点に差し掛かったわ。そこは、道路の真ん中で、ただの、だだっ広いところだったけれど、信号機があった。そして、その時は、私たちの進行方向に対して赤信号になっていたので、スティーブはブレーキを踏んで車を止めた。でも、彼はブレーキから足を離し、アクセルを踏み込み、そのまま走りすぎたの。みんな、その町の巡査とか警官とかがいないかと、あたりを見回したわ。でも幸い、そういう人はいなかった」 バーバラは笑いながらスティーブを見た。 スティーブは遠い思い出を語るような口調で答えた。 「君や他のカップルたちに食いつかれて、僕はその行動の理由付けをしようとした。僕は、無意識的に他の交通はまったくないと判断したに違いなくて、だから車を走らせても大丈夫だと思ったと言ったと思う。良く分からないが・・・」 スティーブは長い時間、考え事をした。 「ああ、分かったよ・・・」 彼は溜息混じりに答えた。「君の言いたいことが分かった。あまり楽しいこととは思えないけど、君が言ってることは見えてきたと思う。人間というものは、自分の行っていることについて、いつもちゃんとした理由をもっているわけではないということなんだろ? 人間は自分が何をしているか分からないことがあると・・・ともかく、そういうことをしてしまうものだと・・・ちっ、くそ!」 スティーブはうんざりしたような口調だった。
サイバースペースにおけるセックス小説の読者の増加 投稿された小説数が急速に増加した事実は、従来、印刷物による表現の機会さえあれば発表されていたはずの性的妄想が多量に存在していることを示している。投稿小説の増加は、どれだけ急速だったのだろうか? 最初期のインターネットにおける小説の数について、信頼できる数値は存在しない。だが、投稿小説は、個人によって、個人的なアーカイブの目的で採取されていた。そして、それによると、驚くべき急成長があったことが分かる。 1993年5月13日にalt.sex.stories.dに投稿された記事によると、その投稿者は個人的なアーカイブとして1600作のセックス小説を持っているとあった(同年、後になって彼はその数を3000に増やしたが)。彼は、コンピュータから削除する前に、すべての作品を再投稿するつもりであると述べていた。この投稿に対して、Nobodyという名の投稿者が返信し、自分は3400作品を持っていると述べた。ちょうどこの時期あたりに、セックス小説を保管する最初のサイトが現れ始めた。やはり、この場合も、そのようなサイトの大半は大学のサイトだった。 グーグル・グループは、何千とあるUsenetグループのすべてに関して、グーグルが保管している月々の投稿の数を出している。前に述べたとおり、初期の時代に関しては、alt階層へ投稿された記事のかなりの数がグーグルでは保管されていない。ではあるが、グーグルが発表する数値は、実際の投稿数についての低い見積り値にあたると考えてよく、それによると、人気があるセックス小説サイトがどのような変化を見せたかが分かる。例えば、alt.sexは、1988年にはたった58個しか投稿がなかったが、1997年には24万に達している。その後、低下を見せ、現在では年間3万から4万のレベルになっている。年が最近になるにつれ、投稿の大半はスパムになっていった。alt.sex.storiesの方は、1992年には84投稿であり、1997年に10万5千となりピークを迎える。現在は、年間、2万5千から3万になっている。これも大半がスパムである。 正直に言って、スパムを含まないかなり正確な投稿数を得るには、alt.sex.stories.dとalt.sex.stories.moderatedを見なければならないだろう。 前に述べたとおり、alt.sex.stories.dは、純粋な議論グループである。であるので、そこの数値は、ニューズグループにおけるセックス小説への全体的な関心度の指標として使えるかもしれない。このニューズグループへの投稿は、1992年という早い時期から見られるが、完全に正確な投稿数を得るのは不可能である。グーグル・グループが提供する数値がグーグルの検索エンジンを使って得られる数値と、若干、異なっていることも、その正確さを疑わせる。 ワールド・ワイド・ウェブの広まりにつれて、スパムは急速に増加した。それを受けて、1997年にalt.sex.stories.dは、議論を行う投稿者に、記事の件名に{ASSD}というタグをつけさせることを開始した。このタグのことをメンバーたちは「カーリー(波括弧)」と呼んでいる。その目的は、商業的な投稿記事と本当の投稿記事を区別するためであった。ともあれ、alt.sex.stories.dは、長い間、年間あたり何万もの合法的な(スパムでない)投稿を受けていた。最大は、年間4万件以上である。もっとも、最近は、投稿数も劇的に減少してきており、2007年には、件名に「カーリー」が付いてる投稿の数は7500ほどしかなくなっている。 alt.sex.stories.moderatedは、調整役がついたサイトであるので、ニューズグループへの小説投稿の数に関して、最も純粋な数値を与えてくれるものである。このグループが活動を開始したのは、実質1997年初頭であったが、その最初の年に、5000以上の小説が投稿された。1998年には10000以上になった。この年がピークである。1999年になると、数は急速に低下する。管理者のEli the Beardedが離れ、彼の代わりに調整役のチームができるまで数ヶ月ブランクがあったことが理由である。その後、再開したときには平均5500強の投稿数だった(個々の小説と小説の章の投稿数を合わせて)。その後、現象を見せ、2007年には1700ほどになっている。
ケイトが俺の耳たぶを甘噛みしながら、ポロシャツをたくし上げるのを感じた。彼女の温かい生肌が俺の身体に触れる。ケイトはさらに耳や首筋を舐めながら、両手をシャツの中に這わせ、徐々に胸へとあがってきた。 頭を俺の頭の横に預けるようにして、首筋をぺろぺろ舐め、同時に俺の乳首を軽くつまんだ。温かい息を俺の耳に吹きかけながら、舌を尖らせ、耳穴をほじり始めた。ハアハアという吐息やぬちゃぬちゃした湿った音が間近に聞こえ、頭の中が痺れてくる。突然、乳首を強めにつねられ、俺はたまらなくなって、喘ぎ声を漏らした。 この快感、信じられないほどだ。身体の全神経に火がついたようになっていた。 官能的な快感に浸りながら、目を半分閉じていると、ケイトはゆっくりと俺のポロシャツを引き上げにかかった。彼女が何をしようとしてるのか察し、俺は両腕を上げ、万歳の形になった。ケイトはさっと素早い動きで、俺のシャツを頭から脱がせた。 再び俺の背中にケイトが身体を押し付けた。薄地のトップ越しとはいえ、背中にあの柔らかな乳房が押し付けられているのが分かる。またも、舌で耳を責めながら、胸を優しく愛撫された。 突然、ケイトは、柔らかな手のひらでの愛撫をやめ、爪を立てて肌を引っかき始めた。あの爪で乳首をカリカリと引っかかれる。この女、男の乳首への愛撫の仕方を心得ている。俺は、またも、快感のうめき声をあげた。 ケイトは右手を胸から離し、俺の顔へ上げた。その手で俺の顔を後ろに向かせた。斜め後ろを向いた俺の唇に彼女の唇が重なる。ロマンティックなキスが始まった。俺が口を開けると、ケイトの舌が口の中に滑り込んできた。 互いに舌を吸い合う。まるで恋人同士が行うような、甘く官能的なキスだ。かなり長時間キスを続けながら、ケイトはゆっくりと移動し、俺のまん前に来た。まだ服の上からだが、彼女のたぷたぷのおっぱいが俺の胸の素肌に触れる。舌は俺の舌全体を舐め回り、さらには、リップを塗るかのように、唇の輪郭をなぞった。 ケイトはキスをしながら、両手で俺の顔を挟んだ。そのまま、ゆっくりと唇を俺の唇からあごへと滑り降ろしていく。両手で俺の頭を後ろへ傾け、さらにキスを続け、あごから喉、そして胸へと降りていった。 両手をゆっくりと降ろし始め、頭から肩、そして胸へとずらした。同時に唇は俺の乳首へと向かっていった。温かい息を乳首に吹きかけられる。さらに熱い舌で乳首を中心に円を描き始めた。 固くなった乳首を、舌でつんつんと弾かれた。俺は思わず、「ああっ・・・」と声を出した。 もう一方の乳首は指で何度もつねられている。この刺激に、体中がゾクゾクとし、すべての体毛が逆立つようだった。 突然、乳首を噛まれた。歯を使って、カリカリと擦られる。 「うううぅぅぅぅ・・・」 ケイトはさらにキスを続け、ゆっくりと腹へと降りていった。いつの間にか、床にひざまずいている。下を向き、ケイトを見ると、今は俺のへその周りをぺろぺろと舐めていた。ケイトはひざまずいたまま俺を見上げ、視線を合わせながら、ズボンのベルトのバックルを外し始めた。
彼は服を脱ぎ始めた。まあ! 完璧な身体をしている。引き締まって強靭そうな筋肉。平らなお腹。大きな胸板。その素敵な胸板には、遊ぶのにちょうど良いほどの体毛。私の目は、ずっと避けようとしていたところへと向かっている。彼のアレ。彼は、あの大きくて怒った代物を小さな私の中に合わせ入れようとしてるの? そんなことできるの? 私は、アンドリューに伝えようとし続けていた。やめて欲しいと、そんなようなこと。だけど彼はやめたくないようだった。 そして、その時、彼はあそこに来ていた。再び彼の両腕に包まれていた。あの怪物が私のあそこの唇に侵入してくるのを感じた。私は気絶してしまうと思った。押してきた。大きすぎる! ぐいぐい押し入ってくる。強く。私も堪えられなくなっていた。私も彼が欲しい。ものすごく。彼のことを知らないけれど、彼のことを愛している。意味をなさないけれど、私たちは同一なのだ。ディ・ディが彼を愛しているのに、私が愛さないことなど、どうしてありえるの? 水曜日の夜から、私はこの瞬間のことを夢に見てきていた。あの大きなものが完全に私の中に納まったときには、すでに私は最初の絶頂に達していた。彼は、それに気づきもしていないよう。私の最初のクライマックスの間、彼はパワー全開で動き続け、私はすでに2回目のオーガズムに近づいていた。こんな感覚は初めて。私は悲鳴を上げていた。私が最後に悲鳴を上げたのは12歳の時。ディ・ディと一緒に映画館で「エイリアン」を見た時。あの怪物が餌食の一人に飛び掛ったとき、二人一緒に血も凍るような悲鳴を上げて、お客さんたちの半分近くを震え上がらせた。 でも、今の悲鳴はあの時の悲鳴とは種類が違う。この悲鳴は、情熱が完全に解放されたときの悲鳴。私が悲鳴を上げて情熱を解き放つたびに、アンドリューは、私にさらに情熱を加えるよう強いた。私に快感をもたらそうと飽くなき追求を続けるアンドリュー。その彼を止めるものは何もないように思えた。 彼は、自分の所有物のように私をむさぼっていた。私を自分のものにしなければいけないかのように、私をむさぼり続けた。私も彼に自由に使ってもらうように彼に自分を捧げていた。彼に私を所有して欲しい。 永遠とも思えるエクスタシーの連続の後、とうとう、私の中の彼が膨張するのを感じた。そして次の瞬間、私は彼の種子液でいっぱいにされていた。すごすぎる! 私はまたも絶頂に達した。あまりの情熱に死んでしまいそうになるほどの強烈な絶頂だった。 昇天した心と身体が地上に戻るのをうっとりと待ちながら、水曜日の夜にディ・ディが言ったことを思い出していた。その言葉が私の唇から漏れた。 「デス・バイ・ファッキングって言ってた」 絶頂の後の至福のひと時の間、アンドリューは私を抱きしめたままでいた。でも、私の意識は私を休ませてはくれなかった。何と恐ろしいふしだらなことをしてしまったのだろうと。この男性に、いまだ、一言も話していないのだ。にもかかわらず自分のすべてを彼に捧げてしまっている。しかも、人違いであることを伝えずに。彼は、私がディ・ディでないことを知らない。たったいま行ったことは悪いことだと知っているのは私だけ。 私は泣き始めた。抑えられなかった。とても恥ずかしい。罪深い。彼をだましてしまった! 私が正直になっていないのに、どうして彼は私を愛せるだろう? ディ・ディは、自分のボーイフレンドとためらいもなくセックスするような妹を、どうして愛せるだろう? 私はとてつもない人でなしだ。 アンドリューはとてつもなく素敵だった。私を抱き、慰めてくれていた。私を愛していると言った。私は、本当のことを説明しようとした。だけど何を言っても彼には関係ないようだった。ずっと昔から私を愛してきたと言っている。最初からからずっと私たちは互いに知り合っていたのだと。彼は愛の詩人だ。彼の腕に包まれて、私は溶けてしまった。 また固くなっている! この人の情熱は限界を知らない! また私の中に滑り込んできた。そして私も抑えられなくなる。突然、火がついたように身体が燃え、淫らな気持ちになる。彼がたった一度、出し入れしただけで、私は再び絶頂に達していた。 その時、彼女の声が聞こえた。 「二人とも、少なくとも、私が紹介するまで待てたはずじゃないの!」 ディ・ディがバスルームのドア先に立っていて私たちを見ていた。 恥ずかしさと罪深さに、私は目を閉じた。死んでしまいそうだった。
「俺は、パリのデザイナーの準備が整うまで、とりあえずの衣類を一揃い用意させ、お前が自由に着てよいようにする」 レオンが小部屋のドアへと歩き進むのを、イサベラは、大きな緑の瞳で追った。レオンはドアに近づくと、一瞬、振り返り、乱れた姿のまま床に座るイサベラを見た。 「この城は、お前が好きなように使ってよい」 レオンはドアをわずかに開けたまま、小部屋を出て行った。イサベラは、くねった石段を降りていくレオンの足音を聞いた。その足音は次第に小さくなって、やがて消えた。 イサベラは呆然と宙空を見つめ、床に座ったままでいた。レオンの行動は何だったのかを理解しようとしていた。 その時、両腕に一杯、可愛いペチコートやガウンを抱えてメイドが入ってきた。イサベラは、そのメイドがミナという名前で、彼女専用のメイドであることを知った。 メイドに服を着せられながら、イサベラは妙に居心地が悪い気持ちだった。 若いミナは、気ままにぺちゃくちゃとおしゃべりをしながら、イサベラの細身の身体にレースのシュミーズを着せ、小さな手で皺を伸ばし、ペチコートを履かせ、腰の周りにリボンを結びつけた。さらに、両腕をガウンに通させ、腕を上げさせて、ガウンの皺を裾まで伸ばした。その間、イサベラは沈黙したままだった。 幽閉されてから、ずっと全裸のままにさせられていたイサベラである。衣類を身につけたのは、もうずっと前のことのように思えた。長い時を経て、ようやく肌に布地をまとうのは、特に、固い乳首が布地に擦られた時に、特別な感覚を彼女に与えた。そして、ずっと自由に素肌を空気にさらしていただけに、衣類で身を包むのは、痛みすら感じるほど窮屈に思われた。 衣類に身を包んだ後、イサベラは初めて幽閉されていた部屋から外へ踏み出した。こんなに頭の中が混乱し、不確かな気持ちになったことはなかった。 レオンは謎の存在だった。実像を掴むための手がかりがいくつも欠けた謎の存在。今までは、少なくともレオンが自分に何を求めているかだけは分かっていたつもりだった。彼は私の処女を奪い、父に対する復讐の手段として、私の体内に彼の忌々しいものを注ぎ込み、植えつけるというたった一つの目的のために、執拗に私の身体を奪い続けたのである。レオンはもうその目的は達成したと思ったのだろうか? それが理由で、私に自由を許す気になったのだろうか? もはや、強引に私を奪う必要を感じなくなったから? 近々、私をここから出すつもりでいるのだろうか? * * *
「良かったわ。きっととても興味深いはずよ。ところで、こんなにセックスに関する会話をしていたので、私、すごく興奮してしまったわ。ねえ、ブルース? ちょっとお願いがあるんだけど、いい?」 「なんだい?」 「あなたの素敵な舌でいかせて欲しいの。お願い。ここで、いますぐ。いいでしょう?」 「ここで?」 ブルースは呆気に取られた。「人に見られちゃうよ」 「大丈夫よ、もう、こんなに暗いんだから。それに、この毛布を脚の上に広げるつもりだから。その中にもぐりこんでくれたら、誰も、見ようとしても見えないわ」 「でも、どうかなあ・・・」 だが、リンダはこれ以上、この件についてブルースと話し合ったり、駆け引きをしたりする段階は過ぎていた。すでに決め込んで毛布を脚に広げていた。毛布の裾はパティオの床まで届いている。リンダは毛布の裾を手にして、捲りあげた。中では両脚をM字型にぱっくり広げていた。 「さあ、ブルース! 早く!」 ブルースは、こんなに鋭い口調でリンダが言うのを聞いたことがなかった。加えて、彼女が、これ以上、大きな声を上げたら近所の関心を惹いてしまうのではないかと恐れた。しかたなく、彼はリンダの前にひざまずいた。 「わかったよ。落ち着いて」 「急いで!」 ブルースは素早く毛布の中にもぐりこんだ。妻の脚の間を這い上がり、陰部に顔を寄せた。毛布越しにリンダが頭の後ろに両手を当てて、自分に強く引き寄せるのを感じた。すでに濡れきっている肉穴を舐め始める。 「あああ・・・いいわ、その調子」 リンダが声を小さくし、柔らかな声音になるのを聞いて、ブルースは安心し、舌先を硬くして、中に差し込んだ。 リンダは天国にいるような気分だった。たとえこの話しから何の結果も得られずとも、ともかく、ここパティオで夫をひざまずかせ、口で奉仕させている。リンダは甘い声で夫に語りかけた。 「ねえ、あなた? サラと黒人男の話しをしていたら、私、すごく興奮してしまったの。私、いったいどうしてしまったのかしら? もし、サラじゃなくって私だったらって、想像できる?」 リンダは、自分の発した言葉で、脚の間にいる夫の努力が倍化したのに気がついた。こんなにも夫をコントロールしていると感じたことはいままでなかった。 「むむむむ・・・」 毛布の中からは、そんな音しか聞こえてこなかった。ブルースの舌は妻に喜びを与えることに夢中になっていて、実際の言葉に似た音すら発せられないのである。 だが、それはそれでリンダにとっては良かった。夫の言葉が聞こえてきたら、自分の妄想が台無しにされてしまうだろうから。サラに初めて黒人男のことについて聞かされて以来、ずっと頭から離れなくなっている、あの妄想。確かに、今、自分に快感を与えているのは、夫の舌なのだけれども、想像の中では、それはもっと大きくて、もっと黒々とした何かだった。そして、その何かは、本物の男が持っているもの。 その時のリンダが知らなかったことがある。それは、まさに同じイメージをブルースが思い浮かべていて、いくら頑張っても、そのイメージを振り払えずにいたことだった。 突然、リンダは爆発的にオーガズムを迎えた。それに伴って、リンダは下腹部を激しく突き上げ、いまやびしょびしょに濡れたブルースの顔面を激しく打ち据えたのだった。オーガズムが終わった後も、ブルースがまともに呼吸できるまで、しばらくかかったほどだった。 「ありがとう、あなた・・・もう、出てきていいわ」 ブルースはリンダの脚の間からゆっくり身体を引いて、毛布の中から這い出た。熱く濡れた顔に夜のひんやりとした空気が当たり、熱を冷ましてくれた。ブルースは、元のように椅子に座り直したが、どういうわけか、妻の目を見るのが恥ずかしい気持ちに襲われた。何か恥ずかしいこと、屈辱的なことをしたような気持ちになったからである。 リンダは、そんなブルースの不快感に気づいた。そしてわざとまっすぐに彼の顔を見つめた。彼女は、夫が自分に見つめられて、どことなく身を縮ませたようだった。 突然、リンダは、なぜブルースがこんなふうに居心地が悪そうにしているのかを悟った。事実上、たった今、自分は初めて黒人男に影響された形でのオーガズムを味わったのであり、そのことを夫も悟ったのだ。だから困ったような顔をして、私から目を逸らそうとしているのね。これは大きな前進だわ。 リンダは、このことの可能性を思い巡らし、喜んだ。
「ミス・ビクトリア! あなたは、今や有名人ね。たった今、あなたは33,458人の人の前で犯されたところ。その大半が男で、大半が女装好きで、全員あなたを見るためにお金を払った人たち。私たちの通帳には、昨日よりずっとたくさんお金が入ってるはずよ」 パソコンでのメール受信のシグナルがチカチカと光っていた。ドナはパソコンの前に座り、メールソフトを立ち上げた。すでに何百もメッセージが来ていて、さらに刻一刻と新しいメールが届いている。ドナは、最初のメールを開いた。ステフという名前の人からだった。 <<私の人生で、こんなに官能的で美しいものは初めて見ました。持っているもの全部捧げてもいいから、私もビクトリアになりたい。本当にありがとう。いま履いているパンティはもうびちゃびちゃになってしまって、着替えなくちゃいけないわ。それでは、親愛を込めて。ステファニ(スティーブ)より>> ドナは、さらに何通か開いたが、どのメッセージもこれと似たものだった。僕は、言葉を出せず、ただ呆然と突っ立っていた。本当に、どうしてよいか分からない。ドナは、僕たち二人の間でのちょっとした遊びをポルノの世界に暴露してしまったのだ。しかも、僕に話すこともなければ、僕の同意もなしに。 これは明らかに度が過ぎていると思ったし、ここから踏み出すともう二度と後戻りできなくなると思った。 ドナはメールを読み続けていた。メールのメッセージからパワーを与えられているのだろう。そのパワーの虜になっている。 僕は静かに書斎から出て、寝室に行った。先ほど必死で耐え抜いたレイプで、アヌスが痛い。ドナが何をしているか知っていたら、決してこんなことに参加しなかっただろう。ドレスを脱ぎ捨て、靴も蹴飛ばし、下着を脱ぎ、かつらを外しながら、頬に涙が流れるのを感じた。 シャワーを浴びにバスルームに入った。手には新しいパンティを持っていた。僕の引き出しにあったBVDがなくなっていたからだ。シャワーを浴びると、体毛がちくちくするのを感じた。このまま生えるままにしておくと痒みが出てくる。僕は生えかかった体毛を剃り始めた。 だが、心の底では、この小さな実験はもうおしまいにすべきだと思っていた。あまりに短期間に、あまりに遠くまで来てしまった。 僕はクレンジング・クリームを使って、顔から化粧を落とした。身体を拭き、サテンのパンティを履いた。もちろん、BVDを見つけたらすぐに着替えると心に誓いながら。 寝室に戻り、ジーンズを出そうと僕の引き出しを開けた。だが、ジーンズはなくなっていた。引き出しの中、ズボン類といったら、土曜日にドーナッツ・ショップに行くとき履いた、黒のストレッチ・ジーンズだけだった。 ドナを呼び出そうとしたが、こんなパンティだけを履いた格好でドナと対峙するのは避けたかったので、仕方なく、それを履くことにした。履くときに、どうしても腰を女性っぽくくねらせなければならなかった。何とかしてボタンを留め、ジッパーをあげた。 Tシャツ類の引き出しを開けたが、やはり男物のTシャツはなく、その代わりに女性用のパステルカラーのミドリフ( 参考)が2、3着入っていた。僕は一番上にあったピンク色のミドリフを取り、頭からかぶって、身に着けた。それを着るとき、乳首が擦れて硬くなるのを感じた。アヌスと同じく乳首もヒリヒリと痛み続けていたからだ。 ソックスの引き出しにも、あったのはピンクの縁飾りが付いたアンクレットだけだった。引き出しは開けたままにして、クローゼットに行った。普段、僕の靴が置いてある床には、代わりに、ドナが僕に買ったハイヒールとピンク色の女物のジョギングシューズがあった。僕の足のサイズだと見ただけで分かった。そのジョギングシューズを履き、引き出しからアンクレットを取り出し、足につけた。鏡を見ると、もとの自分の、多少、男性的な姿になっていた。ただ、化粧をしていないにもかかわらず、本来の自分より、柔和で女性的に見える。女物の服や靴などにより、一層、そう見えているのだろう。 僕は書斎に戻った。ドナはまだメールを読むのに夢中になっていた。すでにストラップオンは外していて、それは床に転がっていた。ともかく、この女王様風のコスチュームを着たドナはとてもセクシーだ。僕は、一瞬、気後れしてしまいそうになったが、気を取り直して言った。 「ドナ? ちょっと話しがあるんだが」
マークは私を抱き寄せた。 「ビルもほとんど同じことを言っていたよ。君とビルの間に何が起きたかは分からない。だが、これだけは覚えておくように。つまり、男というのは、時々、言うべきだとは思っていないことを言ってしまうことがあるものなんだ。それに、自分でも怖くなってしまうようなことをしてしまい、他の人がどう思うだろうって悩んでしまうこともあるんだ。君たちの場合、事情が何であれ、君はビルにもう一度チャンスをあげるべきじゃないかと思うよ。ビルは、あの夜から、ほとんど毎日のように君に連絡を取ろうとしてきた。彼は、気にしているのは確かだよ」 マークが言っていることは正しいのは分かっていた。でも、私には、ビルに拒絶されたという感情を拭い去ることができなかった。マークは、そのまま1分ほど私を抱き続けてくれた。ありがたかった。私はマークが仕事をたくさん抱えているのを知っていたので、身体を離して、こう伝えた。 「何か私にお手伝いできることがあったら、何でも言ってください」 「演技ができるTガールがもっと欲しいのが実情なんだ。それ以外はすべて整ったんだが・・・」 マークは、再び、新企画のことを思い浮かべているのが分かった。 マークの書斎を出ながら、私は、どうしてマークは私に演技者として映画に出て欲しいと誘ってくれないのだろうと思った。自惚れかも知れないけれど、私はルックスは良いほうだと思う。それに、私はもう何回もカメラの前でセックスをしてきた。マリアばかりでなく、マークもトレーシーも、カメラの前で演じることにかけては、私は天性のものがあると言ってくれていた。 そのことを考えて没頭していたせいか、気がついたらマリアの真ん前に来て、ぶつかりそうになっていた。マリアは私の表情を見て、尋ねた。 「あらあら、どうしたの? 何かあったの? マークとの話しのことで」 「いえ、大丈夫。マークは、撮影のときにビルが一緒で私が困るかもと心配してくれただけ。マークには、ビルが礼儀正しく振舞う限り、私も礼儀正しくするつもりと答えたわ」 マリアにはそう答えたけど、まだ心の中ではさっきの問題がくすぶっていた。 マリアは優しく私を抱いて、言った。「それじゃ、どうして、そんな悩んだ顔をしているの?」 私はマリアの腰に両腕を回した。「悩んでいるというわけじゃないの。ちょっと考え事をしていて・・・ちょっと訊いてもいい?」 「もちろん、訊きたいこと、何でも訊いていいのよ。答えられるかどうかは別だけど」 マリアはそう言って私から離れて、キッチンテーブルの椅子に腰を降ろした。 私もマリアの隣に腰掛けた。 「ポルノ映画に出るって、どんな感じなのかしら?」 「ポルノ女優になるのがどういう感じかということよね? ・・・まあ、実際のところ、他の人とそんなに違うってわけではないわ。仕事に行って、演技をして、そして帰ってくる。これについては、あなたもすべて知ってるはずよ。本当に訊きたいことは?」 話し出す前に、顔が火照ってくるのを感じた。 「街で、顔がばれたりすることがあった? それに、カメラの前でセックスするのは、カメラがないところでするのと同じ感じなのかしら?」 「顔バレについては、記憶にあるのは2回だけだったかな。でも、回数が少ないのは、私が出ているような映画を見る男たちは、たいてい、そんな映画を見ることを隠そうとするのが普通だからというのが大きな理由ね。トレーシーとマークの場合は、もっと頻繁に顔バレしてるわ。セックスの件については、カメラの前の方はあんまり満足できないわね。気持ちよくなるためじゃなくって、映画を撮るためにしてることというのを忘れてはいけないの。確かに、相手の人が一緒に楽しい人で、気持ちよくなるときもあるわよ。でも、大半は、ただの仕事。・・・でも、どうしてそういうこと訊くの? マークに、ただのエキストラじゃなくって、演技者として映画に出てくれって誘われた?」 「いいえ。マークは誘ってくれなかったわ」 私が気落ちしているのが声に出ていたと思う。マリアはそれに気がついたようだった。
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